特許第6810050号(P6810050)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6810050
(24)【登録日】2020年12月14日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】微粒子
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/16 20060101AFI20201221BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20201221BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20201221BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20201221BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20201221BHJP
   A61K 47/54 20170101ALI20201221BHJP
   A61L 27/12 20060101ALI20201221BHJP
   A61L 15/20 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
   A61K9/16
   A61K47/12
   A61K47/24
   A61K47/18
   A61K47/22
   A61K47/54
   A61L27/12
   A61L15/20 100
【請求項の数】28
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2017-546169(P2017-546169)
(86)(22)【出願日】2016年3月3日
(65)【公表番号】特表2018-510856(P2018-510856A)
(43)【公表日】2018年4月19日
(86)【国際出願番号】EP2016054603
(87)【国際公開番号】WO2016139322
(87)【国際公開日】20160909
【審査請求日】2019年3月1日
(31)【優先権主張番号】1503566.0
(32)【優先日】2015年3月3日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】512067115
【氏名又は名称】スフィリテック・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100098590
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 隆
(72)【発明者】
【氏名】ウェリングス,ドナルド・エイ
【審査官】 菊池 美香
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−513737(JP,A)
【文献】 特開2008−290896(JP,A)
【文献】 Mat. Res. Soc. Symp. Proc. 2004, Vol.823,W4.12.1-4.12.6
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/16
A61K 47/12
A61K 47/18
A61K 47/22
A61K 47/24
A61K 47/54
A61L 15/20
A61L 27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2以上の酸基を有する酸、及び有機塩基を含む自己組織化微粒子であって、
該酸が、一般式:HOOC−(CH−COOH(式中、nは少なくとも5で40以下である)の化合物、又は一般式:(HO)OP−(CH−PO(OH)(式中、nは少なくとも5で40以下である)の化合物を含み、
該有機塩基が、N,N−ジメチルアミノエタノール(DMAE)、N−メチルモルホリン、4−ジメチルアミノピリジン、イミダゾール、1−メチルイミダゾール、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)(PDAC)、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド(DDAC)、ドデシルジプロピレントリアミン(DDPT)、アミノプロピルトリアルコキシシラン、N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、及びN1−(3−トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミンの1以上を含む微粒子
【請求項2】
請求項1に記載の微粒子であって、0.5〜10ミクロンの粒径を有する微粒子。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の微粒子であって、該酸中の酸基と該塩基中の塩基性基とのモル比が0.6〜1.4:1である微粒子。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の微粒子であって、酸基と塩基性基とのモル比が0.7〜1.3:1である微粒子。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の微粒子の製造方法であって、該微粒子は2以上の酸基を有する酸、及び有機塩基を含む自己組織化微粒子を含む粒子状支持体として用いるのに好適な微粒子であり、該ビス酸を親水性溶媒中で該有機塩基と接触させることを含む方法であって、該酸が該親水性溶媒中に不溶又は難溶であり、該有機塩基が該親水性溶媒中に可溶である方法によって微粒子を得る方法
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、該溶媒が水溶液を含む方法
【請求項7】
請求項5に記載の方法であって、該溶媒が水相内の油中水エマルジョンを含む方法
【請求項8】
請求項1〜のいずれかに記載の微粒子であって、該酸が、ブラシル酸、セバシン酸、及び/又はアゼライン酸を含む微粒子。
【請求項9】
請求項1〜4及び8のいずれかに記載の微粒子であって、該微粒子がマルチラメラ構造を含む微粒子。
【請求項10】
請求項1〜4、8及び9のいずれかに記載の微粒子であって、該微粒子が自己組織化微小球状体である微粒子
【請求項11】
請求項1〜4及び8〜10のいずれかに記載の微粒子であって、該ビス酸が該有機塩基と反応して架橋種を形成している微粒子。
【請求項12】
請求項1〜4及び8〜11のいずれかに記載の微粒子であって、該有機塩基が他の反応性塩基で置き換えられ、これが次に反応して架橋種を形成している微粒子。
【請求項13】
請求項1〜4及び8〜12のいずれかに記載の微粒子を接触させて、該微粒子間で架橋を形成して、それによって三次元体を形成しているマクロ孔質材料。
【請求項14】
請求項1〜4及び8〜12のいずれかに記載の微粒子又は請求項13に記載のマクロ孔質材料であって、該微粒子又は該マクロ孔質材料に吸収されているか又は共有結合している機能性材料が、触媒、金属キレート剤、ペプチド合成のための開始剤種、オリゴヌクレオチド合成のための開始剤種、固相有機合成のための開始剤種、薬理活性物質、農薬活性物質、タンパク質、酵素、又は他の生体高分子から選択される微粒子又はマクロ孔質材料。
【請求項15】
請求項1〜4及び8〜12のいずれかに記載の自己組織化微粒子又は請求項13に記載のマクロ孔質材料を含み、支持体に結合しているか又はそれによって保持されている機能性材料を含む医療診断薬。
【請求項16】
請求項15に記載の医療診断薬であって、該機能性材料がポリマーによって担持されている酵素を含む医療診断薬。
【請求項17】
カラム内に収容されている請求項13に記載のマクロ孔質材料を含むモノリス体。
【請求項18】
化学、生物学、又は物理プロセスにおける、請求項1〜4及び8〜12のいずれかに記載の自己組織化微粒子又は請求項13に記載のマクロ孔質材料の使用。
【請求項19】
請求項18に記載の自己組織化微粒子又はマクロ孔質材料の使用であって、ペプチド、オリゴヌクレオチド、オリゴ糖から選択される種の固相合成;固相抽出;固相有機化学;固相試薬、金属及び他の触媒、バイオ触媒、酵素、タンパク質、ポリクローナル及びモノクローナル抗体を含む抗体、全細胞、及びポリマーから選択される種の固定化;細胞培養;クロマトグラフィー分離のための固定相の調製;から選択されるプロセスにおける使用、又は吸収剤としての使用。
【請求項20】
身体の内部又は外部のいずれかの創傷のケア又は治療、或いは視力矯正における、請求項1〜4及び8〜12のいずれかに記載の自己組織化微粒子又は請求項13に記載のマクロ孔質材料の使用。
【請求項21】
細胞培養、再生医療、又は組織修復のための支持体又は三次元足場材としての、請求項1〜4及び8〜14のいずれかに記載の自己組織化微粒子及び/又はマクロ孔質材料の使用。
【請求項22】
2以上の酸基を有する二酸を、水性媒体中で有機塩基と接触させることを含む、水性媒体中で請求項1〜4及び8〜14のいずれかに記載の自己組織化微粒子又はマクロ孔質材料を製造する方法。
【請求項23】
請求項1〜4及び8〜12のいずれかに記載の自己組織化微粒子を含む抗菌組成物。
