(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6810040
(24)【登録日】2020年12月14日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】サンドイッチパネルの製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 15/08 20060101AFI20201221BHJP
B23K 26/324 20140101ALI20201221BHJP
B23K 11/06 20060101ALI20201221BHJP
B23K 11/11 20060101ALI20201221BHJP
B23K 15/00 20060101ALI20201221BHJP
B23K 10/02 20060101ALI20201221BHJP
B32B 3/26 20060101ALI20201221BHJP
B32B 37/02 20060101ALI20201221BHJP
B32B 5/18 20060101ALN20201221BHJP
【FI】
B32B15/08 M
B23K26/324
B23K11/06 510
B23K11/11 540
B23K15/00 505
B23K10/02 A
B32B3/26 B
B32B37/02
!B32B5/18 101
【請求項の数】19
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-532928(P2017-532928)
(86)(22)【出願日】2015年12月17日
(65)【公表番号】特表2018-501984(P2018-501984A)
(43)【公表日】2018年1月25日
(86)【国際出願番号】EP2015080298
(87)【国際公開番号】WO2016097186
(87)【国際公開日】20160623
【審査請求日】2017年6月26日
(31)【優先権主張番号】14198825.3
(32)【優先日】2014年12月18日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591064047
【氏名又は名称】オウトクンプ オサケイティオ ユルキネン
【氏名又は名称原語表記】OUTOKUMPU OYJ
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100079991
【弁理士】
【氏名又は名称】香取 孝雄
(72)【発明者】
【氏名】フレーリッヒ、 トーマス
(72)【発明者】
【氏名】リントナー、 ステファン
【審査官】
飛彈 浩一
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭58−191154(JP,A)
【文献】
特開昭59−103748(JP,A)
【文献】
特開昭62−227741(JP,A)
【文献】
特開2011−189698(JP,A)
【文献】
実開昭57−144769(JP,U)
【文献】
特表2011−506150(JP,A)
【文献】
特開昭58−084756(JP,A)
【文献】
実開昭60−179434(JP,U)
【文献】
特開2011−204439(JP,A)
【文献】
特開2002−103056(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの非金属材料の層が少なくとも2つの金属層の間に配されたサンドイッチパネルを半製品として製造する方法において、前記金属層の少なくとも1つを波型金属片からなる三次元層として成形し、該金属層は前記半製品の抵抗溶接が可能となるように直接機械的接触を持たせ、後続の製造工程で前記半製品を所望の組合せの処理法に対応させ、1つ以上のノズルを使用して、前記非金属層は、前記金属層の間に形成された凹状空間を占める割合が最大で90%の調整可能な充填率で配されることを特徴とするサンドイッチパネルの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記三次元層は該三次元層の表面が円丘状または塊状の金属片であることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、前記金属層は同一の金属から作成することを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1または2に記載の方法において、前記金属層はそれぞれ異なる金属材料から作成することを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、前記金属層は、前記サンドイッチパネルの熱膨張を左右する2つの異なる熱膨張係数の金属から作成することを