特許第6809945号(P6809945)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6809945
(24)【登録日】2020年12月14日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】金属−セラミックス回路基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/28 20060101AFI20201221BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20201221BHJP
   H01L 23/36 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
   H05K3/28 B
   H01L23/12 D
   H01L23/12 Q
   H01L23/36 C
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-52748(P2017-52748)
(22)【出願日】2017年3月17日
(65)【公開番号】特開2018-157067(P2018-157067A)
(43)【公開日】2018年10月4日
【審査請求日】2020年1月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】506365131
【氏名又は名称】DOWAメタルテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107548
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 浩一
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 歩
【審査官】 三森 雄介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−76190(JP,A)
【文献】 特開2015−185639(JP,A)
【文献】 特開2005−116602(JP,A)
【文献】 特開2006−222217(JP,A)
【文献】 特開2014−157951(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/188273(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/28
H01L 23/12
H01L 23/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接する回路パターンの互いに対向する側面の底部の間隔が0.5〜2.5mmで厚さ0.2〜1.0mmの金属回路板が一方の面に接合したセラミックス基板を用意し、金属回路板の隣接する回路パターンの互いに対向する側面の底部の間隔に対する一方の側面の底部からの距離の比が0.5〜0.6である直線に沿って、この直線の長さ1mm当たり0.2〜1.2mgの滴下量で常温における粘度50〜1000mPa・sのポリイミド樹脂溶液をセラミックス基板の一方の面に滴下して、ポリイミド樹脂溶液が、隣接する回路パターン間のセラミックス基板の一方の面と、隣接する回路パターンの互いに対向する側面とを覆うように広がった後、加熱することにより、ポリイミド樹脂溶液の溶媒を蒸発させるとともにポリイミド樹脂溶液中のポリイミド樹脂を硬化させることを特徴とする、金属−セラミックス回路基板の製造方法。
【請求項2】
前記金属回路板の隣接する回路パターンの互いに対向する側面の底部の間隔に対する一方の側面の底部からの距離の比が0.5〜0.55であることを特徴とする、請求項1に記載の金属−セラミックス回路基板の製造方法。
【請求項3】
前記隣接する回路パターンの間隔が0.7〜2mmであることを特徴とする、請求項1または2に記載の金属−セラミックス回路基板の製造方法。
【請求項4】
前記金属回路板の厚さが0.25〜0.65mmであることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の金属−セラミックス回路基板の製造方法。
【請求項5】
前記ポリイミド樹脂溶液の滴下量が前記直線の長さ1mm当たり0.5〜1.0mgであることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の金属−セラミックス回路基板の製造方法。
【請求項6】
前記加熱の温度が250〜300℃であることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の金属−セラミックス回路基板の製造方法。
【請求項7】
