(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
光の送受信を連続的に行う送受信部を、管状組織において軸方向に移動させながら前記管状組織からの反射光を取得し、当該反射光に基づいて画像を生成する画像診断装置であって、
前記反射光に基づいて前記管状組織の断面画像の生成に用いられるラインデータを生成するラインデータ生成手段と、
前記ラインデータに基づいて、前記ラインデータのピークのデータ値が閾値以下であるラインデータを分岐と判定することにより、前記管状組織の分枝を検出する検出手段と、
前記検出手段による検出結果に基づいて、前記管状組織の軸方向と略平行な方向の縦断面画像の構築角度を設定する設定手段と、
前記ラインデータと前記検出手段による検出結果とに基づいて、前記管状組織の軸方向と交差する方向の横断面画像を生成する横断面画像生成手段と、
前記ラインデータと前記構築角度とに基づいて、前記縦断面画像を生成する縦断面画像生成手段と
を備えることを特徴とする画像診断装置。
前記設定手段は、前記検出手段により複数のフレームで分枝が検出された場合、各フレームについて分枝の分岐部分の直径を算出し、当該直径に基づいて前記構築角度を設定することを特徴とする請求項1に記載の画像診断装置。
前記設定手段は、前記検出手段により複数のフレームで分枝が検出された場合、各フレームについて前記管状組織の主管と前記分枝とのなす角度を算出し、当該なす角度に基づいて前記構築角度を設定することを特徴とする請求項1に記載の画像診断装置。
前記設定手段は、前記検出手段により複数のフレームで分枝が検出された場合、表示可能な分枝の数に基づいて前記構築角度を設定することを特徴とする請求項1に記載の画像診断装置。
前記設定手段は、前記検出手段により複数のフレームで分枝が検出された場合、各フレームについて分枝にガイドワイヤが通っているかを判定し、当該判定の結果に基づいて前記構築角度を設定することを特徴とする請求項1に記載の画像診断装置。
前記表示手段は、前記検出手段により複数のフレームで分枝が検出された場合、前記縦断面画像上に分枝位置を示す複数の強調表示マークをさらに表示することを特徴とする請求項6に記載の画像診断装置。
前記検出手段により1以上のフレームで分枝が検出された場合、当該分枝が検出されたフレーム位置と前記管状組織の最小内腔径を有するフレーム位置との距離を算出する算出手段をさらに備え、
前記表示手段は、前記算出手段により算出された距離をさらに表示することを特徴とする請求項6乃至8の何れか1項に記載の画像診断装置。
光の送受信を連続的に行う送受信部を、管状組織において軸方向に直線駆動装置により移動させながら前記管状組織からの反射光を取得し、当該反射光に基づいて画像を生成する画像診断装置の作動方法であって、
前記画像診断装置が、前記反射光に基づいて前記管状組織の断面画像の生成に用いられるラインデータを生成するラインデータ生成工程と、
前記画像診断装置が、前記ラインデータに基づいて、前記ラインデータのピークのデータ値が閾値以下であるラインデータを分岐と判定することにより、前記管状組織の分枝を検出する検出工程と、
前記画像診断装置が、前記検出工程による検出結果に基づいて、前記管状組織の軸方向と略平行な方向の縦断面画像の構築角度を設定する設定工程と、
前記画像診断装置が、前記ラインデータと前記検出工程による検出結果とに基づいて、前記管状組織の軸方向と交差する方向の横断面画像を生成する横断面画像生成工程と、
前記画像診断装置が、前記ラインデータと前記構築角度とに基づいて、前記縦断面画像を生成する縦断面画像生成工程と
を有することを特徴とする画像診断装置の作動方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の各実施形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、明細書を通じて同一の参照符号は同一の構成要素を表している。
【0016】
<1.画像診断装置の外観構成>
図1は、本発明の一実施形態にかかる画像診断装置(光干渉断層画像診断装置(OCT)または波長掃引利用の光干渉断層画像診断装置(OFDI))100の外観構成を示す図である。
【0017】
