(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記(B)エチレン性不飽和結合含有化合物として、分子中に20モル以上のアルキレンオキサイド単位を有する付加重合性単量体を含む、請求項1又は2に記載の積層体。
前記(A)アルカリ可溶性高分子は、前記(A)アルカリ可溶性高分子を構成する単量体の全質量を基準として40質量%以上のスチレンの構造単位を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層体。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と略記する)について具体的に説明する。
なお、本明細書において用語「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸又はメタクリル酸を意味する。用語「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基を意味する。用語「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」又は「メタクリレート」を意味する。
【0013】
<感光性樹脂組成物>
本実施形態では、感光性樹脂組成物が、(A)アルカリ可溶性高分子、(B)エチレン性不飽和結合含有化合物、及び(C)光重合開始剤を含む。所望により、感光性樹脂組成物は、(D)添加剤、(E)重合禁止剤などのその他の成分をさらに含んでよい。
【0014】
本実施形態では、感光性樹脂組成物は、下記数式(1):
W
X−D
X≦5μm (1)
{式中、W
Xは、感光性樹脂組成物から成る感光性樹脂層を、液体の存在下で、幅100μm及び深さ5μmの溝を有する基板上にラミネートした後に露光及び現像により得られるレジストパターンにおいて、200μm幅のレジストラインに対するスペース最小幅として規定される解像度(μm)であり、かつ
D
Xは、液体の非存在下で感光性樹脂層を基板上にラミネートした後に露光及び現像により得られるレジストパターンにおいて、200μm幅のレジストラインに対するスペース最小幅として規定される解像度(μm)である}
で表される関係を満たす。
【0015】
数式(1)においてW
X−D
Xは、所定の溝幅(100μm)と溝深さ(5μm)を有する基板上へ、本実施形態に係る感光性樹脂組成物から成る感光性樹脂層を、液体の存在下でラミネートしたとき(いわゆるウェットラミネーション)に露光及び現像により得られるレジストパターンの解像度と、液体の非存在下でラミネートしたとき(いわゆるドライラミネーション)に露光及び現像により得られるレジストパターンの解像度との差(以下、「ウェット−ドライラミネーション解像度差」ともいう)である。
【0016】
ウェット−ドライラミネーション解像度差が5μm以下であるとき、ウェットラミネーションを適用した生産プロセスにおけるショート不良を低減することができる。一般的なプリント配線板には、取扱い上発生する傷又は凹凸、および内層からの凹凸が発生する。この凹凸などに、ウェットラミネーションに適用する液体が滞留することがある。ウェット−ドライラミネーション解像度差が5μm超である場合、この凹凸部分の解像度が悪化し、ショート不良発生につながる。本発明によれば、基材の凹凸又は傷の存在に関わらず、基板内で安定した配線パターンを得ることができる。
【0017】
また、ウェットラミネーションはドライフィルムレジストの追従性を改善することができるため、レジスト層の厚みが薄い場合でも充分な追従性を確保することが可能となる。レジスト層の薄膜化が可能となると、エッチング後の解像度を向上させることができる。したがって、本発明によれば、ウェットラミネーションプロセスにおいて追従性と配線パターンのファイン化を両立することが可能となる。
【0018】
ウェット−ドライラミネーション解像度差が発生する原因として、基材の金属イオンの存在が考えられる。ウェットラミネーションに適用される液体の存在により、特に液体の滞留する部分にて、基板の金属イオン、例えば銅イオン、がレジスト中にマイグレーションすると考えられる。この金属イオンによってラジカル重合反応が促進され、ウェットラミネーション時の解像度が悪化すると考えられている。銅イオンのマイグレーションを抑制する感光性樹脂組成物の構成は、ウェット-ドライラミネーション解像度差5μm以下によって確認される。本発明によって、感光性樹脂組成物への銅マイグレーションの度合いが、上記ウェット−ドライ解像度差と相関することを見出した。
【0019】
数式(1)においてW
X−D
Xは、追従性とショート不良抑制性を両立するという観点から、5μm未満、4μm以下、3μm以下、2μm以下、1μm以下、又は0μmであることも好ましい。
【0020】
ウェット−ドライラミネーション解像度差を5μm以下の範囲内に調整する手段としては、特に限定されないが、例えば、感光性樹脂組成物の組成を、各成分に関して後述するように、種々調整することが挙げられる。
【0021】
ウェット−ドライラミネーション解像度差は、実施例に記載の方法により決定される。
【0022】
本実施形態に係る感光性樹脂組成物に含まれる各成分について以下に説明する。
【0023】
(A)アルカリ可溶性高分子
(A)アルカリ可溶性高分子は、アルカリ物質に溶解可能な高分子である。(A)アルカリ可溶性高分子は、単一種の共重合体、複数種の共重合体の混合物及び/又は複数種のホモポリマーの混合物でよい。
【0024】
アルカリ可溶性と関連して、(A)アルカリ可溶性高分子の酸当量((A)成分が複数種の共重合体を含む場合には、その混合物全体についての酸当量)は、感光性樹脂層の耐現像性、並びにレジストパターンの現像耐性、解像性及び密着性の観点から100以上であることが好ましく、感光性樹脂層の現像性及び剥離性の観点から900以下であることが好ましい。(A)アルカリ可溶性高分子の酸当量は、200〜600であることがより好ましく、250〜500であることがさらに好ましい。酸当量とは、その中に1当量のカルボキシル基を有する線状重合体の質量を言う。
【0025】
本実施形態では、レジストパターンの解像性を向上させる観点から、(A)アルカリ可溶性高分子は、(A)アルカリ可溶性高分子を構成する単量体の全質量を基準として、40質量%以上のスチレンの構造単位を含むことが好ましい。(A)アルカリ可溶性高分子が複数種の共重合体を含む場合には、(A)アルカリ可溶性高分子全体における各共重合体の配合割合と、各共重合体中におけるスチレン構造単位の含有率との加重平均が40質量%以上であることが好ましい。(A)アルカリ可溶性高分子中のスチレンの構造単位の含有量は、(A)アルカリ可溶性高分子を構成する単量体の全質量を基準として、現像性及び剥離性の観点から、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、又は60質量%以下である。
【0026】
(A)アルカリ可溶性高分子は、後述する第一の単量体のホモポリマー、後述する第二の単量体のホモポリマー、第一の単量体の1種以上及び/又は第二の単量体の1種以上から成る共重合成分を共重合させて得られる共重合体等を含んでよい。
【0027】
第一の単量体は、分子中にカルボキシル基を含有する単量体である。第一の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、ケイ皮酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸無水物、及びマレイン酸半エステル等が挙げられる。これらの中でも、アルカリ可溶性の観点から、(メタ)アクリル酸が好ましい。
【0028】
第二の単量体は、非酸性であり、かつ分子中に重合性不飽和基を少なくとも1個有する単量体である。第二の単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル等のビニルアルコールのエステル類;(メタ)アクリロニトリル;スチレン、重合可能なスチレン誘導体等が挙げられる。
これらの中でも、レジストパターンのテント性を向上させるという観点から、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、又はtert−ブチル(メタ)アクリレートが好ましく、テント性の観点からn−ブチル(メタ)アクリレートがより好ましく、そして解像性の観点から、スチレン又は重合可能なスチレン誘導体が好ましい。
重合可能なスチレン誘導体としては、例えば、メチルスチレン、ビニルトルエン、tert−ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、4−ビニル安息香酸、スチレンダイマー、スチレントリマー等が挙げられる。
【0029】
(A)アルカリ可溶性高分子は、上記の単量体を混合し、溶剤、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、ノルマルプロピルアルコール、又はイソプロパノールで希釈した溶液に、ラジカル重合開始剤、例えば、過酸化ベンゾイル、アゾイソブチロニトリル等を適量添加し、加熱攪拌することにより合成されることが好ましい。混合物の一部を反応液に滴下しながら(A)アルカリ可溶性高分子の合成を行う場合もある。反応終了後、さらに溶剤を生成物に加えて、所望の濃度に調整する場合もある。合成手段としては、溶液重合以外に、塊状重合、懸濁重合、又は乳化重合を用いてもよい。
【0030】
(A)アルカリ可溶性高分子の重量平均分子量((A)成分が複数種のコポリマーを含む場合には、その混合物全体についての重量平均分子量)は、5,000〜500,000であることが好ましい。(A)アルカリ可溶性高分子の重量平均分子量は、ドライフィルムレジストの厚みを均一に維持し、現像液に対する耐性を得るという観点から5,000以上であることが好ましく、ドライフィルムレジストの現像性を維持するという観点から500,000以下であることが好ましい。(A)アルカリ可溶性高分子の重量平均分子量は、10,000〜200,000であることがより好ましく、20,000〜100,000であることがさらに好ましい。(A)アルカリ可溶性高分子の分散度は、1.0〜6.0であることが好ましい。
