特許第6809886号(P6809886)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6809886レーダカバー及びレーダカバーの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6809886
(24)【登録日】2020年12月14日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】レーダカバー及びレーダカバーの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/00 20060101AFI20201221BHJP
   B60R 13/04 20060101ALI20201221BHJP
   B29C 45/14 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
   B60R13/00
   B60R13/04 Z
   B29C45/14
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-239470(P2016-239470)
(22)【出願日】2016年12月9日
(65)【公開番号】特開2018-94992(P2018-94992A)
(43)【公開日】2018年6月21日
【審査請求日】2019年11月20日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504136889
【氏名又は名称】株式会社ファルテック
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】落合 巧
【審査官】 宮地 将斗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−141355(JP,A)
【文献】 特開2009−018790(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 13/00
B60R 13/04
B60R 19/52
B29C 45/14
G01S 7/03
H01Q 1/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周囲状況を検知するレーダユニットの電波の経路上に配置されるレーダカバーであって、
樹脂からなる板状の透明部材と、
前記透明部材の外縁部の背面側を少なくとも一部を露出した状態で前記透明部材の背面に接合された支持部材と、
前記透明部材の外縁部の背面側であって前記支持部材に覆われていない領域に少なくとも形成される有色層と、
前記支持部材に覆われていない領域にて前記有色層を直接被覆すると共に前記支持部材と異なる部材の被覆膜と
を有し、
前記有色層は、塗料が乾燥されて形成された塗料層である
ことを特徴とするレーダカバー。
【請求項2】
前記被覆膜の厚さ寸法は、前記支持部材の厚さ寸法よりも小さいことを特徴とする請求項1記載のレーダカバー。
【請求項3】
車両の周囲状況を検知するレーダユニットの電波の経路上に配置されるレーダカバーの製造方法であって、
樹脂からなる板状の透明部材を形成する透明部材形成工程と、
前記透明部材の背面側に前記透明部材の外縁部を含めて有色層を形成する有色層形成工程と、
前記透明部材の外縁部の背面側を少なくとも一部を露出した状態で前記透明部材の背面に接合された支持部材を形成する支持部材形成工程と、
前記支持部材に覆われていない領域にて前記有色層を直接被覆する被覆膜を前記支持部材と異なる部材として形成する被覆膜形成工程と
を有し、
前記有色層形成工程にて、塗料を乾燥させることによって塗料層からなる前記有色層を形成する
ことを特徴とするレーダカバーの製造方法。
【請求項4】
