(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の包装飯塊では、シート状食品に直接触れることなく飯塊を食するという目的は達成されるが、手汚れ防止シートを追加することで包装シートの部品点数が増加する。そこで、部品点数の増加なくして同様の効果を得ることのできる包装シートが望まれている。
【0006】
本発明の目的は、シート状食品に包まれた飯塊を衛生的に食すことができる包装シート及び包装飯塊を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る包装シートは、
長手方向に形成された第1外分断可能部
25を具える外フィルム20と、
前記
第1外分断可能部
25との対向位置に第1内分断可能部
35を具える内フィルム30と、
前記外フィルム20及び内フィルム30との間に挟まれたシート状食品
40と、
を含む、包装シートであって、
前記外フィルム20は、前記外フィルム20の長手方向中央から対称な位置に、前記第1外分断可能部
25から一方の幅方向端縁に向けて形成された第2外分断可能部
26,26を有し、
前記内フィルム30は、前記第2外分断可能部
26,26の対向位置に、前記第1内分断可能部
35から一方の幅方向端縁に向けて形成された第2内分断可能部36,36を有する。
【0008】
前記第2外分断可能部26,26及び前記第2内分断可能部36,36は、断続的な切条とすることができる。
【0009】
前記第2外分断可能部26,26及び前記第2内分断可能部36,36は、飯塊50を包装したときに、飯塊50の側面及び周面と対向する位置に形成することができる。
【0010】
前記第1外分断可能部
25及び前記第1内分断可能部
35は、前記外フィルム20及び前記内フィルム30の幅方向の中央からズレた位置に形成され、前記第1外分断可能部
25と前記第1内分断可能部
35で分断することで、前記外フィルム20及び内フィルム30は、幅広側と幅狭側とに分割され、
前記第2外分断可能部26,26及び前記第2内分断可能部36,36は、前記幅狭側に形成されることが望ましい。
【0011】
前記第2外分断可能部26,26及び前記第2内分断可能部36,36は、前記外フィルム20及び内フィルム30の端縁側の間隔が、前記第1外分断可能部
25及び第1内分断可能部
35側の間隔よりも広がるように傾斜して形成されていることが望ましい。
【0012】
また、本発明の包装飯塊は、
上記記載の包装シート10を飯塊50に密着させて包装してなる。
【0013】
さらに、本発明に係る包装飯塊は、
上記記載の包装シート10によって飯塊50を袋状に包装することもできる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る包装シート10によれば、第2外分断可能部26,26及び第2内分断可能部36,36は、飯塊50を包装した状態において飯塊50の角部の近傍に位置する。そして、まず第1外分断可能部25及び第1内分断可能部35で外フィルム20及び内フィルム30を分断して外フィルム片21,22及び内フィルム片31,32とし、第2外分断可能部26,26及び第2内分断可能部36,36の形成された外フィルム片22及び内フィルム片32を残して、他方の外フィルム片21及び内フィルム片31を飯塊50から取り去る。
【0015】
続いて、飯塊50の角部に位置する第2外分断可能部26,26間の手汚れ防止外フィルム片22bの上から飯塊50を掴み、外フィル
ム20と内フィル
ム30について飯塊50の頂部側の千切り外フィルム片22aを千切り内フィルム片32aと共に摘んで引っ張る。これにより、外フィルム片22及び内フィルム片32は、第2外分断可能部26,26と第2内分断可能部36,36で分断されて、千切り外フィルム片22a及び千切り内フィルム片32aが取り除かれる。
【0016】
上記により、飯塊50は、シート状食品40に包まれ、且つ、角部に手汚れ防止外フィルム片22b及び内フィルム片32bが残る。手汚れ防止外フィルム片22bは、手汚れ防止手段としてシート状食品40の一部を覆っており、その他の部分は飯塊50を包んだ状態でシート状食品40が露出する。飯塊50を食する者は、残った外フィルム片22bの上から掴んで、露出した部分を食することで、直接シート状食品40や飯塊50に触れることなく衛生的に飯塊50を食することができる。多くの部分を食した後、残った手汚れ防止外フィルム片22b及び内フィルム片32bを引っ張ることで、これらフィルム片22b、32bを取り除けば、残りの部分も食することができる。
【0017】
