特許第6810425号(P6810425)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6810425
(24)【登録日】2020年12月15日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】ダクト切断装置
(51)【国際特許分類】
   B23D 29/02 20060101AFI20201221BHJP
   B23D 21/00 20060101ALI20201221BHJP
   B23D 21/10 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
   B23D29/02 Z
   B23D21/00 F
   B23D21/10 A
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-121723(P2017-121723)
(22)【出願日】2017年6月21日
(65)【公開番号】特開2019-5831(P2019-5831A)
(43)【公開日】2019年1月17日
【審査請求日】2020年1月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】591225394
【氏名又は名称】株式会社新富士空調
(73)【特許権者】
【識別番号】504019146
【氏名又は名称】バンテージ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】梶野 勇
(72)【発明者】
【氏名】庄司 貴弘
【審査官】 村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第6619162(US,B1)
【文献】 特開平03−161213(JP,A)
【文献】 特開平04−019008(JP,A)
【文献】 特開平06−339773(JP,A)
【文献】 特開平06−339770(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23D 29/02
B23D 21/00
B23D 21/10
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状のビームと、
前記ビームを支持する脚体と、
前記ビームの上に配設され、丸ダクトをその軸心周りに回転自在に支持する複数のローラーと、
前記ビームに配設され、前記ローラーで支持された前記丸ダクトに押し付けることで前記丸ダクトに開始孔を形成するホールパンチ器と、
前記ビームに配設され、前記開始孔に挿入された刃で前記丸ダクトをシャーリング加工して切断する切断器と、
を備えることを特徴とするダクト切断装置。
【請求項2】
前記脚体は、折り畳み自在となっている、
ことを特徴とする請求項1に記載のダクト切断装置。
【請求項3】
前記脚体は、伸縮自在となっている、
ことを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載のダクト切断装置。
【請求項4】
前記ビームは、伸縮自在となっている、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のダクト切断装置。
【請求項5】
前記ローラーは、径が異なる前記丸ダクトを支持可能に配設されている、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のダクト切断装置。
【請求項6】
前記ホールパンチ器は、
棒状で一端部を中心に回動自在なパンチハンドルと、
前記パンチハンドルに配設され、前記開始孔を形成するパンチと、
を備え、前記パンチハンドルの他端部を押し下げることで、前記パンチを前記丸ダクトに押し付けて前記開始孔を形成する、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のダクト切断装置。
【請求項7】
前記切断器は、
一端部が前記ビームに接続され可動自在なカッターアームと、
前記カッターアームの他端部に配設され、前記シャーリング加工する切断器本体と、
を備え、前記カッターアームを可動させて前記切断器本体の刃を所望の位置に移動させる、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のダクト切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、丸ダクトを切断するためのダクト切断装置に関し、特に、設置現場で切断するためのダクト切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スパイラルダクトなどの丸ダクトを設置現場で所望の長さに切断する場合、高速カッターが使用されていた(例えば、非特許文献1参照。)。この高速カッターは、高速回転させた円板状の砥石を丸ダクトに押し当てることで、丸ダクトを切断するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献1】「標準ダクトテキスト」一般社団法人 全国ダクト工業団体連合会 編集発行、平成25年7月、p.27
