(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、印刷装置500の上面図である。
印刷装置500には、缶体10が投入される缶体投入部510、投入された缶体10への印刷を行う印刷部520、印刷済みの缶体10の乾燥を行う乾燥部530、乾燥が済んだ缶体10を排出する缶体排出部540が設けられている。
さらに、印刷装置500には、缶体10を支持しながら移動する複数の移動ユニット550、移動ユニット550を移動させる移動手段の一部として機能する移動機構560が設けられている。移動機構560は、環状に形成されている。
【0009】
印刷部520には、図中左右方向に並んで配置された複数のインクジェットヘッドが設けられている。インクジェットヘッドの各々は、缶体10への画像形成を行う画像形成部として捉えることができ、本実施形態では、印刷部520に、複数の画像形成部が設けられた構成となっている。
【0010】
具体的には、印刷部520には、白色のインクを吐出する第1インクジェットヘッド11W、シアンのインクを吐出する第2インクジェットヘッド11C、マゼンタのインクを吐出する第3インクジェットヘッド11M、イエローのインクを吐出する第4インクジェットヘッド11Y、黒のインクを吐出する第5インクジェットヘッド11Kが設けられている。
以下の説明において、第1インクジェットヘッド11W〜第5インクジェットヘッド11Kを特に区別しない場合には、単に、「インクジェットヘッド11」と称する。
【0011】
ここで、第1インクジェットヘッド11W〜第5インクジェットヘッド11Kの5つのインクジェットヘッド11は、紫外線硬化型のインクを用いて、缶体10への画像形成を行う。
さらに、本実施形態では、この5つのインクジェットヘッド11の下方を缶体10が通過していく過程で、缶体10に対して上方からインクが吐出され、缶体10に画像が形成される。言い換えると、本実施形態では、移動ユニット550が、複数設けられたインクジェットヘッド11の各々を経由していく。この移動の過程で、各インクジェットヘッド11から缶体10へのインクの吐出が行われ、缶体10に画像が形成される。
なお、本実施形態では、5つのインクジェットヘッド11が設けられている場合を例示するが、コーポ―レートカラーなどの特色のインクを吐出するインクジェットヘッド11をさらに設けてもよい。
【0012】
移動体の一例としての移動ユニット550は、予め定められた移動速度で移動を行い、また、移動ユニット550上の缶体10は、予め定められた回転速度で周方向への回転を行う。
なお、
図1では、5個の移動ユニット550を示しているが、印刷装置500には、5個を超える移動ユニット550が設置されており、これらの移動ユニット550は、移動機構560によって循環移動を行う。
【0013】
本実施形態では、各インクジェットヘッド11に缶体10が達するタイミングが予め定められており、各インクジェットヘッド11は、缶体10がインクジェットヘッド11に達するタイミングに合わせて、インクの吐出を開始する。
なお、1番目の第1インクジェットヘッド11Wを用いて、缶体10の表面に位置決め用マークを形成し、2番目以降のインクジェットヘッド11では、この位置決め用マークを読み取ることで、インクの吐出タイミングを決めてもよい。
また、位置決め用マークを用いた吐出タイミングの決定は、専用のマークを読み取って吐出タイミングを決定する他、バーコードやリサイクルマークを読み取って吐出タイミングを決定してもよい。
【0014】
乾燥部530は、印刷部520の下流側に配置され、缶体10に対して紫外線を照射する。これにより、缶体10の外周面に形成された画像が硬化する。本実施形態では、上記の通り、紫外線硬化型のインクを用いて缶体10への画像形成を行う。乾燥部530は、この缶体10に対して紫外線を照射し、缶体10上の画像を硬化させる。
なお、缶体10への画像形成にあたっては、熱硬化型のインクを用いてもよく、この場合、乾燥部530では、缶体10に対して熱が加えられて、缶体10上の画像が硬化する。
【0015】
図2は、
図1のII−II線における移動ユニット550、移動機構560等の断面図である。
移動機構560には、移動ユニット550の案内を行う案内部材561が設けられている。この案内部材561は、上面561A、外周面561B、下面561Cを有する。案内部材561の内部には、電磁石562が設けられている。
【0016】
本実施形態では、リニア機構を用いて、移動ユニット550を移動させる。
図1に示すように、本実施形態の印刷装置500には、電磁石562への通電を制御して移動ユニット550を移動させる移動手段の一部として機能する制御部600が設けられている。この制御部600は、プログラム制御されたCPU(Central Processing Unit)により構成されている。
リニア機構を用いた搬送では、移動ユニット550の移動速度を簡易に変更できる。また、リニア機構を用いた搬送では、移動ユニット550の後退も行える。
【0017】
本実施形態では、複数設けられたインクジェットヘッド11の各々の下方にて移動ユニット550を停止させて、缶体10への画像形成を行っていくが、各インクジェットヘッド11において、インクジェットヘッド11に対する移動ユニット550の位置決めの精度が悪いと(停止位置の精度が悪いと)、缶体10上に形成される各色の画像がずれ、形成される画像の質が低下する。本実施形態のようにリニア機構を用いる場合、例えば、停止位置の精度を100μm以内とすることができ、各色の画像のずれを低減できる。高精細の印刷が必要な場合には、移動ユニット550の移動速度を低下させる等の工夫を施すことにより、50μm〜100μm又は10μm〜30μm等の位置精度を得ることができる。
【0018】
図2に示すように、移動ユニット550には、案内部材561による案内が行われる被案内部材551が設けられている。
被案内部材551には、案内部材561の上面561Aに対向する上側対向部551A、案内部材561の外周面561Bに対向する側面対向部551B、案内部材561の下面561Cに対向する下側対向部551Cが設けられている。
さらに、案内部材561と、上側対向部551A、側面対向部551B、下側対向部551Cの各々との間には、回転可能なロール状部材80が設置されている。ロール状部材80は、被案内部材551に固定されている。ロール状部材80は、案内部材561と被案内部材551との間の摺動抵抗を低減する。
【0019】
さらに、被案内部材551の上側対向部551A、下側対向部551Cの各々には、永久磁石により構成されたユニット側磁石90が設けられている。
本実施形態では、案内部材561に設けられた電磁石562によって発生する磁界と、ユニット側磁石90とによって、移動ユニット550に推進力が生じ、移動ユニット550が、環状の案内部材561に沿って移動する。