前記被覆膜形成工程では、前記被覆膜が形成される領域において前記有色層との間に隙間を空けて対向配置される金型を配置し、前記隙間に溶融樹脂を充填して前記被覆膜を形成することを特徴とする請求項記載のレーダカバーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーダカバー及びレーダカバーの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ミリ波等の電波を用いて車両の周囲の障害物等を検知するレーダユニットが車両に搭載されている。このようなレーダユニットは、少なくとも一部の部材が電波を透過可能な樹脂によって形成されたレーダカバーに覆われた状態で車両に取り付けられている。このようなレーダカバーを構成する部材は、一般的に、金型内部に溶融した樹脂を射出して成形する射出成形により形成されている。例えば、特許文献1には、レーダカバーの表面側を形成する透明部材と、透明部材を支える支持部材とを射出成形により形成するレーダカバーの製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−150497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のようなレーダカバーでは、透明部材と支持部材との間に有色層を形成した場合には、透明部材を介して外部から有色層を視認することができ、有色層によりエンブレムや模様を形成することができる。一方で、例えば、レーダカバーのデザイン性や取付性を考慮して、透明部材の外縁部を支持部材よりも側方に張り出す形状を採用する場合がある。このような場合には、有色層が形成された透明部材の背面の一部(外縁部)に、支持部材で覆われていない領域が発生する。このような領域では、有色層が露出された状態とされ、有色層の劣化が早まる恐れがある。有色層の劣化は、有色層によって形成されるエンブレムや模様の変色等を招き、車両の外観印象の形成に大きく影響する恐れがある。
【0005】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、透明部材の背面に支持部材が接合されたレーダカバーにおいて、透明部材の外縁部にて支持部材に覆われていない有色層の劣化を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0007】
第1の発明は、車両の周囲状況を検知するレーダユニットの電波の経路上に配置されるレーダカバーであって、樹脂からなる板状の透明部材と、上記透明部材の外縁部の背面側を少なくとも一部を露出した状態で上記透明部材の背面に接合された支持部材と、上記透明部材の外縁部の背面側であって上記支持部材に覆われていない領域に少なくとも形成される有色層と、上記支持部材に覆われていない領域にて上記有色層を被覆する被覆膜とを有するという構成を採用する。
【0008】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記被覆膜の厚さ寸法が、上記支持部材の厚さ寸法よりも小さいという構成を採用する。
【0009】
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、上記被覆膜が、上記支持部材と同一材料により形成されているという構成を採用する。
【0010】
第4の発明は、車両の周囲状況を検知するレーダユニットの電波の経路上に配置されるレーダカバーの製造方法であって、樹脂からなる板状の透明部材を形成する透明部材形成工程と、上記透明部材の背面側に上記透明部材の外縁部を含めて有色層を形成する有色層形成工程と、上記透明部材の外縁部の背面側を少なくとも一部を露出した状態で上記透明部材の背面に接合された支持部材を形成する支持部材形成工程と、上記支持部材に覆われていない領域にて上記有色層を被覆する被覆膜を形成する被覆膜形成工程とを有するという構成を採用する。
【0011】
第5の発明は、上記第4の発明において、上記被覆膜形成工程では、上記被覆膜が形成される領域において上記有色層との間に隙間を空けて対向配置される金型を配置し、上記隙間に溶融樹脂を充填して上記被覆膜を形成するという構成を採用する。
【0012】
第6の発明は、上記第5の発明において、上記被覆膜形成工程が、上記支持部材形成工程と同一工程にて行われるという構成を採用する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、透明部材の外縁部の支持部材に覆われていない領域にて有色層を被覆する被覆膜を有している。このため、支持部材に覆われていない領域であっても有色層が露出されることを被覆膜によって防止し、有色層を保護することができる。したがって、本発明によれば、透明部材の背面に支持部材が接合されたレーダカバーにおいて、透明部材の外縁部にて支持部材に覆われていない有色層の劣化を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態におけるレーダカバーを模式的に示す正面図である。
図2】(a)が図1のA−A断面図であり、(b)が図1のB−B断面図である。
