特許第6810273号(P6810273)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6810273
(24)【登録日】2020年12月14日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】同軸電解セル用の電極支持構造体
(51)【国際特許分類】
   C25B 9/63 20210101AFI20201221BHJP
【FI】
   C25B9/02 302
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-538216(P2019-538216)
(86)(22)【出願日】2017年12月5日
(65)【公表番号】特表2020-501025(P2020-501025A)
(43)【公表日】2020年1月16日
(86)【国際出願番号】IB2017057644
(87)【国際公開番号】WO2018104855
(87)【国際公開日】20180614
【審査請求日】2019年7月11日
(31)【優先権主張番号】102016000123656
(32)【優先日】2016年12月6日
(33)【優先権主張国】IT
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507128654
【氏名又は名称】インドゥストリエ・デ・ノラ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100104374
【弁理士】
【氏名又は名称】野矢 宏彰
(72)【発明者】
【氏名】ベネデット,マリアキアーラ
(72)【発明者】
【氏名】カルミナーティ,エレナ
【審査官】 西田 彩乃
(56)【参考文献】
【文献】 特表2015−526589(JP,A)
【文献】 特表2017−503916(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/097072(WO,A1)
【文献】 米国特許第5753098(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25B 9/02
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2組の電極を含む同軸電解セル用のための、複数の電極を収容するのに適した電極支持構造体であって、
・絶縁材料で作製されており、前記複数の電極を収容するのに適した複数の収容受座が設けられている支持平面と、
・絶縁材料で作製されており、前記支持平面と一体であるか又は前記支持平面に機械的に接続されている仕切り部材と、を含み、
前記仕切り部材は複数の部材で構成されており、且つ柱部材を含む連続した形状の部材であり、そして、前記柱部材は円形か楕円形か卵形か又は多角形の、中心について対称な、柱部材の底面を具備し、且つ前記柱部材は前記柱部材の底面と直角を成しており、
前記直角を成す柱部材は、前記支持平面に平行に配向されている前記柱部材の底面を有すると共に、前記支持平面に配置されている前記仕切り部材の底面の中心に位置決めされており、且つ、前記支持平面に直交するように配置されており、
前記仕切り部材には、前記複数の電極を位置決めするのに適した複数の位置決め手段が設けられており、そして前記仕切り部材は前記電極の側縁部を電気的に絶縁しており、
前記複数の収容受座のうちの少なくとも1つの収容受座は、前記直角を成す柱部材の前記底面の縁部部分に沿って配置されている、電極支持構造体。
【請求項2】
各収容受座は、溝を含み、前記仕切り部材は、前記溝の各々の少なくとも1つの端部に配置されている少なくとも1つの位置決め手段を有する、請求項1に記載の電極支持構造体。
【請求項3】
前記位置決め手段は、前記支持平面に直交しているスリットであり、各スリットは、1つの前記収容受座の一端に配置されており、各スリットは、前記仕切り部材を前記収容受座の端部で前記収容受座の接線の方向に貫通している、請求項2に記載の電極支持構造体。
【請求項4】
前記複数の収容受座は、互いに相似な形状を有する複数の溝を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の電極支持構造体。
【請求項5】