【0031】
本実施形態では、感光性樹脂組成物中の(A)アルカリ可溶性高分子の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分総量を基準として(以下、特に明示しない限り、各含有成分において同様である)、好ましくは10質量%〜90質量%、より好ましくは20質量%〜80質量%、さらに好ましくは40質量%〜60質量%の範囲内である。(A)アルカリ可溶性高分子の含有量は、感光性樹脂層のアルカリ現像性を維持するという観点から10質量%以上であることが好ましく、露光によって形成されるレジストパターンがレジスト材料としての性能を十分に発揮するという観点から90質量%以下であることが好ましい。
【0032】
(B)エチレン性不飽和結合含有化合物
(B)エチレン性不飽和結合含有化合物は、その構造中にエチレン性不飽和基を有することによって重合性を有する化合物である。エチレン性不飽和結合は、付加重合性の観点から、末端エチレン性不飽和基であることが好ましい。
【0033】
(B)エチレン性不飽和結合含有化合物は、エッチングプロセス後のショート不良抑制性の観点から、分子中に20モル以上、21モル以上、25モル以上又は30モル以上のアルキレンオキサイド単位を有する付加重合性単量体を含むことが好ましい。分子中のアルキレンオキサイド単位の付加量の上限については特に限定されないが、現像後のレジスト解像度の観点から、60モル以下が好ましく、50モル以下又は40モル以下がさらに好ましい。
アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等が挙げられる。
【0034】
(B)エチレン性不飽和結合含有化合物は、下記(b
1)〜(b
7):
(b
1)下記一般式(I):
【化5】
{式中、R
1及びR
2は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、かつm
1は、2〜40を満たす数である。}
で表されるエチレングリコールジ(メタ)アクリレート化合物;
(b
2)下記一般式(II):
【化6】
{式中、R
3及びR
4は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、AはC
2H
4であり、BはC
3H
6であり、n
1、n
2、n
3及びn
4は、n
1+n
2+n
3+n
4=2〜50の関係を満たす整数であり、−(A−O)−及び−(B−O)−の繰り返し単位の配列は、ランダムであってもブロックであってもよく、ブロックの場合、−(A−O)−と−(B−O)−とのいずれがビスフェニル基側でもよい。}
で表されるアルキレンオキシド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート化合物;
(b
3)下記一般式(III):
【化7】
{式中、R
5〜R
7は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、Xは、炭素数2〜6のアルキレン基を表し、m
2、m
3及びm
4は、それぞれ独立に、0〜40の整数であり、m
2+m
3+m
4は、1〜40であり、そしてm
2+m
3+m
4が2以上である場合には、複数のXは、互いに同一であるか、又は異なっていてよい}
で表されるトリ(メタ)アクリレート化合物;
(b
4)下記一般式(IV):
【化8】
{式中、R
8及びR
9は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、Yは、炭素数2〜6のアルキレン基を表し、Zは、2価の有機基を表し、かつs及びtは、それぞれ独立に、0〜40の整数であり、かつs+t≧1である}
で表されるウレタンジ(メタ)アクリレート化合物;
(b
5)下記一般式(V):
【化9】
{式中、Rは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、かつnは、0〜30の整数であり、かつ全てのnの合計値が1以上である}
で表されるヘキサ(メタ)アクリレート化合物;
(b
6)下記一般式(VI):
【化10】
{式中、Aは、C
2H
4を表し、R
61は、水素原子又はメチル基を表し、R
62は、水素原子、メチル基又はハロゲン化メチル基を表し、R
63は、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子又は水酸基を表し、aは、1〜4の整数であり、kは0〜4の整数であり、そしてkが2以上の整数である場合には、複数のR
63は同一であっても異なっていてもよい}
で表されるo−フタレート化合物;及び
(b
7)上記(b
1)〜(b
6)以外の付加重合性単量体;
から成る群から選択される少なくとも1つを含んでよい。
【0035】
(B)エチレン性不飽和結合含有化合物は、レジストパターンの剥離時間及び剥離片のサイズを調整するという観点から、(b
1)一般式(I)で表されるエチレングリコールジ(メタ)アクリレート化合物を含むことが好ましい。
【0036】
一般式(I)において、m
1は、剥離時間及び剥離片サイズの観点から2以上であることが好ましく、エッチングプロセス後のショート不良抑制性の観点から20以上であることが好ましく、解像性、耐めっき性及び耐エッチング性の観点から40以下であることが好ましい。m
1は、より好ましくは4〜20であり、さらに好ましくは6〜12である。解像性とエッチングショート不良抑制性の両立の観点から、(B)エチレン性不飽和結合含有化合物は、一般式(I)においてm
1=4〜20を満たす化合物、及び一般式(I)においてm
1=20〜40を満たす化合物を同時に含有することが好ましい。
【0037】
一般式(I)で表されるエチレングリコールジ(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、m
1=4のテトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、m
1=9のノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、m
1=14のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、又はm
1=23のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0038】
(B)エチレン性不飽和結合含有化合物は、エッチングプロセス後のショート不良を抑制するために、(b
2)一般式(II)で表されるアルキレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート化合物を含むことが好ましい。一般式(II)中のBは、−CH
2CH
2CH
2−又は−CH(CH
3)CH
2−でよい。
【0039】
一般式(II)中の芳香環上の水素原子が、ヘテロ原子及び/又は置換基で置換されていてもよい。
ヘテロ原子としては、例えば、ハロゲン原子等が挙げられ、そして置換基としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、フェナシル基、アミノ基、炭素数1〜10のアルキルアミノ基、炭素数2〜20のジアルキルアミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボニル基、メルカプト基、炭素数1〜10のアルキルメルカプト基、アリール基、水酸基、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基、カルボキシル基、アルキル基の炭素数が1〜10のカルボキシアルキル基、アルキル基の炭素数が1〜10のアシル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜10のアルキルカルボニル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のN−アルキルカルバモイル基若しくは複素環を含む基、又はこれらの置換基で置換されたアリール基等が挙げられる。これらの置換基は縮合環を形成しているか、又はこれらの置換基中の水素原子がハロゲン原子等のヘテロ原子に置換されていてもよい。一般式(II)中の芳香環が複数の置換基を有する場合には、複数の置換基は同一であるか、又は異なっていてよい。
【0040】
一般式(II)中のR
3及びR
4は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基でよいが、感光性樹脂組成物から成る感光性樹脂層の露光直後にコントラストを確保するという観点から、R
3とR
4の一方又は双方が水素原子であることが好ましく、R
3とR
4の双方が水素原子であることがより好ましい。
【0041】
(b
2)一般式(II)で表されるアルキレンオキシド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート化合物には、エッチングショート不良抑制の観点から、20モル以上のアルキレンオキシドが付加されていることが好ましい。より詳細には、一般式(II)において、n
1、n
2、n
3及びn
4は、好ましくはn
1+n
2+n
3+n
4=4〜50の関係を満たし、より好ましくはn
1+n
2+n
3+n
4=10〜50の関係を満たし、さらに好ましくはn
1+n
2+n
3+n
4=20〜50の関係を満たし、特に好ましくはn
1+n
2+n
3+n
4=30〜50の関係を満たす。
【0042】
解像性の観点から、(B)エチレン性不飽和結合含有化合物のうちの40質量%以上が、好ましくは、(b
2)一般式(II)で表されるアルキレンオキシド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート化合物であり、より好ましくは、一般式(II)中のn
1、n
2、n
3及びn
4がn
1+n
2+n
3+n
4=30〜50の関係を満たすアルキレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート化合物である。好ましくは(B)エチレン性不飽和結合含有化合物のうちの50質量%、より好ましくは55質量%以上、さらに好ましくは60質量%、最も好ましくは80質量%が、(b
