【文献】
WIJESURIYA, Daya,Regeneration of immobilized antibodies on fiber optic probes,Biosensors & Bioelectronics,Elsevier Science Ltd.,1994年,9, 8,585-592
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0003】
特許請求の範囲および明細書で使用される用語は、以下に定義するもののほか、当業者によって理解される、当該用語の通常の意味に従って解釈されるべきである。
【0004】
「約」は、本明細書で使用される場合、記載される値の±15%以内または±10%以内を指す。
【0005】
「分析物-結合」分子は、本明細書で使用される場合、分析物分子との特異的結合反応に関与することができる任意の分子を指す。例として、限定されるものではないが(i)その抗原に対して特異的な抗体の存在を検出する際に使用するための抗原分子; (ii)抗原の存在を検出する際に使用するための抗体分子; (iii)そのタンパク質の結合パートナーの存在を検出する際に使用するためのタンパク質分子; (iv)結合相手の存在を検出する際に使用するためのリガンド; または(v)核酸結合分子の存在を検出するための一本鎖核酸分子を含む。
【0006】
形状の「アスペクト比」とは、短い方の寸法に対する長い方の寸法との比を指す。
【0007】
「結合分子」は、対象の別の分子に結合することができる分子を指す。
【0008】
「結合対」は、本明細書で使用される場合、互いに引き付けられ、互いに特異的に結合する2つの分子を指す。結合対の例としては、抗原および抗原に対する抗体、リガンドおよびその受容体、核酸の相補鎖、ビオチンおよびアビジン、ビオチンおよびストレプトアビジン、レクチンおよび炭水化物が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい結合対は、ビオチンおよびストレプトアビジン、ビオチンおよびアビジン、フルオレセインおよび抗フルオレセイン、ジゴキシゲニン/抗ジゴキシゲニンである。ビオチン誘導体およびストレプトアビジンなどのアビジン誘導体を含む、ビオチンおよびアビジンは、複雑な結合シーケンスを用いるアッセイプロトコルにおいて結合物質中間体として使用することができる。例えば、抗体は、ビオチンで標識(「ビオチン化」)され、固相表面上にあらかじめ固定化された標的物質に結合するために使用され得る。次いで、アビジンまたはストレプトアビジンを用いる本発明の蛍光組成物は、実際に蛍光標識を導入するのに用いられることができる。
【0009】
「固定化」は、本明細書で使用される場合、試薬が固体表面に固定されることを指す。 試薬が固体表面に固定化される場合、試薬は表面に非共有結合的に結合されるかまたは共有結合される。
【0010】
「モノリス担体」は、本明細書で使用する場合、1つの屈折率を有するガラス、石英、またはプラスチックなどの固体材料の単一片を指す。
【0011】
「プローブ」は、本明細書で使用される場合、検出側で分析物結合分子の薄膜層で被覆された基質を指す。プローブは、先端部および基端部を有する。 基端部(本出願におけるプローブ先端も指す)は、分析物結合分子の薄層で被覆された検出表面を有する。
【0012】
「広範囲濃度」は、本明細書で使用される場合、少なくとも50倍、100倍、または500倍にわたる濃度範囲を指す。
【0013】
本発明は、許容可能な臨床アッセイ性能を維持しながら、免疫アッセイ試験プローブおよび試薬を約3〜20回再利用する方法を開示する。イムノアッセイ試験プローブおよび試薬は、1つの試験紙(ストリップ)または1つのカートリッジに含まれていてもよい。本発明は、試験プローブおよび試薬を再利用し、試験毎の費用を節約する。
【0014】
本発明を実施するためのいくつかの重要な要素が存在する。 第1に、本発明は、固相上に固定された抗体と結合する免疫複合体を解離させる変性試薬を用いることによって試験プローブを再生するが、アッセイ性能に影響を及ぼす程度にまで固相上に結合した抗体を変性または解離させることはない。変性工程は、続く他の抗原含有サンプルに対する結合工程に応じて、固相抗体の状態を調整する。第2に、プローブ先端は、試薬の消費が無視できる程度に小さく(直径<5mm)、アッセイサイクルにおいて試薬の補充は必要ない。 第3に、このアッセイは、アッセイを完結させるために必要な同じ試験プローブおよび試薬を活用するため、追加の試薬なしで複数のアッセイサイクルを促進する。
【0015】
蛍光検出システム
本発明は、プローブ先端上の蛍光シグナルを測定するため、参照により本明細書に援用される米国特許第8,492,139号に記載されるような蛍光検出システムを使用する。該システムは、以下を含む:(a)少なくとも5対1の長さと幅のアスペクト比を有するプローブであって、第1の端部および第2の端部を有し、蛍光標識に結合された検出表面を有するプローブと;(b)励起光をプローブの感知面に直接放射するための光源と;(c)前記検出面に向けられた集光レンズと;(d)前記発光蛍光を検出する光検出器と;を備え、ここで、集光レンズが発光蛍光を集光し光検出器に導く。
【0016】
