(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【実施例】
【0051】
実施例1
【化7】
アルコール体(1)(0.210g, 0.37mmol)をトルエン(1.5ml)に溶解し、AZADO(2mg/mlトルエン溶液, 0.3ml, 0.0037mmol)を加えて、氷浴で0℃に冷却した。3%炭酸水素ナトリウム水(2.19ml, 0.74mmol)、臭化カリウム(4.4mg, 0.037mmol)を加え、次いで、約1.9M-次亜塩素酸ナトリウム水(0.47ml, 0.89mmol)を滴下した。2時間攪拌し、飽和チオ硫酸ナトリウム水を加えて、酢酸エチルで3回抽出した。抽出液を希塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水、食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濾過して減圧濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュカラム (カラム:BW-300SP;60g、酢酸エチル:ヘキサン = 1:2) で精製し、化合物(2)を無色油状物として得た。
収量 0.2006g(96.2%)。
1H-NMR (400MHz in CDCl
3, TMS=0ppm) δ: 0.92(3H, t, J=7.1Hz), 1.20-2.38(27H, m), 2.35(2H, t, J=7.5Hz), 2.68-3.05(3H, m), 3.47-3.55(1H, m), 3.78-3.91(1.5H, m), 4.15(0.5H, q, J=7.4Hz), 4.58-4.59(0.5H, m), 4.67-4.69(0.5H, m), 5.11(2H, s), 7.29-7.39(5H, m).
【0052】
実施例2
【化8】
アルコール体(1)(0.210g, 0.37mmol)をトルエン(1.5ml)に溶解し、1-Me-AZADO(2mg/mlトルエン溶液, 0.3ml, 0.0037mmol)を加えて、氷浴で0℃に冷却した。3%炭酸水素ナトリウム水(2.19ml, 0.74mmol)、臭化カリウム(4.4mg, 0.037mmol)を加え、次いで約1.9M-次亜塩素酸ナトリウム水(0.47ml, 0.89mmol)を滴下し、20時間攪拌した。実施例1と同様に後処理、精製を行い、化合物(2)を無色油状物として得た。
収量 0.2036g (97.6%)。
1H-NMR (400MHz in CDCl
3, TMS=0ppm) δ: 0.92(3H, t, J=7.2Hz), 1.20-2.38 (27H, m), 2.35(2H, t, J=7.5Hz), 2.68-3.05(3H, m), 3.47-3.54(1H, m), 3.78-3.91(1.5H, m), 4.15(0.5H, q, J=7.4Hz), 4.58-4.59(0.5H, m), 4.67-4.69(0.5H, m), 5.11(2H, s), 7.30-7.39(5H, m).
【0053】
実施例3
【化9】
アルコール体(3)(0.200g, 0.34mmol)をトルエン(1.4ml)に溶解し、AZADO(2mg/mlトルエン溶液, 0.25ml, 0.0034mmol)を加えて、氷浴で0℃に冷却した。3%炭酸水素ナトリウム水(2.04ml, 0.69mmol)、臭化カリウム(4.1mg, 0.034mmol)を加え、次いで約1.9M-次亜塩素酸ナトリウム水(0.43ml, 0.82mmol)を滴下して、6時間攪拌した。実施例1と同様に後処理、精製を行い、ベンジル 7−[(1R,2R,3R)−2−((6S)−4,4−ジフルオロ−6−メチル−3−オキソオクチル)−5−オキソ−3−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)シクロペンチル]ヘプタネート(4)を、無色油状物として得た。
収量 0.1919g(96.6%)。
1H-NMR (400MHz in CDCl
3, TMS=0ppm) δ: 0.88(3H, t, J=7.4Hz), 0.97(3H, d, J=6.5Hz), 1.20-2.38(26H, m), 2.35(2H, t, J=7.5Hz), 2.68-3.05(3H, m), 3.47-3.54(1H, m), 3.78-3.91(1.5H, m), 4.15(0.5H, q, J=7.4Hz), 4.58-4.59(0.5H, m), 4.67-4.69(0.5H, m), 5.11 (2H, s), 7.30-7.39(5H, m).
