特許第6810027号(P6810027)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6810027アスピレータ遮断弁を有するデュアルアスピレータシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6810027
(24)【登録日】2020年12月14日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】アスピレータ遮断弁を有するデュアルアスピレータシステム
(51)【国際特許分類】
   F02M 35/10 20060101AFI20201221BHJP
   F02M 35/108 20060101ALI20201221BHJP
   B60T 13/68 20060101ALI20201221BHJP
   B60T 17/00 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
   F02M35/10 311Z
   F02M35/10 101E
   F02M35/10 301A
   F02M35/10 301M
   B60T13/68
   B60T17/00 C
【請求項の数】17
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-509669(P2017-509669)
(86)(22)【出願日】2015年8月14日
(65)【公表番号】特表2017-531119(P2017-531119A)
(43)【公表日】2017年10月19日
(86)【国際出願番号】US2015045264
(87)【国際公開番号】WO2016028632
(87)【国際公開日】20160225
【審査請求日】2018年7月3日
【審判番号】不服2019-3645(P2019-3645/J1)
【審判請求日】2019年3月18日
(31)【優先権主張番号】14/463,200
(32)【優先日】2014年8月19日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512309299
【氏名又は名称】デイコ アイピー ホールディングス,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】DAYCO IP HOLDINGS,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・エイチ・ミラー
(72)【発明者】
【氏名】キース・ハンプトン
(72)【発明者】
【氏名】ディヴィッド・イー・フレッチャー
【合議体】
【審判長】 谷治 和文
【審判官】 渡邊 豊英
【審判官】 鈴木 充
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0340732(US,A1)
【文献】 特開2003−201927(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0137553(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 35/10,F02M 35/108,B60T 13/68,B60T 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンシステムにおける第1部品および第2部品の間の第1流路であって、第1アスピレータが前記第1流路の一部を形成している、第1流路と、
前記第1流路と並列の、前記第1部品および前記第2部品の間の第2流路であって、第2アスピレータが前記第2流路の一部を形成し、かつ遮断弁が前記第2流路の一部を形成して、前記第1アスピレータを通る流れを遮断することなく前記第2流路を通る流れを遮断する、第2流路と、
を備えるエンジンシステムであって、
前記第1アスピレータが導管を画定し、前記導管は、該導管を収束セクションおよび発散セクションに分離するベンチュリ間隙を有し、前記ベンチュリ間隙は、第1吸入口に連通し、前記第2アスピレータは、導管を画定し、前記導管は、該導管を収束セクションおよび発散セクションに分離するベンチュリ間隙を有し、前記ベンチュリ間隙は、第2吸入口に連通し、
単一の吸引ハウジングは、単一の吸引ポートを有し、前記第1および第2吸入口が前記単一の吸引ハウジングによって結合されることによって、前記第1アスピレータおよび前記第2アスピレータの前記ベンチュリ間隙を結合し、両方の前記吸入口が吸引ポートと流体連通して、前記吸引ポートを通るトータルの組み合わせ吸引を行い、
前記第1アスピレータが、前記単一の吸引ハウジングと流体連通する、チェックバルブを備えるバイパスポートを有する、エンジンシステム。
【請求項2】
前記第1アスピレータが第1駆動出口を有し、前記第2アスピレータが第2駆動出口を有し、かつ前記第1駆動出口の大きさおよび/または形が前記第2駆動出口の大きさおよび/または形と異なっている、請求項1に記載のエンジンシステム。
【請求項3】
前記第1駆動出口が前記第2駆動出口よりも大きい、請求項2に記載のエンジンシステム。
【請求項4】
前記第2駆動出口が前記第1駆動出口よりも大きい、請求項2に記載のエンジンシステム。
【請求項5】