【請求項24】
i)請求項1〜4及び8〜12のいずれかに記載の微粒子又は請求項13に記載のマクロ孔質材料と、ii)ヒドロキシアパタイトと、を含む骨細胞の成長に使用される組成物。
【請求項25】
請求項1〜4及び8〜12のいずれかに記載の微粒子、又は請求項13に記載のマクロ孔質材料を含む創傷治療製品。
【請求項26】
i)請求項1〜4及び8〜12のいずれかに記載の微粒子又は請求項13に記載のマクロ孔質材料と、ii)医薬又は農薬化合物と、を含む制御放出組成物。
【請求項27】
請求項1〜4及び8〜12のいずれかに記載の微粒子であって、1〜5ミクロンの粒径を有する微粒子。
【請求項28】
請求項22に記載の方法であって、水性媒体が水である方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微粒子、特に自己組織化微粒子、かかる微粒子の製造方法、かかる粒子を衝突させることによって形成されるマクロ孔質材料の製造、並びに得られる粒子及び多孔質構造体の使用に関する。本微粒子及び多孔質材料は、特に基材との相互作用が必要な広範囲の物理及び化学プロセス、例えば固相合成、固相抽出、固相試薬、種、例えばタンパク質及び核酸の固定化、細胞培養、体内及び体外の慢性創傷並びに急性創傷などの創傷のケア、やけどの治療、医療診断、再生医療、視力矯正、化学物質、例えば医薬及び農薬の制御放出、触媒反応、及びクロマトグラフィーにおいて有用である。
【背景技術】
【0002】
固相合成プロセスにおいて有用な固体支持体材料は公知である。例として有機分子、特にペプチド及びオリゴヌクレオチドの合成、種の固定化、触媒の担持、イオン交換、材料からの種の抽出、診断、及びクロマトグラフィーなどの広範囲の物理及び化学プロセスは、固体支持体材料を用いる。
【0003】
通常は、有機分子の多段階合成は、次の段階に進む前にそれぞれの段階で生成した中間体を分離する数多くの単離工程を伴う。これらのプロセスは、しばしば時間がかかり、高価であり、収率に関して非効率的である可能性がある。中間体は、しばしば過剰の試薬及び反応副生成物を除去するために精製、並びに沈澱、濾過、二相溶媒抽出のような処理が必要であり;固相抽出、結晶化、及びクロマトグラフィーが用いられる可能性がある。
【0004】
固相合成は、しばしば溶液相合成を凌ぐ幾つかの有利性を与える。例えば、溶液相合成において用いられる単離手順は、目標分子を固体支持体に可逆的に結合させることによってある程度まで回避することができる。過剰の試薬及び副生成物の一部は、固体支持体の濾過及び洗浄によって除去することができる。目標分子は、通常は溶液相合成においては特に困難である幾つかのプロセスで実質的に定量的な収率で回収することができる。更に、固体支持体上での操作を行うのに必要な時間は、通常は溶液相合成において相当する段階を実施するのに必要なものよりも遙かに短い。
【0005】
一定範囲のプロセスにおける種の固定化も公知である。例えば、化学及びバイオ触媒反応などの伝統的な有機化学において用いるための触媒を固定化するために、ポリマー支持体が一般に用いられている。固定化酵素を用いて有機化学反応を実施することができ、或いはキラル分割に関しては、例えば二級アルコールを分割するために固定化ペニシリンアミダーゼが使用されており(E. Baldaroら, Tet. Asym. 4, 1031 (1993))、また、固定化ペニシリンGアミダーゼは、アモキシシリンの製造においてベンジルペニシリンを加水分解するためにも用いられている(Carleysmith, S.W.及びLilly, M.D., Biotechnol. Bioeng., 21, 1057-73, 1979)。
【0006】
固体支持体はまた、医療及び診断用途のために生体高分子を固定化するためにも用いられている。これには、タンパク質、モノクローナル及びポリクローナル抗体の固定化が含まれる。細胞培養は、通常は特定の表面特徴及び形態を有する固体支持体上で行われる。固定化酵素は、信号を生成させるためのセンサーとして用いることができる。1つの例は、グルコースオキシダーゼ/ペルオキシダーゼ結合酵素系によるグルコースの検出であり、ここではグルコースの存在によって過酸化水素が生成し、これが次に広範囲の基質を酸化するためのペルオキシダーゼのための基質になって、着色、蛍光、又はルミネセンス信号を与える。
【0007】
その蛍光が特定のカチオン又はアニオンに対して感受性である種々の蛍光体を用いて、pH測定のために水素イオンなどの特定のイオンの濃度を指示することができる。
ポリマー粒子及び多孔質材料はしばしばクロマトグラフィーにおいて用いられ、ここでは固体支持体は固定相と呼ばれる。クロマトグラフィーの幾つかのモードにおいては、固定相のコストが限定的である可能性がある。他のモードにおいては、固定相の物理的性質によって、この方法の有効性が低下する可能性がある。例えば、アフィニティー、イオン交換、及びゲル透過クロマトグラフィーのためにしばしば用いられる軟質のポリマーは、粒子の変形しやすい性質のために高い流速においては用いることができない。クロマトグラフィーの多くの他のモードのために用いられる硬質のマクロ孔質ポリマーは、しばしば機械的に脆く、そのために短い使用寿命を有する可能性がある。
【0008】
クロマトグラフィー分離、例えば製薬及びバイオテクノロジー産業において用いられる複雑な先端技術の分離、及び鉱業において用いられる大規模なプロセスにおいて固体支持体又は固定相を適用することは非常に広範囲に行われている。製薬産業の大部分の価値のある医薬の幾つかは分取クロマトグラフィーによって精製されており、改良されたクロマトグラフィー分離は、技術的に有益であり、且つ経済的に有利であろう。鉱業及び貴金属回収産業において、触媒コンバーターなどの広範囲の工業用途及びプロセス、並びに高価値の製品の製造において重要な成分である世界のパラジウムの大部分は、固定化クラウンエーテルを用いて精製されていると思われる(Traczyk, F.P.; Bruening, R.L.; Izatt, N.E., "The Application of Molecular Recognition Technology (MRT) for Removal and Recovery of Metal Ions from Aqueous Solutions"; Fortschritte in der Hydrometallurgie; 1988, Vortrage beim 34. Metallugischen Seminar des Fachausschusses fuer Metallugische Aus-und Weiterbildung der GDMB; 18-20 1998年11月; Goslar)。
【0009】
また、固相抽出及び固相試薬の製造においてポリマー粒子及びマクロ孔質材料を用いることも、化学、医薬、及びバイオテクノロジー産業において公知である。
公知の固相支持体は、一般に用途に適合した特定の寸法及び物理的性質のポリマー粒子を含む。使用しやすいように、これらのポリマー粒子はしばしば球状であり、規定された粒径分布を有する。粒子の球状の特質によって、ポリマーの流動及び濾過特性が向上する。固体支持体を用いることは操作上の有利性を有しているが、固相アプローチには欠点が存在する。例えば、ペプチド及びオリゴヌクレオチドの固相合成のために通常用いられている商業的に入手可能な支持体は、例えば複雑な製造プロセスのために高価である可能性がある。ミクロ多孔質ポリマー粒子及びマクロ孔質ポリマーが一般に用いられている。ミクロ多孔質ポリマーは比較的低いレベルの架橋部分を有しており、これによりポリマー粒子は好適な溶媒中において溶媒和し、その結果として膨潤する。マクロ孔質ポリマーは、ポリマーマトリクス内に高いレベルの架橋部分を有しており、大きな細孔を含む。これらのポリマー粒子は、一般に硬質であり、良好な流動特性を有し、充填カラムにおいて用いるのに好適である。
【0010】
創傷の治療及び創傷のケアには大きな臨床的課題が示されている。多くの公知の創傷ケア治療は、動物由来のコラーゲン、例えばウシ、ウマ、ブタ、及びヒト由来のコラーゲンを用いる。これらの材料を用いることには、倫理上、道徳上、及び宗教上の理由に基づく一定範囲の課題が示される可能性があり、これによってそれらの広範囲の使用が妨げられる。動物由来のコラーゲンはまた、これらの製品の抽出及び処理が複雑で、時間がかかり、高価な製造作業である可能性があるので、技術的及び商業的な問題が示される可能性もある。動物由来の製品の特定の源物質が必要である場合には、例えば幾つかの商業的に入手できる製品はウマの腱の使用に頼っており、供給利用可能性が困難性を示す可能性がある。動物由来の製品の製造は生物学的廃棄物を生成する可能性があり、生物学的汚染の危険性を減少させるために特定の取扱いが必要な可能性がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】E. Baldaroら, Tet. Asym. 4, 1031 (1993)。
【非特許文献2】Carleysmith, S.W.及びLilly, M.D., Biotechnol. Bioeng., 21, 1057-73, 1979)。