プローブは、モノリシック基板又は光ファイバとすることができる。プローブは、長さと幅のアスペクト比が少なくとも5:1、好ましくは10:1である棒状、円筒状、円形、正方形、三角形などの任意の形状とすることができる。イムノアッセイの間にプローブはサンプル溶液及び1以上のアッセイ溶液に浸漬されるため、溶液中へのプローブ先端の浸漬を可能にするために、少なくとも5対1のアスペクト比を有する長いプローブを有することが望ましい。 長いプローブが異なる反応チャンバに移される場合、異種成分からなるアッセイを行うことができる。アッセイ中の試薬およびサンプルの分注および吸引が回避される。プローブの感知表面は、分析物と結合する分子で被覆され、蛍光標識で結合される。
【0017】
蛍光標識に適切な励起光を発することができる任意の光源が本発明に適している。 好ましい光源は、蛍光標識に適した波長を有する光を発することができるレーザーである。 例えば、Cy5蛍光色素には、レーザー中心波長は649nmであることが好ましい。放出光を検出するのに適した光検出器は、光電子増倍管(PMT)、電荷結合素子(CCD)、又はフォトダイオードである。
【0018】
光源、及び集光レンズを含む光検出器は、プローブ先端面(検出面)の同じ側に取り付けられている。検知面が下向きの場合、両者は先端面の下に取り付けられる。検知面が上向きの場合、両者は先端面の上に取り付けられる。 それらは、プローブの他端よりも検知面に近い。 検出面は常に集光レンズの開口数以内である。プローブは、集光レンズと中心を合わせることができるが、必ずしも合わせなくてもよい。
図1は、蛍光検出システムの実施形態を示す。
【0019】
リサイクルプロトコルによる分析物の検出
本発明は、異なるサンプルに対して同じ試験プローブおよび試験試薬を使用して、蛍光イムノアッセイによって複数の液体サンプル中の分析物を検出する方法に関する。
【0020】
当該方法は、以下の工程を含む:
(a)先端表面の直径が≦5mmであるプローブ先端に固定化された第1の抗体を有するプローブを得;
(b)前記プローブを、前記プローブ先端の蛍光シグナルを先行読取するために、pH6.0〜8.5の水溶液を含む先行読取容器中に浸漬し;
(c)前記プローブ先端を、分析物を有する液体サンプルを含むサンプル容器に浸漬し;
(d)前記プローブ先端を、1又は複数の蛍光標識と結合した第2の抗体を含む試薬溶液を含む試薬容器に浸漬させ、
前記プローブ先端で、前記分析物、前記第1の抗体、および前記第2の抗体との間で免疫複合体を形成させ、ここで、前記第1の抗体および前記第2の抗体は前記分析物に対する抗体であり;
(e)前記プローブ先端を、洗浄溶液を含む洗浄容器中に浸漬し;
(f)前記プローブ先端における免疫複合体の蛍光シグナルを測定し、前記(b)の先行読取蛍光シグナルを差し引き、検量線に対して定量することによって、前記第1のサンプル中の前記分析
物の濃度を決定し;
(g)前記プローブ先端を、約1.0〜4.0のpHを有する酸性溶液中に浸漬して、前記プローブ先端から前記免疫複合体を溶出させ;及び
(h
)第2のサンプル容器内の第2の液体サンプルについて
工程(b)〜(
f)を
1〜20回、好ましくは1〜10回繰り返すことにより、複数の液体サンプル中の分析物が検出される。前記方法は全ての反応サイクルにおいて、
同じプローブ、
同じ試薬溶液及び
同じ洗浄溶液を利用する。
【0021】
本発明の方法の工程(a)では、分析物を結合させるための先端が小さいプローブが得られる。 先端は、直径が≦5mm、好ましくは≦2mm又は≦1mmのより小さな表面積を有する。プローブ先端の表面を小さくすることにはいくつかの利点がある。固相イムノアッセイでは、非特異的結合がより少なく、より低いバックグラウンドシグナルを生じるため、小さい表面積を有することは有利である。さらに、チップの表面積が小さいと、プローブ先端上の試薬又はサンプルのキャリーオーバーは非常に小さい。この特徴により、プローブ先端を容易に洗浄することができ、且つ洗浄溶液がより大きい体積を有するため洗浄溶液中の汚染を無視することができる。プローブ先端の小さな表面積の他の態様は、小さい結合能力を有するものである。 その結果、プローブ先端が試薬溶液に浸漬されたとき、試薬の結合は夥しい量の試薬を消費することはない。試薬濃度は実際には変化しない。無視できる程度の洗浄溶液の不純物混入及び試薬の少量の消費は、試薬および洗浄溶液を何度も、例えば3〜20回再利用することを可能にする。
【0022】
第1の抗体を固相(プローブ先端の感知表面)に固定化する方法は、免疫化学において一般的であり、固相と抗体との間の共有結合、疎水性または静電結合の形成を含む。分析物を捕捉するその能力のための捕捉抗体とも呼ばれる第1の抗体は、感知表面上に直接固定化することができる。 例えば、第1の抗体は、固体表面への吸着によって、または固体表面上にコーティングされたアミノプロピルシランへの共有結合によって、最初に固定化することができる。あるいは、第1の抗体は、結合対を介して感知表面上に間接的に固定化することができる。 例えば、公知の技術(Wilchek and Bayer(1988)Anal.Biochem.171:1〜32参照)によって第1の抗体をビオチンで標識し、次いでストレプトアビジンで被覆した感知表面に間接的に固定化することができる。ビオチンおよびストレプトアビジンは、本発明の方法の低pH(pH 1〜4)の再生工程の間に解離することのないような強い結合親和性のために好ましい結合対である。 感知表面上に固定化された捕捉抗体は、プローブ感知表面が再生されて免疫反応後に感知表面に結合された免疫複合体を除去する場合、変性条件下で生存することができなければならない。イムノアッセイの性能を一致させるために、感知表面上に固定化された捕獲抗体は、有意な量の活性を失わないようにするか、又は固相から著しく解離しないようにしなければならない。
