(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6810020
(24)【登録日】2020年12月14日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】ディスク型遠心分離機
(51)【国際特許分類】
B04B 1/08 20060101AFI20201221BHJP
B04B 9/00 20060101ALI20201221BHJP
B04B 11/04 20060101ALI20201221BHJP
B04B 13/00 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
B04B1/08
B04B9/00
B04B11/04
B04B13/00
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-242969(P2017-242969)
(22)【出願日】2017年12月19日
(65)【公開番号】特開2019-107622(P2019-107622A)
(43)【公開日】2019年7月4日
【審査請求日】2020年8月31日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591162022
【氏名又は名称】巴工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107375
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 明広
(72)【発明者】
【氏名】森田 兼司
【審査官】
佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】
特公平6−49164(JP,B2)
【文献】
特開平7−103338(JP,A)
【文献】
特表2012−519581(JP,A)
【文献】
特開2011−99532(JP,A)
【文献】
実開昭59−137460(JP,U)
【文献】
特開2013−181609(JP,A)
【文献】
特開2001−219096(JP,A)
【文献】
特開2010−75815(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B04B 1/00−15/12
F16J 15/34−15/38、
15/16−15/32、
15/324−15/3296、
15/46−15/53
G01N 1/00− 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング内にボウルが配置され、ボウルの内部に円錐形状の分離ディスクが所定間隔をおいて多数枚積み重ねられた状態で配置され、垂直に保持された回転軸の先端がケーシングを貫通してケーシング内のボウルに固定され、回転軸がケーシングを貫通する部分にシール機構部が配置され、回転軸及びその上端に固定されたボウルを高速回転させることにより、ボウル内に導入した処理物を遠心力によって分離し、個別に排出できるように構成されたディスク型遠心分離機において、
シール機構部に高圧で供給されるシール水として清浄水が使用され、
シール水が貯留されているシール水タンクとシール機構部とを接続する循環経路上にポンプが配置され、このポンプによってシール水タンクとシール機構部との間でシール水が循環するように構成され、
ポンプが、回転軸及びボウルに駆動力を供給するモータの駆動軸に接続され、このモータの駆動力を受けてポンプが稼働するように構成されていることを特徴とするディスク型遠心分離機。
【請求項2】
シール水タンクに浄化装置が付設され、循環するシール水が所定の清浄度に維持されることを特徴とする、請求項1に記載のディスク型遠心分離機。
【請求項3】
ポンプと、これに駆動力を供給するモータの駆動軸とが、マグネットドライブ方式で動力的に接続されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のディスク型遠心分離機。
【請求項4】
ボウル内から固形分を排出する際に弁体を開閉させるための作動水をボウルに供給する給水装置、及び、作動水を貯留し、給水装置へ供給する作動水タンクを有し、
シール水の漏出が生じた場合に、作動水タンクからシール水タンクへ水の補給が行われるように構成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のディスク型遠心分離機。
【請求項5】
作動水タンク内に貯留されている作動水と、シール水タンク内のシール水との間で熱交換が行われ、シール水が作動水によって冷却されるように構成されていることを特徴とする、請求項4に記載のディスク型遠心分離機。