【0054】
実施例4
【化10】
アルコール体(3)(0.200g, 0.34mmol)をトルエン(1.4ml)に溶解し、1-Me-AZADO(2mg/mlトルエン溶液, 0.25ml, 0.0034mmol)を加えて、氷浴で0℃に冷却した。3%炭酸水素ナトリウム水(2.04ml, 0.69mmol)、臭化カリウム(4.1mg, 0.034mmol)を加え、次いで約1.9M-次亜塩素酸ナトリウム水(0.43ml, 0.82mmol)を滴下して、15時間攪拌した。実施例1と同様に後処理、精製を行い、ベンジル 7−[(1R,2R,3R)−2−((6S)−4,4−ジフルオロ−6−メチル−3−オキソオクチル)−5−オキソ−3−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)シクロペンチル]ヘプタネート(4)を、無色油状物として得た。
収量 0.1973g(99.3%)。
1H-NMR (400MHz in CDCl
3, TMS=0ppm) δ: 0.88(3H, t, J=7.4Hz), 0.97(3H, d, J=6.1Hz), 1.20-2.38(26H, m), 2.35(2H, t, J=7.5Hz), 2.68-3.05(3H, m), 3.47-3.54(1H, m), 3.78-3.91(1.5H, m), 4.15(0.5H, q, J=7.4Hz), 4.58-4.59(0.5H, m), 4.67-4.69(0.5H, m), 5.11(2H, s), 7.29-7.39 (5H, m).
【0055】
アルコール体(3)の合成
【化11】
ジメチル ((5S)−3,3−ジフルオロ−5−メチル−2−オキソヘプチル)ホスホネート(A)(74.7g, 274mmol)の、t−ブチルメチルエーテル(1120ml)溶液に、水酸化リチウム一水和物(11.5g, 273mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。メチル 7−[(1R,2R,3R,5S)−5−アセトキシ−2−ホルミル−3−(2−テトラヒドロピラニル−オキシ)シクロペンチル]ヘプタネート(B)(64.02g, 160.6mmol)のt−ブチルメチルエーテル(278ml)溶液、水(21.7ml)を加え、約31時間加熱還流した(内部温度:約53℃)。室温に冷却後、該溶液に水(351ml)を加え、撹拌し、静置して2層に分液した。水層を酢酸エチル(234ml)で2回抽出した。有機層を合わせ、飽和塩化ナトリウム水(351ml)で2回洗浄し、無水硫酸マグネシウム(55g)で乾燥させた。減圧下で濃縮後、残渣をシリカゲルカラム (Fuji Silysia BW-300: 2110g; 酢酸エチル: ヘキサン=l : 4〜1:2)で精製した。不純物を含む画分をシリカゲルカラム (Fuji Silysia BW-300: 850g; 酢酸エチル: ヘキサン=l:4〜1:2)で再精製し、メチル 7−[(1R,2R,3R,5S)−5−アセトキシ−2−((E)−(6S)−4,4−ジフルオロ−6−メチル−3−オキソ−1−オクテニル)−3−(2−テトラヒドロピラニルオキシ)シクロペンチル]ヘプタネート(C)を、淡黄色油状物として得た。(75.03g; 137.8mmol; 収率: 85.8%)。
1H-NMR (200MHz, CDCl
3) : δ (ppm) : 0.88 (3H, t, J =7.3Hz), 0.97 (3H, t, J=6.4Hz), 2.07 (3H, s), 2.15-1.03 (23H, m), 2.28 (2H, t, J=7.5Hz), 2.87-2.36 (2H, m), 3.50-3.31 (1H, m), 3.66 (3H, s), 3.88-3.60 (1H, m), 4.19-3.93 (1H, m), 4.61-4.46 (1H, m), 5.19-5.09 (1H, m), 6.63 (0.5H, d, J=15.6Hz), 6.68 (0.5H, d, J=15.6Hz), 7.05 (0.5H, dd, J=15.6, 7.0Hz), 7.10 (0.5H, dd, J=15.6, 6.5Hz).