【0020】
さらに、
図2に示すように、移動ユニット550は、缶体10を支持するマンドレル70と、このマンドレル70を支持する支持部75とを有する。支持部75は、被案内部材551により下方から支持されている。支持部75の内部には、マンドレル70を周方向に回転させるマンドレル用モータMが設けられている。
マンドレル70は、円筒状に形成されている。また、マンドレル70は、寝た状態(水平方向に沿った状態)で配置されている。これにより、本実施形態では、缶体10も寝た状態で配置される。
【0021】
さらに、本実施形態では、
図1に示すように、移動ユニット550は、複数設けられている。また、移動ユニット550は、複数設けられたインクジェットヘッド11の下方に位置する領域を通過する。
さらに、移動ユニット550は、各インクジェットヘッド11の下方に達する度に、停止する。さらに、本実施形態では、マンドレル用モータM(
図2参照)が駆動され、マンドレル70(
図2参照)が周方向に回転する。さらに、インクジェットヘッド11からのインクの吐出が行われる。
【0022】
そして、インクの吐出が開始されてからマンドレル70が360°回転すると、インクの吐出が停止する。これにより、缶体10の外周面に画像が形成される。
なお、マンドレル70の回転は、マンドレル70が各インクジェットヘッド11の下方に達する度に行ってもよいし、移動ユニット550が缶体投入部510を出発してから缶体排出部540へ達するまでの間、継続してマンドレル70を回転させてもよい。
【0023】
ここで、本実施形態では、
図1に示すように、マンドレル70は横向きで配置されている。具体的には、マンドレル70は、移動ユニット550の移動方向と直交(交差)する方向に沿うように配置されている。言い換えると、本実施形態では、缶体10の軸方向が、移動ユニット550の移動方向と直交(交差)した状態で、缶体10の搬送が行われる。
かかる場合、マンドレル70が、移動ユニット550の移動方向に沿って配置されている場合に比べ、印刷装置500の長さLを小さくできる。言い換えると、移動ユニット550が移動する移動経路の全長を小さくできる。
【0024】
そして、この場合、印刷装置500の製造コストを低減できる。缶体10を移動させる過程で印刷を行う印刷装置500の場合、この缶体10の移動経路の長さに応じて、印刷装置500の製造コストが増加しやすい。特に、リニア搬送の場合は、製造コストが大きくなる。
本実施形態のように、マンドレル70を横向きに配置した場合は、移動ユニット550の移動経路を短くでき、印刷装置500の製造コストを低減できる。
また、マンドレル70を横向きで配置すると、移動ユニット550の移動方向における、移動ユニット550の配置密度を高めることができ、設置可能な移動ユニット550の数を増やせる。
【0025】
さらに、本実施形態では、
図1に示すように、マンドレル70およびインクジェットヘッド11は、横向きで配置され、且つ、案内部材561の径方向おける外側方向に向かって突出するように設けられている。付言すると、マンドレル70およびインクジェットヘッド11は、案内部材561の径方向における内側よりも外側に寄せられた状態で配置されている。
【0026】
さらに説明すると、本実施形態では、移動ユニット550は、図中符号1Aで示す環状の移動経路に沿って移動を行うが、缶体10は、この環状の移動経路の径方向における内側よりも外側に寄せられた状態で配置されている。
マンドレル70やインクジェットヘッド11のメンテナンスを行う場合があり、かかる場合に、本実施形態のように、マンドレル70およびインクジェットヘッド11が外側に寄せられていると、内側に寄せられている場合に比べ、このメンテナンスを行いやすくなる。
【0027】
また、本実施形態では、上記のとおり、インクジェットヘッド11は、缶体10の上方に配置され、缶体10に対しては、上方からインクが吐出される。
この場合、インクジェットヘッド11が、缶体10の側方や缶体10の下方に配置されている場合に比べ、インクジェットヘッド11から吐出されたインクの液滴に作用する重力の影響を小さくでき、缶体10におけるインクの付着位置の精度を高められる。
【0028】
なお、
図2では、支持部75の図中右側に、マンドレル70およびインクジェットヘッド11が設けられている場合を示したが、
図2の符号2Aで示すように、支持部75の図中左側に、マンドレル70およびインクジェットヘッド11を設けてもよい。
また、支持部75の図中右側および左側の両側に、マンドレル70およびインクジェットヘッド11を設けてもよい。
【0029】
支持部75の右側および左側に(支持部75の両側に)、マンドレル70およびインクジェットヘッド11を設ける場合、支持部75の一方側にのみ、マンドレル70およびインクジェットヘッド11を設ける場合に比べ、単位時間当たりに印刷可能な缶体10の個数を増やせる。
また、支持部75の両側に、マンドレル70を設ける場合、移動ユニット550の左右(
図2における左右)のバランスが良くなり、マンドレル70の重量に起因して移動ユニット550が傾くことを抑制できる。
【0030】
なお、支持部75の両側にマンドレル70を設ける場合は、各マンドレル70に対応させてマンドレル用モータMを設けてもよいし(1つのマンドレル70毎にマンドレル用モータMを設けてもよいし)、1つのマンドレル用モータMで、両側に位置する2つのマンドレル70を回転させてもよい(複数のマンドレル70を回転させてもよい)。
ここで、1つのマンドレル用モータMで2つのマンドレル70を回転させる場合は、例えば、マンドレル用モータMと2つのマンドレル70との間に伝達ギアを設置し、マンドレル用モータMからの回転駆動力を各マンドレル70に伝達する。
【0031】
支持部75の両側にマンドレル70を設ける場合は、マンドレル70に装着される缶体10の向きが異なるようになる。支持部75の両側に位置する2つのマンドレル70は、マンドレル70の先端部が向く方向が互いに異なっており、かかる場合、装着される缶体10の向きも異なるようになる。
また、上記の伝達ギアの構成によっては、2つの缶体10が同方向に回転したり、逆方向に回転したりする。
【0032】
このような場合に、2つの缶体10に対応して設けられた2つのインクジェットヘッド11における吐出制御を同じ制御で行ってしまうと、一方の缶体10に対して形成される画像が、本来予定していた画像とは異なる画像となるおそれがある。
このため、支持部75の両側にマンドレル70を設ける場合は、印刷に用いる画像データの回転処理や反転処理などの画像処理を行うなどして、マンドレル70の向きや回転方向に合わせた画像データを生成し、この画像データを用いて缶体10への画像形成を行う。
【0033】
次に、移動機構560について説明する。
