(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6810032
(24)【登録日】2020年12月14日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】傾斜したキドニーポートを含む水圧ポンプバレル
(51)【国際特許分類】
F04B 1/22 20060101AFI20201221BHJP
【FI】
F04B1/22
【請求項の数】22
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-522808(P2017-522808)
(86)(22)【出願日】2015年12月2日
(65)【公表番号】特表2017-538885(P2017-538885A)
(43)【公表日】2017年12月28日
(86)【国際出願番号】US2015063396
(87)【国際公開番号】WO2016105890
(87)【国際公開日】20160630
【審査請求日】2018年11月29日
(31)【優先権主張番号】62/095,862
(32)【優先日】2014年12月23日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/151,491
(32)【優先日】2015年4月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598057523
【氏名又は名称】パーカー・ハニフィン・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】ディミンスキー,ダニエル
【審査官】
井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第06406271(US,B1)
【文献】
特開昭58−152177(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第04035748(DE,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0275928(US,A1)
【文献】
特開2009−174505(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水圧ポンプ組立体に使用するためのポンプバレルであって、
複数のピストンボアを画定するバレル本体であって、前記複数のピストンボアが、前記ボア内で可動である複数のピストンを受容するように構成される、バレル本体と、
複数のポートを画定するポート形成面であって、前記複数のポートが、前記ピストンボアと流体連通して、前記バレル本体を出入りする流体流れ経路を提供する、ポート形成面と、を備え、
前記ポートの縁面が、前記ポート形成面に対して直角でない角度で第1の方向に配向され、かつ、前記第1の方向とは異なる傾斜角度を含む第2の方向に配向され、
各ポートが、前記ポンプバレルの回転方向に対して、前縁面および後縁面を有し、前記前縁面が、前記ポート形成面に対して90°未満の角度に配向され、前記後縁面が、前記ポート形成面に対して90°を超える角度に配向され、
前記前縁面と前記後縁面とが互いに平行である、ポンプバレル。
【請求項2】
前記バレル本体が円筒形である、請求項1に記載のポンプバレル。
【請求項3】
前記複数のポートがキドニーポートである、請求項1又は2に記載のポンプバレル。
【請求項4】
前記ピストンボアが円筒形である、請求項1から3のいずれか一項に記載のポンプバレル。
【請求項5】
前記ポンプバレルによって画定されるポートの数が、ボアの数に対応する、請求項1から4のいずれか一項に記載のポンプバレル。
【請求項6】
入力駆動軸と相互作用するように構成されたスプラインを含む中央ボアをさらに備える、請求項1から5のいずれか一項に記載のポンプバレル。
【請求項7】
前記複数のピストンボアが、前記中央ボアの周囲に等距離に離間される、請求項6に記載のポンプバレル。
【請求項8】
水圧ポンプ組立体であって、
複数のボアを画定するポンプバレル、および前記ポンプバレルの前記複数のボアに受容される複数の可動のピストンを含む、ピストン回転群と、
前記ピストン回転群を回転させるための入力軸と、
変位可能な斜板であって、前記ピストン回転群が回転すると、前記ピストンが、前記斜板との相互作用によって伸長および後退して、流体に前記水圧ポンプ組立体を出入りさせる、斜板と、
を備え、
前記ポンプバレルが、前記ボアと流体連通して、前記ポンプバレルを出入りする流体流れ経路を提供する、複数のポートを有し、前記ポートの縁面が、前記ピストンの運動軸に沿って延びる法線に対して直角でない角度で第1の方向に傾斜し、かつ、前記第1の方向とは異なる傾斜角度を含む第2の方向に配向され、
さらに、各ポートが、前記ピストン回転群の回転方向に対して、前縁面および後縁面を有し、前記前縁面と前記後縁面とが互いに平行であり、
前記ポンプバレルが、前記複数のポートを画定するポート形成面を有し、
各ポートの前記前縁面が、前記ポート形成面に対して90°未満の角度に配向され、
各ポートの前記後縁面が、前記ポート形成面に対して90°を超える角度に配向される、水圧ポンプ組立体。
【請求項9】
前記ポンプバレルによって画定されるポートの数が、ピストンの数に対応する、請求項8に記載の水圧ポンプ組立体。
【請求項10】
前記ポンプバレルの前記複数のポートが、キドニーポートである、請求項8又は9に記載の水圧ポンプ組立体。
【請求項11】
前記流体を前記ピストン回転群に送るための入力通路と前記流体を前記ピストン回転群から出すための出力通路とを具備する流体マニホルドをさらに備え、前記ピストン回転群が、前記マニホルドのポンプ運転面に接触して回転する、請求項8から10のいずれか一項に記載の水圧ポンプ組立体。
