特許第6810244号(P6810244)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6810244積荷のサイドシフトを積荷荷重に対して可変的に応答させる液圧クランプシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6810244
(24)【登録日】2020年12月14日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】積荷のサイドシフトを積荷荷重に対して可変的に応答させる液圧クランプシステム
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/18 20060101AFI20201221BHJP
   B66F 9/22 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
   B66F9/18 A
   B66F9/22 K
【請求項の数】8
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2019-505217(P2019-505217)
(86)(22)【出願日】2016年12月30日
(65)【公表番号】特表2019-534831(P2019-534831A)
(43)【公表日】2019年12月5日
(86)【国際出願番号】US2016069365
(87)【国際公開番号】WO2018052468
(87)【国際公開日】20180322
【審査請求日】2019年12月20日
(31)【優先権主張番号】15/267,694
(32)【優先日】2016年9月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592229487
【氏名又は名称】カスケード コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】CASCADE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001209
【氏名又は名称】特許業務法人山口国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペトロネック・デヴィッド・ダブリュー
【審査官】 有賀 信
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−519799(JP,A)
【文献】 特表2017−518240(JP,A)
【文献】 特開昭64−034898(JP,A)
【文献】 特表2012−505133(JP,A)
【文献】 特開2000−191294(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/00─11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに、選択的に、側方に向き合うかまたは離間するように移動自在であるとともに共通の側方に沿って互いに一致して移動自在である対向する積荷クランプアームを有する積荷取り扱いクランプ組み立て体を制御する制御システムであって、
該制御システムは、積荷荷重の低下に応答して漸次サイドシフト力を減らすように構成されたサイドシフト力制御回路であって、開弁して前記サイドシフト力を逃す圧力逃し弁を有するサイドシフト力制御回路、及び、前記積荷クランプアーム間に支持された積荷の荷重を感知することが可能なセンサー組み立て体を有し、
それにより前記対向する積荷クランプアームが互いに、選択的に、側方に向き合うかまたは離間するように移動するとともに、それとは別に、共通の側方に沿って互いに一致して移動する力を、自動的に前記荷重に応じて、可変的に制限する制御システム。
【請求項2】
前記制御システムが液圧で前記力を可変に制限することができる前記請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記制御システムが、複数の作動器によって加えられ前記対向する積荷クランプアームを前記共通の側方に沿って互いに一致して移動可能にする力を制限することにより、前記力を可変に制限することができる前記請求項1に記載の制御システム。
【請求項4】
前記制御システムが液圧で前記力を可変に制限することができる前記請求項3に記載の制御システム。
【請求項5】
前記制御システムが、単数の作動器によって加えられ前記対向する積荷クランプアームを前記共通の側方に沿って互いに一致して移動可能にする力を制限することにより、前記力を可変に制限することができる前記請求項1に記載の制御システム。
【請求項6】
前記制御システムが液圧で前記力を可変に制限することができる前記請求項5に記載の制御システム。
【請求項7】
前記制御システムが、作動器によって加えられ前記対向する積荷クランプアームを湾曲方向に沿って互いに一致して移動可能にする力を制限することにより、前記力を可変に制限することができる前記請求項1に記載の制御システム。
【請求項8】
前記制御システムが液圧で前記力を可変に制限することができる前記請求項7に記載の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願への相互参照】
【0001】
非適用
【発明の背景】
【0002】
