特許第6809931号(P6809931)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6809931
(24)【登録日】2020年12月14日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 7/44 20060101AFI20201221BHJP
   C11D 7/42 20060101ALI20201221BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20201221BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20201221BHJP
   A61K 8/66 20060101ALI20201221BHJP
   C11D 3/382 20060101ALN20201221BHJP
   C11D 3/386 20060101ALN20201221BHJP
【FI】
   C11D7/44
   C11D7/42
   A61Q19/10
   A61K8/73
   A61K8/66
   !C11D3/382
   !C11D3/386
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-29716(P2017-29716)
(22)【出願日】2017年2月21日
(65)【公開番号】特開2018-135425(P2018-135425A)
(43)【公開日】2018年8月30日
【審査請求日】2019年11月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003506
【氏名又は名称】第一工業製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】繁中 禎宜
(72)【発明者】
【氏名】春名 隆史
【審査官】 青鹿 喜芳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−068766(JP,A)
【文献】 特開2011−057747(JP,A)
【文献】 特表2012−533640(JP,A)
【文献】 特開昭60−226600(JP,A)
【文献】 特開2001−064677(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00−19/00
A61Q 19/00
A61K 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも下記(A−1)、(A−2)、(A−3)および(A−4)の条件を満たすことを特徴とするセルロースナノファイバー(A)と、
酵素(B)を含有し、
前記(A)および(B)の含有量の割合が、(A)/(B)(質量比)=0.2〜1.3である、
布類への塗布用洗浄剤組成物。
(A−1)数平均繊維径が2nm以上500nm以下
(A−2)平均アスペクト比が50以上1000以下
(A−3)セルロースI型結晶構造を有する
(A−4)アニオン性官能基を有する
【請求項2】
少なくとも下記条件を満たすことを特徴とするセルロースナノファイバー(A)および酵素(B)を含有する洗浄剤組成物を、布類に塗布する工程を含む、布類の洗浄方法。
(A−1)数平均繊維径が2nm以上500nm以下
(A−2)平均アスペクト比が50以上1000以下
(A−3)セルロースI型結晶構造を有する
(A−4)アニオン性官能基を有する
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄剤組成物、特に液体の洗浄剤組成物は、衣類等に付着した汚れに直接塗布することができるため、落ちにくい部分的な皮脂汚れや油汚れを効果的に除去できることから幅広く用いられている。その特性を活かし、繊維製品等に付着した皮脂汚れおよび油汚れに対して洗浄性能を一段と高め、繰り返し使用することで効率的に汚れを除去することが可能であり、かつ、塗布しやすい塗布容器入りの液体洗浄剤組成物が開示されている。(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−181692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の方法では液体洗浄剤組成物の粘度が低く、汚れに直接塗布したとしても、洗浄の前後に液ダレが生じ、結果として洗浄性が十分ではなかった。また、繊維の奥の洗浄性についても十分ではなかった。本発明ではこれらの課題を解決すること、すなわち、液体洗浄剤組成物の粘度が好適であり、汚れに直接塗布した場合にも少量で十分な洗浄性を有する、奥に浸透した汚れに対する洗浄性も良好な洗浄剤組成物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の発明者らは、上記課題を解決すべく検討を行った。特定構造のセルロースナノファイバー(A)および酵素(B)を含有する洗浄剤組成物により、上記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
