(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6810036
(24)【登録日】2020年12月14日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの製造方法
(51)【国際特許分類】
C07D 307/92 20060101AFI20201221BHJP
A61P 35/00 20060101ALN20201221BHJP
A61P 3/00 20060101ALN20201221BHJP
A61P 3/04 20060101ALN20201221BHJP
A61P 3/10 20060101ALN20201221BHJP
A61K 31/343 20060101ALN20201221BHJP
【FI】
C07D307/92
!A61P35/00
!A61P3/00
!A61P3/04
!A61P3/10
!A61K31/343
【請求項の数】33
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2017-529452(P2017-529452)
(86)(22)【出願日】2016年7月15日
(86)【国際出願番号】JP2016003346
(87)【国際公開番号】WO2017013865
(87)【国際公開日】20170126
【審査請求日】2019年4月25日
(31)【優先権主張番号】特願2015-142873(P2015-142873)
(32)【優先日】2015年7月17日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002912
【氏名又は名称】大日本住友製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100118371
【弁理士】
【氏名又は名称】▲駒▼谷 剛志
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】八木 俊一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智志
(72)【発明者】
【氏名】畳谷 嘉人
(72)【発明者】
【氏名】橋本 和樹
【審査官】
三木 寛
(56)【参考文献】
【文献】
特表2013−522325(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/169078(WO,A1)
【文献】
特表2014−511384(JP,A)
【文献】
特表2010−539097(JP,A)
【文献】
特表2015−506990(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/166618(WO,A1)
【文献】
特開2010−111629(JP,A)
【文献】
特開2008−162985(JP,A)
【文献】
特開平11−180914(JP,A)
【文献】
特開平04−312567(JP,A)
【文献】
実験化学講座(続)2 分離と精製,丸善株式会社,1967年 1月25日,p.159-178,186-187
【文献】
溶剤ハンドブック,株式会社講談社,1985年 9月 1日,p.156-158,p.186-189,292-294,350-352,450-451,568-571,578-579,642-647
【文献】
HAGIWARA Hisahiro, et al.,Domino Michael-O-alkylation reaction: one-pot synthesis of 2,4-diacylhydrofuran derivatives and its,Journal of the Chemical Society, Perkin Transactions 1,2001年,Vol.22,p.2946-2957
【文献】
HIGGINS Catherine A., et al.,Growth inhibitory activity of extracted material and isolated compounds from the fruits of Kigelia p,Planta Medica,2010年,Vol.76(16),p.1840-1846
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 307/92
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記工程(c)および工程(d)を含む、2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの製造方法:
(c)3−ブロモ−3−ブテン−2−オン、2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン及び塩基を、非アルコール系非ケトン系溶媒Aの存在下で反応させ、アルコール系溶媒B及び/又は水を添加することにより、2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの結晶を得る工程;および
(d)該工程(c)で得られる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンに非アルコール系溶媒C及び吸着剤を添加して2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンを精製する工程、
ここで、該非アルコール系非ケトン系溶媒Aが、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、モノクロロベンゼン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、アニソール、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、トルエン、及びキシレンからなる群から選択される少なくとも一つであり、
該アルコール系溶媒Bが、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブチルアルコール、若しくはイソブチルアルコール、又はこれらの混合物であり、
該非アルコール系溶媒Cが、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、モノクロロベンゼン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、アニソール、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトンからなる群から選択される少なくとも一つである、
方法。
【請求項2】
前記工程(c)において、前記アルコール系溶媒B及び/又は水を添加後、反応溶液に酸化剤を加える、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記酸化剤が、酸素、過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム、塩素、ヨウ素、硝酸、及び硝酸カリウムからなる群から選択される少なくとも一つである、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記酸化剤が、酸素である、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記工程(c)において、前記アルコール系溶媒B及び/又は水を添加後、反応溶液に酸素濃度が1〜25%の気体を加える、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記酸素濃度が1〜25%の気体が、酸素以外の成分として不活性ガスを含む気体である、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記不活性ガスが、窒素及び/又はアルゴンである、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記酸素濃度が1〜25%の気体が、空気である、請求項5に記載の製造方法。
【請求項9】
前記工程(d)の後に、下記工程(e)をさらに含む、請求項1に記載の製造方法:
(e)該工程(d)で用いられる吸着剤を取り除き、非アルコール系溶媒Cを留去する工程。
【請求項10】
前記工程(e)の後に、下記工程(f)をさらに含む、請求項9に記載の製造方法:
(f)該工程(e)で得られる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンを、結晶化溶媒Dを加えて結晶化を行うことで、2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンを得る工程、
ここで、結晶化溶媒Dが、n−ヘプタン、キシレン、n−ブタノール、酢酸イソブチル、トルエン、シクロヘキサン、酢酸、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、及び水からなる群から選択される少なくとも一つである、
方法。
【請求項11】
前記工程(f)の後に、下記工程(g)をさらに含む、請求項10に記載の製造方法:
(g)該工程(f)で得られる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンを、酢酸エチルを用いてスラリー化し、2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの結晶を形成させる工程。
【請求項12】
前記工程(c)で用いられる非アルコール系非ケトン系溶媒Aが、クロロホルム、モノクロロベンゼン、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、アセトニトリル、tert−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、アニソール、酢酸エチル、トルエン、及びキシレンからなる群から選択される少なくとも一つである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項13】