図1に示すように、画像診断装置100は、光プローブ部101と、スキャナ/プルバック部102と、操作制御装置103とを備え、スキャナ/プルバック部102と操作制御装置103とは、信号線104により接続されている。
【0018】
光プローブ部101は、直接血管等の管状組織内に挿入され、伝送された測定光を連続的に管状組織に向けて送信するとともに、管状組織からの反射光を連続的に受信する送受信部を先端に備えるイメージングコアを内挿しており、該イメージングコアを用いることで管状組織の状態を測定する。
【0019】
スキャナ/プルバック部102は、光プローブ部101が着脱可能に取り付けられるよう構成されており、内蔵されたモータが駆動することで光プローブ部101に内挿されたイメージングコアのラジアル動作(管腔内の軸方向の動作及び回転方向の動作)を実現している。また、送受信部が受信した反射光を取得するとともに、信号線104を介して該取得した反射光を操作制御装置103に送信する。
【0020】
操作制御装置103は、測定を行うにあたり、各種設定値を入力するための機能や、測定結果を管状組織の断面画像として表示するための機能を備える。
【0021】
操作制御装置103において、111は本体制御部であり、測定により得られた反射光と、測定光を分離することで得られた参照光とを干渉させることで、干渉光データを生成するとともに、該干渉光データに基づいて生成されたラインデータを処理することで、管状組織の軸に直交する方向の横断面画像を複数生成する。
【0022】
111−1はプリンタ/DVDレコーダであり、本体制御部111における処理結果を印刷したり、データとして記憶したりする。112は操作パネルであり、ユーザは該操作パネル112を介して、各種設定値及び各種指示の入力を行う。113は表示装置としてのLCDモニタであり、本体制御部111において生成された管状組織の複数の断面画像を表示する。
【0023】
<2.画像診断装置の機能構成>
次に、画像診断装置100の機能構成について説明する。なお、上述したように、画像診断装置には、光干渉断層画像診断装置(OCT)及び波長掃引利用の光干渉断層画像診断装置(OFDI)が含まれるが、以下では、主として波長掃引利用の光干渉断層画像診断装置(OFDI)について説明する。
【0024】
図2は、画像診断装置100である、波長掃引利用の光干渉断層画像診断装置の機能構成を示す図である。
【0025】
208は波長掃引光源であり、Swept Laserが用いられる。Swept Laserを用いた波長掃引光源208は、カップラ214と、SOA215(semiconductor optical amplifier)と、リング状に結合された光ファイバ216と、ポリゴンスキャニングフィルタ208aとを含む、Extended−cavity Laserの一種である。
【0026】
SOA215から出力された光は、光ファイバ216を進み、ポリゴンスキャニングフィルタ208aに入り、ここで波長選択された光は、SOA215で増幅され、最終的にカップラ214から出力される。
【0027】
ポリゴンスキャニングフィルタ208aでは、光を分光する回折格子212とポリゴンミラー209との組み合わせで波長を選択する。具体的には、回折格子212により分光された光を2枚のレンズ(レンズ210、レンズ211)によりポリゴンミラー209の表面に集光させる。これにより、ポリゴンミラー209と直交する波長の光のみが同一の光路を戻り、ポリゴンスキャニングフィルタ208aから出力されることとなる。このため、ポリゴンミラー209を回転させることで、波長の時間掃引を行うことができる。
【0028】
ポリゴンミラー209は、例えば、72面体のミラーが使用され、回転数が50000rpm程度である。ポリゴンミラー209と回折格子212とを組み合わせた波長掃引方式により、高速かつ高出力の波長掃引が可能である。
【0029】
カップラ214から出力された波長掃引光源208の光は、第1のシングルモードファイバ230の一端に入射され、先端側に伝送される。第1のシングルモードファイバ230は、途中の光カップラ部234において第2のシングルモードファイバ237及び第3のシングルモードファイバ231と光学的に結合されている。従って、第1のシングルモードファイバ230に入射された光は、光カップラ部234により最大で3つの光路に分割されて伝送される。
【0030】
