特許第6810549号(P6810549)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トリニティ工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6810549-塗装ガン洗浄装置 図000002
  • 特許6810549-塗装ガン洗浄装置 図000003
  • 特許6810549-塗装ガン洗浄装置 図000004
  • 特許6810549-塗装ガン洗浄装置 図000005
  • 特許6810549-塗装ガン洗浄装置 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6810549
(24)【登録日】2020年12月15日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】塗装ガン洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   B05B 15/50 20180101AFI20201221BHJP
   B05B 15/555 20180101ALI20201221BHJP
【FI】
   B05B15/50
   B05B15/555
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-144650(P2016-144650)
(22)【出願日】2016年7月22日
(65)【公開番号】特開2018-12088(P2018-12088A)
(43)【公開日】2018年1月25日
【審査請求日】2019年7月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110343
【氏名又は名称】トリニティ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】今西 諒
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 達行
(72)【発明者】
【氏名】澤井 健悟
【審査官】 團野 克也
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−123458(JP,A)
【文献】 特開平04−094767(JP,A)
【文献】 特開2016−034623(JP,A)
【文献】 特開昭59−127671(JP,A)
【文献】 特表2010−501339(JP,A)
【文献】 実開昭63−107771(JP,U)
【文献】 特開平03−127661(JP,A)
【文献】 特表2017−514632(JP,A)
【文献】 特開2013−193020(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC B05B 1/00− 3/18
7/00− 9/08
12/16−12/36
14/00−16/80
B05C 5/00−21/00
B05D 1/00− 7/26
B08B 3/00− 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗装ガンを受容するガン受容部を有するボディと、
前記ガン受容部の内面に形成されて、前記ガン受容部内へと洗浄液を噴出するための洗浄液噴出口と、
前記ボディ内に形成され、末端に前記洗浄液噴出口を有する内部流路と、
前記内部流路を含む流体送給流路と圧縮エアー供給源との間に接続されるエアー用バルブと、
前記流体送給流路と洗浄液供給源との間に接続される液用バルブと、
前記洗浄液を前記流体送給流路に供給してから前記圧縮エアーを前記流体送給流路に供給すると共に、前記洗浄液と前記圧縮エアーとが前記流体送給流路に交互に供給されるように前記エアー用バブル及び前記液用バルブを制御する噴出制御部とを備えた塗装ガン洗浄装置。
【請求項2】
前記圧縮エアー供給源又は前記洗浄液供給源の何れか一方を選択的に前記流体送給流路に接続する三方弁を、前記エアー用バルブ兼、前記液用バルブとして備えた請求項1に記載の塗装ガン洗浄装置。
【請求項3】
塗装ガンを受容するガン受容部を有するボディと、
前記ガン受容部の内面に形成されて、前記ガン受容部内へと洗浄液を噴出するための洗浄液噴出口と、
前記ボディ内に形成され、末端に前記洗浄液噴出口を有する内部流路と、
前記内部流路を含む流体送給流路と圧縮エアー供給源との間に接続されるエアー用バルブと、
前記流体送給流路と洗浄液供給源との間に接続される液用バルブと、
前記洗浄液を前記流体送給流路に供給してから前記圧縮エアーを前記流体送給流路に供給するように前記エアー用バブル及び前記液用バルブを制御する噴出制御部と、を備え、