図3】本発明の一実施形態におけるレーダカバーが備える被覆膜の一部を含む拡大断面図である。
図4】本発明の一実施形態におけるレーダカバーの製造方法を説明するための模式図である。
図5】本発明の一実施形態におけるレーダカバーの製造方法を説明するための模式図である。
図6】本発明の一実施形態におけるレーダカバーの製造方法を説明するための模式図である。
図7】本発明の一実施形態におけるレーダカバーの製造方法を説明するための模式図である。
図8】本発明の一実施形態におけるレーダカバーの製造方法を説明するための模式図である。
図9】本発明の一実施形態におけるレーダカバーの製造方法において被覆膜を形成する領域を含む拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明に係るレーダカバー及びレーダカバーの製造方法の一実施形態について説明する。なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0016】
図1は、本実施形態のレーダカバー1を模式的に示す正面図である。また、図2(a)は、図1のA−A断面図である。また、図2(b)は、図1のB−B断面図である。図1に示すように、本実施形態のレーダカバー1は、中央に配置されたエンブレムEと、エンブレムEの周囲に設けられた網目状の外側意匠部Dとを有している。なお、図1においては、エンブレムEと外側意匠部Dの一部を白色で示しているが、この白色で示された領域は本実施形態では銀色であるものとする。また、エンブレムEと外側意匠部Dのドット模様で示された領域は本実施形態では黒色であるものとする。
【0017】
図2(a)及び図2(b)に示すように、本実施形態のレーダカバー1は、車両の周囲状況を検知するレーダユニットXを車両の正面側から覆うように配置されており、レーダユニットXで用いる電波に対する透過性を有している。このような本実施形態のレーダカバー1は、レーダユニットXの電波の経路上(レーダユニットXから射出される電波が伝播される領域)に配置されており、図2(a)及び図2(b)に示すように、透明部材2と、印刷層3と、塗料層4(有色層)と、インナコア5と、支持部材6と、被覆膜7とを備えている。なお、本実施形態においてレーダカバー1は、支持部材6に一体的に形成されている係合部6aが、ラジエータグリル側に形成されている取付座部(図中の二点鎖線Y)に係合することによりラジエータグリルに組み付けられている。更に、当該ラジエータグリルが車体に組み付けられる。
【0018】
透明部材2は、透明樹脂材料により板状に形成され、レーダカバー1の構成部材のうち最も車両の外側に配置された部材である。この透明部材2は、車両の外部からのエンブレムEや外側意匠部Dの視認性を高めるため、表側の面が平滑面とされている。また、透明部材2の裏側の面(支持部材6側の面)には、表面側に向けて掘られた凹部2aが形成されている。本実施形態のレーダカバー1では、透明部材2は、凹部2aとして、インナコア5が収容されたインナコア収容凹部2bと、内壁面に塗料が塗られることで塗料層4が形成された塗装凹部2cとを備えている。
【0019】
また、本実施形態のレーダカバー1では、透明部材2は、支持部材6よりも正面側から見て大きく形成されており、外縁部が支持部材6から張り出している。つまり、透明部材2の外縁部の背面側は、支持部材6によって覆われていない。これは、透明部材2までを含めたレーダカバー1がラジエータグリルの取付部開口に没入するように取り付けるよりも、図示するようにラジエータグリルの取付座部Yと透明部材2とが一部において重合し、透明部材2が取付面の前面(紙面の左側)に出るように取り付けた方が、意匠的により優れた外観を呈することによるものである。
【0020】
インナコア収容凹部2bは、正面から見た形状が「F」の文字を避けて円形状とされており、エンブレムEが配置されるレーダカバー1の中央部に形成されている。このようなインナコア収容凹部2bは、内壁面にインナコア5が当接された状態でインナコア5を収容している。
【0021】
また、塗装凹部2cは、正面から見てレーダカバー1の外縁部に枠状に設けられた枠状部2dと、枠状部2dの内側に網状に設けられた網状部2eとを有している。このような塗装凹部2cには、内壁面を覆うように塗料層4が設けられている。また、塗装凹部2cの内部には支持部材6の一部が入り込んだ状態とされ、支持部材6によって塗料層4が背面側から覆われている。
【0022】
