(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第一基材及び前記第二基材のうち前記第二の方向で前記一端側の前記導通材が配置される部分から前記一端までの導通基材幅が2mm以上、かつ前記一端側の前記導通材の幅寸法が0.5mm以上であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュール。
前記第一絶縁ライン及び前記第二絶縁ラインは、前記幅方向に沿って融着された融着部により形成され、又は絶縁加工手段によって絶縁された絶縁加工部を封止材によって塞がれることにより形成されていることを特徴とする請求項3に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の全体が平面視でU字状に電気が流れる構造とする太陽電池モジュールでは、配線材を使用してサブモジュール同士の導通を取る方法では、配線材を設けるための別工程が必要となることから、効率よく配線できる好適な方法が求められており、その点で改善の余地があった。
【0006】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、同じ側の端部から取り出し電極を配置できる構造とすることで、効率よく配線することが可能な太陽電池モジュール、及び太陽電池モジュールの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る太陽電池モジュールは、第一基材の表面に透明導電膜が成膜され、前記第一基材の前記透明導電膜の表面に第一の方向に延在する色素が吸着した帯状の半導体層が複数形成された第一電極と、第二基材の表面に前記第一電極に対向するように対向導電膜が成膜された第二電極と、前記第一電極の前記半導体層と前記第二電極との間に封止された電解液と、前記電解液を封止するとともに、平面視で前記第一の方向に直交する第二の方向に分割された複数のセルを配列する封止材と、前記封止材に覆われた状態で設けられ、前記第一電極と前記第二電極とを電気的に接続する導通材と、前記第一電極及び前記第二電極に対して前記第二の方向に沿って延在する絶縁ラインと、を備え、前記第二の方向に配列される前記複数のセルが直列配線により電気的に接続され、前記第二の方向に隣り合うセル同士の間に配置された前記第一基材の第一絶縁部と、前記第二基材の第二絶縁部との間に前記導通材が配置され、前記隣り合うセル同士が接続され、前記絶縁ラインによって前記第一の方向に分割された隣り合う一対のサブモジュールにおける前記第二の方向の一端側の前記導通材同士が電気的に接続された回路構成をなしていることを特徴としている。
【0008】
本発明では、第一基材の第二の方向に隣り合うセル同士の間に配置された第一基材の絶縁部と第二基材の絶縁部との間に導通材が配置され、第二の方向に隣り合うセル同士が電気的に直列に接続され、かつ絶縁ラインによって第一の方向に分割されたサブモジュールにおける第二の方向の一端側の導通材同士が電気的に直列に接続されている。つまり、一方のサブモジュールにおいて第二の方向の他端側から一端側へ電気が流れるとともに、一端側の電気が他方のサブモジュールの一端側に導通材を介して流れ、さらに他方のサブモジュールにおいて第二の方向の一端側から他端側へ電気が流れる回路構成を実現することができる。
このように本発明に係る太陽電池モジュールでは、第二の方向の一端側のサブモジュール同士が導通材によって導通され、全体が平面視でU字状に電気が流れる構造となる。そのため、取り出し電極(正極、負極)を第二の方向の他端側のみで同じ側に配置することが可能となり、配線構造が簡略化でき、配線作業を容易に行うことができる。
【0009】
そして、本実施の形態では、隣り合うサブモジュール同士の一端側に導通材を設けるという簡単な構造であり、導電材をライン塗布する簡単な製造方法を適用することが可能となるため、ロール・ツー・ロール方式(以下、RtoR方式とする)にも簡単に適応できる。このようなRtoR方式で第一の方向に連続的に導通材を配置する製造工程により実現できるので、新たな作業工程を追加する必要がない。つまり、第二の方向の一端側において、従来のように電池を作成した後作業で第一の方向に沿うように例えば銅テープを貼り付けたり、半田付けを行うことによる配線材が不要となるため、配線材を設けるための製造工程を省略することが可能となり、簡単な構成で製造にかかる作業効率を向上させることができる。