【0006】
すなわち、本発明は下記に掲げるに発明に関する。
(1) 少なくとも下記条件を満たすことを特徴とするセルロースナノファイバー(A)および酵素(B)を含有する洗浄剤組成物。
(A−1)数平均繊維径が2nm以上500nm以下
(A−2)平均アスペクト比が50以上1000以下
(A−3)セルロースI型結晶構造を有する
(A−4)アニオン性官能基
(2) 前記(A)および(B)の含有量が、(A)/(B)(質量比)=0.2〜1.3:1である(1)記載の洗浄剤組成物。
(3)少なくとも下記条件を満たすことを特徴とするセルロースナノファイバー(A)および酵素(B)を含有する洗浄剤組成物を、布類に塗布する工程を含む、布類の洗浄方法。
(A−1)数平均繊維径が2nm以上500nm以下
(A−2)平均アスペクト比が50以上1000以下
(A−3)セルロースI型結晶構造を有する
(A−4)アニオン性官能基
【発明の効果】
【0007】
本発明の洗浄剤組成物は、液体洗浄剤組成物の粘度が好適であり、汚れに直接塗布した場合にも少量で十分な洗浄性を有する、また奥に浸透した汚れに対する洗浄性も良好である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の洗浄剤組成物は、少なくとも下記条件を満たすことを特徴とするセルロースナノファイバー(A)および酵素(B)を含有する。
(A−1)数平均繊維径が2nm以上500nm以下
(A−2)平均アスペクト比が50以上1000以下
(A−3)セルロースI型結晶構造を有する
(A−4)アニオン性官能基
【0009】
<セルロースナノファイバー(A)>
(A−1)数平均繊維径
上記セルロースナノファイバーの数平均繊維径は2nm以上500nm以下であるが、好ましくは2nm以上150nm以下であり、より好ましくは2nm以上100nm以下であり、特に好ましくは2nm以上80nm以下である。これらの範囲であれば、液体洗浄剤組成物の粘度が好適であり、汚れに直接塗布した場合にも少量で十分な洗浄性を有する、また奥に浸透した汚れに対する洗浄性も良好である。
【0010】
上記セルロースナノファイバーの最大繊維径は、セルロースナノファイバーの分散性の点で、1000nm以下であることが好ましく、特に好ましくは500nm以下である。上記セルロースナノファイバーの数平均繊維径および最大繊維径は、例えば、つぎのようにして測定することができる。すなわち、固形分率で0.05〜0.1重量%の微細セルロースの水分散体を調製し、その分散体を、親水化処理済みのカーボン膜被覆グリッド上にキャストして、透過型電子顕微鏡(TEM)の観察用試料とする。なお、大きな繊維径の繊維を含む場合には、ガラス上へキャストした表面の走査型電子顕微鏡(SEM)像を観察してもよい。そして、構成する繊維の大きさに応じて5000倍、10000倍あるいは50000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡画像による観察を行う。その際に、得られた画像内に縦横任意の画像幅の軸を想定し、その軸に対し、20本以上の繊維が交差するよう、試料および観察条件(倍率等)を調節する。そして、この条件を満たす観察画像を得た後、この画像に対し、1枚の画像当たり縦横2本ずつの無作為な軸を引き、軸に交錯する繊維の繊維径を目視で読み取っていく。このようにして、最低3枚の重複しない表面部分の画像を、電子顕微鏡で撮影し、各々2つの軸に交錯する繊維の繊維径の値を読み取る(したがって、最低20本×2×3=120本の繊維径の情報が得られる)。このようにして得られた繊維径のデータにより、最大繊維径および数平均繊維径を算出する。
【0011】
(A−2)平均アスペクト比
上記セルロースナノファイバーの平均アスペクト比は50以上1000以下であるが、好ましくは100以上1000以下より好ましくは200以上1000以下である。これらの範囲であれば、液体洗浄剤組成物の粘度が好適であり、汚れに直接塗布した場合にも少量で十分な洗浄性を有する、また奥に浸透した汚れに対する洗浄性も良好である。
【0012】
上記セルロースナノファイバーの平均アスペクト比は、例えば以下の方法で測定することが出来る、すなわち、セルロースナノファイバーを親水化処理済みのカーボン膜被覆グリッド上にキャストした後、2%ウラニルアセテートでネガティブ染色したTEM像(倍率:10000倍)から、セルロースナノファイバーの数平均繊維径、および繊維長を観察した。すなわち、各先に述べた方法に従い、数平均繊維径、および繊維長を算出し、これらの値を用いて平均アスペクト比を下記の式に従い算出した。
平均アスペクト比=数平均繊維長(nm)/数平均繊維径(nm)
【0013】
(A−3)セルロースI型結晶構造
上記セルロースナノファイバーは、I型結晶構造を有する天然由来のセルロース原料を微細化した繊維である。すなわち、天然セルロースの生合成の過程においては、ほぼ例外なくミクロフィブリルと呼ばれるナノファイバーがまず形成され、これらが多束化して高次な固体構造を構成する。上記セルロースナノファイバーを構成するセルロースがI型結晶構造を有することは、例えば、広角X線回折像測定により得られる回折プロファイルにおいて、2シータ=14〜17°付近と、2シータ=22〜23°付近の2つの位置に典型的なピークをもつことから同定することができる。