前記金属回基板が銅回路板であることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載の金属−セラミックス回路基板の製造方法。
【請求項8】
前記セラミックス基板が窒化アルミニウム基板であることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれかに記載の金属−セラミックス回路基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックス基板に金属回路板が接合した金属−セラミックス回路基板の製造方法に関し、特に、パワーモジュールなどに使用される金属−セラミックス回路基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車、電車、工作機械などの大電力を制御するために、パワーモジュールが使用されている。このようなパワーモジュール用の絶縁基板として、セラミックス基板の一方の面に所定の回路パターンを有する金属回路板が接合された金属−セラミックス回路基板が使用されている。
【0003】
近年、パワーモジュール用の絶縁基板として使用される金属−セラミックス回路基板では、基板上に搭載する半導体チップなどの電子部品が高出力化や高密度実装化されており、高密度実装化により金属回路板の回路パターン間の絶縁距離(ボトム間距離)が短くなっても、高出力化による絶縁不良を防止することができる金属−セラミックス回路基板が要求されている。
【0004】
このような要求に応じて信頼性を向上させた回路基板として、絶縁基板上に配置された導電膜の外周端部に接して、絶縁基板の上面に固体絶縁物が配置された回路基板が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この固体絶縁物は、絶縁基板の表面の導電膜を取り囲む部分と導電膜の側面とを覆うように常温における粘度が30〜200Pa・sの1液性エポキシ樹脂を塗布した後に固化することによって形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−76190号公報(段落番号0012)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の回路基板では、最も電界が集中する導電膜の外周端部に接して、絶縁基板の上面に固体絶縁物を配置することにより、導電膜の外周端部から発生する部分放電を防止し、その外周端部が絶縁破壊の起点になるのを防止して、信頼性を向上させている。
【0007】
また、Agを含むろう材によりセラミックス基板に金属回路板を接合した金属−セラミックス回路基板では、ろう材が露出していると、ろう材中のAgが空気中の水分や、雰囲気中のSとの接触によって、マイグレーションが生じて、絶縁不良が生じるおそれがあるが、特許文献1の回路基板のように、金属回路板の外周端部に接して、セラミックス基板の上面に固体絶縁物を配置すれば、マイグレーションを防止することができる。
【0008】
しかし、特許文献1の回路基板では、絶縁基板の表面の導電膜を取り囲む部分と導電膜の側面とを覆うように常温における粘度が30〜200Pa・sの1液性エポキシ樹脂を塗布しているため、樹脂の塗布に時間がかかり、導電膜の上面に樹脂が付着し易くなる。
【0009】
したがって、本発明は、このような従来の問題点に鑑み、セラミックス基板の一方の面に金属回路板が接合した金属−セラミックス回路基板の製造方法において、金属回路板の隣接する回路パターンの互いに対向する側面に樹脂を塗布する際に、金属回路板の上面への樹脂の付着を防止するとともに金属回路板の側面に迅速に樹脂を塗布することができる、金属−セラミックス回路基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、隣接する回路パターンの互いに対向する側面の底部の間隔が0.5〜2.5mmで厚さ0.2〜1.0mmの金属回路板が一方の面に接合したセラミックス基板を用意し、金属回路板の隣接する回路パターンの互いに対向する側面の底部の間隔に対する一方の側面の底部からの距離の比が0.5〜0.6である直線に沿って、この直線の長さ1mm当たり0.2〜1.2mgの滴下量で常温における粘度50〜1000mPa・sのポリイミド樹脂溶液をセラミックス基板の一方の面に滴下して、ポリイミド樹脂溶液が、隣接する回路パターン間のセラミックス基板の一方の面と、隣接する回路パターンの互いに対向する側面とを覆うように広がった後、加熱することにより、ポリイミド樹脂溶液の溶媒を蒸発させるとともにポリイミド樹脂溶液中のポリイミド樹脂を硬化させることによって、セラミックス基板の一方の面に金属回路板が接合した金属−セラミックス回路基板の製造方法において、金属回路板の隣接する回路パターンの互いに対向する側面に樹脂を塗布する際に、金属回路板の上面への樹脂の付着を防止するとともに金属回路板の側面に迅速に樹脂を塗布することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明による金属−セラミックス回路基板の製造方法は、隣接する回路パターンの互いに対向する側面の底部の間隔が0.5〜2.5mmで厚さ0.2〜1.0mmの金属回路板が一方の面に接合したセラミックス基板を用意し、金属回路板の隣接する回路パターンの互いに対向する側面の底部の間隔に対する一方の側面の底部からの距離の比が0.5〜0.6である直線に沿って、この直線の長さ1mm当たり0.2〜1.2mgの滴下量で常温における粘度50〜1000mPa・sのポリイミド樹脂溶液をセラミックス基板の一方の面に滴下して、ポリイミド樹脂溶液が、隣接する回路パターン間のセラミックス基板の一方の面と、隣接する回路パターンの互いに対向する側面とを覆うように広がった後、加熱することにより、ポリイミド樹脂溶液の溶媒を蒸発させるとともにポリイミド樹脂溶液中のポリイミド樹脂を硬化させることを特徴とする。
【0012】
この金属−セラミックス回路基板の製造方法において、金属回路板の隣接する回路パターンの互いに対向する側面の底部の間隔に対する一方の側面の底部からの距離の比が0.5〜0.55であるのが好ましい。また、隣接する回路パターンの間隔が0.7〜2mmであるのが好ましく、金属回路板の厚さが0.25〜0.65mmであるのが好ましい。また、ポリイミド樹脂溶液の滴下量が上記の直線の長さ1mm当たり0.5〜1.0mgであるのが好ましく、加熱の温度が250〜300℃であるのが好ましい。さらに、金属回基板が銅回路板であるのが好ましく、セラミックス基板が窒化アルミニウム基板であるのが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、セラミックス基板の一方の面に金属回路板が接合した金属−セラミックス回路基板の製造方法において、金属回路板の隣接する回路パターンの互いに対向する側面に樹脂を塗布する際に、金属回路板の上面への樹脂の付着を防止するとともに金属回路板の側面に迅速に樹脂を塗布することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】金属回路板の隣接する回路パターンの互いに対向する側面の間にポリイミド樹脂溶液を滴下した状態を説明する図である。
図2】金属回路板の隣接する回路パターンの互いに対向する側面の間に滴下したポリイミド樹脂溶液が広がった状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1および図2に示すように、本発明による金属−セラミックス回路基板の製造方法の実施の形態では、隣接する回路パターンの互いに対向する側面の底部の間隔が0.5〜2.5mm(好ましくは0.7〜2mm)で厚さ0.2〜1.0mm(好ましくは0.25〜0.65mm、さらに好ましくは0.25〜0.5mm)の(銅回路板などの)金属回路板12が一方の面に(ろう材により、あるいは直接)接合した(窒化アルミニウム基板などの)セラミックス基板10を用意し、金属回路板12の隣接する回路パターンの互いに対向する側面の底部の間隔に対する一方の側面の底部からの距離の比が0.5〜0.6である(仮想)直線に沿って、この直線の長さ1mm当たり0.2〜1.2mg(好ましくは0.5〜1.0mg)の滴下量で常温における粘度50〜1000mPa・sのポリイミド樹脂溶液14をセラミックス基板10の一方の面に滴下して、ポリイミド樹脂溶液14が、隣接する回路パターン間のセラミックス基板10の一方の面と、隣接する回路パターンの互いに対向する側面とを覆うように広がった後、(好ましくは250〜300℃で20〜40分間)加熱することにより、ポリイミド樹脂溶液14の溶媒を蒸発させるとともにポリイミド樹脂溶液14中のポリイミド樹脂を硬化させる。なお、隣接する回路パターンの互いに対向する側面の底部の間隔が2.5mmより広いと、ポリイミド樹脂溶液14が、隣接する回路パターン間のセラミックス基板10の一方の面と、隣接する回路パターンの互いに対向する側面とを覆うように広がらないおそれがあり、隣接する回路パターンの互いに対向する側面の底部の間隔が0.5mmより狭いと、ポリイミド樹脂溶液14が、隣接する回路パターン間のセラミックス基板10の一方の面と、隣接する回路パターンの互いに対向する側面とを覆うように広がった後に、金属回路板12の上面まで吸い上げられるおそれがある。また、金属回路板12の厚さが1.0mmより厚いと、ポリイミド樹脂溶液14が、隣接する回路パターン間のセラミックス基板10の一方の面と、隣接する回路パターンの互いに対向する側面とを覆うように広がらないおそれがあり、金属回路板12の厚さが0.2mmより薄いと、ポリイミド樹脂溶液14が、隣接する回路パターン間のセラミックス基板10の一方の面と、隣接する回路パターンの互いに対向する側面とを覆うように広がった後に、金属回路板12の上面まで吸い上げられるおそれがある。