【0010】
しかも、第二の方向の一端側に導通材を配置することにより、第一基材側の透明導電膜と第二基材側の対向導電膜の両方に電気を流すことができるので、電気の通り道が2倍になり、電気抵抗が小さくなり、これら導電膜を流れる電流値を1/2以下にすることができ、電池性能を劣化させずに、発電性能の低下を抑えることができる。
【0011】
また、本発明に係る太陽電池モジュールは、前記第一基材及び前記第二基材のうち前記第二の方向で前記一端側の前記導通材が配置される部分から前記一端までの導通基材幅が2mm以上、かつ前記一端側の前記導通材の幅寸法が0.5mm以上であることが好ましい。
【0012】
このような構成とすることで、第一基材側の透明導電膜と第二基材側の対向導電膜の両方に流れる電気の電気抵抗をより確実に低下させることができ、これら導電膜を流れる電流値を1/2以下にすることができ、電池性能を劣化させずに、発電性能の低下を抑えることができる。
【0013】
また、本発明に係る太陽電池モジュールの製造方法は、ロール・ツー・ロール方式により連続的に太陽電池モジュールを製造するための太陽電池モジュールの製造方法であって、第一基材の表面に透明導電膜が成膜され、前記第一基材の前記透明導電膜の表面に前記第一基材の長手方向に延在する色素が吸着した帯状の半導体層が複数形成された第一電極を形成する工程と、第二基材の表面に前記第一電極に対向するように対向導電膜が成膜された第二電極を形成する工程と、前記透明導電膜及び前記対向導電膜に対して前記長手方向と平行に絶縁加工を行う工程と、平面視で前記長手方向に直交する前記第一基材及び前記第二基材の幅方向に複数のセルを配列する封止材を設ける工程と、前記第一基材の前記透明導電膜上における前記半導体層が形成されない領域に導通材を配置して前記第一電極と前記第二電極とを電気的に接続する工程と、前記第一電極の前記半導体層と前記第二電極との間に電解液を設ける工程と、前記第一電極と前記第二電極とを貼り合せる工程と、前記第一電極及び前記第二電極に対して前記幅方向に沿って延在し、前記幅方向の一端側の前記導通材を部分的に絶縁しない第一絶縁ラインと、前記幅方向の全体にわたって絶縁する第二絶縁ラインと、を前記長手方向に交互に形成する工程と、前記第一電極と前記第二電極とを前記第二絶縁ラインの位置で切断する工程と、を有し、前記幅方向の一端側には、前記導通材が配置され、前記第二絶縁ラインで切断された太陽電池モジュールは、前記第一絶縁ラインで分割された隣り合う一対のサブモジュールにおける前記幅方向の一端側の前記導通材同士が電気的に接続されていることを特徴としている。
【0014】
本発明では、第一基材の幅方向に隣り合うセル同士の間に配置された第一基材の絶縁部と第二基材の絶縁部との間に導通材が配置され、幅方向に隣り合うセル同士が電気的に直列に接続され、かつ第一絶縁ラインによって長手方向に分割された隣り合う一対のサブモジュールにおける幅方向の一端側の導通材同士が電気的に直列に接続された構成の太陽電池モジュールをロール・ツー・ロール方式で長手方向に連続した状態で製造することができる。つまり、第二絶縁ラインの位置で切断され分割された太陽電池モジュール自体で独立した電気回路を備えたモジュールをロール・ツー・ロール方式によって生産することができる。このようにロール・ツー・ロール方式によりフィルム基板上で導通材、第一絶縁ライン、第二絶縁ラインの位置や長さを適宜設定し、設定された電気特性(電圧など)になるような配線を施して製造できるので、セルの直列接続(回路設計)を自由に設計することが可能となる。
【0015】
また、本発明では、製造した太陽電池モジュールを別体(基板)に外装する場合に、従来のように基板に複数の太陽電池モジュールを取り付けた後に行われ、それら太陽電池モジュール同士を電気的に接続する配線作業が不要になるため、製造効率を向上させることができる。このように、作業工数を減らすことが可能となることから、製造コストの低減を図ることができる。
【0016】
また、本発明に係る太陽電池モジュールの製造方法は、前記第一絶縁ライン及び前記第二絶縁ラインは、前記幅方向に沿って融着された融着部により形成され、又は絶縁加工手段によって絶縁された絶縁加工部を封止材によって塞がれることにより形成されていることが好ましい。