前記仕切り部材は、仕切り部材の2つの向かい合う表面を貫く少なくとも1つの貫通穴を有し、前記少なくとも1つの貫通穴は、電解液の輸送に適する、請求項1から4のいずれか1項に記載の電極支持構造体。
【請求項6】
前記複数の収容受座のうちの少なくとも2つの収容受座の間には、前記支持平面を通り抜ける1つ又は複数の開口が存在する、請求項1から5のいずれか1項に記載の電極支持構造体。
【請求項7】
前記支持平面には、少なくとも2組の収容受座が設けられており、
・外側の収容受座の組であって、第1の外側収容受座及び第2の外側収容受座に分割されており、前記第1の外側収容受座及び前記第2の外側収容受座が、同じ寸法の1組の電極を収容するのに適しており、前記第1の外側収容受座及び前記第2の外側収容受座が、前記仕切り部材によって互いから分離されている、外側の収容受座の組と、
・内側の収容受座の組であって、第1の内側収容受座及び第2の内側収容受座に分割されており、前記第1の内側収容受座及び前記第2の内側収容受座が、同じ寸法の1組の電極を収容するのに適しており、前記第1の内側収容受座及び前記第2の内側収容受座が、前記仕切り部材によって互いから分離されている、内側の収容受座の組を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の電極支持構造体。
【請求項8】
同軸電解セルであって、
・請求項1から6のいずれか1項に記載の電極支持構造体と、
・前記支持平面に平行に配置されている絶縁収容平面と、
・前記支持平面と一体であるか又は前記支持平面に接続されており、且つ、前記絶縁収容平面と一体であるか又は前記絶縁収容平面に接続されていて、前記絶縁収容平面に直交するように、前記支持平面と前記絶縁収容平面との間に存在している、少なくとも1つの側部収容壁と、
・前記複数の収容受座に収容されており、前記電極支持構造体の前記複数の位置決め手段に位置決めされている、複数の電極と、を含み、
前記仕切り部材及び前記複数の電極は、前記電極支持構造体、前記絶縁収容平面、及び前記少なくとも1つの側部収容壁を含むシステム内に収容されている、同軸電解セル。
【請求項9】
前記絶縁収容平面には、
・前記電極支持構造体、前記絶縁収容平面、及び前記少なくとも1つの側部収容壁を含む前記システム内で、電解液を循環させるための、少なくとも1つの入口開口及び少なくとも1つの出口開口と、
・電気を前記複数の電極に供給するための1つ又は複数の電気的な接続の通過に適した複数の開口と、が設けられている、請求項8に記載の同軸電解セル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同軸電解セル及び/又は同心セルで機能するように意図された互いに相似な電極のための支持構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許出願の国際公開第2013/189670号及び国際公開第2015/082527号に記載の電解セルなどの、同じ表面積の対向する電極を具備した電解同軸セル及び/又は電解同心セルについては、少なくとも2組の電極、即ち、外側の組と内側の組、を使用することを構想している。これらの電極の組の各々は、互いに向き合って電気的に絶縁されている側縁部を有する同一寸法の第1の電極と第2の電極とに分割されている。このタイプのセルの電解反応は、理想的には外側の電極の組の各電極とそれに面する内側の電極の組の電極との間で起こる。しかしながら、反応は、各電極の組の第1の電極と第2の電極との間で、起こらないはずである。
【0003】
単極又は双極の構成で動作するのに、また、周期的な極性反転をもって実行される電気化学プロセスで使用するのに、適した上に記載の同軸セルでは、各電極は、典型的には、電気的絶縁材料で作製されていて適切な収容受座が設けられた支持基部を含む構造体の内部に位置決めされている。
【0004】
最適なセル機能を確実にする目的で、そのハウジングへの挿入時には、各電極は、曝露される側縁部の部分に沿って電気的に絶縁されていなければならないが、その目的は、渦電流及び電極間ショートを排除ないし低減することである。電極支持手段が同じく典型的に設けられている絶縁材料の上側プレートは、同上に位置決めされているが、その目的は、機械的に安定した位置決めを確実にすること、及び、電極の上側縁部の絶縁を少なくとも部分的に保証すること、である。