【0023】
ステップ(b)において、プローブ先端の蛍光シグナルは、読取容器(または読取チャンバーまたは読取ウェル)内の蛍光検出システムによって先行読取される。 読取容器は、水又は6.0〜8.5のpHを有する緩衝液等の水溶液を含有する。好ましくは、低pH再生後にプローブを中和するために、水溶液は1〜10mM又は1〜100mMのリン酸緩衝液、トリス緩衝液、クエン酸緩衝液又はpH6.0〜8.5に適した他の緩衝液を含有する。 第1のサイクルの反応のための任意の潜在的なバックグラウンド蛍光のベースラインを確立するために、第1のサンプル結合の前に先行読取が必要である。 また、プローブ先端の再生後および次のサンプル結合の前に、後のサイクルのベースラインを確立するために、先行読取が必要である。各サイクルの後、前記の先行読取シグナルは、変性状態によって引き起こされる固定化された捕捉抗体の結合特性の変化のため、それ以前の先行読取シグナルと同じか、又は高く、又は低くなる可能性がある。本発明者は、特定の捕捉抗体について、先行読取シグナルを差し引いた後の各反応サイクル終了時の蛍光シグナルが、同一プローブおよび同一試薬を用いた20サイクルの反応の間、一定のままであることを発見した。本発明者は、他の捕捉抗体についても、先行読取シグナルを差し引いた後でも、反応の各サイクルの終了時の蛍光シグナルが、継続的に上昇または低下することを見出した。 酸処理は、捕捉抗体結合能力又は蛍光シグナルのいずれかが変化するように、プローブの表面上のタンパク質を変化させることができる。蛍光は環境の影響に対して非常に敏感であることが知られている。各サイクルでの蛍光の増加または減少にもかかわらず、一貫した定量化がサイクル特異的な検量線を用いた場合に得られる。すなわち、各読取サイクルの完了時の蛍光シグナルは、先行読取シグナルを差し引いた後、システム中に含まれるサイクル特異的検量線に対して定量化される。
【0024】
本発明の方法の工程(c)では、プローブ先端上の第1の抗体に分析物を結合させるために、プローブ先端をサンプル容器(又はサンプルチャンバーは又はサンプルウェル)に浸漬し、5秒〜5分、10秒〜2分、または30秒〜1分インキュベートする。
【0025】
工程(c)の後、プローブは場合により洗浄溶液を含有する洗浄容器(または洗浄チャンバーまたは洗浄ウェル)中で、1〜5回、好ましくは1〜3回洗浄される。 少量の結合表面積のため、キャリーオーバー溶液の量が最小限であるため、この追加の洗浄工程は必要でない場合もある。 洗浄溶液は、典型的には緩衝液及びTween20等の界面活性剤を含有する。
【0026】
本発明の方法の工程(d)では、プローブ先端上の分析物へ試薬を結合させるため、プローブ先端を5秒〜5分、10秒〜2分、または30秒〜1分、試薬容器(または試薬チャンバーまたは試薬販売)に浸漬させる。試薬溶液は、蛍光標識二次抗体(シグナル抗体)を含む。この方法では、任意の適切な蛍光標識を使用することができる。蛍光標識の例は、Mujumdar et al. (1993) Bioconjugate Chemistry, 4:105〜111; Southwick et al. (1990) Cytometry, 11:418〜430; 及び U.S. Pat. No. 5,268,486.に記載されているようなアリールスルホナートシアニン蛍光色素である。Cy5は、高い吸光係数及び良好な量子収率を有し、それはまた、ほとんどの生物学的材料およびプラスチックの自己蛍光波長の外側の範囲(500nm〜750nm)の蛍光発光スペクトルを有することから、好ましいアリールスルホナートシアニン蛍光色素である。加えて、Cy5は水に良好な溶解性を有し、低い非特異的結合特性を有する。
【0027】
蛍光標識は、ジスルフィド、ヒドロキシフェニル、アミノ、カルボキシル、インドール、または他の官能基を含む様々な部分を介して、科学文献および特許文献に記載されているような従来の共役化学反応を用いて第2抗体に共有結合することができる。アリールスルホネートシアニン蛍光色素標識を抗体および他のタンパク質に結合させるための例示的な技術は、米国特許第5,268,486号; 5,650,334;に記載され、 その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。 好ましいCy5蛍光標識を抗体に連結する技術は、生物学的検出システムズインコーポレーテッド(Pittsburgh、Pa)発行の技術告知(TB)Cat.No.A25000に記載されている。
【0028】
工程(e)において、プローブは、洗浄溶液を含む洗浄容器中で1〜5回、好ましくは1〜3回洗浄される。 洗浄溶液は、典型的には緩衝液およびTween20のような界面活性剤を含有する。
【0029】