2)一般式(II)で表されるアルキレンオキシド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート化合物である。
【0043】
(b
2)一般式(II)で表されるアルキレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート化合物の好ましい具体例としては、ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均1単位のエチレンオキサイドを付加したポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均2単位のエチレンオキサイドを付加したポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均5単位のエチレンオキサイドを付加したポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均7単位のエチレンオキサイドを付加したポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均6単位のエチレンオキサイドと平均2単位のプロピレンオキサイドを付加したポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均15単位のエチレンオキサイドを付加したポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均15単位のエチレンオキサイドと平均2単位のプロピレンオキサイドを付加したポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0044】
一般式(II)において、n
1、n
2、n
3及びn
4は、解像度の観点から、n
1+n
2+n
3+n
4=2〜10の関係を満たすことも好ましく、n
1+n
2+n
3+n
4=2〜4の関係を満たすことも特に好ましい。
【0045】
(B)エチレン性不飽和結合含有化合物は、解像性とエッチングショート不良抑制性の両立の観点から、一般式(II)においてn
1+n
2+n
3+n
4=30〜50を満たす化合物、及び一般式(II)においてn
1+n
2+n
3+n
4=2〜10を満たす化合物を同時に含有することが特に好ましい。
【0046】
(B)エチレン性不飽和結合含有化合物は、解像性の観点から、(b
3)一般式(III)で表されるトリ(メタ)アクリレート化合物を含むことが好ましい。一般式(III)中のXは、炭素数2〜6のアルキレン基であり、例えば、−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2CH
2−、−CH(CH
3)CH
2−等でよい。
【0047】
(b
3)一般式(III)で表されるトリ(メタ)アクリレート化合物は、テント性、硬化膜柔軟性、及びエッチングプロセス後のショート不良抑制性の観点から、比較的長鎖のアルキレンオキサイド部分を有することが好ましい。より詳細には、一般式(III)において、m
2+m
3+m
4は、好ましくは20〜40である。
【0048】
(b
3)一般式(III)で表されるトリ(メタ)アクリレート化合物の好ましい具体例としては、エチレンオキサイド(EO)変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(EO平均付加モル数:10〜40)、プロピレンオキサイド(PO)変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(PO平均付加モル数:10〜40)等が挙げられる。特に、エチレンオキサイド(EO)変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(EO平均付加モル数:21)が好ましい。
【0049】
(B)エチレン性不飽和結合含有化合物は、解像性の観点から、(b
4)一般式(IV)で表されるウレタンジ(メタ)アクリレート化合物を含むことが好ましい。
【0050】
一般式(IV)において、Zは、2価の有機基を表し、例えば、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数2〜10のアルキレンオキサイド基、置換基を有していてもよい炭素数3〜10の2価の脂環式基等でよい。
【0051】
一般式(IV)において、Yは、炭素数2〜6のアルキレン基を表し、例えば、−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2CH
2−、−CH(CH
3)CH
2−等でよい。
【0052】
テント性をさらに向上させるという観点から、一般式(IV)中の−(Y−O)
s−部分及び−(Y−O)
t−部分は、それぞれ独立に、−(C
2H
4O)−(C
3H
6O)
9−で置換されていることも好ましい。エッチングプロセス後のショート不良抑制性の観点から、s+t=20〜40が好ましい。
【0053】
(b
4)一般式(IV)で表されるウレタンジ(メタ)アクリレート化合物の好ましい具体例としては、β位に水酸基を有する(メタ)アクリルモノマーとイソホロンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート及び1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物との付加反応物、トリス((メタ)アクリロキシテトラエチレングリコールイソシアネート)ヘキサメチレンイソシアヌレート、EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート並びにEO,PO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートが挙げられる。なお、EOはエチレンオキサイドを示し、EO変性された化合物はエチレンオキサイド基のブロック構造を有する。また、POはプロピレンオキサイドを示し、PO変性された化合物はプロピレンオキサイド基のブロック構造を有する。EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、新中村化学工業株式会社製、商品名「UA−11」等が挙げられる。また、EO,PO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、新中村化学工業株式会社製、商品名「UA−13」等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0054】
(B)エチレン性不飽和結合含有化合物は、解像性の観点から、(b
5)一般式(V)で表されるヘキサ(メタ)アクリレート化合物を含むことが好ましい。
【0055】
解像性をさらに向上させるために、一般式(V)において、全てのnの平均値が6以上であるか、又はnがそれぞれ1以上であることが好ましい。nの合計値については特に限定は無いが、エッチングプロセス後のショート不良抑制性の観点から、nの合計値は20〜30が好ましい。
【0056】
(b
5)一般式(V)で表されるヘキサ(メタ)アクリレート化合物の好ましい具体例としては、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールの6つの末端に合計1〜36モルのエチレンオキサイドが付加されたヘキサ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールの6つの末端に合計1〜10モルのε-カプロラクトンが付加されたヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。特に、ジペンタエリスリトールの6つの末端に合計24モル以上のエチレンオキサイドが付加されたヘキサ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0057】
(B)エチレン性不飽和結合含有化合物は、解像性の観点から、(b
6)一般式(VI)で表されるo−フタレート化合物を含むことが好ましい。
【0058】
一般式(VI)で表されるo−フタレート化合物としては、例えば、γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシエチル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、及びβ−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート等が挙げられる。これらの中でも、γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレートが好ましい。これらは1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0059】
(B)エチレン性不飽和結合含有化合物は、(b
7)成分として、(b
1)〜(b
4)成分以外の付加重合性単量体を含んでよい。
【0060】
(b
7)成分としては、(b
1)および(b
2)成分以外のジ(メタ)アクリレート、例えば、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、平均12モルのプロピレンオキサイドを付加したポリプロピレングリコ−ルにエチレンオキサイドをさらに両端にそれぞれ平均3モルずつ付加したポリアルキレングリコ−ルのジメタクリレ−ト、平均18モルのプロピレンオキサイドを付加したポリプロピレングリコ−ルにエチレンオキサイドをさらに両端にそれぞれ平均15モルずつ付加したポリアルキレングリコ−ルのジメタクリレ−ト、などが挙げられる。
【0061】
さらに、(b
7)成分としては、以下の:
(b
3)成分以外のトリ(メタ)アクリレート、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等;