【0005】
上に記載のシステムの組立ては、しばしば、長くて面倒な作業である。確かに、電極が適切な側部支持を欠くという理由で、収容受座に位置決めされているアノード及びカソードは、一般的に小さい位置変動に晒され、セルを閉じ込めるのを邪魔するのに十分であるが、それは上側プレート支持手段とそれに対応する電極の縁部とのミスアライメントのせいである。
【0006】
観察されてもきたことは、先行技術の同軸電解セルでは、電極の非平面形状のせいで、それらをそれぞれの収容受座に挿入することが時々困難である、ということである。
その結果として、同軸電解セルの組立ては、一般に不便で、面倒で、時間が掛かる。
【0007】
したがって、望ましいことは、先行技術の欠点を克服する、特に、電極の所定の位置を確実にすると共に電極間距離の制御を保証するように、電極の位置のより良い制御を通してセル組立て作業を簡略化及び容易化する、電極支持構造体を有することである。したがって、同じく望ましいことは、収容受座への接触の容易化を可能にし同時に電極の側縁部の電気的絶縁を保証し、各電極の縁部への専用の干渉を必要としない、電極支持構造体を有することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2013/189670号
【特許文献2】国際公開第2015/082527号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の様々な態様については、添付の特許請求の範囲に記載する。
一態様の下で本発明は、複数の電極を収容するのに適した同軸電解セル用の電極支持構造体に関し、i)絶縁材料で作製されており、前記複数の電極を収容するのに適した複数の収容受座が設けられている支持平面と、ii)絶縁材料で作製されており、支持平面に直交するように配置されている仕切り部材と、を含む。本発明に係る仕切り部材には、セルのアノード及びカソードが支持平面の収容受座に収容されているときに、複数の電極を支持平面に直交する方向に、位置決めする、駆動する、又は、支持する、のに適した複数の位置決め手段が設けられている。
【0010】
用語「支持平面」とは、酸化剤、アルカリpH、又は酸pHの生産のために電解液に浸漬されるときに、劣化しないことに適すると共に、前述の収容受座が配置されている少なくとも1つの平らな表面を具備する、電気的な絶縁材料で作製されている部材を意味する。
【0011】
上に記載の仕切り部材は、支持平面と一体であることができ、例えば、押出加工技術を用いて、或いは、ありきたりな型を使って、作製されうる。その代わりに、一部片で、例えば、固体から機械加工することによって、或いは、3Dプリンタを使用することによって、製造されうる。仕切り部材は、支持平面に対して、機械的に支持平面に接続するのに適するという条件で、物理的に分離している部材であってよい。例えば、仕切り部材は、その幾何形状及び/又は任意の外力(重力又は圧力)のおかげで、支持平面に接着するのに適していてよく、或いは、固定又は結合手段を介して支持平面に接続されていてよい。
【0012】
言及される複数の電極は同軸電解セルのために意図されており、各電極が含まれていることができるか又は各電極が少なくとも1つの追加電極を含むことができることが確認され、ここで用語「含む」は事実、各電極を入れる凸形の包みに関係している。
【0013】
用語「受座」とは、複数の電極を支持平面に収容する、支える又は支持する、のに適した1つ又は複数の手段を意味するものとする。各受座は、例えば、1つ又は複数のブラケット、クリップ、1つ又は複数のL形状プロファイル、及び/又は、1つ又は複数の溝や他の固定若しくは支持の手段、を含みうる。
【0014】
用語「位置決め手段」とは、複数の電極を支持平面に対して直交するように駆動する、収容する、支える又は位置決めするのに適した前記仕切り部材上に配置されている1つ又は複数の手段を意味するものとする。各位置決め手段は、例えば、1つ又は複数のサドル、1つ又は複数のL形状プロファイル、及び/又は、1つ又は複数の溝や他の固定若しくは位置決めの手段、含みうる。
【0015】