【0014】
(A−4)アニオン性官能基
上記セルロースナノファイバーはアニオン性官能基を有する。
【0015】
本発明のアニオン性官能基としては特に制限されないが具体的には、カルボキシル基、ホスホニウム基、スルホニウム基が挙げられるが、これらの内、セルロースへのアニオン性官能基の導入の容易さという理由からカルボキシル基が好ましい。
【0016】
セルロースにカルボキシルを導入する方法としては、セルロースの水酸基にカルボキシル基を有する化合物、カルボキシル基を有する化合物の酸無水物およびそれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種を反応させる方法、セルロースの水酸基を酸化する事によりカルボキル基に変換する方法が挙げられる。
【0017】
上記カルボキシル基を有する化合物としては特に限定されないが、具体的にはハロゲン化酢酸が挙げられ、ハロゲン化酢酸としては、クロロ酢酸、ブロモ酢酸、ヨード酢酸等が挙げられる。
【0018】
上記カルボキシル基を有する化合物の酸無水物としては特に限定されないが、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、無水グルタル酸、無水アジピン酸、無水イタコン酸等のジカルボン酸化合物の酸無水物が挙げられる。
【0019】
上記カルボキシル基を有する化合物の誘導体としては特に限定されないが、カルボキシル基を有する化合物の酸無水物のイミド化物、カルボキシル基を有する化合物の酸無水物の誘導体が挙げられる。
【0020】
カルボキシル基を有する化合物の酸無水物のイミド化物としては特に限定されないが、マレイミド、コハク酸イミド、フタル酸イミド等のジカルボン酸化合物のイミド化物が挙げられる。
【0021】
カルボキシル基を有する化合物の酸無水物の誘導体としては特に限定されないが、ジメチルマレイン酸無水物、ジエチルマレイン酸無水物、ジフェニルマレイン酸無水物等の、カルボキシル基を有する化合物の酸無水物の少なくとも一部の水素原子が置換基(例えば、アルキル基、フェニル基等)で置換されたものが挙げられる。
【0022】
上記セルロースの水酸基を酸化する方法としては特に制限されないが具体的には、N−オキシル化合物を酸化触媒とし、共酸化剤を作用させる方法が挙げられる。本発明において、セルロースにカルボキシル基を導入する方法としては、繊維表面の水酸基の選択性に優れており、反応条件も穏やかであることから、セルロースの水酸基を酸化する方法が好ましい。以下、水酸基の酸化によりカルボキシル基が導入されたセルロースを酸化セルロースという。
【0023】
上記酸化セルロースは、天然セルロースを原料とし、水中においてN−オキシル化合物を酸化触媒とし、共酸化剤を作用させることにより該天然セルロースを酸化して反応物繊維を得る酸化反応工程、不純物を除去して水を含浸させた反応物繊維を得る精製工程、および水を含浸させた反応物繊維を溶媒に分散させる分散工程を含む製造方法により得ることができる。
【0024】
本発明のセルロースナノファイバーのセルロース分子中の各グルコースユニットのC位の水酸基が選択的に酸化変性されてアルデヒド基、またはカルボキシル基のいずれかとなっていることが好ましい。カルボキシル基の含量(カルボキシル基量)は0.5mmol/g以上2.5mmol/g以下の範囲が好ましく、より好ましくは1.5mmol/g以上2.0mmol/g以下の範囲である。これらの範囲であれば、液体洗浄剤組成物の粘度が好適であり、汚れに直接塗布した場合にも少量で十分な洗浄性を有する、また奥に浸透した汚れに対する洗浄性も良好である。
【0025】
上記酸化セルロースのカルボキシル基量の測定は、例えば、乾燥重量を精秤したセルロース試料から0.5〜1重量%スラリーを60ml調製し、0.1Mの塩酸水溶液によってpHを約2.5とした後、0.05Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、電気伝導度測定を行う。測定はpHが約11になるまで続ける。電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(V)から、下記の式に従いカルボキシル基量を求めることができる。
カルボキシル基量(mmol/g)=V(ml)×[0.05/セルロース重量]
なお、カルボキシル基量の調整は、後述するように、セルロースナノファイバーの酸化工程で用いる共酸化剤の添加量や反応時間を制御することにより行うことができる。
【0026】
上記酸化セルロースは、上記酸化変性後、還元剤により還元させることが好ましい。これにより、アルデヒド基およびケトン基の一部ないし全部が還元され、水酸基に戻る。なお、カルボキシル基は還元されない。そして、上記還元により、上記セルロースナノファイバーの、セミカルバジド法による測定でのアルデヒド基とケトン基の合計含量を、0.3mmol/g以下とすることが好ましく、特に好ましくは0〜0.1mmol/gの範囲、最も好ましくは実質的に0mmol/gである。これらの範囲であれば、液体洗浄剤組成物の粘度が好適であり、汚れに直接塗布した場合にも少量で十分な洗浄性を有する、また奥に浸透した汚れに対する洗浄性も良好である。
