(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係る建設機械の代表例として、油圧ショベルを例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
【0011】
図1において、油圧ショベル1は、自走可能な下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、上部旋回体3の前側に設けられた作業装置4とにより構成されている。油圧ショベル1は、例えば上部旋回体3の後端(カウンタウエイト9側)が車幅(下部走行体2の幅)内に収まる後方小旋回仕様となっている。
【0012】
上部旋回体3は、後述の旋回フレーム11と、作業装置4を挟んで旋回フレーム11の左,右方向の一側(左側)に設けられた運転席5と、作業装置4を挟んで運転席5とは反対側に設けられた後述の燃料タンク10とを有している。運転席5の周囲には、作業装置4を作動する操作レバー6、油圧ショベル1を走行させる走行レバー7等が設けられている。運転席5、操作レバー6、および走行レバー7は、キャブ8内に設けられている。また、旋回フレーム11の後側には、作業装置4との重量バランスをとるカウンタウエイト9が設けられている。
【0013】
作業装置4は、上部旋回体3の前側に位置して上,下方向ないし前,後方向にのみ俯仰動する。この作業装置4は、後述する支持ブラケット23の左,右のブラケット26,27にピン結合されたブーム4Aと、ブーム4Aの先端部に俯仰動可能に取付けられたアーム4Bと、アーム4Bの先端部に回動可能に取付けられたバケット4Cとによって構成されている。一方、後述のシリンダ取付板29とブーム4Aとの間にはブームシリンダ4Dが設けられ、ブーム4Aとアーム4Bとの間にはアームシリンダ4Eが設けられ、アーム4Bとバケット4Cとの間にはバケットシリンダ4Fが設けられている。これらのシリンダ4D,4E,4Fは、作業装置4を作動させる油圧アクチュエータを構成している。
【0014】
燃料タンク10は、作業装置4の右側に位置して旋回フレーム11上に搭載されている。即ち、燃料タンク10は、旋回フレーム11の右前側に設けられている。燃料タンク10は、内部にエンジン(図示せず)に供給される燃料を貯えるもので、本発明の貯油タンクを構成している。燃料タンク10は、例えば樹脂材料により形成された容器で、前面部10A、後面部10B、左側面部10C、右側面部10D、上面部10E、深底部10F、浅底部10Gおよび接続部10Hにより形成されている。
【0015】
燃料タンク10の後面部10Bは、左側が右側よりも後方に向けて突出した段付形状となっており、この段付形状部分には、油圧アクチュエータに供給される作動油を貯える作動油タンク(図示せず)が配設される。燃料タンク10の底面は、その右側部分が深底部10Fとなり、左側部分が深底部10Fから一段上がった浅底部10Gとなっている。深底部10Fの左端と浅底部10Gの右端とは、上,下方向に延びる接続部10Hにより接続されている。浅底部10Gは、前面部10Aの下端から後面部10Bの下端に向けて延びている。
【0016】
即ち、燃料タンク10の底面は、深底部10F、浅底部10G、および接続部10Hにより段付形状となっている。この場合、接続部10Hの高さ寸法は、後述するタンク台座30の立上り板30Bの高さ寸法に対応している。そして、
図5に示すように、燃料タンク10は、深底部10Fが旋回フレーム11上に載置され、浅底部10Gがタンク台座30の支持板30C上に載置され、接続部10Hがタンク台座30の立上り板30Bと対面(当接)する。
【0017】
旋回フレーム11は、下部走行体2上に旋回可能に搭載されている。この旋回フレーム11は、上部旋回体3の支持構造体を構成している。
図3、
図6に示すように、旋回フレーム11は、センタフレーム12、左サイドフレーム18、右サイドフレーム19、支持ブラケット23、およびタンク台座30を含んで構成されている。
【0018】
センタフレーム12は、旋回フレーム11の左,右方向の中央部分を構成している。このセンタフレーム12は、平板状の板材により形成され、前,後方向に延びた強度部材となる底板13、左縦板14、右縦板15、仕切板16、および後縦板17を含んで構成されている。
【0019】
旋回フレーム11のベースをなす底板13は、前,後方向に長尺で厚肉な鋼板材により形成されている。底板13は、長さ方向(前,後方向)の中央部位が下部走行体2上に旋回装置を介して旋回可能に取付けられている。さらに、底板13の前端部位には、左,右方向の中央に位置して後述の下板24が溶接等の固着手段を用いて取付けられている。また、