【非特許文献3】Traczyk, F.P.; Bruening, R.L.; Izatt, N.E., "The Application of Molecular Recognition Technology (MRT) for Removal and Recovery of Metal Ions from Aqueous Solutions"; Fortschritte in der Hydrometallurgie; 1988, Vortrage beim 34. Metallugischen Seminar des Fachausschusses fuer Metallugische Aus-und Weiterbildung der GDMB; 18-20 1988年11月; Goslar。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
動物由来の成分を含まず、更には生体適合性で、生分解性で、非細胞毒性で、望ましくは抗菌性である、創傷ケア用途において用いるのに好適な材料に対する必要性が存在する。
【0013】
これらの使用分野の多くにおいて用いられている公知のポリマー粒子は、幾つかの欠点を有している。ポリマー粒子は、通常は、重合を開始する前にモノマーの溶液を非混和性の溶媒(連続相)中に分散させる分散又は乳化重合プロセスによって製造することができる。形成されるポリマー粒子は、通常は次に濾過し、洗浄し、分級して必要な粒径分布を単離する。しかしながら、このプロセスは複雑で高コストである可能性があり、有機溶媒を用いる必要性によって制限される可能性がある。本明細書において用いる「ポリマー」という用語は、無機ポリマー、例えばシリカ、及び有機ポリマー、例えばポリアミドを含む。
【0014】
これらのプロセスは、連続相へのモノマーの損失などの幾つかの点で不利であり、重合中における一定範囲の粒径の生成及び微粒子の望ましくない生成によって、例えば篩別又は空気分級による面倒な粒径分級が必要になる。
【0015】
製造及び調製中の損失の望ましくないコストに加えて、公知のポリマー粒子の物理特性によって幾つかの欠点が生起する可能性がある。ミクロ多孔質ポリマー粒子は、一般に軟質であり、一般に充填カラム床内の高い流速でクロマトグラフィー用途において用いるのには好適ではない。更に、軟質の粒子は、例えば濾過中に望ましくなく圧縮されてファウリングを引き起こす可能性があり、これによりしばしばカラムの底部において用いられるシンター又はメッシュ中への圧縮侵入が引き起こされる可能性がある。硬質のマクロ孔質及びマクロ網状粒子は、充填カラム床内の高い流速により適している。しかしながら、硬質の特質のために、これらの粒子は物理的ストレス下において脆弱で砕ける可能性がある。
【0016】
これらの問題は、ポリマー粒子をカラム中に底部から上に向かって充填して、ポリマー粒子が望ましくなく大きなストレスにかけられるようになることによって悪化する。
球晶は、通常は水中油組成物として界面活性剤の複数の層を含み、球晶を形成するために溶媒及び複雑な温度制御の使用が必要な可能性がある。粒径は広範囲にわたって広がる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
ここで本発明者らは、公知のポリマー粒子、マクロ孔質材料、及び公知の球晶に関係するこれら及び他の問題は、2以上のカルボン酸基を有する脂肪酸及び塩基を含み、狭い粒径分布を与える自己組織化微粒子、又は自己組織化微粒子と接触させることによって形成されるマクロ孔質材料を含む粒子状支持体を与えることによって改善することができることを見出した。
【0018】
第1の形態においては、本発明は自己組織化微粒子を含む粒子状支持体を提供する。好適には、この微粒子は、2以上の酸基を有する酸、及び親水性溶媒中に可溶の有機塩基を含む。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、実施例1において得られた物体の電子顕微鏡写真である。
図2図2は、実施例5において得られた微小球状体の走査電子顕微鏡写真である。
図3図3は、実施例8において得られた架橋前の微小球状体の電子顕微鏡写真である。
図4図4は、実施例8において得られた架橋後の粒子の電子顕微鏡写真である。
図5図5は、実施例12において得られた微小球状体のSEMである。
図6図6は、実施例14において得られた培養した骨芽細胞の代謝活性アッセイ(CCK−8)を示す。
図7図7は、実施例14において得られた培養した骨芽細胞の顕微鏡写真である。
図8図8は、実施例15において形成されたPDAC−ブラシル酸の微粒子を示す。
図9図9は、実施例16における混合移植片の試験結果を示す。
図10図10は、実施例16における混合移植片の試験結果を示す。
図11図11は、実施例16における混合移植片の試験結果を示す。
図12図12は、実施例16における混合移植片の試験結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
好ましくは、酸は、ビス酸(bis-acid)、好ましくはビス脂肪酸を含み、好適には2以上のカルボン酸基を含むが、他の酸基を用いることができる。好適には、ビス酸は親水性溶媒中に不溶又は難溶である。好適には、酸、好ましくはビス脂肪酸を、親水性溶媒中に可溶の有機塩基と接触させることによって、酸を可溶化することができる。
【0021】
溶媒は、好適には親水性であり、好ましくは水溶液、例えば水性相、特に水内の油中水エマルジョンである。有利なことに、水性溶媒、好ましくは水によって、環境的考慮が重要である用途において微粒子を用いることが可能になる。例えば、本微粒子は、個人用途又は消費、医療用途、及び例えば殺生物剤としての使用のために好適である可能性がある水性生成物中に配合することができる。公知の殺生物剤は、環境的に望ましくない溶媒又は成分、例えばイソプロパノール及びシリコーン(これらは、例えば洗浄又は抗菌用途において用いる際には注意深い使用及び廃棄並びにその後の洗浄が必要である)を含む可能性がある。本発明によって提供される水性組成物は、有機溶媒又はシリコーンを含む製品に関係する欠点を減少又は回避する。
【0022】
好ましい態様においては、ビス脂肪酸は、その複数の末端カルボン酸よりも親水性が低く、好ましくは疎水性である領域によって、その複数の末端カルボン酸が連結されているビスカルボキシル脂肪酸を含む。親水性がより低い領域は、置換基を有する骨格を含んでいてよく、及び/又は骨格はヘテロ原子を含んでいてよく、例えばポリ−ε−リシンであってよい。好ましくは、カルボン酸を連結している領域は疎水性であり、好ましくはヒドロカルビル基である。特に好ましい態様においては、疎水性基は脂肪族ヒドロカルビル基である。好ましくは、ビス酸は、一般式:HOOC−(CH−COOH(式中、nはビス酸が水中に難溶又は不溶であるのに十分に大きい)の化合物を含む.好ましくは、nは少なくとも5、より好ましくは少なくとも6、特に少なくとも7である。好適には、nは40以下、好ましくは36以下、より好ましくは25以下、特に20以下である。好ましくは、nは7〜18である。
【0023】
好ましい態様においては、有機酸はC〜C18ビスカルボキシル脂肪酸を含む。他の好ましい態様においては、有機酸は、C〜C13ビスカルボキシル脂肪酸を、EDTA、ニトリロ三酢酸、及びモノカルボン酸、好ましくはC〜C18カルボン酸、例えばカプロン酸、パルミチン酸、及びオクタン酸から選択される更なる酸と共に含む。
【0024】
例えば複数の酸が異なるnの値を有する1つより多い酸を選択することによって、微粒子の寸法を調整することができる。酸基を接続するより長い疎水性部分は、より大きな微粒子を好適に与える。例えば、nが8(セバシン酸)である場合には、2.6ミクロンの寸法の粒子を得ることができ、nが11(ブラシル酸)である場合には、3.0ミクロンの寸法の粒子を得ることができる。
【0025】
ビスカルボキシ脂肪酸はまた、不飽和、例えばトラウマチン酸であってもよく、又は置換、或いは不飽和と置換の両方であってもよい。好適には、置換はビス酸を水溶液中に可溶にするものではない。溶媒可溶の有機塩基を用いてビス脂肪酸を接触させると、微粒子が自発的に形成される。
【0026】
ビス脂肪酸は、一般式:(HO)OP−(CH−PO(OH)のビスホスホン酸、又は不飽和ビスホスホン酸;一般式:HOOC−(CH−PO(OH)のモノカルボキシルモノホスホン酸、又はかかるビス酸の不飽和型;一般式:(HO)OS−(CH−SO(OH)のビススルホン酸、又はかかるビス酸の不飽和型;一般式:HOOC−(CH−SO(OH)のモノカルボキシルモノスルホン酸、又はかかるビス酸の不飽和型;一般式:(HO)B−(CH−B(OH)のビスボロン酸、又は不飽和ビスボロン酸、或いは置換ビスボロン酸;一般式:HOOC−(CH−B(OH)のモノカルボキシルモノボロン酸、又はかかるビス酸の不飽和型;或いはかかるビス酸の置換型;を含んでいてよい。これらの酸において、nはビス酸が水中に難溶又は不溶になるのに十分に大きい。好ましくは、nは少なくとも5、より好ましくは少なくとも6、特に少なくとも7である。好適には、nは40以下、好ましくは36以下、より好ましくは25以下、特に20以下である。好ましくは、nは7〜18である。
【0027】