第1のシングルモードファイバ230の光カップラ部234より先端側には、非回転部と回転部との間を結合し、光を伝送する光ロータリジョイント203と、光ロータリジョイント203を駆動する回転駆動装置204とが設けられている。
【0031】
さらに、光ロータリジョイント203内の第4のシングルモードファイバ235の先端側には、光プローブ部101の第5のシングルモードファイバ236がアダプタ202を介して着脱自在に接続されている。これによりイメージングコア201内に挿通され回転駆動可能な第5のシングルモードファイバ236に、波長掃引光源208からの光が伝送される。
【0032】
伝送された光は、イメージングコア201の先端側から管状組織に対してラジアル動作しながら照射される。そして、管状組織(例えば血管)の表面あるいは内部で散乱した反射光の一部がイメージングコア201により取り込まれ、逆の光路を経て第1のシングルモードファイバ230側に戻る。さらに、光カップラ部234によりその一部が第2のシングルモードファイバ237側に移り、第2のシングルモードファイバ237の一端から出射されることで、光検出器(例えばフォトダイオード219)にて受光される。
【0033】
なお、光ロータリジョイント203の回転部側は回転駆動装置204のラジアル走査モータ205により回転駆動される。また、ラジアル走査モータ205の回転角度は、エンコーダ部206により検出される。さらに、スキャナ/プルバック部102は、直線駆動装置207を備え、信号処理部223からの指示に基づいて、イメージングコア201の軸方向の動作を規定する。
【0034】
一方、第3のシングルモードファイバ231の光カップラ部234と反対側の先端には、参照光の光路長を微調整する光路長の可変機構225が設けられている。当該光路長の可変機構225は、光プローブ部101を交換して使用した場合の個々の光プローブ部101の長さのばらつきを吸収できるよう、その長さのばらつきに相当する光路長を変化させる光路長変化部として機能する。
【0035】
具体的には、第3のシングルモードファイバ231およびコリメートレンズ226が、その光軸方向に矢印233で示すように移動自在な1軸ステージ232上に設けられている。そして、光プローブ部101を交換した場合に、当該1軸ステージ232が、光プローブ部101の光路長のばらつきを吸収できるだけの光路長の可変範囲を移動することで光路長変化部としての機能を実現する。なお、1軸ステージ232はオフセットを調整する調整部としても機能する。例えば、光プローブ部101の先端が生体組織の表面に密着していない場合に、1軸ステージにより光路長を微小変化させることで、生体組織の表面位置からの反射光と干渉させる状態に設定することが可能となる。
【0036】
光路長の可変機構225で光路長が微調整された光は、第3のシングルモードファイバ231の途中に設けられた光カップラ部234で第1のシングルモードファイバ230側から得られた光と合波されて、第2のシングルモードファイバ237を介してフォトダイオード219にて受光される。
【0037】
このようにしてフォトダイオード219にて受光された干渉光は光電変換され、アンプ220により増幅された後、復調器221に入力される。この復調器221では干渉した光の信号部分のみを抽出する復調処理を行い、その出力は干渉光信号としてA/D変換器222に入力される。
【0038】
A/D変換器222では、干渉光信号を例えば180MHzで2048ポイント分サンプリングして、1ラインのデジタルデータ(干渉光データ)を生成する。なお、サンプリング周波数を180MHzとしたのは、波長掃引の繰り返し周波数を40kHzにした場合に、波長掃引の周期(12.5μsec)の90%程度を2048点のデジタルデータとして抽出できることを前提としたものであり、特にこれに限定されるものではない。
【0039】
A/D変換器222にて生成されたライン単位の干渉光データは、信号処理部223に入力される。信号処理部223では、干渉光データをFFT(高速フーリエ変換)により周波数分解して深さ方向のデータ(ラインデータ)を生成し、これを座標変換することにより、管状組織(例えば血管)内の軸方向の各位置での断面画像を生成し、操作パネル112からの指示のもと、所定のフレームレートでLCDモニタ113に出力する。
【0040】