図4、
図6に示すように、底板13の右前端側には、後述のタンク台座30の下側に4個のねじ孔13Aが設けられている。このねじ孔13Aには、後述の収納ボックス31を底板13に取付けるためのボルト33が螺合する。
【0020】
左縦板14は、底板13の上面側に立設され、底板13の前,後方向に延びている。この左縦板14は、底板13上の左側に片寄せて配置され、底板13の上面から上向きに立設されている。左縦板14は、長尺な長方形状の板体を底板13の前端側で折曲げることにより形成されている。即ち、左縦板14は、底板13の前,後方向の中間位置から前端まで右側に傾斜して直線状に延びた傾斜部位14Aと、傾斜部位14Aの前端から底板13の前方に突出して延びた突出部位(図示せず)とにより構成されている。左縦板14は、傾斜部位14Aの下端が底板13の上面に固着されている。
【0021】
右縦板15は、底板13の上面側に立設され、底板13の前,後方向に延びている。この右縦板15は、左縦板14と左,右方向で対面するように底板13上の右側に片寄せて配置され、底板13の上面から上向きに立設されている。即ち、左,右の縦板14,15は、底板13上に旋回フレーム11の左,右方向に間隔をもって前,後方向に延びて立設されている。
【0022】
右縦板15は、左縦板14と同様に、長尺な長方形状の板体を底板13の前端側で折曲げることにより形成されている。即ち、右縦板15は、底板13の前,後方向の中間位置から前端まで左側に傾斜して直線状に延びた傾斜部位15Aと、傾斜部位15Aの前端から底板13の前方に突出して延びた突出部位15Bとにより構成されている。右縦板15は、傾斜部位15Aの下端が底板13の上面に固着されている。左縦板14の突出部位と右縦板15の突出部位15Bとは、後述の下板24と上板25との間に位置して左,右方向に間隔をもって平行に配置されている。
【0023】
仕切板16は、左縦板14と右縦板15の後端に位置して底板13上に左,右方向に延びて立設されている。この仕切板16は、下端が底板13の上面に接合され、左端側が左縦板14の傾斜部位14Aの後端に接合され、右端側が右縦板15の傾斜部位15Aの後端に接合されている。
【0024】
後縦板17は、仕切板16の後側で底板13上に立設されている。この後縦板17は、前側に向けて開口するC字状ないしU字状に折曲げて形成され、仕切板16の後面と底板13の上面に接合されている。後縦板17は、図示しないエンジンを搭載するための台座とカウンタウエイト9を取付けるためのブラケットとを兼ねている。
【0025】
左サイドフレーム18は、底板13の左側に配設されている。この左サイドフレーム18は、例えば横断面がD字状、四角形状、三角形状、円形状または楕円形状をなす筒状の中空フレーム材を、旋回中心Oを基準とした円弧状に曲げることにより形成されている。左サイドフレーム18は、底板13の前端に位置して左側に延びる左横フレーム部18Aと、左横フレーム部18Aの左端から後側に延びる左縦フレーム部18Bとにより形成されている。
【0026】
右サイドフレーム19は、底板13の右側に配設されている。この右サイドフレーム19は、例えば横断面がD字状等の中空フレーム材を、旋回中心Oを基準とした円弧状に曲げ加工することにより形成されている。右サイドフレーム19は、底板13の右前端から右側に延びる右横フレーム部19Aと、右横フレーム部19Aの右端から後側に延びる右縦フレーム部19Bとにより形成されている。
【0027】
右サイドフレーム19の右横フレーム部19Aの左端は、後述のタンク台座30の立上り板30Bに接合している。そして、右横フレーム部19Aと右縦板15との間は、後述の収納ボックス31の取付板32が挿入されるタンク下空間S1の挿入開口部OS1となっている。即ち、挿入開口部OS1は、タンク下空間S1の前側開口となっている。
【0028】
左張出しビーム20は、左サイドフレーム18の左縦フレーム部18Bをセンタフレーム12に連結している。この左張出しビーム20は、基端側(左,右方向の内側)がセンタフレーム12の底板13および後縦板17に接合され、先端側(左,右方向の外側)が左縦フレーム部18Bに接合されている。
【0029】
右張出しビーム21は、右サイドフレーム19の右縦フレーム部19Bをセンタフレーム12に連結している。この右張出しビーム21は、基端側がセンタフレーム12の底板13および右縦板15に接合され、先端側が右縦フレーム部19Bに接合されている。
【0030】