【請求項12】
水圧ポンプ組立体に使用するためのポンプバレルであって、
複数のピストンボアを画定するバレル本体であって、前記複数のピストンボアが、前記ボア内で可動である複数のピストンを受容するように構成される、バレル本体と、
複数のポートを画定するポート形成面であって、前記複数のポートが、前記ピストンボアと流体連通して、前記バレル本体を出入りする流体流れ経路を提供する、ポート形成面と、備え、
前記ポートの縁面が、前記ポート形成面に対して直角でない角度で第1の方向に配向され、かつ、前記第1の方向とは異なる傾斜角度を含む第2の方向に配向され、
さらに、前記傾斜角度が、前記ポート形成面および前記第1の方向の前記直角でない角度の平面の両方に対して垂直な平面において前記ポートを傾斜させ、
各ポートが、前縁面および後縁面、ならびに内側縁面および外側縁面を有し、前記前縁面と前記後縁面とが互いに平行であり、
前記前縁面が、前記ポート形成面に対して90°未満の前縁角度に配向され、前記後縁面が、前記ポート形成面に対して90°を超える後縁角度に配向され、
前記内側縁面が、前記ポート形成面に対して90°未満の内側縁傾斜角度に配向され、前記外側縁面が、前記ポート形成面に対して90°を超える外側縁傾斜角度に配向される、ポンプバレル。
【請求項13】
前記バレル本体が円筒形である、請求項12に記載のポンプバレル。
【請求項14】
前記複数のポートがキドニーポートである、請求項12又は13に記載のポンプバレル。
【請求項15】
前記ピストンボアが円筒形である、請求項12から14のいずれか一項に記載のポンプバレル。
【請求項16】
前記ポンプバレルによって画定されるポートの数が、ボアの数に対応する、請求項12から15のいずれか一項に記載のポンプバレル。
【請求項17】
入力駆動軸と相互作用するように構成されたスプラインを含む中央ボアをさらに備える、請求項12から16のいずれか一項に記載のポンプバレル。
【請求項18】
前記複数のピストンボアが、前記中央ボアの周囲に等距離に離間される、請求項17に記載のポンプバレル。
【請求項19】
水圧ポンプ組立体であって、
複数のボアを画定するポンプバレル、および前記ポンプバレルの前記複数のボアに受容される複数の可動のピストンを含む、ピストン回転群と、
前記ピストン回転群を回転させるための入力軸と、
変位可能な斜板であって、前記ピストン回転群が回転すると、前記ピストンが、前記斜板との相互作用によって伸長および後退して、流体に前記水圧ポンプ組立体を出入りさせる、斜板と、
を備え、
前記ポンプバレルが、前記ボアと流体連通して前記ポンプバレルを出入りする流体流れ経路を提供する、複数のポートを有し、
前記ポートの縁面が、前記ピストンの運動軸に沿って延びる法線に対して直角でない角度で第1の方向に傾斜し、かつ、前記第1の方向とは異なる傾斜角度を含む第2の方向に配向され、
さらに、前記ポンプバレルが、前記複数のポートを画定するポート形成面を有し、前記傾斜角度が、前記ポート形成面および前記第1の方向の前記傾斜の平面の両方に対して垂直な平面において前記ポートを傾斜させ、
各ポートが、前縁面および後縁面、ならびに内側縁面および外側縁面を有し、前記前縁面と前記後縁面とが互いに平行であり、
前記前縁面が、前記ポート形成面に対して90°未満の前縁角度に配向され、前記後縁面が、前記ポート形成面に対して90°を超える後縁角度に配向され、
前記内側縁面が、前記ポート形成面に対して90°未満の内側縁傾斜角度に配向され、前記外側縁面が、前記ポート形成面に対して90°を超える外側縁傾斜角度に配向される、水圧ポンプ組立体。
【請求項20】
前記ポンプバレルによって画定されるポートの数が、ピストンの数に対応する、請求項19のいずれか一項に記載の水圧ポンプ組立体。
【請求項21】
前記ポンプバレルの前記複数のポートが、キドニーポートである、請求項19又は20に記載の水圧ポンプ組立体。
【請求項22】
前記流体を前記ピストン回転群に送るための入力通路と前記流体を前記ピストン回転群から出すための出力通路とを具備する流体マニホルドをさらに備え、前記ピストン回転群が、前記マニホルドのポンプ運転面に接触して回転する、請求項19から21のいずれか一項に記載の水圧ポンプ組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願データ
本出願は、2014年12月23日に出願された米国特許仮出願第62/095,862号、および2015年4月23日に出願された米国特許仮出願第62/151,491号の優先権を主張するものであり、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は一般に、水圧ポンプ水圧ポンプ(hydrostatic pump)に関し、より詳細には、そのような水圧ポンプで使用するためのピストンバレル構成に関する。
【背景技術】
【0003】
水圧ポンプは、原動機によって伝達される機械エネルギーを、液圧流体の圧送を通じて液圧エネルギーに変換する。よく見られるタイプの水圧ポンプまたは液圧ポンプは、回転するポンプバレル内に収容された往復運動する複数のピストンを含む、アキシャルピストン型ポンプであり、ピストンは、液圧ポートを介してシステム構成要素またはアクチュエータと流体連通する。可動の斜板に対して液圧ポンプバレルが回転することにより、ポンプピストンの軸方向運動がもたらされ、その軸方向運動が、液圧流体を、液圧ポートを通して他のシステム構成要素へと付勢する。
【0004】
上述のように、ピストンのポンプ作用は、斜板との相互作用によって軸方向に往復運動して回転円筒ポンプバレルを出入りするピストンにより、実現される。大気圧下でバレルチャンバが作動流体で完全に満たされたときの最大回転速度は、「自吸速度」と呼ばれる。自吸速度は、ポンプの性能の尺度を提供する、重要なパラメータである。出力パワーは出力流れ(速度)に対して直線関係を有するので、自吸速度が速くなることは、出力パワーが大きくなることを意味する。自吸速度が速くなることにより、キャビテーションを伴わないより高速度での運転、または、より高い高度において望まれるような、所与の速度に対してより低い入口圧力での運転を可能にする。