また、ポリイミド樹脂溶液14の滴下量が上記の直線の長さ1mm当たり0.2mgより少ないと、ポリイミド樹脂溶液14が、隣接する回路パターン間のセラミックス基板10の一方の面と、隣接する回路パターンの互いに対向する側面とを覆うように広がらないおそれがあり、ポリイミド樹脂溶液14の滴下量が上記の直線の長さ1mm当たり1.2mgより多いと、ポリイミド樹脂溶液14が、隣接する回路パターン間のセラミックス基板10の一方の面と、隣接する回路パターンの互いに対向する側面とを覆うように広がった後に、金属回路板12の上面まで吸い上げられるおそれがある。さらに、ポリイミド樹脂溶液14の温における粘度が1000mPa・sより高いと、ポリイミド樹脂溶液14が、隣接する回路パターン間のセラミックス基板10の一方の面と、隣接する回路パターンの互いに対向する側面とを覆うように広がらないおそれがあり、ポリイミド樹脂溶液14の常温における粘度が50mPa・sより低いと、ポリイミド樹脂溶液14が、隣接する回路パターン間のセラミックス基板10の一方の面と、隣接する回路パターンの互いに対向する側面とを覆うように広がった後に、金属回路板12の上面まで吸い上げられるおそれがある。
【0016】
この金属−セラミックス回路基板の製造方法において、金属回路板12の隣接する回路パターンの互いに対向する側面の底部の間隔に対する一方の側面の底部からの距離の比が0.5〜0.55であるのが好ましく、0.5〜0.54であるのがさらに好ましく、0.5〜0.535であるのが最も好ましい。このようにポリイミド樹脂溶液14を金属回路板12の隣接する回路パターンの略中央部に滴下すれば、隣接する回路パターンの互いに対向する側面の両方に略均等にポリイミド樹脂溶液14を広げることができる。金属回路板12の隣接する回路パターンの互いに対向する側面の底部の間隔に対する一方の側面の底部からの距離の比が上記の範囲外であると、すなわち、ポリイミド樹脂溶液14を金属回路板12の隣接する回路パターンの略中央部から回路パターンの互いに対向する側面の一方の側面に近過ぎる位置に滴下すると、ポリイミド樹脂溶液14が、回路パターンの互いに対向する側面の近い方の側面側で金属回路板12の上面まで吸い上げられるおそれがある。
【0017】
ポリイミド樹脂溶液14は、ポリイミド樹脂をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの溶媒で希釈して常温(25℃)における粘度(E型粘度計で測定した粘度)を50〜1000mPa・s(好ましくは70〜900mPa・s)にする。このポリイミド樹脂溶液14の滴下は、樹脂用ディスペンサーなどによって行うことができる。なお、滴下したポリイミド樹脂溶液14が広がり易くするために、(金属回路板12が接合した)セラミックス基板10の一方の面に予めレーザー光や紫外線を照射してもよい。
【0018】
上述した金属−セラミックス回路基板の製造方法の実施の形態では、隣接する回路パターンの互いに対向する側面の両方に略均等にポリイミド樹脂溶液14を広げることができるとともに、金属回路板12の上面までポリイミド樹脂溶液14が吸い上げられるのを防止することができる。なお、隣接する回路パターンの互いに対向する側面の半分以上の高さまでポリイミド樹脂溶液14が濡れ広がれば、マイグレーションを防止することができる。
【実施例】
【0019】
以下、本発明による金属−セラミックス回路基板の製造方法の実施例について詳細に説明する。
【0020】
[実施例1]
セラミックス基板としての60×50×0.6mmの大きさの窒化アルミニウム基板の一方の面にろう材により60×50×0.25mmの大きさの銅板を接合した後、エッチングレジストを塗布してエッチングすることにより、銅板を回路パターン形状にして、隣接する回路パターンの互いに対向する側面の底部が0.8mm離間した銅回路板を形成した。
【0021】
この銅回路板の隣接する回路パターンの互いに対向する側面の一方の底部から0.4mm離間(オフセット)した線(隣接する回路パターンの互いに対向する側面の各々の底部から等距離の線)に沿って、樹脂用ディスペンサー(武蔵エンジニアリング株式会社製のジェットディスペンサー)により、セラミックス基板の一方の面に(ポリイミド樹脂をNMPで希釈した)常温における粘度100mPa・sのポリイミド樹脂溶液を長さ1mm当り0.6mg滴下し、ポリイミド樹脂溶液が、隣接する回路パターン間のセラミックス基板の一方の面と、隣接する回路パターンの互いに対向する側面とを覆うように広がった後に、銅回路板の上面までポリイミド樹脂が吸い上げられたか否かを目視にて観察したところ、ポリイミド樹脂溶液の吸い上げはなかった。その後、ポリイミド樹脂溶液を250℃で30分間加熱したところ、銅回路板の上面にポリイミド樹脂の付着はなかった。
【0022】
[実施例2]