図1に示すように、移動機構560に設けられた案内部材561は、環状に形成されている。さらに、案内部材561は、曲率を有した第1曲線部571、直線状に形成された第1直線部572、曲率を有した第2曲線部573、直線状に形成された第2直線部574を備える。
【0034】
第1直線部572、第2直線部574は、互いに平行となるように配置されている。また、第1直線部572、第2直線部574は、対向するように配置されている。
また、第1曲線部571は、第1直線部572の一端部と第2直線部574の一端部とを接続する。また、第2曲線部573は、第1直線部572の他端部と第2直線部574の他端部とを接続する。
本実施形態では、第1曲線部571に、缶体投入部510が設けられている。また、第1直線部572に、印刷部520および乾燥部530が設けられている。さらに、第2曲線部573に、缶体排出部540が設けられている。
【0035】
図3は、印刷部520および移動ユニット550の他の構成例を示した図である。
この構成例では、1つの移動ユニット550に、3個(複数個)のマンドレル70が設けられ、各移動ユニット550は、3個の缶体10を保持しながら移動する。
さらに、印刷部520には、3個のマンドレル70に対応させて、同一色のインクジェットヘッド11が3個設けられている。具体的には、各色毎に、3個のインクジェットヘッド11が設けられている。
なお、
図3では、イエローの第4インクジェットヘッド11Y、黒の第5インクジェットヘッド11Kの図示を省略しているが、イエローの第4インクジェットヘッド11Y、黒の第5インクジェットヘッド11Kにおいても、3個のインクジェットヘッド11が設けられている。
【0036】
図3に示すこの構成例では、各色毎に設けられた3個のインクジェットヘッド11の下方にて、各移動ユニット550が停止する。
そして、各移動ユニット550では、3個のマンドレル70(缶体10)の回転が行われ、さらに、各缶体10に対して、同色のインクを吐出する3個のインクジェットヘッド11からインクの吐出が行われる。これにより、上記と同様、缶体10の外周面に画像が形成される。
【0037】
図3にて示した構成例では、1つ隣りのインクジェットヘッド11に移動ユニット550が達する度に印刷を行う
図1の構成に比べ、印刷効率を高められる。
さらに、この構成例では、同色のインクを吐出する3個のインクジェットヘッド11の各々にて、同じタイミングでインクの吐出を行う。これにより、インクジェットヘッド11の各々にてインクの吐出タイミングが異なる構成に比べ、処理の簡素化を図れる。
【0038】
なお、移動ユニット550に複数のマンドレル70を設置する場合、マンドレル70の設置数は、2〜8個とすることが好ましい。マンドレル70が9個以上となると、移動ユニット550の重量が大きくなり、移動ユニット550の位置の制御が難しくなるおそれがある。
具体的には、移動ユニット550の重量が大きくなると、移動ユニット550が停止する際の移動ユニット550の慣性力が大きくなり、移動ユニット550の停止位置が本来の位置からずれやすくなる。
なお、マンドレル70を移動ユニット550に複数設置する場合、マンドレル70の好ましい設置個数は、2〜4個である。
【0039】
図4(A)、(B)、(C)は、印刷部520の他の構成例を示した図である。
なお、
図4(A)は、上面図であり、
図4(B)は、
図4(A)の矢印IVB方向から印刷部520を眺めた場合の図であり、
図4(C)は、
図4(A)の矢印IVC方向から印刷部520を眺めた場合の図である。
【0040】
図4にて示す構成例では、移動ユニット550に、マンドレル用モータMが設けられていない。
この構成例では、
図4(B)に示すように、各移動ユニット550に設けられたマンドレル70は、移動ユニット550とは別の箇所に設けられたマンドレル駆動機構20により駆動される。
マンドレル駆動機構20は、無端状に形成され循環移動を行うベルト部材21と、このベルト部材21に接触配置されベルト部材21を回転させる駆動ロール22と、この駆動ロール22を回転させるベルト用モータ23とを備える。さらに、図示は省略するが、マンドレル駆動機構20は、ベルト部材21を内側から張架する張架ロールを備える。
ここで、駆動源の一例としてのベルト用モータ23は、移動ユニット550により支持されている缶体10を回転させるための駆動力を発生する。この駆動力は、ベルト部材21等を介して缶体10に伝達される。
【0041】
ベルト部材21は、
図4(C)に示すように、マンドレル70に接触配置されている。より具体的には、各移動ユニット550には、マンドレル70と同軸上に配置されたギア(以下、「マンドレル側ギア71」と称する)が設けられており、ベルト部材21は、このマンドレル側ギア71に噛み合っている。
ベルト部材21の外周面には、ギア(凹凸部)が形成され、本実施形態では、ベルト部材21のこのギアがマンドレル側ギア71に噛み合っており、循環を行うベルト部材21からマンドレル70に対して回転駆動力が伝達される。
【0042】
本実施形態では、印刷部520(
図4(B)参照)に移動ユニット550が達すると、移動ユニット550に設けられたマンドレル側ギア71がベルト部材21に接触し、マンドレル側ギア71とベルト部材21との噛み合いが生じる。これにより、マンドレル70の周方向への回転が可能になる。
【0043】
言い換えると、本実施形態では、マンドレル側ギア71およびマンドレル70が、缶体10を回転させる駆動機構として機能し、また、駆動ロール22およびベルト部材21が、ベルト用モータ23にて発生した駆動力をこの駆動機構に伝達する伝達機構として機能する。本実施形態では、駆動機構の一部として機能するマンドレル側ギア71が、伝達機構の一部として機能するベルト部材21に接触することで、マンドレル70の周方向への回転が行われる。
【0044】
なお、本実施形態では、
図4(C)に示すように、マンドレル側ギア71の上側の部分に、ベルト部材21が接触するが、マンドレル側ギア71の下側の部分にベルト部材21が接触する構成としてもよい。
また、本実施形態では、
図4(B)に示すように、ベルト部材21の外周面にマンドレル側ギア71が接触するが、ベルト部材21の内周面にマンドレル側ギア71が接触する構成としてもよい。この場合、ベルト部材21の外周面にマンドレル側ギア71が接触する場合に比べ、印刷装置500の小型化を図れる。
また、本実施形態では、印刷部520の構成を説明したが、マンドレル駆動機構20は、乾燥部530(
図1参照)等にも設けられており、乾燥部530等でも、缶体10は周方向に回転する。
【0045】
図4に示す構成例では、移動ユニット550の停止位置の精度を高めることができ、さらに、駆動源の削減を図れる。