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の方法において、前記金属層はステンレス鋼製であることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1ないし5のいずれかに記載の方法において、前記金属層は炭素鋼製であることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1ないし5のいずれかに記載の方法において、前記金属層は銅製であることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1ないし5のいずれかに記載の方法において、前記金属層はアルミニウム製であることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1ないし5のいずれかに記載の方法において、前記金属層はマグネシウム製であることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載の方法において、前記非金属層は高分子材料から作成することを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1ないし10のいずれかに記載の方法において、前記非金属層は樹脂材料から作成することを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1ないし10のいずれかに記載の方法において、前記非金属層は常温硬化性または熱硬化性の1液型または2液型接着剤から作成することを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項1ないし10のいずれかに記載の方法において、前記非金属層は樹脂および硬化剤を含む2液型サンドイッチ接着材料から作成することを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項1ないし14のいずれかに記載の方法において、前記半完成状態のサンドイッチパネルを後続の製造工程で溶接することにより、前記半製品を所望の組合せの処理法に対応させることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項1ないし14のいずれかに記載の方法において、前記半完成状態のサンドイッチパネルを後続の製造工程で抵抗スポット溶接によって接合することにより、前記半製品を所望の組合せの処理法に対応させることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項1ないし14のいずれかに記載の方法において、前記半完成状態のサンドイッチパネルを後続の製造工程で抵抗ロール溶接によって接合することにより、前記半製品を所望の組合せの処理法に対応させることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項1ないし14のいずれかに記載の方法において、前記半完成状態のサンドイッチパネルを後続の製造工程でレーザビームまたは電子ビーム溶接によって接合することにより、前記半製品を所望の組合せの処理法に対応させることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項1ないし14のいずれかに記載の方法において、前記半完成状態のサンドイッチパネルを後続の製造工程でマイクロプラズマ溶接によって接合することにより、前記半製品を所望の組合せの処理法に対応させることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、サンドイッチパネルを半製品として製造する方法に関するものであり、非金属材料の層が金属層間の凹状空間内に配され、金属層の一方は実質的に平坦であり、もう一方の金属層は三次元形状として、後続の加工業において半製品として溶接工程に直接使用できる。
【0002】
サンドイッチパネル構造体は様々な種類の金属材料、高分子材料または複合材料から作製できる。多くのサンドイッチパネル構造体が、重量ならびに騒音を減らし、構造負荷支持に十分適した剛性および強度をもたらすことで知られている。コア相対密度が2〜10%、セル寸法がミリメートルオーダのサンドイッチパネルは、多機能構造体としての使用が評価されている。格子状支持構造体の三次元多孔網によって、高応力のみならずクロスフロー熱交換にも同時に対応する可能性を生じている。上記の利点、とくに軽量特性および剛性特性により、サンドイッチパネル構造体は、自動車工業、商業用、農業用、ならびに鉄道車両、船舶および建築物もしくはコンテナに関する工業など、幅広い加工産業に関係するものである。しかし、多くの場合、複雑な製造工程を要するので、鋼などのモノリシック金属薄板の加工を行うために確立され十分に適合した費用効率および作業効率の高い方法は、用いることができない。これはとくに、抵抗溶接などの溶接工程に言える。