フロア支持フレーム22は、左サイドフレーム18の左横フレーム部18Aの上方に位置して設けられている。このフロア支持フレーム22は、左サイドフレーム18から立上る支柱22Aの上端に接合され、左,右方向の内側に位置する一端が後述する上板25の水平部25Aに接合して左方向に延びている。フロア支持フレーム22は、オペレータが搭乗するキャブ8のフロア部材の前側を支持する。
【0031】
支持ブラケット23は、左,右の縦板14,15の前端部位に設けられている。この支持ブラケット23は、底板13の前端よりも前方に向けて突出するもので、その突出端側で作業装置4を前,後方向ないし上,下方向にのみ俯仰動可能に支持するものである。即ち、この支持ブラケット23は、作業装置4が左,右方向にスイングしない機種に用いられるものである。そして、支持ブラケット23は、下板24、上板25、左ブラケット26、右ブラケット27、屈曲板28、およびシリンダ取付板29を含んで構成されている。
【0032】
支持ブラケット23の下板24は、底板13の前端部位から前方に突出する略長方形状の板体となっている。下板24は、底板13から左縦板14の突出部位と右縦板15の突出部位15Bとの前端まで延びる後板部24Aと、後板部24Aから前方に向けて突出し後述の左ブラケット26、右ブラケット27、およびシリンダ取付板29が取付けられる前板部24Bとにより構成されている。
【0033】
上板25は、下板24と上,下方向に対面して左縦板14の上端と右縦板15の上端とを接続している。
図5、
図6に示すように、上板25は、略長方形状の板体の前側部分を下向きに折曲げることによりL字状に形成されている。即ち、上板25は、左縦板14の上端と右縦板15の上端とを接続するように水平方向に延びる水平部25Aと、水平部25Aの前端から下板24に向けて延びる垂直部25Bとにより構成されている。
【0034】
水平部25Aは、左,右両端側が左,右の縦板14,15に沿って延びており、後側に向けて幅広に形成されている。一方、垂直部25Bは、後面が左縦板14の前端と右縦板の前端とに接合され、下端が下板24の前板部24Bの後端に接合されている。このように、支持ブラケット23は、左縦板14の突出部位、右縦板15の突出部位15B、下板24の後板部、および上板25を溶接手段を用いて一体的に組立てることにより、前,後方向に延びる角筒構造体となっている。
【0035】
左ブラケット26は、下板24の前板部24Bの左端側に位置して前板部24Bから上板25の水平部25Aを越えて立上っている。左ブラケット26は、後端側が上板25の水平部25Aと垂直部25Bとの左端側に沿って接合し、下端が下板24の前板部24Bの左端側に接合している。左ブラケット26の上端側には、作業装置4のブーム4Aがピン結合されるブーム取付部26Aが設けられている。
【0036】
右ブラケット27は、下板24の前板部24Bの右端側に位置して前板部24Bから上板25の水平部25Aを越えて立上っている。右ブラケット27は、後端側が上板25の水平部25Aと垂直部25Bとの右端側に沿って接合し、下端が下板24の前板部24Bの右端側に接合している。右ブラケット27の上端側には、作業装置4のブーム4Aがピン結合されるブーム取付部27Aが設けられている。
【0037】
屈曲板28は、左ブラケット26と右ブラケット27との間に位置して下板24の前板部24Bから上側に延びると共に後側に向けて屈曲している。即ち、屈曲板28は、左端が左ブラケット26に接合され、右端が右ブラケット27に接合されることにより左ブラケット26と右ブラケット27との前側を接続している。そして、屈曲板28の前面には、ブームシリンダ4Dがピン結合されるシリンダ取付板29が左,右方向に間隔をもって接合されている。
【0038】
タンク台座30は、旋回フレーム11の右前端側に設けられている。具体的には、タンク台座30は、燃料タンク10に対応する位置(燃料タンク10の下側)で底板13と左,右の縦板14,15のうち燃料タンク10側に位置する右縦板15との間に設けられている。タンク台座30は、燃料タンク10を旋回フレーム11上に支持するためのものおよび燃料タンク10の下側にタンク下空間S1を形成するためのものである。
【0039】
タンク台座30は、例えば鋼板材を折曲加工することにより形成され、燃料タンク10の底部に対応して形成されている。このため、タンク台座30は、右サイドフレーム19から底板13に向けて延びる延出板30Aと、延出板30Aから立上る立上り板30Bと、立上り板30Bの上端から右縦板15に向けて延びる支持板30Cとにより構成されている。
【0040】