好適には、有機塩基をビス酸部分と結合させて、2つの成分の組合せが疎水性領域によって接続された2つの別々の親水性又はイオン性頭部領域を含むようにする。理論によって縛られることは望まないが、隣接するビス酸と有機塩基の疎水性領域と親水性領域は、整列してミセルを形成して本発明の微粒子の自己組織化をもたらすと考えられる。好ましくは、本微粒子は、ビス酸と有機塩基を含む更なる分子が、他のビス酸/有機塩基の親水性の頭部と整列してマルチラメラ構造を形成しているマルチラメラ構造を含む。
【0028】
有機塩基は、ビス酸と一緒になって自己組織化微粒子を形成する一定範囲の塩基から選択することができる。好ましくは、有機塩基は、アミン、好適には、塩基特性を有するか又は他の窒素含有塩基を有する脂肪族アミン又は芳香族アミンを含む。好適な有機塩基の例としては、アルキル化アミン及びポリアミン、例えば1つ又は2つのC1−4−N−アルキル基を有するアミン、例えばメチル化アミンが挙げられる。好ましいアミンの例としては、N−メチルモルホリン、4−メチルモルホリン(NMM)、N,N−ジメチルアミノエタノール(DMAE)、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、イミダゾール又は1−メチルイミダゾール、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)(PDAC)、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド(DDAC)、及びドデシルジプロピレントリアミン(DDPT)が挙げられる。
【0029】
好ましい態様においては、酸は、好適には、メチルモルホリン(NMM)、N,N−ジメチルアミノエタノール(DMAE)、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、イミダゾール、1−メチルイミダゾール、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)(PDAC)、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド(DDAC)、及びドデシルジプロピレントリアミン(DDPT)から選択される塩基と組み合わせたブラシル酸、セバシン酸、及びアゼライン酸の1以上である。
【0030】
好ましい例としては、ブラシル酸とPDAC、ブラシル酸とDDAC、ブラシル酸とDDPT、セバシン酸とNMM、セバシン酸、ブラシル酸、及びアゼライン酸の1以上と組み合わせたポリ−ε−リシンを含む微粒子が挙げられる。
【0031】
本発明者らは、抗菌特性を有するアミンを含む本発明による微粒子は、抗菌組成物及び殺生物剤として用いるのに特に適していることを見出した。塩基の抗菌活性のレベルは、本発明による自己組織化微粒子の形態の場合には、従来の配合の場合と比べて高くすることができる。
【0032】
更なる形態によれば、本発明は、ビス酸及び抗菌性塩基を含む自己組織化微粒子を含む抗菌組成物を提供する。本発明はまた、ビス酸、及び自己組織化微粒子の形態でない場合の抗菌性塩基よりも高いレベルの抗菌活性を有する抗菌性塩基を含む自己組織化微粒子の使用も提供する。
【0033】
好適には、自己組織化微粒子中に抗菌性塩基を与えることによって、抗菌活性が増大し、細菌量の少なくとも10の2乗の減少、好ましくは細菌量の少なくとも10の4乗の減少、望ましくは細菌量の少なくとも10の5乗の減少を与える。
【0034】
酸及び塩基は、好適には塩基中の塩基性基に対する酸中の酸基のモル比がほぼ化学量論量で自己組織化微粒子が形成されるような相対量で混合する。塩基性基に対する酸基のモル量は、自己組織化粒子が形成されるならば化学量論量よりも少ないか又は多くてもよい。塩基性基に対する酸基の比が過度に低いか又は過度に高い場合には、過剰の成分が酸及び塩基の構造を混乱させるので自己組織化粒子は形成されない。自己組織化粒子の形成を可能にする塩基性基に対する酸基の比は、特定の酸及び特定の塩基によって変化する。
【0035】
当業者であれば、粒子を視覚的に観察するレベルの倍率、例えば40倍の倍率を用いて顕微鏡下で観察することによって、自己組織化粒子が形成されたかどうかを求めることができる。酸と塩基の相対量を変化させて、微粒子が形成される複数の成分の最小及び最大の比を求めることができる。より長い連鎖を有する酸は、より短い連鎖を有する酸を含む微粒子(同じ塩基及び同じモル比を有する)よりも安定な微粒子を与えることができる。より大きな安定性によって、より低いレベルの酸を用いることを可能にすることができ、塩基性基に対する酸基のより低い比によってもなお微粒子を形成することが可能である。
【0036】
好適には、酸中の酸基と塩基中の塩基性基との比は、0.6〜1.4:1、好ましくは0.7〜1.3:1、より好ましくは0.8〜1.2:1、望ましくは0.9〜1.1:1である。セバシン酸及びブラシル酸が好ましい酸の例である。好適には、セバシン酸を塩基と共に含む微粒子は、0.85〜1.15:1のセバシン酸と塩基との比を有する。ブラシル酸を塩基と共に含む微粒子は、0.8〜1.2:1のブラシル酸と塩基との比を有する。好ましい態様においては、酸と塩基は、1:1の酸基と塩基性基とのモル比を与えるレベルで存在させる。
【0037】
第2の形態においては、本発明は、マクロ孔質材料が形成されるような条件下で自己組織化微粒子を接触させることによって形成されるマクロ孔質材料を提供する。マクロ孔質材料は、好適には微粒子を架橋することによって形成される。
【0038】
有機塩基は、自己組織化微粒子を架橋してマクロ孔質材料を形成することが可能なように反応性であってよい。有機塩基は反応性である必要はなく、この場合には、これは好適には他の反応性種によって置き換えて、その後に架橋してマクロ孔質材料を形成することを可能にすることができる。溶媒可溶性の有機塩基は、有機成分を含むアミンなど(しかしながら、これに限定されない)の反応性種を加えることによって置き換えることができる。アミンは、好適にはアミド結合の形成によって微粒子の架橋を可能にするものである。好ましい態様においては、有機成分を含むアミンは、ペプチド、タンパク質、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン、及び他のポリアミンなど(しかしながら、これらに限定されない)のポリマーアミンである。
【0039】
好適なアミン及びポリアミンの例としては、エチレンジアミン、ポリ−ε−リシン、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン、アミノプロピルトリアルコキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、N−(3−(トリメトキシシリル)−プロピル)ジエチレントリアミンが挙げられる。
【0040】
微粒子又はマクロ孔質材料の形成においては、上述のビス酸は任意の割合で混合することができる。更に、反応性アミンを混合することもできる。
好適には、微粒子又はマクロ孔質材料は、所期の用途にしたがって調整された官能性成分を含む。例えば、エチレンジアミン四酢酸を加えることによって金属キレート化特性が与えられる。
【0041】
他の態様においては、ポリエチレンイミンを、結合において、或いはDNA、RNAなどの核酸の合成又は操作、例えばシークエンシングにおいて支持体構造体として用いることができる。
【0042】
アルコキシシランを用いることができ、これは微粒子のラメラ層中のシリカシェルを形成することができる。
他の態様においては、特異的酵素の活性部位を粒子内のペプチド中に導入して、活性剤の制御放出を可能にすることができる。例えば、創傷ベースのメタリノプロテアーゼ(metallino-protease)の切断部位を創傷ケアベースの材料中に導入して、抗菌剤の制御放出を可能にすることができる。
【0043】
他の用途においては、本発明の微粒子を用いて、骨細胞の成長のためのマクロ構造体を形成することができる。好適には、骨細胞を引き寄せて骨細胞培養を促進するために、微粒子を好ましくは結晶質形態のヒドロキシアパタイトと結合させる。
【0044】
多くの商業的に入手できる創傷包帯は、現在は創傷治癒を向上させることが示されている動物由来のコラーゲンが導入されている。本発明の微粒子及びマクロ孔質材料は、創傷包帯において動物由来のコラーゲンに代えて用いるのに有用である。本発明のマクロ孔質材料は、組織修復におけるコラーゲンの生物学的及び物理的特性を模擬することが示された。しかしながら、これらの材料の成分は、ヒトのヘルスケアにおいて動物由来の材料を用いることによる増大する倫理及び宗教上の懸念に悩まされることがない。
【0045】
本発明による自己組織化微粒子又はマクロ孔質材料にはまた、ポリマーによって担持された機能性材料を含めることもできる。好適な機能性材料の例としては、触媒、ペプチド合成又はオリゴヌクレオチド合成のための開始剤種、薬理活性物質、農薬活性物質、高分子、酵素、核酸シーケンス、及びタンパク質が挙げられる。
【0046】
本発明は、貴金属触媒、例えばパラジウム触媒を担持するのに特に有用である。特に有利な例はパラジウムである。
本発明は、更なる形態においては、2以上の酸基を有する二酸(two acid)を、水性媒体、好ましくは水中で有機塩基と接触させることを含む、水性媒体中で自己組織化微粒子又はマクロ孔質材料を製造する方法を提供する。
【0047】