透明部材2の支持部材6側の面(背面)の凹部2aが設けられていない領域は、印刷層3が形成される印刷層形成領域Rとされている。この印刷層形成領域Rは、平坦面とされており、印刷層3によって透明部材2の背面側から覆われている。
【0023】
このような透明部材2は、例えば、無色のPC(ポリカーボネート)やPMMA(ポリメタクリル酸メチル樹脂)等の透明合成樹脂によって形成されており、1.5mm〜10mm程度の厚さとされている。また、透明部材2の表側の面には、必要に応じて、傷付き防止のためのハードコート処理、又はウレタン系塗料のクリヤコート処理が施される。なお、耐傷性を備える透明合成樹脂であれば、これらの傷付き防止処理は不要である。
【0024】
印刷層3は、透明部材2の印刷層形成領域Rに印刷された薄膜層であり、本実施形態においては上述のように黒色とされている。この印刷層3は、黒色のインクを印刷層形成領域Rに転写し、当該インクを乾燥させることによって形成されている。この印刷層3は、例えばシルク印刷法によって、レーダユニットXで用いる電波を透過可能な黒色の樹脂インクを印刷層形成領域R上に配置し、このインクを自然乾燥させることによって形成することができる。このような印刷層3は、透明部材2を介して外部から視認可能とされており、図1に示すドット模様で示した領域を形成している。
【0025】
塗料層4は、レーダユニットXで用いる電波を透過可能な銀色の塗料を乾燥させることによって形成された薄膜層であり、本実施形態において上述のように銀色とされている。この塗料層4は、図2(a)及び図2(b)に示すように、エンブレムEが形成される領域を除いて、印刷層3が形成された透明部材2の背面の全面に設けられている。つまり、塗料層4は、エンブレムEが形成される領域を除いて、印刷層3の支持部材6側の面を覆っている。また、塗料層4は、支持部材6によって覆われていない透明部材2の外縁部の背面側の領域を覆って形成されている。この塗料層4は、例えばパール顔料を含有する塗料を塗布し、自然乾燥させることによって形成することができる。このような塗料層4は、塗装凹部2cにおいて、透明部材2を介して外部から視認可能とされており、図1に示す外側意匠部Dの白色で示した領域を形成している。
【0026】
インナコア5は、レーダユニットXで用いる電波を透過可能な樹脂からなる基部と、基部の表面を覆うように形成された光輝性膜とを有している。光輝性膜としては、例えば、電波が透過可能な隙間が多数形成された不連続膜とされたインジウム膜を用いることができる。このようなインジウム膜は、例えば真空蒸着法やスパッタリング法により形成することができる。なお、インナコア5は、光輝性膜の表面を覆う透明なトップコート層や光輝性膜の裏面を覆うアンダコート層を有していても良い。このようなインナコア5は、光輝性膜がインナコア収容凹部2bの内壁面に対向されるようにして、透明部材2のインナコア収容凹部2bに嵌合配置されている。このようなインナコア5は、透明部材2を介して外部から視認可能とされており、図1に示すエンブレムEの白色で示した領域を形成している。
【0027】
支持部材6は、透明部材2の背面に接合され、透明部材2を支持する部位であり、黒色の樹脂材料から形成されている。本実施形態において支持部材6は、正面から見て透明部材2よりも小さく、透明部材2の外縁部の背面側を露出した状態で透明部材2の背面に接合されている。また、支持部材6は、エンジンルーム側に突出する係合部6aを有している。この係合部6aは、先端部が爪状に成形されており、当該先端部が例えばラジエータグリル本体等に係止される。このような支持部材6は、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂)、AES(アクリロニトリル・エチレン・スチレン共重合合成樹脂)、ASA(アクリロニトリル・スチレン・アクリレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、有色のPC、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の合成樹脂、又はこれらの複合樹脂からなり、1.0mm〜10mm程度の厚さとされている。
【0028】