移動ユニット550の各々にマンドレル用モータMを設置すると、移動ユニット550の重力が増し、移動ユニット550が停止する際の慣性力が増す。かかる場合、移動ユニット550の停止位置の精度が低下するおそれがある。
【0046】
これに対し、本実施形態では、移動ユニット550とは別に駆動源が設けられ、移動ユニット550の外部から、移動ユニット550に対して駆動力が供給される。
このような構成の場合、移動ユニット550の軽量化が可能となり、移動ユニット550が停止する際の慣性力が小さくなる。そして、この場合、移動ユニット550の停止位置の精度を向上させられる。
【0047】
さらに、移動ユニット550の各々にマンドレル用モータMを設ける構成では、移動ユニット550の数に応じた数だけマンドレル用モータMが設けられる形となり、駆動源の増加を招き、印刷装置500の製造コストが増加する。
これに対し、
図4にて示した構成例では、駆動源が共用され、駆動源の削減を図れる。そして、この場合、印刷装置500の製造コストの低減を図れる。
【0048】
なお、本実施形態では、移動ユニット550の移動方向に沿って延びるベルト部材21を設置して、各マンドレル70を回転させる場合を説明したが、各マンドレル70の回転は、ベルト部材21以外を用いて行ってもよい。
例えば、インクジェットヘッド11の各々に対応させて、回転するギア(不図示)(以下、「回転ギア」と称する)を設置し、この回転ギアに対して、マンドレル側ギア71を噛み合わせるようにして、各マンドレル70を回転させてもよい。
なお、この場合、各回転ギアは、共通の駆動源で回転させることもできるし、各回転ギア毎に用意した駆動源で回転させてもよい。
【0049】
ベルト部材21や各回転ギアは、移動ユニット550が移動している最中、回転させておいてもよいし、又は、停止させておき、移動ユニット550がインクジェットヘッド11の下方にて停止した後に、回転を開始してもよい。
なお、ベルト部材21を常時回転させる場合は、インクジェットヘッド11間を移動ユニット550が移動する際にも、ベルト部材21からマンドレル70に対して駆動力が供給される。この場合、移動ユニット550上のマンドレル70が回転を行いながら、移動ユニット550は移動する。
【0050】
なお、ベルト部材21で複数のマンドレル70を回転させた方が、各マンドレル70毎に個別に設けた回転ギアを用いてマンドレル70を回転させるよりも、缶体10に形成される画像の質を向上させやすい。
ベルト部材21で複数のマンドレル70を回転させる場合、各色の画像の位置のずれを減らすことができ、形成される画像の質を向上させることができる。
【0051】
各マンドレル70に対応させて回転ギアを設ける場合、部材の寸法公差等に起因して、各回転ギアの相互の位置がずれるおそれがある。かかる場合、回転ギアに対してマンドレル側ギア71が噛み合った際のマンドレル70の位置(インクジェットヘッド11に対するマンドレル70の位置)が、マンドレル側ギア71が噛み合う回転ギア毎に異なりやすい。かかる場合、缶体10上に形成される各色の画像間にずれが生じやすくなる。
これに対し、連続状のベルト部材21を用いると、マンドレル70が同期しているのでその位置の変動が生じにくくなり、缶体10上に形成される各色の画像のずれが生じにくくなる。
【0052】
他の構成例をさらに説明する。
図5(マンドレル駆動機構20の他の構成例を示した図)に示す構成例では、マンドレル側ギア71の図中上方および下方の両方に、マンドレル側ギア71に回転駆動力を与えるベルト部材21を設置している。
図4(C)にて示した構成例の場合、ベルト部材21によって上方からマンドレル側ギア71が押圧され、マンドレル70を傾斜させる荷重がマンドレル側ギア71に作用することになる。
【0053】
これに対し、
図5で示す構成例では、支持部材の一例としてのベルト部材21(図中、下側のベルト部材21)によって、マンドレル側ギア71が下方から支持され、
図4(C)に示した構成に比べ、マンドレル70の傾斜が起こりにくくなる。
言い換えると、
図5にて示すこの構成例では、図中上側のベルト部材21を、マンドレル側ギア71に対して回転駆動力を伝達する伝達機構として捉えることができる。そして、この構成例では、マンドレル側ギア71を挟み、この伝達機構の設置側とは反対側から、マンドレル側ギア71がベルト部材21(図中、下側のベルト部材21)によって支持されている。
【0054】
なお、
図5では、マンドレル側ギア71の図中上方および下方の両方に、ベルト部材21を設置した場合を説明したが、このベルト部材21に換えて、上記回転ギアを設置し(マンドレル側ギア71の上方および下方に回転ギアを設置し)、この回転ギアで、マンドレル側ギア71の回転、および、マンドレル側ギア71の支持を行ってもよい。
【0055】
また、マンドレル側ギア71の図中上方および下方の一方にベルト部材21を設置し、他方に回転ギアを設置してもよい。
また、マンドレル側ギア71の図中上方および下方の配置される2つの部材(ベルト部材21や回転ギア)のうちの一方の部材からは、マンドレル側ギア71に対して回転駆動力を与えない構成としてもよい。
この場合、この一方の部材は、マンドレル側ギア71の支持を主に行う。また、この場合、この一方の部材は、マンドレル側ギア71に従動して回転する。
【0056】
また、
図4(B)に示すように、マンドレル駆動機構20を移動ユニット550(のマンドレル側ギア71)に対して進退させる進退手段の一例としての進退機構89を設け、この進退機構89で、マンドレル駆動機構20を上下動させ、移動ユニット550に対するマンドレル駆動機構20の進退を行ってもよい。
具体的には、例えば、移動ユニット550が移動している最中には(移動ユニット550がインクジェットヘッド11間を移動している最中には)、マンドレル駆動機構20を上方に退避させておく。そして、移動ユニット550がインクジェットヘッド11の下方にて停止すると、マンドレル駆動機構20を下降させ、マンドレル駆動機構20のベルト部材21をマンドレル側ギア71に接触させる。
【0057】
なお、この場合、ベルト部材21は、ベルト部材21がマンドレル側ギア71に接触した後に回転させてもよいし、ベルト部材21は常時回転させておき、回転しているベルト部材21をマンドレル側ギア71に接触させてもよい。
また、
図4(B)に示す構成例では、マンドレル駆動機構20の全体が上下動する構成を説明したが、
図4(B)にて符号4Eで示す部分(ベルト部材21のうちの下側に位置する部分)のみを上下動させる構成としてもよい。
また、上記回転ギアも同様であり、回転ギアについても上下動させるようにし、マンドレル側ギア71への回転ギアの接触、マンドレル側ギア71からの回転ギアの退避を行ってもよい。
【0058】