前記工程(c)で用いられる非アルコール系非ケトン系溶媒Aが、モノクロロベンゼン、及びアセトニトリルからなる群から選択される少なくとも一つである、請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
前記工程(c)において、3−ブロモ−3−ブテン−2−オンに対して、モル比率にて0.8等量〜1.2等量の2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノンを反応させる、請求項1〜13のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項15】
前記工程(c)において、3−ブロモ−3−ブテン−2−オンに対して、モル比率にて0.9等量〜1.1等量の2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノンを反応させる、請求項14に記載の製造方法。
【請求項16】
前記工程(c)で用いられる塩基が、ジアザビシクロウンデセンである、請求項1〜15のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項17】
前記工程(c)で用いられるジアザビシクロウンデセンのモル比率が、3−ブロモ−3−ブテン−2−オンに対して、0.9等量〜5.0等量である、請求項16に記載の製造方法。
【請求項18】
前記工程(c)において、3−ブロモ−3−ブテン−2−オンと2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノンの反応溶液に、3−ブロモ−3−ブテン−2−オンに対して、モル比率にて0.9等量〜1.5等量のジアザビシクロウンデセンを添加し、1分〜3時間撹拌した後、3−ブロモ−3−ブテン−2−オンに対して、モル比率にて0.01等量〜1.0等量のジアザビシクロウンデセンをさらに添加する、請求項17に記載の製造方法。
【請求項19】
前記工程(c)で用いられるアルコール系溶媒Bが、メタノール若しくはエタノール、又はこれらの混合物である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項20】
前記工程(d)で用いられる非アルコール系溶媒Cが、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アニソール、酢酸エチル、酢酸プロピル、及び酢酸ブチルからなる群から選択される少なくとも一つである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項21】
前記工程(d)で用いられる非アルコール系溶媒Cが、アニソールである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項22】
前記工程(d)で用いられる吸着剤が、活性アルミナ、ゼオライト、活性炭及びシリカゲルからなる群から選択される少なくとも一つである、請求項1〜21のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項23】
前記工程(d)で用いられる吸着剤が、シリカゲルである、請求項22に記載の製造方法。
【請求項24】
前記工程(d)に用いられる吸着剤が、2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンに対して重量比で0.01〜0.3倍量である、請求項1〜23のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項25】
前記工程(d)に用いられる吸着剤が、2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンに対して重量比で0.02〜0.2倍量である、請求項24に記載の製造方法。
【請求項26】
前記工程(f)で用いられる結晶化溶媒Dが、n−ヘプタンを含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項27】
前記工程(f)で用いられる結晶化溶媒Dが、キシレンを含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項28】
前記工程(f)で用いられる結晶化溶媒Dが、n−ブタノールを含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項29】
前記工程(f)で用いられる結晶化溶媒Dが、酢酸イソブチルを含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項30】
前記工程(c)の前に、下記工程(a)及び(b)をさらに含む、請求項1〜29のいずれか一項に記載の製造方法:
(a)3−ブテン−2−オンと臭素を反応させ、3,4−ジブロモブタン−2−オンを形成させる工程、及び
(b)該工程(a)で得られる3,4−ジブロモブタン−2−オンを塩基と反応させて脱臭化水素化し、3−ブロモ−3−ブテン−2−オンを形成させる工程。
【請求項31】
前記工程(b)で用いられる塩基がトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルピロリジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、N−メチルモルホリン、及び無機塩基からなる群から選択される少なくとも一つである、請求項30に記載の製造方法。
【請求項32】
前記工程(b)で用いられる塩基がN−メチルモルホリンである、請求項30に記載の製造方法。
【請求項33】
工程(d)の精製温度が、30℃〜100℃である、請求項1〜32のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬品として有用な2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの製造方法としては、例えば、特許文献1、特許文献2、及び特許文献3に記載の方法が知られている。
【0003】
特許文献1において、Liらは、3−ブテン−2−オンを臭素にて臭素化した後、DBU(ジアザビシクロウンデセン)を用いて脱臭化水素させることで、3−ブロモ−3−ブテン−2−オンを得ている。その後、3−ブロモ−3−ブテン−2−オンと2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノンとを、追加のDBUを加えてカップリング反応をさせた後、晶析により固体を取得した後、得られた固体を結晶化することにより、2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンを取得する方法を報告している。
【0004】
特許文献2において、Liらは、3−ブテン−2−オンを臭素にて臭素化した後、DBUを用いて脱臭化水素させることで、3−ブロモ−3−ブテン−2−オンを得ている。その後、3−ブロモ−3−ブテン−2−オンと2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノンとを、DBUにてカップリングさせ、晶析により2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]ジヒドロフラン−4,9−ジオンと2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの粗混合物を取得している。当該粗混合物を二酸化マンガンにて酸化し、2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンを得た後、酢酸エチルで処理することにより2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンを得ている。
【0005】
特許文献3において、Jiangらは、3−ブテン−2−オンを臭素にて臭素化し、DBUにて脱臭化水素させることで、3−ブロモ−3−ブテン−2−オンを得た後、反応系中に2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノンを加え、空気雰囲気下で縮合させ、2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]ジヒドロフラン−4,9−ジオンを取得している。その後、2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]ジヒドロフラン−4,9−ジオンをDBUで空気雰囲気下撹拌させて2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンを取得している。
【0006】
いずれの製造法も、収率が低く、工業的に目的物を効率よく製造できる方法とはいえない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開2009/036099号
【特許文献2】国際公開2011/116398号
【特許文献3】国際公開2012/119265号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、工業生産に適した2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの製造方法を提供する。より特定すると、本発明は、商用生産に適応できる、安全かつ簡便な操作方法で、高純度の2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンを高収率で製造する方法を提供する。
【0009】