【0017】
この場合には、幅方向に沿って延在する適宜な融着手段や絶縁加工手段を備えた製造装置によってロール・ツー・ロール方式によって移動される第一電極及び第二電極に対して第一絶縁ライン及び第二絶縁ラインをなす融着部、又は絶縁加工部を封止材によって塞がれた部分を容易に形成することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の太陽電池モジュール、及び太陽電池モジュールの製造方法によれば、同じ側の端部から取り出し電極を配置できる構造とすることで、効率よく配線することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態による太陽電池モジュール、及び太陽電池モジュールの製造方法について、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明で用いる図面は模式的なものであり、長さ、幅、及び厚みの比率、構造等は実際のものと同一とは限らず、適宜変更できる。
【0021】
図1及び
図2に示すように、本実施の形態の太陽電池モジュール1は、後述するロール・ツー・ロール方式(以下、RtoR方式と記載する)によって作製された第一の方向(長手方向X1)に長く延在するフィルム型の色素増感太陽電池を所定の長さに切断することにより製造される。太陽電池モジュール1は、平面視で長手方向X1に直交する幅方向X2(第二の方向)に配列される複数のセルCから構成される2つの区画(サブモジュールR、R)を長手方向X1に隣接させた電池構造であり、隣接するサブモジュールR、R同士を幅方向X2の一端1a側で電気的に接続した構造となっている。
【0022】
なお、
図1及び
図2において、矢印は電気の流れを示し、記号+(プラス)、−(マイナス)はそれぞれ正極、負極を示している(他の図も同様)。
ここで、太陽電池モジュール1において、上述したように、長手方向X1を一対のサブモジュールR、Rの配列方向とし、幅方向X2を平面視で長手方向X1に直交する方向として、以下統一して用いる。
【0023】
本実施の形態の太陽電池モジュール1は、
図3(a)、(b)に示すように、光電極11と、該光電極11と対向して設けられる対向電極12とを有する色素増感太陽電池セル(以下、単にセルCという)が、一対の基材3A、3Bの間に介挿された構造を有してなる。そして、太陽電池モジュール1は、一対の基材3A、3Bのそれぞれの内面が導電性を有する導電膜11A、12Aが成膜されており、この導電膜11A、12Aに対して光電極11の半導体層11B及び対向電極12の触媒層12Bが電気的に接続され、概略構成される。
【0024】
太陽電池モジュール1は、上述したように光電極11と対向電極12とが封止機能付きの導通材14を介して対向配置され、第一基材3A及び第二基材3Bの間に形成された複数(ここでは2つ)のセルC,C同士が幅方向X2に沿って電気的に直列接続されている。
【0025】
具体的に太陽電池モジュール1は、第一基材3Aと、第二基材3Bと、光電極11(第一電極)と、対向電極12(第二電極)と、電解液13と、導通材14と、封止材15と、第一絶縁部16と、第二絶縁部17と、融着部18(絶縁ライン)と、を備えている。
光電極11は、第一基材3A上に積層された透明導電膜11Aと、透明導電膜11A上に積層された多孔質の半導体層11Bと、を備えている。対向電極12は、第二基材3B上に積層された対向導電膜12Aと、対向導電膜12A上に積層された触媒層12Bと、を備えている。
【0026】
第一基材3A及び第二基材3Bの材質は、特に限定されず、例えば、フィルム状の樹脂等の絶縁体、半導体、金属、ガラス等が挙げられる。前記樹脂としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリイミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド等が挙げられる。薄くて軽いフレキシブルな太陽電池モジュール1を製造する観点からは、基材は透明樹脂製であることが好ましく、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム又はポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムであることがより好ましい。なお、第一基材3Aの材質と第二基材3Bの材質とは、異なっていても構わない。