本発明に係る電極支持構造体は、同軸電解セル、特に、同じ表面積の対向する電極を具備した同軸セル、或いは、電極が互いに相似に配置されていて閉じた断面を支持平面に有しない同軸セル、の組立て作業を容易にするという利点を有することができる。事実、これらの場合には、本発明に係る仕切り部材は、電極をそれらの収容受座に挿入するのを容易にすると共にそれらを支持平面に直交する方向に支持又は拘束することができ、こうして、電解セルの組立て中の電極の振動とそれの起き得る移動とを防止(又は減衰)させる。その上、仕切り部材は、電極の側縁部を電気的に絶縁して、渦電流、電気的なエッジ効果、及び/又は、電極間ショート、のリスクを低減することに貢献できる。
【0016】
一実施形態では、電極支持構造体の電極用の収容受座は溝である。各溝は、それの少なくとも一方の端部が仕切り部材の少なくとも1つの位置決め手段に位置するように配置されている。位置決め手段は、任意に、支持平面に対して直交するように配置されているスリットであってもよい。
【0017】
表現「に位置する」とは、溝の端部が、仕切り部材の位置決め手段の支持平面上の正射影によって識別されるエリアに少なくとも部分的に位置する、ことを意味するものとする。
【0018】
この配置は、複数の電極をそれらの受座に挿入するのを更に容易にするという利点を有しうる。組立て中に、各電極の少なくとも1つの縁部は、仕切り部材(又はそれの他の位置決め手段)のスリットに挿入され、また、適切に形状付けされた溝から構成されている収容受座の支持平面に直交するように駆動される。この場合には、各スリットが、非平面の電極を収容して形状を包むように、それらが交差する点で、収容受座に対する接線の方向に、仕切り部材の内側を突き通ることが有利でありうる。
【0019】
追加的又は代替的に、仕切り部材の鉛直スリットは、電極の挿入を更に容易にすると共により効果的にそれを所定位置に保持するように、先細のセクションを有することができる。
【0020】
一実施形態では、本発明の任意の実施形態に係る電極支持構造体の複数の収容受座は、互いに相似に拡大(正順又は逆順)する形状を有する複数の溝を含む。本発明の別の実施形態では、電極支持構造体の仕切り部材は、その中心を横切る鉛直軸に対して任意に対称であってもよい複合し且つ連続した形状を有し、そして、中心について対称である円形、楕円形、卵形又は多角形の底面を具備する直角を成す柱部材を含む。この実施形態では、柱部材は、底面を支持平面に平行に配向されており、前記仕切り部材の底面の中心に配置されている。前記直角を成す柱部材の底面は、前記複数の電極と同様の又はそれに相似の周辺形状を有するように有利に選択できる。特に、一実施形態によれば、電極支持構造体は、前記直角を成す柱部材の底面の縁部の一部分に沿って配置されている少なくとも1つの収容受座を有する。この配置は、仕切り部材の直前の内側電極の表面が、それにほぼ接触し、周囲環境からのその結果としての絶縁のおかげで、起き得る電気化学的なその活動をそれ故に持たないか又はそれを低減する、ということを保証する利点を有することができる。
【0021】
本発明の別の実施形態によれば、仕切り部材は、部材を貫く電解液の運搬を可能にするなど、部材の2つの向かい合う表面を貫く少なくとも1つの貫通穴を有する。例えば、仕切り部材は、支持平面に平行な表面を貫く少なくとも1つの貫通穴を有することができる。この場合には、支持平面は、少なくとも1つの開口を前記少なくとも1つの貫通穴に有利に有することができる。開口及び貫通穴は、電解質に浸漬するときに電極支持構造体の浮動を防止するようにサイズ決めする場合がある。この目的のために、柱部材は、存在する場合に、キャビティが支持平面の開口に配置されて、中空に作製されうる。
【0022】
代替的に、仕切り部材は、前記仕切り部材によって分離されたセルのセクション間の電解質の流れを可能にするために、その厚さを貫く少なくとも1つの貫通穴を有することができる。
【0023】
一実施形態によれば、支持平面の電極収容受座は、支持平面を通る電解液の運搬を可能にするように、1つ又は複数の貫通開口が差し込まれる。
本発明の別の実施形態によれば、支持平面には、少なくとも2組の収容受座が設けられており、
i) 本発明の任意の実施形態に係る仕切り部材によって分離されている第1の外側収容受座及び第2の外側収容受座に細分されており、同じ寸法の1組の電極を収容するのに適した、外側の組の収容受座と、
ii) 第1の内側収容受座及び第2の内側収容受座に細分されている内側の組の収容受座であって、前記第1及び第2の内側収容受座が、同じ寸法の1組の電極を収容するのに適すると共に前記仕切り部材によって互いから分離されている、内側の組の収容受座と、を含む。