積荷を操作して運搬するためにリフトトラック及び他の産業用車両に通常搭載可能なタイプの液圧積荷取り扱いクランプ組み立て体は、選択的に積荷を把持及び開放する1又はそれ以上の線形又は回転式の液圧作動器によって動力供給される横方向に開閉自在の一対のクランプアームを有することが多い。そのような液圧クランプ組み立て体は、また、一般に、積荷をクランプしたままで2つの反対方向の何れか一方に一致して横方向にクランプアームを移動する選択的液圧サイドシフト機能を有している。そのようなクランプ組み立て体のあるものにおいて、積荷クランプ機能を行う同一の液圧作動器が、また、選択的にサイドシフト機能も行い、それにより、都合よく組み立て体のサイズと重さを最少にしている。そのようなシステムは、ここでは、「統合された」積荷クランプ及びサイドシフトユニットと呼ぶ。反対に、「非統合」システムにおいては、クランプ組み立て体の積荷クランプ液圧作動器は、それ自身別のサイドシフト液圧作動器を有する別のサイドシフト組み立て体によって移動自在に支持されている。
【0003】
前記統合タイプ及び非統合タイプの両ユニットに関して積年の課題が存在している。それは、上記積荷クランプ機能は両クランプアームによってそれぞれ反対方向に積荷に対して加えられる積荷クランプ力を必要とするが、一方、同時にサイドシフト機能は両クランプアームによって同じ方向に加えられるサイドシフト力を必要とする。その結果、双方向のクランプ力が、同時の単一方向のサイドシフト力により自動的に減少され、それによって、クランプ力に比べてサイドシフト力があまりにも大きいとクランプされた積荷をサイドシフト中にずらしたりクランプから落下させたりすることとなる。壊れやすい積荷を把持するが該積荷に対する過度のクランプによる損傷を避けするために限定的な液圧クランプ力が既に加えられており、同時に急なサイドシフトに関するクランプ操作者の要求に応じて液圧サイドシフト力が十分に制限されていないときに、このタイプの最も問題となる状況が生じる。
【0004】
上記の概略は、添付の図面と併せて以下の発明の詳細な説明を検討するときにより容易に理解されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は、本発明に従ってすべて作動可能な、クランプサイドシフト組み立て体と統合的に組み合わされた積荷取り扱いクランプ組み立て体を例示するとともに、積荷持ち上げ回路も示す液圧回路図である。
【0006】
図2図2は、図1の統合サイドシフト組み立て体に代わり、明確化のために積荷取り扱いクランプ組み立て体を取り除いた、本発明に従ってすべて作動可能な、非統合サイドシフト組み立て体を例示する液圧回路図である。
【0007】
図3図3は、その例示された非統合サイドシフト組み立て体が双方向回転液圧モータを用いてサイドシフト機能を行うことを除いて図2と同様の液圧回路図である。
【0008】
図4図4は、その例示された非統合サイドシフト組み立て体が往復運動回転液圧モータを用いてサイドシフト機能を行うことを除いて図2と同様の液圧回路図である。
【好適な実施の形態の詳細な説明】
【0009】
統合型の実施の形態
【0010】
図1に示す液圧装置は、(図示しない)積荷を選択的にそれぞれの間でクランプするか又はクランプから開放するために、それぞれが側方に移動自在であり互いに選択的に向き合うか又は離間する一対のクランプアーム10と12を制御する代表的な統合積荷クランプ回路9を例示している。クランプアームは、手動制御若しくは電動制御のクランプ弁20からライン14、16及び18を介して加圧された作動液の導入により、側方に互いに閉じて積荷をクランプすることができるが、クランプ弁20は、図1において右に向かって動いたときに、ポンプ22からクランプライン14、16及び18を介して加圧された作動液を導入してピストン26と28を互いに向き合うように移動して積荷をクランプする。上記ピストン26と28のクランプ移動中、作動液がピストン26と28の反対側からそれぞれライン36と38を介し、それぞれパイロット操作逆止弁37と39を介し、そして、従来の分流/コンバイナ弁34を介して、ライン32に排出され、そこからクランプ弁20の弁通路25と排出ライン27を介して液体が作動液貯蔵器29に排出される。
【0011】
反対に、弁20が図1において左に向かって動いたときには、加圧された作動液がポンプ22から弁通路30とライン32と分流/コンバイナ弁34とライン36と38を介して導入され、ピストン26と28を移動し、それぞれの対応するクランプアーム10と12を互いに離間するように移動し、それによって、クランプアーム10と12を開放する。クランプ開放過程において、作動液はピストン26と28からライン16と18を介し、更に、ライン32内の圧力により開弁されたパイロット操作逆止弁40を介し、そして、ライン14と弁通路42を介して、排出ライン27と作動貯蔵器29に排出される。
【0012】
図1の統合装置において説明したように、クランプアーム10と12は、積荷クランプ弁20が閉じており、積荷をクランプしているか若しくは積荷のない状態でサイドシフト機能を行うときには、選択的に図1の右又は左の何れかに側方に向かって双方向に一致して移動可能である。図1に示された例示の液圧回路において、サイドシフト制御弁44が右に移動すると、加圧された作動液は、ポンプ22とライン27からサイドシフト弁通路46とサイドシフトライン48を介して、そして、ライン36に導入され、それによって、左向きの圧力をピストン26に負荷する。クランプアーム10と12が現状で積荷をクランプしているか否かにかかわらず、ピストン26の左向きの圧力は、ライン16のクランプ液を他方のクランプシリンダのライン18に移動させ、それによって、ピストン28にも対応する左向きの圧力とライン38からライン50と弁通路52を介して作動貯蔵器29への液体の排出を生じさせることとなり、ピストン26と28は左に一致してサイドシフトする。上記左側へのサイドシフト過程においてクランピングライン14を介しての液体の漏出は許されない。なぜならば、パイロット操作逆止弁40がクランプ圧力を保持しているからである。
【0013】