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、高速カッターで丸ダクトを切断する場合、火花が生じるため安全上、高速カッターの周囲を板などで囲う必要がある。しかし、囲いを設けるのは手間と時間を要し、特に、高速カッターを移動させるたびに囲いを設けなければならず、多大な手間と時間を要する。このため、囲いをしないで高速カッターを使用する場合も生じるおそれがあり、その場合、安全上問題となる。
【0005】
そこでこの発明は、設置現場で火花を発生させずに容易に丸ダクトを切断することが可能なダクト切断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、長尺状のビームと、前記ビームを支持する脚体と、前記ビームの上に配設され、丸ダクトをその軸心周りに回転自在に支持する複数のローラーと、前記ビームに配設され、前記ローラーで支持された前記丸ダクトに押し付けることで前記丸ダクトに開始孔を形成するホールパンチ器と、前記ビームに配設され、前記開始孔に挿入された刃で前記丸ダクトをシャーリング加工して切断する切断器と、を備えることを特徴とするダクト切断装置である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のダクト切断装置において、前記脚体は、折り畳み自在となっている、ことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のダクト切断装置において、前記脚体は、伸縮自在となっている、ことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3に記載のダクト切断装置において、前記ビームは、伸縮自在となっている、ことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4に記載のダクト切断装置において、前記ローラーは、径が異なる前記丸ダクトを支持可能に配設されている、ことを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5に記載のダクト切断装置において、前記ホールパンチ器は、棒状で一端部を中心に回動自在なパンチハンドルと、前記パンチハンドルに配設され、前記開始孔を形成するパンチと、を備え、前記パンチハンドルの他端部を押し下げることで、前記パンチを前記丸ダクトに押し付けて前記開始孔を形成する、ことを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1から6に記載のダクト切断装置において、前記切断器は、一端部が前記ビームに接続され可動自在なカッターアームと、前記カッターアームの他端部に配設され、前記シャーリング加工する切断器本体と、を備え、前記カッターアームを可動させて前記切断器本体の刃を所望の位置に移動させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、ローラーの上に丸ダクトを載せ、ホールパンチ器で丸ダクトに開始孔を形成し、この開始孔に切断器の刃を挿入してシャーリング加工(せん断加工)で丸ダクトを切断する。このように、シャーリング加工で丸ダクトを切断するため、火花が発生することがなく、周囲に囲いを設ける必要がない。同様に、ホールパンチ器を押し付けることで丸ダクトに開始孔を形成するため、火花が発生することがない。従って、囲いを設けるための手間と時間を削減することができる。また、ローラーで支持された丸ダクトが軸心周りに回転自在なため、丸ダクトを回しながらシャーリング加工することで、容易かつ適正に丸ダクトを切断することができる。このように、この発明によれば、丸ダクトの設置現場で火花を発生させずに容易に丸ダクトを切断することが可能となる。
【0014】
一方、ローラーとホールパンチ器と切断器がビームに配設され、このビームに脚体が設けられただけの構成であり、大きな電動機や電源装置などを要しないため、軽量化および小型化が可能となり、丸ダクトの設置現場に容易に持ち運ぶことが可能となる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、脚体が折り畳み自在なため、持ち運びや保管などを容易に行うことが可能となる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、脚体が伸縮自在なため、設置現場の環境や作業者の状態などに応じて脚体を伸縮させることで、より容易かつ安全に切断作業を行うことが可能となる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、ビームが伸縮自在なため、丸ダクトの長さなどに応じてビームを伸縮させて丸ダクトを適正に支持することで、より容易かつ安全に切断作業を行うことが可能となる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、径が異なる丸ダクトを支持可能にローラーが配設されているため、1つのダクト切断装置で径が異なる複数の丸ダクトを切断することができる。