【0024】
この実施形態は、例えば、特許出願の国際公開第2013/189670号及び国際公開第2015/082527号に記載の同軸セル用の電極などの、同じ寸法の1組の対向する電極を同じく収容するために配置されているという利点を有することができる。別の態様によれば、本発明は、下に列挙した部材(a)〜(d)を含む同軸電解セルに関する。
(a) 上に記載の実施形態のうちのいずれか1つに係る電極支持構造体。
(b) 前述の電極支持構造体に挿入されている複数の電極であって、電極は、それらの複数の収容受座の支持平面に垂直に収容されており、仕切り部材の複数の位置決め手段に位置決めされている。
(c) 任意に、前記支持平面に平行に配置されている絶縁収容平面。
(d) 支持平面と一体か又は支持平面に接続されていて、支持平面に直交し、また、前記収容平面と一体か又は収容平面に接続されていて、前記収容平面に直交する、少なくとも1つの側部収容壁。
【0025】
部材(a)〜(d)を含むシステムは、支持平面の仕切り部材及び複数の電極が、電極支持構造体と、任意の絶縁収容平面と、少なくとも1つの側部収容壁と、によって画定される体積の内部に包含されるように構成されている。
【0026】
絶縁収容平面は、任意に、複数の電極の曝露される縁部を支持平面に平行に固定するための固定受座が設けられていてもよい。絶縁収容平面には、存在するときに、同様に、任意に、次の部材、i)電気をセルの複数の電極に供給するのに適した伝導インサート又は開口、ii)上に記載の部材(a)〜(d)を含むシステム内部に電解液を循環させるための少なくとも1つの入口開口及び少なくとも1つの出口開口、の一方又は双方が設けられていてもよい。
【0027】
上に記載の同軸電解セルの一実施形態によれば、部材(a)〜(d)を含むシステムの支持平面は、構成されている別の部材(e)を含む。
(e) 絶縁材料で作製されており、連続するか又は貫通穴が設けられている、上に記載のシステム(a)〜(d)を上昇させ続けるのに適した、少なくとも1つの鉛直支持壁。システム(a)〜(d)を上昇させ続けることによって、部材(e)は、別の電解液の閉じ込め及び/又は運搬に適した体積の空間を提供するという利点を有することができる。それは、セルの性能が増進するのを可能にでき、こうして、処理される液体の量を増加させる。例えば、システム(a)〜(d)が、電解液を包含する別のデバイス中に浸漬される場合、穴が設けられるのが適切な部材(e)は、支持平面を貫くシステム(a)〜(d)の電解液の運搬及び循環を促進させるという利点を有することができ、後者支持平面を上昇させて溶液中に浸漬させ続ける。
【0028】
以下の図面は、本発明の特定の実施形態を実証するために含められ、その実現可能性については、一揃いの請求する実施形態で徹底的に検証してきた。当業者が、本説明に鑑みて、認識しなければならないことは、多くの変更が、開示する特定の実施形態について行うことができ、その間、同様又は類似の結果が依然得られ、本発明の範囲から逸脱しない、ということである。
【0029】
図面では、別段の表示がない限り、同一の番号は、同一又は等価の機能を有する部材に対応する。図面は、スケール通りではない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の一実施形態に係る電極支持構造体を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る電極支持構造体を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る同軸電解セルを示す図である。
図4】本発明の幾つかの実施形態に係る電極支持構造体及び同軸電解セルを示す図である。
図5】本発明の幾つかの実施形態に係る電極支持構造体及び同軸電解セルを示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係る電極支持構造体を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1のパネルIは、本発明の一実施形態に係る電極支持構造体(100)の全体図を示し、絶縁材料で共に作製されている支持平面(200)及び仕切り部材(300)を含む。