【0005】
したがって、出力パワーを向上させるためには、可能な限り速い自吸速度を得ることが望ましい。出力パワーを向上させるための1つの選択肢は、単にポンプバレルの回転速度を上げることにより、流量を増大させることである。しかし、ポンプ速度を速くすることだけにより出力流れを増大させることは、ポンプの充填能力によって制限され、そのような充填能力は、入口圧力の低下に起因して、ポンプ速度とともに低下する。
【0006】
出力流れを増大させるために、他の代替形態が用いられてきた。所与の自吸速度に対して、出力パワーを向上させるためにより大型のポンプが用いられ得るが、空間的な問題により、大型のポンプの使用が妨げられる場合がある。複式ポンプ構成もまた、より大きな出力パワーを生成するために用いられてきた。典型的な構成では、第2のインペラ式ポンプが、ピストンバレル式の水圧ポンプとの組合せで用いられ得る。第2のインペラポンプの使用は、バレルの入口における流体圧力を高めることによりバレルの回転速度を速めることを可能にし、また別の面では、吸込状態を改善してキャビテーションの問題が起きるのを防ぐことができる(これは、特に高高度において有用である)。しかし、複式ポンプ構成は、構成要素の数が増加し、それによりポンプシステムに関連するサイズ、コスト、および保守の問題が増大するという欠点を有する。したがって、水圧ポンプまたは液圧ポンプの出力パワーを向上させるための従来の機構は不完全であることが証明された。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の水圧ポンプまたは液圧ポンプは、ポンプサイズを大きくすることなく、また、複式ポンプ構成を伴うことなく、強化された出力パワーを提供する。出力パワーの向上は、ポンプを通る流れを強化しかつ従来の構成と比較して向上された回転速度を可能にする、ポンプバレル内の傾斜したキドニーポート表面を用いることにより達成される。傾斜したキドニーポート表面は、キドニーポートの後縁とキドニーポートの前縁との間の圧力差を活用する。傾斜面は、キドニーポートの後縁におけるより高い圧力を利用して、慣性力の下で流体をより容易にピストンチャンバに押し込む。その結果、ポンプを通る作動流体の流れが強化され、したがって自給速度が高まり、それにより、従来の構成と比較してポンプの出力パワーが向上される。
【0008】
本発明の一態様は、水圧ポンプ組立体に使用するためのポンプバレルである。例示的な実施形態では、ポンプバレルは、複数のピストンボアを画定するバレル本体であって、複数のピストンボアが、ボア内で可動である複数のピストンを受容するように構成される、バレル本体と、複数のポートを画定するポート形成面(porting face)であって、複数のポートが、ピストンボアと流体連通して、バレル本体を出入りする流体流れ経路を提供する、ポート形成面と、を含み得る。ポートの縁面は、ポート形成面に対して直角でない角度で第1の方向に配向される。より具体的には、各ポートは、ポンプバレルの回転方向に対して、前縁面および後縁面を有する。前縁面は、ポート形成面に対して90°未満の角度に配向されてもよく、後縁面は、ポート形成面に対して90°を超える角度に配向されてもよい。
【0009】
ポンプバレルの例示的な実施形態では、ポートの縁面は、第1の方向とは異なる傾斜角度を含む第2の方向にさらに配向され得る。傾斜角度は、ポート形成面および第1の方向の直角でない角度の平面の両方に対して垂直な平面においてポートを傾斜させる。
【0010】
ピストンバレルは、水圧ポンプ組立体に組み込まれ得る。例示的な実施形態では、水圧ポンプ組立体は、ピストン回転群を含み、ピストン回転群は、複数のボアを画定するポンプバレルと、ポンプバレルの複数のボアに受容される複数の可動のピストンとを含む。水圧ポンプ組立体は、ピストン回転群を回転させるための入力軸と、変位可能な斜板とをさらに含み、ピストン回転群が回転すると、ピストンは、斜板との相互作用によって伸長および後退して、流体に水圧ポンプ組立体を出入りさせる。ポンプバレルは、ボアと流体連通してバレルを出入りする流体流れ経路を提供する、複数のポートを有し、ポートの縁面は、ピストンの運動軸に沿って延びる法線に対して第1の方向に傾斜する。
【0011】
水圧ポンプ組立体の例示的な実施形態では、ポートの縁面は、第1の方向とは異なる傾斜角度を含む第2の方向にさらに配向され得る。傾斜角度は、ポート形成面および第1の方向の傾斜の平面の両方に対して垂直な平面においてポートを傾斜させる。
【0012】
本発明の上記その他の特徴は、以下の説明および添付の図面を参照することで明らかになるであろう。説明および図面では、本発明の原理が用いられ得る方法のうちのいくつかを示すものとして、本発明の特定の実施形態が詳細に開示されているが、本発明はそれに応じて範囲を限定されるものではないことが、理解される。むしろ、本発明は、本明細書に添付された特許請求の範囲の精神および条件に含まれるあらゆる変更、修正形態、および均等物を含む。1つの実施形態に関連して説明および/または図示される特徴は、1つまたは複数の他の実施形態において同じ方法または類似した方法で使用されてもよく、かつ/または、他の実施形態の特徴と組み合わせてまたはその代わりに使用されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態による例示的な水圧ポンプ組立体の垂直断面図を示す図である。
【
図2】ピストンチャンバおよびピストンのうちの1つを含む、