工程(f)において、プローブは洗浄容器内に留まるか、または測定容器に移動され、結合した免疫複合体の蛍光シグナルは、上記のような蛍光検出システムによって検出され、ここで、光源および検出器は、 プローブの検知面と同じ側(近位側)にある。測定容器は、別個のウェルであってもよく、又は同じ先行読取容器であってもよい。
【0030】
あるいは、本発明の方法は、他の適切な蛍光検出システムによって検出することができる。
【0031】
サンプル中の分析物濃度は、プローブ先端における免疫複合体の蛍光シグナルを測定し、(b)の先行読取蛍光シグナルを差し引き、次いで検量線(標準曲線)に対して定量することによって決定する。
【0032】
検量線は、典型的には、当業者に公知の方法に従ってサンプルを測定する前に予め設定される。 一実施形態では、同じサンプルの(先行読取シグナルを差し引いた後の)蛍光シグナルは各サイクルで一定に保たれ、検量曲線は各サイクルで同じとなる。別の実施形態では、同じサンプルの(先行読取シグナルを差し引いた後の)蛍光シグナルは、各サイクルで増加または減少し、各サイクルについてサイクルに特異的な検量線を確立する必要がある。蛍光シグナルの変化を伴うこれらの場合、サンプルはサイクル特異的な検量線に対して定量され、定量化された結果は異なるサイクルでの蛍光シグナルの増加または減少にもかかわらず一致することが示される。
【0033】
工程(g)においては、固相上の捕捉抗体に結合した免疫複合体を解離させる変性条件を用いてプローブを再生するが、アッセイの性能に影響を与える程度に捕捉抗体を固相から変性又は解離させることはない。 一般的に、約1〜約4のpHを有する酸性または酸性の緩衝液は、本発明の抗体プローブを再生するのに有効である。例えば、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸を用いてプローブを再生することができる。 プローブをまず酸性条件で処理した後、pH6.0〜8.5の緩衝液等の中性水溶液で中和する。 一実施形態では、低pH処理されたプローブは、先行読取の前に、工程(b)の読取容器中で好都合に中和される。 あるいは、低pH処理プローブは、pH6.0〜8.5の緩衝液を有する別の容器中で中和することができる。再生の手順は、単回の酸性処理であってもよく、続いて中和されてもよい。 例えば、pH 1〜3又はpH 1.5〜2.5(例えばpH 2)の10秒〜2分の単回の曝露が有効である。再生手順は、プローブが短いpH処理(例えば、10〜20秒)の2〜5サイクル(例えば3サイクル)に曝され、続いてpH6.5〜8.0で中和される、「パルス」再生ステップであってもよい (例えば、10〜20秒)。
【0034】
プローブの再生の後、1〜10,1〜20,1〜25,3〜20,5〜20,5〜25又は5〜30回の異なるサイクルで、異なるサンプルについて(b)〜(g)のステップを同プローブ及び同試薬で繰り返す。
【0035】
一実施形態では、反応は、容器内の溶液を撹拌または混合することによって加速される。 例えば、プローブ先端を横切る溶液の側方流動(lateral flow)又は環状流動(orbital flow)等の流れは、結合反応を促進するために、サンプル容器、試薬容器、洗浄容器、および再生容器を含む1つまたは複数の反応容器内において行われる。 例えば、反応容器を軌道シェーカーに取り付け、オービタルシェーカーを少なくとも50rpm、好ましくは少なくとも200rpmまたは少なくとも500rpm、例えば50〜200または500〜1500rpmの速度で回転させることができる。 さらに、プローブ先端の上方および下方の溶液の追加の混合を誘導するために、プローブ先端は、0.01〜10mm /秒の速度で、上下および環状流動面に対して垂直に移動されることができる。
【0036】
再生プロトコルにおける広濃度範囲を有する分析物の検出
一実施形態において、上記のような本発明のリサイクル方法は、サンプルを希釈しアッセイを繰り返すことなく単一のアッセイで広範囲の濃度を有する分析物定量のための第2の結合事象シーケンスを加えるように改変される。 この実施形態では、イムノアッセイの各サイクルは、プローブへのサンプルの結合、結合反応、および検出をそれぞれ含む2つの事象のシーケンスを有する。 一般に、第1シーケンスのアッセイ条件は、臨床的に関連する高濃度側でサンプルについて最適化され、第2シーケンスのアッセイ条件は、臨床的に関連する範囲の低濃度側について最適化される。結合および検出の第1シーケンスの後、プローブは、同じサンプル容器に再浸漬されて、サンプル容器中のさらなる分析物を、第1サイクルでの結合条件よりも良好な結合条件(例えば、より長い反応時間および/または攪拌)でプローブに結合させる(
図4参照)。 検体濃度は両方のサイクルで検出され、組合された結果は、検体を希釈してアッセイを再実施することなく、単一の検定で広範囲の濃度を有する検体を定量する能力を提供する。
【0037】
再利用および広範囲のプロトコルの組合せは以下の工程を含む;
(i)先端表面の直径が≦5mmであるプローブ先端に固定化された第1の抗体を有するプローブを得;
(ii)前記プローブを、前記プローブ先端の蛍光シグナルを先行読取するために、水溶液を含む先行読取容器に浸漬し;