タンク台座30の延出板30Aには、燃料タンク10の深底部10Fが当接する。一方、タンク台座30の立上り板30Bは、燃料タンク10の接続部10Hの高さ寸法と同じ高さとなっており接続部10Hに当接する。そして、タンク台座30の支持板30Cには、燃料タンク10の浅底部10Gが当接する。
【0041】
また、タンク台座30は、立上り板30Bと支持板30Cとにより底板13との間にタンク下空間S1を形成している。即ち、タンク下空間S1は、底板13、右縦板15の傾斜部位15A、およびタンク台座30の立上り板30Bと支持板30Cにより囲まれた空間となっている。そして、底板13の前端、立上り板30Bの前端、および支持板30Cの前端により囲まれたタンク下空間S1の前端は、後述の収納ボックス31の取付板32が挿入される挿入開口部OS1となっている。
【0042】
次に、タンク下空間S1の前側に取付けられる収納ボックス31について説明する。
【0043】
収納ボックス31は、タンク台座30の前側に設けられ、内部に油圧ショベル1のメンテナンスをするための工具および給脂器材(グリスガン等)の物品を収納することができる。また、この収納ボックス31は、作業者がキャブ8の洗浄作業および燃料タンク10への給油作業等を行うときに昇降可能となっている。
図3に示すように、収納ボックス31は、旋回フレーム11からの突出量が一点鎖線で示す油圧ショベル1の旋回中心Oからの後端半径R内に収まるようになっている。
【0044】
これにより、油圧ショベル1の走行時および旋回時に収納ボックス31が周辺物に接触するのを抑制している。そして、
図7に示すように、収納ボックス31は、取付板32、左側板34、右側板35、ステップ36、および蓋板38により後側が開口したボックス状に形成されている。
【0045】
収納ボックス31の取付板32は、収納ボックス31の底面を形成するもので、旋回フレーム11の底板13に取付けられ底板13よりも前方に突出している。即ち、取付板32は、後側が底板13に当接する当接部32Aとなり、前側が底板13の前端から前方に向けて突出する突出部32Bとなっている。
【0046】
図4に示すように、取付板32の当接部32Aは、タンク台座30の下側に位置して底板13上に取付けられている。取付板32の当接部32Aには、底板13の各ねじ孔13Aに対応する位置にそれぞれ貫通孔32Cが形成されている。収納ボックス31は、蓋板38を開放して、各ボルト33を各貫通孔32Cを介して各ねじ孔13Aにそれぞれ螺合することにより底板13上に着脱可能に取付けられる。一方、取付板32の突出部32Bは、当接部32Aが底板13に取付けられた状態で、タンク下空間S1の挿入開口部OS1よりも前方に向けて突出している。突出部32Bの左,右の両側には、後述の左側板34と右側板35とがそれぞれ立上っている。
【0047】
左側板34は、上,下方向に延びる板体として形成され、取付板32の突出部32Bの左端から立上っている。一方、右側板35は、上,下方向に延びる板体として形成され、取付板32の突出部32Bの右端から立上っている。左側板34は、収納ボックス31の左面を形成し、右側板35は、収納ボックス31の右面を形成している。
【0048】
ステップ36は、取付板32の突出部32Bと上,下方向で対面し、左側板34の上端と右側板35の上端とを連結する板体として形成されている。このステップ36は、収納ボックス31の上面を形成するものであり、また油圧ショベル1のメンテナンス等で作業者が足を乗せる部分でもある。
【0049】
図4に示すように、ステップ36は、左側板34と右側板35との間で前,後方向に延び作業者が足を乗せる載置部36Aと、載置部36Aの前端から下方に向けて折曲られた折曲部36Bとにより構成されている。
図7に示すように、ステップ36の載置部36Aには、凹凸状に滑り止め加工がなされている。一方、ステップ36の折曲部36Bには、蓋板38を開閉するためのヒンジ37が設けられている。
【0050】
蓋板38は、取付板32、左側板34、右側板35、およびステップ36の前端側を閉塞している。この蓋板38は、左側板34と右側板35との間に位置して、左側板34の前端と右側板35の前端とに沿って折曲加工された板体となっており、収納ボックス31の前面を形成している。蓋板38は、上端側がヒンジ37に取付けられており、ヒンジ37を支点として上,下方向に開閉可能となっている。
【0051】
蓋板38の後側は、旋回フレーム11の底板13とタンク台座30とにより囲まれたタンク下空間S1に連通するボックス空間S2となっている。即ち、収納ボックス31は、取付板32、左側板34、右側板35、およびステップ36の後端が開口部OS2となっている。収納ボックス31の開口部OS2は、タンク下空間S1の挿入開口部OS1に前,後方向で対面している。