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、パンチハンドルの他端部を押し下げるだけで丸ダクトに開始孔が形成されるため、容易かつ迅速に開始孔を形成することが可能となる。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、カッターアームを可動させることで切断器本体の刃を所望の位置に移動できるため、より容易かつ安全にシャーリング加工を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】この発明の実施の形態に係るダクト切断装置を示す正面図である。
図2図1のダクト切断装置をA−Aから見た側面図である。
図3図1のダクト切断装置の平面図である。
図4図1のダクト切断装置の脚体の第1脚部の伸縮箇所を示す図である。
図5図1のダクト切断装置をB−Bから見た側面図である。
図6図1のダクト切断装置をC−Cから見た側面図である。
図7図2のダクト切断装置をD−Dから見た側面図である。
図8図1のダクト切断装置の切断器の切断器本体と把持具を示す正面図(a)と平面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0023】
図1図8は、この発明の実施の形態を示し、図1は、この実施の形態に係るダクト切断装置1を示す正面図であり、図3は、その平面図である。このダクト切断装置1は、丸ダクト100の設置現場で丸ダクト100を切断するための装置であり、主として、ビーム2と、脚体3と、ローラー体40と、ホールパンチ器5と、切断器6と、を備える。
【0024】
ビーム2は、長尺状で第1のビーム21と第2のビーム22と第3のビーム23で構成され、伸縮自在となっている。すなわち、断面が長方形の長い中空材で構成された第1のビーム21の両端部から、断面が長方形の長い中空材で構成された第2のビーム22と第3のビーム23が出し入れ自在に挿入されている。そして、第1のビーム21の両端部に設けられた第1の固定ネジ24を締め付けることで、第2のビーム22と第3のビーム23が固定されるようになっている。
【0025】
脚体3は、ビーム2を支持するものであり、折り畳み自在で、ビーム2の両端側にそれぞれ配設されている。すなわち、図1に示すように、ビーム2の正面と背面から見て略四角形状の側面部31aと、図2に示すように、ビーム2の端部側から見て略三角形状の正面部31bと、を有する脚支持部31がビーム2の両端側に設けられている。そして、棒状の第1脚部32と第2脚部33が、脚支持部31の三角斜辺に沿って配設され、上端部32a、33aが回動自在に脚支持部31の側面部31aに接続されている。
【0026】
また、脚支持部31の両側面部31aには、図1に示すように、円弧状の第1のスリット31cが形成され、一方、両脚部32、33には、第1のスリット31cを介して脚ハンドル34が螺合されている。そして、脚ハンドル34を緩めて両脚部32、33を上端部32a、33aを中心にして回動させることで、両脚部32、33を折り畳んだり延ばしたりできるようになっている。
【0027】
また、脚体3つまり両脚部32、33は、伸縮自在となっている。ここで、伸縮構造が同等のため、第1脚部32について説明する。第1脚部32は、図1に示すように、中空材で構成された上側の第1脚部321と、この上側の第1脚部321に出し入れ自在に挿入された下側の第1脚部322と、から構成されている。図4に示すように、上側の第1脚部321には、その長手方向に沿った第2のスリット321aが形成され、下側の第1脚部322に設けられたガイドコマ322aが第2のスリット321aに挿入されることで、下側の第1脚部322が第2のスリット321aにガイドされて出し入れされる(第1脚部32が伸縮する)ようになっている。また、上側の第1脚部321に設けられた第2の固定ネジ35を締め付けることで、下側の第1脚部322が固定されて第1脚部32の長さが設定されるようになっている。
【0028】
また、第2のビーム22側の脚支持部31の下方には、両側面部31aにわたる軸心(ビーム2の軸心に垂直な水平軸)を中心に回転自在なホイール36が配設されている。そして、脚体3をビーム2側に折り畳んだ状態で、ホイール36を床に当てて転がしながらダクト切断装置1を移動できるようになっている。
【0029】
ローラー体40は、ビーム2の上に配設され、丸ダクト100をその軸心周りに回転自在に支持する複数のローラー4で構成されている。すなわち、第2のビーム22の上と、第1のビーム21の上の第2のビーム22側と、第1のビーム21の上の第3のビーム23側と、第3のビーム23の上に、それぞれローラー体40が配設されている。
【0030】