【請求項6】
シール水タンクの外側に外殻部を設け、シール水タンクと外殻部との間の領域に冷却媒体を流入させることにより、シール水タンク、及び、その内側に貯留されているシール水を冷却できるように構成されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のディスク型遠心分離機。
【請求項7】
シール水タンクに温度センサーが設置され、水温が規定値を超えた場合に、シール水タンク内から規定量のシール水が廃棄されるとともに、シール水タンク内へ新たに水が補給されるように構成されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のディスク型遠心分離機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円錐形状の分離ディスクを多数枚重ねてボウル内に配置し、これらを高速回転させて処理物の分離を行うように構成されたディスク型遠心分離機に関する。
【背景技術】
【0002】
遠心力を利用して処理物を分離する遠心分離機の一つとして、円錐形状の分離ディスクを多数枚積み重ねてボウル内に配置し、これらを高速回転させて処理物に遠心力を作用させる遠心分離機(ディスク型遠心分離機)が知られている。このディスク型遠心分離機は、僅かな間隔をおいて多数枚の分離ディスクを積み重ねることにより、据付面積に対し極めて大きな分離沈降面積を確保することができ、大量の処理物の分離処理を短時間で行うことができる。
【0003】
従来のディスク型遠心分離機には、回転軸が垂直に保持され、処理物の分離を行うボウルが垂直軸線周りに高速回転するように構成され、ボウルが配置されているケーシング内の空間と回転軸を支持するフレームとの間が、メカニカルシール機構によって軸封され、ケーシング内空間へ雑菌や異物が進入し、或いは、ケーシング内空間から処理物(分離された固形分等)が漏出することを回避できるように構成されたものがある(例えば、特許文献1)。
【0004】
より詳細には、特許文献1に示されているメカニカルシール機構は、回転軸に固定される回転環、回転軸に接触しないように保持される固定環、及び、密封ハウジング等によって構成され、密封ハウジングによって密封される領域(回転環、固定環、及び、密封ハウジングによって囲まれた小室内の空間)に、シール水(エクスターナル流体)が、供給路から定量的に流入すると同時に、反対側の排出路から同量のシール水が流出するようになっており、排出側の圧力を調整することにより、この密封ハウジングの小室内がケーシング内よりも高い圧力に維持され、高いシール性能を発揮できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平6−49164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に示されているシール機構においては、シール水を媒体としたケーシング内空間への雑菌や異物の進入を防止するため、シール水として純水が使用されており、また、密封ハウジングの小室から排出された純水は、再利用されることなくそのまま廃棄されていたが、この場合、ディスク型遠心分離機の運転中、純水を大量に(5〜6L/min)、かつ、継続的に供給する手段(大型の純水製造装置等)を併設する必要がある。このため、純水製造装置等の設置スペースを確保しなければならないという問題があり、また、設備導入時のコスト、及び、ランニングコストが嵩んでしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、このような従来技術における問題を解決しようとするものであって、装置構成のシンプル化及び省スペース化を図ることができ、また、設備導入コスト及びランニングコストを大幅に抑えることができるディスク型遠心分離機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るディスク型遠心分離機は、ケーシング内にボウルが配置され、ボウルの内部に円錐形状の分離ディスクが所定間隔をおいて多数枚積み重ねられた状態で配置され、垂直に保持された回転軸の先端がケーシングを貫通してケーシング内のボウルに固定され、回転軸がケーシングを貫通する部分にシール機構部が配置され、回転軸及びその上端に固定されたボウルを高速回転させることにより、ボウル内に導入した処理物を遠心力によって分離し、個別に排出できるように構成され、シール機構部に高圧で供給されるシール水として清浄水が使用され、シール水が貯留されているシール水タンクとシール機構部とを接続する循環経路上にポンプが配置され、このポンプによってシール水タンクとシール機構部との間でシール水が循環するように構成され、ポンプが、回転軸及びボウルに駆動力を供給するモータの駆動軸に接続され、モータの駆動力を受けてポンプが稼働する(ポンプ室内のインペラが回転する)ように構成されていることを特徴としている。