信号処理部223は、光路長調整部制御装置218とさらに接続されている。信号処理部223は、光路長調整部制御装置218を介して1軸ステージ232の位置の制御を行う。また、信号処理部223は、モータ制御回路224と接続されており、モータ制御回路224よりビデオ同期信号を受信する。信号処理部223では、受信したビデオ同期信号に同期して断面画像の生成を行う。
【0041】
また、モータ制御回路224のビデオ同期信号は、回転駆動装置204にも送られ、回転駆動装置204ではビデオ同期信号に同期した駆動信号を出力する。
【0042】
<3.信号処理部の機能構成>
次に、画像診断装置100の信号処理部223における各種処理を実現するための機能構成について説明する。なお、以下では、信号処理部223において実現される各種処理のうち、軸に直交する方向の横断面画像を生成する処理及び軸方向の縦断面画像を生成する処理(生成処理)、ならびにラインデータを信号処理部223内に格納する処理(格納処理)を中心に説明する。
【0043】
また、以下に説明する生成処理及び格納処理は、専用のハードウェアを用いて実現されてもよいし、各部の機能をソフトウェアにより(コンピュータがプログラムを実行することにより)実現されてもよい。
【0044】
図3Aは、画像診断装置100の信号処理部223における生成処理と格納処理とを実現するための機能ブロックならびに当該処理に関連する信号処理部223以外の機能ブロックを示した図である。
【0045】
図3Aに示すように、A/D変換器222で生成された干渉光データは、信号処理部223内のラインデータ生成部301において、モータ制御回路224から出力されるラジアル走査モータ205のエンコーダ部206の信号を用いて、ラジアル走査モータ1回転あたりのライン数が512本となるように処理される。なお、ここでは一例として、512ラインからなる横断面画像を生成することとしているが、ライン数はこれに限定されるものではない。
【0046】
光の送受信を連続的に行う送受信部を、管状組織において軸方向に移動させながら当該管状組織からの反射光を取得し、ラインデータ生成部301は、当該反射光に基づいて管状組織の断面画像の生成に用いられるラインデータ314を生成する。
【0047】
ラインデータ生成部301から出力されたラインデータ314は、制御部306からの指示に基づいて、ラジアル走査モータ1回転分ごとに、ラインデータメモリ302に格納される。このとき、制御部306では、直線駆動装置207の移動量検出器より出力されたパルス信号313をカウントしておき、ラインデータ314をラインデータメモリ302に格納する際、それぞれのラインデータ314が生成された際にカウントされたカウント値と対応付けて格納する。
【0048】
なお、ここでは、ラインデータメモリ302を配し、ラインデータ314と、直線駆動装置207の移動量検出器から出力されたパルス信号313のカウント値とを対応付けて格納する場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、横断面画像生成部303の後に断面画像データメモリを配し、横断面画像317と、直線駆動装置207の移動量検出器から出力されたパルス信号313のカウント値とを対応付けて格納するように構成してもよい。
【0049】
図3Aの説明に戻る。ラインデータメモリ302から出力されたラインデータ315は、分枝検出部3021および横断面画像生成部303へ入力される。
【0050】
分枝検出部3021は、ラインデータ315を用いて、各フレーム画像について管状組織の分枝の方向を角度情報として検出する。これは、断面画像においてどの方向に分枝が延びているかを角度情報として検出するものである。縦断面画像を生成する際には、当該角度情報の少なくともいずれか1つが縦断面画像の構築角度として用いられることになる。これにより、一連のフレーム画像のそれぞれについて分枝の有無、分枝がある場合にはその分枝が延びている方向がわかることになる。
【0051】
また、ラインデータ315は、制御部306からの指示に基づいて、分枝検出部3021から縦断面画像生成部304によって読み出される。縦断面画像生成部304は、分枝検出部3021による検出結果(分枝の角度情報)と、読み出されたラインデータ315とを用いて、管状組織の軸方向と略平行な方向の縦断面画像316を生成する。
