(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記初速スプリングによって前記蓋体に発生する前記固定部材に対する開方向トルクは、前記全域スプリングによって前記蓋体に発生する前記固定部材に対する開方向トルクより、大とされている、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の車両用内装装置。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、蓋体に開閉の全領域で開方向トルクを付与するトーションスプリングとは別に、コイルスプリングを用いて、閉位置から開閉途中の所定位置までは蓋体に開方向トルクを付与し、所定位置から開位置までは引張・圧縮を反転させて蓋体に閉方向トルクを付与する技術を開示している。コイルスプリングを用いて所定位置から開位置まで蓋体に閉方向トルクを付与するため、所定位置から開位置まで蓋体を減速させることができる。
【0003】
コイルスプリングを用いて発生する閉方向に働くトルクは、開閉途中の所定位置(減速開始位置)から発生し始め、開位置に近づくにつれて徐々に大きくなっていく。そのため、蓋体の開スピードは一定の減速率で減速していき、蓋体開状態に至る。このために、従来の技術では、
図12のスピード特性グラフに示すような蓋体スピード特性を示すようになり、急激な段差状の速度変化を表現することが難しく、また、所定位置から開位置まで低速の略等速運動ができず、高級感を演出することが困難であった。
また、蓋体が閉まってしまうことを防止するために、コイルスプリングによる蓋体への閉方向トルクはトーションスプリングによる蓋体への開方向トルクより弱く設定しなければならず、トルク調整も困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、急激な段差状の速度変化を表現できる、スプリングによる蓋体へのトルク調整が容易、の少なくとも一方を達成できる、車両用内装装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する本発明はつぎの通りである。
(1) 固定部材と、
前記固定部材に対して回動して開閉可能な蓋体と、
前記蓋体の開閉の全領域で前記蓋体に前記固定部材に対する開方向トルクを付与する全域スプリングと、
前記蓋体が閉位置と開閉途中の所定位置との間にあるとき前記蓋体に前記固定部材に対する開方向トルクを付与し、前記蓋体が前記所定位置と開位置との間にあるとき前記蓋体に前記固定部材に対するトルクを付与しない、初速スプリングと、
を有する、車両用内装装置。
(2) 前記初速スプリングは、コイル部と、該コイル部の軸方向一端部に連なる第1のアーム部と、前記コイル部の軸方向他端部に連なる第2のアーム部と、を有しており、
前記第1のアーム部は、前記蓋体の開閉の全領域で前記蓋体に接触しており、
前記第2のアーム部は、前記蓋体が前記閉位置と前記所定位置との間にあるとき前記固定部材に接触しており、前記蓋体が前記所定位置にあるとき前記固定部材と前記蓋体の両方に接触しており、前記蓋体が前記所定位置と前記開位置との間にあるとき前記固定部材から離れて前記蓋体のみに接触している、(1)記載の車両用内装装置。
(3) 前記第2のアーム部は、前記固定部材に接触しているとき、前記蓋体の前記固定部材に対する回動軌跡内に入り込んでいる、(2)記載の車両用内装装置。
(4) 前記初速スプリングによって前記蓋体に発生する前記固定部材に対する開方向トルクは、前記全域スプリングによって前記蓋体に発生する前記固定部材に対する開方向トルクより、大とされている、(1)〜(3)のいずれか1つに記載の車両用内装装置。
【発明の効果】
【0007】