【0009】
尚、シール水タンクに浄化装置(簡易的なフィルタ等、例えば、Y型ストレーナ)が付設され、循環するシール水が所定の清浄度に維持されることが好ましく、また、ポンプと、これに駆動力を供給するモータの駆動軸とが、マグネットドライブ方式で動力的に接続されていることが好ましい。
【0010】
また、ボウル内から固形分を排出する際に弁体を開閉させるための作動水をボウルに供給する給水装置、及び、作動水を貯留し、給水装置へ供給する作動水タンクを有し、シール水の漏出が生じた場合に、作動水タンクからシール水タンクへ水の補給が行われるように構成されていることが好ましく、更に、作動水タンク内に貯留されている作動水と、シール水タンク内のシール水との間で熱交換が行われ、シール水が作動水によって冷却されるように構成されていることが好ましい。
【0011】
更に、シール水タンクの外側に外殻部を設け、シール水タンクと外殻部との間の領域に冷却媒体(高圧空気が望ましい)を流入させることにより、シール水タンク、及び、その内側に貯留されているシール水を冷却できるように構成することもでき、或いは、シール水タンクに温度センサーが設置され、水温が規定値を超えた場合に、シール水タンク内から規定量のシール水が廃棄されるとともに、作動水タンク或いは他の供給源からシール水タンク内へ水が補給されるように構成することもできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るディスク型遠心分離機は、シール水タンクとシール機構部との間でシール水が循環するように構成されているため、純水製造装置等を併設する必要が無く、装置構成のシンプル化、省スペース化を図ることができるほか、設備導入コスト及びランニングコストを大幅に抑えることができる。また、シール水を循環させるポンプが、回転軸及びボウルに駆動力を供給するモータの駆動軸に接続され、モータの駆動力を受けてポンプ室内のインペラが回転するように構成されているため、ポンプを稼働させるための駆動力源を個別に用意する必要が無く、装置構成のシンプル化に寄与する。
【0013】
また、ポンプ室内のインペラと、インペラに駆動力を供給するモータの駆動軸とをマグネットドライブ方式で動力的に接続した場合には、軸封部に起因するシール水の汚染や、軸封部からのシール水の漏出を好適に回避することができる。更に、シール機構部等からシール水の漏出が生じた場合に、作動水タンクからシール水タンクへ水の補給が行われるように構成した場合には、シール水タンク内の水位を一定範囲内でコントロールすることができ、また、作動水タンク内に貯留されている作動水と、シール水タンク内のシール水との間で熱交換が行われるように構成した場合や、シール水タンクと外殻部との間の領域に冷却媒体を供給できるように構成した場合には、ケーシング側からの受熱によるシール水の温度上昇を好適に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明に係るディスク型遠心分離機1の構成を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、
図1に模式的に示されるシール機構部11の部分断面図である。
【
図3】
図3は、本発明に係るディスク型遠心分離機1において用いられるシール水タンク13の他の構成例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面に沿って、本発明「ディスク型遠心分離機」を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明に係るディスク型遠心分離機1の構成を模式的に示す図である。図示されているようにこのディスク型遠心分離機1は、フレーム2に固定された上下の軸受け3a,3bによって、回転軸4が垂直に保持されている。
【0016】
この垂直な回転軸4は、ギヤ7を介してモータ5の水平な駆動軸6(出力軸)と動力的に接続され、モータ5から供給される駆動力を受けて高速で回転するように構成されている。回転軸4の上部は、下側開口部からケーシング8内部へ進入し、ケーシング8内のボウル9に固定されている。尚、軸受け3a,3b、回転軸4の下部、駆動軸6、及び、ギヤ7は、オイルボックス内に収容され、その内部に貯留されたオイル又はその飛沫によって跳ねかけ潤滑されるようになっている。
【0017】
ボウル9の内部(分離室)には、円錐形状の分離ディスクが多数枚積み重ねられた状態で配置されており、回転軸4及びその上端に固定されたボウル9を高速回転させることにより、ボウル9内に導入した処理物を遠心力によって分離(液体と固形分とに、又は、軽液と重液とに、又は、軽液と重液と固形分とに分離)し、個別に排出することができる。