【0056】
【化12】
メチル 7−[(1R,2R,3R,5S)−5−アセトキシ−2−((E)−(6S)−4,4−ジフルオロ−6−メチル−3−オキソ−1−オクテニル)−3−(2−テトラヒドロピラニルオキシ)シクロペンチル]ヘプタネート(C)(76.78g, 141.0mmol)の酢酸エチル(357ml)溶液に、5%-パラジウム炭素(7.30g)を加え、溶液を室温および大気圧下で水素化した。該反応混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮し、メチル 7−[(1R,2R,3R,5S)−5−アセトキシ−2−((6S)−4,4−ジフルオロ−6−メチル−3−オキソオクチル)−3−(2−テトラヒドロピラニルオキシ)シクロペンチル]ヘプタネート(D)(72.69g; 133.0mmol; 収率: 94.3%)を無色油状物として得た。
【0057】
メチル 7−[(1R,2R,3R,5S)−5−アセトキシ−2−((6S)−4,4−ジフルオロ−6−メチル−3−オキソオクチル)−3−(2−テトラヒドロピラニルオキシ)シクロペンチル]ヘプタネート(D)(72.56g, 132.7mmol)のメタノール(290ml)溶液を、約−20℃に冷却し、水素化ホウ素ナトリウム(5.00g, 132.2mmol)を加えた。約35分間撹拌した後、酢酸(7.5ml, 131mmol)を滴下し、減圧下で濃縮した。残渣に水(326ml)を加え、酢酸エチル(226ml)で3回抽出した。有機層を合わせ、3%塩化ナトリウム水(323ml)、飽和塩化ナトリウム水(323ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム(40.6g)で乾燥させた。該溶液を減圧下で濃縮し、メチル 7−[(1R,2R,3R,5S)−5−アセトキシ−2−((6S)−4,4−ジフルオロ−6−メチル−3−ヒドロキシオクチル)−3−(2−テトラヒドロピラニルオキシ)シクロペンチル]ヘプタネート(E)(73.01g; 定量的収量)を無色油状物として得た。
【0058】
【化13】
メチル 7−[(1R,2R,3R,5S)−5−アセトキシ−2−((6S)−4,4−ジフルオロ−6−メチル−3−ヒドロキシオクチル)−3−(2−テトラヒドロピラニルオキシ)シクロペンチル]ヘプタネート(E)(132.5mmol)のエタノール(213ml)溶液を、氷上で冷却し、24% 水酸化ナトリウム水溶液(135ml, 1029mmol)を滴下した。室温で約3.5時間撹拌後、減圧下で濃縮した。残渣を水(281ml)およびt−ブチルメチルエーテル(141ml)と混合し、氷上で冷却した。6M-塩酸を滴下してpH 3〜4に調整し、酢酸エチル(281ml)で3回抽出した。有機層を合わせ、次いで水(281ml)で2回洗浄後、飽和塩化ナトリウム水(338ml)で洗浄した。無水硫酸マグネシウム(50g)で乾燥後、該溶液を減圧下で濃縮し、粗製7−[(1R,2R,3R,5S)−2−((6S)−4,4−ジフルオロ−6−メチル−3−ヒドロキシオクチル)−5−ヒドロキシ−3−(2−テトラヒドロピラニルオキシ)シクロペンチル]ヘプタン酸(F)を白色固体として得た。精製せずに、全量を次の工程で用いた。
【0059】
【化14】
アセトニトリル(319ml)中の粗製7−[(1R,2R,3R,5S)−2−((6S)−4,4−ジフルオロ−6−メチル−3−ヒドロキシオクチル)−5−ヒドロキシ−3−(2−テトラヒドロピラニルオキシ)シクロペンチル]ヘプタン酸(F)に、ジイソプロピルエチルアミン(68.9ml, 368mmol)、臭化ベンジル(46.7ml, 366mmol)を加え、室温で約13.5時間撹拌した。該反応混合物を減圧下で濃縮し、酢酸エチル(369ml)、水(283ml)を残渣に加え、撹拌し、静置して2層に分液した。水相を酢酸エチル(226ml)で2回抽出した。有機層を合わせ、1M-塩酸(339ml)、飽和炭酸水素ナトリウム水(339ml)、飽和塩化ナトリウム水(339ml)で洗浄した。無水硫酸マグネシウム(50g)で乾燥させた後、該溶液を減圧下で濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラム(Fuji Silysia BW-300: 2400g; 酢酸エチル: ヘキサン=l : 2)で精製し、ベンジル 7−[(1R,2R,3R,5S)−2−((6S)−4,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−6−メチルオクチル)−5−ヒドロキシ−3−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)シクロペンチル]ヘプタネート(3)(76.16g; 130.7mmol; 収率: 98.7%)を無色油状物として得た。
1H-NMR (200MHz., CDCl
3) : δ (ppm) : 0.88 (3H, t, J=7.5Hz), 0.98(3H, d, J=6.2Hz), 1.21-2.47 (30.5H, m), 2.35(2H, t, J=7.5Hz), 2.81(0.5H, d, J=6.4Hz), 3.46-4.14 (5H, m), 4.61-4.66(1H, m), 5.11 (2H, s), 7.30-7.39 (5H, m).