【0027】
上記酸化セルロースが、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(TEMPO)等のN−オキシル化合物の存在下、共酸化剤を用いて酸化されたものであり、上記酸化反応により生じたアルデヒド基およびケトン基が、還元剤により還元されたものであると、上記セルロースナノファイバーを容易に得ることができるようになるため好ましい。また、上記還元剤による還元が、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)によるものであると、上記観点からより好ましい。
【0028】
セミカルバジド法による、アルデヒド基とケトン基との合計含量の測定は、例えば、つぎのようにして行われる。すなわち、乾燥させた試料に、リン酸緩衝液によりpH=5に調整したセミカルバジド塩酸塩3g/l水溶液を正確に50ml加え、密栓し、二日間振とうする。つぎに、この溶液10mlを正確に100mlビーカーに採取し、5N硫酸を25ml、0.05Nヨウ素酸カリウム水溶液5mlを加え、10分間撹拌する。その後、5%ヨウ化カリウム水溶液10mlを加えて、直ちに自動滴定装置を用いて、0.1Nチオ硫酸ナトリウム溶液にて滴定し、その滴定量等から、下記の式(3)に従い、試料中のカルボニル基量(アルデヒド基とケトン基との合計含量)を求めることができる。なお、セミカルバジドは、アルデヒド基やケトン基と反応しシッフ塩基(イミン)を形成するが、カルボキシル基とは反応しないことから、上記測定により、アルデヒド基とケトン基のみを定量できると考えられる。
【0029】
上記酸化セルロースは、繊維表面上のセルロース分子中の各グルコースユニットのC位の水酸基が選択的に酸化変性されてアルデヒド基、またはカルボキシル基のいずれかとなっている。このセルロースナノファイバー表面上のグルコースユニットのC位の水酸基が選択的に酸化されているかどうかは、例えば、13C−NMRチャートにより確認することができる。すなわち、酸化前のセルロースの13C−NMRチャートで確認できるグルコース単位の1級水酸基のC位に相当する62ppmのピークが、酸化反応後は消失し、代わりにカルボキシル基等に由来するピーク(178ppmのピークはカルボキシル基に由来するピーク)が現れる。このようにして、グルコース単位のC位水酸基のみがカルボキシル基等に酸化されていることを確認することができる。
【0030】
また、上記酸化セルロースにおけるアルデヒド基の検出は、例えば、フェーリング試薬により行うこともできる。すなわち、例えば、乾燥させた試料に、フェーリング試薬(酒石酸ナトリウムカリウムと水酸化ナトリウムとの混合溶液と、硫酸銅五水和物水溶液)を加えた後、80℃で1時間加熱したとき、上澄みが青色、セルロースナノファイバー部分が紺色を呈するものは、アルデヒド基は検出されなかったと判断することができ、上澄みが黄色、セルロース繊維部分が赤色を呈するものは、アルデヒド基は検出されたと判断することができる。
【0031】
本発明において、洗浄剤組成物中のセルロースナノファイバー(A)の含有量は、特に限定されないが、例えば、固形分換算で、洗浄剤組成物100質量部に対して、0.03〜10質量部が好ましく、0.05〜8質量部がより好ましく、0.1〜5質量部が、さらに好ましい。これらの範囲であれば、液体洗浄剤組成物の粘度が好適であり、汚れに直接塗布した場合にも少量で十分な洗浄性を有する、奥に浸透した汚れに対する洗浄性も良好となる。
【0032】
<酵素(B)>
本発明において酵素(B)は、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ及びクリナーゼからなる群から選択される1種以上の酵素である。
【0033】
プロテアーゼは、通常洗浄剤組成物に用いられているものであれば特に限定されず、例えば、ペプシン、トリプシン、キモトリプシン、コラーゲナーゼ、ケラチナーゼ、エラスターゼ、ズブチリシンBPN’、パパイン、プロメリン、カルボキシペプチターゼA、カルボキシペプチターゼB、アミノペプチターゼ、アスパーギロペプチターゼA、アスパーギロペプチターゼB等が挙げられる。これらの精製分画物はもちろん、粗酵素及びそれらの造粒物を使用することもできる。
【0034】
入手可能な市販酵素(プロテアーゼ製剤)としては、例えば、サビナーゼ(Savinase)、アルカラーゼ(Alcalase)、エバラーゼ(Everlase)、カンナーゼ(Kannase)、エスペラーゼ(Esperaze)(以上、商品名;Novozymes(ノボザイムズ)社製);API21(昭和電工(株)製);マクサターゼ(Maxtaze)、マクサカル(Maxacal)、ピュラフェクト(Purafect)、マクサぺム、プロペラーゼ(Properase)(以上、商品名;GENENCOR(ジェネンコア)社製);KAP(商品名、花王(株)製);プロテアーゼK−14、K−16(以上、商品名)等を挙げることができる。これらは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。プロテアーゼ製剤としては、Savinase16L、Everlase16L(以上、商品名;Novozymes社製);Purafect L、Purafect OX、Properase L(以上、商品名;GENENCOR社製)が好ましく、Savinase16L、Everlase16Lが特に好ましい。