詳細に述べると、本発明者らは鋭意検討した結果、3−ブロモ−3−ブテン−2−オンと2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノンとを溶媒存在下で反応する際に、アルコール系溶媒及び/又は水を添加することにより、2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの結晶を収率よく得られることを見出した。更に、得られた結晶を溶媒存在下で吸着剤を用いて処理することにより、驚くべき事に収率が向上することを見出した。
【0010】
すなわち、本発明は、以下の通りである。
【0011】
[項1]下記工程(c)を含む、2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの製造方法:
(c)3−ブロモ−3−ブテン−2−オン、2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン及び塩基を、非アルコール系非ケトン系溶媒Aの存在下で反応させ、アルコール系溶媒B及び/又は水を添加することにより、2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの結晶を得る工程。
【0012】
[項2]前記工程(c)において、前記アルコール系溶媒B及び/又は水を添加後、反応溶液に酸化剤を加える、項1に記載の製造方法。
【0013】
[項3]前記酸化剤が、酸素、過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム、塩素、ヨウ素、硝酸、及び硝酸カリウムからなる群から選択される少なくとも一つである、項2に記載の製造方法。
【0014】
[項4]前記酸化剤が、酸素である、項3に記載の製造方法。
【0015】
[項5]前記工程(c)において、前記アルコール系溶媒B及び/又は水を添加後、反応溶液に酸素濃度が1〜25%の気体を加える、項1に記載の製造方法。
【0016】
[項6]前記酸素濃度が1〜25%の気体が、酸素以外の成分として不活性ガスを含む気体である、項5に記載の製造方法。
【0017】
[項7]前記不活性ガスが、窒素及び/又はアルゴンである、項6に記載の製造方法。
【0018】
[項8]前記酸素濃度が1〜25%の気体が、空気である、項5に記載の製造方法。
【0019】
[項9]前記工程(c)の後に、下記工程(d)をさらに含む、項1〜8のいずれか一項に記載の製造方法:
(d)該工程(c)で得られる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンを、非アルコール系溶媒Cの存在下、吸着剤を用いて精製する工程。
【0020】
[項10]前記工程(d)の後に、下記工程(e)をさらに含む、項9に記載の製造方法:
(e)該工程(d)で用いられる吸着剤を取り除き、非アルコール系溶媒Cを留去する工程。
【0021】
[項11]前記工程(e)の後に、下記工程(f)をさらに含む、項10に記載の製造方法:
(f)該工程(e)で得られる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンを、炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒、酸系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、及び水から選択される少なくとも一つの結晶化溶媒Dを加えて結晶化を行うことで、2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンを得る工程。
【0022】
[項12]前記工程(f)の後に、下記工程(g)をさらに含む、項11に記載の製造方法:
(g)該工程(f)で得られる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンを、酢酸エチルを用いてスラリー化し、2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの結晶を形成させる工程。
【0023】
[項13]前記工程(c)で用いられる非アルコール系非ケトン系溶媒Aが、ハロゲン系溶媒、アミド系溶媒、ニトリル系溶媒、スルホキシド系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒及び炭化水素系溶媒からなる群から選択される少なくとも一つである、
項1〜12のいずれか一項に記載の製造方法。
【0024】
[項14]前記工程(c)で用いられる非アルコール系非ケトン系溶媒Aが、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、モノクロロベンゼン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、アニソール、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、トルエン、及びキシレンからなる群から選択される少なくとも一つである、
項13に記載の製造方法。
【0025】
[項15]前記工程(c)で用いられる非アルコール系非ケトン系溶媒Aが、クロロホルム、モノクロロベンゼン、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、アセトニトリル、tert−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、アニソール、酢酸エチル、トルエン、及びキシレンからなる群から選択される少なくとも一つである、
項14に記載の製造方法。
【0026】
[項16]前記工程(c)で用いられる非アルコール系非ケトン系溶媒Aが、モノクロロベンゼン、及びアセトニトリルからなる群から選択される少なくとも一つである、
項15に記載の製造方法。
【0027】
[項17]前記工程(c)において、3−ブロモ−3−ブテン−2−オンに対して、モル比率にて0.8等量〜1.2等量の2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノンを反応させる、
項1〜16のいずれか一項に記載の製造方法。
【0028】
[項18]前記工程(c)において、3−ブロモ−3−ブテン−2−オンに対して、モル比率にて0.9等量〜1.1等量の2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノンを反応させる、
項17に記載の製造方法。
【0029】
[項19]前記工程(c)で用いられる塩基が、ジアザビシクロウンデセンである、
項1〜18のいずれか一項に記載の製造方法。
【0030】
[項20]前記工程(c)で用いられるジアザビシクロウンデセンのモル比率が、3−ブロモ−3−ブテン−2−オンに対して、0.9等量〜5.0等量である、
項19に記載の製造方法。
【0031】
[項21]前記工程(c)において、3−ブロモ−3−ブテン−2−オンと2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノンの反応溶液に、3−ブロモ−3−ブテン−2−オンに対して、モル比率にて0.9等量〜1.5等量のジアザビシクロウンデセンを添加し、1分〜3時間撹拌した後、3−ブロモ−3−ブテン−2−オンに対して、モル比率にて0.01等量〜1.0等量のジアザビシクロウンデセンをさらに添加する、
項20に記載の製造方法。
【0032】
[項22]前記工程(c)で用いられるアルコール系溶媒Bがメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブチルアルコール、若しくはイソブチルアルコール、又はこれらの混合物である、
項1〜21のいずれか一項に記載の製造方法。
【0033】
[項23]前記工程(c)で用いられるアルコール系溶媒Bが、メタノール若しくはエタノール、又はこれらの混合物である、
項22に記載の製造方法。
【0034】
[項24]前記工程(d)で用いられる非アルコール系溶媒Cが、エーテル系溶媒、アミド系溶媒、ケトン系溶媒、ハロゲン系溶媒、スルホキシド系溶媒、エステル系溶媒、炭化水素系溶媒及びニトリル系溶媒からなる群から選択される少なくとも一つである、
項9〜23のいずれか一項に記載の製造方法。
【0035】
[項25]前記工程(d)で用いられる非アルコール系溶媒Cが、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、モノクロロベンゼン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、アニソール、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトンからなる群から選択される少なくとも一つである、
項24に記載の製造方法。
【0036】
[項26]前記工程(d)で用いられる非アルコール系溶媒Cが、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アニソール、酢酸エチル、酢酸プロピル、及び酢酸ブチルからなる群から選択される少なくとも一つである、
項24に記載の製造方法。
【0037】
[項27]前記工程(d)で用いられる非アルコール系溶媒Cが、アニソールである、
項24に記載の製造方法。
【0038】
[項28]前記工程(d)で用いられる吸着剤が、活性アルミナ、ゼオライト、活性炭及びシリカゲルからなる群から選択される少なくとも一つである、
項9〜27のいずれか一項に記載の製造方法。
【0039】
[項29]前記工程(d)で用いられる吸着剤が、シリカゲルである、
項28に記載の製造方法。
【0040】
[項30]前記工程(d)に用いられる吸着剤が、2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンに対して重量比で0.01〜0.3倍量である、
項9〜29のいずれか一項に記載の製造方法。