図1のポンプ組立体の一部分の垂直断面図を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態による水圧ポンプのための例示的なポンプバレルの第1の斜視図を示す図である。
【
図4】キドニーポート側上の反対の視点からの、
図3の例示的なポンプバレルの第2の斜視図を示す図である。
【
図5】
図3および
図4の例示的なポンプバレルのキドニーポート側の図を示す図である。
【
図6】
図5の線6−6に沿った、例示的なポンプバレルの断面図を示す図である。
【
図7】
図6の線7−7の範囲内の、例示的なポンプバレルの拡大図を示す図である。
【
図8】本発明の実施形態による第2の例示的なポンプバレルのキドニーポート側の図を示す図である。
【
図9】
図8の線9−9に沿った、第2の例示的なポンプバレルの断面図を示す図である。
【
図10】
図9の線10−10の範囲内の、例示的な第2のポンプバレルの拡大図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、同様の要素を参照するために同様の参照番号が全体にわたって使用されている各図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。各図は必ずしも原寸に比例していないことが、理解されるであろう。
【0015】
以下でさらに説明されるように、本発明の一態様は、水圧ポンプ組立体である。例示的な実施形態では、水圧ポンプ組立体は、ピストン回転群は、複数のボアを画定するポンプバレルと、ポンプバレルの複数のボアに受容される複数の可動のピストンとを含む。水圧ポンプ組立体は、ピストン回転群を回転させるための入力軸と、変位可能な斜板とをさらに含み、ピストン回転群が回転すると、ピストンは、斜板との相互作用によって伸長および後退して、水圧ポンプ組立体に対して流体を出入りさせる。ポンプバレルは、ボアと流体連通してポンプバレルを出入りする流体流れ経路を提供する、複数のポートを有し、ポートの縁面は、ピストンの運動軸に沿って延びる法線に対して傾斜する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態による例示的な水圧ポンプ組立体または液圧ポンプ組立体10の断面図を示す図である。ポンプ組立体10は、入力軸14を支持するハウジング12を含み、入力軸14は、軸シール16および保持リング18で封止される。ピストン回転群20が、ピストンチャンバ24内に収容された複数の可動のピストン22を含み、ピストンチャンバ24は、ポンプバレル26によって画定される複数の対応するボアとして構成される。ポンプ組立体10は、流体マニホルド28に固定され、流体マニホルド28は、ポンプ組立体に作動流体を入れるための入力通路32、およびポンプ組立体10から作動流体を出すための出力通路34を含む。例示的な実施形態では、作動流体は、当技術分野で知られているような液圧流体である。入力軸14は、ピストン回転群20が、マニホルドに取り付けられた弁板38のポンプ運転面42に接触して回転するように、ピストン回転群20を駆動する。ポンプバレル26は、入力軸14の端部上の協働するスプラインと相互作用するスプライン37を含んでもよい。
【0017】
動作にあたっては、オペレータが、当技術分野で知られているトラニオンアームを通じて動作する入力レバー(図示せず)を介して制御し、トラニオンアームは、変位可能な斜板40を変位させる。例えば、斜板は、±14°の角度範囲内で変位してもよい。ピストン回転群が入力軸の駆動力を受けて回転するにつれて、ピストン22は、液圧流体をマニホルド28から下流のシステム構成要素へ圧送するために、斜板との相互作用によって伸長および後退して、ポンプバレルに対して液圧流体を出入りさせる。ピストンが後退すると、流体が、負圧下において、入力通路32からポンプバレル26によって画定されたポート42のうちの1つを通ってピストンチャンバ内へ引き込まれる。ポート42は、典型的には腎臓(キドニー)の形状であってもよく、したがって、一般にキドニーポートと呼ばれる。ピストンが伸びると、流体は、ポンプバレル26のキドニーポート42のうちの別の1つを通してピストンチャンバから押し出され、次いで出力通路34を押し通される。
【0018】
図2は、ピストン22を有するピストンチャンバ24のうちの1つを含む、
図1のポンプ組立体の一部分の垂直断面図を示す図である。ピストンチャンバ24は、ピストン22が可動に収容されるシリンダとして構成される。ピストンチャンバ24は、ポンプバレル26によって画定されたボア内に含まれる。ピストン22は、球形のピストンヘッド44と、ピストンチャンバ24内で軸方向に可動である円筒形ロッド46とを含む。ピストン22の後退および伸長が、流体チャンバ48に作動流体を出入りさせる。流体チャンバ48は、ポンプバレル26によって画定されたキドニーポート42のうちの1つと流体連通し、ポンプバレル26は、上述のように、流体マニホルド28のポンプ運転面36に接触して回転する。
【0019】
以下でさらに詳述するように、キドニーポート42は、前縁面50および後縁面52を有するように、ポンプバレル26によって画定される。前縁面50および後縁面52は、ピストン22を受容するボアの壁面58に対して、または、ピストン22の運動軸に沿って延びる法線に対して、傾斜している。この構成は、前縁面および後縁面が傾斜せずに直線状である従来のポンプバレルとは対照的である。
【0020】
以下でさらに詳述されるように、例示的な実施形態では、ポンプバレルは、複数のピストンボアを画定するバレル本体であって、複数のピストンボアが、ボア内で可動である複数のピストンを受容するように構成される、バレル本体と、複数のポートを画定するポート形成面であって、複数のポートが、ピストンボアと流体連通して、バレル本体を出入りする流体流れ経路を提供する、ポート形成面と、を含み得る。ポートの縁面は、ポート形成面に対して直角でない角度に配向される。より具体的には、各ポートは、ポンプバレルの回転方向に対して、前縁面および後縁面を有する。前縁面は、ポート形成面に対して90°未満の角度に配向されてもよく、後縁面は、ポート形成面に対して90°を超える角度に配向されてもよい。