【0035】
アミラーゼは、デンプンを加水分解する酵素であれば特に限定されず、例えば、デンプンやグリコーゲン等のα−1,4結合を加水分解するα−アミラーゼ、β−アミラーゼ、α−グルコシターゼ、グルコアミラーゼ;デンプンやグリコーゲン等のα−1,6結合を加水分解するグルコアミラーゼ、プルラナーゼ、イソアミラーゼ、アミロ−1,6グルコシターゼ/4−αグルカノトランスフェラーゼ、オリゴ−1,6−グルコシターゼ等が挙げられる。
【0036】
入手可能な市販酵素(アミラーゼ製剤)としては、例えば、ターマミル(Termamyl)、デュラミル(Duramyl)、ステインザイム(Stainzyme)、プロモザイム(Promozyme)200L(以上、商品名;ノボザイムズ社製);マキサミル(Maxamyl)(商品名、ジェネンコア社製)、プルラナーゼアマノ(商品名、天野製薬社製)、DB−250(商品名、Aerobacter aerogenes ATCC9621由来のプルラナーゼ:クルード又は結晶化品、生化学工業社製)等を挙げることができる。これらは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。アミラーゼ製剤としては、デュラミル16L、ステインザイム12L、ターマミルウルトラ300L(以上、商品名;ノボザイムズ社製)が好ましく、ステインザイム12L、ターマミルウルトラ300Lが特に好ましい。
【0037】
リパーゼとは、International Union of Biochemistry and Molecular Biology(IUBMB)の推薦(1992)に従って、Enzyme Classification番号E.C.3.1.1(カルボン酸エステルヒドロラーゼ)下で分類された酵素を示す。すなわち、本発明におけるリパーゼは、モノ−、ジ−及びトリグリセリド、リン脂質(すべての種類)、チオエステル、コレステロールエステル、ワックス−エステル、クチン、スベリン、合成エステル等の脂質の少なくとも1つに存在するエステル結合のタイプにおける少なくとも1つに対して加水分解活性を示す酵素である。本発明におけるリパーゼは、従来からリパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ又はクチナーゼ等として称せられているものを含み、天然に存在する酵素、及び天然に存在する酵素に比べて1又は複数のアミノ酸残基が変性されている変異体を包含する。リパーゼの具体例としては、例えば、リポラーゼ、リポラーゼウルトラ、ライペックス、ライペックス100L(以上、商品名;ノボザイムズ社製)、リポサム(商品名、昭和電工社製)等の市販のリパーゼ(リパーゼ製剤)が挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。本発明におけるリパーゼとしては、リポラーゼウルトラ、ライペックス、ライペックス100L(以上、商品名;ノボザイムズ社製)が好ましく、ライペックス100Lが特に好ましい。
【0038】
クリナーゼは、通常洗浄剤組成物に用いられているものであれば特に限定されず、フサリウム・ソラニピシ(Fusarium solanipisi)由来のものが挙げられる。特に限定されないが、例えば、酵素クリナーゼCAP(日本酵研社製)などが挙げられる。
【0039】
本発明において、洗浄剤組成物中の酵素(B)の含有量は、特に限定されないが、例えば、洗浄剤組成物100質量部に対して、0.03〜3.5質量部が好ましく、0.05〜2.5質量部がより好ましく、0.03〜1.5質量部が、さらに好ましい。これらの範囲であれば、液体洗浄剤組成物の粘度が好適であり、汚れに直接塗布した場合にも少量で十分な洗浄性を有する、奥に浸透した汚れに対する洗浄性も良好となる。
【0040】
本発明において、前記セルロースナノファイバー(A)および酵素(B)を併用することで、液体洗浄剤組成物の粘度が好適であり、かつチキソトロピー性を示すため、汚れに直接塗布した場合にも少量で十分な洗浄性を有する、奥に浸透した汚れに対する洗浄性も良好となる効果がある。含有量が、(A)/(B)(質量比)=0.2〜1.3:1であることが好ましく、0.3〜1.1:1であることが、より好ましく、0.4〜0.9:1であることが、さらに好ましい。これらの範囲であれば、液体洗浄剤組成物の粘度、チキソトロピー、汚れに直接塗布した場合にも少量で十分な洗浄性を有する、奥に浸透した汚れに対する洗浄性も良好となる効果の観点から、好ましい。なお、ここでいうセルロースナノファイバー(A)の重量とは、セルロースナノファイバー溶液を用いる際には、固形分重量を示す。
【0041】