上記(1)の車両用内装装置によれば、蓋体の開閉の全領域で蓋体に開方向トルクを付与する全域スプリングと、蓋体が閉位置と開閉途中の所定位置との間にあるとき蓋体に開方向トルクを付与し、蓋体が所定位置と開位置との間にあるときには蓋体にトルクを付与しない初速スプリングと、を有する。そのため、蓋体が閉位置から開閉途中の所定位置に達するまでは、全域スプリングと初速スプリングの両方の開方向トルクが蓋体にかかり、蓋体が開閉途中の所定位置を超えて開位置に達するまでは、全域スプリングの開方向トルクのみが蓋体にかかる。その結果、蓋体を開閉途中の所定位置にて急激に段差状に減速させて速度変化を顕著に表現することができ、また、開閉途中の所定位置から開位置までは低速で略等速で開ききる高級感を演出できる。
【0008】
また、開閉途中の所定位置から開位置までは全域スプリングのトルクのみが蓋体にかかるため、開閉途中の所定位置から開位置までの低速時のスピード調整(トルク調整)が容易である。
【0009】
上記(2)の車両用内装装置によれば、初速スプリングがコイル部と第1、第2のアーム部を有しており、第1のアーム部が蓋体の開閉の全領域で蓋体に接触しており、第2のアーム部が、蓋体が閉位置と所定位置との間にあるときには固定部材に接触しており、蓋体が所定位置にあるとき固定部材と蓋体の両方に接触しており、蓋体が所定位置と開位置との間にあるとき固定部材から離れて蓋体のみに接触している。そのため、蓋体が閉位置から所定位置に達するまでは初速スプリングにより蓋体に開方向トルクを付与でき、蓋体が所定位置を超えて開位置に達するまでは初速スプリングによる蓋体へのトルク(開方向トルクだけでなく閉方向トルクも)を無くすことができる。
【0010】
上記(3)の車両用内装装置によれば、初速スプリングの第2のアーム部は、固定部材に接触しているとき、蓋体の回動軌跡内に入り込んでいる。そのため、蓋体が閉位置から開位置に回動していき蓋体が所定位置に達した後、蓋体で第2のアーム部を拾い第2のアーム部を固定部材から離すことができる。よって、蓋体が閉位置から所定位置に達するまでは初速スプリングにより蓋体に開方向トルクを付与でき、蓋体が所定位置を超えて開位置に達するまでは初速スプリングによる蓋体へのトルクを無くすことができる。
【0011】
上記(4)の車両用内装装置によれば、初速スプリングによって蓋体に発生する開方向トルクは、全域スプリングによって蓋体に発生する開方向トルクより大とされている。そのため、初速スプリングによって蓋体に発生する開方向トルクが、全域スプリングによって蓋体に発生するトルクより小とされている場合に比べて、所定位置での蓋体の速度変化量を大きくすることができ、蓋体が開くときの急激な段差状の速度変化を顕著に表現できる
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、
図1〜
図11を参照して、本発明実施例の車両用内装装置(以下、単に装置ともいう)を説明する。
【0014】
本発明実施例の装置10は、たとえば、
図1に示すように、車両の内装部材であるインストルメントパネル、コンソールパネル等に配置される車両用カップホルダ装置である。ただし、装置10は、車両用カップホルダ装置に限定されるものではなく、車両用小物入れ装置等であってもよい。また、装置10の配置場所は、インストルメントパネル、コンソールパネル以外であってもよい。
【0015】
装置10は、
図2に示すように、固定部材20と、蓋体30と、全域スプリング40と、初速スプリング50と、を有する。装置10は、さらに、ロック装置60(
図7参照)を有する。
【0016】
固定部材20は、車両の内装部材に固定されている部材である。固定部材20は、
図2に示すように、装置10がカップホルダ装置である場合に図示略のカップ類を収容する収容部21aを有する固定部材本体21と、固定部材本体21に固定して取付けられるカバー22と、を有する。
【0017】
固定部材本体21には、収容部21aに収容されるカップ類(図示略)の側面を支持するサポート21bが1個以上設けられていることが望ましい。カバー22は、装置10を周囲の車両搭載部品から保護する役割を有する。
【0018】
蓋体30は、固定部材本体21に軸芯Pまわりに回動可能に支持される。蓋体30は、固定部材20に対して回動して収容部21aを開閉可能である。蓋体30は、閉位置30aにあるとき、
図3、
図4に示すように収容部21aを閉塞している(上方から覆っている)。蓋体30は、開位置30bにあるとき、