【0021】
図3は、本発明の実施形態による水圧ポンプ組立体10のための例示的なポンプバレル26の第1の斜視図を示す図である。ポンプバレル26は、全体的に円筒形のバレル本体51を有し、かつ、複数のピストンボア53を画定し、複数のピストンボア53は、上述のように、ピストンを有する対応する数のピストンチャンバを受容する。ピストンボア53はまた、対応する円筒形状のピストンを受容するために円筒形であってもよい。
図3の描写は、入力軸を受容する端部の視点からのものである。
図3は、スプライン37を示し、このスプライン37は、ピストンバレル26の中央ボア55にわたって延在し、また、ポンプバレルを駆動するための入力軸と相互作用する。各ピストンボア53は、中央ボア55の周囲に等距離に離間されてもよい。
【0022】
図4は、キドニーポート側の反対の視点からの、
図3の例示的なポンプバレル26の第2の斜視図を示す図である。
図5は、例示的なポンプバレル26のキドニーポート側の直視図(straight−on view)を示す図である。
図6は、
図5の線6−6に沿った、例示的なポンプバレル26の断面図を示す図であり、
図7は、
図6の線7−7の範囲内の、例示的なポンプバレル26の部分の拡大図を示す図である。したがって、
図4〜
図7では、同様の構成要素は、共通の参照番号で識別される。
【0023】
それらの図で明らかなように、ポンプバレル26は、複数のポンプキドニーポート42を画定するポート形成面54を含み、複数のポンプキドニーポート42は、ボア53、およびピストンを受容するピストンチャンバと流体連通する。キドニーポート42の数は、ポンプバレル26に組み込まれるピストンの数に対応する。入力軸の駆動を受けてピストンバレル26が回転すると、ポート形成面54は、上述のマニホルド28の弁板38に接触して回転する。
図4および
図5の矢印56は、ポンプバレル26の例示的な回転方向を示す。上記で大まかに言及されたように、各キドニーポートは、そのような回転方向に対して、前縁面50および後縁面52を有する。前縁面50および後縁面52は、それぞれのボア53の壁面58に対して(具体的には
図6参照)、または、ピストン22の運動軸に沿って延びる法線に対して、傾斜している。
【0024】
図7の拡大図で最も良く分かるように、矢印56が、この場合もやはり、ポンプバレル26の回転方向を示す。回転方向は、この場合もやはり、キドニーポート42の前縁面50および後縁面52を画定する働きをする。
図7で明らかなように、キドニーポート42の両縁面は、ポート形成面54に対して直角でない角度に配向される。具体的には、前縁面50は、ポート形成面54に対して前縁角度60に配向され、この前縁角度60は、90°未満である。キドニーポート42の反対側端部において、後縁面52は、ポート形成面54に対して後縁角度62に配向され、この後縁角度62は、90°を超える。これは従来の構成とは対照的であり、従来の構成では、ポート形成面に対する前縁角度および後縁角度がどちらも90°であるように、前縁面および後縁面は直線状であり傾斜していない。
【0025】
本発明のキドニーポート面の傾斜した性質は、従来の構成と比較して出力流れを強化し、したがって、より大きい出力パワーをもたらす。したがって、本発明の大出力パワーは、ピストン回転群のサイズを変更することなく、また、複式ポンプ構成を伴うことなく、獲得される。
【0026】
具体的には、傾斜したバレルキドニーポート面は、ポンプバレルにわたってより良好な流れ状態を提供する。バレルが回転するとキドニーポートの後縁面と前縁面との間に圧力差が生じることが知られている。言い換えれば、前縁面におけるより低い圧力に対して、後縁面における圧力が上昇する。従来の直線状のバレルキドニーポート面の構成では、ピストンの後退中に体積が増大する流体チャンバが、作動流体をピストン流体チャンバに入れる唯一の駆動要素である。速度を高めるにつれて、流体の慣性および粘性が、出力速度を高めることに対する制限要因になる。対照的に、本発明では、後縁面および前縁面の傾斜した角度は、後縁でのより高い圧力を活用する働きをする。後縁の傾斜は、直線状のバレルキドニーポートと比較して、より容易にかつより速い速度で流体をピストンチャンバに押し込むのを促進するために、圧力差を利用する。したがって、傾斜したキドニーポート面からもたらされる流体流れは、ピストンの運動によって付勢されるだけではなく、流体の慣性、およびピストンチャンバ内の流体をキドニーポートの傾斜した後縁面に沿って押す遠心力によっても付勢される。
【0027】
本発明は、ピストンの運動に加えて流体の慣性力を利用することにより、従来の構成と比較して高められた自給速度を提供する。その結果、ポンプからの流体の出力流れが強化され、それにより、出力パワーが向上される。
【0028】
図5〜
図7に示された例示的なポンプバレルでは、キドニーポートは、1つの方向にのみ傾斜している。別の例示的な実施形態では、ポンプバレルキドニーポートは、流体の出力流れをさらに強化するために、2つの方向に傾斜し得る。具体的には、
図8は、本発明の実施形態による第2の例示的なポンプバレル70のキドニーポート側の図を示す図である。
図9は、
図8の線9−9に沿った、第2の例示的なポンプバレル70の断面図を示す図である。
図10は、
図9の線10−10の範囲内の、例示的な第2のポンプバレル70の拡大図を示す図である。
【0029】
図8のポンプバレル70は、基本的に、
図3および
図4に示されるような第1の実施形態のポンプバレル26と同程度の一般化された特徴を有する。