【0041】
[項31]前記工程(d)に用いられる吸着剤が、2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンに対して重量比で0.02〜0.2倍量である、
項30に記載の製造方法。
【0042】
[項32]前記工程(f)で用いられる結晶化溶媒Dが、n−ヘプタン、キシレン、n−ブタノール、酢酸イソブチル、トルエン、シクロヘキサン、酢酸、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、及び水からなる群から選択される少なくとも一つである、
項11〜31のいずれか一項に記載の製造方法。
【0043】
[項33]前記工程(f)で用いられる結晶化溶媒Dが、n−ヘプタンを含む、
項32に記載の製造方法。
【0044】
[項34]前記工程(f)で用いられる結晶化溶媒Dが、キシレンを含む、
項32に記載の製造方法。
【0045】
[項35]前記工程(f)で用いられる結晶化溶媒Dが、n−ブタノールを含む、
項32に記載の製造方法。
【0046】
[項36]前記工程(f)で用いられる結晶化溶媒Dが、酢酸イソブチルを含む、
項32に記載の製造方法。
【0047】
[項37]前記工程(c)の前に、下記工程(a)及び(b)をさらに含む、
項1〜36のいずれか一項に記載の製造方法:
(a)3−ブテン−2−オンと臭素を反応させ、3,4−ジブロモブタン−2−オンを形成させる工程、及び
(b)該工程(a)で得られる3,4−ジブロモブタン−2−オンを塩基と反応させて脱臭化水素化し、3−ブロモ−3−ブテン−2−オンを形成させる工程。
【0048】
[項38]前記工程(b)で用いられる塩基がトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルピロリジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、N−メチルモルホリン、及び無機塩基からなる群から選択される少なくとも一つである、
項37に記載の製造方法。
【0049】
[項39]前記工程(b)で用いられる塩基がN−メチルモルホリンである、
項38に記載の製造方法。
【0050】
本発明において、上記の一つまたは複数の特徴は、明示された組み合わせに加え、さらに組み合わせて提供され得ることが意図される。本発明のなおさらなる実施形態および利点は、必要に応じて以下の詳細な説明を読んで理解すれば、当業者に認識される。
【発明の効果】
【0051】
本発明の製造方法によれば、医薬品として有用な2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンを安価にかつ安全に製造することができる。しかも、本発明の製造方法によれば、既知の製造方法に比べて高収率かつ高純度にて2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンを製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、本発明を最良の形態を示しながら説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の冠詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
【0053】
本明細書における用語について以下に説明する。
【0054】
「吸着剤」とは、表面に他の物質を吸着する性質の強い物質を意味する。
【0055】
「吸着剤」の具体例として、活性アルミナ、ゼオライト、活性炭又はシリカゲル、或いはこれらの混合物等が挙げられるがこれらに限定されない。好ましくは、ゼオライト、活性炭又はシリカゲルが挙げられる。より好ましくは、活性炭又はシリカゲルが挙げられる。最も好ましくは、シリカゲルが挙げられる。
【0056】
「塩基」には、有機塩基及び無機塩基の両方が含まれる。
【0057】
「塩基」の具体例として、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルピロリジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、N−メチルモルホリン、ジアザビシクロウンデセン又は無機塩基、或いはこれらの混合物等が挙げられるがこれらに限定されない。好ましくはトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルピロリジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ジアザビシクロウンデセン又はN−メチルモルホリンが挙げられる。より好ましくは、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジアザビシクロウンデセン又はN−メチルモルホリンが挙げられる。最も好ましくは、ジアザビシクロウンデセン又はN−メチルモルホリンが挙げられる。
【0058】
「無機塩基」の具体例として、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、又は炭酸セシウムが挙げられる。好ましくは、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、又は炭酸セシウム、或いはこれらの混合物等が挙げられるがこれらに限定されない。より好ましくは、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、又は炭酸水素ナトリウムが挙げられる。最も好ましくは、水酸化ナトリウム、又は炭酸ナトリウムが挙げられる。
【0059】
「炭化水素系溶媒」の具体例として、n−ヘプタン、n−ヘキサン、トルエン、キシレン、シクロペンタン又はシクロヘキサン、或いはこれらの混合物等が挙げられるがこれらに限定されない。好ましくは、n−ヘプタン、トルエン、キシレン又はシクロヘキサンが挙げられる。より好ましくは、n−ヘプタン、トルエン又はキシレンが挙げられる。最も好ましくは、n−ヘプタン又はキシレンが挙げられる。
【0060】
「アルコール系溶媒」の具体例として、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブチルアルコール又はイソブチルアルコール、或いはこれらの混合物等が挙げられるがこれらに限定されない。好ましくは、メタノール、エタノール又はn−ブチルアルコールが挙げられる。より好ましくは、エタノール又はn−ブチルアルコールが挙げられる。最も好ましくは、エタノールが挙げられる。
【0061】
「ケトン系溶媒」の具体例として、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン又はメチルイソブチルケトン、或いはこれらの混合物等が挙げられるがこれらに限定されない。好ましくは、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン又はメチルイソブチルケトンが挙げられる。より好ましくは、メチルエチルケトン又はメチルイソブチルケトンが挙げられる。最も好ましくは、メチルエチルケトンが挙げられる。
【0062】
「エーテル系溶媒」の具体例として、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン又はアニソール、或いはこれらの混合物等が挙げられるがこれらに限定されない。好ましくは、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン又はアニソールが挙げられる。より好ましくは、テトラヒドロフラン又はアニソールが挙げられる。最も好ましくは、アニソールが挙げられる。
【0063】
「エステル系溶媒」の具体例として、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル又は酢酸イソブチル、或いはこれらの混合物等が挙げられるがこれらに限定されない。好ましくは、酢酸エチル、酢酸プロピル又は酢酸イソブチルが挙げられる。より好ましくは、酢酸エチル又は酢酸イソブチルが挙げられる。最も好ましくは、酢酸イソブチルが挙げられる。
【0064】
「ハロゲン系溶媒」の具体例として、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素又はモノクロロベンゼン、或いはこれらの混合物等が挙げられるがこれらに限定されない。好ましくは、クロロホルム、四塩化炭素又はモノクロロベンゼンが挙げられる。より好ましくは、クロロホルム又はモノクロロベンゼンが挙げられる。最も好ましくは、モノクロロベンゼンが挙げられる。
【0065】
「アミド系溶媒」の具体例として、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド又はN−メチル−2−ピロリドン、或いはこれらの混合物等が挙げられるがこれらに限定されない。好ましくは、N,N−ジメチルホルムアミド又はN−メチル−2−ピロリドンが挙げられる。最も好ましくは、N−メチル−2−ピロリドンが挙げられる。
【0066】
「ニトリル系溶媒」の具体例として、アセトニトリル又はプロピオニトリル、或いはこれらの混合物等が挙げられるがこれらに限定されない。最も好ましくは、アセトニトリルが挙げられる。
【0067】
「スルホキシド系溶媒」の具体例として、ジメチルスルホキシド又はジエチルスルホキシド、或いはこれらの混合物等が挙げられるがこれらに限定されない。最も好ましくは、ジメチルスルホキシドが挙げられる。
【0068】
