特許第6810077号(P6810077)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6810077
(24)【登録日】2020年12月14日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】エレベーターの監視装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20201221BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20201221BHJP
   B66B 5/02 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
   B66B5/00 G
   B66B3/00 R
   B66B3/00 Q
   B66B5/02 Z
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-47341(P2018-47341)
(22)【出願日】2018年3月14日
(65)【公開番号】特開2019-156595(P2019-156595A)
(43)【公開日】2019年9月19日
【審査請求日】2020年2月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】特許業務法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】薛 祺
(72)【発明者】
【氏名】魚谷 翔吾
(72)【発明者】
【氏名】吉村 卓馬
【審査官】 今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−177441(JP,A)
【文献】 特開2017−105608(JP,A)
【文献】 特開2017−141114(JP,A)
【文献】 特開平11−029268(JP,A)
【文献】 特開2009−208954(JP,A)
【文献】 特開平07−206304(JP,A)
【文献】 特開2013−001517(JP,A)
【文献】 特開平11−116154(JP,A)
【文献】 特開2007−331849(JP,A)
【文献】 特開2002−068622(JP,A)
【文献】 特開2007−186273(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00 − 5/28
B66B 3/00 − 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センター装置との間で通信状態が低下したことを検出する通信状態検出部を備えたエレベーターの監視装置であって、
前記エレベーターが利用されない時間帯を記憶する運用状況記憶部と、
前記エレベーターのかご内に乗車している乗客の有無を検出する乗客有無検出部と、
前記通信状態検出部によって前記通信状態が低下したことが検出され、現在の時間が前記運用状況記憶部に記憶した前記利用されない時間帯であり、且つ前記乗客有無検出部で前記乗客がいないと検出された場合に、前記エレベーターを休止状態に移行するエレベーター制御部とを備えるエレベーターの監視装置。
【請求項2】
請求項1に記載のエレベーターの監視装置において、
前記エレベーター制御部は、前記エレベーターを休止状態に移行する場合は、前記エレベーターが走行中は最寄階に着床させて休止状態に移行し、前記エレベーターが停止中は直ちに休止状態に移行するエレベーターの監視装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のエレベーターの監視装置において、
前記乗客に対して前記エレベーターに関する案内情報を報知する報知部を備え、
前記報知部は、前記通信状態検出部によって前記通信状態が低下したことが検出され、且つ前記乗客有無検出部で前記乗客がいることが検出された場合に、前記乗客に対して案内情報を報知するエレベーターの監視装置。
【請求項4】
請求項3に記載のエレベーターの監視装置において、
前記報知部は、前記案内情報として、前記エレベーターの異常状態を前記センター装置へ通報できないことを報知するエレベーターの監視装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載のエレベーターの監視装置において、
前記報知部は、前記案内情報として、前記エレベーターの異常状態における対処法を報知するエレベーターの監視装置。
【請求項6】
請求項3に記載のエレベーターの監視装置において、