循環移動しているベルト部材21や回転している回転ギアに対し、上流側から移動してきた移動ユニット550のマンドレル側ギア71が接触すると、移動ユニット550に作用する衝撃が大きくなったり、マンドレル側ギア71等の摩耗が促進されやすくなったりする。
本実施形態のように、停止している移動ユニット550に対してベルト部材21や回転ギアが接触する場合、移動ユニット550に作用する衝撃をより小さいものにでき、さらに、マンドレル側ギア71等の摩耗を抑制できる。
【0059】
なお、
図4(A)に示す構成例では、各色毎に設けられた3個のインクジェットヘッド11により1つのインクジェットヘッド群が構成され、さらに、各インクジェットヘッド11同士の間隔がいずれもヘッド間隔L1であり、互いに隣接するインクジェットヘッド群の離間距離がいずれも離間距離L2であり、各インクジェットヘッド11同士の間隔L1の全ておよび互いに隣接するインクジェットヘッド群の離間距離L2同士が等しくなっている。
この場合、各インクジェットヘッド11が等間隔で位置決めされ、さらに各移動ユニット550を隣に位置するインクジェットヘッド群に移動させる際の移動距離が、各移動ユニット550にて等しくなり、移動ユニット550を移動させる際の制御を簡素化できる。
ここで、ヘッド間隔L1および離間距離L2は、缶体10同士およびインクジェットヘッド11同士が干渉しない範囲で最短距離とした方が、上記の移動距離が最短となって好ましい。
さらにはこのとき、例えば缶体10がインクジェットヘッド11Wの位置からインクジェットヘッド11Cの位置に移動したときに、言い換えれば缶体10が(2×L1+L2)分の距離を移動したときに、インクジェットヘッド11Wでの缶体10の印刷開始点がインクジェットヘッド11Cに対向する位置となるように、缶体10の回転速度が設定されていると好ましい。そうすれば、インクジェットヘッド11Cの位置で、缶体10の上記印刷開始点が、自転によりインクジェットヘッド11Cに対向する位置に来るまでの待ち時間がなくなる。
【0060】
図6(A)、(B)は、缶体投入部510を説明する図である。
図7は、
図6(A)の符号6Aで示す部分の拡大図である。
図6(A)に示すように、本実施形態の缶体投入部510は、移動機構560の第1曲線部571に設けられている。
缶体投入部510には、搬送機構400によって、印刷が未だ行われていない缶体10が順次搬送されてくる。そして、
図6(A)の矢印6Bに示すように、この缶体10は、移動ユニット550に設けられたマンドレル70に向けて押し出され(不図示の押し出し機構によって押し出され)、缶体10の内部に、マンドレル70が挿入される。これにより、マンドレル70による缶体10の支持が開始される。
【0061】
なお、缶体投入部510では、マンドレル70の後端部側(缶体10への挿入が開始される先端部とは反対側の端部側)からマンドレル70内の空気の吸引が行われ、マンドレル70への缶体10の装着時、缶体10は、マンドレル70によって吸引される。
具体的には、
図7に示すように、缶体投入部510には、吸引装置410が設けられており、缶体投入部510では、移動ユニット550に対してこの吸引装置410が接続され、この吸引装置410によって、マンドレル70の内部の空気が吸引される。これにより、マンドレル70による缶体10の吸引が行われ、缶体10の内部にマンドレル70が入り込むようになる。
なお、
図6(B)に示すように、移動ユニット550に複数のマンドレル70が設けられている場合には、マンドレル70の設置数に対応した個数の缶体10を、マンドレル70に向けて進出させる。
【0062】
図8(A)、(B)は、缶体排出部540を説明する図である。
図8(A)に示すように、缶体排出部540は、移動機構560の第2曲線部573に設けられている。
缶体排出部540では、不図示の空気供給装置を用い、マンドレル70の後端部側から圧縮空気をマンドレル70内に供給する。これにより、缶体10がこの圧縮空気により押圧され、マンドレル70から缶体10が外れるようになる。なお、マンドレル70から外れた缶体10は、不図示の搬送機構によって、次の工程へ搬送される。
なお、
図8(B)に示すように、移動ユニット550に複数のマンドレル70が設けられている場合には、各マンドレル70内に圧縮空気を供給して、全てのマンドレル70から缶体10を取り外す。
【0063】
ここで、本実施形態では、
図1に示すように、印刷部520は、移動機構560の第1直線部572に設けられている。印刷部520が第1曲線部571や第2曲線部573に設けられていると、インクジェットヘッド11に対する缶体10の位置が変動しやすく、形成される画像の質が低下するおそれがある。
一方で、印刷部520を第1直線部572に設けると、移動ユニット550が直線状に移動していく過程で、缶体10への画像形成が行われる。この場合、インクジェットヘッド11に対する缶体10の位置の変動が生じにくくなり、缶体10に形成される画像の質の低下を抑えられる。
【0064】
図9は、印刷部520の他の構成例を示した図である。
この構成例では、1つのマンドレル70(缶体10)の上に、複数個のインクジェットヘッド11が配置されている。具体的には、図中最も上流側に位置する移動ユニット550には3つのマンドレル70が配置されている。
この3つのマンドレル70に含まれる各マンドレル70の上方には、白の第1インクジェットヘッド11W、シアンの第2インクジェットヘッド11Cの2つのインクジェットヘッド11が設置されている。
【0065】
また、図中、上流側から2番目に位置する移動ユニット550では、3つのマンドレル70の各々の上方に、マゼンタの第3インクジェットヘッド11M、イエローの第4インクジェットヘッド11Yの2つのインクジェットヘッド11が設置されている。
なお、最も下流側に位置する移動ユニット550では、3つのマンドレル70の各々の上方に、黒の第5インクジェットヘッド11Kが設置されている。このとき、コーポ―レートカラーなどの特色のインクを吐出するインクジェットヘッド11を設ける場合には、最も下流側に位置する移動ユニット550の位置に、黒の第5インクジェットヘッド11Kと共に設置すれば良い。
【0066】
この構成例では、このように、一つの缶体10に対して複数のインクジェットヘッド11を用いて画像形成を行う。さらに、この構成例では、一つの移動ユニット550に設けられた複数の缶体10の各々に対しては同色のインクを用いて画像形成を行う。
具体的には、例えば、図中最も上流側に位置する移動ユニット550では、3個の缶体10が設けられているが、この3個の缶体10においては、何れの缶体10であっても、白、シアンの2色インクを用いて画像形成を行う。
【0067】
図1に示した構成例では、1つの色についての画像を形成する度に、移動ユニット550の停止、移動の再開を行う必要が生じ、合計で5回の停止、移動の再開を行う必要がある。