前記遮断弁が空気圧で作動する、請求項1に記載のエンジンシステム。
【請求項6】
前記遮断弁が電磁気的に作動する、請求項1に記載のエンジンシステム。
【請求項7】
前記吸引ポートと、前記第1アスピレータの前記第1吸入口および前記第2アスピレータの前記第2吸入口の少なくとも一方と間に配置されたチェックバルブをさらに備える、請求項1に記載のエンジンシステム。
【請求項8】
前記吸引ポートおよび前記第1アスピレータおよび前記第2アスピレータの両方の前記吸入口の間に配置されたチェックバルブをさらに備える、請求項1に記載のエンジンシステム。
【請求項9】
前記遮断弁が前記第2アスピレータの下流の前記第2流路内に配置されている、請求項1に記載のエンジンシステム。
【請求項10】
真空を生成するためのシステムであって、該システムが、
導管を画定する第1アスピレータであって、前記導管は、該導管を収束セクションおよび発散セクションに分離するベンチュリ間隙を有し、前記ベンチュリ間隙は、第1吸入口に連通する、第1アスピレータと、
導管を画定する第2アスピレータであって、前記導管は、該導管を収束セクションおよび発散セクションに分離するベンチュリ間隙を有し、前記ベンチュリ間隙は、第2吸入口に連通し、前記第1アスピレータと並列の第2アスピレータと、
単一の吸引ポートを有する単一の吸引ハウジングであって、前記吸引ポートを通るトータルの組み合わせ吸引を行うために、前記第1および第2吸入口が前記単一の吸引ハウジングによって結合されることによって、前記吸引ポートとの両方のベンチュリ間隙の流体連通のために前記第1アスピレータの前記ベンチュリ間隙を前記第2アスピレータの前記ベンチュリ間隙に結合する、吸引ハウジングと、
前記第1アスピレータを通る流れを遮ることなく、第2アスピレータを通る流れを遮断するために前記第2アスピレータの流路に配置された遮断弁と、
を備え、
前記吸引ポートが前記第1アスピレータおよび前記第2アスピレータの両方を真空を必要とするまたは真空リザーバーを必要とする同じデバイスに接続し、
前記第1アスピレータが、前記単一の吸引ハウジングと流体連通する、チェックバルブを備えるバイパスポートを有する、システム。
【請求項11】
前記第1アスピレータの前記ベンチュリ間隙および前記吸引ハウジングの間に配置された第1チェックバルブ、および前記第2アスピレータの前記ベンチュリ間隙および前記吸引ハウジングの間に配置された第2チェックバルブをさらに備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記遮断弁が空気圧で作動する請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記遮断弁が電磁気的に作動する、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1アスピレータの前記収束セクションが第1駆動出口を有し、前記第2アスピレータの前記収束セクションが第2駆動出口を有し、かつ前記第1駆動出口の大きさおよび/または形が前記第2駆動出口の大きさおよび/または形と異なっている、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1駆動出口が前記第2駆動出口よりも大きい、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記第2駆動出口が前記第1駆動出口よりも大きい請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記遮断弁が前記第2アスピレータの下流の流路に配置されている、請求項10に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、マルチアスピレータシステム、特に、アスピレータ遮断弁を組み込んだデュアルアスピレータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関、その機構、改良、および反復は、多様な移動車両、および非移動車両またはハウジングに使用されている。今日、例えば内燃機関は、地上の乗客車両、および工業車両、船舶、据え置き型、および航空宇宙などの用途に使用されている。
【0003】
エンジン、例えば車両エンジンは、小型化され、押し上げられ、エンジンから利用可能な吸引力が低減している。この吸引は、運転手に必要なブレーキ操作力を低減するための車両ブレーキブースターによる使用を含む多くの潜在的な用途がある。
【0004】
この吸引不足の1つの解決策は、真空ポンプを導入することである。しかし、真空ポンプは、著しく費用がかかり、かつエンジンにとって不利な重量を有しており、その電力消費は、追加的なオルタネータ能力を必要とし、その非効率性は、燃費改善動作を妨げる可能性がある。
【0005】