【0052】
より具体的には、分枝位置設定部3022が、分枝検出部3021による検出結果に基づいて、管状組織の軸方向と略平行な方向の縦断面画像の構築角度を設定する。例えば、複数のフレームで分枝が検出された場合に、各フレームでの分枝の角度情報のうち所定の位置のフレームにおける角度情報を構築角度として自動的に設定してもよい。所定の位置とは、一般に管状組織の細い側から太い側へプルバック操作が行われることから、例えば、最も太い側に対応するフレームの分枝の角度情報を代表して設定する。これは、太い管状組織の側からの分枝は太い分枝となることが多く、医師の診断対象として重要視されることが多いためである。
【0053】
ただし、構築角度の設定は当該方法に限定されるものではない。各フレームの分枝の分岐部分の直径に基づいて構築角度を設定してもよい。例えば、当該直径が最も大きいフレームの角度情報を構築角度としてもよい。分枝の直径の算出方法については後述する。
【0054】
また、管状組織の主管と側管(分枝)とのなす角度を算出し、当該なす角度に基づいて構築角度を設定してもよい。例えば、管状組織の断面画像とともに撮影したX線透視画像から、対象としたい分枝部分における主管と側管とのなす角度の概略値を操作パネル112を介して予め入力しておき、当該概略値と近いなす角度を有するフレームの角度情報を構築角度としてもよい。また、状組織の主管と側管(分枝)とのなす角度が最大となるフレームの角度情報を構築角度としてもよい。
【0055】
ここで、
図3Bを参照して、管状組織の主管と側管(分枝)とのなす角度の算出方法の一例を説明する。
図3Bに示すように、点Aと点Bとを結ぶ直線と管状組織の主管とのなす角度をθ
ABとする。各フレームF
1、F
2のラインデータを用いて
図3Bにおけるm、nが求まる。また、フレームF
1、F
2の間隔よりpが求まる。これらの情報からtanθ
AB=(m−n)/pであり、したがってθ
AB=tan
−1{(m−n)/p}として算出することができる。
【0056】
縦断面画像を生成した場合に表示される分枝の数が最も多くなる角度情報を構築角度としてもよい。さらには、分枝にガイドワイヤが存在している場合には、分枝を通っているガイドワイヤを視認可能なフレームの角度情報を構築角度としてもよい。
【0057】
生成された縦断面画像316は、制御部306からの指示に基づいて、画像処理部305により読み出され、LCDモニタ113に表示するための画像処理が施された後、縦断面画像316'としてLCDモニタ113に出力される。
【0058】
また、横断面画像生成部303は、分枝検出部3021による検出結果に基づいて、管状組織の軸方向と交差する方向の横断面画像を生成するフレームを決定し、ラインデータ315に対して各種処理(ライン加算平均処理、フィルタ処理等)を施した後にRθ変換を行い、横断面画像317として出力する。生成された横断面画像317は、制御部306からの指示に基づいて、画像処理部305により読み出され、LCDモニタ113に表示するための画像処理が施された後、横断面画像317'としてLCDモニタ113に出力される。
【0059】
LCDモニタ113は、画像処理部305において画像処理された横断面画像317'と縦断面画像316'とを並列して表示する。
【0060】
<4.縦断面画像および横断面画像の生成処理>
続いて、本実施形態に係る画像診断装置100が実施する縦断面画像および横断面画像の生成処理の詳細について説明する。
【0061】
図3Cは、本実施形態に係る画像診断装置100が実施する処理の手順を示すフローチャートである。また、
図4A乃至
図4Cは、縦断面画像および横断面画像の生成処理の説明図である。画像診断装置100は、光の送受信を連続的に行う送受信部を管状組織において軸方向に移動させながら管状組織からの反射光を取得する。
【0062】
S3001において、ラインデータ生成部301は、当該管状組織からの反射光に基づいて管状組織の断面画像の生成に用いられるラインデータを生成する。
図4Aにおける401が、ラインデータ生成部301により生成されてラインデータメモリ302に格納されている各フレームにおけるラインデータである。
【0063】
S3002において、分枝検出部3021は、ラインデータ生成部301により生成されたラインデータに基づいて、各フレームから管状組織の分枝を検出する。