各ローラー体40は、4つのローラー4で構成され、ローラー4の外径および各ローラー4の配設位置は、径が異なる丸ダクト100を支持可能に設定されている。すなわち、図1図5に示すように、コ字状のローラーブラケット41が、その両側部411がビーム2の長手方向に沿って対向するようにビーム2上に配設されている。また、両側部411の上縁が円弧状に窪み、上縁側に支持穴412が4つ形成され、各ローラー4の両端部に設けられた支持部42が支持穴412に回転自在に装着されている。これにより、4つのローラー4がビーム2の長手方向に沿って延び、ビーム2の軸心と平行な軸心周りに回転自在となる。このような配設状態で、両側部411の上縁から各ローラー4の一部が突出するようになっている。
【0031】
そして、図5に示すように、径が異なる複数種の丸ダクト100を少なくとも2つのローラー4で支持できるように、各支持穴412つまり各ローラー4の位置が設定されている。また、各ローラー体40のローラー4の長さは、各配設位置において丸ダクト100を適正に支持できるように設定されている。
【0032】
さらに、第2のビーム22と第3のビーム23の上に配設されているローラー体40には、ローラーブラケット41の外側(ビーム2の端部側)の側部411に止め板43が設けられている。すなわち、図6に示すように、側部411の上縁から上方に延びるように止め板43が配設され、ローラー4で支持された丸ダクト100の端部が止め板43に当接するようになっている。ここで、図5図6では、ローラーブラケット41の側部411の形状が異なっているが、ローラー4を支持して丸ダクト100を回転自在に支持できるものであれば、どのような形状であってもよい。
【0033】
ホールパンチ器5は、ビーム2に配設され、ローラー4で支持された丸ダクト100に押し付けることで丸ダクト100に開始孔100aを形成するものである。具体的には、棒状で一端部51aを中心に回動自在なパンチハンドル51と、パンチハンドル51に配設され、開始孔100aを形成するパンチ52と、を備え、パンチハンドル51の把持部(他端部)51bを押し下げることで、パンチ52を丸ダクト100に押し付けて開始孔100aを形成するものである。
【0034】
すなわち、第1のビーム21の第2のビーム22側に配設されたローラー4の下側に、図2図7に示すように、第1のビーム21に対して略垂直(十字状)に延びる支持板53が第1のビーム21に配設され、この支持板53の奥側の端部に垂直に延びるパンチポール54が配設されている。なお、このパンチポール54は、下部が回動自在でビーム2に平行に折り畳めるようになっている。このパンチポール54に上下動自在に取り付けられたハンドル支持部541に、パンチハンドル51の一端部51aが回動自在に接続され、ビーム2つまり丸ダクト100の軸線に平行な軸心を中心にパンチハンドル51が回動するようになっている。ここで、パンチハンドル51は、丸ダクト100の上方に位置し、押し下げた状態で丸ダクト100の軸線を横断(直交)するように配設されている。
【0035】
このパンチハンドル51は、やや上方に反った弓なりで、把持部51bを人が持って押し下げることで、丸ダクト100に開始孔100aを形成できるだけの力、トルクが得られるように、その長さが設定されている。このようなパンチハンドル51の中央部に、パンチ52が着脱自在に配設されている。このパンチ52は、丸ダクト100に押し付けることで、後述する切断器6の刃631を挿入できる開始孔100aが形成されるように、その形状が設定されている。
【0036】
切断器6は、ビーム2に配設され、開始孔100aに挿入された刃631で丸ダクト100をシャーリング加工(せん断加工)して切断するものである。具体的には、一端部61aがビーム2に接続され可動自在なカッターアーム61と、カッターアーム61の他端部に配設され、シャーリング加工する切断器本体63と、を備え、カッターアーム61を可動させて切断器本体63の刃631を所望の位置に移動させるものである。
【0037】
すなわち、カッターアーム61は、図2に示すように、第1のアーム611と第2のアーム612とを備え、第1のアーム611の一端部61aが支持板53の手前の端部に、回動自在に上方に延びて接続されている。つまり、この実施の形態では、カッターアーム61の一端部61aが、支持板53を介してビーム2に接続されている。また、第1のアーム611の他端部に第2のアーム612の一端部が回動自在に接続され、第2のアーム612の他端部にホルダ62が配設されている。このホルダ62は、図8に示すように、略環状で、その環内に切断器本体63の頭部が挿入され、着脱自在に把持されている。
【0038】
切断器本体63は、電動式の既製のダクトシャーと同等の構成であるため、その詳細な説明を省略するが、全体が円柱状で、頭部の先端側に設けられたハサミ構造の刃631によって、丸ダクト100を構成する金属板をシャーリング加工するものである。そして、丸ダクト100の開始孔100aに刃631を挿入し、切断器本体63を起動させて刃631を進めることで、丸ダクト100を切断できるものである。ここで、切断器6の刃631とホールパンチ器5のパンチ52とが、ビーム2上の丸ダクト100の同一円周上に位置するように、切断器6が配設されている。