【0032】
パネルIIは、支持平面(200)の上面図の例証を提供しており、そこには互いに相似に配置されている複数の電極を収容するのに適した溝(210)が設けられている。支持平面には、同様に、任意に、溝(210)に差し込まれる貫通開口(220)と、任意の側部収容壁(図示せず)を収容するのに適した受座(230)と、が設けられていてもよい。スペース(240)は、絶縁材料で作製されている仕切り部材(300)を収容するように代替的に形状付けされている。
【0033】
パネルIIIは、絶縁材料で作製されていてスリット(310)が設けられている仕切り部材(300)を例証している。この実施形態では、仕切り部材は、シリンダ形状を有する直角を成す柱部材(350)を含む複合形状を具備しており、支持平面(200)の内部溝の縁部に近接するか又は付着する位置に配置するのに適する。
【0034】
図2のパネルIは、本発明の一実施形態に係る電極支持構造体(100)の全体図を示し、絶縁材料で共に作製されている支持平面(200)及び仕切り部材(300)を含む。仕切り部材(300)は、幾つかのスリット(310)と、シリンダ形状を有する直角を成す柱部材(350)と、支持平面に直交する仕切り部材の大きめの表面を貫く幾つかの貫通穴(320)と、を含む。パネルIIは、パネルIの支持構造体(100)の上面図を示す。支持平面(200)では、電極のための収容受座(210)と、任意の側部収容壁(図示せず)を収容するのに適した受座(230)と、が識別できる。同じく仕切り部材で識別できるものは、スリット(310)のプロファイルであって、この構成では半円形状を有していなければならない電極の挿入を容易にするように、この実施形態ではそれに対応する溝(210)に対して接線方向に配向されている。
【0035】
図3は、支持平面(200)とそれに直交する仕切り部材(300)とを具備する、図1で既に説明した支持構造体(100)を採用する本発明の一実施形態に係るガスリフト処理(電極の表面で生じるガスの効果による自然な循環)のための未分割の単極又は双極セルの幾つかの構成要素を示す。支持平面(200)には、互いに相似の形状を有する電極(400)を収容するための溝(210)と、前記溝に差し込まれる貫通穴(220)と、が設けられている。セルは、同じく側部収容壁(500)を含み、それがこの実施形態ではシリンダ形の中空の幾何形状を有する。電解セルは、更に、電極を収容するエリアの上側体積を限界決めするのに適すると共にその上側縁部を絶縁するのに適する絶縁収容平面(600)を含む。絶縁収容平面には、この実施形態では、接点(800)を通した外部動力供給システムに対する電極の電気的な接続を可能にする貫通穴(620)と、平面を貫く電解液の運搬を可能にすることのできる別の貫通穴(図面に示していない)と、が設けられている。
【0036】
絶縁収容平面(600)には、同じく、電解反応が起こるセルの体積を制限すると共に良好な電解質循環を可能にするように、側部収容壁(500)の縁部と出会う溝(630)が設けられている。
【0037】
支持平面(200)は、穴(720)が設けられている別の壁(700)の上に配置されていて、電解装置の電解液の上向きの循環を可能にする。電解装置は、本明細書に例証されて説明のように配置されている構成要素と、電解質を封入するか又は循環させるのに適した少なくとも1つの別のコンテナと、を含むであろう。
【0038】
図4は、本発明の一実施形態に係る未分割の単極又は双極セルの幾つかの構成要素を示す。セルは、パネルIに概略例証された電極支持構造体(100)を採用しており、円の弧の形状を有する電極用の溝(210)が設けられた支持平面(200)と、それの断面が示される仕切り部材(300)と、を含む。後者には、シリンダ形状の、ここで断面で示される柱部材(350)のスリット(310)の形の電極挿入及び支持手段が設けられており、支持平面(200)を同じく交差する貫通穴(370)を具備する。
【0039】
パネルIIを参照すると、支持構造体(100)の溝(210)に配置されている電解セルの電極(400)は、支持平面(200)、側部収容壁(500)及び絶縁収容平面(600)に含まれる中央チャンバの中に挿入される。後者は、次には、壁(500)の縁部を収容するために溝(630)を具備する。本明細書に記載のシステムは、上昇して壁(700)上に停止し、基部(900)によって閉じられる下側チャンバを画定する。上に記載のシステムには、収容平面(600)、壁(750)及びカバー(950)によって限界決めされている上側チャンバが載る。