図9にて示した構成例では、3回の停止、移動の再開で済み、印刷効率を高められる。
【0068】
なお、
図9では、1つのマンドレル70の上に2つのインクジェットヘッド11が設置された場合を一例に説明したが、
図10(インクジェットヘッド11の他の配置例を示した図)の(A)、(B)に示すように、1つのマンドレル70(缶体10)の上に、3つ以上のインクジェットヘッド11を設置してもよい。
また、このように1つのマンドレル70の上に複数個のインクジェットヘッド11を設置する場合は、
図10(A)、(B)に示すように、この複数個のインクジェットヘッド11を、マンドレル70(缶体10)に対して進退させる進退機構800を設けてもよい。
【0069】
具体的に説明すると、本実施形態では、
図10(A)の矢印10Aで示すように、缶体10(マンドレル70)が水平方向に沿って且つ直線状に移動してくるが、この場合、最も上流側のインクジェットヘッド11(符号10Bで示すインクジェットヘッド11)と缶体10とが干渉するおそれがある。
この干渉を避けるためには、矢印10Cに示すように、インクジェットヘッド11から離れた箇所を通るように缶体10を移動させればよいが、この場合は、インクジェットヘッド11から缶体10が離れ、画像の質が低下するおそれがある。
【0070】
これに対し、進退機構800を設ければ、インクジェットヘッド11と缶体10との干渉を避けられ、また、インクジェットヘッド11の近くに缶体10を配置できるようになる。
進退機構800による処理について詳細に説明すると、缶体10が搬送されてくる際には、
図10(A)、(B)の矢印10Xに示す方向へインクジェットヘッド11を移動させ、缶体10の移動経路から離れた側にインクジェットヘッド11を退避させておく。
【0071】
そして、缶体10がインクジェットヘッド11の下方にて停止すると、矢印10Yに示すように、インクジェットヘッド11を缶体10へ進出させる。その後、インクジェットヘッド11からのインクの吐出を開始し、缶体10への画像形成を行う。
画像形成が終了すると、矢印10Xに示す方向へインクジェットヘッド11を移動させ、インクジェットヘッド11を退避させる。そして、缶体10の搬送を再開する。
これにより、インクジェットヘッド11と缶体10との干渉を避けられるようになり、また、缶体10の近くにインクジェットヘッド11を配置できる。
なお、進退機構800は、公知の技術で構成でき、例えば、モータやソレノイドなどを用いて構成することができる。
【0072】
なお、
図10では、インクジェットヘッド11を移動(上下動)させる場合を説明したが、缶体10を上下動させてもよい。
また、
図10(B)に示すように、5個のインクジェットヘッド11を1つの缶体10の上方に設置する場合には、缶体10を1回転させるだけで缶体10への印刷を終えることができる。
【0073】
図11は、印刷装置500の他の構成例を示した図である。
この構成例では、移動機構560を略矩形状に形成している。
さらに、この構成例では、缶体投入部510と印刷部520との間に、異常検出部511および異常品排出部512が設けられている。さらに、乾燥部530と缶体排出部540との間には、外面塗装部535が設けられている。
【0074】
異常検出部511は、缶体10の異常を検出する。より具体的には、缶体10の形状、傷又は凹み等の異常或いは缶体10の装着の異常を検出する。例えば、缶体10の一部が缶体10の外周面よりも外側に突出している場合に、この突出を検出し、缶体10に異常があることを検出する。
異常検出部511には、例えばいわゆる透過型のセンサが設置され、発光部および受光部が設けられている。上記のように缶体10に突出部が生じた場合、この突出部によって、発光部から受光部に向かう光が遮られる。これにより、缶体10の異常が検出される。同様に、缶体10の傷や凹み又は缶体10の装着の異常についても、種々のセンサを用いて検出させれば良い。
【0075】
異常品排出部512は、缶体排出部540と同様に構成され、異常がある缶体10が搬送されてきた場合に、この缶体10を保持しているマンドレル70の内部に圧縮空気を供給する。これにより、マンドレル70から缶体10が外れる。なお、マンドレル70から外れた缶体10(異常がある缶体10)は、不図示の搬送機構によって、予め定められた箇所へ搬送される。
外面塗装部535は、缶体10の外周面に塗料を塗布して、缶体10の外周面に保護層を形成する。外面塗装部535には、缶体10の外周面に接触するローラ(不図示)が設けられており、このローラを用いて、缶体10の外周面に塗料を塗布して保護層を形成する。
【0076】
図12は、印刷装置500の他の構成例を示した図である。
この構成例では、缶体投入部510、印刷部520、乾燥部530、缶体排出部540により構成された基本構成が2組設けられている。これにより、この構成例では、単位時間当たりに印刷可能な缶体10の数を増やせる。
具体的には、1組目の基本構成(缶体投入部510、印刷部520、乾燥部530、缶体排出部540)は、図中左右方向に延びる直線12Aよりも図中上方に位置している。
ここで、上記と同様、この1組目の基本構成では、缶体投入部510は、第1曲線部571に位置し、印刷部520、乾燥部530は、第1直線部572に位置し、缶体排出部540は、第2曲線部573に位置する。
【0077】
また、2組目の基本構成(缶体投入部510、印刷部520、乾燥部530、缶体排出部540)は、直線12Aよりも図中下方に位置している。
ここで、この2組目の基本構成では、缶体投入部510は、第2曲線部573に位置し、印刷部520、乾燥部530は、第2直線部574に位置し、缶体排出部540は、第1曲線部571に位置する。
【0078】
図12に示すこの構成例では、基本構成が2組設けられる結果、単位時間当たりに印刷可能な缶体10の数も2倍になる。
なお、この構成例では、基本構成が2組設けられた場合を説明したが、これは一例であり、基本構成は、3組以上設けてもよい。また、
図11にて示した異常検出部511、異常品排出部512、外面塗装部535を、基本構成の各々に設置してもよい。
【0079】
図13は、印刷装置500の他の構成例を示した図である。
上記にて説明した構成例では、移動ユニット550が移動する周回経路の全周に亘って案内部材561を設置し、この全周に亘って、リニア機構を用い、移動ユニット550を移動させた。
ところで、移動機構560(の案内部材561)の設置範囲は、全周に限らず、
図13に示すように、周回経路の一部としてもよい。
図13に示すこの構成例では、移動機構560の一部を、ベルト搬送装置750に換えている。言い換えると、この構成例では、印刷部520等ではリニア機構を用いて移動ユニット550を移動させるが、第2直線部574では、リニア機構を用いずに移動ユニット550を移動させる。
【0080】