別の解決策は、吸気リークと呼ばれるスロットルと平行なエンジン空気流路を作ることによって真空を生じるアスピレータである。このリーク流は、吸引真空を生成するベンチュリを通過する。エンジンスロットルのバイパスを制限するために、流れ制御装置を駆動流路(motive flow path)に配置することが知られている。流量を調整する一つの方法は、流れ抵抗を制御するために何らかの手段を必要とする高度な可変流速制御装置を利用することである。この解決策は、複雑かつ費用がかかるものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ブレーキブーストなどの様々な用途のための真空の発生を含むより簡単でおよびより安価な技術を使用してエンジンシステム内の効率、パワー、および制御を改善し続ける必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様において、エンジンシステムが開示される。エンジンシステムは、第1アスピレータが第1流路の一部を形成する第1部品および第2部品の間の第1流路と、第2アスピレータが第2流路の一部を形成する第1部品および第2部品の間の第2流路とを含む。遮断弁が第2流路の一部を形成する。第1アスピレータおよび第2アスピレータはそれぞれ吸入口を有し、第1アスピレータの吸入口は、第2アスピレータの吸入口と流体連通する。
【0008】
別の態様において、真空を生成するシステムが開示される。システムは、導管を収束セクションおよび発散セクションに分離するベンチュリ間隙を有する導管を画定する第1アスピレータと、導管を収束セクションおよび発散セクションに分離するベンチュリ間隙を有する導管を画定する第2アスピレータとを含む。システムは、吸引ポートを有する吸引ハウジングをさらに含み、吸引ハウジングは、吸引ポートとの流体連通のために第1アスピレータのベンチュリ間隙と第2アスピレータのベンチュリ間隙とを結合的に接合させる。遮断弁が第2アスピレータの流路に配置され、第1アスピレータを通る流れを遮断せずに、第2アスピレータの流路を通る流れを遮断する。吸引ポートは、第1アスピレータおよび第2アスピレータ両方を真空または真空リザーバーが必要な同じデバイスに接続する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】並列な2つのアスピレータおよび1つのアスピレータ遮断弁を有するアスピレータシステムの一実施形態の一部の側面図である。
図2図1のシステムの側部長手方向断面図である。
図3】アスピレータ遮断弁の実施形態の側部長手方向断図である。
【0010】
以下の詳細な説明は、本発明の一般的な原理を示すものであり、その例が添付図面に追加的に示されている。図面において、同様の参照符号は、同じかまたは機能的に類似した要素を示す。
【0011】
本明細書に使用される「流体」は、任意の液体、懸濁液、コロイド、ガス、プラズマ、またはこれらの組み合わせを意味する。
【0012】
図1および図2は、デュアルアスピレータシステム100の実施形態を示す。デュアルアスピレータシステム100は、通常、内燃機関システム、例えば車両のエンジンの一部である。システム100は、並列の一対のアスピレータ102,104を含み、それぞれが駆動ポート(motive port)106a,106b、排出ポート108a,108bおよび吸入口110a,110bを有する。描かれる実施形態において、アスピレータ102,104は、「T字形」アスピレータであるが、本明細書に開示される一般的な原理は、「円形吸引ポート」/「コーン−イン−コーン」アスピレータに同様に適用することができる。
【0013】
両方のアスピレータ102,104の駆動ポート106a,106bは、高圧源112、例えばエンジン吸入空気クリーナーまたは車両のターボチャージャーの圧縮機に流体連通する。多ポート接合部114は、駆動ポート106a,106bを高圧源112に接続する。両方のアスピレータ102,104の排出ポート108a,108bは、低圧シンク116、例えば車両エンジンのスロットル下流のエンジン吸気マニホールド、またはブーストされたエンジンの空気クリーナーボックスに流体連通される。多ポート接合部118は、排出ポート108a,108bを低圧シンク116に接続する。
【0014】
各アスピレータ102,104は、ベンチュリ間隙152を含む導管150を画定し、ベンチュリ間隙152は、それぞれの駆動ポート106a,106bにおいて、またはそこから近接して始まる収束セクション154、およびそれぞれの排出ポート108a,108bにおいて、またはそこに近接して終端する発散セクション156に導管150を分離する。収束セクション154および発散セクション156の両方は、連続的に、徐々に先細の内側通路を画定し、該通路は、ベンチュリ間隙152に近づくにつれ狭くなり、アスピレータを通り流れる流体にベンチュリ効果を生じさせる。例えば参照によって本明細書に全体が組み込まれている2014年6月3日出願の米国特許出願第14/294,77号に記載されているように、アスピレータ102,104の駆動出口142a,142bおよび排出入口144a,144bは、所望の流れ容量およびベンチュリ効果を生成するようなサイズおよび形とすることができる。アスピレータ102の駆動出口142aおよび/または排出入口144aは、アスピレータ104の駆動出口142bおよび/または排出入口144bと同じ、または異なる大きさおよび形とすることができ、それぞれのアスピレータ102,104に対して異なる駆動流容量を設け、システム100を通る駆動流速の異なる潜在的な組み合わせを生じさせる。一実施形態において、第アスピレータ102のベンチュリ間隙152および駆動出口142aおよび排出入口144aは、全体的により高い吸引流を提供するように設計される第アスピレータよりも全体的に低い吸引流を有するアスピレータを提供するような大きさおよび形である。他の実施形態においては、逆もあり得、第アスピレータ104が第アスピレータ102よりも全体的に低い吸引流を有する。