(iii)前記プローブ先端を、分析物を前記プローブ先端の第1抗体に結合させるため、分析物を有する第1サンプル溶液を含む第1のサンプル容器に浸漬(例えば、10秒〜2分間、サンプル容器中でサンプル溶液を0〜500rpm
で流す)し;
(iv)前記プローブ先端を、蛍光標識と結合した第2の抗体を含む試薬溶液を含む試薬容器に浸漬させ、前記分析物、前記第1の抗体、および前記第2の抗体
の免疫複合体を形成させ、ここで、第1の抗体および第2の抗体は分析物に対する抗体であり;
(v)前記プローブ先端を洗浄するため、洗浄溶液を含む洗浄容器に前記プローブ先端を浸漬し;
(vi)前記プローブ先端において形成された第1の免疫複合体の第1の蛍光シグナルを測定し;
(vii)前記第1サンプル中のさらなる分析物を前記プローブ先端の第1の抗体へ結合させるため、前記プローブ先端を同じサンプル容器中に工程(iii)よりも長い時間(例えば1〜30分)浸漬し、第1のサンプル容器中のサンプル溶液を流し(0〜1200rpm、好ましくは200〜1200rpmまたは200〜1000rpm);
(viii)より長いインキュベーション時間で工程(iv)を繰り返し、工程(v)を繰り返し;
(ix)前記プローブ先端において形成された第2の免疫複合体の第2の蛍光シグナルを測定し;
(x)
まず前記(b)の先行読取した蛍光シグナルを第1および第2の蛍光シグナルから差し引
き、次いで上限側検量線または下限側検量線に対する前記分析物の濃度を定量することにより第1のサンプル中の前記分析物の濃度を決定
し;
(xi)前記プローブ先端から前記免疫複合体を溶出させるため、約1.0〜4.0のpHを有する酸性溶液に前記プローブ先端を浸漬し;及び
(xii
)第2のサンプル
容器中の第2の液体サンプルを用いて工程(ii)〜(xi)を繰返すことにより、複数の液体サンプル中の分析物が検出される。前記方法は全ての反応サイクルにおいて、
同じプローブ、
同じ試薬溶液及び
同じ洗浄溶液を利用する。
【0038】
前記方法において、ステップ(iii)〜(vi)は、高濃度の検体に結合するための結合事象の第1のシーケンスである。 ステップ(vii)および(viii)は、高濃度の検体に結合するための結合事象の第2のシーケンスである。 2つの事象および測定のシーケンスの後、ステップ(xi)および(ii)によってプローブ先端を再生し、次のサンプルを定量するために次のサイクルのためにステップ(iii)〜(x)を繰返す。 特に明記しない限り、試薬および洗浄液および手順は、上記のリサイクル/再生プロトコルに記載されているものと同一または同様である。
【0039】
ユニット化されたイムノアッセイストリップ
本発明はさらに、イムノアッセイ試験のためのカートリッジ(ストリップ)を示す。 本発明のユニット化されたカートリッジは、2〜20個、または3〜20個の異なるサンプルを測定するために2〜20、または3〜20サイクル使用されることができる。カートリッジは以下を含む;(a)プローブと、キャップを含むプローブウェルであって、該キャップは前記プローブウェル内に前記プローブを閉じ込める閉位置にあり、前記プローブが第1の抗体でコーティングされた底部先端を有するプローブウェル;(b)サンプルを受取るためのサンプルウェル;(c)試薬ウェル;(d)各々が洗浄溶液を含む1つ以上の洗浄ウェル;(e)1〜4のpHを提供するための低pHウェル;(f)pH6.0〜8.5を有する緩衝液を提供するための中和ウェル;(g)透光性底部を有する測定ウェル(読取ウェル)
であって、水溶液を含む測定ウェル;を含み、ここで、前記サンプルウェル、試薬ウェル、測定ウェルおよび洗浄ウェルの開口部は封止されている。 一実施形態では、前記中和ウェルおよび測定ウェル(読取ウェル)は同一ウェルである。 別の実施形態では、中和ウェルおよび測定ウェルは2つの別個のウェルである。
【0040】
カートリッジは、米国特許第8753574号に記載されたものと同様であり、本発明のカートリッジが追加の低pHウェルおよび中和ウェルを含むことを除き、その全体が参照により本明細書に組込まれる。
【0041】
サンプルウェルは、分析物を含むサンプルを受け取るウェルである。サンプルウェルは、ブランクウェルであってもよく、または洗浄剤、ブロッキング剤、およびイムノアッセイのための様々な添加物を、乾燥形式または湿式(液体)形式で含み得る。
【0042】
試薬ウェルは、検体と反応して免疫複合体を形成し、検出のためのシグナルを生成する蛍光標識抗体などの試薬を含む。試薬は、湿式または乾式であり得る。湿式では、アッセイ緩衝液中に試薬を含む。湿式は、典型的には、小さな液体体積(<10μL、例えば、5μL)である。アッセイ緩衝液は、典型的には、緩衝液(例えば、リン酸塩、トリス)、担体タンパク質(例えば、ウシ血清アルブミン、ブタ血清アルブミン、およびヒト血清アルブミン、0.1〜50mg / mL)、塩(例えば、生理食塩水)、および洗浄液(例えば、Tween、Triton)を含む。アッセイ緩衝液の例は、リン酸緩衝化生理食塩水、pH7.4、5mg / mlウシ血清アルブミン、0.05%Tween20である。アッセイ緩衝液は、場合により1〜500μg/ mLの量の遮断薬を含有する。最終的な組成は、各分析物アッセイの要件に応じて変化する。乾式は、アッセイ緩衝液中の試薬の乾燥形態である。乾燥形態には、凍結乾燥ケーキ、粉末、錠剤または診断キットに典型的な他の形式が含まれる。乾式は、再構成緩衝液または洗浄緩衝液によって湿式に再構成する必要がある。