隣接する回路パターンの互いに対向する側面の底部の間隔を1.0mmとした以外は、実施例1と同様の方法により銅回路板を形成し、この銅回路板の隣接する回路パターンの互いに対向する側面の一方の底部から0.5mm離間(オフセット)した線(隣接する回路パターンの互いに対向する側面の各々の底部から等距離の線)に沿ってポリイミド樹脂溶液を滴下した以外は、実施例1と同様の方法により、ポリイミド樹脂溶液が、隣接する回路パターン間のセラミックス基板の一方の面と、隣接する回路パターンの互いに対向する側面とを覆うように広がった後に、銅回路板の上面までポリイミド樹脂が吸い上げられたか否かを目視にて観察したところ、ポリイミド樹脂溶液の吸い上げはなかった。その後、ポリイミド樹脂溶液を250℃で30分間加熱したところ、銅回路板の上面にポリイミド樹脂の付着はなかった。
【0023】
[実施例3]
隣接する回路パターンの互いに対向する側面の底部の間隔を1.5mmとした以外は、実施例1と同様の方法により銅回路板を形成し、この銅回路板の隣接する回路パターンの互いに対向する側面の一方の底部から0.8mm離間(オフセット)した線(隣接する回路パターンの互いに対向する側面の各々の底部から略等距離の線)に沿ってポリイミド樹脂溶液を滴下した以外は、実施例1と同様の方法により、ポリイミド樹脂溶液が、隣接する回路パターン間のセラミックス基板の一方の面と、隣接する回路パターンの互いに対向する側面とを覆うように広がった後に、銅回路板の上面までポリイミド樹脂が吸い上げられたか否かを目視にて観察したところ、ポリイミド樹脂溶液の吸い上げはなかった。その後、ポリイミド樹脂溶液を250℃で30分間加熱したところ、銅回路板の上面にポリイミド樹脂の付着はなかった。
【0024】
[実施例4]
ポリイミド樹脂溶液の常温における粘度を度800mPa・sとした以外は、実施例3と同様の方法により、ポリイミド樹脂溶液が、隣接する回路パターン間のセラミックス基板の一方の面と、隣接する回路パターンの互いに対向する側面とを覆うように広がった後に、銅回路板の上面までポリイミド樹脂溶液が吸い上げられたか否かを目視にて観察したところ、ポリイミド樹脂溶液の吸い上げはなかった。その後、ポリイミド樹脂溶液を250℃で30分間加熱したところ、銅回路板の上面にポリイミド樹脂の付着はなかった。
【0025】
[実施例5]
ポリイミド樹脂溶液の滴下量を長さ1mm当り0.9mgとした以外は、実施例3と同様の方法により、ポリイミド樹脂溶液が、隣接する回路パターン間のセラミックス基板の一方の面と、隣接する回路パターンの互いに対向する側面とを覆うように広がった後に、銅回路板の上面までポリイミド樹脂溶液が吸い上げられたか否かを目視にて観察したところ、ポリイミド樹脂溶液の吸い上げはなかった。その後、ポリイミド樹脂溶液を250℃で30分間加熱したところ、銅回路板の上面にポリイミド樹脂の付着はなかった。
【0026】
[比較例1]
ポリイミド樹脂溶液の常温における粘度を度10mPa・sとした以外は、実施例2と同様の方法により、ポリイミド樹脂溶液が、隣接する回路パターン間のセラミックス基板の一方の面と、隣接する回路パターンの互いに対向する側面とを覆うように広がった後に、銅回路板の上面までポリイミド樹脂溶液が吸い上げられたか否かを目視にて観察したところ、銅回路板の上面までポリイミド樹脂溶液が吸い上げられたことが確認された。その後、ポリイミド樹脂溶液を250℃で30分間加熱したところ、銅回路板の上面にポリイミド樹脂が付着していた。
【0027】
[比較例2]
ポリイミド樹脂溶液の滴下量を長さ1mm当り1.5mgとした以外は、実施例2と同様の方法により、ポリイミド樹脂溶液が、隣接する回路パターン間のセラミックス基板の一方の面と、隣接する回路パターンの互いに対向する側面とを覆うように広がった後に、銅回路板の上面までポリイミド樹脂溶液が吸い上げられたか否かを目視にて観察したところ、銅回路板の上面までポリイミド樹脂溶液が吸い上げられたことが確認された。その後、ポリイミド樹脂溶液を250℃で30分間加熱したところ、銅回路板の上面にポリイミド樹脂が付着していた。
【0028】
[比較例3]
銅回路板の隣接する回路パターンの互いに対向する側面の一方から0.2mm離間(オフセット)した線に沿ってポリイミド樹脂溶液を滴下した以外は、実施例2と同様の方法により、ポリイミド樹脂溶液が、隣接する回路パターン間のセラミックス基板の一方の面と、隣接する回路パターンの互いに対向する側面とを覆うように広がった後に、銅回路板の上面までポリイミド樹脂溶液が吸い上げられたか否かを目視にて観察したところ、銅回路板の上面までポリイミド樹脂溶液が吸い上げられたことが確認された。その後、ポリイミド樹脂溶液を250℃で30分間加熱したところ、銅回路板の上面にポリイミド樹脂が付着していた。
【0029】
なお、これらの実施例および比較例の結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
【符号の説明】
【0031】
10 セラミックス基板
12 金属回路板
14 ポリイミド樹脂溶液
図1
図2