【0003】
とくに、一般には抵抗溶接、具体的には抵抗溶接法の1つであるスポット溶接では、抵抗加熱に関するジュールの物理法則が用いられる。すなわち、電気エネルギーをオーム抵抗に変え、さらに熱エネルギーに変えることを意味する。これはスポット溶接法の場合、電流が電気回路を流れることである。機械部品は銅製であり、抵抗が低く熱損失が少ない状態で優れた導電性を有する。銅から金属薄板へ、薄板から薄板へ、および第2の薄板から銅への境界において、電流エネルギーがオーム抵抗に変化する。2枚の薄板間の境界抵抗が最高になるという効果により、境界における熱エネルギーも最高になる。境界における熱エネルギーは最後には薄板の融解温度に達し、溶接点すなわち、いわゆる溶接ナゲットが生じる。熱エネルギーの計算式はQ=Is
2*t
*Rであり、I
Sは溶接電流、tは溶接時間、Rはすべての抵抗の和である。現行のサンドイッチパネル構造体を加工する場合、少なくとも1つの絶縁性非金属材料を用いる。こうすれば、電気回路は閉成されず、複数の薄板を一斉に溶解してしまう熱エネルギーの発生を防止できる。
【0004】
同じ等級の様々な層を備えた一般的なサンドイッチパネルについては、国際公開公報第2014/009114A1号、第2014/001152A9号および第2013/156167A1号、またはタタ スチール社データシート「Coretinium(登録商標):軽量な製品およびデザインの革新をもたらす唯一の恒久的な複合解決法」に記載されている。また、国際公開公報第2008/125228A1号および第2004/002646A1号には、異なる層が接合された金属製サンドイッチ構造体の製造方法が記載されている。これらの国際公開公報には、金属製外層の間に絶縁性材料があるため、抵抗溶接が行えないという、同一の欠点がある。
【0005】
特開平1-127125号公報では、2つの金属板層および1つの波型要素を有するサンドイッチパネルの製造方法について述べている。スポット溶接を用いて、第1の金属板層を波型細片の1つの面に適合させる。次に、接着テープによる処理が行われる。1対のプレスロール機を使用して圧接を行い、第2の金属板層を波型細片の別の面に適合させる。こうして得られた半製品には以下の問題がある。すなわち、車体製造業などの後続の加工工業では、実際のところ、この種のサンドイッチパネル製品を後続の抵抗溶接処理に使用して当該サンドイッチパネルを他の車体薄板、車体板または成形部材に接合することは、出来ないことである。その理由は、抵抗溶接処理では上記細片が電気回路の絶縁体として機能するからである。溶接ナゲットも、したがって接続も生じ得ない。
【0006】
特開平2-78541号公報にはサンドイッチ構造体の作製方法が記載され、介在する樹脂によって形成された積層体の一方の金属板の外側表面に、凹部が形成される。これにより、突出部の先端と他方の金属板の内側表面との間隔が距離として規定されることになる。すなわち、異形外層鋼板を使用するにも拘らず、最終的には、両金属板間に絶縁間隙が画成され、これが非抵抗溶接構造となる。
【0007】
米国特許出願第2013-273387号公報は、サンドイッチ金属板の高周波溶接に関するものである。それによれば、少なくとも2枚の金属板と、これらの金属板の間に配設され2枚の金属板とは組成の異なる素材を含む薄板とを有する第1の複合板金部品は第2の複合板金部品に溶接されるが、後者は固体金属素材または別の複合材料からなり、その場合、少なくとも2枚の金属板と、これら2枚の金属板とは組成の異なる素材から成る薄板とが金属板間に配設される。
【0008】
抵抗スポット溶接によってサンドイッチパネルを溶接する方法が国際公開公報第2011/082128A1号に記載され、これは、サンドイッチパネルの複合コア材料が2つの金属外層によって積層されたものである。特定の抵抗溶接性を生じさせる目標は、コア層に複数の鋼繊維を含ませることで達成でき、これによって外層鋼板との電気伝導が得られる。1つの欠点として、溶接結果の再現性および反復性が挙げられる。次の工程を行う製造者が溶接パラメータを使用しようとする場合、正確で十分な数の鋼繊維を接触させるという保証はない。鋼繊維が鋼外層と接触する領域に溶接スパッタが発生してその周囲の非金属部品が燃えると、非常に危険である。非金属製の中間層を軟化させて位置をずらすことに加え、また以下の公報に詳述されるような目標を達成する1つの方法を述べる。
【0009】