好適には、重合及び架橋は、当業者に公知のプロセスによって開始する。例えば、アミン含有成分を用いて水中で製造される自己組織化微粒子又はマクロ孔質材料は、水溶性カルボジイミドを用いて架橋することができる。
【0048】
本発明の自己組織化微粒子又はマクロ孔質材料は、固体支持体を用いる任意の化学的又は物理的プロセスにおいて用いることができる。
本自己組織化微粒子又はマクロ孔質材料は、電気伝導性及び発光性ポリマーが関与する用途において用いることができる。発光性ポリマーを含む粒子状支持体を、ディスプレイパネル上に配列することができる。
【0049】
本自己組織化微粒子又はマクロ孔質材料は、有機種、特に高分子の固相合成において特に有用である。好ましい態様においては、本自己組織化微粒子又はマクロ孔質材料は、ペプチド、オリゴヌクレオチド、又はオリゴ糖の合成において用いることができる。
【0050】
固相合成においては、ペプチド合成のような用途において固体ポリマー粒子を用いるプロセスは、通常は多孔質濾板の上方で粒子を適当な溶媒中に懸濁し、粒子を機械的に損傷しないように粒子を穏やかに撹拌することを含む。粒子に関する製造プロセスにおいては、しばしば微粒子が生成し、これは濾板における閉塞を引き起こして、低速の濾過又はフィルターを交換若しくは洗浄する必要性をもたらす。更に、固体粒子の撹拌によって破砕が引き起こされて、フィルターの閉塞の問題を悪化させる微粒子の生成が引き起こされる可能性がある。医薬産業及び関連する産業においては、現行適正製造プロセス(cGMP)における厳密な品質基準において、濾板から取り除かれた物質によってその後のバッチが汚染されることを回避するために、それぞれの製品バッチの後に濾板を交換することが求められている。
【0051】
好適には、本発明による自己組織化微粒子又はマクロ孔質材料は、実質的に単分散状態である。即ち、この材料は全て実質的に同じ寸法の粒子を有する。単分散微粒子又はマクロ孔質材料は、固相合成を有利に単純化する。
【0052】
本発明は更に、クロマトグラフィープロセスにおける固相としての、本発明による自己組織化微粒子又はマクロ孔質材料の使用を提供する。
従来は、クロマトグラフィーカラムは、一般に、好適な溶媒中の粒子のスラリー又は固定相を調製し、下部カラム濾板が存在しているカラム中にこれを移すことによって充填される。クロマトグラフィーカラム内における広い粒径分布による床の不均一な沈降は、不均一及び均一に破砕した固定相床をもたらして、劣った再現不能な分離を招く可能性がある。カラムは、しばしば求められている性能を達成するために、数回空にして再充填しなければならない。これは面倒であり、プロセススケールの運転において特に不利である停止時間をもたらす可能性がある。
【0053】
本発明の好ましい態様における自己組織化微粒子の実質的な単分散性によって、スラリーを製造し、スラリーをカラムに移してより均一な床を形成することが可能になる。或いは、自己組織化微粒子を衝突させることによって形成されるマクロ孔質材料を用いて、モノリス型のクロマトグラフィーカラムを形成することができる。
【0054】
他の態様においては、モノリス体内の粒子の間の間隙空間に、例えば細胞培養栄養分のような異なる成分を充填することができる。この例においては、自己組織化マクロ孔質材料の表面上で細胞を培養することができる。この例においては、自己組織化マクロ孔質材料は、しばしば三次元細胞培養のための足場材と呼ばれる。したがって、本明細書に記載する材料は、再生医療、3D細胞培養、及び創傷ケアにおける用途を有する。
【0055】
本発明の自己組織化微粒子及びマクロ孔質材料はまた、バッチ形態であるか又は支持体上の流れとしてであるかにかかわらず、支持体と接触する液体から種を取り出す固相抽出、例えばイオン抽出及びイオン交換のためにも有用である。固相抽出は、通常は、抽出下で混合物から固相を分離するための濾板を有するカラム又はシステムにおいて行われる。本明細書において言及した固相合成及びクロマトグラフィーに関して観察される問題は、固相抽出に関して同様に観察される可能性がある。本発明の自己組織化微粒子及びマクロ孔質材料は、クロマトグラフィー及び固相合成において与えられるものと同様の有利性を与える。
【0056】
本発明の自己組織化微粒子及びマクロ孔質材料は、抗体、オリゴヌクレオチド、酵素、又は蛍光体などの種を固定化するために用いることができ、アレイ状に配置して、それぞれの支持体が溶液の異なる成分を分析するようにすることができる。それらの表面に共有結合しているリガンドを有する自己組織化微粒子及びマクロ孔質材料は、「ウェル」として用いることができる。次に、確立された方法を用いて、抗原又は相補的なDNA又はRNAシーケンスのような標的リガンドの特異的結合を検出することができる。
【0057】
本発明の自己組織化微粒子及びマクロ孔質材料はまた、バイオ触媒を固定化するために用いることもできる。バイオ触媒は、抽出下で混合物から固相を分離するための濾板を有するカラム又はシステムにおいてしばしば用いられる。本明細書において言及した固相合成及びクロマトグラフィーに関して観察される問題は、固相抽出に関して同様に観察される可能性がある。
【0058】
本発明の自己組織化微粒子及びマクロ孔質材料は、固相試薬、金属及び他の触媒、バイオ触媒、酵素、タンパク質、ポリクローナル及びモノクローナル抗体を含む抗体、全細胞、及びポリマーなどの種の固定化において特に有用である。本発明は、酵素、例えば洗浄剤及びパーソナルケア製品において通常的に用いられているリパーゼCalBの担持において特に有用である。
【0059】
本発明はまた、プロテインAのような親和性リガンドの固定化においても特に有用である。
更なる用途においては、本発明の粒子状支持体はまた、例えば遷移金属触媒及びリガンドを固定化することによって化学触媒反応において用いることもできる。
【0060】
更なる用途においては、本発明は細胞培養において用いることができる。動物細胞株の大量培養は、ウィルスワクチン、生物薬剤、及びバイオテクノロジーの多くの製品の製造にとって必須である。動物細胞培養において組換えDNA技術によって製造される生物学的製品としては、酵素、合成ホルモン、免疫生物学的製剤(モノクローナル抗体、インターロイキン、及びリンフォカイン)、並びに抗癌剤が挙げられる。細菌培養においてrDNAを用いて、多くのより簡単なタンパク質を製造することができ;グリコシル化(炭水化物変性)させたより複雑なタンパク質は、現在は動物細胞中で産生させなければならない。かかる複雑なタンパク質の重要な例は、ホルモンエリスロポエチンである。哺乳動物細胞培養物を成長させるコストは高いので、企業は技術を改良することを継続的に試みている。
【0061】
細胞は、懸濁液中において、又は付着培養物として成長させることができる。しかしながら、付着細胞には表面が必要であり、これは付着特性を増大させ、成長及び分化のために必要な他の信号を与えるために細胞外マトリクス成分で被覆することができる。一般に、固体組織から誘導される細胞は付着性である。器官型培養は、二次元の培養皿とは対照的に三次元環境内で細胞を成長させることを含む。この3D培養系は、生化学的及び生理学的に生体内組織により類似しているが、多くの要因(例えば拡散)のために維持するのが技術的に困難である。
【0062】
更なる形態においては、本発明は、支持体の表面上で細胞を培養するための、本発明による自己組織化微粒子及びマクロ孔質材料の使用を提供する。好適には、本発明の自己組織化微粒子及びマクロ孔質材料上で幹細胞を培養して、制御されていない分化を減少させ、所望の分化を制御することができる。自己組織化微粒子及びマクロ孔質材料の取扱性及び支持体の表面領域の高い利用性は、この用途において有利である。
【0063】
本発明は、イムノアッセイのような医療診断試験において特に有用である。したがって、本発明は更に、検出する化合物と選択的に反応又はそれに結合させるために該ポリマーによって支持体中に保持されている本発明による自己組織化微粒子及び/又はマクロ孔質材料を含む化合物、並びに酵素、例えばホースラディッシュペルオキシダーゼのような官能性物質の存在を検出するための医療診断薬を提供する。
【0064】
本発明の自己組織化微粒子及び/又はマクロ孔質材料は、分離プロセス、例えば磁気分離、フローサイトメトリー、薬物送達において、並びに洗浄剤、農薬、及びパーソナルケア分野などの広範囲の分野において用いることができる。
【0065】
多くの医療診断薬は、種々の診断リガンドを固定化するための固体支持体に頼っている。本発明の自己組織化微粒子及び/又はマクロ孔質材料は、液相を通して固相を物理的に分離する医療診断法において用いることができる。
【0066】
更なる用途においては、自己組織化微粒子及び/又はマクロ孔質材料は、吸収剤として用いることができる。この用途においては、これは、支持体が自己組織化微粒子及び/又はマクロ孔質材料に結合している不活性の吸収材料を含む場合に特に有利である。自己組織化微粒子及び/又はマクロ孔質材料は、家庭のこぼれ物、例えば茶、コーヒー、及びワインを吸収するために用いることができ、或いは大規模用途、例えば流出物から油を吸収するために用いることができる。吸収剤支持体は、こぼれ物を吸収して物理的に除去するため、或いは水域中の石油流出物の場合には、石油を有効にトラップして、石油を回収及び廃棄するために残留物質中に保持するために用いることができる。
【0067】