図3は、被覆膜7の一部を含む拡大断面図である。この図に示すように、被覆膜7は、図2に示すように、透明部材2の外縁部の背面側であって支持部材6に覆われていない領域Raに設けられている。この被覆膜7は、支持部材6に覆われていない領域Raにて、塗料層4を被覆するように塗料層4に重ねて設けられている。このような被覆膜7は、支持部材6よりも、厚さ寸法(透明部材2の背面に対して面直方向の寸法)が小さく設定され、支持部材6の係合部6aが設けられていない領域の厚さ寸法の数分の1(例えば3分の1)以下とされている。また、被覆膜7は、支持部材6と同一材料によって形成されており、支持部材6に一体的に設けられている。このような被覆膜7は、塗料層4が外気や雨水に接触することを防止し、塗料層4が劣化することを抑止する。また、レーダカバー1のラジエータグリル(車両)への取り付け後、車両走行中の振動によりラジエータグリルの取付座部Yが透明部材2に当たることが有っても、被覆膜7が両者間に介在しているので、塗料層4を剥離させることが無く、長期にわたりレーダカバー1の外観品質を良好に保つことができる。
【0029】
続いて、本実施形態のレーダカバー1の製造方法について、図4図9を参照して説明する。
【0030】
まず、図4に示すように、透明部材2を形成する。なお、図4(a)は、図2(a)と同位置での断面図であり、図4(b)は、図2(b)と同位置での断面図である。ここでは、透明部材2を金型10による射出成形により形成する。金型10は、固定側のキャビティ金型11と、移動側のコア金型12とを有している。本実施形態においては、コア金型12は、印刷層形成領域Rを形成するベース12aと、凹部2aを形成するための入れ子12bとを有している。この入れ子12bは、コア金型12のベース12aに対して別体とされ、ベース12aに固定された状態でベース12aの表面からキャビティ金型11側に突出している。このような図4で示す工程は、樹脂からなる板状の透明部材2を形成する工程であり、本発明の透明部材形成工程に相当する。
【0031】
続いて、図5に示すように、印刷層3を形成する。なお、図5(a)は、図2(a)と同位置での断面図であり、図5(b)は、図2(b)と同位置での断面図である。ここでは、透明部材2の凹部2aを除く領域である印刷層形成領域Rに対して、シルク印刷法等の印刷法によってインクを転写し、当該インクを乾燥させることによって、印刷層3を形成する。
【0032】
続いて、図6に示すように、塗料層4を形成する。なお、図6(a)は、図2(a)と同位置での断面図であり、図6(b)は、図2(b)と同位置での断面図である。ここでは、図6(a)に示すエンブレムEが形成される領域Mに対してマスクをした状態で、印刷層3が形成された透明部材2の背面側に銀色のマイカ塗料を例えばスプレ塗布し、マイカ塗料を乾燥させることによって、塗料層4を形成する。このようにして形成された塗料層4は、エンブレムEが形成される領域を除いて、印刷層3を覆いかつ全ての塗装凹部2cの内壁面に直接付着した塗料層4が形成される。このような図6で示す工程は、透明部材2の背面側に透明部材2の外縁部を含めて有色層である塗料層4を形成する工程であり、本発明の有色層形成工程に相当する。
【0033】
続いて、図7に示すように、インナコア5をインナコア収容凹部2bに収容する。なお、図7は、図2(a)と同位置での断面図である。ここでは、上述した透明部材2、印刷層3あるいは塗料層4の形成と並行して形成されたインナコア5をインナコア収容凹部2bに収容する。インナコア5は、先に射出成形により形成された基部に対して、インジウム層等の光輝性の不連続金属膜を真空蒸着法やスパッタリング法等により製膜することで形成される。なお、インナコア5には、必要に応じてトップコート層やアンダコート層が形成される。このようなインナコア5は、光輝性の不連続金属膜をインナコア収容凹部2bの内壁面側に向けてインナコア収容凹部2bに収容される。
【0034】
続いて、図8に示すように、支持部材6及び被覆膜7を形成する。なお、図8(a)は、図2(a)と同位置での断面図であり、図8(b)は、図2(b)と同位置での断面図である。ここでは、インナコア収容凹部2bにインナコア5が設置された透明部材2を、インサート成形用金型20(図9参照)の内部に配置し、透明部材2の背面側に溶融した樹脂を射出するインサート成形を行うことで、支持部材6を形成する。このような支持部材6は、インサート成形時の熱により透明部材2と溶着され、インナコア5を覆うように配置される。これによって、インナコア5が透明部材2に対して固定される。
【0035】
また、インサート成形を行う場合には、図9の拡大図に示すように、キャビ金型21とコア金型22とを有するインサート成形用金型20のコア金型22を、被覆膜7が形成される領域において塗料層4との間に隙間Sを空けて配置する。そして、この隙間Sに溶融樹脂を充填することによって被覆膜7を形成する。つまり、本実施形態においては、支持部材6と同一工程にて被覆膜7を形成する。