図6に示すように収容部21aを上方に開放している。蓋体30は、
図2に示すように、蓋体インナー31と、蓋体アウター32と、蓋体第1アーム33と、蓋体第2アーム34と、を有する。
【0019】
蓋体アウター32は、意匠部材を構成しており、蓋体インナー31と別体に形成されて蓋体インナー31に固定される。ただし、蓋体アウター32は、蓋体インナー31と一体に形成されていてもよい。蓋体アウター32には、蓋体30をプッシュオープンさせる際のプッシュ狙い位置を示すノブ32aが設けられている。
【0020】
蓋体第1アーム33と蓋体第2アーム34は、蓋体インナー31に一体に形成されている。蓋体第1アーム33は、蓋体インナー31の装置幅方向一端部から固定部材20側に延びて設けられており、蓋体第2アーム34は、蓋体インナー31の装置幅方向他端部から固定部材20側に延びて設けられている。蓋体第1アーム33または蓋体第2アーム34には、蓋体30の固定部材20に対する回動スピードを開閉の全領域にわたって低減させるために、ダンパ70が取付けられている。なお、
図3では、ダンパ70は蓋体第1アーム33に取り付けられる場合を示している。ダンパ70は、固定部材20に設けられる弧状ギア71と常時噛み合っている。
【0021】
蓋体30は、閉位置30aにあるとき、ロック装置60により閉位置30aに保持される。ロック装置60は、たとえばハートカム式のロック装置であり、閉位置30aにある蓋体30をプッシュすることでロックを外すことができるようになっている。なお、ロック装置60がハートカム式ロック装置である場合、ロック装置60は、
図7に示すように、固定部材20と蓋体30の一方に設けられるハートカム61と、固定部材20と蓋体30の他方に設けられハートカム61に係脱可能なロックピン(図示略)と、を有する。
【0022】
全域スプリング40は、装置10の幅方向(蓋体30の軸芯Pの延在方向)の一側に設けられており、たとえば、蓋体第1アーム33と蓋体第2アーム34のうち蓋体第1アーム33側に設けられている。
【0023】
全域スプリング40は、蓋体30の開閉の全領域で、蓋体30に固定部材20に対する開方向トルクT1を付与する。全域スプリング40は、
図2に示すように、たとえばトーションスプリングからなる。全域スプリング40は、スプリングコイル部41と、スプリングコイル部41の軸方向一端部に連なるスプリング第1アーム42と、スプリングコイル部41の軸方向他端部に連なるスプリング第2アーム43と、を有する。
【0024】
スプリング第1アーム42は、
図4〜
図6に示すように、蓋体30の開閉の全領域で、固定部材20に常時接触している(押し付けられている、引っ掛けられている、または、係合している、でもよい)。スプリング第2アーム43は、蓋体30の蓋体第1アーム33に常時接触している(押し付けられている、引っ掛けられている、または、係合している、でもよい)。
【0025】
初速スプリング50は、
図2に示すように、装置10の幅方向(蓋体30の軸芯Pの延在方向)の他側に設けられており、たとえば、蓋体第1アーム33と蓋体第2アーム34のうち蓋体第2アーム34側に設けられている。ただし、初速スプリング50は、装置10の幅方向の一側に設けられていてもよい。
【0026】
初速スプリング50は、蓋体30が閉位置30aと開閉途中の所定位置30cとの間にあるとき、蓋体30に固定部材20に対する開方向トルクT2を付与し、蓋体30が所定位置30cと開位置30bとの間にあるとき、蓋体30に固定部材20に対するトルクを付与しない。初速スプリング50は、蓋体30が所定位置30cと開位置30bとの間にあるとき、蓋体30に開方向トルクだけでなく閉方向トルクも付与しない。
【0027】
初速スプリング50は、トーションスプリングからなる。初速スプリング50は、コイル部51と、コイル部51の軸方向一端部に連なる第1のアーム部52と、コイル部51の軸方向他端部に連なる第2のアーム部53と、を有する。
【0028】
初速スプリング50の第1のアーム部52は、
図8〜