前記報知部は、前記エレベーターが休止状態であり前記案内情報が報知されていないとき、前記通信状態検出部によって前記通信状態が低下したことが検出され、かつ、現在の時間が前記運用状況記憶部に記憶した前記利用されない時間帯から外れると、前記案内情報を乗客に報知するエレベーターの監視装置。
【請求項7】
請求項3に記載のエレベーターの監視装置において、
前記報知部は、前記エレベーターが休止状態であり前記案内情報が報知されていないとき、前記通信状態検出部によって前記通信状態が低下したことが検出され、かつ、現在の時間が前記運用状況記憶部に記憶した前記利用されない時間帯において、前記乗客有無検出部で前記乗客がいることが検出されると、前記案内情報を前記乗客に報知するエレベーターの監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベーターの監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベーターの監視装置は、エレベーターの異常を検出し、検出した情報を無線通信網を介してセンター装置へ通報する構成としている。このエレベーターの監視装置では、センター装置との通信確立を確認するために、センター装置に向けて定時通報を行っている。これにより、センター装置は、遠隔地にあるエレベーターの運用状態を確認することができる。センター装置は、所定の時間以上、監視装置からの定時通報を受信しない場合には、監視装置との間の通信が異常であると判断する。
【0003】
監視装置とセンター装置との間の通信に無線通信網を利用する場合には、監視装置を設置する場所によって通信状態が異なる可能性がある。例えば、監視装置を設置した時点では通信状態が良好であった場合でも、その後、電波を妨害する建物や電波塔などの建設により通信状態が悪化する可能性が生じる。
特許文献1には、監視装置とセンター装置との間の通信状態が所定値よりも低下する時間帯と曜日を特定し、特定した時間帯と曜日をセンター装置に通報する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017−105608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のものでは、通信状態がセンター装置へ通報ができないレベルまで低下している場合でもエレベーターを運行することはできるが、適切な運用管理の面でさらなる改善が要望される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるエレベーターの監視装置は、センター装置との間で通信状態が低下したことを検出する通信状態検出部を備えたエレベーターの監視装置であって、前記エレベーターが利用されない時間帯を記憶する運用状況記憶部と、前記エレベーターのかご内に乗車している乗客の有無を検出する乗客有無検出部と、前記通信状態検出部によって前記通信状態が低下したことが検出され、現在の時間が前記運用状況記憶部に記憶した前記利用されない時間帯であり、且つ前記乗客有無検出部で前記乗客がいないと検出された場合に、前記エレベーターを休止状態に移行するエレベーター制御部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、エレベーターの適切な運用を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態による遠隔監視システムの概略構成図である。
図2】第1の実施形態による監視装置の運転制御のフローチャートである。
図3】第2の実施形態による遠隔監視システムの概略構成図である。
図4】第2の実施形態による監視装置の運転制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態を図1図2に基づいて説明する。図1は、第1の実施形態によるエレベーターの遠隔監視システム1の概略構成図である。図1において、エレベーターの遠隔監視システム1は、監視装置100と、無線装置200と、センター装置300と、エレベーター制御盤400と、エレベーターかご410と、無線通信網500とから構成される。
【0010】
監視装置100は、エレベーターやエレベーターに付帯する設備に設置され、エレベーターや設備の異常の有無を検出してそれぞれに対応した信号情報を発生する。また、監視装置100は、無線装置200を介して、無線通信網500に接続し、センター装置300と定期的に通信を行う。監視装置100は、通信状態検出部110と、運用状況確認部120と、乗客有無検出部130と、エレベーター制御部140とを備えている。
【0011】