【0036】
このような図8及び図9に示す工程は、透明部材2の外縁部の背面側を露出した状態で透明部材2の背面に接合された支持部材6を形成する工程であり、かつ、支持部材6に覆われていない領域にて塗料層4を被覆する被覆膜7を形成する工程である。つまり、図8及び図9に示す工程は、本発明の支持部材形成工程でありかつ本発明の被覆膜形成工程に相当する。
【0037】
以上のような本実施形態のレーダカバー1及びレーダカバー1の製造方法によれば、透明部材2の外縁部の支持部材6に覆われていない領域Raにて塗料層4を被覆膜7が被覆する。このため、支持部材6に覆われていない領域Raであっても塗料層4が露出されることを被覆膜7によって防止し、塗料層4を保護することができる。したがって、本実施形態の本発明のレーダカバー1及びレーダカバー1の製造方法によれば、透明部材2の外縁部にて支持部材6に覆われていない塗料層4の劣化を抑制することが可能となる。
【0038】
また、本実施形態のレーダカバー1においては、被覆膜7の厚さ寸法が、支持部材6の厚さ寸法よりも小さく設定されている。つまり、本実施形態のレーダカバー1において被覆膜7は、支持部材6よりも薄く形成されている。このため、最小限の形成材料にて被覆膜7を形成することができ、レーダカバー1の小型化及び軽量化を図ることができる。
【0039】
また、本実施形態のレーダカバー1においては、被覆膜7は、支持部材6と同一材料により形成されている。このため、支持部材6と被覆膜7とを一体的に形成することができ、被覆膜7を支持部材6に強固に固定することができる。したがって、被覆膜7が経年劣化等により剥離することを防止することができる。
【0040】
また、本実施形態のレーダカバー1の製造方法においては、被覆膜7が形成される領域において塗料層4との間に隙間Sを空けて対向配置されるコア金型22を配置し、隙間Sに溶融樹脂を充填して被覆膜7を形成した。このため、容易に被覆膜7を形成することができ、さらにはコア金型22が塗料層4に直接当接されることがなく、コア金型22が塗料層4に接触することによる塗料層4の剥離等を防止することができる。
【0041】
また、本実施形態のレーダカバー1の製造方法においては、支持部材6と被覆膜7とが同一工程にて形成されている。このため、レーダカバー1の製造するための工数を削減することができ、短時間かつ安価にレーダカバー1を製造することができる。
【0042】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0043】
例えば、上記実施形態においては、本発明の有色層が塗料層4である構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、印刷層3を透明部材2の外縁部の背面側まで形成し、この印刷層3を本発明の有色層とすることも可能である。また、有色層の色は特に限定されるものではない。
【0044】
また、上記実施形態においては、透明部材2の外縁部の全周に有色層である塗料層4が形成された構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、透明部材2の外縁部の一部にのみ有色層が形成された構成を採用することも可能である。
【0045】
また、上記実施形態においては、インナコア5を透明部材2のインナコア収容凹部2bに収容し、このインナコア5を透明部材2と支持部材6とで挟み込むことによってエンブレムEを形成する構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、透明部材2や支持部材6の表面に直接的に光輝性の不連続膜を形成し、インナコア5を省略する構成のレーダカバー及びその製造方法に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0046】
1……レーダカバー、2……透明部材、3……印刷層、4……塗料層(有色層)、5……インナコア、6……支持部材、7……被覆膜、10……金型、11……キャビティ金型、12……コア金型、20……インサート用金型、21……キャビティ金型、22……コア金型(金型)、D……外側意匠部、E……エンブレム、X……レーダユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9