抵抗溶接が不可能なサンドイッチ構造における欠点を回避するために、様々な特許において特定の別の工程によるサンドイッチ構造を溶接可能にする手法および方法を提示する様々な特許があるものの、半製品での出荷当初の状態構成では溶接できない。一例として、特開2006-305591号では、2つの金属外層が熱可塑性樹脂の絶縁板の両面で重なり合っている。2つの金属層を直接接触させるという目標は、樹脂製絶縁板を軟化させ、また溶接位置の外側にこれを押し出すことで達成される。どちらの溶接電極も加熱状態にしなければならないため費用がかかるうえに、製造者は専用の装置を使用する必要があるが、その後の工程を行う加工業者では加熱が確立されていない。特定の構造を有し抵抗溶接を行えないサンドイッチ製品を部材製造時の追加処理で溶接可能にする別の特定の方法がドイツ特許公開公報第102011054362A1号に記載されている。第1の処理段階においてプラスチックコア層を加熱し、次に第2の処理段階において少なくとも1つの電極によってサンドイッチパネルの表面に力をかけることで、課題を解消できる。非金属製軟化中間層が力のかかった位置からずれ、2つの金属外層が接触する。どちらの工程も部材製造時に行われる付加的な処理工程であり、余分な時間がかかることになるため、製造費用が上がり、クロックサイクルが低下する。さらに、この処理法は部材の特定の境界域にしか作用しない。当該処理工程の実現についてはドイツ特許公開公報第102011109708A1号に記載され、これは、当初状態では2つの金属外層が直接接触していないサンドイッチ構造体を溶接可能にする後続処理についても述べている。フランス特許公開公報第2709083A1号は、2枚の金属外層板と、2つの外層を絶縁する非金属製コア材料とを備えた一般的なサンドイッチパネルについて述べている。特定の溶接性を得るために、ドイツ特許公開公報第102011054362A1号に記載された手法と同様の手法を用いて、金属板の境界域において非金属製コア材料を軟化させて位置をずらせる。
【0010】
抵抗溶接が行えないサンドイッチパネルの電気回路を形成する別の大掛かりで複雑な方法が国際公開公報第2012/150144A1号に記載されている。ここでの課題は、付加的な機械部品を用いて電気的架橋を行い、絶縁性高分子材料を迂回して、他の薄板によってサンドイッチパネルの溶接性を得る。ハードウェアが非常に大きいため、薄板へのアクセスが制限され、適切否場所への設置および配置に余分な時間を要する。そのため、生産費用がかさむ。とりわけ、大型成形部品の場合は、電流量が不確定であるという問題から、電気的接触を形成するには問題が多くなる。
【0011】
抵抗溶接の代替案として他の接合方法を希求した論文など、他の文献情報源もある。アレクサンダ ケンプフは、2004年にRWTH アアヘン大学より発行した自身の文献において、「サンドイッチパネル材料の電気接合方法の開発」に関する課題を著述している。ギュンタ ランゲによる「高分子コア材料を有する三層オーステナイト系サンドイッチ複合物の形成挙動に対する貢献」(2005年、テーウー クローサル大学)と題する文献では、実現可能な接合方法の概要について述べているものの、ろう付け、接着またはレーザビームによる重ね継ぎについて説明しているだけである。抵抗溶接法、もしくは完全溶け込み溶接法については述べていない。
【0012】
上述の各公報によれば、2つの実質的に平坦な金属層と非金属中間層の組合せからなるサンドイッチパネルは、すでに公知のものである。しかし、半製品での出荷当初状態では抵抗溶接性を備えていないという大きな欠点は解消されていない。後続の工程を行う部材製造業者が既存の抵抗溶接機を使用したり、レーザビーム溶接またはプラズマ溶接などの線形接触溶接方法で完全溶け込み法を編み出したりすることは、不可能である。この種のサンドイッチパネルの欠点は、金属層同士が非金属層によって電気的に絶縁されてしまうことである。そのため、サンドイッチ状層を他の素材に溶接して一体化させ、複合材料設計の構成部品にすることが非常に難しくなる。
【0013】
本発明は、従来技術におけるいくつかの問題の発生を防止して、少なくとも2つの金属層と、これらの金属層の間にある少なくとも1つの非金属層とを有する半製品状のサンドイッチパネルを製造する改善された方法を実現することを目的とする。本方法では、三次元金属板を少なくとも1つの金属層として用い、金属層間に形成された凹状空間を非金属材料で満たして金属層間の機械的接触を得る。これにより、車体工業などの後続の製造工程において本発明を適用することで、出荷当初の状態のサンドイッチパネルを以後の溶接工程、とくに抵抗溶接工程に直接使用できる。すなわち、サンドイッチパネルの金属層を直接機械接触させることで、抵抗溶接性を達成可能にする。本発明はさらに、サンドイッチパネルの調整を選択的に行えるという利点を有する。2つの(金属)外層および2つの粘着性の層を用いて、中央に配設されたコア材料によって2つの外層を接合してサンドイッチパネルを構築する現行技術に対し、本発明は端的に言えば、一方の金属層が実質的に平坦であり他方の金属層は実質的に三次元形状であるという2つの金属層と、これらの2つの金属層の間に形成された凹状空間に充填された1つの非金属層を使用するだけである。これにより、本発明に係るサンドイッチパネルは、より簡易な製造ラインでクロック周波数を高めて作製でき、現行のサンドイッチパネルよりも使用する層が2つ少ないため、費用も安くなる。本発明の基本的な特徴は、本願特許請求の範囲に記載する。