ベルト搬送装置750には、循環移動する循環ベルト751、この循環ベルト751を張架する張架ロール(不図示)、この張架ロールを回転させる駆動モータ(不図示)が設けられている。
また、ベルト搬送装置750の上流側部分750Aと移動機構560との間、および、ベルト搬送装置750の下流側部分750Bと移動機構560との間には、移動レール750Cが設けられている。
【0081】
この構成例では、ベルト搬送装置750の上流側まで移動ユニット550が移動してくると、移動ユニット550に設けられたコの字状の被案内部材551(
図2参照)の内部に、移動レール750Cが入る。そして、この移動レール750Cによって移動ユニット550は案内され、ベルト搬送装置750まで移動ユニット550は移動する。そして、移動ユニット550は、循環ベルト751の上に載る。
【0082】
その後、この循環ベルト751によって、移動ユニット550は、図中右方向に移動した後、移動機構560の案内部材561により再び支持される。
具体的には、移動ユニット550は、循環ベルト751に載った状態で、図中右方向に移動した後、まず、移動レール750Cによって支持される。次いで、移動レール750Cによる移動ユニット550の案内が行われ、移動ユニット550は移動機構560に達する。そして、移動機構560に設けられた案内部材561によって移動ユニット550は再び支持される。
【0083】
印刷部520などでは、移動ユニット550の位置の制御が必要となってくるが、第2直線部574など、特に機能部が設置されていない箇所では、移動ユニット550の位置の制御は不要となる。さらに、移動機構560は、リニア機構を用いて移動ユニット550を移動させるため、移動機構560を全周に設けると、印刷装置500の製造コストが増す。
このため、この構成例では、印刷部520が設けられている箇所とは反対側に位置する箇所にて(缶体10への処理を行う機能部が設けられていない箇所にて)、移動機構560一部を、より安価なベルト搬送装置750に置き換えている。
【0084】
なお、
図13では、第2直線部574にのみ、ベルト搬送装置750を設置した場合を説明したが、第1曲線部571や第2曲線部573に、ベルト搬送装置750を設けてもよい。さらに、例えば、第1直線部572、第2直線部574では、リニア機構を用いて移動ユニット550の移動を行い、第1曲線部571および第2曲線部573では、ベルト搬送装置750を用いて移動ユニット550の移動を行ってもよい。
【0085】
図14は、印刷装置500の他の構成例を示した図である。
図15は、
図14のXV−XV線の断面図である。なお、
図14では、印刷装置500の側方から印刷装置500を眺めた場合の状態を示している。また、
図14では、
図4にて示したマンドレル駆動機構20の図示を省略している。
【0086】
図14に示すように、この構成例では、印刷装置500が縦置きで配置されている。具体的には、この印刷装置500では、第1直線部572が上方に位置し、第2直線部574が第1直線部572の下方に位置する。
図1等では横置きの印刷装置500を示したが、印刷装置500は、横置きに限らず、
図14に示すように縦置きで設置してもよい。
【0087】
印刷装置500が縦置きの場合、
図15に示すように、移動ユニット550は、第1直線部572に位置する際、移動機構560に設けられた案内部材561の外周面561B上に載るようになる。
また、移動ユニット550上のマンドレル70は、
図1と同様に、また、
図14に示すように横向きで配置される。具体的には、マンドレル70は、移動ユニット550の移動方向と直交(交差)する方向に沿うように配置される。
【0088】
本構成例のように、印刷装置500を縦置きに配置した場合、横置きに配置する場合に比べ、印刷装置500の占有面積が小さくなる。
一方で、縦置きの場合は、第2直線部574(
図14参照)を活用しにくくなる。横置きの場合は、
図12にて示したように、第2直線部574にも印刷部520等を設置できるが、縦置きの場合は、第2直線部574に印刷部520等を設置しにくくなる。
【0089】
なお、縦置きの印刷装置500でも、上記にて説明した各種構成を、この縦置きの印刷装置500に適用できる。
例えば、移動ユニット550に複数のマンドレル70を設置する構成(
図3(A)参照)や、マンドレル70を外部の駆動源で駆動する構成(
図4(B)参照)や、異常検出部511、異常品排出部512、外面塗装部535を設ける構成(
図11参照)は、縦置きの印刷装置500に対しても適用できる。
また、印刷部520等を複数組設ける構成(
図12参照)や、1つのマンドレル70の上方に複数のインクジェットヘッド11を設置する構成(
図9参照)や、インクジェットヘッド11が進退する構成(
図10参照)なども、縦置きの印刷装置500に対して適用できる。
【0090】
図16は、印刷装置500の他の構成例を示した図である。
図16にて示す構成例では、画像形成用停止箇所と、光照射用停止箇所との間に、1つ以上の他の缶体停止箇所が設けられた構成となっている。また、上記にて説明した構成例では、5個の移動ユニット550を主に表示したが、
図16では、5個を超える移動ユニット550を表示している。
【0091】
図16にて示すこの構成例でも、缶体10を順次搬送するとともに、予め定められた複数の缶体停止箇所の各々に缶体10が達する度に缶体10を一旦停止させる。
具体的には、缶体10が、インクジェットヘッド11の各々に達する度に、また、缶体10が、インクジェットヘッド11以外の他の停止箇所に達する度に、缶体10の移動を停止させる。
より具体的には、符号16Aで示す画像形成用停止箇所(以下、「画像形成用停止箇所16A」と称する)の各々に缶体10が達する度に、缶体10を停止させ、また、第1曲線部571、第2曲線部573、第2直線部574の各々でも、予め定められた停止箇所にて、缶体10を停止させる。
【0092】
さらに、本実施形態では、缶体10の搬送方向において、画像形成用停止箇所16Aよりも下流側の光照射用停止箇所16Bにて缶体10を停止させる。言い換えると、紫外線の照射を行う乾燥部530にて、缶体10を停止させる。
ここで、上記では説明を省略したが、乾燥部530には、紫外線を出射する光源(不図示)と、この光源を収容する光源収容箱531が設けられている。光源収容箱531には、入口部531A、出口部531Bが設けられており、缶体10(移動ユニット550)は、入口部531Aを通って光源収容箱531の内部に入る。また、缶体10は、出口部531Bを通って、光源収容箱531の外に出る。
【0093】
ここで、この構成例では、画像形成用停止箇所16A(最も下流側に位置する画像形成用停止箇所16A)と、光照射用停止箇所16Bとの間に、画像形成および光照射が行われない缶体停止箇所16Cが設けられており、これにより、紫外線がインクジェットヘッド11に達しにくくなっている。