図8で分かるように、ポンプバレル70は、複数のポンプキドニーポート72を画定するポート形成面74を同様に含み、ポンプキドニーポート72は、第1の実施形態と同様に、ボア、およびピストンを受容するピストンチャンバと流体連通する。キドニーポート72の数は、ポンプバレル70に組み込まれるピストンの数に対応する。入力軸の駆動を受けてポンプバレル70が回転すると、ポート形成面74は、上述のように、マニホルド28の弁板38に接触して回転する(
図1および
図2参照)。
【0030】
図9〜
図10の断面図では、ポンプバレルの例示的な回転方向は、基本的に、ポンプバレル70の図示された部分の描写に対して「ページの外」である。具体的には、そのような回転方向に対して、各キドニーポート72は、内側縁面80および外側縁面82を有し、「内側」および「外側」という用語は、ポンプバレルの中心に対する位置を表す。各キドニーポート72は(
図5および
図6と同様に)、バレル本体88によって画定される壁面86を有するそれぞれのボア84と流体連通する。ポンプバレル70は、スプライン83をさらに含み、このスプライン83は、ピストンバレル70の中央ボア85にわたって延在し、また、ポンプバレルを駆動するための入力軸と相互作用する。各キドニーポート72およびそれぞれのピストンボア84は、前述の実施形態と同様に、中央ボア85の周囲に等距離に離間されてもよい。
【0031】
この
図8〜
図10の実施形態におけるキドニーポートはまた、前述の実施形態と同様に、第1の方向に傾斜している。この第1の傾斜方向は、
図8では線6−6に沿って示されるが、これは基本的に、第1の実施形態に対して説明された
図5の線6−6に沿った傾斜と同じである。第1の方向に傾斜した性質は、
図6および
図7に関してすでに上述されており、この実施形態でも同等である。
【0032】
さらに、
図8〜
図10のポンプバレル70の実施形態では、キドニーポート72は、第1の方向とは異なる第2の方向に傾斜している。
図9および
図10は、キドニーポートが第1の方向に加えて第2の方向に傾斜する方法を示す。上述のように、
図9〜
図10の断面図では、ポンプバレルの例示的な回転方向は、基本的に、ポンプバレル70の図示された部分の描写に対して「ページの外」である。
図9および
図10に示された第2の傾斜配向において、内側縁面80および外側縁面82は、それぞれのボア84の壁面86に対して、または、ピストンの運動軸に沿って延びる法線に対して、傾斜している。キドニーポート72の内側および外側の両縁面は、ポート形成面74に対して直角でない角度に配向される。具体的には、内側縁面80は、ポート形成面74に対して内側縁傾斜角度90に配向され、この内側縁傾斜角度90は、90°未満である。キドニーポート72の反対側端部において、外側縁面82は、ポート形成面74に対して外側縁傾斜角度92に配向され、この外側縁傾斜角度92は、90°を超える。
【0033】
第1および第2の両方向におけるキドニーポート面の傾斜した性質は、従来の構成と比較して出力流れをさらに強化し、したがって、より大きな出力パワーをもたらす。第1の実施形態におけるように、第1および第2の方向に傾斜したキドニーポートを有する第2の実施形態は、ピストン回転群のサイズを変更することなく、また、複式ポンプ構成を伴うことなく、より大きな出力パワーを獲得する。
【0034】
本発明の一態様は、水圧ポンプ組立体に使用するためのポンプバレルである。例示的な実施形態では、ポンプバレルは、複数のピストンボアを画定するバレル本体であって、複数のピストンボアが、ボア内で可動である複数のピストンを受容するように構成される、バレル本体と、複数のポートを画定するポート形成面であって、複数のポートが、ピストンボアと流体連通して、バレル本体を出入りする流体流れ経路を提供する、ポート形成面と、を含む。ポートの縁面は、ポート形成面に対して直角でない角度に配向される。
【0035】
ポンプバレルの例示的な一実施形態では、各ポートは、ポンプバレルの回転方向に対して、前縁面および後縁面を有する。
ポンプバレルの例示的な一実施形態では、前縁面は、ポート形成面に対して90°未満の角度に配向され、後縁面は、ポート形成面に対して90°を超える角度に配向される。
【0036】
ポンプバレルの例示的な一実施形態では、バレル本体は円筒形である。
ポンプバレルの例示的な一実施形態では、複数のポートはキドニーポートである。
ポンプバレルの例示的な一実施形態では、ピストンボアは円筒形である。
【0037】
ポンプバレルの例示的な一実施形態では、ポンプバレルによって画定されるポートの数は、ボアの数に対応する。
ポンプバレルの例示的な一実施形態では、ポンプバレルは、入力駆動軸と相互作用するように構成されたスプラインを具備する中央ボアをさらに含む。
【0038】
ポンプバレルの例示的な一実施形態では、複数のピストンボアは、中央ボアの周囲に等距離に離間される。
ポンプバレルの例示的な一実施形態では、ポートの縁面は、ポート形成面に対して直角でない角度で第1の方向に配向され、かつ、第1の方向とは異なる傾斜角度を含む第2の方向に配向される。
【0039】
ポンプバレルの例示的な一実施形態では、傾斜角度は、ポート形成面および第1の方向の直角でない角度の平面の両方に対して垂直な平面においてポートを傾斜させる。
ポンプバレルの例示的な一実施形態では、各ポートは、前縁面および後縁面、ならびに内側縁面および外側縁面を有する。
【0040】
ポンプバレルの例示的な一実施形態では、前縁面は、ポート形成面に対して90°未満の前縁角度に配向され、後縁面は、ポート形成面に対して90°を超える後縁角度に配向され、内側縁面は、ポート形成面に対して90°未満の内側縁傾斜角度に配向され、外側縁面は、ポート形成面に対して90°を超える外側縁傾斜角度に配向される。
【0041】
