【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の様々な態様については、添付の特許請求の範囲に記載する。
一態様の下で本発明は、複数の電極を収容するのに適した同軸電解セル用の電極支持構造体に関し、i)絶縁材料で作製されており、前記複数の電極を収容するのに適した複数の収容受座が設けられている支持平面と、ii)絶縁材料で作製されており、支持平面に直交するように配置されている仕切り部材と、を含む。本発明に係る仕切り部材には、セルのアノード及びカソードが支持平面の収容受座に収容されているときに、複数の電極を支持平面に直交する方向に、位置決めする、駆動する、又は、支持する、のに適した複数の位置決め手段が設けられている。
【0010】
用語「支持平面」とは、酸化剤、アルカリpH、又は酸pHの生産のために電解液に浸漬されるときに、劣化しないことに適すると共に、前述の収容受座が配置されている少なくとも1つの平らな表面を具備する、電気的な絶縁材料で作製されている部材を意味する。
【0011】
上に記載の仕切り部材は、支持平面と一体であることができ、例えば、押出加工技術を用いて、或いは、ありきたりな型を使って、作製されうる。その代わりに、一部片で、例えば、固体から機械加工することによって、或いは、3Dプリンタを使用することによって、製造されうる。仕切り部材は、支持平面に対して、機械的に支持平面に接続するのに適するという条件で、物理的に分離している部材であってよい。例えば、仕切り部材は、その幾何形状及び/又は任意の外力(重力又は圧力)のおかげで、支持平面に接着するのに適していてよく、或いは、固定又は結合手段を介して支持平面に接続されていてよい。
【0012】
言及される複数の電極は同軸電解セルのために意図されており、各電極が含まれていることができるか又は各電極が少なくとも1つの追加電極を含むことができることが確認され、ここで用語「含む」は事実、各電極を入れる凸形の包みに関係している。
【0013】
用語「受座」とは、複数の電極を支持平面に収容する、支える又は支持する、のに適した1つ又は複数の手段を意味するものとする。各受座は、例えば、1つ又は複数のブラケット、クリップ、1つ又は複数のL形状プロファイル、及び/又は、1つ又は複数の溝や他の固定若しくは支持の手段、を含みうる。
【0014】
用語「位置決め手段」とは、複数の電極を支持平面に対して直交するように駆動する、収容する、支える又は位置決めするのに適した前記仕切り部材上に配置されている1つ又は複数の手段を意味するものとする。各位置決め手段は、例えば、1つ又は複数のサドル、1つ又は複数のL形状プロファイル、及び/又は、1つ又は複数の溝や他の固定若しくは位置決めの手段、含みうる。
【0015】
本発明に係る電極支持構造体は、同軸電解セル、特に、同じ表面積の対向する電極を具備した同軸セル、或いは、電極が互いに相似に配置されていて閉じた断面を支持平面に有しない同軸セル、の組立て作業を容易にするという利点を有することができる。事実、これらの場合には、本発明に係る仕切り部材は、電極をそれらの収容受座に挿入するのを容易にすると共にそれらを支持平面に直交する方向に支持又は拘束することができ、こうして、電解セルの組立て中の電極の振動とそれの起き得る移動とを防止(又は減衰)させる。その上、仕切り部材は、電極の側縁部を電気的に絶縁して、渦電流、電気的なエッジ効果、及び/又は、電極間ショート、のリスクを低減することに貢献できる。
【0016】
一実施形態では、電極支持構造体の電極用の収容受座は溝である。各溝は、それの少なくとも一方の端部が仕切り部材の少なくとも1つの位置決め手段に位置するように配置されている。位置決め手段は、任意に、支持平面に対して直交するように配置されているスリットであってもよい。
【0017】
表現「に位置する」とは、溝の端部が、仕切り部材の位置決め手段の支持平面上の正射影によって識別されるエリアに少なくとも部分的に位置する、ことを意味するものとする。
【0018】
この配置は、複数の電極をそれらの受座に挿入するのを更に容易にするという利点を有しうる。組立て中に、各電極の少なくとも1つの縁部は、仕切り部材(又はそれの他の位置決め手段)のスリットに挿入され、また、適切に形状付けされた溝から構成されている収容受座の支持平面に直交するように駆動される。この場合には、各スリットが、非平面の電極を収容して形状を包むように、それらが交差する点で、収容受座に対する接線の方向に、仕切り部材の内側を突き通ることが有利でありうる。
【0019】
追加的又は代替的に、仕切り部材の鉛直スリットは、電極の挿入を更に容易にすると共により効果的にそれを所定位置に保持するように、先細のセクションを有することができる。
【0020】
一実施形態では、本発明の任意の実施形態に係る電極支持構造体の複数の収容受座は、互いに相似に拡大(正順又は逆順)する形状を有する複数の溝を含む。本発明の別の実施形態では、電極支持構造体の仕切り部材は、その中心を横切る鉛直軸に対して任意に対称であってもよい複合し且つ連続した形状を有し、そして、中心について対称である円形、楕円形、卵形又は多角形の
底面を具備する直角を成す柱部材を含む。この実施形態では、柱部材は、
底面を支持平面に平行に配向されており、前記仕切り部材の
底面の中心に配置されている。前記直角を成す柱部材の