【0027】
光電極11は、第一基材3Aの表面に透明導電膜11Aが成膜され、第一基材3Aの透明導電膜11Aの表面に長手方向X1に延在する色素が吸着した帯状の半導体層11Bが複数形成されている。対向電極12は、光電極11に対向するように対向導電膜12Aが成膜されている。
【0028】
透明導電膜11A、対向導電膜12Aの種類や材質は、特に限定されず、公知の色素増感太陽電池に使用される導電膜が適用可能であり、例えば、金属酸化物で構成される薄膜が挙げられる。前述の金属酸化物としては、スズドープ酸化インジウム(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、アルミドープ酸化亜鉛(ATO)、酸化インジウム/酸化亜鉛(IZO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)等が例示できる。
【0029】
半導体層11Bは、吸着した光増感色素から電子を受け取ることが可能な材料によって構成され、通常は多孔質であることが好ましい。半導体層11Bを構成する材料は特に限定されず、公知の半導体層11Bの材料が適用可能であり、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ等の金属酸化物半導体が挙げられる。
半導体層11Bに担持される光増感色素は特に限定されず、例えば有機色素、金属錯体色素等の公知の色素が挙げられる。前述の有機色素としては、例えば、クマリン系、ポリエン系、シアニン系、ヘミシアニン系、チオフェン系等が挙げられる。前記金属錯体色素としては、例えば、ルテニウム錯体等が好適に用いられる。
【0030】
触媒層12Bを構成する材料は、特に限定されず、公知の材料を適用可能であり、例えば、白金、カーボンナノチューブ等のカーボン類、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)等の導電性ポリマー等が挙げられる。
【0031】
電解液13は、光電極11の半導体層11Bと対向電極12との間に封止されている。電解液13は、特に限定されず、公知の色素増感太陽電池で使用されている電解液を適用できる。電解液13としては、例えばヨウ素とヨウ化ナトリウムが有機溶媒に溶解された電解液等が挙げられる。電解液13が接触する半導体層11Bにおいて多孔質内部を含む表面には、図示しない公知の光増感色素が吸着している。
【0032】
封止材15は、電解液13を封止するとともに、幅方向X2に分割された複数のセルCを配列する構成となっている。封止材15は、対向する第一基材3A及び第二基材3Bを接着し、且つこれら基材3A、3B間に形成されたセルCを封止することが可能な非導電性の部材であれば特に制限されない。
【0033】
封止材15の材料としては、例えば、ホットメルト接着剤(熱可塑性樹脂)、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、並びに、紫外線硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂を含んだ樹脂等、一時的に流動性を有し、適当な処理により固化される樹脂材料等が挙げられる。前記ホットメルト接着剤としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。前記熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾオキサゾン樹脂等が挙げられる。前記紫外線硬化性樹脂としては、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の光重合性のモノマーを含むものが挙げられる。
【0034】
導通材14は、封止材15によって幅方向X2の両側が覆われた状態で設けられ、光電極11の透明導電膜11Aと対向電極12の対向導電膜12Aとに直接接触し、光電極11と対向電極12とを電気的に接続する。
【0035】