テトラ(メタ)アクリレート、例えば、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(ポリ)アルコキシテトラ(メタ)アクリレート等;
ペンタ(メタ)アクリレート、例えば、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等;
多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物;及び
グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物;
が挙げられる。
【0062】
本実施形態では、解像性及びエッチング後のショート不良抑制性の観点から、感光性樹脂組成物中の全ての(B)エチレン性不飽和結合含有化合物の総含有量は、好ましくは1質量%〜70質量%、より好ましくは2質量%〜60質量%、さらに好ましくは4質量%〜50質量%、特に好ましくは20質量%〜50質量%の範囲内である。
エッチングプロセス後のショート不良抑制性の観点から、(B)エチレン性不飽和結合含有化合物は、分子中に20モル以上のアルキレンオキサイド単位を有することが好ましい。分子中に20モル以上のアルキレンオキサイド単位を有するエチレン性不飽和結合含有化合物の含有量は、エッチングプロセス後のショート不良抑制性の観点から感光性樹脂組成物全体の5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、現像後解像度の観点から40質量%以下が好ましく、30質量%以下又は20質量%以下がより好ましい。
【0063】
(C)光重合開始剤
(C)光重合開始剤は、光により単量体を重合させる化合物である。感光性樹脂組成物は、光重合開始剤として本技術分野において一般に知られている化合物を含む。
【0064】
感光性樹脂組成物中の(C)光重合開始剤の含有量は、好ましくは0.01質量%〜20質量%、より好ましくは0.05質量%〜10質量%、さらに好ましくは0.1質量%〜7質量%の範囲内である。(C)光重合開始剤の含有量は、十分な感度を得るという観点から0.01質量%以上であることが好ましく、レジスト底面まで光を充分に透過させて、良好な高解像性を得るという観点から20質量%以下であることが好ましい。
【0065】
(C)光重合開始剤としては、キノン類、芳香族ケトン類、アセトフェノン類、アシルフォスフィンオキサイド類、ベンゾイン又はベンゾインエーテル類、ジアルキルケタール類、チオキサントン類、ジアルキルアミノ安息香酸エステル類、オキシムエステル類、アクリジン類等が挙げられ、更にヘキサアリールビイミダゾール、ピラゾリン化合物、N−アリールアミノ酸又はそのエステル化合物(例えばN−フェニルグリシン)、有機ハロゲン化合物等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用されることができる。
これらの中でも、アクリジン類は、ダイレクトイメージング露光に特に適しており、そしてN−アリールアミノ酸又はそのエステル化合物は、感光性樹脂層の感度及びレジストパターンの解像性の観点から好ましい。
【0066】
アクリジン類としては、例えば、アクリジン、9−フェニルアクリジン、1,6−ビス(9−アクリジニル)ヘキサン、1,7−ビス(9−アクリジニル)ヘプタン、1,8−ビス(9−アクリジニル)オクタン、1,9−ビス(9−アクリジニル)ノナン、1,10−ビス(9−アクリジニル)デカン、1,11−ビス(9−アクリジニル)ウンデカン、1,12−ビス(9−アクリジニル)ドデカン等のアクリジン誘導体が挙げられる。ダイレクトイメージング露光に対する適性の観点から、感光性樹脂組成物中のアクリジン類の含有量は、好ましくは0.1質量%〜5質量%、より好ましくは0.3質量%〜3質量%、さらに好ましくは0.5質量%〜2質量%の範囲内である。
【0067】
芳香族ケトン類としては、例えば、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン[4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン]、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノンを挙げることができる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用されることができる。これらの中でも、密着性の観点から、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。さらに、透過率の観点から、感光性樹脂組成物中の芳香族ケトン類の含有量は、好ましくは0.01質量%〜0.5質量%、より好ましくは0.02質量%〜0.3質量%の範囲内である。
【0068】
ヘキサアリールビイミダゾールの例としては、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルビイミダゾール、2,2’,5−トリス−(o−クロロフェニル)−4−(3,4−ジメトキシフェニル)−4’,5’−ジフェニルビイミダゾール、2,4−ビス−(o−クロロフェニル)−5−(3,4−ジメトキシフェニル)−ジフェニルビイミダゾール、2,4,5−トリス−(o−クロロフェニル)−ジフェニルビイミダゾール、2−(o−クロロフェニル)−ビス−4,5−(3,4−ジメトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2−フルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2,3−ジフルオロメチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2,4−ジフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2,5−ジフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2,6−ジフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2,3,4−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2,3,5−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2,3,6−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2,4,5−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、2,2’−ビス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール、及び2,2’−ビス−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス−(3−メトキシフェニル)−ビイミダゾール等が挙げられ、これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用されることができる。高感度、解像性及び密着性の観点から、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体が好ましい。
【0069】
本実施形態では、感光性樹脂組成物中のヘキサアリールビスイミダゾール化合物の含有量は、感光性樹脂層の剥離特性及び/又は感度を向上させるという観点から、好ましくは0.05質量%〜7質量%、より好ましくは0.1質量%〜6質量%、さらに好ましくは1質量%〜4質量%の範囲内である。
【0070】
N−アリールアミノ酸としては、例えば、N−フェニルグリシン、N−メチル−N−フェニルグリシン、N−エチル−N−フェニルグリシン等が挙げられる。中でも、N−フェニルグリシンが、感光性樹脂層の感度又はレジストパターンの解像性の観点から特に好ましい。
N−アリールアミノ酸のエステル化合物としては、例えば、N−フェニルグリシンエチルエステルが挙げられる。N−フェニルグリシンエチルエステルは、感光性樹脂層の感度又はレジストパターンの解像性の観点から特に好ましい。
【0071】
感光性樹脂組成物中のN−アリールアミノ酸又はそのエステル化合物の含有量は、剥離特性及び/又は感度を向上させるという観点から、感光性樹脂組成物の固形分総量に対して、0.05質量%〜5質量%であることが好ましく、0.1〜2質量%であることがより好ましい。
【0072】
有機ハロゲン化合物としては、例えば、臭化アミル、臭化イソアミル、臭化イソブチレン、臭化エチレン、臭化ジフェニルメチル、臭化ベンジル、臭化メチレン、トリブロモメチルフェニルスルホン、四臭化炭素、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリクロロアセトアミド、ヨウ化アミル、ヨウ化イソブチル、1,1,1−トリクロロ−2,2−ビス(p−クロロフェニル)エタン、及びクロル化トリアジン化合物が挙げられ、中でも特にトリブロモメチルフェニルスルホンが好ましく用いられる。感光性樹脂組成物中の有機ハロゲン化合物の含有量は、剥離特性及び/又は感度を向上させるという観点から、感光性樹脂組成物の固形分総量に対して、0.05質量%〜5質量%であることが好ましく、0.1質量%〜3質量%であることがより好ましい。
【0073】
その他の光増感剤としては、例えば、2−エチルアントラキノン、オクタエチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン、及び3−クロロ−2−メチルアントラキノン等のキノン類、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、メチルベンゾイン、及びエチルベンゾイン等のベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、並びに1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−O−ベンゾインオキシム、及び1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム等のオキシムエステル類が挙げられる。感光性樹脂組成物中の光増感剤の含有量は、剥離特性及び/又は感度を向上させるという観点から、感光性樹脂組成物の固形分総量に対して、0.05質量%〜5質量%であることが好ましく、0.1質量%〜3質量%であることがより好ましい。