本発明においては、さらにノニオン界面活性剤(C)を含有することも、好ましい態様である。イオン性を有しない界面活性剤であれば、特に限定されないが、例えば、下記一般式(C1)で表される化合物、ポリオキシアルキレンアルキルアミン型ノニオン界面活性剤などが挙げられる。
−X−[(EO)/(PO)]−R ・・・(a1)
[式中、Rは炭素数8〜18の炭化水素基である。XはO、COO又はCONHである。Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基である。EOはオキシエチレン基であり、はEOの平均繰返し数(即ち、エチレンオキシドの平均付加モル数)を表し、3〜20の数である。POはオキシプロピレン基であり、はPOの平均繰返し数(即ち、プロピレンオキシドの平均付加モル数)を表し、0〜6の数である。]
【0042】
本発明において、洗浄剤組成物中のノニオン界面活性剤(C)の含有量は、特に限定されないが、例えば、洗浄剤組成物100質量部に対して、1〜40質量部が好ましく、3〜30質量部がより好ましく、5〜25質量部が、さらに好ましい。これらの範囲であれば、洗浄性が良好となる。
【0043】
本発明においては、さらに、例えば、洗浄性能向上や配合安定性向上等を目的として、両性界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、安定化剤、増粘剤、風合い向上剤、pH調整剤、防腐剤、ハイドロトロープ剤、蛍光剤、移染防止剤、パール剤、酸化防止剤、ソイルリリース剤等を含有していてもよい。また、商品の付加価値向上等を目的として、着色剤、着香剤、乳濁化剤等を含有させることもできる。本組成物は、以上説明した(A)成分及び(B)成分、並びに必要に応じて任意成分を用い、これらをイオン交換水等の精製水と混合することで、それら各成分の含有量を調整して調製することができる。
【0044】
前記、両性界面活性剤としては特に限定されないが、例えば、カルボン酸型両性界面活性剤(アミノ型、ベタイン型)、硫酸エステル型両性界面活性剤、スルホン酸型両性界面活性剤、リン酸エステル型両性界面活性剤、その他の界面活性剤(天然界面活性剤、タンパク質加水分解物の誘導体、高分子界面活性剤、チタン・ケイ素を含む界面活性剤、フッ化炭素系界面活性剤)等があげられる。
【0045】
前記、アニオン界面活性剤としては特に限定されないが、例えば、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩;α−オレフィンスルホン酸塩;直鎖又は分岐鎖のアルキル硫酸エステル塩;アルキルエーテル硫酸エステル塩又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩;アルキル基を有するアルカンスルホン酸塩;α−スルホ脂肪酸エステル塩等があげられる。これらのアニオン界面活性剤における塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン塩等があげられる。
【0046】
前記、カチオン界面活性剤としては特に限定されないが、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩等があげられる。
【0047】
前記、安定化剤としては特に限定されないが、例えば、安息香酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、多価アルコール、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレンポリプロピレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレン(プロピレン)グリコールフェニルエーテル、ポリプロピレングリコールフェニルエーテル、ポリエチレンポリプロピレングリコールフェニルエーテル等があげられる。
【0048】
前記、増粘剤としては特に限定されないが、例えば、長鎖脂肪酸アルキルアミド等があげられる。
【0049】
本発明の洗浄剤組成物に使用されるセルロースナノファイバー(A)は、例えば、つぎのようにして作製することができる。すなわち、まず、木材パルプ等の天然セルロースを、水に分散させてスラリー状としたものに、臭化ナトリウム、N−オキシル化合物(例えば、N−オキシラジカル触媒)を加え、充分撹拌して分散・溶解させる。つぎに、次亜塩素酸水溶液等の共酸化剤を加え、pH10〜11を保持するように、0.5規定水酸化ナトリウム水溶液を滴下しながらpH変化が見られなくなるまで反応を行う。上記反応により得られたスラリーは、未反応原料、触媒等を除去するために、水洗、濾過を行い精製することにより、セルロースナノファイバー(A)の水分散体を得ることができる。なお、化粧品組成物として高い透明性が求められる場合は、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の強力な分散力を有する分散装置を用いて分散処理することで、高い透明性をもつセルロースナノファイバー(A)を得ることができる。
【0050】