導通材14は、光電極11と対向電極12との間で互いに平行に配され、第一基材3A上の光電極11と第二基材3B上の対向電極12とに接している。導通材14は、例えば、導線、導電チューブ、導電箔、導電板および導電メッシュ、導電ペーストから選ばれる1種以上が用いられる。ここで導電ペーストとは、比較的剛性が低く、柔らかい形態の導電性材料であり、例えば固形の導通材が有機溶媒、バインダー樹脂等の粘性を有する分散媒に分散された形態を有し得る。
【0036】
導通材14に用いる導電材料としては、例えば、金、銀、銅、クロム、チタン、白金、ニッケル、タングステン、鉄、アルミニウム等の金属、或いはこれらの金属のうち2種以上の合金等が挙げられるが、特に限定されない。また、導電性の微粒子(例えば、前記金属又は合金の微粒子、カーボンブラックの微粒子等)が分散された、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の樹脂組成物等も前記材料として挙げられる。
【0037】
導通材14の幅方向X2の両側には、封止材15,15が配されている。導通材14と封止材15とにより、光電極11と対向電極12との間を接着している。また、太陽電池モジュール1には、
図1及び
図2に示すように、長手方向X1に一対のサブモジュールR、Rを画成するように、幅方向X2に沿って延びる融着部18(絶縁ライン)が形成されている。融着部18は、超音波融着等の手段(
図4に示す超音波融着部46参照)により絶縁及び接着されることにより形成される。
このようにして、それぞれに半導体層11Bを有するセルCは、導通材14によって、光電極11と対向電極12の間に形成される厚み方向の間隙内に電解液13が液密に封止された状態で形成されている。
【0038】
透明導電膜11A及び対向導電膜12Aの所定の箇所には、例えば刃物を備えた切込み装置やレーザー照射装置やエッチング材などを用いた化学絶縁処理等を用いて絶縁処理された複数のパターニング部(絶縁部16、17)が設けられている。つまり、
図3(a)、(b)に示すように、第一絶縁部16は、透明導電膜11Aにおける所定の封止材15に接触する位置において、上述した絶縁処理により長手方向X1に延びて形成されている。第二絶縁部17は、対向導電膜12Aにおける所定の封止材15に接触する位置において、上述した絶縁処理により長手方向X1に延びて形成されている。そして、本太陽電池モジュール1では、幅方向X2に隣り合うセルC、Cのうち一方のセルCにおける第一基材3Aに形成される隣り合う第一絶縁部16、16同士の間の透明導電膜11Aと、他方のセルCにおける第二基材3Bに形成される隣り合う第二絶縁部17、17同士の間の対向導電膜12Aとが、一方のセルCと他方のセルCとの間に配置される導通材14に接続されている。
【0039】
また、サブモジュールR、Rのうち一方のサブモジュールRの第一絶縁部16と、他方のサブモジュールRの第一絶縁部16とは、幅方向X2にずれた位置にパターニングされている。これは、第二絶縁部17についても同様である。
【0040】
図3(a)、(b)に示すように、透明導電膜11A及び対向導電膜12Aは、パターニング部により複数に区画されている。例えば
図3(a)に示すように、区画されたセルCにおいて、一方のセルC(例えば符号C1の第一セル)の対向導電膜12Aと、第一セルC1に隣接する他方のセルC(例えば符号C2の第二セル)の透明導電膜11Aとが導通材14(符号14B)によって電気的に接続され、第一セルC1と第二セルC2が幅方向X2に直列に接続された状態となる。すなわち、第一基材3Aと第二基材3Bとの間の間隙において、幅方向X2で一端1aから他端側1bに向けて、(封止材15/導通材14(連通導通材14A)/封止材15)/(第一セルC1)/(封止材15/導通材14/封止材15)/(第二セルC2)/(封止材15)の順に配置され、これらセルC1、C2が直列に配置されている。
【0041】
融着部18は、各サブモジュールR、Rにおける幅方向X2で一端1a側の連通導通材14Aを残した状態で他端1bから一端1a側に向けて延びている。つまり、サブモジュールR、Rにおけるそれぞれの光電極11と対向電極12は、連通導通材14Aによって電気的に接続された電気回路を構成している。
ここで、隣接するサブモジュールR、Rのうち、光電極11の他端1bを取り出し電極(正極)とするものを第一サブモジュールR1(