図4Aにおける402が、複数のラインデータ401のうちの1つのフレームのラインデータである。4021が分枝位置(角度θ)を示している。
【0064】
403は、各フレームにおけるラインデータ401のうち、分枝検出部3021により分枝が検出されたフレームと、各フレームについて算出された分枝位置(角度θ)とを示している。ラインデータ401のうち、一部のフレームで分枝が検出されており、分枝が検出されたフレームの分枝位置(角度θ)が、それぞれθ
1、θ
2、...、θ
nで表されている。なお、分枝位置(角度θ)の算出処理については
図5および
図6を参照して後述する。
【0065】
S3003において、分枝位置設定部3022は、分枝検出部3021による検出結果に基づいて、管状組織の軸方向と略平行な方向の縦断面画像の構築角度を設定する。例えば、
図3Aを参照して説明したように、複数のフレームで分枝が検出された場合に、各フレームでの分枝の角度情報のうち、管状組織の最も太い側(プルバック方向側)に対応するフレームにおける分枝の角度情報を構築角度として設定する。
【0066】
図4Bにおける404はラインデータであって、分枝位置設定部3022により縦断面画像の構築角度が設定される例を示す。ラインデータ404の例では、X番目のフレームの分枝の角度情報であるθ
xが縦断面画像の構築角度として設定されたものとする。
【0067】
S3004において、横断面画像生成部303は、ラインデータ生成部301により生成されたラインデータと分枝検出部3021による検出結果とに基づいて、管状組織の軸方向と交差する方向の横断面画像を生成する。
図4Bにおける406が、横断面画像生成部303がX番目のフレームについて生成した横断面画像である。406の白い線分が縦断面画像の切断面に相当しており、白い楕円部分がX番目のフレームの分枝部分である。
【0068】
S3005において、縦断面画像生成部304は、ラインデータ生成部301により生成されたラインデータと、分枝位置設定部3022により設定された構築角度とに基づいて、縦断面画像を生成する。
図4Bにおける405が、縦断面画像生成部304が構築角度θ
xで生成した縦断面画像の例である。405の白い線分がX番目のフレームに相当しており、白い楕円部分がX番目のフレームの分枝部分である。
【0069】
S3006において、画像処理部305は、縦断面画像405および横断面画像406に画像処理を施してLCDモニタ113に表示する。なお、
図4Cに示すように、M番目のフレームについて生成された横断面画像411と、M番目のフレームの分枝の角度情報(構築角度)で生成された縦断面画像412とを表示しておき、さらに、分枝を含むフレームの位置を示す強調表示マーク421〜426を併せて表示してもよい。そして、ユーザが強調表示マーク422〜426の何れかを選択したことに応じて、選択された位置のフレームの横断面画像を再生成し、および当該選択された位置のフレームに関する構築角度で縦断面画像を再生成して、LCDモニタ113に表示し直してもよい。
【0070】
さらには、複数のフレームで分枝が検出された場合、それぞれの分枝が観察できるように各フレームに関する構築角度の情報を用いて、複数の縦断面画像を生成してLCDモニタ113に表示する構成であってもよい。
【0071】
以上説明した一連の処理によれば、観察に適した縦断面画像の生成が容易になる。
【0072】
<5.分枝の検出方法>
続いて、
図5乃至
図7を参照して、分枝検出部3021が実施する分枝位置(角度θ)の算出処理について説明する。
図5に示すように、各フレームについて、各ラインを走査してピークの輝度値が閾値以下のラインを分枝と判定する。分枝と判定された複数のラインの中心に対応するラインの角度を分枝位置(角度θ)として検出する。図中θ
a〜θ
bのライン範囲がピークの輝度値が閾値以下であり分枝を示している。ここではθ
a〜θ
bの中心角度であるθ
cが分枝位置として検出される。
【0073】
あるいは、
図6に示すように、偏芯度=最短径/最大径(L
max/L
min)と定義し、複数フレームについて、着目フレームの偏芯度が前後の隣接するフレームの偏芯度と比較して大きく変化する(着目フレームの偏芯度が大きい)場合に、着目フレームに分枝ありと判定してもよい。そして、最大径の線分とルーメンとの交点と、画像中心とを結ぶ直線が、基準線60となす角度を分枝位置(角度θ)として検出する。横断面画像601〜605のうち、横断面画像602、604、605のフレームで分枝が検出されている。