図10に示すように、蓋体30の開閉の全領域で、蓋体30に常時接触している(押し付けられている、引っ掛けられている、または、係合している、でもよい)。
【0029】
初速スプリング50の第2のアーム部53は、(i)
図8に示すように、蓋体30が閉位置30aにあるとき、および蓋体30が閉位置30aと所定位置30cとの間にあるとき、固定部材20に接触しており、(ii)
図9に示すように、蓋体30が所定位置30cにあるとき、固定部材10と蓋体30の両方に接触しており、(iii)
図10に示すように、蓋体30が所定位置30cと開位置30bとの間にあるとき、および蓋体30が開位置30bにあるとき、固定部材20から離れて蓋体30のみに接触している。なお、初速スプリング50の第2のアーム部53の「接触している」は、押し付けられている、引っ掛けられている、または係合している、であってもよい。
【0030】
初速スプリング50の第2のアーム部53は、蓋体30が所定位置30cにあるとき、固定部材20と蓋体30の両方に接触しており、蓋体30が所定位置30cよりも閉位置30a側にあるとき、固定部材20のみに接触しており、蓋体30が所定位置30cよりも開位置30b側にあるとき、蓋体30のみに接触している。
【0031】
固定部材20の、第2のアーム部53が接触する部位である固定部材側当接部23と、蓋体30の、第2のアーム部53が接触する部位である蓋体側当接部35には、第2のアーム部53との当接打音を低減するために、不織布等からなる打音防止材が設けられていることが望ましい。
【0032】
初速スプリング50の第2のアーム部53は、固定部材20に接触しているとき、すなわち、蓋体30が閉位置30aにあるとき、および蓋体30が閉位置30aと所定位置30cとの間にあるとき、蓋体30の固定部材20に対する回動軌跡内に入り込んでいる。これにより、蓋体30が閉位置30aから開位置30bに回動するときに、開閉途中の所定位置30cで蓋体30にて第2のアーム部53を拾って固定部材20から離すことができる。
【0033】
初速スプリング50によって蓋体30に発生する固定部材20に対する開方向トルクT2は、全域スプリング40によって蓋体30に発生する固定部材20に対する開方向トルクT1より、大とされている。ただし、T2は、T1と同じであってもよく、T1より小とされていてもよい。
【0034】
ここで、蓋体30の作動を説明する。
(a)蓋体30が閉位置30aにあるとき
図8に示すように、初速スプリング50の第2のアーム部53は、固定部材側当接部23に接触している。そのため、蓋体30には、全域スプリング40による開方向トルクT1だけでなく、初速スプリング50による開方向トルクT2もかかっている。
【0035】
(b)ロック装置60のロックを解除して蓋体30が開位置30b側に回動するとき
ロック装置60のロックが解除されると、全域スプリング40による開方向トルクT1と初速スプリング50による開方向トルクT2の両方で蓋体30が開方向に回動する。
(b1)蓋体30が所定位置30cに達したとき、
図9に示すように、蓋体側当接部35が初速スプリング50の第2のアーム部53に当たり、第2のアーム部53が蓋体側当接部35によって拾われる。
(b1)蓋体30が所定位置30cを超えると、第2のアーム部53は、固定部材側当接部23から離れ蓋体側当接部35のみに接触する。これにより、初速スプリング50の両アーム部52,53が蓋体30に捉えられ、初速スプリング50による蓋体30へのトルクは失われる。その結果、蓋体30が開位置30bに達するまで、蓋体30には全域スプリング40による開方向トルクT1のみがかかることになる。
【0036】
(c)蓋体30が開位置30bにあるとき
図10に示すように、初速スプリング50の第2のアーム部53は、蓋体側当接部35に接触しており、固定部材20には接触していない。そのため、蓋体30には、初速スプリング50によるトルクはかかっておらず、全域スプリング40による開方向トルクT1のみがかかっている。蓋体30の開状態は、図示略のストッパが固定部材20に当たることで維持されている。
【0037】
(d)開位置30bにある蓋体30を閉位置30a側に回動させるとき