【0039】
次に、このような構成のダクト切断装置1の作用および、ダクト切断装置1による丸ダクト100の切断方法などについて説明する。
【0040】
まず、ダクト切断装置1を丸ダクト100の設置現場に運んで設置する。すなわち、ビーム2を運びやすい長さに縮め、脚体3をビーム2側に折り畳み、必要に応じてパンチポール54やカッターアーム61を折り畳んだ状態で、ダクト切断装置1を設置現場に持ち運ぶ。そして、ビーム2を所望の長さに延ばし、脚体3を床側に延ばしたりしてダクト切断装置1を設置現場に設置する。
【0041】
次に、切断対象の丸ダクト100をローラー体40上に載せて、丸ダクト100の切断箇所をホールパンチ器5のパンチ52に対向する位置に配置する。このとき、好ましくは、丸ダクト100の両端部に止め板43が当接するように、第2のビーム22と第3のビーム23を移動させる。これにより、丸ダクト100が軸方向にずれるのが防止され、安定して切断することが可能となる。
【0042】
続いて、ホールパンチ器5のパンチハンドル51を押し下げ、パンチ52を丸ダクト100に押し付けて開始孔100aを形成する。次に、カッターアーム61を動かして開始孔100aに刃631を挿入し、切断器本体63を起動させて丸ダクト100を切断する。このとき、ローラー体40上の丸ダクト100をその軸心周りに回転させることで、切断器本体63の刃631を前に進めて切断していく。
【0043】
以上のように、このダクト切断装置1およびその切断方法によれば、ローラー4の上に丸ダクト100を載せ、ホールパンチ器5で丸ダクト100に開始孔100aを形成し、この開始孔100aに切断器6の刃631を挿入してシャーリング加工(せん断加工)で丸ダクト100を切断する。このように、シャーリング加工で丸ダクト100を切断するため、火花が発生することがなく、周囲に囲いを設ける必要がない。同様に、ホールパンチ器5を押し付けることで丸ダクト100に開始孔100aを形成するため、火花が発生することがない。従って、囲いを設けるための手間と時間を削減することができる。また、ローラー4で支持された丸ダクト100が軸心周りに回転自在なため、丸ダクト100を回しながらシャーリング加工することで、容易かつ適正に丸ダクト100を切断することができる。このように、この発明によれば、丸ダクト100の設置現場で火花を発生させずに容易に丸ダクト100を切断することが可能となる。
【0044】
一方、ローラー4とホールパンチ器5と切断器6がビーム2に配設され、このビーム2に脚体3が設けられただけの構成であり、大きな電動機や電源装置などを要しないため、軽量化および小型化が可能となり、丸ダクト100の設置現場に容易に持ち運ぶことが可能となる。
【0045】
また、脚体3が折り畳み自在なため、持ち運びや保管などを容易に行うことが可能となる。さらに、脚体3が伸縮自在なため、設置現場の環境や作業者の状態などに応じて脚体3を伸縮させることで、より容易かつ安全に切断作業を行うことが可能となる。
【0046】
また、ビーム2が伸縮自在なため、丸ダクト100の長さなどに応じてビーム2を伸縮させて丸ダクト100を適正に支持することで、より容易かつ安全に切断作業を行うことが可能となる。
【0047】
また、径が異なる丸ダクト100を支持可能にローラー4が配設されているため、1つのダクト切断装置1で径が異なる複数の丸ダクト100を切断することができる。
【0048】
また、ホールパンチ器5のパンチハンドル51の把持部51bを押し下げるだけで、丸ダクト100に開始孔100aが形成されるため、容易かつ迅速に開始孔100aを形成することが可能となる。
【0049】
また、切断器6のカッターアーム61を可動させることで、切断器本体63の刃631を所望の位置に移動できるため、より容易かつ安全にシャーリング加工を行うことが可能となる。
【0050】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態では、ホールパンチ器5がてこの原理を利用した構造となっているが、その他の構造でもよく、例えば、丸ダクト100の真上からパンチを押し付ける構造であってもよい。また、ビーム2を3つのビーム21〜23で構成しているが、1つのビームで構成したり、3つ以外の複数のビームで構成してもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 ダクト切断装置
2 ビーム
3 脚体
40 ローラー体
4 ローラー
5 ホールパンチ
51 パンチハンドル
51a 一端部
51b 把持部(他端部)
52 パンチ
53 支持板
54 パンチポール
6 切断器
61 カッターアーム
61a 一端部
62 ホルダ
63 切断器本体
631 刃
100 丸ダクト
100a 開始孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8