【0074】
より具体的には、
図7に示すように、各フレームについて偏芯度を算出してプロットしていくと、分枝ありの着目フレームと、その前後のフレームとでは偏芯度が大きく変化している。例えば、着目フレームの偏芯度と、その前後のフレームの偏芯度との差分Dが閾値以上である場合に、着目フレームに分枝があると判定することができる。
【0075】
あるいは、前後それぞれ複数フレームの偏芯度も考慮して、着目フレームの偏芯度と、その前後複数のフレームの偏芯度すべてとの各差分Dが閾値以上である場合に、着目フレームに分枝があると判定してもよい。これにより、より高精度に分枝の検出が可能となる。
【0076】
[5−1.分枝の直径の相対的な大きさの算出方法]
次に、
図8Aを参照して、各フレームにおける分枝の直径の相対的な大小関係を求める例を説明する。
図8Aにおいて、801はラインデータの一例であり、802はx番目のフレームの横断面画像の一例である。ラインデータ801において、分枝の直径に相当する幅dθ
xを評価するために、幅dθ
xに含まれるライン数をカウントする。803は各フレームにおける縦断面画像の一例であり、x番目のフレームの幅dθ
x(ライン数)、x+1番目の幅dθ
x+1(ライン数)、...、n番目のフレームの幅dθ
n(ライン数)が各フレームから算出される。
【0077】
804は、フレーム番号と幅dθ
nとの関係をプロットした図であり、この例ではフレーム番号yにおける幅dθ
yが最も相対的に大きな値(ライン数)となる。すなわち、番号yに対応するフレームが最も直径が大きなフレームとなり、当該直径が最も大きいフレームの角度情報を構築角度として決定するように構成してもよい。当該手法は、直径を直接算出するものではなく、分枝に相当するライン数で相対的に比較を行うものである。
【0078】
[5−2.分枝の直径の算出方法]
次に、各フレームにおける分枝の直径の算出方法について説明する。
図8Bの811〜813は横断面画像の一例である。横断面画像811における分枝位置(角度θ)のラインと内腔との交点Pを求める。次に、交点Pから時計回り、反時計回りにそれぞれ90度分、所定間隔で点をプロットし、各点について内腔の曲率を求める。曲率の算出方法については後述する。そして、両回りで求められた各点の内腔の曲率のうち最も大きな曲率を判定し、当該最大の曲率と閾値とを比較する。当該曲率が閾値以上の場合、以下にいずれかの手順に従って分枝の直径を算出する。
【0079】
両回りとも閾値以上の曲率を有する点が検出された場合、横断面画像812に示すように、時計回りにおいて検出された点8121と、反時計回りにおいて検出された点8122とを結ぶ線分8123の長さを分枝の直径として算出する。
【0080】
片回りのみに閾値以上の曲率を有する点が検出された場合、横断面画像813に示すように、検出された点8131から、内腔の長軸8132に対して垂線を下ろし、当該垂線を延長させた直線8133と、反対側の内腔との交点8134を求め、検出点8131と交点8134との距離を分枝の直径として算出する。
【0081】
一方、両回りとも閾値以上の曲率を有する点が検出されなかった場合、当該フレームを分枝の検出対象から除外する。
【0082】
続いて
図8Cを参照して、各点について内腔の曲率を算出する方法を説明する。まず注目点831と、回転方向に対して前の点832、点833、点834との合計4つの内腔位置を用いて近似曲線Aを算出する。次に、同様にして、注目点831と、回転方向に対して後の点835、点836、点837との合計4つの内腔位置を用いて近似曲線Bを算出する。
【0083】
そして、直線Aの傾きを有し、注目点831を通る単位ベクトルaを求め、同様にして、直線Bの傾きを有し、注目点831を通る単位ベクトルbを求める。単位ベクトルa、単位ベクトルbがなす角θ
abを式(1)により求めて曲率とする。
【0085】
このように、「5−1.分枝の直径の相対的な大きさの算出方法」では分枝の直径と相関を有するライン数を分枝の直径の相対的な大きさとして求めているのに対し、「5−2.分枝の直径の算出方法」では分枝の直径そのものの値を求めている。そのため、各方法で求めた値を直接比較することはできない点に留意すべきである。