図10に示す蓋体30開状態から、全域スプリング40による開方向トルクT1に抗して、手で蓋体30を閉位置30a側に回動させる。
(d1)蓋体30が所定位置30cに達したとき、
図9に示すように、初速スプリング50の第2のアーム部53が固定部材側当接部23に当たる。
(d2)さらに蓋体30を閉位置30a側に回動させると、第2のアーム部53は、蓋体側当接部35から離れ固定部材側当接部23のみに接触する。これにより、初速スプリング50による蓋体30への開方向トルクT2が発生する。その結果、蓋体30が所定位置30cを超えて閉位置30aに達するまでは、蓋体30には全域スプリング40による開方向トルクT1と初速スプリング50による開方向トルクT2の両方がかかることになり、この両トルクT1,T2の和に抗して手で蓋体30を閉位置30aまで回動させることになる。
【0038】
つぎに、本発明実施例の効果を説明する。
蓋体30の開閉の全領域で蓋体30に開方向トルクT1を付与する全域スプリング40と、蓋体30が閉位置30aと開閉途中の所定位置30cとの間にあるとき蓋体30に開方向トルクT2を付与し、蓋体30が所定位置30cと開位置30bとの間にあるときには蓋体30にトルクを付与しない初速スプリング50と、を有する。そのため、蓋体30が閉位置30aから開閉途中の所定位置30cに達するまでは、全域スプリング40と初速スプリング50の両方の開方向トルク(T1+T2)が蓋体30にかかり、蓋体30が開閉途中の所定位置30cを超えて開位置30bに達するまでは、全域スプリング40の開方向トルクT1のみが蓋体30にかかる。その結果、
図11に示すように、蓋体30を開閉途中の所定位置30cにて急激に段差状に減速させて速度変化を顕著に表現することができ、また、開閉途中の所定位置30cから開位置30bまでは低速で略等速で開ききる高級感を演出できる。
【0039】
また、開閉途中の所定位置30cから開位置30bまでは全域スプリング40のトルクT1のみが蓋体30にかかるため、単一のスプリングのトルク調整のみで済むため、開閉途中の所定位置30cから開位置30bまでの低速時のスピード調整が容易である。
【0040】
初速スプリング50がコイル部51と第1、第2のアーム部52,53を有しており、第1のアーム部52が蓋体30の開閉の全領域で蓋体30に接触しており、第2のアーム部53が、蓋体30が閉位置30aと所定位置30cとの間にあるときには固定部材20に接触しており、蓋体30が所定位置30cにあるとき固定部材20と蓋体30の両方に接触しており、蓋体30が所定位置30cと開位置30bとの間にあるとき固定部材20から離れて蓋体30のみに接触している。そのため、蓋体30が閉位置30aから所定位置30cに達するまでは初速スプリング50により蓋体30に開方向トルクT2を付与でき、蓋体30が所定位置30cを超えて開位置30bに達するまでは初速スプリング50による蓋体30へのトルクを無くすことができる。
【0041】
初速スプリング50の第2のアーム部53は、固定部材20に接触しているとき、蓋体30の回動軌跡内に入り込んでいる。そのため、蓋体30が閉位置30aから開位置30bに回動していき蓋体30が所定位置30cに達した後、蓋体30で第2のアーム部53を拾い第2のアーム部53を固定部材20から離すことができる。よって、蓋体30が閉位置30aから所定位置30cに達するまでは初速スプリング50により蓋体30に開方向トルクT2を付与でき、蓋体30が所定位置30cを超えて開位置30bに達するまでは初速スプリング50による蓋体30へのトルクを無くすことができる。
【0042】
初速スプリング50によって蓋体30に発生する開方向トルクT2は、全域スプリング40によって蓋体30に発生する開方向トルクT1より大とされている(T2>T1)。そのため、初速スプリング50によって蓋体30に発生する開方向トルクT2が、全域スプリング40によって蓋体30に発生するトルクT1より小とされている場合(T2<T1)に比べて、所定位置30cでの蓋体30の速度変化量(
図11におけるD)を大きくすることができ、蓋体30が開くときの急激な段差状の速度変化を顕著に表現できる。