【0043】
カートリッジは、各々が水溶液を含む1以上の洗浄ウェルを含む。 洗浄ウェルには、サンプルウェルおよび試薬ウェルにおける結合ステップ後にプローブを洗浄するための洗浄緩衝液が含まれる。 1〜4の洗浄ウェル(例えば、1,2,3、または4つのウェル)は、各結合ステップ後の洗浄用に供される。 洗浄緩衝液には洗浄剤が含まれる。イムノアッセイにおいて典型的に使用される任意の洗剤(例えば、Tween、Triton)が、本発明において使用される。
【0044】
カートリッジは、プローブの底部先端に結合した標識免疫複合体の検出を可能にする光学的に透明な底部を有する測定ウェルを含む。 測定はウェルの底部を通して行われる。
【0045】
一実施形態では、カートリッジは、サンプルウェルおよび試薬ウェルに分配される再構成緩衝液を含む1つ以上の再構成ウェルをさらに含み、サンプルウェルおよび試薬ウェルにおける乾燥形態を再構成する。 再構成緩衝液は、単なるリン酸緩衝生理食塩水などの緩衝液であってもよい。 再構成緩衝液は、アッセイ緩衝液に含まれる他の添加物(担体タンパク質、遮断薬、界面活性剤など)をさらに含むことができる。
【0046】
試薬ウェルおよび洗浄ウェルの開口部は、箔またはフィルムで封止される。 シールは貫通可能である。 手動または自動装置によってシールを穿孔することによって、ウェルを開けることができる。 一実施形態では、プローブのキャップが閉位置にある場合、キャップはプローブウェル上に折り畳まれてプローブをプローブウェル内に閉じ込めるが、キャップはサンプルウェル、洗浄ウェルまたは測定ウェルを覆うことはない。
【0047】
固定化抗体を含むプローブ
本発明は、プローブの先端に固定された抗体を含み、該抗体がビオチンで標識され、プローブ先端にコーティングされたストレプトアビジンによってプローブ先端に間接的に固定化された抗体を提供する;ここで、 先端表面の直径が≦5mmであり、抗体が酸性処理後にプローブから実質的に変性または解離しない;すなわち、酸処理の1〜20サイクル後に、わずか抗体の15%以下、好ましくは10%または5%以下しか変性または解離しない。 酸処理は、典型的には、プローブを低pH緩衝液(pH1〜4または1〜3、または1.5〜2.5)に10秒〜2分間浸漬することによって行われる。
【0048】
前記のように捕捉抗体を含むプローブは、プローブが酸再生に耐え、少なくとも20回の再生サイクルの間、一貫した用量反応曲線を生じるため、イムノアッセイに有用である。 当該プローブは、全20サイクルに対して必要となるのは1つの検量線のみである。 一方、酸再生後に結合活性が変化する捕捉抗体を含むプローブは、サイクルごとにサイクル特異的な検量線を必要とするためアッセイのコストと時間が増し、サイクルを通して一貫したパフォーマンスを維持するためにより多くの作業が必要となる。
【0049】
本発明者は、ビオチンで標識し、プローブ先端に被覆されたストレプトアビジンを介してプローブ先端に固定化され、本発明の方法に用いられた場合の、HyTest(Turku、フィンランド)からのマウスモノクローナル抗ヒトC反応性タンパク質
CRP30抗体(IgG1アイソタイプ)について、 先読シグナルを差し引いた後の各反応サイクルの完了時の蛍光シグナルが、同一プローブおよび同一試薬を用いた20サイクルの反応の間、一定のままであることを見出した。
【0050】
本発明は、以下の実施例によりさらに説明されるが、これらの実施例は、本発明をそれらに記載された特定の手順の範囲内に限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例】
【0051】
実施例1.抗体被覆プローブの調製
直径1mm、長さ2cmの石英プローブを、化学蒸着法(Yield Engineering Systems、1224P)を使用して製造元のプロトコルに従ってアミノプロピルシランでコーティングした。 次いで、プローブ先端をストレプトアビジン(Sigma-Aldrich)の10μg/ mlリン酸緩衝化生理食塩水pH7.4(PBS)溶液中に浸漬した。タンパク質をプローブに5分間吸着させた後、プローブ先端をPBSで洗浄した。 次いで、プローブ先端を、10μg/ mlのビオチン標識抗体を含むPBS溶液中に浸漬した。10分後、プローブ先端をPBSで洗浄した。抗体を標準的な方法によりビオチン化した。ビオチン化抗体を「捕捉抗体」とした。
【0052】
実施例2:Cy5標識抗体の調製
1mlの0.1M炭酸ナトリウムpH9.5溶液中の3.2mg / mlの抗体を10.6μlのCy5-NHS(GE Healthcare)410mg / ml DMF溶液と混合し、30℃で1/2時間反応させた。 次いで、混合物をPD10カラム(GE Healthcare)で精製した。Cy5で標識した抗体を「シグナル抗体」とした。
【0053】
実施例3 C-反応性タンパク質イムノアッセイプロトコル
図2は、プローブ先端に固定されたストレプトアビジンに結合したビオチン化抗C反応性タンパク質(CRP)抗体からなる基本的なアッセイフォーマットを示す。この場合ストレプトアビジンは、抗体がプローブ表面と直接相互作用し、潜在的にその結合活性と干渉することを妨げるスペーサーを提供する。
【0054】