反対に、弁44が図で左に作動すると、加圧された作動液は、同様にポンプ22とライン27から弁44の弁通路54と右サイドシフトライン50とライン38を介して、導入され、それによって、ピストン28に右向きの圧力を負荷する。クランプアーム10と12が現状で積荷をクランプしているか否かにかかわらず、ピストン28の右向きの圧力は、ライン18のクランプ液を他方のクランプシリンダの対応する反対ライン16に移動させ、それによって、ピストン26に対応する右向きの圧力とライン36からライン48と弁通路55を介して作動貯蔵器29への液体の排出を生じさせることとなり、ピストン26と28は右に一致してサイドシフトする。上記右側へのサイドシフト過程においてクランピングライン14を介しての液体の漏出は許されない。なぜならば、上記のようにパイロット操作逆止弁40がクランプ圧力を保持するからである。
【0014】
図1において、積荷引き上げ弁56は、左に移動されたとしたら、積荷引き上げ加圧作動液をライン27から弁通路58とライン59を介して、積荷クランプ10と12を上昇する60と62のような一又はそれ以上の積荷引き上げ液体シリンダに選択的に導く。弁56の右への移動は、ライン59から弁通路64を介して作動貯蔵器29へ液体を排出し、それによりクランプ10と12を下動する。積荷引き上げシリンダは、連続に延在する異なるピストン径を有する「フリーリフト(free lift)」シリンダ装置を含む適切な装置を装備することも可能である。
【0015】
上記発明の背景において言及した積年の課題は、ここにおいて、各図1〜4に示されたサイドシフト力制御回路68によって例示される積荷荷重応答サイドシフトシステムによって解決される。積荷荷重は、サイドシフト力制御回路68の感知ライン66を介して、必ずしも必要ではないが、好適には引き上げライン59内の可変液圧から可変して感知されうる。ライン66と72を介して感知される漸次低下する積荷荷重は、弁ばね74によって制御された弁70のサイドシフト圧力軽減設定を、通常図1に示されるように圧力逃がし弁70を閉弁保持する傾向にあるそのより高い設定から自動的に漸次減らしていく。逃がし弁70のサイドシフト圧力軽減設定におけるそのような低減に応じて、弁70は開弁し、それにより、ライン76を介して逆止弁49と51の間で感知されるようなライン48又は50の最高圧力を示すライン71のサイドシフト圧力を軽減し、逆止弁78又は80及びライン48又は50のどちらかが弁44からのサイドシフト圧力に曝されることがなくなり、したがって、弁44を介して液体が貯蔵器29に排出されうる。
【0016】
このように、より軽量の積荷に関して、クランプ圧力が同様に無事に低減されうる場合、ライン48又は50の何れかのサイドシフト圧力が、ライン66と72を介して感知されるような積荷の可変荷重に応じて弁70の自動可変軽減設定により可変制限される。このことが、より軽量若しくはより壊れやすい積荷にとって低減された液体クランプ圧力が必要であるが68のようなサイドシフト圧力軽減回路によってサイドシフト液圧力が自動的に制限されない場合、結果的に高いサイドシフト圧力が有害にクランプ力を対向させてクランプ圧力を減少させ、それによって、持ち上げられ、クランプされた積荷がサイドシフト中にクランプから滑るか若しくは落ちることとなりかねない上記発明の背景において言及した課題を解決する。
【0017】
上記解決法がクランプサイドシフト回路の偶然の結果のみを妨げることを意図するものであり、そして、クランプ弁20によって制御される積荷クランプ回路のクランプ機能と干渉することを意図的に阻止するものであることを認識しなくてはならない。この機能分離は、積荷クランプ弁20によって要求され、ライン32を介して圧力を加えることで逆止弁40を離座したとき以外クランプ圧力の低下からクランプピストン26と28を隔離する積荷クランプ回路のパイロット操作逆止弁40によって達成される。
【0018】
非統合型の実施の形態
【0019】
図2は、(図示しない)例示のクランプ回路9と統合する必要のない、可逆サイドシフトリニア作動器100を装備した代わりの例示サイドシフト回路を示している。むしろ、このサイドシフト回路は、必要であれば、リフトトラック又は他の積荷搬送車両への別アタッチメントの一部であってもよく、可能であれば、ベールクランプ、フォーククランプ、ペーパーロールクランプその他のようなサイドシフトを用いる他のアッタチメントと共に、サイドシフトユニットと一緒に又はサイドシフトユニットの一部として利用可能である。
【0020】
図3は、クランプ回路9と統合する必要のない、サイドシフト機能を行うことのできる可逆回転液圧モータ102を装備した更なる代わりの例示サイドシフト回路を示している。
【0021】
図4は、クランプ回路9と統合する必要のない、層ピッキング積荷クランプのための湾曲した横から横への揺動を行うことのできる回転式往復動液圧モータ104を装備した更なる代わりの例示サイドシフト回路を示している。そのようなピッキング用途の他の例は、伸縮式ブームクランプ力制御であってもよい。
【0022】
上記明細書において使用された用語及び文言は、説明用語として用いられたものであり、限定用語としてではない。そして、そのような用語や文言の使用が図示され記載された特徴の均等物を排除することを意味するものではなく、発明の範囲は以下の特許請求の範囲によってのみ定義され制限されるものであることを理解すべきである。特に、上記実施の形態の全ては、積荷取り扱い用途においての液圧作動器の支配的な使用のために本質的に液圧のものとして示されている。しかし、それとは別に、均等な電気作動器及び/又は電気制御器が、当業者によって認識されるように、そのような積荷取り扱い用途においても使用され、ここに記載されたような機能と同じ機能を行うことが可能である。従って、そのような電気作動器及び電気制御器は、以下の特許請求の範囲によってカバーされることを意図する。
図1
図2
図3
図4