【0015】
アスピレータ102,104の吸入口110a,110bは、吸引ポート124を有する吸引ハウジング122によって結合されている。構造の結合は、部品の数を減らすものであり、これによって材料および費用が低減し、かつエンジン内の空間を節約するために構造がコンパクトになる。したがって、両方の吸入口110a,110bは、吸引ポート124に流体連通し、両方のアスピレータ102,104を真空または真空リザーバーを必要とするデバイスなどの同じデバイス126に接続する。真空が必要なデバイス126は、車両ブレーキブーストキャニスタ、燃料蒸気回収キャニスタ、任意の数の空気圧作動/制御弁等とすることができる。同じデバイス126に接続された両方のアスピレータ102,104によって、完全に排出するために必要な駆動流を低減しながら、より迅速な排出時間が可能となる。
【0016】
アスピレータ102,104は、吸入口110a,110bから吸引ポート124へ流体が流れることを防ぐよう配置されたチェックバルブ128a,128bを含むことができる。アスピレータ102,104が吸引ハウジング122と結合する場所にチェックバルブ128a,128bを配置することができる。一実施形態において、アスピレータ102,104は、弁座162a,162bを含む。各弁座162a,162bは、連続的な外壁164a,164bおよび任意に壁166a,166bによって画定される。各弁座162a,162bにおいて穴168a,168bが画定されて、ベンチュリ間隙152との気流連通が可能となる。各弁座162a,162bは、表面から延在する複数の半径方向に離間したフィンガ170を含むことができる。半径方向に離間したフィンガ170は、シール部材172a,172bを支持するよう機能する。
【0017】
弁座162a,162bについて上述した方法と同様に、吸引ハウジング122は、吸引ハウジング122の連続的な外壁によって画定された弁座174a,174bを含む。弁座174a,174bは、関連するアスピレータ102,104に向かって延在するピン176a,176bをそれぞれ含む。ピン176a,176bは、接合された弁座162aおよび174aおよび接合された弁座162bおよび174bによって画定されたによって画定されたキャビティ178a,178b内でのシール部材172a,172bの移動のためのガイドとして機能する。したがって、各シール部材172a,172bは、それぞれのキャビティ178a,178b内にピン176a,176bを受け入れるような大きさおよび位置の穴を含む。
【0018】
アスピレータ102,104の一方、または両方は、チェックバルブ132を含むことができるバイパスポート130をさらに含む(描かれる実施形態においては、アスピレータ104のみ)。また、1または複数のアスピレータ102,104は、消音ユニットを含むことができる。図1および図2において、第アスピレータ102は、消音ユニット160aを含み、かつ第アスピレータ104は、消音ユニット160bを含む。消音ユニット160a,160bは、参照によって本明細書に組み込まれる米国仮特許出願第61/913,756号に記載の少なくとも一実施形態と概ね同様の構造を有するように示されており、そこから他の適用可能な実施形態と同様の構造を有することができる。
【0019】
アスピレータ遮断弁(ASOV)120が図1および図2においてアスピレータ102の排出ポート108aおよび多ポート接合部118の間に配置される。ASOV120は、開位置および閉位置の間で平行移動可能なゲート機構123の動きを制御するピストン121を有するゲートバルブとすることができる。ASOVは、空気圧で作動することができる。図2において、ASOV120は、閉位置においてそのゲート機構を有し、そこでアスピレータ102の排出ポート108aおよび低圧シンク116の間の流体の流れをブロックする。ASOV120は、車両のコンピュータまたはコントローラ125に動作可能に接続され、規定のあらかじめプログラムされたシステムパラメータに基づいてASOV120の開位置または閉位置を自動的に制御する。あるいは、ASOV120は、吸引ポート124または別の部品の計測器、またはシステム100または車両に一体化したコントローラに動作可能に接続され、例えば吸引ポート124にて測定された吸引圧力に基づいて開位置および閉位置の間のASOV120の移行を自動的かつ動的に制御するためのパラメータを確立する。一実施形態においてASOV120は、参照によって全体が本明細書に組み込まれる2014年1月14日出願の米国特許出願番号第14/154,268号に記載されたタイプとすることができる。
【0020】
図3を参照すると他の実施形態において、ASOVは、例えば参照によって全体が本明細書に組み込まれる米国仮特許出願第61/872,402号に記載のタイプの電磁気的に作動するASOV120’とすることができる。ASOV120’は、弁機構184に接続可能なソレノイドコイル180および電機子182を組み込むことができ、電流の印加によってASOVを開くおよび/または閉じるために直線的に移動可能なバネ付勢ゲートアセンブリ186を形成する。
【0021】