図3(a))といい、対向電極12の他端1bを取り出し電極(負極)とするものを第二サブモジュールR2(
図3(b))という。
【0042】
第二サブモジュールR2における光電極11は、第一基材3Aの幅方向X2の他端1bが切り欠かれている。すなわち、第一サブモジュールR1における第一基材3Aは、幅方向X2の他端1b側の封止材15よりも外側に張り出しており、この張出し部分が取出し電極(正極31)となる。そして、
図3(a)に示すように、第二サブモジュールR2における第一基材3Aは、他端1b側の封止材15の位置で切断されている。
【0043】
図3(a)、(b)に示すように、第一サブモジュールR1及び第二サブモジュールR2において、光電極11の透明導電膜11Aにおける所定の封止材15と重なる位置には、長さ方向X1に沿って延在し透明導電膜11Aを幅方向X2に分断する上述した第一絶縁部16が形成されている。第一絶縁部16は、第一サブモジュールR1では、導通材14の他端1b側に近接する封止材15に重なる透明導電膜11Aに第一絶縁部16が形成されている。第二サブモジュールR2では、電解液13の他端1b側に近接する封止材15に重なる透明導電膜11Aに第一絶縁部16が形成されている。
【0044】
第一サブモジュールR1における対向電極12は、第二基材3Bの幅方向X2の他端1bが切り欠かれている。すなわち、第二サブモジュールR2における第二基材3Bは、幅方向X2の他端1b側の封止材15よりも外側に張り出しており、この張出し部分が取出し電極(負極32)となる。そして、
図3(b)に示すように、第一サブモジュールR1における第二基材3Aは、他端1b側の封止材15の位置で切断されている。
【0045】
図3(a)、(b)に示すように、第一サブモジュールR及び第二サブモジュールRにおいて、対向電極12の対向導電膜12Aにおける所定の封止材15と重なる位置には、長さ方向X1に沿って延在し対向導電膜12Aを幅方向X2に分断する第二絶縁部17が形成されている。第一サブモジュールRでは、電解液13の他端1b側に近接する封止材15に重なる対向導電膜12Aに第二絶縁部17が形成されている。第二サブモジュールRでは、導通材14の他端1b側に近接する封止材15に重なる対向導電膜12Aに第二絶縁部17が形成されている。
【0046】
このように構成される本実施の形態の太陽電池モジュール1は、第一基材3Aの幅方向X2に隣り合うセルC、C同士の間に配置された第一基材3Aの第一絶縁部16と第二基材3Bの第二絶縁部17との間に導通材14が配置され、幅方向X2に隣り合うセルC、C同士が電気的に直列に接続され、かつ第一絶縁ライン18Aによって長手方向X1に分割されたサブモジュールR1、R2同士の幅方向X2の一端1a側の連通導通材14A同士が電気的に直列に接続されている。そして、第一サブモジュールR1の幅方向X2の他端1b側から一端1a側へ電気Eが流れるとともに、一端1a側の電気Eが他方の第二サブモジュールR2の一端1a側に導通材14を介して流れ、さらに第一サブモジュールR1の幅方向X2の一端1a側から他端1b側へ電気Eが流れる直列構造の回路構成となっている。
つまり、
図1に示すように、第一サブモジュールR1と第二サブモジュールR2では流通する電気Eの向きが幅方向X2で互いに逆向きとなり、電気の取り出し電極(正極31、負極32)の両方が幅方向X2の一端1a側に配置されている。
【0047】
また、本実施の形態の太陽電池モジュール1では、
図1〜
図3に示すように、第一基材3A及び第二基材3Bのうち幅方向X2で一端1a側の連通導通材14Aが配置される部分から一端1aまでの導通基材幅D1が2mm以上、かつ一端1a側の連通導通材14Aの幅寸法D2が0.5mm以上に設定されている。
【0048】
次に、本実施の形態の太陽電池モジュール1を製造方法について、RtoR方式の製造装置4を使用した製造方法について、図面を用いて具体的に説明する。
図4に示すように、太陽電池モジュール1を製造方法は、第一基材3Aの表面に透明導電膜11Aが成膜され、その透明導電膜11Aの表面に長手方向X1に延在する色素が吸着した帯状の半導体層11Bが複数形成された光電極11を形成する工程と、第二基材3Bの表面に光電極11に対向するように対向導電膜12Aが成膜された対向電極12を形成する工程と、透明導電膜11A及び対向導電膜12Aに対して長手方向X1と平行に延びる第一絶縁部16及び第二絶縁部17を形成する絶縁加工を行う工程と、平面視で幅方向X2に複数のセルCを配列する封止材15を設ける工程と、封止材15の上に導通材14を配置して光電極11と対向電極12とを電気的に接続する工程と、光電極11の半導体層11Bと対向電極12との間に電解液13を設ける工程と、光電極11と対向電極12とを貼り合せる工程と、を行う。