【0094】
本実施形態では、乾燥部530にて紫外線が照射されるが、この紫外線が、例えば、上流側に位置するインクジェットヘッド11に達すると、インクジェットヘッド11にてインクが硬化し、インク詰まりが生じたり、形成される画像の質が低下したりするおそれがある。
【0095】
そこで、本実施形態では、画像形成用停止箇所16Aと、光照射用停止箇所16Bとの間に、缶体停止箇所16Cを1つ設けて、乾燥部530とインクジェットヘッド11との離間距離を大きくし、インクジェットヘッド11へ達する紫外線を低減している。
なお、本実施形態では、画像形成用停止箇所16Aと、光照射用停止箇所16Bとの間に、1つの缶体停止箇所16Cを設けたが、缶体停止箇所16Cは2つ以上設けてもよい。
【0096】
また、
図16に示す構成例では、符号16Xに示すように、各缶体10(各マンドレル70)の脇に、上流側規制壁31、下流側規制壁32が設けられている。
上流側規制壁31は、移動ユニット550の移動方向において、缶体10よりも上流側に位置し、下流側規制壁32は、移動ユニット550の移動方向において、缶体10よりも下流側に位置する。
【0097】
また、上流側規制壁31、下流側規制壁32は、缶体10の軸方向に沿うように配置されるとともに、鉛直方向に沿うように配置されている。
さらに、上流側規制壁31、下流側規制壁32は、複数設けられた移動ユニット550(缶体10)の各々に対応するように複数(複数組)設けられ、さらに、移動ユニット550の各々に付随して移動する。
【0098】
上流側規制壁31は、光照射用停止箇所16B(乾燥部530)に缶体10が停止している際、この缶体10よりも上流側(インクジェットヘッド11が設けられている側)に位置する。これにより、缶体10と、インクジェットヘッド11との間に、上流側規制壁31が位置し、紫外線が、インクジェットヘッド11へ向かうことが抑制される。
また、下流側規制壁32は、光照射用停止箇所16B(乾燥部530)に缶体10が停止している際、この缶体10よりも下流側に位置する。これにより、紫外線が、缶体10よりも下流側方向へ向かうことが抑制される。
【0099】
図17は、
図16の矢印XVII方向から乾燥部530を眺めた場合の図である。
図17に示すように、乾燥部530には、光源収容箱531が設けられている。そして、この光源収容箱531には、上記のとおり、入口部531Aが設けられている。
ここで、この構成例では、光源収容箱531の内部にて缶体10が停止すると、この缶体10に対応して設けられた上流側規制壁31が、光源収容箱531の入口部531Aを塞ぐ。これにより、入口部531Aを通じて、紫外線がインクジェットヘッド11に向かうことが抑制される。
また、
図16に示すように、下流側規制壁32も、光源収容箱531の内部にて缶体10が停止している際、光源収容箱531の出口部531Bを塞ぐ。これにより、光源収容箱531の出口部531Bから紫外線が漏れ出ることが抑制される。
【0100】
また、
図16にて示した構成例では、缶体投入部510(
図16参照)と印刷部520との間に、缶体検査部591および缶体排出部592が設けられている。
缶体検査部591は、印刷部520による缶体10への画像形成が行われる前に缶体10の検査を行う。
缶体排出部592では、予め定められた条件を満たしていないと缶体検査部591により判断された缶体10の排出が行われる。具体的には、缶体排出部540における処理と同様に、マンドレル70内に圧縮空気が供給されて、缶体10の排出が行われる。
【0101】
図18は、缶体検査部591の構成を示した図である。
図18にて示す缶体検査部591は、缶体10が変形していないか否かの検査を行う。
具体的には、缶体検査部591には、缶体10の一方の端部側に、缶体10の外周面に沿って且つ缶体10の軸方向に沿って進行するレーザ光を出射する光源92Aが設けられている。さらに、缶体10の他方の端部側には、光源92Aからのレーザ光を受光する受光部92Bが設けられている。
【0102】
缶体10の一部が、符号3Aに示すように変形していると、レーザ光が遮られるようになり、受光部92Bでは、レーザ光が受光されないようになる。これにより、缶体10の変形が検知される。
また、缶体検査部591には、レーザ光を出射する光源およびレーザ光を受光する受光部の双方を備える反射式レーザ検出装置92Cが設けられている。反射式レーザ検出装置92Cは、光源から、缶底に向かってレーザ光を出射する。出射されたレーザ光は缶底で反射し、反射したレーザ光は受光部で受光される。
【0103】
反射式レーザ検出装置92Cでは、出射から受光までの時間から缶底までの距離を検出し、これにより、缶体10がマンドレル70に完全に装着されているか検知する。なお、マンドレル70に溝を設けることにより、缶体10の有無を検知することもできる。
そして、この構成例では、缶体検査部591にて、缶体10が予め定められた条件を満たしていないと判断された場合(缶体10が変形していると判断された場合)や、缶体10のマンドレル70への装着状態が不完全であると判断された場合、缶体排出部592にて、缶体10の排出が行われる。
【0104】
図19は、マンドレル70の他の構成例を示した図である。
図19にて示すマンドレル70では、一端部237の径の方が、他端部238の径よりも小さくなっている。
より具体的には、この構成例では、缶体10にマンドレル70が挿入される際、一端部237が先頭となるが、この一端部237側の径の方が、他端部238側の径よりも小さくなっている。さらに説明すると、本実施形態では、他端部238側から一端部237側に向かうに従い、マンドレル70の外径が小さくなるように、マンドレル70の外周面且つ一端部237に、テーパが付されている。
【0105】
ここで、本実施形態のように、一端部237側の径の方を他端部238側の径よりも小さくすると、マンドレル70の摩耗が抑制される。
より具体的には、缶体10へマンドレル70が挿入される際に、マンドレル70の先端が缶体10に接触しにくくなり、マンドレル70の摩耗が抑制される。
【0106】
なお、この構成例では、一端部237側の径が小さくなっている結果、この一端部237の外周面と、缶体10の内周面との間に隙間が形成される。本実施形態では、このような隙間があっても、インクジェット方式で印刷を行うため(インクを微細なインク液滴にして缶体10に付着させることにより印刷は実行され、印刷中、缶体10に外力は発生しないため)、印刷によって缶体10が変形せず、缶体10への画像形成を行える。
ここで、インクジェット方式ではなく、版を缶体10の外周面に押し当てて画像を転写する刷版方式では、隙間が形成されている部分にて、缶体10が内側へ凹み、缶体10が変形してしまう。