通信状態検出部110は、監視装置100が無線通信網500に接続してセンター装置300と定期的に通信を行う際に、通信速度の低下または通信のパケットロス率の増加等により、通信状態が所定値よりも低下するかを判定する。具体的には、センター装置300との間の通信状態が所定値よりも低下しない時間帯は「通信可能」、通信状態が所定値よりも低下する時間帯は「通信不可能」と判定する。そして、通信状態検出部110は通信テーブル111を有し、「通信可能」または「通信不可能」の判定結果を時間情報と対応付けて通信テーブル111に記憶する。通信状態検出部110は、例えば、「通信可能」または「通信不可能」を所定の期間計測し、その計測結果を通信状態の統計データとして管理する。具体的には、「通信可能」な時間帯、および「通信不可能」な時間帯を通信テーブル111に記憶して管理する。
【0012】
運用状況確認部120は、利用テーブル121を有し、エレベーターが利用されない時間帯を利用テーブル121に記憶する。本実施形態では、ショッピングモール内の店舗が閉店中はエレベーターが利用されない時間帯と見做す。具体的には、ショッピングモール内の店舗の運用状況を示す「開店中」及び「閉店中」の情報を時間情報と対応付けて記憶する。なお、店舗が開店や閉店の前後であっても従業員等がエレベーターを利用する可能性が有れば、その時間帯は「開店中」と見做して時間情報と対応付けて記憶する。また、ショッピングモール内に複数の店舗がある場合は、最も開店が早い店舗に合わせて「開店中」の情報を設定し、最も閉店が遅い店舗に合わせて「閉店中」の情報を設定する。また、「開店中」及び「閉店中」の情報は、各店舗からオンラインで、もしくはオフラインで取得して、利用テーブル121に記憶する。
【0013】
乗客有無検出部130は、エレベーターかご410に設置しているカメラセンサ411と接続しており、カメラセンサ411より取得するエレベーターかご410内の画像を解析して、エレベーターかご410内の乗客有無を判断する。なお、本実施形態では、カメラセンサ411の画像で乗客の有無を判断する例で説明するが、この例に限定せず、例えば荷重センサをエレベーターかご410の床に設けて乗客の有無を判断してもよく、その他に、エレベーターかご410内の乗客の有無を判断できる各種のセンサを設けてもよい。
【0014】
エレベーター制御部140は、エレベーター制御盤400に接続され、エレベーターの運転方式を切り換える指令をエレベーター制御盤400へ送信する。エレベーター制御盤400は運転方式を切り換える指令を受信した場合に、エレベーターを通常運転状態と運転休止状態との間で切り換える。なお、運転休止状態とは、エレベーターかご410から乗客が降車した後には、エレベーターかご410の外部からの操作ボタン等には応答せず、消灯してドアを閉めた状態であり、運転休止状態が解除されるまで乗客によるエレベーターかご410の利用が禁止される。
【0015】
次に、本実施形態によるエレベーターの運転制御について説明する。図2は、監視装置100の運転制御のフローチャートである。図2に示すフローチャートの処理は一定時間ごとに繰り返し実行される。なお、このフローチャートで示したプログラムを、CPU、メモリなどを備えたコンピュータにより実行することができる。全部の処理、または一部の処理をハードロジック回路により実現してもよい。更に、このプログラムは、予め監視装置100の記憶媒体に格納して提供することができる。あるいは、独立した記憶媒体にプログラムを格納して提供したり、ネットワーク回線によりプログラムを監視装置100の記憶媒体に記録して格納することもできる。データ信号(搬送波)などの種々の形態のコンピュータ読み込み可能なコンピュータプログラム製品として供給してもよい。
【0016】
図2のステップS101では、通信状態検出部110は、通信テーブル111を参照して、現在の時間と一致する時間帯は「通信可能」または「通信不可」であるかを判定する。「通信可能」と判定された場合はステップS105へ進む。「通信不可」と判定された場合は、ステップS102へ進む。
【0017】
ステップS102では、運用状況確認部120は、利用テーブル121を参照して、現在の時間と一致する時間帯は「開店中」または「閉店中」であるかを判定する。「開店中」の場合はステップS105へ進む。「閉店中」の場合は、ステップS103へ進む。
【0018】
ステップS103では、乗客有無検出部130がカメラセンサ411より取得するかご内の画像に基づいて、エレベーターかご410内の乗客の有無を判断する。乗客が乗っていればステップS105へ進む。乗客が乗っていなければステップS104へ進む。
【0019】
上記のように、ステップS101で「通信不可」と判定され、ステップS102で「閉店中」の時間帯と判定され、ステップS103で、エレベーターかご410内に乗客が乗っていないと判定されたときはステップS104の処理を行う。
【0020】