本発明の別の態様は、水圧ポンプ組立体である。例示的な実施形態では、水圧ポンプ組立体は、複数のボアを画定するポンプバレル、およびポンプバレルの複数のボアに受容される複数の可動のピストンを具備する、ピストン回転群と、ピストン回転群を回転させるための入力軸と、変位可能な斜板とを含む。ピストン回転群が回転すると、ピストンは、斜板との相互作用によって伸長および後退して、流体に水圧ポンプ組立体を出入りさせる。ポンプバレルは、ボアと流体連通して、ポンプバレルを出入りする流体流れ経路を提供する、複数のポートを有し、ポートの縁面は、ピストンの運動軸に沿って延びる法線に対して傾斜している。
【0042】
水圧ポンプ組立体の例示的な一実施形態では、各ポートは、前縁面および後縁面、ならびに内側縁面および外側縁面を有する。
水圧ポンプ組立体の例示的な一実施形態では、前縁面は、ポート形成面に対して90°未満の前縁角度に配向され、後縁面は、ポート形成面に対して90°を超える後縁角度に配向され、内側縁面は、ポート形成面に対して90°未満の内側縁傾斜角度に配向され、外側縁面は、ポート形成面に対して90°を超える外側縁傾斜角度に配向される。
【0043】
水圧ポンプ組立体の例示的な一実施形態では、ポンプバレルによって画定されるポートの数は、ピストンの数に対応する。
水圧ポンプ組立体の例示的な一実施形態では、ポンプバレルの複数のポートは、キドニーポートである。
【0044】
水圧ポンプ組立体の例示的な一実施形態では、水圧ポンプ組立体は、流体をピストン回転群に送るための入力通路と流体をピストン回転群から出すための出力通路とを具備する流体マニホルドをさらに含み、ピストン回転群は、マニホルドのポンプ運転面に接触して回転する。
【0045】
水圧ポンプ組立体の例示的な一実施形態では、ポートの縁面は、ピストンの運動軸に沿って延びる法線に対して第1の方向に傾斜し、かつ、第1の方向とは異なる傾斜角度を含む第2の方向に配向される。
【0046】
水圧ポンプ組立体の例示的な一実施形態では、ポンプバレルは、複数のポートを画定するポート形成面を有し、傾斜角度は、ポート形成面および第1の方向の傾斜の平面の両方に対して垂直な平面においてポートを傾斜させる。
【0047】
本発明は、特定の実施形態に関して図示されかつ説明されたが、本明細書および添付の図面を読みかつ理解すれば当業者には同等の変形形態および修正形態が思い浮かぶであろうことは、明らかである。具体的には、上記の要素(構成要素、組立体、デバイス、組成物、等)によって実行される様々な機能に関して、そのような要素を説明するために使用される用語(「手段」への言及も含む)は、別段の指示がない限り、たとえ本明細書において例示された本発明の例示的な実施形態における機能を実行する開示された構造と構造的に等価でなくとも、説明された要素の測定の機能を実行する(すなわち、機能的に等価な)いかなる要素にも対応することが意図されている。さらに、例示された幾つかの実施形態のうちの1つだけまたは複数に関して、本発明の特定の特徴が上述されたであろうが、そのような特徴は、所望される通りに、また、いかなるまたは特定の用途にとって有利であるように、他の実施形態の1つまたは複数の特徴と組み合わされてもよい。
【0048】
そのような代替実施形態の一例は、ピストンの軸がバレルの回転軸とある角度を形成するようにピストンがバレルの回転軸に対して傾けられる、水圧ポンプバレルピストン構成であり得る。この構成は、ピストンの軸がバレルの軸と平行である上記の実施形態とは異なる。代替実施形態の別の例は、バレルポート形成面が、係合する弁板とともに球形の接触面を作り出す、バレル構成であり得る。そのような構成では、バレルの面は、凹面形の輪郭を有し、一方で弁板の面は、凸面形の輪郭を有する。そのような構成もまた、両方の係合面が平面であると説明された上記の実施形態とは異なる。
以下に本明細書が開示する形態のいくつかを記載しておく。
[形態1]
水圧ポンプ組立体に使用するためのポンプバレルであって、
複数のピストンボアを画定するバレル本体であって、前記複数のピストンボアが、前記ボア内で可動である複数のピストンを受容するように構成される、バレル本体と、
複数のポートを画定するポート形成面であって、前記複数のポートが、前記ピストンボアと流体連通して、前記バレル本体を出入りする流体流れ経路を提供する、ポート形成面と、を備え、
前記ポートの縁面が、前記ポート形成面に対して直角でない角度に配向される、ポンプバレル。
[形態2]
各ポートが、前記ポンプバレルの回転方向に対して、前縁面および後縁面を有する、形態1に記載のポンプバレル。
[形態3]
前記前縁面が、前記ポート形成面に対して90°未満の角度に配向され、前記後縁面が、前記ポート形成面に対して90°を超える角度に配向される、形態2に記載のポンプバレル。
[形態4]
前記バレル本体が円筒形である、形態1〜3のいずれか一項に記載のポンプバレル。
[形態5]
前記複数のポートがキドニーポートである、形態1〜4のいずれか一項に記載のポンプバレル。
[形態6]
前記ピストンボアが円筒形である、形態1〜5のいずれか一項に記載のポンプバレル。
[形態7]
前記ポンプバレルによって画定されるポートの数が、ボアの数に対応する、形態1〜6のいずれか一項に記載のポンプバレル。
[形態8]
入力駆動軸と相互作用するように構成されたスプラインを含む中央ボアをさらに備える、形態1〜7のいずれか一項に記載のポンプバレル。
[形態9]
前記複数のピストンボアが、前記中央ボアの周囲に等距離に離間される、形態8に記載のポンプバレル。
[形態10]
水圧ポンプ組立体であって、
複数のボアを画定するポンプバレル、および前記ポンプバレルの前記複数のボアに受容される複数の可動のピストンを含む、ピストン回転群と、
前記ピストン回転群を回転させるための入力軸と、