【0086】
一般的に、「5−1.分枝の直径の相対的な大きさの算出方法」により直径の相対的な大きさが求められる分枝は、主管(血管)に対して側管(ある血管から分岐して延びる別の血管)が垂直方向に存在するか、あるいは、分枝のサイズが大きく、近赤外光が分枝の血管壁まで到達しない場合の2通りが考えられる。なお、臨床上は、分枝のサイズが大きく近赤外光が分枝の血管壁まで到達しない場合に該当する可能性が高いので、一つのデータセットについて「5−1」、「5−2」のそれぞれの方法で直径が求められた場合、分枝の大きさは「5−1」の方法で求められたものを優先するものとする。
【0087】
ここで求められた分枝の直径(あるいはその相対的な大きさ)に基づいて、縦断面画像の構築角度を設定してもよい。例えば、当該直径(あるいは直径の相対的な大きさ)が最も大きいフレームの角度情報を構築角度としてもよい。
【0088】
<6.分枝と最小内腔径を有するフレームとの距離情報の表示>
LCDモニタ113は、表示対象である着目フレームの横断面画像および、着目フレームに関する構築角度で生成された縦断面画像を表示するとともに、さらに分枝と最小内腔径を有するフレームとの距離を算出して距離情報を表示してもよい。最小内腔径を有するフレームは診断対象としたい狭窄部を示しており、分枝位置からどの程度の距離に位置しているかの情報は重要である。
図9の管状組織の縦断面模式図に示すように、分枝と最小内腔径を有するフレームとの距離は、L
1、L
2、またはL
3の何れかの方法で算出することができる。
【0089】
ここでL
1は、分枝境界位置(Distal edge)と狭窄部位置(最小内腔径を有するフレーム)との距離である。L
2は、分枝中央位置と狭窄部位置(最小内腔径を有するフレーム)との距離である。L
3は、分枝境界位置(Proximal edge)と狭窄部位置(最小内腔径を有するフレーム)との距離である。
【0090】
なお、分枝検出部3021により検出されたすべてのフレームの分枝位置から狭窄部位置までの距離を算出して表示する構成であってもよい。なお、分枝が検出されたすべてのフレームについて縦断面画像を生成して表示する場合には、各縦断面画像の表示対象とされている分枝位置から狭窄部位置までの距離を算出して表示する構成であってもよい。
【0091】
<7.分枝とステントとの距離情報の表示>
LCDモニタ113は、表示対象である着目フレームの横断面画像および、着目フレームに関する構築角度で生成された縦断面画像を表示するとともに、さらに分枝とステントとの距離を算出して距離情報を表示してもよい。ステントとは、人体の管状組織(血管、気管、食道、十二指腸、大腸、胆道など)を管腔内部から広げる医療機器である。医師にとって、ステント位置の把握は非常に重要である。
【0092】
図10の管状組織の縦断面模式図に示すように、分枝とステント1001の端部との距離は、L
4として算出することができる。L
4は、分枝中央位置とステント端部との距離である。なお、
図9で説明したように、分枝境界位置(Distal edge)とステント端部との距離や、分枝境界位置(Proximal edge)とステント1001との距離を算出する構成であってもよい。
【0093】
なお、以上説明した各実施形態における処理は、マイクロプロセッサで構成される信号処理部223によるものである。マイクロプロセッサはプログラムを実行することで、その機能を実現するわけであるから、当然、そのプログラムも本願発明の範疇になる。また、通常、プログラムは、CD−ROMやDVD−ROM等のコンピュータ可読記憶媒体に格納されており、それのコンピュータが有する読み取り装置(CD−ROMドライブ等)にセットし、システムにコピーもしくはインストールすることで実行可能になるわけであるから、係るコンピュータ可読記憶媒体も本願発明の範疇に入ることも明らかである。
【0094】
本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために、以下の請求項を添付する。
【0095】
本願は、2014年12月26日提出の日本国特許出願特願2014−265204を基礎として優先権を主張するものであり、その記載内容の全てを、ここに援用する。