本発明の包装シート10によって包装された包装飯塊60は、上述のとおり、多くの部分を食するまでは、手汚れ防止外フィルム片22bが手汚れ防止手段として残っているから、シート状食品40や飯塊50に直接触れなくても食することができ、極めて衛生的である。また、特許文献1のように別途手汚れ防止シートは不要であるから、部品点数の増加にはならない利点もある。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明について、図面を参照しながら説明を行なう。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係る包装シート10の分解斜視図である。図に示すように、包装シート10は、透明な外フィルム20と、内フィルム30との間に、シート状食品40を挟んで形成される。
【0021】
外フィルム20は、略長方形状とすることができる。図示の外フィルム20は、長手方向の長さが約23.5cm、幅方向の長さが約14cmである。図示の実施形態では、外フィルム20は、飯塊50を包装した際に長手方向端部が相互に重なり合わないように角を面取りしているが、矩形や丸面取り等、その形状は問わない。
【0022】
外フィルム20は、
図1及び
図2に示すように、長手方向の全長に亘って、第1外分断可能部25を有している。この第1外分断可能部25は、外フィルム20の幅方向中央に形成することもできるが、飯塊50を食する際に手汚れ防止手段として残る手汚れ防止外フィルム片25bを手で掴める最小限の大きさとし、可食領域を大きくするために、一方にズラして形成している。図示の実施形態では、第1外分断可能部25は、外フィルム20の幅を4:3に分断可能、すなわち14cm幅の外フィルム20の場合、幅方向中央から8cm:6cmとなる位置に第1外分断可能部25を形成している。説明のため、外フィルム20の幅の広い側を幅広側又は外フィルム片22a、幅の狭い側を幅狭側又は外フィルム片22bと称する。なお、第1外分断可能部25は、外フィルム20の幅方向中心から1cm〜3cmのズレ量とすることが好適である。
【0023】
第1外分断可能部25は、図示の実施形態のように、外フィルム20にカットテープを貼着した構成とすることができる。この場合、カットテープから容易に外フィルム20を分断できるよう、外フィルム20には、カットテープの端縁両側に切込みを形成しておくことが望ましい。なお、第1外分断可能部25は、カットテープに限らず、外フィルム20に所定間隔の断続的な切条(ミシン目)を形成した構成することもできる。この場合、切条からの水分の侵入を防止するために、外フィルム20の内面側に細幅のカバーフィルム片を熱溶着などにより取り付けることが望ましい。また、外フィルム20として長手方向に沿って裂ける方向性フィルムを用いることもできる。
【0024】
外フィルム20には、
図1及び
図2に示すように、幅狭側である外フィルム片22に第2外分断可能部26,26を形成している。第2外分断可能部26,26は、第1外分断可能部25から外フィルム片22側の幅方向端縁に向けて形成されている。第2外分断可能部26,26は、外フィルム20の長手方向中央に対して略線対称に形成することができる。第2外分断可能部26,26は、たとえば所定間隔の断続的な切条(ミシン目)を例示できる。外フィルム片22について、第2外分断可能部26,26間のフィルム部分は後述する手汚れ防止手段として残る手汚れ防止外フィルム片22bを構成し、その両側は千切り取られる千切り外フィルム片22aとなる。
【0025】
より詳細には、第2外分断可能部26,26は、
図4及び
図5に示すように、飯塊50を包装したときに、飯塊50の底面を挟んで飯塊50の側面側に位置する間隔とする。より詳細には、飯塊50の底面から3cm〜4cm離れた位置に第2外分断可能部26,26の端縁23aが位置することが望ましい。すなわち、たとえば飯塊50の厚さを3cmとすると、第2外分断可能部26,26は、
図1に示すように、第1外分断可能部25側の端縁26a,26aが9cm〜11cm程度離れるように形成する。これは、第2外分断可能部26,26間の飯塊50の側面と対向する領域が手汚れ防止手段として手で掴む領域を確保するためである。
【0026】
一方、第2外分断可能部26,26について、外フィルム20の幅方向端縁側の端縁26b,26bの間隔は、
図1に示すように、上記端縁26a,26aと同じ又は端縁26a,26aの間隔よりも広く形成することが好適である。
図1に示すように、第2外分断可能部26,26を端縁26b,26b側に向けて広がるように斜めに構成することで飯塊50を包装したときに、