【0074】
また、本実施形態では、感光性樹脂組成物は、光増感剤としてピラゾリン化合物を含有することも好ましい。ピラゾリン化合物としては、1−フェニル−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−(4−(ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニル)−3−(4−tert−ブチル−スチリル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−ビフェニル)−5−(4−tert−ブチル−フェニル)−ピラゾリン及び1−フェニル−3−(4−ビフェニル)−5−(4−tert−オクチル−フェニル)−ピラゾリンが好ましい。
【0075】
(D)添加剤
本実施形態では、感光性樹脂組成物は、エッチング後のショート不良抑制性の観点から、(D)添加剤としての(i)カルボキシル基を含まず、且つアミノ基を含むベンゾトリアゾール化合物(以下「(i)化合物」と略記する)、及び(ii)重合禁止剤(E)としてのエポキシ化合物を含むことが好ましい。
【0076】
ウェット−ドライラミネーション解像度差が発生する原因として、基材の金属イオンの存在が考えられる。ウェットラミネーションに適用される液体の存在により、特に液体の滞留する部分にて、基板の金属イオン、例えば銅イオン、がレジスト中にマイグレーションすると考えられる。この金属イオンによってラジカル重合反応が促進され、ウェットラミネーション時の解像度が悪化すると考えられている。(i)化合物及び/又は(ii)エポキシ化合物は、この金属イオンを捕捉して不要の反応を抑制することによって、ウェット−ドライラミネーション解像度差を小さくする効果があると考えられる。
【0077】
(i)化合物は、エッチング後のショート不良抑制性を向上させる観点から、分子中にアミノ基を有することが好ましい。アミノ基およびベンゾトリアゾール骨格は、ウェットラミネーションに適用された液体の滞留によりマイグレーションした金属イオンを捕捉する能力を高め、エッチング後のショート不良を改善することができる。(i)化合物は、エッチング後のショート不良抑制性を向上させる観点から、分子中にカルボキシル基を含まないことが好ましい。カルボキシル基は、ウェットラミネーションに適用された液体の滞留により水素イオンを発生させると考えられ、この水素イオンがラジカル重合反応に関与し、エッチング後のショート不良を悪化させると考えられる。
【0078】
(i)化合物としては、例えば、1−(N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル)ベンゾトリアゾール、1−(N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル)メチルベンゾトリアゾール、2,2’−(((メチル−1−H−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチル)イミノ)ビスエタノール、2,2’−(((1−H−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチル)イミノ)ビスエタノール、1−(2−エチルヘキシルアミノ)−ベンゾトリアゾール、1−(2−ジ−n−オクチルアミノメチル)−ベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール、1−[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノメチル]−5−メチル−1H―ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0079】
本実施形態では、感光性樹脂組成物中の(i)化合物の含有量は、好ましくは0.001質量%〜3質量%、より好ましくは0.01質量%〜2質量%、さらに好ましくは0.05質量%〜1質量%の範囲内である。(i)化合物の含有量は、エッチング後のショート不良を抑制するという観点から0.001質量%以上であることが好ましく、感光性樹脂層の感度を維持し、かつ解像度を維持するという観点から3質量%以下であることが好ましい。
【0080】
(ii)エポキシ化合物は、エポキシ基を有する化合物である。(ii)エポキシ化合物としては、例えば、アルキレンオキシド化合物等が挙げられる。アルキレンオキシド化合物は、分子内に少なくとも2つのグリシジル基を含むことが好ましい。エポキシ化合物は、ウェットラミネーションに適用された液体の滞留によりマイグレーションした金属イオンによる重合反応を阻害し、エッチング後のショート不良を改善する。
【0081】
アルキレンオキシド化合物としては、例えば、下記一般式(VII):
【化11】
{式中、X
7は、酸素原子、又は式−O−X
8−O−(式中、X
8は、炭素数1〜100の直鎖若しくは分岐のアルキレン基、炭素数3〜10の脂環式アルキレン基、及び炭素数5〜20のアリーレン基から成る群から選ばれる少なくとも1つの炭化水素基を含有する2価の基であり、かつ該炭化水素基は、ハロゲン原子、酸素原子及び窒素原子から成る群から選ばれる少なくとも1つの原子で置換されていてもよい)で表される基であり;R
78及びR
79は、それぞれ独立に、炭素数1〜100の直鎖若しくは分岐のアルキレン基、炭素数3〜10の脂環式アルキレン基、及び炭素数5〜20のアリーレン基から成る群から選ばれる少なくとも1つの炭化水素基を含有する2価の基であり、かつ該炭化水素基は、ハロゲン原子、酸素原子及び窒素原子から成る群から選ばれる少なくとも1つの原子で置換されていてもよく、かつR
78及びR
79がともに存在する場合には、R
78及びR
79は、同一でも異なっていてもよく、R
78及びR
79が異なる場合には、−(R
78−O)−及び−(R
79−O)−の繰り返し単位の配列は、ブロックでもランダムでもよく;そしてl及びmは、それぞれ独立に、0〜50の整数であり、かつl+mは0〜50の整数である}
で表される化合物が挙げられる。
【0082】
一般式(VII)中のX
7としては、解像度の観点から、酸素原子、ビスフェノールAの水酸基から水素を除いた2価基(以下、ビスフェノールA型基ともいう)、及び水添ビスフェノールAの水酸基から水素を除いた2価基(以下、水添ビスフェノールA型基ともいう)が好ましく、ビスフェノールA型基と水添ビスフェノールA型基がより好ましい。
【0083】
アルキレンオキシド化合物の好ましい例としては、一般式(VII)中のX
7が酸素原子の場合、エチレングリコールジグリシジルエーテル(例えば共栄社化学(株)製エポライト40E)、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル(例えば共栄社化学(株)製エポライト100E)、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル(例えば共栄社化学(株)製エポライト200E)、ペンタエチレングリコールジグリシジルエーテル、ヘキサエチレングリコールジグリシジルエーテル、ヘプタエチレングリコールジグリシジルエーテル、オクタエチレングリコールジグリシジルエーテル、ノナエチレングリコールジグリシジルエーテル(例えば共栄社化学(株)製エポライト400E)、デカエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル(例えば共栄社化学(株)製エポライト70P)、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(例えば共栄社化学(株)製エポライト200P)、テトラプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ペンタプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ヘキサプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ヘプタプロピレングリコールジグリシジルエーテル(例えば共栄社化学(株)製エポライト400P)、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(例えば共栄社化学(株)製エポライト1500NP)、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(例えば共栄社化学(株)製エポライト1600)、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル(たとえば共栄社化学(株)製エポライト4000)等が挙げられる。中でも、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテルが好ましい。
【0084】
また、一般式(VII)中のX
7がビスフェノールA型基の場合、アルキレンオキシド化合物の好ましい例としては、ビスフェノールA−プロピレンオキシド 2モル付加物ジグリシジルエーテル(例えば共栄社化学(株)製エポライト3002)、ビスフェノールA−プロピレンオキシド 4モル付加物ジグリシジルエーテル、ビスフェノールA−プロピレンオキシド 6モル付加物ジグリシジルエーテル、ビスフェノールA−プロピレンオキシド 8モル付加物ジグリシジルエーテル、ビスフェノールA−プロピレンオキシド 10モル付加物ジグリシジルエーテル、ビスフェノールA−エチレンオキシド 2モル付加物ジグリシジルエーテル、ビスフェノールA−エチレンオキシド 4モル付加物ジグリシジルエーテル、ビスフェノールA−エチレンオキシド 6モル付加物ジグリシジルエーテル、ビスフェノールA−エチレンオキシド 8モル付加物ジグリシジルエーテル、ビスフェノールA−エチレンオキシド 10モル付加物ジグリシジルエーテル等が挙げられる。中でも、ビスフェノールA−プロピレンオキシド 2モル付加物ジグリシジルエーテルが好ましい。