上記N−オキシル化合物としては、例えば2,2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシラジカル(TEMPO)、4−アセトアミド−TEMPOのようなN−オキシラジカル触媒等があげられ、好ましくは2,2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシラジカル(TEMPO)である。上記N−オキシル化合物の添加量は、通常、0.1〜4mmol/l、好ましくは0.2〜2mmol/lの範囲である。
【0051】
また、上記共酸化剤としては、例えば、次亜ハロゲン酸またはその塩、亜ハロゲン酸またはその塩、過ハロゲン酸またはその塩、過酸化水素、過有機酸等があげられる。これらは単独でもしくは二種類以上併せて用いられる。なかでも、次亜塩素酸ナトリウム、次亜臭素酸ナトリウム等のアルカリ金属次亜ハロゲン酸塩が好ましい。そして、上記次亜塩素酸ナトリウムを使用する場合は、臭化ナトリウム等の臭化アルカリ金属の存在下で反応を進めることが、反応速度の点において好ましい。上記臭化アルカリ金属の添加量は、上記N−オキシル化合物に対して約1〜40倍モル量、好ましくは約10〜20倍モル量である。
【0052】
本発明の洗浄剤組成物は、上記のようにして得られたセルロースナノファイバー(A)の水分散体に、酵素(B)とその他の任意成分を適宜に混合し、分散することにより調製することができる。
【0053】
上記混合・分散処理には、例えば、真空乳化装置、ディスパー、プロペラミキサー、ニーダー、湿式粉砕機、ブレンダー、ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミル、ビーズミル、サンドミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等を用いることができる。なお、上記混合・分散装置の種類や操作条件を選択することにより、任意の添加剤の物理化学的性質に応じた、所望の性状の洗浄剤組成物を調製することができる。
【0054】
また、本発明の洗浄剤組成物の使用方法は、洗浄剤組成物の通常の使用方法を用いることができる。すなわち、本組成物を洗濯時に洗濯物と一緒に水に投入する方法、本組成物を泥汚れや皮脂汚れに直接塗布する方法、本組成物を予め水に溶かして衣類を浸漬する方法等が挙げられる。また、本組成物を洗濯物に塗布後、適宜放置した後、本組成物以外の通常の洗濯液を用いた通常の洗濯を行う方法であってもよい。これらのうち、本発明の洗浄剤組成物は、粘度が好適であり、かつチキソトロピー性を示すため、泥汚れや皮脂汚れに直接塗布する方法、本組成物を洗濯物に塗布後、適宜放置した後、本組成物以外の通常の洗濯液を用いた通常の洗濯を行う方法が好ましい。
【0055】
本発明の実施態様の一つである洗浄方法は、少なくとも下記条件を満たすことを特徴とするセルロースナノファイバー(A)および酵素(B)を含有する洗浄剤組成物を、布類に塗布する工程を含む、布類の洗浄方法である。本発明の洗浄剤組成物は、粘度が好適であり、かつチキソトロピー性を示すため、布類に塗布する工程により、少量で十分な洗浄性を有する、奥に浸透した汚れに対する洗浄性も良好となる。
(A−1)数平均繊維径が2nm以上500nm以下
(A−2)平均アスペクト比が50以上1000以下
(A−3)セルロースI型結晶構造を有する
(A−4)アニオン性官能基
【0056】
本発明の洗浄剤組成物の粘度としては特に限定されないが、一般洗浄性および塗布洗浄性を両立できること観点から、実施例に記載の方法において、5000以下(20℃、mPa・s)であることが好ましく、1000以下(20℃、mPa・s)であることがより好ましい。
【0057】
本発明の洗浄剤組成物の一般洗浄性、塗布洗浄性としては特に限定されないが、洗浄性の観点から、実施例に記載の方法において、一般洗浄性、塗布洗浄性いずれも、15%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましく25%以上であることがさらに好ましい。
【実施例】
【0058】
以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明の洗浄剤組成物について詳細に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、本明細書中に於ける「部」、「%」は、特に明示した場合を除き、「質量部」、「質量%」をそれぞれ表している。
【0059】
<セルロースナノファイバー(A)5%溶液の調製>
(製造例1(セルロースナノファイバーA1))
針葉樹パルプ2gに、水150ml、臭化ナトリウム0.25g、TEMPO0.025gを加え、充分撹拌して分散させた後、13%次亜塩素酸ナトリウム水溶液(共酸化剤)を、上記パルプ1.0gに対して次亜塩素酸ナトリウム量が5.2mmol/gとなるように加え、反応を開始した。反応の進行に伴いpHが低下するため、pHを10〜11に保持するように0.5N水酸化ナトリウム水溶液を滴下しながら、pHの変化が見られなくなるまで反応させた(反応時間:120分)。反応終了後、0.1N塩酸を添加してpH2に調整した後、ろ過と水洗を繰り返して精製し、ナノファイバー表面が酸化されたセルロースナノファイバーを得た。これに純水を加えてセルロースナノファイバー濃度2質量%に希釈し、10%水酸化ナトリウムを添加してpH7に調整した。これを高圧ホモジナイザー(H11、三和エンジニアリング社製)を用いて圧力100MPaで1回処理し、セルロースナノファイバーA1を調製した。