【0049】
具体的には、半導体電極形成部(図示省略)において、例えばエアロゾルデポジション(AD)法を用いることにより、透明導電膜11Aが成膜された第一基材3A上にTiO2を積層することで半導体層11Bを幅方向X2に間隔をあけて形成した後、半導体層11B上に色素を一般的な手法によって吸着させることで、光電極11を形成する。また、対向電極形成部(図示省略)において、スパッタリング法により対向導電膜12Aが成膜された第二基板3B上に白金(Pt)を積層して触媒層12Bを形成することで、対向電極12を形成する。
【0050】
半導体電極形成部で作製された光電極11を形成し第一移動方向P1に移動する第一基材3Aでは、切込み加工装置41において、半導体層11Bと半導体層11Bとの間の位置で半円刃52の回転により長手方向X1と平行に延びる第一絶縁部16を形成する絶縁加工が行われる。このとき、第一絶縁部16は、一定の間隔(サブモジュールRの長手方向X1の長さ)毎に幅方向X2に交互にずれた位置となる規則的な絶縁加工パターンが形成される。このように交互に絶縁加工パターンを配置することで、サブモジュールR毎に+極(正極)と−極(負極)の位置を規則的に入れ替えることができる。
【0051】
次に、光電極11の第一絶縁部16の加工後、封止材塗工部42によって第一基材3Aの所定領域に形成された光電極11に封止材15を塗工する。このとき、半導体層11Bに封止材15が被覆されないように塗布される。
そして、導通材配置部43において封止材15同士の間に導通材14を配置した後、電解液塗工部44において第一基材3Aにおける封止材15の未塗工領域に電解液13を塗工する。
【0052】
一方で、対向電極形成部で作製された対向電極12を形成し第二移動方向P2に移動する第二基材3Bでは、切込み加工装置47において、触媒層12Bと触媒層12Bとの間の位置で半円刃52の回転により長手方向X1と平行に延びる第二絶縁部17を形成する絶縁加工が行われる。このとき、第二絶縁部17は、一定の間隔(サブモジュールRの長手方向X1の長さ)毎に幅方向X2に交互にずれた位置となる規則的な絶縁加工のパターンが形成される。このように交互に配置することで、サブモジュールR毎に+極と−極の位置を規則的に入れ替えることができる。
【0053】
次いで、基材貼合せ部45において、硬化処理部(図示省略)によって封止材15が硬化されるとともに、絶縁加工された第一基材3Aと第二基材3Bとを重ね合わせた状態で一対の貼合せローラー45A、45Bを通過させることで、両基材3A、3Bを接着して貼り合せる。このとき、貼り合わされた状態で、
図3(a)、(b)に示すように、第一基材3Aの第一絶縁部16と第二基材3Bの第二絶縁部17とが幅方向X2にずれた位置となり、これにより導通材14(
図2参照)を介して幅方向X2に分割して配列される複数のセルCが電気的に直列に接続された状態になる。
【0054】
次に、貼り合せをした後、超音波融着部46において、
図4に示すように、長手方向X1に一定間隔をあけて第一基材3Aと第二基材3Bを超音波振動により融着させて幅方向X2に沿って延びる融着部18(18A、18B)18Aを形成し、複数のサブモジュールR、R、…に分割する。
【0055】
このとき、光電極11及び対向電極12のうち正極31及び負極32を除いた部分において、幅方向X2の一端1a側の導通材14を部分的に絶縁しない第一融着部18A(第一絶縁ライン)と、幅方向X2の全体にわたって絶縁する第二融着部18B(第二絶縁ライン)と、を長手方向X1に交互に形成する。その後、光電極11と対向電極12とを第二融着部18Bの位置で切断する。
図5における符号18Lの二点鎖線は、第二融着部18Bにおける切断線を示している。
そして、第二融着部18Bで切断された太陽電池モジュールは、第一融着部18Aで分割された隣り合う一対のサブモジュールR1、R2同士の幅方向X2の一端1a側の導通材14同士が電気的に接続された状態で製造されることになる。