【0040】
外部動力供給システムに対する電極の電気的な接続は、適切な貫通穴(図面に示さない)を用いて表面(950)及び(600)を通り抜ける接点(800)を用いて起こる。
観察されることは、柱部材(300)が、上に記載の全3つのチャンバで支持平面(200)の上及び下を延びる、ということである。柱部材(300)には、電解質の取入れ口(1000)を下側チャンバと直接連通する配置にするのに適した貫通穴(370)が設けられている。電解質は、中央チャンバに到達して、支持平面(200)に作製された貫通穴(220)を通して電解反応が起こり、それを横切り、収容平面(600)に作製された貫通穴(620)を通して上側チャンバに到達する。溶液は、こうして外側に向けて出口(1100)を通して引かれる。
【0041】
図5のパネルIは、パネルIIに例証した分割した単極セルに採用するのに適した本発明に係る電極支持構造体(100)の前面を示す。電極支持構造体は、類似の形状付けされた電極を収容するための半円形の形状付けされた溝(210)が設けられている支持平面(200)と、電解液の取入れ及び取出しを可能にするのに適した4つの貫通穴(220)と、を具備する。貫通穴(図示せず)は、溝(210)に作製され、動力供給体に対する電極の電気的な接続を可能にする。仕切り部材(300)は、その主要な表面(図2の仕切り部材などの)を通り抜ける穴を具備し、また、溝(210)の各端部に配置されている鉛直スリット(310)が設けられている。前記スリットは、形状を包み込むと同時に半円形の電極の挿入を容易にするように、それらが対応する溝と同じ曲率半径を有する湾曲したプロファイルを有する。パネルIIは、本発明の一実施形態に係る単極であって分割されていている2重同軸セルの側面図を示す。セルは、2つの異なった溶液、即ち、異なった組成及びpHを有する陽極液及び陰極液、の生産を可能にするが、パネル(I)に例証される電極支持構造体(100)を統合する。側部収容壁(500)は、支持平面(600)上に停止するが、支持平面(200)に接続されている。取入れ口(1000、1050)及び関係のある出口(1110、1150)は、それに対応する電極(400)によって限界決めされているセルの2つのエリアの貫通穴(220)を通した陰極液及び陽極液の循環を可能にする。適切に支持されている膜又はダイアフラムは、電極間に位置決めできる。陽極液と陰極液の両方は、それの中に作製された貫通穴を通して仕切り部材(300)を通り抜ける。電極には、接点(800)を通して電気が供給される。
【0042】
図6は、本発明に係る支持構造体(100)の2つの可能な実施形態を例証する。パネルI及びIIは共に、支持平面(200)を、2より大きな偶数の、電極をそれらの受座(210)に収容するためのエリアに細分するように、作製された仕切り部材(300)を有する。仕切り部材は、それに対応する支持平面の溝の端部で直線の接線によって画定される方向に沿って配置されている幾つかのスリット(310)を更に含む。パネルIIでは、中央の柱部材(350)は、四角の断面を有し、短めの長さの収容受座の縁部に近接して配置されている。
【0043】
前述の説明は、本発明を限定することを意図しておらず、異なった実施形態に従ってそれによる目的からの逸脱を伴わずに使用でき、それの範囲は、添付した特許請求の範囲によって一意的に画定される。
【0044】
本出願の明細書及び特許請求の範囲では、用語「含む(comprise)」並びに「含んでいる(comprising)」及び「含む(comprises)」などのその変形例は、他の追加の部材、構成要素又は加工段階が存在することを除外しない。
【0045】
書類、記録、材料、装置、項目及び同種のものについての議論は、本発明の背景を提供するという唯一の目的のために本文に含められる。しかしながら、理解すべきでないことは、この事情やその一部が、本出願に添付する請求項の各々の優先日の前において本発明の分野の一般的な知識を構成する、ということである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6