【0085】
また、一般式(VII)中のX
7が水添ビスフェノールA型基の場合、アルキレンオキシド化合物の好ましい例としては、水添ビスフェノールA−エチレンオキシド2モル付加物ジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールA−エチレンオキシド4モル付加物ジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールA−エチレンオキシド6モル付加物ジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールA−エチレンオキシド8モル付加物ジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールA−エチレンオキシド10モル付加物ジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールA−プロピレンオキシド2モル付加物ジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールA−プロピレンオキシド 4モル付加物ジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールA−プロピレンオキシド6モル付加物ジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールA−プロピレンオキシド8モル付加物ジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールA−プロピレンオキシド10モル付加物ジグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0086】
感光性樹脂組成物中のエポキシ化合物の含有量は、好ましくは0.001質量%〜3質量%、より好ましくは0.01質量%〜2質量%、さらに好ましくは0.05質量%〜1.5質量%の範囲内である。エポキシ化合物の含有量は、エッチング後のショート不良を抑制するという観点から0.001質量%以上であることが好ましく、感光性樹脂層の感度を維持するという観点から3質量%以下であることが好ましい。
【0087】
感光性樹脂組成物は、所望により、安定化剤、変色剤、染料、可塑剤、酸化防止剤等の添加剤も含んでよい。
感光性樹脂組成物のエッチングショート不良抑制、及び熱安定性又は保存安定性の観点から、感光性樹脂組成物は、安定化剤として、(i)化合物以外の添加剤を含有してもよい。
(i)化合物以外の添加剤としては、テトラゾール骨格、イミダゾール骨格、トリアゾール骨格及びチアゾール骨格を有する化合物等が好ましい。これらの化合物には、メルカプト基を含有することがさらに好ましい。
前記化合物の例としては、例えば、以下の:
イミダゾール類、例えば、2−メルカプト−1−メチルイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−5−メチル−ベンゾイミダゾール、5−クロロ−2−メルカプトベンゾイミダゾール、5−メトキシ−2−メルカプトベンゾイミダゾール;
チアゾール類、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、6−アミノ−2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプト−5−メトキシベンゾチアゾール、5−クロロ−2−メルカプトベンゾチアゾール;
テトラゾール類、例えば、1−メチル−5−メルカプト−1H−テトラゾール、1−フェニル−5−メルカプト−1H−テトラゾール、1−メチル−5−アミノ−テトラゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、5−ベンジル−1H−テトラゾール、5−メチルテトラゾール、1−メチル−1H−テトラゾール、5−メチルチオ−1H−テトラゾール、5−フェニルテトラゾール、5−エチルチオ−1H−テトラゾール、5−ベンジルチオ−1H−テトラゾール;
芳香族環が縮合していないトリアゾール類、例えば、1,2,4−トリアゾール、1,2,3−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、1,3,4−トリアゾール−3−オール、3−メルカプト−4−メチル−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール;
ベンゾトリアゾール類、例えば、1,2,3−ベンゾトリアゾール、5−クロロ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール;
ベンゾオキサゾール類、例えば、2−メルカプトベンゾオキサゾール;
等が挙げられる。
【0088】
感光性樹脂組成物のエッチングショート不良抑制、及び熱安定性又は保存安定性の観点から、感光性樹脂組成物は、安定化剤として、(ii)エポキシ化合物以外の重合禁止剤(E)を含むことが好ましい。
【0089】
(ii)エポキシ化合物以外の重合禁止剤としては、例えば、フェノール性水酸基を有する化合物、アミン系重合禁止剤が挙げられる。これらの中でも、エッチング後のショート不良抑制性の観点から、フェノール性水酸基を有する化合物が好ましい。
【0090】
フェノール性水酸基を有する化合物としては、例えば、p−メトキシフェノール、ハイドロキノン、ピロガロール、tert−ブチルカテコール、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス(3−3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート)等が挙げられる。
【0091】
アミン系重合禁止剤としては、例えば、ナフチルアミン、ジフェニルニトロソアミン、及びニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩等が挙げられる。
【0092】
本実施形態では、感光性樹脂組成物中の全ての安定化剤の総含有量は、好ましくは0.001質量%〜3質量%、より好ましくは0.01質量%〜2質量%、さらに好ましくは0.05質量%〜1.5質量%の範囲内である。安定化剤の総含有量は、感光性樹脂組成物に良好な保存安定性を付与するという観点から0.001質量%以上であることが好ましく、感光性樹脂層の感度を維持するという観点から3質量%以下であることが好ましい。
【0093】
変色剤としては、ロイコ染料、フルオラン染料等を例示できる。変色剤の使用は、露光部分が発色することによる視認性の点で好ましい。また、検査機等が露光のための位置合わせマーカーを読み取る場合、露光部と未露光部とのコントラストが大きい方が位置を認識し易く有利である。
【0094】
ロイコ染料としては、トリス(4−ジメチルアミノフェニル)メタン[ロイコクリスタルバイオレット]、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)フェニルメタン[ロイコマラカイトグリーン]等が挙げられる。とりわけ、コントラストが良好となる観点から、ロイコ染料としては、ロイコクリスタルバイオレットを用いることが好ましい。感光性樹脂組成物中のロイコ染料の含有量は、0.1質量%〜10質量%であることが好ましい。この含有量は、露光部分と未露光部分とのコントラストの観点から、0.1質量%以上が好ましく、保存安定性を維持するという観点から10質量%以下が好ましい。
【0095】
ベース染料としては、例えば、ベーシックグリーン1[CAS番号(以下、同じ):633−03−4](例えば、Aizen Diamond Green GH、商品名、保土谷化学工業製)、マラカイトグリーンシュウ酸塩[2437−29−8](例えばAizen Malachite Green、商品名、保土谷化学工業製)、ブリリアントグリーン[633−03−4]、フクシン[632−99−5]、メチルバイオレット[603−47−4]、メチルバイオレット2B[8004−87−3]、クリスタルバイオレット[548−62−9]、メチルグリーン[82−94−0]、ビクトリアブルーB[2580−56−5]、ベーシックブルー7[2390−60−5](例えば、Aizen Victoria Pure Blue BOH、商品名、保土谷化学工業製)、ローダミンB[81−88−9]、ローダミン6G[989−38−8]、ベーシックイエロー2[2465−27−2]等が挙げられる。中でもベーシックグリーン1、マラカイトグリーンシュウ酸塩、及びベーシックブルー7が好ましく、色相安定性及び露光コントラストを向上させるという観点からベーシックグリーン1が特に好ましい。
【0096】
本実施形態では、感光性樹脂組成物中のベース染料の含有量は、好ましくは0.001質量%〜3質量%、より好ましくは0.01質量%〜2質量%、さらに好ましくは0.01質量%〜1質量%の範囲内である。染料の含有量は、良好な着色性を得るという観点から0.001質量%以上であることが好ましく、感光性樹脂層の感度を維持するという観点から3質量%以下であることが好ましい。
【0097】
可塑剤としては、例えば、o−トルエンスルホン酸アミド、p−トルエンスルホン酸アミド等のトルエンスルホン酸アミド;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンモノメチルエーテル、ポリオキシプロピレンモノメチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノメチルエーテル、ポリオキシエチレンモノエチルエーテル、ポリオキシプロピレンモノエチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノエチルエーテル等のグリコール・エステル類;ジエチルフタレート等のフタル酸エステル類;クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリ−n−プロピル、及びアセチルクエン酸トリ−n−ブチル;ビスフェノールAの両側にそれぞれプロピレンオキサイドを付加したプロピレングリコール、ビスフェノールAの両側にそれぞれエチレンオキサイドを付加したエチレングリコール等が挙げられる。