【0018】
回転軸4が貫通するケーシング8の下側開口部の近傍位置には、給水装置10とシール機構部11が配置されている。給水装置10は、ボウル9内から固形分を排出する際に弁体を開閉させるための作動水を、作動水タンク12からボウル9に供給するためのものであり、作動水タンク12から供給される高圧の作動水をボウル9に供給することによって弁体を瞬間的に開放させて、ボウル9内から固形分を排出できるように構成されている。尚、低圧の作動水(作動水タンク12から減圧弁を経て供給される)を給水装置10からボウル9に供給することによって弁体を閉鎖して(閉鎖する方向に押し付けて)、固形分がボウル9内から排出されないようシールすることができる。
【0019】
給水装置10からボウル9に供給された作動水は、弁体の作動時にボウル9から排出(消費)されることになり、作動水タンク12内の水位が低下することになるが、水位が規定レベルを下回った場合、作動水タンク12に設置されている水位センサーからの情報に応じて、供給源から水が作動水タンク12内に適宜補給される。また、作動水を所定の圧力で供給できるように、作動水タンク12内は、計装空気(圧縮空気)の供給によって加圧されている。
【0020】
シール機構部11は、ボウル9が配置されているケーシング8の内側と外側との間を軸封する、即ち、ケーシング8の下側開口部の内周面と回転軸4の外周面との隙間から、ケーシング8内空間へ雑菌や異物が進入し、或いは、ケーシング8内空間から処理物(分離された固形分等)が漏出することを回避するためのものである。
【0021】
図2は、シール機構部11の部分断面図である。図示されているようにこのシール機構部11は、回転環15(シールリング)、上下二つの固定環16a,16b、及び、密封ハウジング17からなるメカニカルシール機構によって構成されている。より詳細には、回転環15は、回転軸4の外周面に固定され、回転軸4とともに回転するように構成され、固定環16a,16bはいずれも、回転軸4の外周面と接触しない位置において、回転軸4の軸線方向へ移動可能な状態で保持されている。
【0022】
上方側の固定環16aは、図示しない付勢手段(ばね等)によって、下方側へ(回転環15に向かって)付勢され、下方側の固定環16bは、同様に上方側へ(回転環15に向かって)付勢されており、回転軸4の軸線と直交する面(接触面S1,S2)において回転環15に押圧され、摺動接触するように構成されている。
【0023】
密封ハウジング17は、回転環15の外側の領域(接触面S1を境界として隔てられる二つの領域のうち、ケーシング8内側の領域とは反対側の領域)を密封するように構成されている。この密封ハウジング17によって密封される領域(回転環15、固定環16a,16b、及び、密封ハウジング17によって囲まれた小室17a内の空間)には、密封ハウジング17に形成された供給路17bから、ケーシング8内の圧力よりも高い圧力でシール水(清浄水)が供給され、これにより、ケーシング8内空間への異物混入、及び、ケーシング8内空間からの処理物(分離された固形分等)の漏出を可及的に防止できるようになっている。
【0024】
尚、ディスク型遠心分離機の回転軸をシールする従来のシール機構においては、上述の通り、シール水として純水が使用され、また、その純水は、使用後に(密封ハウジングの小室から排出された後で)そのまま廃棄されていたため、大型の純水製造装置等が必要となり、設置スペースの問題や、設備導入時のコスト及びランニングコストが嵩んでしまうという問題があったが、本実施形態のディスク型遠心分離機1においては、シール水として清浄水(浄化装置によって水道水等の原料水を所定のレベルまで清浄化した水)が使用され、
図1に示すように、シール水タンク13とシール機構部11との間でシール水が循環するように構成されているため、純水製造装置等を併設する必要が無く、装置構成のシンプル化、省スペース化を図ることができるほか、設備導入コスト及びランニングコストを大幅に抑えることができる。
【0025】
より具体的には、
図1に示すように、シール水タンク13とシール機構部11とを接続する循環経路(閉鎖管路)上にポンプ14が配置されており、このポンプ14が稼働することにより、シール水タンク13内に貯留されているシール水がシール機構部11へ供給され、
図2に示す供給路17bから小室17a内に流入するとともに、図示しない排出路から同量のシール水が流出し、シール機構部11からシール水タンク13に戻されて循環する。
【0026】
尚、シール水タンク13には、浄化装置(フィルター)が付設されており、循環するシール水が所定の清浄度に維持されるようになっている。また、ケーシング8内の圧力よりも高い圧力で小室17a内にシール水を供給できるように、シール水タンク13内は、計装空気(圧縮空気)の供給によって加圧されている。