ステップS104では、エレベーター制御部140がエレベーター制御盤400に対して、運転方式を運転休止状態とする指令を送信する。この指令を受けたエレベーター制御盤400は、現在の運転方式が通常運転状態であれば、エレベーターを通常運転状態から運転休止状態へ切り換える。運転休止状態へ移行する際に、エレベーターが走行中の場合は最寄階に着床してから運転休止状態へ移行し、エレベーターが停止中の場合は直ちに運転休止状態へ移行する。現在の運転方式が運転休止状態であれば、そのまま運転休止状態を継続する。
【0021】
一方、ステップS101で「通信可能」と判定されるか、ステップS102で「開店中」の時間帯と判定されるか、または、ステップS103で、エレベーターかご410内に乗客が乗っていると判定されたときはステップS105の処理を行う。
【0022】
ステップS105では、エレベーター制御部140がエレベーター制御盤400に対して、運転方式を通常運転状態とする指令を送信する。この指令を受けたエレベーター制御盤400は、現在の運転方式が運転休止状態であれば、エレベーターの運転休止状態を解除して、通常運転状態にする。現在の運転方式が通常運転状態であれば、そのまま通常運転状態を継続する。
【0023】
(1)本発明の第1の実施形態によるエレベーターの監視装置は、センター装置300との間で通信状態が低下したことを検出する通信状態検出部110と、エレベーターが利用されない時間帯を記憶する運用状況記憶部121と、エレベーターのかご内に乗車している乗客の有無を検出する乗客有無検出部130と、通信状態検出部110によって通信状態が低下したことが検出され、現在の時間が運用状況記憶部121に記憶した利用されない時間帯であり、且つ乗客有無検出部130でエレベーターのかご内に乗車している乗客がいないと検出された場合に、エレベーターを休止状態に移行するエレベーター制御部140とを備える。
【0024】
第1の実施形態におけるエレベーターの監視装置では、次の3つの条件が全て成立するとエレベーターを休止状態に移行させる。すなわち、通信状態検出部110によって監視装置100とセンター装置300との通信状態が所定値よりも低下したことが検出された第1条件と、現在の時間が、運用状況確認部120で確認したエレベーターが設置されている建物が利用されない時間帯と一致している第2条件と、乗客有無検出部130でかご内に乗車している乗客がいない第3条件とが成立した際に、エレベーターを休止状態に移行させる。
【0025】
これにより、監視装置100とセンター装置300との間で通信状態が低下しても、エレベーターの運用管理を適切に行うことができる。第1の実施形態のエレベーターの監視装置ではとくに、乗客がエレベーターに乗車することがない時間帯を識別する第2条件と、エレベーターのかご内に乗客がいないことを識別する第3条件も判定しているため、本来エレベーターを利用しない時間でかつ乗客がエレベーターのかご内に確実にいない場合にのみ、休止状態に移行できる。その結果、かご内に乗客が閉じ込められることを防ぐことができる。
【0026】
(2)第1の実施形態のエレベーターの監視装置100において、エレベーター制御部140は、エレベーターを休止状態に移行する場合は、エレベーターが走行中は最寄階に着床させて休止状態に移行し、エレベーターが停止中は直ちに休止状態に移行する。これにより、エレベーターを速やかに休止状態に移行させ、エレベーターの安全な運用を確保することができる。
【0027】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態を図3図4に基づいて説明する。図3は、第2の実施形態によるエレベーターの遠隔監視システム11の概略構成図である。図3において、エレベーターの遠隔監視システム11は、第1の実施形態と同様に、監視装置100と、無線装置200と、センター装置300と、エレベーター制御盤400と、エレベーターかご410と、無線通信網500とを備えている。このような第1の実施形態と同様の構成に加えて、第2の実施形態では、エレベーターかご410内に報知装置412を設置している。
【0028】
以下、第1の実施形態と重複する箇所の説明は省略し、相違点を主に説明する。
報知装置412は、エレベーターかご410の乗客にエレベーターに関する案内情報を表示または音声により報知する。案内情報は、エレベーターの異常状態をセンター装置へ通報できないことを示す案内情報、エレベーターの異常状態における対処法を示す案内情報を含む。対処法を示す具体的な案内情報としては、例えば、乗客が所持している通信装置(例えば携帯電話)を用いて外部に救出を求めるための情報である。例えば、閉じ込めの救出作業が実施できる作業員に連絡する電話番号を含む。
なお、報知装置412は、通信状態が良好なときには、エレベーターの運用状況をかご内の乗客に提示する装置として利用することができる。