【0098】
本実施形態では、感光性樹脂組成物中の可塑剤の含有量は、好ましくは0.1質量%〜5質量%、より好ましくは1質量%〜4質量%の範囲内である。
【0099】
上記で説明された添加剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用されることができる。
【0100】
<感光性樹脂組成物調合液>
本実施形態では、感光性樹脂組成物に溶媒を添加することにより感光性樹脂組成物調合液を形成することができる。好適な溶媒としては、ケトン類、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)等;及びアルコール類、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。感光性樹脂組成物調合液の粘度が25℃で500mPa・秒〜4000mPa・秒となるように、溶媒を感光性樹脂組成物に添加することが好ましい。
【0101】
<感光性樹脂積層体>
本実施形態に係る積層体(以下、「感光性樹脂積層体」ともいう)は、ベースフィルムと、ベースフィルム上に設けられた、上記感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層とを備える。感光性樹脂積層体は、所望により、感光性樹脂層のベースフィルム側と反対側に保護層を有していてもよい。
【0102】
ベースフィルムは、感光性樹脂層から剥離可能である。ベースフィルムは、特に限定されるものではないが、露光光源から放射される光を透過することが好ましい。このようなベースフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、塩化ビニリデン共重合フィルム、ポリメタクリル酸メチル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、スチレン共重合体フィルム、ポリアミドフィルム、及びセルロース誘導体フィルムが挙げられる。これらのフィルムは、必要に応じて延伸されていてもよい。フィルムのヘーズは、好ましくは0.01%〜5.0%、より好ましくは0.01%〜2.5%、さらに好ましくは0.01%〜1.0%である。フィルムの厚みは、フィルムが薄いほど画像形成性及び経済性の面で有利であるが、強度を維持する必要から、10μm〜30μmであることが好ましい。
【0103】
また、感光性樹脂積層体に用いられる保護層の重要な特性は、感光性樹脂層との密着力について、ベースフィルムよりも保護層の方が小さく、容易に剥離できることである。保護層としては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等が好ましい。例えば、特開昭59−202457号公報に記載された剥離性の優れたフィルムを用いることができる。保護層の膜厚は、10μm〜100μmが好ましく、10μm〜50μmがより好ましい。
【0104】
本実施形態では、感光性樹脂積層体における感光性樹脂層の厚みは、好ましくは5μm〜100μm、より好ましくは7μm〜60μmである。感光性樹脂層の厚みは、小さいほどレジストパターンの解像性が向上し、一方で、大きいほど硬化膜の強度が向上するので、用途に応じて選択されることができる。
【0105】
ベースフィルム、感光性樹脂層、及び所望により、保護層を順次積層して、感光性樹脂積層体を作製する方法としては、既知の方法を使用してよい。上記で説明した通り、本実施形態に係る感光性樹脂組成物のウェット−ドライラミネーション解像度差を5μm以下に調整することによって、追従性とショート不良抑制性を両立することができるので、感光性樹脂組成物は、ウェットラミネーションとドライラミネーションのいずれにも使用されることができる。
【0106】
例えば、上記感光性樹脂組成物調合液を調製し、次にベースフィルム上にバーコーター又はロールコーターを用いて塗布して乾燥させ、ベースフィルム上に感光性樹脂組成物調合液から成る感光性樹脂層を積層する。さらに、所望により、感光性樹脂層上に保護層を積層することにより感光性樹脂積層体を作製することができる。
【0107】
<レジストパターン形成方法>
レジストパターンの形成方法は、支持体に、上述の感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層を積層するラミネート工程、感光性樹脂層を露光する露光工程、及び露光された感光性樹脂層を現像する現像工程を、好ましくはこの順に、含む。本実施形態においてレジストパターンを形成する具体的な方法の一例を以下に示す。
【0108】
先ず、ラミネート工程において、ラミネーターを用いて基板上に感光性樹脂層を形成する。具体的には、感光性樹脂積層体が保護層を有する場合には保護層を剥離した後、ラミネーターで感光性樹脂層を基板表面に加熱圧着しラミネートする。基板の材料としては、例えば、銅、ステンレス鋼(SUS)、ガラス、酸化インジウムスズ(ITO)等が挙げられる。
【0109】
本実施形態では、感光性樹脂層は基板表面の片面だけにラミネートするか、又は必要に応じて両面にラミネートしてもよい。ラミネート時の加熱温度は一般的に40℃〜160℃である。また、ラミネート時の加熱圧着を2回以上行うことにより、得られるレジストパターンの基板に対する密着性を向上させることができる。加熱圧着時には、二連のロールを備えた二段式ラミネーターを使用するか、又は基板と感光性樹脂層との積層物を数回繰り返してロールに通すことにより圧着してもよい。ウェットラミネーションの場合、ラミネーションに先立ち、液体を含浸させたスポンジロールを基板に接触させるか、若しくは基板に直接液体をスプレーする方法、基板を液体中に浸漬する方法等により基板表面に液体を塗布する。
【0110】
次に、露光工程において、露光機を用いて感光性樹脂組層を活性光に露光する。露光は、所望により、支持体を剥離した後に行うことができる。フォトマスクを通して露光する場合には、露光量は、光源照度及び露光時間により決定され、光量計を用いて測定してもよい。露光工程では、ダイレクトイメージング露光を行なってもよい。ダイレクトイメージング露光においてはフォトマスクを使用せず基板上に直接描画装置によって露光する。光源としては波長350nm〜410nmの半導体レーザー又は超高圧水銀灯が用いられる。描画パターンがコンピューターによって制御される場合、露光量は、露光光源の照度及び基板の移動速度によって決定される。
【0111】
次に、現像工程において、露光後の感光性樹脂層における未露光部又は露光部を、現像装置を用いて現像液により除去する。露光後、感光性樹脂層上にベースフィルム又は支持体がある場合には、これを除く。続いてアルカリ水溶液から成る現像液を用いて、未露光部又は露光部を現像除去し、レジスト画像を得る。
【0112】
アルカリ水溶液としては、Na
2CO
3、K
2CO
3等の水溶液が好ましい。アルカリ水溶液は、感光性樹脂層の特性に合わせて選択されるが、0.2質量%〜2質量%の濃度のNa
2CO
3水溶液が一般的に使用される。アルカリ水溶液中には、表面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための少量の有機溶剤等を混ぜてもよい。現像工程における現像液の温度は、20℃〜40℃の範囲内で一定に保たれることが好ましい。
【0113】
上記の工程によってレジストパターンが得られるが、所望により、さらに100℃〜300℃で加熱工程を行うこともできる。この加熱工程を実施することにより、レジストパターンの耐薬品性を向上させることができる。加熱工程には、熱風、赤外線、又は遠赤外線を用いる方式の加熱炉を用いることができる。
【0114】
本実施形態の感光性樹脂組成物は、プリント基板の回路を形成するために好適に使用されることができる。一般に、プリント基板の回路形成方法としては、サブトラクティブプロセス及びセミアディティブプロセス(SAP)が使用される。
【0115】
サブトラクティブプロセスは、基板全面に配置された導体からエッチングで非回路部分のみを除去して、回路を形成する方法である。
SAPは、基板全面に配置された導体シード層上の非回路部分にレジストを形成してから、回路部分のみをめっきで形成する方法である。
【0116】
<導体パターンの製造方法>
導体パターンの製造方法は、金属板、金属皮膜絶縁板等の基板に上述の感光性樹脂組成物から成る感光性樹脂層を積層するラミネート工程、感光性樹脂層を露光する露光工程、露光された感光性樹脂層の未露光部又は露光部を現像液で除去することによって、レジストパターンが形成された基板を得る現像工程、及びレジストパターンが形成された基板をエッチング又はめっきする導体パターン形成工程を、好ましくはこの順に、含む。
【0117】
本実施形態では、導体パターンの製造方法は、基板として金属板又は金属皮膜絶縁板を用い、上述のレジストパターン形成方法によってレジストパターンを形成した後に、導体パターン形成工程を経ることにより行われる。導体パターン形成工程においては、現像により露出した基板表面(例えば、銅面)に既知のエッチング法又はめっき法を用いて導体パターンを形成する。
【0118】
さらに、本発明は、例えば、以下の用途において好適に適用される。
【0119】
<配線板の製造方法>
導体パターンの製造方法により導体パターンを製造した後に、レジストパターンを、現像液よりも強いアルカリ性を有する水溶液により基板から剥離する剥離工程を更に行うことにより、所望の配線パターンを有する配線板(例えば、プリント配線板)を得ることができる。
【0120】
剥離用のアルカリ水溶液(以下、「剥離液」ともいう)については、特に制限されるものではないが、2質量%〜5質量%の濃度のNaOH又はKOHの水溶液、もしくは有機アミン系剥離液が一般に用いられる。剥離液には少量の水溶性溶媒を加えてよい。水溶性溶媒としては、例えば、アルコール等が挙げられる。剥離工程における剥離液の温度は、40℃〜70℃の範囲内であることが好ましい。
【0121】
<リードフレームの製造>