「非アルコール系非ケトン系溶媒」とは、アルコール系溶媒でもケトン系溶媒でもない溶媒をいう。非アルコール系非ケトン系溶媒は、代表的には、ハロゲン系溶媒、アミド系溶媒、ニトリル系溶媒、スルホキシド系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒又は炭化水素系溶媒、或いはこれらの混合物等が挙げられるがこれらに限定されない。「非アルコール系非ケトン系溶媒」の具体例としては、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、モノクロロベンゼン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、アニソール、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、トルエン又はキシレン、或いはこれらの混合物等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0069】
「非アルコール系溶媒」とは、アルコール系溶媒ではない溶媒をいう。非アルコール系溶媒は代表的には、ハロゲン系溶媒、アミド系溶媒、ニトリル系溶媒、スルホキシド系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、炭化水素系溶媒又はケトン系溶媒、或いはこれらの混合物等が挙げられるがこれらに限定されない。「非アルコール系溶媒」の具体例としては、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、モノクロロベンゼン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、アニソール、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン又はメチルイソブチルケトン、或いはこれらの混合物等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0070】
「結晶化溶媒」とは、結晶化の際に用いる溶媒をいう。結晶化溶媒は、代表的には、炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、酸系溶媒又は水、或いはこれらの混合物等が挙げられるがこれらに限定されない。好ましくは、n−ヘプタン、キシレン、トルエン、シクロヘキサン、n−ブタノール、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、酢酸イソブチル、酢酸又は水が挙げられる、或いはこれらの混合物等がこれらに限定されない。より好ましくはn−ヘプタン、キシレン、n−ブタノール又は酢酸イソブチルが挙げられ、さらに好ましくは、n−ヘプタン又はキシレンが挙げられ、最も好ましくは、n−ヘプタンが挙げられる。
【0071】
「酸系溶媒」とは、酸である溶媒をいう。酸系溶媒としては、例えば、ギ酸又は酢酸、或いはこれらの混合物等を挙げることができるがこれらに限定されない。最も好ましくは、酢酸が挙げられる。
【0072】
「非プロトン性溶媒」とは、プロトンを放出したり、水素結合を供与したりする性質がきわめて弱い溶媒をいう。非プロトン性溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ジメチルスルホキシド、又はジエチルスルホキシド、或いはこれらの混合物等を挙げることができるがこれらに限定されない。最も好ましくは、アセトニトリルが挙げられる。
【0073】
本明細書において、溶媒等の表現について、「…から選択される少なくとも一つである」との表現は、これらの選択肢について、二つ以上選択される場合、それら二つ以上の選択肢の混合物を含むことが理解される。
【0074】
「酸化剤」とは、ある物質の電子を奪う試薬のことをいう。例えば、酸素、過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム、塩素、ヨウ素、硝酸、又は硝酸カリウムが挙げられ、好ましくは、酸素、過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、又は硝酸であり、最も好ましくは、酸素である。
【0075】
「不活性ガス」とは、化学的反応性の低い気体のことをいう。例えば、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、又はキセノンが挙げられ、好ましくは、窒素、又はアルゴンであり、最も好ましくは窒素である。
【0076】
「酸素濃度が1〜25%の気体」とは、純酸素を不活性ガスにより1〜25%の体積分率に希釈した気体のことをいう。例えば、1〜25%酸素/窒素、又は1〜25%酸素/アルゴンが挙げられ、好ましくは1〜15%酸素/窒素、又は1〜15%酸素/アルゴンであり、さらに好ましくは1〜10%酸素/窒素、又は1〜10%酸素/アルゴンである。
【0077】
次に本発明を、好ましい実施形態によりさらに詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれら好ましい実施形態に限定されるものではない。また、本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。尚、以下の好ましい実施形態において示された化合物名は必ずしもIUPAC命名法に従うものではない。
【0078】
なお、本明細書において記載の簡略化のために、次に挙げる略号を用いることもある。DBU:ジアザビシクロウンデセン、DMF:N,N−ジメチルホルムアミド。
【0079】
代表的な本発明の製造方法
2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの製造方法
【0081】
以下に述べるように、本発明の方法では工程(c)および(d)が最も重要であり、その他の工程については、他の工程に置き換えてもよいことが理解される。その他工程(a)〜(g)までの工程について以下好ましい実施形態を交えて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0082】
工程(a)
本工程は化合物3−ブテン−2−オンに、適当な溶媒存在下、臭素を反応させることにより3,4−ジブロモブタン−2−オンの反応溶液を得る本発明における任意工程である。本工程において使用される溶媒は、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、モノクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒等が挙げられ、好ましくは、クロロホルム、ジクロロメタン又はモノクロロベンゼンが挙げられる。より好ましくは、モノクロロベンゼンが挙げられる。臭素の使用量は、1等量の3−ブテン−2−オンに対して、通常、モル比率にて0.8等量〜5等量、好ましくは0.8等量〜3等量、より好ましくは0.9等量〜2等量である。反応時間は、通常、0.1時間〜12時間程度であり、好ましくは0.1時間〜4時間、より好ましくは0.1時間〜1時間である。反応温度は、通常、−70℃〜100℃、好ましくは約−40℃〜約80℃、より好ましくは約−20℃〜約30℃である。
【0083】
工程(b)
本工程は、前記製造工程(a)で得られる(他の経路で入手してもよい)、3,4−ジブロモブタン−2−オンの反応溶液に、塩基を添加し、脱臭化水素化することで、3−ブロモ−3−ブテン−2−オンを形成させる本発明における任意工程である。本工程において使用される塩基は、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルピロリジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、N−メチルモルホリン又は無機塩基が挙げられ、好ましくはトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルピロリジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン又はN−メチルモルホリンが挙げられ、より好ましくはN−メチルモルホリンが挙げられる。塩基の使用量は、1等量の3,4−ジブロモブタン−2−オンに対して、通常、モル比率にて0.8等量〜5等量、好ましくは0.8等量〜3等量、より好ましくは0.9等量〜2等量である。反応時間は、通常、約0.1時間〜約24時間であり、好ましくは0.1時間〜8時間、より好ましくは0.1時間〜2時間である。反応温度は、通常、−40℃〜約80℃、好ましくは−20℃〜50℃、より好ましくは、0℃〜50℃である。
【0084】
工程(c)
本工程は、2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノンを、適当な非アルコール系非ケトン系溶媒A及び塩基の存在下、前記製造工程(b)で得ることができる(他の経路で製造してもよい)、3−ブロモ−3−ブテン−2−オンと反応させることより、2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンを形成させ、アルコール系溶媒B及び/又は水を添加することにより、2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの結晶を得る工程である。本発明の1つの重要な工程であり、アルコール系溶媒B及び/又は水を用いることで、収率が高く、純度も上昇した2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンを製造することができる。本工程において使用される非アルコール系非ケトン系溶媒Aは、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、モノクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等の非プロトン性溶媒、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、アニソール等のエーテル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、又はこれらの混合溶媒等が挙げられる。