図3は、アッセイプロトコルの概略図である。サンプル中でのインキュベーション後、抗体(Ab)でコーティングしたプローブを洗浄ウェルに移し、続いてCy5で標識した第2の抗体と共にインキュベートする。第2のAbとのインキュベーションの後、洗浄サイクルを行い、次いでアッセイを完了するためプローブ先端において蛍光を測定する。プローブをpH2の低pH緩衝液に浸漬し、CRP免疫複合体を解離させ、pH7緩衝液に浸漬し、続く分析のためにプローブを調整する。ストレプトアビジン:ビオチン-Ab複合体は、低pHへの暴露の間にはプローブ先端において完全なままの状態である。典型的には、ストレプトアビジンからビオチンを解離させるためには、8M尿素または6Mグアニジンなどのより過酷な変性条件が必要である。
その後のサンプル分析では、アッセイを実施するためのプローブおよびすべての試薬が再利用される。
【0055】
実施例4 C-反応性タンパク質イムノアッセイ(広濃度範囲)
図4は、単一のアッセイで広い範囲の分析物濃度(例えば、30〜300mg / LのCRP)を定量することができる「広濃度範囲」プロトコルにおけるプローブ移動シーケンスを示す。シーケンス1は高濃度(30〜300mg / L)の分析物を定量し、シーケンス2は低濃度(0〜30mg / L)の分析物を定量する。定量化の組合せにより、100倍を超える濃度の広範囲にわたる定量を提供する。
【0056】
以下の手順により、3つのサンプルセットの蛍光シグナルについて測定した。セット1は、それぞれがアッセイ緩衝液(0.5mg / mLウシ血清アルブミン(BSA)、リン酸緩衝生理食塩水、0.05%Tween20、pH7.4)中に30mg / LのCRP濃度を有する20の異なるサンプルを有する。セット2は、それぞれアッセイ緩衝液中に100mg / LのCRP濃度を有する20の異なるサンプルを有する。セット3は、それぞれがアッセイ緩衝液中に300mg / LのCRP濃度を有する20の異なるサンプルを有する。同じ試薬を、20の異なるサンプルの各セット20サイクルの測定に使用した。
【0057】
シーケンス 1 (高濃度検出)
1.先行読取
2.第1サンプル(CRP)インキュベーション: 7 秒 0 RPM
3.3回洗浄: 7 秒 1200 RPM
4.Cy5-C5 インキュベーション: 7 秒1200 RPM
5.3回洗浄: 7秒1200RPM
6.1回目の読取
シーケンス 2 (低濃度検出)
7.同じ第1サンプル(CRP) インキュベーション : 15 秒1200 RPM
8.3回洗浄: 7秒1200 RPM
9.Cy5-C5 インキュベーション: 15 秒 1200 RPM
10.3回洗浄: 15秒 1200 RPM
11.2回目の読取
パルス再生
12.緩衝液再生(pH 2.0): 10 秒500 RPM
13.PBS (pH 7.4): 10
秒500 RPM
14.12を繰返す
15.13を繰返す
16.12を繰返す
17.13を繰返す
18.
異なるサンプルに対するその後のサイクルのため、1に戻
る
【0058】
Hytestマウス抗ヒトCRPモノクローナル抗体
CRP30を捕捉抗体として用い、Hytestマウス抗ヒトCRPモノクローナル抗体C5をシグナル抗体として用いた。
図5は、3セットのサンプル(シーケンス1、各組n = 20)のCRPアッセイ結果を示す。結果は、蛍光シグナルが低い変動係数(CV)に一致することを示す。 蛍光シグナルについて表1に纏める。
【0059】
実施例5 C-反応性タンパク質イムノアッセイ(広範囲濃度プロトコル)
実施例4と同じプロトコルにより、6セットのサンプルの蛍光シグナルについて測定した。各セットは、0,3,10,30,100、または300mg / LのCRP濃度を有するPBSサンプルを有する。 各サンプルを9サイクルで9回測定した。 各サンプルセットの9回の測定のために同じ試薬を使用した。
【0060】
このプロトコルの第1ステップは、プローブに関連するバックグラウンド蛍光を測定するための「先行読取」である。 表2は、「先行読取:各サイクル前に計測されたCRPサンプルからのシグナル」を示す。先行読取データは、酸溶出は各サイクル後で次のサイクルの前にプローブ上に残留する蛍光で完全ではないことを示す。 結果は、各サイクルで「先行読取」における蛍光シグナルは増加するが、「先行読取」の減算は、
図6および図7に示すように、各サイクルで一定の結果を生じることを示す。
【0061】
【表2】
【0062】
上限側検量線の蛍光シグナル (シーケンス1, n=9) を
図6および表3に示す。
【表3】
下限側検量線の蛍光シグナル (シーケンス2, n=20) を
図7および表4に示す。
【表4】
【0063】
図6は、10〜300mg / Lの高CRPサンプルのアッセイシグナルを示し、
図7は、0〜10mg / Lの低CRPサンプルのアッセイシグナルの第2の測定値を示す。 アッセイシグナルは、9サイクルに亘り測定された全てのCRPレベルについて一致していた。
【0064】
実施例6.高濃度から低濃度サンプルのCRP測定
臨床診療では、CRPサンプルを無作為な順序で検定する。 非常に高濃度のサンプルのアッセイがその後の低濃度のサンプルの結果を偏らせる可能性を評価するために、300mg / Lのサンプルに続き3mg / Lのサンプルのアッセイを10サイクル行った。 3mg / Lは正常範囲内にあるのに対し、300mg / Lは、極度の炎症に関連するCRPレベルを表す定量化範囲の最大値にあたる。