【0027】
シール水を循環させるポンプ14は、回転軸4及びボウル9に駆動力を供給するモータ5の駆動軸6に接続されており、モータ5の駆動力を受けてポンプ室内のインペラが回転するように構成されている。尚、本実施形態において用いられているポンプ14は、ポンプ室内のインペラと、インペラに駆動力を供給するモータ5の駆動軸6とが、マグネットドライブ方式で動力的に接続されている。
【0028】
つまり、一般的なポンプは、ポンプ室内のインペラに駆動力を供給するドライブシャフトが、ポンプ室の外側から隔壁を貫通してインペラに接続されるとともに、ドライブシャフトの貫通部分が軸封される構造となっているが、本実施形態において用いられているポンプ14には、ポンプ室の隔壁を貫通するドライブシャフトが存在せず、従ってドライブシャフトの軸封部も存在しないため、軸封部に起因するシール水の汚染や、外部へのシール水の漏出を好適に回避することができる。
【0029】
尚、シール水は閉鎖管路内を循環するため、基本的には、シール水タンク13内におけるシール水の水位は一定であるが、シール機構部11等においてシール水が漏洩して、シール水タンク13内の水位が規定レベルを下回った場合、シール水タンク13に設置されている水位センサーからの情報に応じて、作動水タンク12からシール水タンク13へ水の補給が行われる。また、シール水は、シール機構部11を通過する際に、ケーシング8側からの受熱によって昇温してしまう可能性があるが、本実施形態においては、作動水タンク12内に貯留されている作動水と、シール水タンク13内のシール水との間で熱交換が行われるように構成されており、シール水が冷却されるようになっている。
【0030】
また、本実施形態においては、モータ5及び駆動軸6が水平に保持され、ギヤ7を介して、垂直な回転軸4にモータ5の駆動力が伝達されるように構成されるとともに、シール水を循環させるポンプ14は、回転軸4及びボウル9に駆動力を供給するモータ5の駆動軸6に接続されており、モータ5の駆動力を受けてポンプ室内のインペラが回転するように構成されているが、モータ5及び駆動軸6が垂直に保持され、垂直な回転軸4と直結され(或いは、ギヤ駆動機構、ベルト駆動機構等を介して接続され)るとともに、ポンプ14に接続されるように構成してもよい。
【0031】
更に、本実施形態においては、作動水タンク12内に貯留されている作動水と、シール水タンク13内のシール水との間で熱交換が行われるように構成することによって、シール水が冷却されるようになっているが、
図3に示すように、シール水タンク13の下半部の外側に外殻部18(冷却用ジャケット)を設け、冷却媒体(高圧空気等)を、冷媒導入口18aから、シール水タンク13と外殻部18との間の領域に流入させ、反対側の冷媒排出口18bから排出させることにより、シール水タンク13、及び、その内側に貯留されているシール水を冷却できるように構成してもよい。
【0032】
尚、冷却媒体の供給源としては、渦動理論の原理を応用した簡易的な冷空気発生装置等を好適に利用することができ、この場合、作動水との間で熱交換を行ってシール水を冷却する場合(
図1参照)よりも、設備導入時のコストを低減することができ、設置スペースを節約することができる。また、シール機構部11等においてシール水が漏洩して、シール水タンク13内の水位が規定レベルを下回った場合、シール水タンク13に設置されている水位センサーからの情報に応じてアラーム(警報)が発せられるように構成することもでき、この場合、異常の発生を管理することができる。
【0033】
また、シール水タンク13に温度センサーを設置して水温を監視し、水温が規定値(例えば50℃)を超えた場合に、シール水タンク13内から規定量のシール水が廃棄されるとともに、作動水タンク12(或いはその他の供給源)から水(冷水)が補給されるルーティンが自動的に実行されるように構成してもよい。この場合、シール水タンク13には、温度センサーのほかに、レベルセンサー(高位用及び低位用)を設ける必要があり、上記実施形態よりもコストが嵩むことになるが、シール水の消費量を最小限に抑えることが可能となる。
【符号の説明】
【0034】
1:ディスク型遠心分離機、
2:フレーム、
3a,3b:軸受け、
4:回転軸、
5:モータ、
6:駆動軸、
7:ギヤ、
8:ケーシング、
9:ボウル、
10:給水装置、
11:シール機構部、
12:作動水タンク、
13:シール水タンク、
14:ポンプ、
15:回転環、
16a,16b:固定環、
17:密封ハウジング、
17a:小室、
17b:供給路、
18:外殻部、
18a:冷媒導入口、
18b:冷媒排出口、
S1,S2:接触面