好ましくはクロロホルム、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、アセトニトリル、tert−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、アニソール、酢酸エチル、トルエン又はキシレンが挙げられ、より好ましくは、モノクロロベンゼン又はアセトニトリルが挙げられる。本工程において使用される塩基は、DBUが挙げられる。本工程において使用されるアルコール系溶媒Bは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブチルアルコール又はイソブチルアルコールが挙げられ、好ましくはメタノール又はエタノールが挙げられ、より好ましくはエタノールが挙げられる。2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノンの使用量は、3−ブロモ−3−ブテン−2−オンに対して、通常、モル比率にて、0.8等量〜1.2等量、好ましくは0.9等量〜1.2等量、より好ましくは0.9等量〜1.1等量である。塩基の使用量は、1等量の3−ブロモ−3−ブテン−2−オンに対して、通常、モル比率にて、通常、0.9等量〜5.0等量である。好ましくは、0.9等量〜3.0等量、より好ましくは、0.9等量〜2.0等量、さらに好ましくは1.0等量〜1.6等量、1.0等量〜1.4等量、最も好ましくは1.0等量〜1.3等量である。塩基は分割して使用しても、一括して使用してもよい。塩基を分割して使用する場合、塩基の使用量は、3−ブロモ−3−ブテン−2−オンに対して、モル比率にて、通常、0.9等量〜1.5等量及び0.01等量〜1.0等量、好ましくは0.9等量〜1.1等量及び0.01等量〜0.5等量、より好ましくは0.95等量〜1.05等量及び0.01等量〜0.3等量である。反応時間は、通常、0.1時間〜48時間程度であり、好ましくは0.1時間〜12時間、より好ましくは0.1時間〜4時間である。塩基を分割使用する場合、最初の塩基を添加してから、残りの塩基を添加するまでの時間は、通常、1分〜24時間であり、好ましくは1分〜6時間であり、より好ましくは、1分〜3時間であり、最も好ましくは、5分〜1時間である。反応温度は、通常、−20℃〜120℃、好ましくは0℃〜100℃、より好ましくは、30℃〜80℃である。塩基を分割使用する場合、最初に添加する塩基と残りの塩基とアルコール系溶媒B及び/又は水を添加する順番は、どのようなものであってもよい。例えば、最初に塩基を添加してから、上記時間をあけて、残りの塩基を添加し、その後、アルコール系溶媒B及び/又は水を添加してもよいし、あるいは最初に塩基を添加してから、アルコール系溶媒B及び/又は水を添加し、その後、残りの塩基を添加してもよい。
【0085】
工程(c)において、アルコール系溶媒B及び/又は水を添加後、反応溶液に酸化剤を加えると溶液中の2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの析出量が増加し収率が向上する。
【0086】
酸化剤としては、具体的には酸素、過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム、塩素、ヨウ素、硝酸、又は硝酸カリウムが挙げられ、好ましくは、酸素、過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、又は硝酸であり、最も好ましくは、酸素である。
【0087】
酸化剤が酸素である場合、工程(c)において、アルコール系溶媒B及び/又は水を添加後、反応溶液に酸素濃度が1〜25%の気体を加えてもよい。
【0088】
酸素濃度が1〜25%の気体が、酸素以外の成分として不活性ガスを含む気体であってもよく、具体的には酸素以外の成分として窒素、アルゴン、又はヘリウム等が含まれる気体が用いられる。
【0089】
酸素濃度が1〜25%の気体として空気を用いることもできる。
【0090】
工程(d)
本工程は、前記製造工程(c)で得られた、2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの結晶を、適当な非アルコール系溶媒Cに溶解させ、吸着剤にて精製する本発明の任意工程である。なお、本発明では工程(c)に加え吸着剤を用いることで、既知の製造方法に比べてさらに高収率かつ高純度にて2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンを製造することができる。
【0091】
本工程において使用される非アルコール系溶媒Cは、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、モノクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等の非プロトン性溶媒、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、アニソール等のエーテル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル溶媒、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、又はこれらの混合溶媒等が挙げられ、好ましくはN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アニソール、酢酸エチル、酢酸プロピル又は酢酸ブチルが挙げられ、より好ましくは、アニソールが挙げられる。
【0092】
本工程において使用される吸着剤は、活性アルミナ、ゼオライト、活性炭又はシリカゲルが挙げられ、好ましくは活性アルミナ、活性炭又はシリカゲルが挙げられ、より好ましくはシリカゲルが挙げられる。
【0093】
吸着剤の使用量は、2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンに対して重量比で0.001〜0.3倍量、好ましくは0.01〜0.2倍量、より好ましくは0.02〜0.2倍量である。
【0094】
精製時間は、通常、0.1時間〜12時間程度であり、好ましくは0.1時間〜8時間、より好ましくは0.1時間〜2時間である。
【0095】
精製温度は、通常、0℃〜150℃、好ましくは30℃〜100℃、より好ましくは50℃〜90℃である。
【0096】
工程(e)
本工程は、前記製造工程(d)で精製された、2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンと吸着剤の懸濁液から、吸着剤を取り除き、非アルコール系溶媒Cを留去する本発明の任意工程である。
【0097】
工程(f)
本工程は、前記製造工程(e)で得られる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンを、適当な結晶化溶媒Dを用いて結晶化することにより、2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンを得る本発明の任意工程である。
【0098】
本工程において使用される結晶化溶媒Dは、n−ヘプタン、キシレン、n−ブタノール、酢酸イソブチル、トルエン、シクロヘキサン、酢酸、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、水又はこれらの混合溶媒等が挙げられ、好ましくはn−ヘプタン、キシレン、n−ブタノール又は酢酸イソブチルが挙げられ、より好ましくは、n−ヘプタン又はキシレンが挙げられ、最も好ましくは、n−ヘプタンが挙げられる。
【0099】
結晶化(晶析)時間は、通常、0.5時間〜96時間程度であり、好ましくは1時間〜48時間であり、より好ましくは1時間〜24時間である。
【0100】
結晶化(晶析)時の温度は、用いられる結晶化溶媒Dの種類等によって異なるが、通常、−10℃〜50℃、好ましくは0℃〜40℃、より好ましくは0℃〜30℃である。
【0101】
工程(g)
本工程は、前記製造工程(f)で得られる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンを、酢酸エチルを用いて、スラリー化することで、2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの結晶を得る本発明の任意工程である。
【0102】
スラリー化の時間は、通常、0.5時間〜48時間程度であり、好ましくは1時間〜12時間であり、より好ましくは1時間〜8時間である。
【0103】
スラリー化の温度は、通常、0℃〜150℃、好ましくは20℃〜120℃、より好ましくは40℃〜100℃である。
【0104】
理論に束縛されることを望まないが、本発明は、上記工程(c)および(d)を行うことで、本発明の所定の効果を達成し得ることを見出している。したがって、工程(c)および(d)以外の工程は、上記のとおり実施しなくてもよいことが理解される。
【0105】
したがって、本発明は、工程(c)3−ブロモ−3−ブテン−2−オン、2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン及び塩基を、非アルコール系非ケトン系溶媒A存在下で反応させ、アルコール系溶媒B及び/又は水を添加することにより、2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの結晶を得る工程を含む2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの製造方法を提供する。特に、本発明では、3−ブロモ−3−ブテン−2−オンと2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノンとを溶媒存在下で反応する際に、アルコール系溶媒及び/又は水を添加することにより、2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの結晶が収率よく得られる。アルコール系溶媒及び/又は水を使わない場合に比べて、収率の向上が認められる。さらに、本発明では、得られた結晶を溶媒存在下で吸着剤を用いて処理することにより、驚くべき事に収率が向上することが見出された。したがって、本発明は、工程(c)および工程(d)を含めることにより、収率が向上する。理論に束縛されることを望まないが、本発明は、上記工程(c)および工程(d)を行うことで、本発明の所定の効果を達成し得ることを見出しており、これは、実施例においても実証されている。