【0029】
報知装置412はエレベーター制御部140と接続され、エレベーター制御部140は報知装置412へ案内情報を送信することができる。報知装置412は受信した案内情報を表示画面やスピーカでかご内の乗客に報知する。
【0030】
次に、本実施形態によるエレベーターの運転制御について説明する。図4は、監視装置100の運転制御のフローチャートである。第1の実施形態の運転制御を示す図2のフローチャートと同様な箇所には同一の符号を付し、相違点を主に説明する。
【0031】
図4のステップS201、ステップS202、ステップS203は、図2のステップS101、ステップS102、ステップS103と同様な判定処理である。ステップS201で「通信可能」と判定された場合はステップS208へ進む。「通信不可」と判定された場合は、ステップS202へ進む。
【0032】
ステップS202で「開店中」の時間帯と判定された場合はステップS206へ進む。「閉店中」の時間帯と判定された場合は、ステップS203へ進む。
【0033】
ステップS203では、乗客有無検出部130がカメラセンサ411より取得するかご内の画像に基づいて、エレベーターかご410内の乗客の有無を判断する。乗客が乗っていると判定されればステップS206へ進む。乗客が乗っていないと判定されればステップS204へ進む。
【0034】
上記のように、ステップS201で「通信不可」と判定され、ステップS202で「閉店中」の時間帯と判定され、ステップS203で、エレベーターかご410内に乗客が乗っていないと判定されたときはステップS204の処理を行う。
【0035】
ステップS204では、エレベーター制御部140がエレベーター制御盤400に対して、運転方式を運転休止状態とする指令を送信する。この指令を受けたエレベーター制御盤400は、現在の運転方式が通常運転状態であれば、エレベーターを通常運転状態から運転休止状態へ切り換える。運転休止状態へ移行する際に、エレベーターが走行中の場合は最寄階に着床してから運転休止状態へ移行し、エレベーターが停止中の場合は直ちに運転休止状態へ移行する。現在の運転方式が運転休止状態であれば、そのまま運転休止状態を継続する。次に、ステップS205の処理へ進む。
【0036】
ステップS205では、エレベーター制御部140はエレベーターかご410に設置している報知装置412に対して、案内情報の報知を止める指令を送信する。報知装置412がこの指令に基づき、現在の案内情報の報知を止める。
【0037】
一方、ステップS201で「通信不可」と判定され、ステップS202で「開店中」の時間帯と判定された場合、もしくは、ステップS201で「通信不可」と判定され、ステップS202で「閉店中」の時間帯と判定され、ステップS203で、エレベーターかご410内に乗客が乗っていると判定されたときはステップS206の処理を行う。
【0038】
ステップS206では、エレベーター制御部140は、エレベーターかご410に設置している報知装置412へ案内情報を送信する。報知装置412は、上述した各種案内情報を表示または音声により報知する。ステップS206で報知処理を実行した後、処理はステップS207に進む。ステップS207では、図2のステップS105と同様に、エレベーター制御部140がエレベーター制御盤400に対して、運転方式を通常運転状態とする指令を送信する。この指令を受けたエレベーター制御盤400は、現在の運転方式が運転休止状態であれば、エレベーターの運転休止状態を解除して、通常運転状態にする。現在の運転方式が通常運転状態であれば、そのまま通常運転状態を継続する。
【0039】
また、ステップS201で「通信可能」と判定された場合は、ステップS208へ進み、ステップS207と同様の処理により、エレベーター制御盤400は、エレベーターの運転休止状態を解除して、通常運転状態にする。
【0040】
そして、ステップS209では、上述したステップS205と同様に、報知装置412による現在の案内情報の報知を止める。
【0041】
本発明の第2の実施形態のエレベーターの監視装置によれば、第1の実施形態と同様の作用効果が得られるとともに、次のような作用効果も奏することができる。
(1)通信状態検出部110によって監視装置100とセンター装置300との通信状態が所定値よりも低下したことが検出されたとき、開店中の時間帯であれば、または、閉店中の時間帯でもかご内に乗車している乗客がいれば、報知装置412を用いてエレベーターに関する案内情報を乗客に報知することができる。その結果、乗客は、エレベーターの異常状態をセンター装置300へ通報できないこと、あるいは、エレベーターの異常状態における対処法の情報提供を受け、エレベーター内に万一閉じ込められた際に外部へ連絡する手段を確保することができる。
【0042】