【0060】
(製造例2(セルロースナノファイバーA2))
中和工程に水酸化ナトリウムに替えてテトラブチルアンモニウムヒドロキシドを用いた以外は、製造例1と同様の製法でセルロースナノファイバーA2を得た。
【0061】
(セルロースナノファイバーの評価)
上記のようにして得られたセルロースナノファイバーについて、下記の基準に従って、各特性の評価を行った。
【0062】
<数平均繊維径、平均アスペクト比の測定>
セルロースナノファイバーの数平均繊維径、および繊維長を、透過型電子顕微鏡(TEM、日本電子社製JEM−1400)を用いて観察した。すなわち、各セルロースナノファイバーを親水化処理済みのカーボン膜被覆グリッド上にキャストした後、2%ウラニルアセテートでネガティブ染色したTEM像(倍率:10000倍)から、先に述べた方法に従い、数平均繊維径、および繊維長を算出した。さらに、これらの値を用いて平均アスペクト比を下記の式に従い算出した。
平均アスペクト比=数平均繊維長(nm)/数平均繊維径(nm)
セルロースナノファイバーA1およびA2の数平均繊維径は、それぞれ58、50nmであった。また、平均アスペクト比は、それぞれ127、135であった。
【0063】
<結晶構造>
X線回折装置(リガク社製、RINT−Ultima3)を用いて、セルロースナノファイバーの回折プロファイルを測定し、2シータ=14〜17°付近と、2シータ=22〜23°付近の2つの位置に典型的なピークが見られる場合は結晶構造(I型結晶構造)が「有」と評価し、ピークが見られない場合は「無」と評価した。
セルロースナノファイバーA1およびA2のいずれもセルロースI型結晶構造を確認できた。
【0064】
<洗浄剤組成物>
洗浄剤組成物の調製に使用する化合物は、下記のとおりである。
酵素(B):
酵素クリナーゼCAP(日本酵研社製)
ノニオン界面活性剤(C):
ノイゲンLP70(ポリオキシアルキレンラウリルエーテル系ノニオン界面活性剤、第一工業製薬社製)
【0065】
(実施例)
セルロースナノファイバー(A)の5%溶液、酵素(B)、およびノニオン界面活性剤(C)を表1の組成に従い、ディスパー、回転数1200rpmにより20℃、30分間混合することで、洗浄剤組成物を得た。
【0066】
(評価方法)
粘度:JISZ8803に従い、20℃に調整した洗浄剤組成物をBM型粘度計を使用し、ローターNo.2、回転数60にて測定した。
【0067】
一般洗浄性:財団法人洗濯化学協会製の湿式人工汚染布を試験布に用いた。該試験布を試洗浄試験機としてターゴトメーターを用いて100rpm、30℃、10分、浴比(試験布/水)=1/33の洗浄条件にて、洗浄試験を行った。洗浄剤濃度は0.1重量%とした。洗浄率は、未汚染布および洗浄前後の反射率を日本電色株式会社製SD−6000を用いて測定し。次式によって算出した。
洗浄率(%)={(洗浄後の反射率―洗浄前の反射率)/(未汚染布の反射率―洗浄前の反射率)}×100
評価は、試験布3枚の洗浄率の平均値を求め、洗浄率が25%以上のものを◎、20%以上25%未満のものを○、15%以上20%未満のものを△、15%未満のものを×とした。
【0068】
塗布洗浄性:財団法人洗濯化学協会製の湿式人工汚染布を試験布に用いた。該試験布を5枚重ね合わせ、上面に洗浄剤組成物を1g塗布し、常温にて30分静値する。30分後、該試験布を試洗浄試験機としてターゴトメーターを用いて100rpm、30℃、10分、浴比(試験布/水)=1/33の洗浄条件にて、洗浄試験を行った。このとき洗浄剤濃度は0.1%重量とした。洗浄率は、未汚染布および洗浄前後の反射率を日本電色株式会社製SD−6000を用いて測定し。次式によって算出した。
洗浄率(%)={(洗浄後の反射率―洗浄前の反射率)/(未汚染布の反射率―洗浄前の反射率)}×100
評価は、上面から数え、一番下の試験布の洗浄率を求め、洗浄率が25%以上のものを◎、20%以上25%未満のものを○、15%以上20%未満のものを△、15%未満のものを×とした。
【0069】
【表1】
【0070】
<評価結果>
実施例1〜9から分かるように、本発明の洗浄剤組成物は、粘度、一般洗浄性、塗布洗浄性が、いずれも良好であることが分かる。
【0071】
一方、比較例1のようにセルロースナノファイバー(A)を使用しない系では、粘度が低く、塗布洗浄性に劣る。比較例2のように、酵素(B)を使用しない系では、塗布洗浄性が劣る。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の洗浄剤組成物は、粘度が好適であり、汚れに直接塗布した場合にも少量で十分な洗浄性を有する、奥に浸透した汚れに対する洗浄性も良好である。このような特性から、衣類等の布類の洗浄剤として幅広く好適に使用できる。