【0014】
本発明によると、サンドイッチパネルは、少なくとも2つの金属層と、2つの金属層間に形成される凹状空間に配された少なくとも1つの非金属層とから製造され、その際、両金属層の少なくとも一方が三次元物として形成される。非金属複合物は、2つの金属層間に形成された凹状空間
に最大90
%の充填率で充填される。非金属材料の充填は、1つ以上の精巧なノズルを使用して、確実に所望の充填率を達成する。接触領域となり得る場所から非金属材料を除去することはスクレーパを使って可能であるが、本発明では望ましくない。任意で三次元金属層を最高で80°Cまで加熱し、充填した非金属材料の流動作用を高めてもよい。実証された有利な粘度は、おおよそ10000mPasである。説明を明確にするために、本明細書において金属層について述べる場合、二次元状の金属層は第1の金属層と称し、三次元状の金属層は第2の金属層と称する。
【0015】
本発明による非金属層は、実質的に第2の金属層の谷間に配設される。第2の金属層の金属製の頂部は、実質的に直接、第1の金属層に機械的に接触する。第1の金属層と第2の金属層とが直接機械的に接触することにより、確実に電気的接触が得られる。電気的接触によりさらに電気回路の形成が可能となり、したがって、サンドイッチパネルを接合して、他の薄板、板、または抵抗スポット溶接もしくは他の溶接法によって成形された部品を備えた所望の組合せの処理法による構造体に半製品を接続することができる。選択した非金属材料との組合せによる三次元層の形成と、金属層間に形成された凹状空間に充填される非金属材料の充填率とにより、パネルには機械的性能、剛性、堅固性および加工性能が得られる。
【0016】
本発明によるサンドイッチパネルの製造における第1および第2の金属層は、例えばステンレス鋼、炭素鋼、銅、アルミニウム、マグネシウムなど、同一の材料から作成するほうが有利ではあるものの、それぞれ異なる金属製材料、異なる金属、または異なる金属合成物から作成してもよい。異なる金属または異なる金属合成物を使用する場合、これらの金属の組合せに応じてサンドイッチパネルの挙動をさらに変更できる。例えば、本発明のいくつかの処理法では、熱膨張係数が異なる金属を組み合わせて使用すると有利であろう。異なる2通りの熱膨張係数を有する2つの金属を使用することによりサンドイッチパネルの熱膨張を調整して、三次元形状薄板の表面がサンドイッチパネルの溶接領域が阻害されるのを防止できよう。また、本発明に係る2つの異なる金属層を備えたサンドイッチパネルは、複合材料設計による車体の湿食領域のコンポーネントブリッジとして使用できる。例えば、Bピラーの基部はステンレス鋼で製造し、ロッカレールはアルミニウムで製造し、サンドイッチパネルはこれら2つの部品間の接続部材として使用できる。サンドイッチパネルのアルミニウム素材側をアルミニウム製ロッカレールに溶接し、ステンレスのサンドイッチ層はステンレス製Bピラーに溶接する。これにより、異なる部材間に接触腐食や電気化学ポテンシャルブリッジが発生しない。したがって、ポテンシャルブリッジは唯一サンドイッチパネルに発生するが、広い範囲が非金属層によって絶縁され、残る金属接触(線形接触または点接触)は部材の大きさに比べ小さい。
【0017】
本発明により製造されたサンドイッチパネルの第2の金属層は、波型金属片、第2の金属層の表面が円丘状または塊状である金属片、あるいは実質的に平坦な二次元状の第1の金属層に電気的に接触可能な何らかの三次元状金属片である。第2の金属層に適した形状は、例えば国際公開公報第2014/096180号に提示されている。また、第2の金属層の形状に応じて、サンドイッチパネルの減衰、騒音、振動、剛性、とくに座屈剛性、ならびに溶接性が決まる。塊形状および円丘形状の薄板は、方向に依存しない剛性が得られるが、正確な接触を要するため、抵抗スポット溶接法による溶接にしか適していない。波型の薄板は方向依存型の剛性を有するものの、線形接触であるため抵抗ローラシーム溶接などの連続溶接手順による溶接が可能である。第2の金属層の形状が波型でサンドイッチパネルの使用方式に依存する場合、第2の金属層は実質的に正弦波状でよく、あるいは第2の金属層は細片の2つの隣り合う部分が実質的に互いに垂直な波型片の形状であってもよい。また、他の形状の波型片を本発明による製造のサンドイッチパネルの第2の金属層に使用することも可能である。
【0018】