【0052】
従って、
図3中の点線で示すように、油圧ショベル1は、ボックス空間S2とタンク下空間S1とが前,後方向で延びるように連通した工具等の収納スペースを確保している。即ち、収納ボックス31が
図3中の一転鎖線で示す後端半径R内に収まる大きさで形成されていても、収納ボックス31のボックス空間S2にタンク下空間S1を加えることにより広い収納スペースを確保している。
【0053】
本実施形態による油圧ショベル1は、上述の如き構成を有するもので、次に、その動作について説明する。
【0054】
まず、オペレータは、キャブ8に乗込んで運転席5に着座する。この状態で、オペレータは、走行レバー7を操作することにより、下部走行体2を走行させることができる。一方、操作レバー6を操作することにより、上部旋回体3の旋回動作および作業装置4によって土砂の掘削作業等を行うことができる。
【0055】
ここで、オペレータ(作業者)がキャブ8の清掃および燃料タンク10への給油を行う場合には、収納ボックス31のステップ36に昇降することで清掃作業および給油作業等を良好に行うことができる。また、ブームシリンダ4D等の油圧アクチュエータに給脂作業を行う場合には、図示しないグリスガンを用いて行うことができる。この場合、グリスガンは、収納ボックス31内に収納することができる。
【0056】
ところで、上述した従来技術では、上部旋回体の旋回フレームにステップ付き収納ボックスを設けている。ここで、ステップ付き収納ボックスは、種々の工具等を収納するためおよび作業者が足を乗せるために大きく形成することが望ましい。そこで、大きく形成したステップ付き収納ボックスを旋回フレームに取付けた場合には、ステップ付き収納ボックスが旋回フレームから大きく突出することになる。その結果、油圧ショベルの走行時および旋回時には、ステップ付き収納ボックスが油圧ショベルの周辺物に接触する虞がある。
【0057】
そこで、本実施形態では、収納ボックス31は油圧ショベル1の後端半径R内に収まるように、旋回フレーム11の右前側に設けられたタンク台座30の前側に設けられている。これにより、収納ボックス31は、油圧ショベル1の走行時および旋回時に油圧ショベル1の周辺物に接触するのを抑制している。
【0058】
この場合、収納ボックス31は、旋回フレーム11からの突出量が抑制されていることから内部に形成される工具等の収納スペースが狭くなり、十分に工具等を収納することができない虞がある。しかし、本実施形態では、収納ボックス31の内部に形成されるボックス空間S2は、タンク台座30(燃料タンク10)の下側に形成されるタンク下空間S1に連通している。
【0059】
これにより、油圧ショベル1の収納スペースは、ボックス空間S2とタンク下空間S1とにより前,後方向に長いスペースを確保している。即ち、収納ボックス31の蓋板38を収納ボックス31の前面側に設けることで、ボックス空間S2とタンク下空間S1とに工具等を収納させることができる。特に、搭載機器が全体的にコンパクトに搭載された小型の油圧ショベル1でも、例えば長い筒体を有しているグリスガン等の大きい工具を収納させることができる。
【0060】
また、収納ボックス31は、タンク下空間S1の挿入開口部OS1から取付板32の当接部32Aを挿入してボルト33により底板13に取付けられている。従って、収納ボックス31は、ボルト33により底板13に着脱可能に取付けられているので、収納ボックス31を新しいものに交換したり、他の大きさのものに交換したりする作業を簡単に行うことができる。
【0061】
次に、旋回フレーム11の汎用性について、
図3、
図8を参照して説明する。
【0062】
図3に示す旋回フレーム11は、作業装置4のブーム4Aが上,下方向ないし前,後方向に俯仰動する機種に用いられるものである。一方、
図8に示す旋回フレーム41は、作業装置のブームを左,右方向に揺動(スイング)させることができる機種に用いられるものである。この場合、旋回フレーム11と旋回フレーム41とは、旋回フレーム11の支持ブラケット23と旋回フレーム41の支持ブラケット42とが異なるだけで、その他の部分は同一となっている。
【0063】
即ち、
図8に示す旋回フレーム41には、左縦板14と右縦板15との先端側に、図示しないスイングポストが取付けられる筒部42Aを備えた支持ブラケット42が設けられている。そして、タンク下空間S1には、スイングポストを左,右方向に揺動させるスイングシリンダ43が配設される。このように、