【0106】
好ましい実施形態では、本発明の工程(d)に続き、工程(e)を行ってもよい。工程(e)では、工程(d)で使用する吸着剤が取り除かれ、非アルコール系溶媒Cが留去される。吸着剤の除去は当該分野で任意の除去方法をも用いることができ、例えば、吸着剤は、代表的には固体であるため固体を任意の方法でその他の成分、例えば、生成物を含む溶媒と分離することで取り除くことができる。あるいは、実施例等においても例示されるように、熱濾過等の手法を用いることができる。非アルコール系溶媒Cの留去もまた、溶媒留去の当該分野で用いられる任意の手法(例えば、減圧濃縮等)を用いることができる。
【0107】
さらに好ましい実施形態では、工程(e)の後に上記工程(f)を行うことができる。この工程(f)では、工程(e)で得られる2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンを、結晶化溶媒Dを加えて結晶化を行うことで、2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンが得られる。
【0108】
本発明の工程(c)において使用される3−ブロモ−3−ブテン−2−オンおよび2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノンは、どのような様式で入手してもよい。好ましくは、3−ブロモ−3−ブテン−2−オンは工程(b)によって製造されたものを用いる。
【0109】
したがって、さらに好ましい実施形態では、工程(c)で用いられる3−ブロモ−3−ブテン−2−オンは工程(a)によって製造された3,4−ジブロモブタン−2−オンを用いて上記工程(b)によって製造されたものを用いる。
【0110】
さらに、本発明で利用される工程(a)〜(g)までのすべてが、安価にかつ安全に製造することに寄与するため、工程(a)〜(g)のうちどのような組合せ(すべてでもよい)を用いても、従来方法に比べて、安価にかつ安全に医薬品として有用な2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンを製造することができる。また、工程(c)、好ましくはこれに加え工程(d)、さらに好ましくはこれらに加え工程(e)、さらに好ましくはこれらに加え工程(f)、なお一層好ましくはこれらに加え工程(g)、さらに一層好ましくはこれらに加え工程(b)、最も好ましくは、工程(a)〜工程(g)を行うことにより、高収率かつ高純度にて2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンを製造することができる。
【0111】
試薬等を加える順序は先に挙げたものに限定されるものではない。
【0112】
以下に参考例及び実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。なお、化合物の同定は元素分析値、マス・スペクトル、高速液体クロマト質量分析計;LCMS、IRスペクトル、NMRスペクトル、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等により行った。
【0113】
明細書の記載を簡略化するために参考例、実施例及び実施例中の表において以下に示すような略号を用いることもある。NMRに用いられる記号としては、sは一重線、及びmは多重線を意味する。
【0114】
高速液体クロマト;HPLCの測定条件は、以下の通りであり、2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの保持時間をRt(分)で示す。なお、各実測値においては、測定に用いた測定条件を付記する。なお、下記において、HPLC純度(面積%)とは、下記の測定条件を用い、各ピーク面積を比較することにより、純度を算出している。
【0115】
Column:phenomenex Luna 5u C18(2) 100A (4.6mm×250mm,5μm) (Waters製)
Solvent:A液:10mmol/L K
2HPO
4水溶液(pH 6.8)、B液:アセトニトリル
Gradient Condition:
【表1】
【0116】
上記測定条件にて測定した、2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンのRtは、23分である。
【実施例】
【0117】
次に本発明を、実施例および比較例によりさらに詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。また、本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。尚、以下の実施例および比較例において示された化合物名は必ずしもIUPAC命名法に従うものではない。
【0118】
実施例1−1:2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの粗結晶の各種製造方法
【化2】
【0119】
(工程1)
−15℃〜−10℃に冷却したモノクロロベンゼン(2565g)に純度95%のメチルビニルケトン(445.7g、6.041mol)を加え、臭素(946.1g、5.920mol)を−15℃〜−4℃にて、約3.5時間かけて滴下した。その後、反応溶液に、N−メチルモルホリン(672.1g、6.645mol)及び水(91.9g)の混合溶液を、2時間かけて滴下した後、−5℃にて1時間撹拌した。得られたスラリーに水(331.5g)を加えた後、分液操作により有機層を抽出し、3−ブロモ−3−ブテン−2−オンのモノクロロベンゼン溶液(3595.2g、含量:23.1%、収率:92.2%)を取得した。
【0120】
(工程2)
2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン(100.0g、574.2mmol)にアセトニトリル(150g)及びDBU(92.0g)を加えた後、−15℃〜−10℃に冷却した3−ブロモ−3−ブテン−2−オンのモノクロロベンゼン溶液(364.7g、純分:83.88g、563.0mmol)を45℃にて20分間かけて滴下した。その後、反応溶液にDBU(10.0g)を42℃にて滴下した後、25℃〜45℃で減圧濃縮することにより、溶媒(228g)を留去した。反応溶液にエタノール(250g)を35℃にて滴下し、10℃まで冷却した後、スラリーを濾過してウエット結晶を取得した。ウエット結晶をエタノール(85g)、50%エタノール水(100g)及びエタノール(85g)の順で洗浄した後、減圧乾燥することで、2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの粗結晶(57.83g、240.9mmol、HPLC純度:99.70面積%)を取得した(収率:42.8%)。メチルビニルケトンを基準とした通算収率:39.5%。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ: 2.60 (3H, s), 7.90-7.94 (2H, m), 8.04 (1H, s), 8.12-8.17 (2H, m).
【0121】
実施例1−2:2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの粗結晶の各種製造方法
【0122】
(工程1)
−15℃〜−10℃に冷却した酢酸イソプロピル(4000g)に純度90.2%のメチルビニルケトン(1043g、13.4mol)を加え、臭素(2102g、13.2mol)を−15℃〜−4℃にて、約2時間かけて滴下した。その際、酢酸イソプロピル300gで試薬を洗い込んだ。反応溶液に、N−メチルモルホリン(1358g、13.4mol)を、約3時間かけて滴下した後、−7℃にて1時間撹拌した。得られたスラリーをろ過し、ろ上残渣を酢酸イソプロピル1600gで洗浄した。得られた二つのろ液を合わせ、十分に撹拌することで3−ブロモ−3−ブテン−2−オンの酢酸イソプロピル溶液(6993g、含量:27.5%、収率:96.1%)を取得した。
【0123】
(工程2)
2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン(800g、4.59mol)にアセトニトリル(880g)及びDBU(720g、4.73mol)を加えた後、−15℃〜−10℃に冷却した3−ブロモ−3−ブテン−2−オンの酢酸イソプロピル溶液(2490g、純分:684g、4.59mol)を40±10℃にて約2時間かけて滴下した。エタノール(720g)を加えた後、反応溶液にDBU(216g、1.42mol)を20℃にて滴下した。窒素で6%に希釈した酸素を毎分約1Lで19時間反応液に吹き込んだ後、スラリーを濾過してウエット結晶を取得した。ウエット結晶をエタノール(680g)、50%エタノール水(800g)及びエタノール(680g)の順で洗浄した後、減圧乾燥することで、2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの粗結晶(524g、2.18mol、HPLC純度:98.9面積%)を取得した(収率:47.4%)。メチルビニルケトンを基準とした通算収率:45.6%。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ: 2.60 (3H, s), 7.90-7.94 (2H, m), 8.04 (1H, s), 8.12-8.17 (2H, m).