【0056】
なお、第一融着部18Aと第二絶縁部18Bの絶縁加工を同時に行うことで、製造効率を向上させることも可能である。
また、光電極11と対向電極12とを幅方向X2に沿って融着した融着部18の絶縁加工は、第一基材3Aの第一絶縁部16と第二基材3Bの第二絶縁部17と同時に行うようにしてもよく、これにより製造効率を向上させることができる。
【0057】
次に、上述した太陽電池モジュール1、及び太陽電池モジュール1の製造方法太陽電池モジュール1の作用について図面を用いて詳細に説明する。
本実施の形態による太陽電池モジュール1では、
図1及び
図2に示すように、各セルC毎に作成された電気Eは、第一サブモジュールRの他端1bから一端1aに向けて流れるとともに、第二サブモジュールRの一端1aから他端1bに向けて流れる。さらに、連通導通材14Aによって第一サブモジュールRの一端1aと第二サブモジュールRの一端1aとが接続されているので、第一サブモジュールRの一端1aの電気Eが、連通導通材14Aを介して第二サブモジュールR側に向けて流れる。このように太陽電池モジュール1は、一端1a側でサブモジュールR、R同士を導通させ、他端1b側で電気Eを取り出すことが可能な構成となる。すなわち、全体が平面視でU字状に電気Eが流れる構造となり、取り出し電極(正極31、負極32)を幅方向X1で同じ側(他端1b)にすることができるため、配線構造が簡略化でき、配線作業を容易に行うことができる。
【0058】
そして、本実施の形態では、隣り合う第二サブモジュールR、R同士の一端1a側に導通材14を配置して連通導通材14Aを設けるという簡単な構造となっている。つまり、導電材14をライン塗布するといった簡単な構成となるので、RtoR方式にも簡単に適応できる。
この場合、RtoR方式で長手方向X1に連続的に連通導通材14Aを配置する製造工程により実現できるので、新たな作業工程を追加する必要がない。つまり、幅方向X2の一端1a側において、上述した実施の形態のように電池を作成した後作業で長手方向X1に沿うように例えば銅テープを貼り付けたり、半田付けを行うことによる配線材が不要となる。そのため、配線材を設けるための製造工程を省略することが可能となり、簡単な構成で製造にかかる作業効率を向上させることができる。
【0059】
しかも、上述した第二領域M2に導通材14(連通導通材14A)を配置することにより、第一基材3A側の透明導電膜11Aと第二基材3B側の対向導電膜12Aの両方に電気を流すことができるので、電気Eの通り道が2倍になり、電気抵抗が小さくなり、これら導電膜11A、12Aを流れる電流値を1/2以下にすることができ、電池性能を劣化させずに、発電性能の低下を抑えることができる。
なお、このような電流値を1/2以下とするためには、本実施の形態のように連通導通材14Aが配置される部分から一端1aまでの導通基材幅D1が2mm以上、かつ一端1a側の連通導通材14Aの幅寸法D2が0.5mm以上であることが好ましい。
【0060】
このように本実施の形態の太陽電池モジュール1では、幅方向X2の他端1b側に正極31と負極32の取り出し電極を配置することができ、電極31、32同士が近い距離で配置されることとなるので、簡単な配線構造となり、配線にかかる作業も容易に行うことができる。そのため、幅方向X2の左右両側のそれぞれに取り出し電極が設けられる場合のように、互いの電極同士が離れていて配線しにくくなるといった不具合をなくすことができる。
【0061】
以上、本発明による太陽電池モジュール、及び太陽電池モジュールの製造方法の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0062】
例えば、上述の実施の形態では、各サブモジュールR1、R2に設けられるセル数が2つとしているが、これに限定されることはなく、適宜な数量に設定することが可能である。
また、本実施の形態では、連通導通材14Aが配置される部分から一端1aまでの導通基材幅D1が2mm以上、かつ一端1a側の連通導通材14Aの幅寸法D2が0.5mm以上に設定されているが、このような寸法であることに限定されることはない。
【0063】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。