底面は、前記複数の電極と同様の又はそれに相似の周辺形状を有するように有利に選択できる。特に、一実施形態によれば、電極支持構造体は、前記直角を成す柱部材の
底面の縁部の一部分に沿って配置されている少なくとも1つの収容受座を有する。この配置は、仕切り部材の直前の内側電極の表面が、それにほぼ接触し、周囲環境からのその結果としての絶縁のおかげで、起き得る電気化学的なその活動をそれ故に持たないか又はそれを低減する、ということを保証する利点を有することができる。
【0021】
本発明の別の実施形態によれば、仕切り部材は、部材を貫く電解液の運搬を可能にするなど、部材の2つの向かい合う表面を貫く少なくとも1つの貫通穴を有する。例えば、仕切り部材は、支持平面に平行な表面を貫く少なくとも1つの貫通穴を有することができる。この場合には、支持平面は、少なくとも1つの開口を前記少なくとも1つの貫通穴に有利に有することができる。開口及び貫通穴は、電解質に浸漬するときに電極支持構造体の浮動を防止するようにサイズ決めする場合がある。この目的のために、柱部材は、存在する場合に、キャビティが支持平面の開口に配置されて、中空に作製されうる。
【0022】
代替的に、仕切り部材は、前記仕切り部材によって分離されたセルのセクション間の電解質の流れを可能にするために、その厚さを貫く少なくとも1つの貫通穴を有することができる。
【0023】
一実施形態によれば、支持平面の電極収容受座は、支持平面を通る電解液の運搬を可能にするように、1つ又は複数の貫通開口が差し込まれる。
本発明の別の実施形態によれば、支持平面には、少なくとも2組の収容受座が設けられており、
i) 本発明の任意の実施形態に係る仕切り部材によって分離されている第1の外側収容受座及び第2の外側収容受座に細分されており、同じ寸法の1組の電極を収容するのに適した、外側の組の収容受座と、
ii) 第1の内側収容受座及び第2の内側収容受座に細分されている内側の組の収容受座であって、前記第1及び第2の内側収容受座が、同じ寸法の1組の電極を収容するのに適すると共に前記仕切り部材によって互いから分離されている、内側の組の収容受座と、を含む。
【0024】
この実施形態は、例えば、特許出願の国際公開第2013/189670号及び国際公開第2015/082527号に記載の同軸セル用の電極などの、同じ寸法の1組の対向する電極を同じく収容するために配置されているという利点を有することができる。別の態様によれば、本発明は、下に列挙した部材(a)〜(d)を含む同軸電解セルに関する。
(a) 上に記載の実施形態のうちのいずれか1つに係る電極支持構造体。
(b) 前述の電極支持構造体に挿入されている複数の電極であって、電極は、それらの複数の収容受座の支持平面に垂直に収容されており、仕切り部材の複数の位置決め手段に位置決めされている。
(c) 任意に、前記支持平面に平行に配置されている絶縁収容平面。
(d) 支持平面と一体か又は支持平面に接続されていて、支持平面に直交し、また、前記収容平面と一体か又は収容平面に接続されていて、前記収容平面に直交する、少なくとも1つの側部収容壁。
【0025】
部材(a)〜(d)を含むシステムは、支持平面の仕切り部材及び複数の電極が、電極支持構造体と、任意の絶縁収容平面と、少なくとも1つの側部収容壁と、によって画定される体積の内部に包含されるように構成されている。
【0026】
絶縁収容平面は、任意に、複数の電極の曝露される縁部を支持平面に平行に固定するための固定受座が設けられていてもよい。絶縁収容平面には、存在するときに、同様に、任意に、次の部材、i)電気をセルの複数の電極に供給するのに適した伝導インサート又は開口、ii)上に記載の部材(a)〜(d)を含むシステム内部に電解液を循環させるための少なくとも1つの入口開口及び少なくとも1つの出口開口、の一方又は双方が設けられていてもよい。
【0027】
上に記載の同軸電解セルの一実施形態によれば、部材(a)〜(d)を含むシステムの支持平面は、構成されている別の部材(e)を含む。
(e) 絶縁材料で作製されており、連続するか又は貫通穴が設けられている、上に記載のシステム(a)〜(d)を上昇させ続けるのに適した、少なくとも1つの鉛直支持壁。システム(a)〜(d)を上昇させ続けることによって、部材(e)は、別の電解液の閉じ込め及び/又は運搬に適した体積の空間を提供するという利点を有することができる。それは、セルの性能が増進するのを可能にでき、こうして、処理される液体の量を増加させる。例えば、システム(a)〜(d)が、電解液を包含する別のデバイス中に浸漬される場合、穴が設けられるのが適切な部材(e)は、支持平面を貫くシステム(a)〜(d)の電解液の運搬及び循環を促進させるという利点を有することができ、後者支持平面を上昇させて溶液中に浸漬させ続ける。
【0028】
以下の図面は、本発明の特定の実施形態を実証するために含められ、その実現可能性については、一揃いの請求する実施形態で徹底的に検証してきた。当業者が、本説明に鑑みて、認識しなければならないことは、多くの変更が、開示する特定の実施形態について行うことができ、その間、同様又は類似の結果が依然得られ、本発明の範囲から逸脱しない、ということである。
【0029】
図面では、別段の表示がない限り、同一の番号は、同一又は等価の機能を有する部材に対応する。図面は、スケール通りではない。