本発明の自己組織化微粒子及び/又はマクロ孔質材料は、時間経過と共に放出される化合物、例えば医薬又は農薬化合物或いは組成物を担持するためのキャリアとして用いることができる。この使用によって、支持体中の化合物の装填量にしたがって、化合物の投与計画を調整する手段が与えられる。医薬の場合には、これは、例えば化学療法において、例えば周期的な大量投与を行うことを患者に求めるのではなく連続的な徐放によって、活性物質の正確な投与を助けるのに有利である可能性がある。一般市販薬の場合には、抗鼻閉薬、消毒剤、及び抗炎症補助薬を送達するために微粒子を用いることができる。幾つかの場合においては、微粒子は、ペパーミントオイル及びラベンダーオイルのような天然オイルをいびき防止補助薬として送達するために用いられている。
【0068】
吸引とは別に、本自己組織化微粒子は、好適な形態で静脈薬物送達又はワクチンの送達のために用いることができる。
本発明の微粒子又は本発明のマクロ孔質材料は、パーソナルケア製品、例えば局所組成物及び経口組成物、在宅ケア製品及び医療製品、例えば創傷治療製品において用いるための組成物などの広範囲の用途のための組成物中に配合することができる。
【0069】
パーソナルケア製品の例としては、手洗い用石けん、ハンドスクラブ、クリーム、脱臭剤、シャンプー、及びコンディショナーが挙げられる。在宅ケア製品の例としては、抗菌製品、表面スプレークリーナー、洗浄剤などが挙げられる。局所組成物には、局所投与のために好適な機能性材料を含めることができる。
【実施例】
【0070】
以下の非限定的な実施例によって本発明を示す。
実施例1:自己組織化微粒子の製造:
ブラシル酸(1.54g、6.31ミリモル)及び4−ジメチルアミノピリジン(DMAP、1.54g、12.62ミリモル)を水(10cm)中に溶解し、試料を顕微鏡上に配置した。直径約3μmのほぼ単分散状態の球状の物体が観察された(図1)。
【0071】
実施例2:自己組織化微粒子の製造:
ブラシル酸(1.54g、6.31ミリモル)及びジメチルアミノエタノール(DMAE、1.12g、12.62ミリモル)を水(10cm)中に溶解し、試料を顕微鏡上に配置した。直径約3μmのほぼ単分散状態の球状の物体が観察された。
【0072】
実施例3:自己組織化微粒子の製造:
ブラシル酸(1.54g、6.31ミリモル)及び4−メチルモルホリン(NMM、1.275g、12.62ミリモル)を水(10cm)中に溶解し、試料を顕微鏡上に配置した。直径約3μmのほぼ単分散状態の球状の物体が観察された。
【0073】
実施例4:自己組織化微粒子の製造:
また、一定範囲の酸及び一定範囲の水溶性有機塩基を用いて上記のジカルボン酸溶解実験を行った。試験した組合せの幾つかを下記に示す。これらの組合せは、0.9〜1.1:1の酸基/塩基性基のモル比を有していた。これらの組合せは全て、実施例1に記載するような球状物体を形成した。
【0074】
ピメリン酸+NMM;
スベリン酸+NMM;
アゼライン酸+NMM;
セバシン酸+NMM;
セバシン酸+DMAP;
セバシン酸+DMAE;
セバシン酸+イミダゾール;
ドデカン二酸+NMM;
ドデカン二酸+DMAP;
ドデカン二酸+DMAE;
36ダイマー酸+NMM。
【0075】
実施例5:架橋自己組織化微粒子の製造:
ブラシル酸(1.54g、6.31ミリモル)及び4−ジメチルアミノピリジン(DMAP、1.54g、12.62ミリモル)を水(10cm)中に溶解し、試料を顕微鏡上に配置した。直径約3μmのほぼ単分散状態の球状の物体が観察された(図1)。ポリ−ε−リシン(PeK)(2g、12.04ミリモルのNH)を水(10cm)中に溶解し、ブラシル酸/DMAP微小球状体の上記の溶液に加えた。0.45μmの膜を通して混合物を濾過し、試料を顕微鏡上に配置した。直径約3μmの微小球状体が未だ存在していた。この溶液を水で100cmに希釈した。N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミドヒドロクロリド(EDCl)(4.6g、2.4ミリモル)及びHONSu(1.38g、1.2ミリモル)を水(10cm)中に溶解し、上記の溶液に加えた。架橋反応を一晩放置し、得られた粒子を接線流濾過(TFF)によって洗浄し、凍結乾燥によって回収した(収量2.35g)。図2は、得られた微小球状体の走査電子顕微鏡写真を示す。
【0076】
実施例6:プロトポルフィリンIXヘムBを含む架橋自己組織化微粒子の製造:
ブラシル酸(0.734g、3.3ミリモル)及び4−ジメチルアミノピリジン(DMAP、0.734g、6.6ミリモル)を水(10cm)中に溶解し、試料を顕微鏡上に配置した。直径約3μmのほぼ単分散状態の球状の物体が観察された(図1)。ポリ−ε−リシン(PeK)(1g、6.02ミリモルのNH)を水(10cm)中に溶解し、ブラシル酸/DMAP微小球状体の上記の溶液に加えた。0.45μmの膜を通して混合物を濾過し、試料を顕微鏡上に配置した。直径約3μmの微小球状体が未だ存在していた。この溶液を、ヘムBの飽和溶液(50cm)で希釈した。N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミドヒドロクロリド(EDCl)(2.3g、1.2ミリモル)及びHONSu(0.7g、0.6ミリモル)を水(5cm)中に溶解し、上記の溶液に加えた。架橋反応を一晩放置し、得られた粒子を接線流濾過(TFF)によって洗浄し、凍結乾燥によって回収した(収量0.93g)。
【0077】
実施例7:架橋自己組織化微粒子の製造:
セバシン酸(0.619g、6.12ミリモル)及びNMM(0.62g、6.12ミリモル)を水(10cm)中に溶解し、試料を顕微鏡上に配置した。直径約2.5μmのほぼ単分散状態の球状の物体が観察された。
【0078】
ポリ−ε−リシン(PeK)(1g、5.83ミリモルのNH)を水(10cm)中に溶解し、セバシン酸/NMM微小球状体の上記の溶液に加えた。0.45μmの膜を通して混合物を濾過し、試料を顕微鏡上に配置した。直径約2.5μmの微小球状体が未だ存在していた。この溶液を、水で50cmに希釈した。EDCl(2.24g、11.7ミリモル)及びHONSu(2.0g、17.4ミリモル)を水(10cm)中に溶解し、上記の溶液に加えた。架橋反応を一晩放置し、得られた粒子をTFFによって洗浄し、凍結乾燥によって回収した。
【0079】
実施例8:架橋自己組織化微粒子の製造:
セバシン酸(5.06g、25ミリモル)及びイミダゾール(3.4g、50ミリモル)を水(50cm)中に溶解し、試料を顕微鏡上に配置した。直径約2.5μmのほぼ単分散状態の球状の物体が観察された。
【0080】
ポリ−ε−リシン(PeK)(8.576g、50ミリモルのNH)を水(50cm)中に溶解し、セバシン酸/イミダゾール微小球状体の上記の溶液に加えた。0.45μmの膜を通して混合物を濾過し、試料を顕微鏡上に配置した。直径約2.5μmの微小球状体が未だ存在していた(図3)。この溶液を、水で500cmに希釈した。EDCl(4.8g、25ミリモル)を水(20cm)中に溶解し、上記の溶液に加えた。架橋反応を1時間放置し、次に更に25ミリモルのEDClを加えた後に一晩放置した。得られた粒子をデカンテーションによって水で洗浄し、凍結乾燥によって回収した(図4)。
【0081】
実施例9:架橋自己組織化微粒子の製造:
セバシン酸(5g、24.7ミリモル)及び(3−アミノプロピル)トリメトキシシラン(8.42g、46.9ミリモル)を水(50cm)中に溶解し、試料を顕微鏡上に配置した。直径約2.5μmのほぼ単分散状態の球状の物体が観察された。
【0082】
混合物を一晩放置した後、濃塩酸で酸性化した。塩酸を加えることによって、粒子内にシリカが形成され、セバシン酸/シリカ複合体が生成した。
実施例10:架橋自己組織化微粒子の製造:
セバシン酸(5g、24.7ミリモル)及びN−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン(5.77g、51.9ミリモルのアミン)を水(50cm)中に溶解し、試料を顕微鏡上に配置した。直径約2.5μmのほぼ単分散状態の球状の物体が観察された。
【0083】
この溶液を水で500cmに希釈した。EDCl(20g、104ミリモル)を水(100cm)中に溶解し、上記の溶液に加えた。混合物を一晩放置した後、濃塩酸で酸性化した。塩酸を加えることによって、粒子内にシリカが形成され、セバシン酸/シリカ複合体が生成した。
【0084】
実施例11:架橋自己組織化微粒子の製造:
セバシン酸(5g、24.7ミリモル)及びN1−(3−トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン(4.37g、46.9ミリモルのアミン)を水(50cm)中に溶解し、試料を顕微鏡上に配置した。直径約2.5μmのほぼ単分散状態の球状の物体が観察された。
【0085】
この溶液を水で500cmに希釈した。EDCl(20g、104ミリモル)を水(100cm)中に溶解し、上記の溶液に加えた。混合物を一晩放置した後、濃塩酸で酸性化した。塩酸を加えることによって、粒子内にシリカが形成され、セバシン酸/シリカ複合体が生成した。
【0086】
実施例12:自己組織化マクロ孔質架橋シートの製造:
セバシン酸(0.619g、6.12ミリモル)及びNMM(0.62g、6.12ミリモル)を水(10cm)中に溶解し、試料を顕微鏡上に配置した。直径約2.5μmのほぼ単分散状態の球状の物体が観察された。