本発明に係るサンドイッチパネルの2つの金属層間に設けられた非金属層は、有利には、高分子材料、樹脂材料、常温硬化性または熱硬化性の1液または2液型接着剤からなり、1液または2液型接着剤は、例えば、自動車工業で使用される耐衝突性1液型接着剤、または樹脂および硬化剤を含有する2液型サンドイッチ接着材料である。非金属製中間層の基本的な特性は、塗布時の粘度、ならびに硬化および発泡の方法にある。金属接触領域を破壊することなく正確な充填率を得ることのできる良好な粘度は、約10000mPsaである。非金属製材料によっては、非金属製材料を塗布前に予熱して、適切な塗布粘度を得ることが望ましいであろう。硬化および発泡の方法は、選択する接着性によって決まる。1つの方法として、噴霧水に触れて反応が起きる封止剤を使用する。別の方法として、感熱式2液型接着材料を使用する。例えば硬化剤と組み合わせた2液型ポリウレタン接着剤など、標準的なサンドイッチ接着材料もまた使用可能であり、好適である。樹脂を硬化剤と混合してから、所定の塗布時間のうちにすべてのサンドイッチ層に塗布する。
【0019】
本発明に係る方法に従ってサンドイッチパネルを製造する際、連続する金属片または金属層要素からなる第2の金属層は、好適には、実質的に水平位置に配設する。当然ながら、実質的に水平な位置および実質的に垂直な位置の間の任意の位置を利用してよい。第2の金属層を実質的に水平な位置に配する場合、非金属層の材料は、第2の金属層の表面の垂直方向に対する下方位置に当たる部分で両金属層間に形成された凹状空間に充填する。非金属層の素材の全体量は、金属層間に形成された凹状空間の最大60%、好適には最大90%、最適には実質的に最大100%が非金属層の材で満たすことのできる量とする。所定の充填率にすることにより、サンドイッチパネルの重量、剛性、疲労、騒音、および減衰特性を変更して、所望の処理法に適合させることが可能である。第2の金属層の表面の垂直方向における上部には、非金属層材料が被着していない。この第2の金属層の表面の非金属層が被着していない領域において、サンドイッチパネルの製造時に金属層間の機械的接触が得られる。
【0020】
第1の金属層は、本発明に係るサンドイッチパネルを製造するために、第1の金属層が第2の金属層の上、したがって非金属層の上にもなるように移動させる。第1の金属層と第2の金属層の相対的位置は、有利には、これら2つの金属層に対し横向きに非金属層を配するようにする。第1の金属層と第2の金属層との間に機械的接触が得られる。この機械的接触は、第2の金属層の上面の非金属層で覆われていない領域で得られ、第2の金属層の垂直方向における最上部は非金属層が破壊可能であり、あるいは第2の金属層の上部に配設された特定の部材によって破壊可能である。
【0021】
本発明に係るサンドイッチパネルの第1の金属層および第2の金属層は、接合および金属接触を組み合わせて互いに被着させ、所望の組合せの処理法によって得られる構造体にこの半製品を接続するために、第1の金属層および第2の金属層が相互に構造的機械接触を有する箇所に集中的に他の薄板、板または成形部品に対する溶接を行うようにする。2つの金属面間におけるこの機械的接触により、これらの面の間に電気回路を得る様々な方法を使用することができる。
【0022】
所望の組合せの処理法による構造体に本半製品を接続するために行う第1の金属層および第2の金属層と他の薄板、板または成形部品との溶接は、抵抗溶接工程としてスポット溶接、プロジェクション溶接、バックルプレート溶接またはローラシーム溶接を行ってもよい。また、マイクロプラズマ溶接法、レーザ微細溶接法などの他の溶接法、ならびに例えば電子ビーム溶接およびレーザビーム溶接などのシーム溶接法を利用してもよい。
【0023】
本発明に係るサンドイッチパネルはさらに、サンドイッチパネルを所望の材料片に接合して、サンドイッチパネルを車体などの完成構造体に接続できるように構成されている。サンドイッチパネルは、乗用車、商業用車両、農業用車両、または鉄道車両の車体技術、とくに湿潤領域部品、すなわち車両の屋根、カウルウォール/フロントウォール、導管、ピラーの内層、フロントリッドに関連する部品、あるいはコンテナなどの騒音関連用途における部品など、後続の製造工程で使用される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明について、以下の図面を参照してより詳細に述べる。
【
図1】本発明に係る好適な一実施形態を横から見た概略図である。
【
図2】本発明に係る別の好適な実施形態を横から見た概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1によると、平坦な金属層1、高分子層2および三次元金属層3が示されている。高分子層2は金属層1および3の間に形成された凹状空間に配されている。
【0026】
図2において、平坦な金属層11、高分子層12および三次元金属層13は、
図1の説明に関連して述べた各層と同様のものである。金属層11および13ならびに高分子層で構成されるサンドイッチは、抵抗スポット溶接によって溶接されて金属板14となっている。