図8は、2組のサンプルのCRPアッセイの結果を示す図である。 結果は、蛍光シグナル(先行読取シグナルを差し引いた後)が、300mg / Lおよび3mg / Lの両方で一致し、高サンプルと低サンプルとの間で交互の偏りは無視できることを示している。 蛍光シグナルを表5に要約する。
【表5】
【0065】
この実験は、実施例4に示されるような本発明のプロトコルによって測定された、および確立された臨床機器であるシーメンスBN IIによって測定された、100の臨床サンプルのCRP結果を比較する。
【0066】
10個の試験ストリップを用いて本発明の方法により100個のサンプルを定量した。 各ストリップは、同じ試験プローブを再使用して10サイクル、無作為に選択した10個のサンプルをアッセイした。シーメンスを使用した結果は、製造元の標準プロトコルに従って得られた。 本発明の方法とシーメンスの方法の結果の比較を
図9に示し、本方法によって得られた結果が、R
2が0.9596(R =相関係数)であるシーメンスの方法によって得られた結果と高度に相関することを示す。
【0067】
実施例8 異なる捕捉抗体によるCRPアッセイ
第2の捕捉抗体(Hytestマウスモノクローナル抗ヒトCRP C2)を、実施例4に記載したのと同じプロトコルで評価した。
図10は、先行読取の結果を差し引いた後でも、各サイクルでのCRPシグナルの増加という予想外の結果を示す。 酸処理は、抗体結合能力が増加するか、または蛍光シグナルが変化するように、プローブの表面上のタンパク質を変化させることができる。蛍光は環境の影響に対して非常に敏感であることが知られている。
【0068】
各サイクルでの蛍光シグナルの増加に対応するために、標準曲線を各サイクルで確立し、各サイクルにおける分析物の定量をサイクル特異的標準曲線に対して計算する。再現性を決定するため、アッセイ緩衝液中の6.0mg / mLのCRPサンプルを9サイクルにわたって試験し、サイクル特異的標準曲線に対して定量した。 結果は平均6.1mg / mL、標準偏差0.5mg / mL、およびCV 9%を示す。
【0069】
各サイクルでの蛍光シグナル増加にもかかわらず、各サイクルについて検量線を実行することにより、一貫した定量化が達成された。
【0070】
実施例9.プロカルシトニンアッセイ
以下のプロトコルに、プロカルシトニン(PCT)アッセイの工程を列挙する。
シーケンス 1 (高濃度検出)
1.先行読取
2.第1のサンプル(PCT) インキュベーション: 15秒0 RPM
3.3回洗浄: 7 秒 1200 RPM
4.Cy5-16B5 インキュベーション: 15 秒 1200 RPM
5.3回洗浄: 7 秒 1200RPM
6.1回目の読取
シーケンス 2 (低濃度検出)
7.第1のサンプル(PCT) インキュベーション: 360 秒 1200 RPM
8.3回洗浄: 7 秒 1200 RPM
9.Cy5-16B5 インキュベーション: 60 秒 1200 RPM
10.3回洗浄: 15 秒 1200 RPM
11.2回目の読取
再生
12.
緩衝液再生(pH 2.0): 10 秒 500 RPM
13.PBS (pH 7.4): 10 秒 500 RPM
14.
異なるサンプルに対するその後のサイクルのため、1に戻
る
【0071】
PCTプロトコルは、工程2および7は、大幅に低い濃度のPCTを説明するためにより長いインキュベーションを有することを除き、CRT(実施例4参照)のプロトコルに類似する。また、PCTプロトコルは、pH 2.0の再生を10秒間1回使用するのみである。 捕捉抗体は抗PCT(Hytest、PPC3)ヤギポリクローナル抗体であり、シグナル抗体は抗PCT(Hytest、16B5)モノクローナル抗体である。
【0072】
5サイクルの蛍光シグナルを
図11に要約し、2つのCRP捕捉抗体と比較した再利用プロトコルに対する異なる効果を示す。 5サイクルでは、蛍光シグナルはわずかに低下する。
【0073】
各サイクルにおける蛍光シグナルの減少に対応するために、標準曲線を各サイクルについて確立し、各サイクルにおける分析物の定量をサイクル特異的標準曲線に対して計算する。 5.0ng / mLアッセイ緩衝液中のPCTサンプルを5サイクルにわたって試験し、再現性を決定するためのサイクル特異的標準曲線に対して定量した。 結果は平均4.8ng / mL、標準偏差0.4ng / mL、およびCV 9%を示す。
【0074】
各サイクルでの蛍光シグナルの減少にもかかわらず、各サイクルについて検量線を実行することにより、一貫した定量化が達成された。
【0075】
本発明、ならびにそれを製造および使用する方法およびプロセスは、当業者がそれを製造し使用することを可能にするように、完全で明解で簡潔かつ正確な用語で記載される。上記の内容は本発明の好ましい実施形態を説明し、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲から逸脱することなく変更がなされ得ることが理解されるべきである。 発明とみなされる主題を特に指摘し明確に主張するために、以下の請求項はこの明細書を締結する。