図5に示すように飯塊50の斜め面でほぼ水平に第2外分断可能部26,26を形成でき見栄えもよくすることができる。もちろん、第2外分断可能部26,26は直線に限らず、円弧又は曲線等であってもよい。
【0027】
内フィルム30は、外フィルム20と略同じ大きさ、形状のフィルムから構成することができる。内フィルム30は、飯塊50と直に面するため、飯粒が付着し難いフィルムや凹部と凸部が均一に分布したエンボスフィルムを用いることが好適である。
【0028】
図示の実施例では、内フィルム30を2枚の内フィルム片31,32から構成している。内フィルム片31,32は、内縁部が外フィルム20の第1外分断可能部25と対向する位置で、相互に重なり合う第1内分断可能部35を構成している。本実施形態では、前記内フィルム片31,32の重なり幅は約1cmであり、外フィルム片21,22を幅広側と幅狭側として幅を変えているから、内フィルム片31も内フィルム片32に比べて幅の広い形状としている。なお、内フィルム片31,32の重なり部は容易に剥離可能な熱溶着を施しておくこともできる。
【0029】
内フィルム30の第1内分断可能部35は、2枚の内フィルム片31,32どうしを重ねた構成に限定されるものではない。たとえば、内フィルム30を1枚のフィルムとして、第1内分断可能部35は、外フィルム20の第1外分断可能部25と対向する位置で、幅方向に引っ張ることで、分断可能となるように薄肉に構成することができる。また、第1内分断可能部35は、所定間隔の断続的な切条(ミシン目)とし、切条をカバーフィルム片で覆う構成としてもよい。
【0030】
内フィルム30にも、
図1及び
図3に示すように、幅狭側である外フィルム片22bと対向する内フィルム片32bに第2内分断可能部36,36が形成されている。第2内分断可能部36,36は、第2外分断可能部26,26と対向するよう形成することができる。第2内分断可能部36,36は、たとえば所定間隔の断続的な切条(ミシン目)を例示できる。なお、第2内分断可能部36,36は、厳密に第2外分断可能部26,26と対向している必要はなく、内フィルム片32bが手汚れ防止外フィルム片22bよりも大きく千切られるように、第2内分断可能部36,36を第2外分断可能部26,26よりも内側に形成しても構わない。
【0031】
シート状食品40は、シート状海苔を例示できる。シート状食品40は、外フィルム20の裏面側の略中央に載せられている。シート状食品40は、略長方形のものを用いることができるが、長方形の角部が面取りされた形状のものを用いたり、長手方向の端部が丸く面取りされた形状のものを用いることもできる。図示の実施例では、シート状食品の長手方向の長さは約19cm、幅方向の長さが約8.5cmである。
【0032】
シート状食品40は、シート状海苔に限らず、薄手の食品であれば、鯣を薄く伸ばしたものや、おぼろ昆布をシート状に形成したものを採用することができる。
【0033】
上記外フィルム20、シート状食品40及び内フィルム30は、
図1に示すように、外フィルム20の裏面側の略中央にシート状食品40を載せ、その上から、内フィルム30を構成する内フィルム片31,32により形成される第1内分断可能部35が第1外分断可能部25と重なるように載せて、
図2乃至
図4に示すように、シート状食品40を囲むように外フィルム20と内フィルム30の周縁を線状に熱溶着12することにより、包装シート10が作製される。なお、熱溶着12は、内フィルム片31,32の重なり部には施さないことが望ましい。
【0034】
また、
図2乃至
図4に示すように、シート状食品40が包装シート10内でズレないようにするために、シート状食品40の長手方向の一端又は両端の近傍にて、内フィルム片31,32と外フィルム20とを熱溶着13しておくことが望ましい。
【0035】
上記のように形成された包装シート10を用いて、飯塊50が包装される。飯塊50は、
図4に示すように白米やかやくご飯などを固めて、扁平形状とした固まりを例示できる。飯塊50は、望ましくは、両側面が略平行となり、該両側面どうしを平面状又は曲面状の周面にて繋いだ形状とする。飯塊には、部分的あるいは全体的に胡麻等の振り掛け食品を振り掛けたり、具材を載せたり、具材を内部に挟むようにしてもよい。本実施形態では、飯塊は三角形のおにぎりであるが、丸形のおにぎりや、四角形のおにぎりとすることもできる。
【0036】
飯塊50は、
図4に示すように、内フィルム30側を上向きとした包装シート10に、その底面が第2内分断可能部36,36間に位置するように載せ、矢印Aに示すように包装シート10を折り曲げて飯塊50の形状に沿って包み込むことで、
図5及び
図6に示す包装飯塊60が得られる。包装シート10は、包装が解けないように、適宜テープなどの止着手段、製造年月日や内容物等を記載したラベル、或いは、熱溶着により封止する。