【0124】
実施例2:2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン粗結晶の精製方法
【0125】
実施例2−1:
2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの粗結晶(5.00g、20.82mmol、HPLC純度:99.58面積%)にアニソール(150g)及びシリカゲル(0.50g)を添加し、懸濁液を100℃にて、2時間撹拌した。懸濁液を熱濾過し、シリカゲルを除去することで、濾液を取得した。得られた濾液を70℃〜80℃にて減圧濃縮を行い、アニソール(100g)を留去した。その後、濃縮した濾液に、45℃〜50℃にてn−ヘプタン(68.5g)を1時間かけて滴下した。溶液を0℃まで冷却した後、スラリーを濾過してウエット結晶を取得した。ウエット結晶を4℃にて冷却した酢酸エチル(20g)にて2回洗浄した後、減圧乾燥することで、2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの結晶(4.77g、19.86mmol、HPLC純度:99.90面積%)を取得した(収率:95.4%)。得られた結晶(4.00g、16.65mmol)に酢酸エチル(90.2g)を加え、6時間還流した。溶液を室温まで冷却した後、濾過をすることにより、ウエット結晶を取得した。ウエット結晶を酢酸エチル(12g)で洗浄した後、減圧乾燥することで、2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの結晶(3.84g、15.99mmol、HPLC純度:99.96面積%)を取得した(収率:96.0%)。メチルビニルケトンを基準とした通算収率:37.7%。
【0126】
実施例2−2:
2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの粗結晶(5.00g、20.82mmol、HPLC純度:98.95面積%)にアニソール(150g)及びシリカゲル(0.50g)を添加し、100℃に昇温させた後、熱濾過を行い、シリカゲルを除去することで、濾液を取得した。得られた濾液を70℃〜80℃にて減圧濃縮を行うことで、アニソール(100g)を留去した。濃縮した濾液にo−キシレン(25g)及びn−ブタノール(57.6g)の混合溶媒を加え、95℃まで昇温させた後、0℃まで冷却することでスラリーとした。得られたスラリーを濾過することでウエット結晶を取得した。ウエット結晶を、0〜5℃にて冷却した酢酸エチル(20g)で2回洗浄した後、減圧乾燥し、2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの結晶(4.63g、19.27mmol、HPLC純度:99.97面積%)を取得した(収率:92.6%)。
【0127】
実施例2−3:
2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの粗結晶(5.00g、20.82mmol、HPLC純度:98.95面積%)にアニソール(150g)及びシリカゲル(0.50g)を添加し、100℃に昇温させた後、熱濾過を行い、シリカゲルを除去することで、濾液を取得した。得られた濾液を70℃〜80℃にて減圧濃縮を行うことで、アニソール(100g)を留去した。濃縮した濾液に、n−ブタノール(81g)を加え、112℃まで昇温させた後、0℃まで冷却することでスラリーとした。スラリーを濾過することでウエット結晶を取得した。ウエット結晶を、0〜5℃にて冷却した酢酸エチル(20g)にて2回洗浄した後、減圧乾燥することで、2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの結晶(4.70g、19.57mmol、HPLC純度:99.85面積%)を取得した(収率:94.0%)。
【0128】
実施例2−4:
2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの粗結晶(1.00g、4.16mmol、HPLC純度:98.95面積%)にアニソール(30g)及びシリカゲル(0.10g)を添加し、100℃にて熱濾過を行うことで、シリカゲルを除去し、濾液を取得した。得られた濾液を70℃〜80℃にて減圧濃縮を行い、アニソール(20g)を留去した。濃縮した濾液に、酢酸イソブチル(17.5g)を加え、110℃まで昇温させた後に、0℃まで冷却し、スラリーとした。スラリーを濾過することで、ウエット結晶を取得した。ウエット結晶を、0〜5℃にて冷却した酢酸エチル(4g)で2回洗浄した後、減圧乾燥することで、2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの結晶(0.91g、3.79mmol、HPLC純度:99.88面積%)を取得した(収率:91.0%)。
【0129】
実施例2−5:
2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの粗結晶(5.00g、20.82mmol、HPLC純度:99.59面積%)にアニソール(150g)及びシリカゲル(0.50g)を添加し、100℃に昇温させた後、熱濾過を行うことで、シリカゲルを除去し、濾液を取得した。得られた濾液を70℃〜80℃にて減圧濃縮を行い、アニソール(100g)を留去した。濃縮した濾液に、o−キシレン(88g)を加え、91℃まで昇温させた後、0℃まで冷却することでスラリーとした。スラリーを濾過してウエット結晶を取得し、0〜5℃にて冷却した酢酸エチル(20g)にて2回洗浄した後、減圧乾燥し、2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの結晶(4.55g、18.94mmol、HPLC純度:99.95面積%)を取得した(収率:91.0%)。
【0130】
実施例3:2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの酢酸エチルによる結晶化
実施例2で得られた2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオン(10.00g、41.6mmol)に酢酸エチル(225.5g)を加え、6時間加熱還流した。25℃に冷却後、スラリーを濾過してウエット結晶を取得し、酢酸エチル(30g)で洗浄した。得られたウエット結晶を減圧乾燥し、2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの結晶(9.66g、39.97mmol、HPLC純度:99.95面積%)を取得した(収率:96.0%)。
【0131】
比較例1:2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの製造方法
比較例として、特許文献3に記載の方法に準じて、2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの製造を実施した。具体的には以下のとおりである。
【0132】
−2℃に冷却したジクロロメタン(40mL)を入れた300mLフラスコにメチルビニルケトン(16.1g、0.23mol)を添加した後、臭素(36.7g、0.23mol)を2〜3℃にて25分かけて滴下した。反応溶液を水(50mL)で洗浄した後、有機層を無水硫酸ナトリウム(5g)で乾燥させた。無水硫酸ナトリウムを除去した後、有機層を濃縮した。得られた残渣(48.8g)を、DMF(40mL)を用いて1Lフラスコに移し、−2℃まで冷却した。DMF溶液にDBU(27.3g、0.18mol)を15分かけて滴下した後、DMF(50mL)及び2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン(31.4g、0.18mol)を加え、空気雰囲気下にて室温まで昇温させた。反応溶液にDBU(25.8g、0.17mol)を、室温にて45分間かけて滴下した後、DMF(50mL)を添加した。反応溶液を室温にて約3時間撹拌した後、0℃に冷却し、水(500mL)を添加した。析出した化合物を濾取し、水(80mL)、5%炭酸ナトリウム水溶液(80mL)、水(80mL)、2%酢酸水溶液(80mL)及びエタノール(80mL)の順で洗浄し2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]ジヒドロフラン−4,9−ジオン(21.1g、0.087mol)を取得した(収率:37.8%)。
【0133】
500mLフラスコに2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]ジヒドロフラン−4,9−ジオン(10.0g、41.3mmol)、エタノール(250mL)及びDBU(5.1g、34mmoL)を添加し、空気雰囲気下、30分間加熱還流を行った。反応溶液を0℃まで冷却した後、水(250mL)を加え、析出した結晶を濾過することで取得した。結晶を水(10mL)、2%酢酸水溶液(10mL)及びエタノール(10mL)の順で洗浄し、減圧乾燥することで2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンの結晶(3.17g、13.2mmol、HPLC純度:99.70面積%)を取得した(収率32.0%)。メチルビニルケトンを基準とした通算収率:12.1%。
【0134】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および他の文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0135】
本発明の製造方法を用いることにより、医薬品として有用な2−アセチル−4H,9H−ナフト[2,3−b]フラン−4,9−ジオンを、高収率、高純度で安全かつ安価に製造することができる。