【0087】
ポリ−ε−リシン(PeK)(1g、5.83ミリモルのNH)を水(10cm)中に溶解し、セバシン酸/NMM微小球状体の上記の溶液に加えた。0.45μmの膜を通して混合物を濾過し、試料を顕微鏡上に配置した。直径約2.5μmの微小球状体が未だ存在していた。EDCl(2.24g、11.7ミリモル)及びHONSu(2.0g、17.4ミリモル)を水(10cm)中に溶解し、上記の溶液に加えた。架橋反応を一晩放置し、得られたシートを水で洗浄し、凍結乾燥によって乾燥した。図5に示すSEMは、マクロ孔質ポリマーの融合微細球体構造が形成されたことを明確に示している。
【0088】
実施例13:自己組織化マクロ孔質架橋シートの製造:
(12−ホスホノドデシル)ホスホン酸(330mg、1ミリモル)及びNMM(404mg、4ミリモル)を水中に溶解した。試料を顕微鏡上に配置して、実質的に単分散状体の微小球状体の存在を確認した。PeK(343mg、2ミリモルのNH)を水(10cm)中に溶解し、上記で調製したビスホスホン酸溶液に加えた。この段階において、微小球状体は未だ存在していた。水(10cm)中に溶解したEDCl(1.15g、6ミリモル)を加え、混合物を直ちにトレイ中に注ぎ入れた。ここでも、この段階において微小球状体が未だ存在していた。約2時間後にシートが形成され、これを水で十分に洗浄した。最終的なシートはゴム状のテクスチャーを有していた。
【0089】
実施例14:骨細胞の培養(3D細胞培養の実施例):
本実施例においては、実施例12において製造された自己組織化マクロ孔質シートを製造した。実施例12のシートを、この足場材に対して約10重量%のSigmaAldrichからカタログNo.702153で入手できるヒドロキシアパタイトナノ粒子と一緒に含む更なる生成物を調製し、細胞適合性を試験した。
【0090】
骨芽骨細胞の9日間成長曲線は、プラスチック培養皿組織培養対照試験と比較した際に培養期間の初期段階中の細胞生存性の間に大きな差はなかったことを示した。カルボキシル又はヒドロキシアパタイト被覆足場材のいずれかの上で培養した骨芽細胞の間において、細胞生存性における大きな差はなかった。3D足場材との細胞間相互作用は、40倍の倍率においてより明らかになり、アクチンフィラメント染色によって、図7に示すように、細胞が3D足場材に固定された付着点が強調された。
【0091】
図7は、カルボキシル官能化及びヒドロキシアパタイト被覆3D足場材上で培養した骨芽細胞を、(a+b)48時間培養したものを10倍の倍率、(c+d)48時間培養したものを40倍の倍率、(e+f)7日間培養したものを10倍の倍率、(g+h)7日間培養したものを20倍の倍率で示す。
【0092】
骨芽細胞は、培養期間の残りの間、生存して足場材と相互作用し続けた。これらの結果は、3D足場材は、ヒドロキシアパタイト被覆を有していてもいなくても骨芽細胞の成長を促進することを示している。
【0093】
骨芽細胞の増殖:
骨芽細胞を24ウェルのインサート上に細胞数1×10の密度で播種し、37℃及び5%COの標準組織培養条件下で培養した。ファンギゾン及びペニシリン/ストレプトマイシンを補充した10%FCSを含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(高グルコース+2mMのグルタミン)の培地を用いた。細胞FアクチンをFITC標識(FITC-conjugated)ファロイジンで染色し、次に核染色剤のHoechst 33342で対比染色した。24時間、48時間、及び7日の時点において、Nikon Eclipse Ti-E位相差顕微鏡(Nikon,東京,日本)を用いて画像を撮影した(図6)。図6は、カルボキシル及びヒドロキシアパタイト被覆3D足場材上で9日間の培養期間培養した骨芽細胞の代謝活性アッセイ(CCK−8)を示す。
【0094】
細胞増殖アッセイ:
CCK-8アッセイキット(Dojindo Laboratories,日本国熊本県)を用いて、9日間の培養期間の経過中の種々の時点における細胞増殖をモニターした。製造者のガイドラインにしたがって、細胞数を求めるための標準曲線を作成した。細胞は、細胞数5×10の初期密度で足場材に播種した後に、標準培養条件下でインキュベートした。それぞれの時点において、CCK-8溶液(50mm)を、それぞれのウェル内の培地(500mm)に加えた。次に、細胞を標準培養条件下で2時間インキュベートした。それぞれのウェルからの溶液のアリコート(3×100mm)を、96ウェルプレート内のラベルしたウェル中にピペットで注入した。好適な対照試料も用いた。FLUOstar Optimaプレートリーダー(BMG Labtech, Ortenberg,ドイツ)を用いて、600nmにおけるバックグラウンドの読みと共に485nmにおける吸光度を読み取り、結果を記録した。
【0095】
実施例15:殺生物剤配合物:
パーソナルケア、化粧品、在宅ケア、及び一般的な消毒のための殺生物剤は、現在、摩損のために、処置すべき表面と接触させてそれらを保持する時間が限定されている。例えば、病院内での消毒のために用いられているタイプの表面スプレーは、限定された活性使用寿命を有しており、したがって、MRSA、緑膿菌、C.ディフィシルのような病院内感染に対しては減少した活性を有する。更に、幾つかの表面スプレーは、殺生物剤の摩損による除去を減少させるために、イソプロパノールのような有機溶媒、又はシリコーン油のような非生分解性成分を含んでいる。
【0096】
第4級アンモニウム化合物のようなカチオン性及び両性殺生物剤は、細胞膜を可溶化して細胞の溶解及び死滅をもたらすことによって病原体に対して作用する。カチオン性化合物であるクロルヘキシジン、ベンザルコニウムクロリド、クリンバゾール、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、ドデシルジプロピレントリアミンなどのような消毒のために商業的に用いられている多くの殺生物剤が存在する。更に、幾つかの殺生物剤は、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)のようなポリマーカチオン性化合物である。これらの化合物は、本明細書に記載する技術を用いて球状微粒子中に容易に配合することができ、これにより表面、皮膚、及び毛髪上の摩損除去を減少させることができ、殺生物剤の制御放出を可能にする可能性がある。更に、同じ微粒子中に複数のカチオン性化合物を含む殺生物剤が可能であり、感染源が明確な特定の用途に合わせて調整して、それに的を絞ることができる配合物を与えることができる。
【0097】
製造した試料は次の通りであった:
ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)(PDAC)SpheriSomes:
PDAC(1.615g、10ミリモル)を水(50cm)中に溶解し、NaOH(0.4g、10ミリモル)を加えた。ブラシル酸(1.22g、5ミリモル)をこの溶液に加えて、一晩溶解させた。これは明澄な溶液であるように見えたが、顕微鏡下で観察すると約3μmの微粒子の懸濁液であり、PDACの新しい配合物であることが確認され、図8に示す結果は、PDAC−ブラシル酸の微粒子の形成を示す。
【0098】
ジデシルジメチルアンモニウムクロリド(DDAC):
DDAC(9.04cmの40%w/w溶液、10ミリモル)を水で50cmに希釈し、NaOH(0.4g、10ミリモル)を加えた。ブラシル酸(1.22g、5ミリモル)をこの溶液に加え、一晩溶解させた。これは曇った溶液であるように見えたが、顕微鏡下で観察すると約3μmの微粒子の懸濁液であり、DDACの新しい配合物であることが確認された。
【0099】
ドデシルジプロピレントリアミン(DDPT):
DDPT(9.97cmの30%w/w溶液、10ミリモル)を水で50cmに希釈し、ブラシル酸(3.66g、15ミリモル)をこの溶液に加えて一晩溶解させた。これは明澄な溶液であるように見えたが、顕微鏡下で観察すると約3μmの微粒子の懸濁液であり、DDPTの新しい配合物であることが確認された。
【0100】
実施例16:抗菌性創傷包帯:
ビスカルボキシ脂肪酸微粒子を衝突させることによって形成される多孔質ポリマーの親水性は、吸収創傷包帯において有利である。ビスカルボキシ脂肪酸をポリ−ε−リシンと結合させ、架橋してかかる多孔質マトリクスを形成すると、創傷包帯の成分の生来の抗菌活性を保持して、必要な場合には増大させることができる。カチオン形態においては、脂肪酸よりも過剰のポリ−ε−リシンが存在している場合には、この材料は栄養分保存特性を保持して新規な抗菌創傷包帯を与えることが示された。この材料の多孔性は、微生物バイオフィルムを破壊することができるカチオン性と組み合わせて、3D足場材として向上した皮膚の修復を可能にする。
【0101】
混合種CDC反応器モデルを用いて、カチオン性創傷包帯の抗バイオフィルム能力を評価した。これらの実験においては実施例13の生成物を用いた。
下記に示すように2種類の混合種バイオフィルムを調製し、PBS及び制御アニオン性包帯に対して試験した。
【0102】
複数種バイオフィルム1:
黄色ブドウ球菌−NCTC8325;
緑膿菌−NCIMB10434;
アシネトバクター・バウマニ−ATCC19606;