【0037】
本実施形態では、外フィルム20の第1外分断可能部25と、内フィルム30の第1内分断可能部35を中央からズラした位置に形成しているから、得られた包装
飯塊60は、
図5及び
図6に示すように、これら第1分断可能部25,35は飯塊50の中央を通っておらず、一方(
図6では左側)にズレて位置する。なお、
図5等において、外フィルム20の重なり等は図示していない。
【0038】
また、第2外分断可能部26及び図示されない第2内分断可能部36は、第1分断可能部25,35から包装飯塊60の側面及び周面に延びるよう位置している。
【0039】
なお、包装シート10には、包装飯塊60の開封手順を説明するための番号や矢印からなる表示を付しておくことが望ましい。
図5では、番号(1〜3)と矢印を記したシール15a〜15cを包装飯塊
60の頂部に2枚(番号1:15a、番号3:15c)、外フィルム片21の側面に1枚(番号2:15b)を貼着している。シール15aは、包装を解く際に最初に行なう第1外分断可能部25であるカットテープの切断方向を示す矢印が記されている。また、シール15bは、次に行なう外フィルム片21及び内フィルム片31の引張り方向を示す矢印が記されている。そして、シール15cは、外フィルム片22と内フィルム片32を第2外分断可能部26及び第2内分断可能部36で分断し、飯塊50の角部に手汚れ防止外フィルム片22b(同時に内フィルム片32bも残る)を残して、千切り外フィルム片22aと千切り内フィルム片32aを取り去る引っ張り方向が記されている。なお、シール15a〜15cは予め包装シート10に貼着しておいてもよいし、包装飯塊60を作成した後、貼着してもよい。また、包装シート10に番号や矢印を予め印刷しておいても構わない。
【0040】
上記包装
飯塊60は、以下の手順で包装を解くことができる。 先ず、シール15aの手順に沿って、第1外分断可能部25であるカットテープを
図7に矢印Bで示すように引っ張って外フィルム20を分断する。これにより、外フィルム20は、幅広側の外フィルム片21と幅狭側の外フィルム
片22に分割される。
【0041】
続いて、幅狭側の外フィルム片22の上から飯塊50を掴み、幅広側の外フィルム片21の角部を摘んで、
図5及び
図6のシール15bの手順に沿って、
図8の矢印Cに示すように外フィルム片21を内フィルム30と共に引っ張る。これにより、内フィルム30は
図3等で示す第1内分断可能部35で内フィルム片31と内フィルム片32に分断され、内フィルム片31は、外フィルム片21と共に、シート状食品40と飯塊50の間から引き出される。この状態では、外フィルム片22及び内フィルム片32はまだ飯塊50に被さったままである。
【0042】
次に、残った外フィルム片22について、飯塊50の角部となる手汚れ外フィルム片22bを飯塊50の上から掴む。そして、
図5のシール15cの手順に沿って、
図9に示すように外フィルム片22の上部側である千切り外フィルム片22aの上端を摘んで、千切り内フィルム片32aと共に矢印Dで示す上方に引っ張る。これにより、外フィルム片22は第2外分断可能部26、内フィルム片32は第2内分断可能部36で分断され、千切り内フィルム片
32aは、千切り外フィルム片22aと共に、シート状食品40と飯塊50の間から引き出され、外フィルム片22b及び内フィルム片32bが手汚れ防止手段として飯塊50の角部に残った
図10の状態(
図10には内フィルム片32bは示さず)で、シート状食品40に包まれた飯塊50の大半が露出する。
【0043】
飯塊50を食する者は、残った手汚れ防止外フィルム片22bの上から飯塊50を掴み、露出した部分を食することで、直接シート状食品40や飯塊50に触れることなく衛生的に飯塊50を食することができる。多くの部分を食した後、手汚れ防止外フィルム片22b及び内フィルム片32bを引っ張って取り去り、残りの部分を完食することができる。
【0044】
上記実施例の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮するように解すべきものではない。又、本発明の各部構成は上記一実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【0045】
たとえば、寸法や形状は一例であり、包装される飯塊50の大きさに合わせて適宜変更することもできる。シート状食品40が不要の場合は、包装シート10は外フィルム20のみから形成すればよい。
【0046】
さらに、上記したように飯塊50の形状に沿って包装するのではなく、
図11に示すように、袋状に包装することもできる。