ASOVは、さらに参照によって本明細書に全体が組み込まれる2013年12月11月出願の米国仮特許出願第61/914,658号に記載された電磁気的に作動されるASOVとすることができる。あるいは、ASOV120は、前述したようにシステム100を通る流体の流れを選択的に許容および/またはブロックするASOVを可能にする多様な他の形を採用することができる。
【0022】
したがって、図1に示すように、アスピレータ104を介して高圧源112および低圧シンク116の間に第1流路134が画定され、アスピレータ102を介して高圧源112および低圧シンク116に第2流路136が画定され、ASOV120によって制御される。ASOV120が閉位置の場合、流路136は遮断され、アスピレータ102は、吸引ポート124を通じた吸引に寄与しない。代わりの実施形態では、代わりにASOV120をアスピレータ102の前の流路136に沿って、高圧源112および駆動ポート106aの入口(しかし多ポート接合部114の下流)の間に同じ効果で配置することができる。本明細書に開示されるシステム100は、第1および第2流路134,136に関して説明されているが、システムは、これに限定されず、追加的なアスピレータおよび/またはASOVを直列または並列に組み込むことができる。真空発生および利用を生成および/または制御するために、本明細書に記載の第1および第2アスピレータ102,104をエンジンシステムの他の部品の間の任意の流路に含むことができる。
【0023】
動作時に、特定のエンジン運転状態の下、ASOV120が開位置にあるか、または閉位置にあるかに基づいて、アスピレータ102,104は、真空を迅速に生成するよう、および/または可変深さの真空を生成するよう制御される。ASOV120が開位置の場合、両方のアスピレータ102,104を通る駆動流を利用するよう両方の流路134,136は、アクティブであり、かつ両方のアスピレータは、真空を必要とするデバイス126のために吸引ポート124を通る吸引の生成に寄与する。高圧源112から低圧シンク116への駆動流は、システム100を通る駆動流の最初の分岐およびその後の再結合を可能にする多ポート接合部114,118によって促進されて、両方の流路134,136を通り自由に移動する。結果として、アスピレータ102,104に生じるベンチュリ効果が、流路134に沿った吸引流138(図1の矢印で示される)および流路136に沿った吸引流140(図1の矢印で示される)を生成し、これらは共に吸引ポート124を通る吸引全体を占める。
【0024】
対照的に、ASOV120が閉位置の場合、流路136ではなく流路134のみがアクティブとなり、吸引ポート124を通る吸引を生成する。閉位置のASOV120が流路136を横切る高圧源112および低圧シンク116の間の流体連通を遮るため、流路136に沿って流体の流れを引き込むための著しい圧力差が生じない。流路136を横切る圧力差の駆動力がないため、チェックバルブ128aを開くのに必要な吸引を生成し、最終的に吸引ポート124を通じた吸引に寄与するためのアスピレータ102におけるベンチュリ効果が確立されない。したがって、ASOV120が閉位置の場合、アスピレータ102ではなくアスピレータ104のみが吸引ポート124を通じた吸引の生成のために機能する。さらに、ASOV120が流路134を通る流れに作用しないため、流路134によって生成された吸引圧力にASOVが干渉することはない。
【0025】
本明細書に開示され説明された原理によると、アスピレータ102,104の物理的な流れ特性を制御することによって、およびASOV120の開閉のための運転パラメータを設定することによって、アスピレータシステム100は、車両エンジンのための単純かつ安価な可変流速制御装置を形成するために使用することができる。ASOVを自動的に開閉するための条件は、システムを通る所望の駆動質量流速および/または所望の水準によりあらかじめプログラムすることができ、それによりシステム100の必要性を考慮して適切にシステムが動的に反応し、駆動質量流速を調整することができる。さらに、複数のアスピレータのうちの少なくとも1つによって吸引圧力が継続的に生成される間、システム100は、駆動質量流速を変えることができる。
【0026】
本発明を詳細に、およびその好ましい実施形態を参照して説明したが、添付の特許請求の範囲に定義されている本発明の範囲から逸脱することなく変更および変形が可能であることは明らかであろう。
【符号の説明】
【0027】
100 デュアルアスピレータシステム
102 第1アスピレータ
104 第2アスピレータ
106a,106b 駆動ポート(motive port)
108a,108b 排出ポート
110a,110b 吸入口
112 高圧源
114 多ポート接合部
116 低圧シンク
118 多ポート接合部
120 アスピレータ遮断弁(ASOV)
121 ピストン
122 吸引ハウジング
123 ゲート機構
124 吸引ポート
125 コントローラ
126 デバイス
128a,128b チェックバルブ
130 バイパスポート
132 チェックバルブ
134 第1流路
136 第2流路
138 吸引流
140 吸引流
142a,142b 駆動出口
144a,144b 排出入口
150 導管
152 ベンチュリ間隙
154 収束セクション
156 発散セクション
図1
図2
図3