基板として銅、銅合金、又は鉄系合金等の金属板を用いて、レジストパターン形成方法によってレジストパターンを形成した後に、以下の工程を経ることにより、リードフレームを製造できる。先ず、現像により露出した基板をエッチングして導体パターンを形成する工程を行う。その後、配線板の製造方法と同様の方法でレジストパターンを剥離する剥離工程を行って、所望のリードフレームを得ることができる。
【0122】
<凹凸パターンを有する基材の製造>
レジストパターン形成方法により形成されるレジストパターンは、サンドブラスト工法により基板に加工を施す時の保護マスク部材として使用することができる。この場合、基板としては、例えば、ガラス、シリコンウエハー、アモルファスシリコン、多結晶シリコン、セラミック、サファイア、金属材料等が挙げられる。これらの基板上に、レジストパターン形成方法と同様の方法によって、レジストパターンを形成する。その後、形成されたレジストパターン上からブラスト材を吹き付けて、目的の深さに切削するサンドブラスト処理工程、及び基板上に残存したレジストパターン部分をアルカリ剥離液等で基板から除去する剥離工程を行って、基板上に微細な凹凸パターンを有する基材を製造できる。
【0123】
サンドブラスト処理工程では、公知のブラスト材を使用してよいが、例えば、SiC、SiO
2、Al
2O
3、CaCO
3、ZrO、ガラス、ステンレス等を含む粒径2μm〜100μmの微粒子が一般に使用される。
【0124】
<半導体パッケージの製造>
基板として大規模集積化回路(LSI)の形成が終了したウエハを用いて、レジストパターン形成方法によりウエハにレジストパターンを形成した後に、以下の工程を経ることによって、半導体パッケージを製造することができる。先ず、現像により露出した開口部に銅、はんだ等の柱状めっきを施して、導体パターンを形成する工程を行う。その後、配線板の製造方法と同様の方法でレジストパターンを剥離する剥離工程を行って、更に、柱状めっき以外の部分の薄い金属層をエッチングにより除去する工程を行うことにより、所望の半導体パッケージを得ることができる。
【0125】
本実施形態では、感光性樹脂組成物は、プリント配線板の製造;ICチップ搭載用リードフレーム製造;メタルマスク製造等の金属箔精密加工;ボール・グリッド・アレイ(BGA)、チップ・サイズ・パッケージ(CSP)等のパッケージの製造;チップ・オン・フィルム(COF)、テープオートメイテッドボンディング(TAB)等のテープ基板の製造;半導体バンプの製造;及びITO電極、アドレス電極、電磁波シールド等のフラットパネルディスプレイの隔壁の製造に利用されることができる。
なお、上述した各パラメータの値については特に断りのない限り、後述する実施例での測定方法に準じて測定される。
【実施例】
【0126】
高分子及び単量体の物性値の測定、並びに実施例及び比較例の評価用サンプルの作製方法を説明する。次いで、得られたサンプルについての評価方法及びその評価結果を示す。
【0127】
(1)物性値の測定又は計算
<高分子の重量平均分子量又は数平均分子量の測定>
高分子の重量平均分子量又は数平均分子量は、日本分光(株)製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(ポンプ:Gulliver、PU−1580型、カラム:昭和電工(株)製Shodex(登録商標)(KF−807、KF−806M、KF−806M、KF−802.5)4本直列、移動層溶媒:テトラヒドロフラン、ポリスチレン標準サンプル(昭和電工(株)製Shodex STANDARD SM−105)による検量線使用)によりポリスチレン換算として求めた。
さらに、高分子の分散度は、数平均分子量に対する重量平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)として算出された。
【0128】
<酸当量>
本明細書において、酸当量とは、分子中に1当量のカルボキシル基を有する重合体の質量(グラム)を意味する。平沼産業(株)製平沼自動滴定装置(COM−555)を使用し、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いて電位差滴定法により酸当量を測定した。
【0129】
(2)評価用サンプルの作製方法
実施例1〜17及び比較例1〜7における評価用サンプルは以下のように作製した。
【0130】
<感光性樹脂積層体の作製>
下記表1又は2に示す成分(但し、各成分の数字は固形分としての配合量(質量部)を示す)及び溶媒を十分に攪拌、混合して、感光性樹脂組成物調合液を得た。表1及び2中に略号で表した成分の名称を下記表3に示す。支持フィルムとして16μm厚のポリエチレンテレフタラートフィルム(三菱樹脂(株)製、R310−16B)を用い、その表面にバーコーターを用いて、この調合液を均一に塗布し、95℃の乾燥機中で2分間乾燥して、感光性樹脂組成物層を形成した。感光性樹脂組成物層の乾燥厚みは20μmであった。
【0131】
次いで、感光性樹脂組成物層のポリエチレンテレフタラートフィルムを積層していない側の表面上に、保護層として19μm厚のポリエチレンフィルム(タマポリ(株)製、GF−818)を貼り合わせて感光性樹脂積層体を得た。
【0132】
<基板整面>
研削材(日本カーリット(株)製、サクランダムR(登録商標#220))を用いて、35μm圧延銅箔を積層した0.4mm厚の銅張積層板をスプレー圧0.2MPaでジェットスクラブ研磨することにより、評価用基板を作製した。さらに、25μm厚みのドライフィルムレジストを用い、エッチング工法により幅100μm、深さ5μmの溝を評価用基板面に、評価基板の処理方向に平行、垂直となるようにそれぞれ形成した。
【0133】
<ドライラミネーション>
感光性樹脂積層体のポリエチレンフィルムを剥がしながら、50℃に予熱した評価用基板に、ホットロールラミネーター(旭化成(株)社製、AL−700)により、感光性樹脂積層体をロール温度105℃でラミネートして試験片を得た。エアー圧は0.35MPaとし、ラミネート速度は2.0m/分とした。
【0134】
<ウェットラミネーション>
ラミネーション液として、イオン交換水を用意した。溝を形成した評価用基板をイオン交換水に浸漬し、基板表面にイオン交換水を塗布した。感光性樹脂積層体のポリエチレンフィルムを剥がし、イオン交換水に浸漬した評価用基板に、ホットロールラミネーター(旭化成(株)社製、AL−700)により、感光性樹脂積層体をロール温度105℃でラミネートして試験片を得た。エアー圧は0.35MPaとし、ラミネート速度は2.0m/分とした。
【0135】
<露光>
直接描画式露光装置(日本オルボテック株式会社製、ParagonUltra−100、主波長355nm)により、ストーファー21段ステップタブレットをマスクとして、種々の露光量で露光した。このとき、露光パターンが評価基板の溝に垂直となるように露光した。なお、解像度の値は、1μm刻みで得られるような描画パターンを用いて露光
を行なった。
【0136】
<現像>
感光性樹脂積層体からポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離した後、(株)フジ機工製現像装置を用い、フルコーンタイプのノズルにて、現像スプレー圧0.15MPaで、30℃の1質量%Na
2CO
3水溶液を所定時間スプレーして現像し、感光性樹脂層の未露光部分を溶解除去した。このとき、未露光部分の感光性樹脂層が完全に溶解するのに要する最も少ない時間を最小現像時間として測定し、最小現像時間の2倍の時間で現像してレジストパターンを作製した。その際、水洗工程は、フラットタイプのノズルにて水洗スプレー圧0.15MPaで、現像工程と同時間処理した。
【0137】
(3)サンプルの評価方法
<ドライラミネーション解像度(現像後)>
上記ドライラミネーション後の上記露光及び現像により得られた硬化レジストパターンについて、200μm幅のレジストラインに対するスペース最小幅として規定される解像度の値を、ドライラミネーション解像度として得た。上記露光工程は、現像後の残膜限界段数が6段となる露光量で行われた。
なお、硬化レジストパターンにおいて、未露光部分の基板表面に残留レジストがなく基板表面が表出しており、硬化レジストから糸を引いたようなレジスト成分の突起もなく、ラインの直線性も良好であり、硬化レジスト同士の密着もない、正常に形成されている最小スペース幅を評価した。
【0138】
<ウェットラミネーション解像度(現像後)>
上記ドライラミネーションの代わりに上記ウェットラミネーションを行なったこと以外は、上記ドライラミネーション解像度(現像後)の決定方法と同様に、ウェットラミネーション解像度(現像後)を得た。
【0139】
<ウェット−ドライラミネーション解像度差>
ウェットラミネーション解像度(現像後)からドライラミネーション解像度(現像後)を引くことにより、ウェット−ドライラミネーション解像度差を算出して、以下の基準により評価した。
○(良好):ウェット−ドライラミネーション解像度差が5μm以下である。
×(不良):ウェット−ドライラミネーション解像度差が5μmを超える。
【0140】
<感度(必要露光量)>
上記ドライラミネーション後に、上記露光及び現像工程時に、現像後の残膜限界段数が6段となる露光量を求めて、以下の基準により評価した。
○(良好):露光量は20mJ/cm
2未満である。
△(許容):露光量は20mJ/cm
2以上である。
【0141】
<エッチング後解像度>
ウェットラミネーション解像度(現像後)をエッチング後解像度として採用して、以下の基準により評価した。
◎(著しく良好):エッチング後解像度は、17μm未満である。
○(良好):エッチング後解像度は、17μm以上かつ20μm以下である。
△(許容):エッチング後解像度は、20μmを超え、かつ25μm未満である。
×(不良):エッチング後解像度は、25μm以上である。
【0142】
<解像度(通常)>
ドライラミネーション解像度(現像後)を解像度(通常)として採用した。
【0143】
(4)評価結果
実施例1〜17及び比較例1〜7の評価結果を下記表1、2又は3に示す。なお、表1及び2において、略号「長鎖ROモノマー」は、分子中に20モル以上のアルキレンオキサイド単位を有するモノマーを表す。
【0144】
【表1】
【0145】
【表2】
【0146】
【表3】