(2)第2の実施形態のエレベーターの監視装置100において、報知装置412は、案内情報として、エレベーターの異常状態をセンター装置300へ通報できないことを報知する。これにより、エレベーター内の乗客に対して適切な対応を促すことが出来る。
【0043】
(3)また第2の実施形態のエレベーターの監視装置100において、報知装置412は、案内情報として、エレベーターの異常状態における対処法を報知する。これにより、乗客がエレベーター内に万一閉じ込められた際に外部へ連絡する手段を確保することができる。
【0044】
(4)第2の実施形態のエレベーターの監視装置100において、エレベーターが休止状態であり案内情報が報知されていないとき、通信状態検出部110によって通信状態が低下したことが検出され、かつ、現在の時間が運用状況記憶部121に記憶した利用される時間帯になると、エレベーター制御部140はエレベーターの休止状態を解除するとともに、報知装置412は案内情報を乗客に報知する。
通信状態が低下し、閉店中の時間帯となり、かご内に乗客がいないことを条件に休止状態とされたエレベーターは、開店中の時間帯となると通信不可であっても休止状態を解除されるので、この場合、案内情報を報知装置412から提供することで、安全なエレベーラターの運用が可能となる。
【0045】
(5)第2の実施形態のエレベーターの監視装置100では、エレベーターが休止状態になると案内情報の報知が中止される。その後、通信状態が改善されると、エレベーターの休止状態が解除され、エレベーターは運用可能となるが、案内情報の報知は中断のままである。この状態では、閉店中の時間帯でありながらかご内に乗客が乗車可能である。このような状況でかご内に乗客が乗車した後に再び通信不可の状態となると、不測の状態により乗客がかご内に閉じ込められてもセンター装置に発報できず、乗客がかご内に閉じ込められる可能性がある。そこで、第2の実施形態のエレベーターの監視装置では、ステップS206で案内情報の報知を再開し、乗客は案内情報に従って対応することができる。
【0046】
(変形例)
本発明は、以上説明した第1および第2の実施形態を次のように変形して実施することができる。
(1)第1および第2の実施形態では、通信テーブル111を設け、通信テーブル111に、「通信可能」または「通信不可能」を所定の期間計測し、その計測結果を通信状態の統計データとして時間情報と対応付けて記憶した。しかし、通信テーブル111は必ずしも必要ではなく、例えば、図2図4に示すフローチャートの処理を実行する毎に、通信状態が所定値よりも低下しているかをその都度判定してもよい。
【0047】
(2)第1および第2の実施形態では、ショッピングモール内の店舗が閉店中はエレベーターが利用されない時間帯と見做して、その時間帯を利用テーブル121に記憶した。しかし、ショッピングモールに限らず、オフィスビル内の企業の営業時間外はエレベーターが利用されない時間帯と見做してもよく、その他、エレベーターが設置されている建物ごとにエレベーターが利用されない時間帯を利用テーブル121に記憶してもよい。
【0048】
(3)第2の実施形態では、通信状態が低下したとき、開店中の時間帯である場合、または、閉店中の時間帯であってかご内に乗客がいる場合に、エレベーターに関する案内情報を報知するようにした。しかし、現在の時間が開店中の時間帯であれば、エレベーターが利用されない時間帯から外れたと判断して、かご内に乗客がいるか否かに関わらず案内情報を報知するようにしても良い。
【0049】
(4)第2の実施形態では、通信状態が低下したとき、開店中の時間帯である場合、または、閉店中の時間帯であってかご内に乗客がいる場合に、エレベーターに関する案内情報を報知するようにした。しかし、かご内に乗客がいる場合であれば、開店中の時間帯、または閉店中の時間帯に関わらず案内情報を報知するようにしても良い。
【0050】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の特徴を損なわない限り、本発明の技術思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。また、上述の実施形態と複数の変形例を組み合わせた構成としてもよい。
【符号の説明】
【0051】
100・・・・・監視装置
110・・・・・通信状態検出部
111・・・・・通信テーブル
120・・・・・運用状況確認部
121・・・・・利用テーブル
130・・・・・乗客有無検出部
140・・・・・エレベーター制御部
200・・・・・無線装置
300・・・・・センター装置
400・・・・・エレベーター制御盤
410・・・・・エレベーターかご
411・・・・・カメラセンサ
412・・・・・報知装置
500・・・・・無線通信網
図1
図2
図3
図4