表皮ブドウ球菌。
【0103】
複数種バイオフィルム2:
黄色ブドウ球菌−NCTC8325;
MRSA;
VREフェカリス−NCTC12201;
カンジダ・アルビカンス−ATCC−MYA−2876−SC5313;
大腸菌−NCTC−12923,6DOT202(03)の3頁。
【0104】
混合移植片1の製造:
滅菌綿棒を用いて、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、アシネトバクター・バウマニ、及び表皮ブドウ球菌の24時間培養物を適当な寒天プレートから採取し、20cmのトリプトンソイブロス(TSB)中に懸濁した。この混合種懸濁液をTSB中に希釈して、107±5×10cfu・mL−1の全濃度を与え、これをCDC反応器のための移植片として用いた。バイオフィルム成長を促進するために、CDC反応器を37℃において50rpmで振盪しながら72時間インキュベートした。
【0105】
混合移植片2の製造:
滅菌綿棒を用いて、黄色ブドウ球菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、バイコマイシン耐性腸球菌、カンジダ・アルビカンス、及び大腸菌の24時間培養物を適当な寒天プレートから採取し、20cmのTSB中に懸濁した。この混合種懸濁液をTSB中に希釈して、107±5×10cfu・mL−1の全濃度を与え、これをCDC反応器のための移植片として用いた。バイオフィルム成長を促進するために、CDC反応器を37℃において50rpmで振盪しながら72時間インキュベートした。
【0106】
バイオフィルムの処理:
インキュベーションの後、CDC反応器から試験片を取り出し、プランクトン様の細胞を除去するために、滅菌リン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)中で3回洗浄した。次に、片を創傷包帯材料の2つのディスクの間にサンドイッチすることによって、洗浄した片を処理した。試験前に、それぞれのディスクに400mmのPBS+1%TSBを加えることによって包帯を活性化した。対象片を1cmのPBS+1%TSB中に浸漬した。全ての試料を3回試験した。24時間の処理時間の後、片に付着した生存微生物を回収するために、片を1cmのPBS中に配置して15分間超音波処理した。段階希釈及び塗抹プレートを用いて、回収された微生物を定量した。
【0107】
混合移植片1:
対象包帯(A)で処理した後、細菌回収率は、図9に示すようにPBSのみで処理した対照試料と同等であった。カチオン性包帯(B)で処理した片からは生存有機体は回収されなかった。これは、PBS処理対照試料と比べて10の5乗より大きな減少を示している。処理後に生存している有機体は、主として緑膿菌であった(図10)。
【0108】
混合移植片2:
対象包帯(A)による処理によって、PBS処理対照試料と比べて回収された生存細菌の数において10の1.27乗の減少が得られた。カチオン性包帯(B)で処理した片からは生存有機体は回収されなかった。これは、PBS処理対照試料と比べて10の7乗より大きな減少を示している(図11)。生存している有機体は混合種であった(図12)。
本発明は以下の実施態様を含む。
[1]2以上の酸基を有する酸、及び有機塩基を含む自己組織化微粒子。
[2][1]に記載の微粒子であって、0.5〜10ミクロン、好ましくは1〜5ミクロンの粒径を有する微粒子。
[3][1]又は[2]に記載の微粒子であって、該酸中の酸基と該塩基中の塩基性基とのモル比が0.6〜1.4:1である微粒子。
[4][1]〜[3]のいずれかに記載の微粒子であって、酸基と塩基性基との該モル比が0.7〜1.3:1である微粒子。
[5][1]〜[4]のいずれかに記載の微粒子であって、2以上の酸基を有する酸、及び有機塩基を含む自己組織化微粒子を含む粒子状支持体として用いるのに好適な微粒子であり、該ビス酸を親水性溶媒中で該有機塩基と接触させることを含む方法であって、該酸が該親水性溶媒中に不溶又は難溶であり、該有機塩基が該親水性溶媒中に可溶である方法によって得ることができる微粒子。
[6][5]に記載の微粒子であって、該溶媒が水溶液を含む微粒子。
[7][5]に記載の微粒子であって、該溶媒が水相内の油中水エマルジョンを含む微粒子。
[8][1]〜[7]のいずれかに記載の微粒子であって、該酸がビス酸を含む微粒子。
[9][1]〜[8]のいずれかに記載の微粒子であって、該酸がビス脂肪酸を含む微粒子。
[10][1]〜[9]のいずれかに記載の微粒子であって、該酸が、その複数の末端カルボン酸が疎水性である領域によって連結されているところのビスカルボキシル脂肪酸を含む微粒子。
[11][1]〜[10]のいずれかに記載の微粒子であって、該酸基が、飽和若しくは不飽和脂肪族鎖;又は置換された飽和若しくは不飽和脂肪族鎖によって分離されている微粒子。
[12][1]〜[11]のいずれかに記載の微粒子であって、該酸が、一般式:HOOC−(CH−COOH(式中、nはビス酸が水中に難溶又は不溶であるのに十分に大きい)の化合物を含む微粒子。
[13][12]に記載の微粒子であって、nが少なくとも5で40以下である微粒子。
[14][1]〜[13]のいずれかに記載の微粒子であって、該酸が、ブラシル酸、セバシン酸、及び/又はアゼライン酸を含む微粒子。
[15][1]〜[14]のいずれかに記載の微粒子であって、該有機塩基が、塩基特性を有するか又は他の窒素含有塩基を有する脂肪族アミン又は芳香族アミンを含む微粒子。
[16][1]〜[15]のいずれかに記載の微粒子であって、該有機塩基が、1以上のアルキル化アミン及びアルキル化ポリアミンを含む微粒子。
[17][1]〜[16]のいずれかに記載の微粒子であって、該有機塩基が、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアミノエタノール、4−ジメチルアミノピリジン、イミダゾール、1−メチルイミダゾール、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)(PDAC)、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド(DDAC)、ドデシルジプロピレントリアミン(DDPT)、及びポリ−ε−リシンの1以上を含む微粒子。
[18][1]〜[17]のいずれかに記載の微粒子であって、該微粒子がマルチラメラ構造を含む微粒子。
[19][1]〜[18]のいずれかに記載の自己組織化微小球状体。
[20][1]〜[19]のいずれかに記載の微粒子であって、該ビス酸が該有機塩基と反応して架橋種を形成している微粒子。
[21][1]〜[20]のいずれかに記載の微粒子であって、該有機塩基が他の反応性塩基で置き換えられ、これが次に反応して架橋種を形成している微粒子。
[22][1]〜[21]のいずれかに記載の微粒子を接触させて、該微粒子間で架橋を形成して、それによって三次元体を形成しているマクロ孔質材料。
[23][1]〜[21]のいずれかに記載の自己組織化微粒子及び[22]に記載のマクロ孔質材料であって、該微粒子及び/又は該マクロ孔質材料に吸収されているか又は共有結合している機能性材料が、触媒、ペプチド合成のための開始剤種、オリゴヌクレオチド合成のための開始剤種、固相有機合成のための開始剤種、薬理活性物質、農薬活性物質、タンパク質、酵素、又は他の生体高分子から選択される微粒子及びマクロ孔質材料。
[24][1]〜[21]のいずれかに記載の自己組織化微粒子又は[22]に記載のマクロ孔質材料を含み、該支持体に結合しているか又はそれによって保持されている機能性材料を含む医療診断薬。
[25][24]に記載の医療診断薬であって、該機能性材料が該ポリマーによって担持されている酵素を含む医療診断薬。
[26]カラム内に収容されている[23]に記載のマクロ孔質材料を含むモノリス体。
[27]化学、生物学、又は物理プロセスにおける、[1]〜[21]のいずれかに記載の自己組織化微粒子又は[22]に記載のマクロ孔質材料の使用。
[28][27]に記載の自己組織化微粒子及び/又はマクロ孔質材料の使用であって、ペプチド、オリゴヌクレオチド、オリゴ糖から選択される種の固相合成;固相抽出;固相有機化学;固相試薬、金属及び他の触媒、バイオ触媒、酵素、タンパク質、ポリクローナル及びモノクローナル抗体を含む抗体、全細胞、及びポリマーから選択される種の固定化;細胞培養;クロマトグラフィー分離のための固定相の調製;から選択されるプロセスにおける使用、又は吸収剤としての使用。
[29]身体の内部又は外部のいずれかの創傷のケア又は治療における、[1]〜[21]のいずれかに記載の自己組織化微粒子又は[22]に記載のマクロ孔質材料の使用。
[30]細胞培養、再生医療、又は組織修復のための支持体又は三次元足場材としての、[1]〜[26]のいずれかに記載の自己組織化微粒子及び/又はマクロ孔質材料或いは[22]に記載のマクロ孔質材料の使用。
[31]2以上の酸基を有する二酸を、水性媒体、好ましくは水中で有機塩基と接触させることを含む、水性媒体中で[1]〜[21]のいずれかに記載の自己組織化微粒子又はマクロ孔質材料を製造する方法。
[32][1]〜[21]のいずれかに記載の自己組織化微粒子を含む抗菌組成物。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12