【0060】
実施例5
【化15】
アルコール体(5)(0.233g, 0.49mmol)をトルエン(1.6ml)に溶解し、AZADO(2mg/mlトルエン溶液, 0.35ml, 0.0049mmol)を加えて、氷浴で0℃に冷却した。中性リン酸緩衝液(2.0ml)、臭化カリウム(5.8mg, 0.049mmol)を加え、次いで約1.9M-次亜塩素酸ナトリウム水(0.62ml, 1.17mmol)を滴下して、0℃で1時間攪拌した。実施例1と同様に後処理、精製を行い、化合物(6)を無色油状物として得た。
収量 0.2009g(90.3%)。
1H-NMR (400MHz in CDCl
3, TMS=0ppm) δ: 0.93(3H, t, J=7.2Hz), 1.22-2.38(28H, m), 2.34(2H, t, J=7.6Hz), 2.69-3.05(3H, m), 3.48-3.56(1H, m), 3.79-3.92(1.5H, m), 4.15(0.5H, q, J=7.3Hz), 4.59-4.60(0.5H, m), 4.68-4.70(0.5H, m).
【0061】
実施例6
【化16】
アルコール体(7)(0.200g, 0.50mmol)をジクロロメタン(1.4ml)に溶解し、AZADO(2mg/mlトルエン溶液, 0.2ml, 0.0049mmol)に加え、次いで[ビス(アセトキシ)ヨード]ベンゼン(BAIB)(0.1769g, 0.560mmol)を加えて、室温で5時間攪拌した。実施例1と同様に後処理、精製を行い、化合物(8)を無色油状物として得た。
収量 0.1900g (95.5%)。
1H-NMR (400MHz in CDCl
3, TMS=0ppm) δ: 1.19-2.18(18H, m), 2.07(3H, s), 2.29(2H, t, J=7.5Hz), 2.32-2.43(1H, m), 2.81-3.01(1H, m), 3.41-3.50(1H, m), 3.66(3H, s), 3.76-3.83(1H, m), 4.36-4.46(1H, m), 4.54-4.60(1H, m), 5.11-5.17(1H, m), 9.78(1H, dd, J=3.1, 20.9Hz).
【0062】
比較例1(Swern酸化)
【化17】
塩化オキサリル(56.9ml, 652mmol)のジクロロメタン(634ml)溶液を、ドライアイス/メタノール浴で冷却し、ジメチルスルホキシド(DMSO)(92.5ml, 1303mmol)を滴下し、30分間攪拌した。ベンジル 7−[(1R,2R,3R,5S)−2−(4,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシオクチル)−5−ヒドロキシ−3−(2−テトラヒドロピラニルオキシ)シクロペンチル]ヘプタネート(1)(74.21g, 130.5mmol)のジクロロメタン(198ml)溶液を滴下し、約1.5時間攪拌した。その後、撹拌しながらトリエチルアミン(273ml, 1959mmol)を該反応混合物に滴下し、0℃まで昇温した。飽和塩化アンモニウム水(594ml)を反応液に加えた。該反応混合物を攪拌し、静置後分液した。水相をジクロロメタンで2回抽出した。有機相を合わせ、0.1N-塩酸(594ml)、水(594ml)、飽和重曹水(594ml)および飽和食塩水(594ml)で順次洗浄した。無水硫酸マグネシウム(48mg)で乾燥後、減圧濃縮した。残渣を適量の酢酸エチル/ヘキサン混合溶媒(1:10)に溶解し、不溶物を濾過した。濾液を蒸発させ、シリカゲルカラム(Fuji Silysia Chemical Ltd, BW-300 2260g, 酢酸エチル:ヘキサン=1:4)で精製し、ベンジル 7−[(1R,2R,3R)−2−(4,4−ジフルオロ−3−オキシオクチル)−5−オキシ−3−(2−テトラヒドロピラニルオキシ)シクロペンチル]ヘプタネート(2)(69.22g, 122.6mmol, 収率95.3%)を得た。
【0063】
比較試験例
実施例1と比較例1で得られた生成物中の不純物を調べた。Swern酸化では、ケトン化合物(2)の14-メチルチオ体および14-クロロ体などの類縁物が生成する。これらの不純物の量を調べた。結果は以下表1に示す。
【表1】
【0064】
上の結果に示すように、Swern酸化では、14-メチルチオ体および14-クロロ体が生成する。これらの不純物は、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる除去が困難であり、最終生成物の純度を低下させうる。一方、AZADO酸化ではこれらの不純物が発生せず、すなわち、高純度な生成物を得ることができる。
【化18】