図3に示すスイングレス仕様の機種と
図8に示すスイング仕様の機種とで、支持ブラケット23,42以外の部分を共通とさせているので、例えば旋回フレーム11,41の製造ラインを共通化させることができ、コストを削減することができる。
【0064】
かくして、本実施形態の建設機械は、自走可能な下部走行体2と、前記下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、前記上部旋回体3の前側に設けられた作業装置4とからなり、前記上部旋回体3は、旋回フレーム11と、前記作業装置4を挟んで前記旋回フレーム11の左,右方向の一側に設けられた運転席5と、前記作業装置4を挟んで前記運転席5とは反対側に設けられた貯油タンク(燃料タンク10)とを有し、前記旋回フレーム11は、底板13と、前記底板13上に前記旋回フレーム11の左,右方向に間隔をもって前,後方向に延びて立設された左,右の縦板14,15と、前記底板13と前記左,右の縦板14,15のうち前記貯油タンク側に位置する縦板(右縦板15)との間に設けられ前記貯油タンクを支持するタンク台座30とにより構成され、前記タンク台座30は、前記縦板(右縦板15)とは間隔をもって上,下方向に延びる立上り板30Bと、前記立上り板30Bの上端から前記縦板(右縦板15)に向けて延びる支持板30Cとからなっている。
【0065】
そして、前記タンク台座30の前側には、物品を収納する収納ボックス31が設けられ、前記収納ボックス31は、前記旋回フレーム11の前記底板13に取付けられ前記底板13よりも前方に突出した取付板32と、前記取付板32の左,右の両側から立上る左,右の側板34,35と、前記左,右の側板34,35の上端を連結するステップ36と、前記取付板32、前記左,右の側板34,35、および前記ステップ36の前端側を閉塞する開閉可能な蓋板38とにより形成され、前記収納ボックス31を形成する前記蓋板38の後側は、前記旋回フレーム11の前記底板13と前記タンク台座30とにより囲まれたタンク下空間S1に連通している。これにより、上部旋回体3からの突出量を抑えた収納ボックス31でも広い収納スペースを確保することができる。
【0066】
また、前記収納ボックス31は、前記旋回フレーム11の前記底板13に着脱可能に取付けられている。これにより、種々の大きさの収納ボックス31を簡単に交換することができる。
【0067】
また、前記収納ボックス31は、前記取付板32、前記左,右の側板34,35、および前記ステップ36の後端が開口部OS2となっている。これにより、収納ボックス31のボックス空間S2とタンク下空間S1とを連通させることができるので、広い収納スペースを確保することができる。
【0068】
なお、上述した実施形態では、収納ボックス31は、ボルト33により底板13に着脱可能に取付けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば収納ボックス31をピン等の留め具または引掛け等により底板13に着脱可能に取付けてもよい。
【0069】
また、上述した実施形態では、旋回フレーム11の右前側に収納ボックス31を配設した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば旋回フレーム11の左前側に収納ボックス31を設けてもよい。即ち、収納ボックス31は、タンク台座の前側に位置してタンク下空間に連通するように底板に取付けられていればよい。
【0070】
また、上述した実施形態では、タンク台座30は、延出板30Aと立上り板30Bと支持板30Cとにより構成した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば延出板30Aと立上り板30Bとを別個に形成して、タンク台座を底板13から立上る立上り板と、立上り板から右縦板に延びる支持板とにより構成してもよい。
【0071】
また、上述した実施形態では、旋回フレーム11の左前側にオペレータが搭乗するキャブ8が設けられたキャブ式の油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば旋回フレーム上に運転席5の上側を覆うキャノピが設けられたキャノピ式の油圧ショベルに適用してもよい。
【0072】
さらに、実施形態では、建設機械として油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば上部旋回体の前側に作業装置を備えた種々の建設機械に適用してもよい。