変位可能な斜板であって、前記ピストン回転群が回転すると、前記ピストンが、前記斜板との相互作用によって伸長および後退して、流体に前記水圧ポンプ組立体を出入りさせる、斜板と、
を備え、
前記ポンプバレルが、前記ボアと流体連通して、前記ポンプバレルを出入りする流体流れ経路を提供する、複数のポートを有し、前記ポートの縁面が、前記ピストンの運動軸に沿って延びる法線に対して傾斜する、水圧ポンプ組立体。
[形態11]
各ポートが、前記ピストン回転群の回転方向に対して、前縁面および後縁面を有する、形態10に記載の水圧ポンプ組立体。
[形態12]
前記ポンプバレルが、前記複数のポートを画定するポート形成面を有し、
各ポートの前記前縁面が、前記ポート形成面に対して90°未満の角度に配向され、
各ポートの前記後縁面が、前記ポート形成面に対して90°を超えるに配向される、
形態11に記載の水圧ポンプ組立体。
[形態13]
前記ポンプバレルによって画定されるポートの数が、ピストンの数に対応する、形態10〜12のいずれか一項に記載の水圧ポンプ組立体。
[形態14]
前記ポンプバレルの前記複数のポートが、キドニーポートである、形態10〜13のいずれか一項に記載の水圧ポンプ組立体。
[形態15]
前記流体を前記ピストン回転群に送るための入力通路と前記流体を前記ピストン回転群から出すための出力通路とを具備する流体マニホルドをさらに備え、前記ピストン回転群が、前記マニホルドのポンプ運転面に接触して回転する、形態10〜14のいずれか一項に記載の水圧ポンプ組立体。
[形態16]
水圧ポンプ組立体に使用するためのポンプバレルであって、
複数のピストンボアを画定するバレル本体であって、前記複数のピストンボアが、前記ボア内で可動である複数のピストンを受容するように構成される、バレル本体と、
複数のポートを画定するポート形成面であって、前記複数のポートが、前記ピストンボアと流体連通して、前記バレル本体を出入りする流体流れ経路を提供する、ポート形成面と、備え、
前記ポートの縁面が、前記ポート形成面に対して直角でない角度で第1の方向に配向され、かつ、前記第1の方向とは異なる傾斜角度を含む第2の方向に配向される、ポンプバレル。
[形態17]
前記傾斜角度が、前記ポート形成面および前記第1の方向の前記直角でない角度の平面の両方に対して垂直な平面において前記ポートを傾斜させる、形態16に記載のポンプバレル。
[形態18]
各ポートが、前縁面および後縁面、ならびに内側縁面および外側縁面を有する、形態17に記載のポンプバレル。
[形態19]
前記前縁面が、前記ポート形成面に対して90°未満の前縁角度に配向され、前記後縁面が、前記ポート形成面に対して90°を超える後縁角度に配向され、
前記内側縁面が、前記ポート形成面に対して90°未満の内側縁傾斜角度に配向され、前記外側縁面が、前記ポート形成面に対して90°を超える外側縁傾斜角度に配向される、
形態18に記載のポンプバレル。
[形態20]
前記バレル本体が円筒形である、形態16〜19のいずれか一項に記載のポンプバレル。
[形態21]
前記複数のポートがキドニーポートである、形態16〜20のいずれか一項に記載のポンプバレル。
[形態22]
前記ピストンボアが円筒形である、形態16〜21のいずれか一項に記載のポンプバレル。
[形態23]
前記ポンプバレルによって画定されるポートの数が、ボアの数に対応する、形態16〜22のいずれか一項に記載のポンプバレル。
[形態24]
入力駆動軸と相互作用するように構成されたスプラインを含む中央ボアをさらに備える、形態16〜23のいずれか一項に記載のポンプバレル。
[形態25]
前記複数のピストンボアが、前記中央ボアの周囲に等距離に離間される、形態24に記載のポンプバレル。
[形態26]
水圧ポンプ組立体であって、
複数のボアを画定するポンプバレル、および前記ポンプバレルの前記複数のボアに受容される複数の可動のピストンを含む、ピストン回転群と、
前記ピストン回転群を回転させるための入力軸と、
変位可能な斜板であって、前記ピストン回転群が回転すると、前記ピストンが、前記斜板との相互作用によって伸長および後退して、流体に前記水圧ポンプ組立体を出入りさせる、斜板と、
を備え、
前記ポンプバレルが、前記ボアと流体連通して前記ポンプバレルを出入りする流体流れ経路を提供する、複数のポートを有し、
前記ポートの縁面が、前記ピストンの運動軸に沿って延びる法線に対して第1の方向に傾斜し、かつ、前記第1の方向とは異なる傾斜角度を含む第2の方向に配向される、水圧ポンプ組立体。
[形態27]
前記ポンプバレルが、前記複数のポートを画定するポート形成面を有し、前記傾斜角度が、前記ポート形成面および前記第1の方向の前記傾斜の平面の両方に対して垂直な平面において前記ポートを傾斜させる、形態26に記載の水圧ポンプ組立体。
[形態28]
各ポートが、前縁面および後縁面、ならびに内側縁面および外側縁面を有する、形態27に記載の水圧ポンプ組立体。
[形態29]
前記前縁面が、前記ポート形成面に対して90°未満の前縁角度に配向され、前記後縁面が、前記ポート形成面に対して90°を超える後縁角度に配向され、
前記内側縁面が、前記ポート形成面に対して90°未満の内側縁傾斜角度に配向され、前記外側縁面が、前記ポート形成面に対して90°を超える外側縁傾斜角度に配向される、
形態28に記載の水圧ポンプ組立体。
[形態30]
前記ポンプバレルによって画定されるポートの数が、ピストンの数に対応する、形態26〜29のいずれか一項に記載の水圧ポンプ組立体。
[形態31]
前記ポンプバレルの前記複数のポートが、キドニーポートである、形態26〜30のいずれか一項に記載の水圧ポンプ組立体。
[形態32]
前記流体を前記ピストン回転群に送るための入力通路と前記流体を前記ピストン回転群から出すための出力通路とを具備する流体マニホルドをさらに備え、前記ピストン回転群が、前記マニホルドのポンプ運転面に接触して回転する、形態26〜31のいずれか一項に記載の水圧ポンプ組立体。