前記圧縮エアー供給源又は前記洗浄液供給源の何れか一方を選択的に前記流体送給流路に接続する三方弁を、前記エアー用バルブ兼、前記液用バルブとして備えた塗装ガン洗浄装置。
【請求項4】
前記噴出制御部は、前記洗浄液と前記圧縮エアーとが前記流体送給流路に交互に供給されるように前記三方弁を制御する請求項3に記載の塗装ガン洗浄装置。
【請求項5】
前記ボディは、環状をなし、
前記内部流路は、前記ボディの環状に対応した環状流路と、前記環状流路の周方向の複数位置から前記ガン受容部の内面まで延びて末端が前記洗浄液噴出口となった噴出流路とを含んでなる請求項1から4の何れか1の請求項に記載の塗装ガン洗浄装置。
【請求項6】
前記エアー用バルブ及び前記液用バルブとそれらが接続される前記流体送給流路とからなる噴出系統が2系統備えられ、
前記噴出制御部は、一方の前記噴出系統に含まれる前記洗浄液噴出口からの洗浄液の噴出期間と、他方の前記噴出系統に含まれる前記洗浄液噴出口からの洗浄液の噴出期間との少なくとも一部が互いにずれるように制御する請求項1から5の何れか1の請求項に記載の塗装ガン洗浄装置。
【請求項7】
前記ガン受容部における受容口にエアーカーテンを生成するための圧縮エアー噴出部が前記ボディに備えられている請求項1から6の何れか1の請求項に記載の塗装機洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装ガンを洗浄液で洗浄する塗装ガン洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の塗装ガン洗浄装置として、洗浄液と圧縮エアーとをそれぞれ別の孔から噴出して塗装ガンの手前で合流させることで、圧縮エアーの圧力によって洗浄液を塗装ガンに衝突させて洗浄を行うものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−034623号公報(段落[0046]、図4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来の塗装ガン洗浄装置よりも洗浄力が高いものが望まれていた。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、従来より洗浄力が高い塗装ガン洗浄装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明は、塗装ガンを受容するガン受容部を有するボディと、前記ガン受容部の内面に形成されて、前記ガン受容部内へと洗浄液を噴出するための洗浄液噴出口と、前記ボディ内に形成され、末端に前記洗浄液噴出口を有する内部流路と、前記内部流路を含む流体送給流路と圧縮エアー供給源との間に接続されるエアー用バルブと、前記流体送給流路と洗浄液供給源との間に接続される液用バルブと、前記洗浄液を前記流体送給流路に供給してから前記圧縮エアーを前記流体送給流路に供給すると共に、前記洗浄液と前記圧縮エアーとが前記流体送給流路に交互に供給されるように前記エアー用バブル及び前記液用バルブを制御する噴出制御部とを備えた塗装ガン洗浄装置である。
【0007】
請求項2の発明は、前記圧縮エアー供給源又は前記洗浄液供給源の何れか一方を選択的に前記流体送給流路に接続する三方弁を、前記エアー用バルブ兼、前記液用バルブとして備えた請求項1に記載の塗装ガン洗浄装置である。
【0008】
請求項3の発明は、塗装ガンを受容するガン受容部を有するボディと、前記ガン受容部の内面に形成されて、前記ガン受容部内へと洗浄液を噴出するための洗浄液噴出口と、前記ボディ内に形成され、末端に前記洗浄液噴出口を有する内部流路と、前記内部流路を含む流体送給流路と圧縮エアー供給源との間に接続されるエアー用バルブと、前記流体送給流路と洗浄液供給源との間に接続される液用バルブと、前記洗浄液を前記流体送給流路に供給してから前記圧縮エアーを前記流体送給流路に供給するように前記エアー用バブル及び前記液用バルブを制御する噴出制御部と、を備え、前記圧縮エアー供給源又は前記洗浄液供給源の何れか一方を選択的に前記流体送給流路に接続する三方弁を、前記エアー用バルブ兼、前記液用バルブとして備えた塗装ガン洗浄装置である。
【0009】
請求項4の発明は、前記噴出制御部は、前記洗浄液と前記圧縮エアーとが前記流体送給流路に交互に供給されるように前記三方弁を制御する請求項3に記載の塗装ガン洗浄装置である。
【0010】
請求項5の発明は、前記ボディは、環状をなし、前記内部流路は、前記ボディの環状に対応した環状流路と、前記環状流路の周方向の複数位置から前記ガン受容部の内面まで延びて末端が前記洗浄液噴出口となった噴出流路とを含んでなる請求項1から4の何れか1の請求項に記載の塗装ガン洗浄装置である。
請求項の発明は、前記エアー用バルブ及び前記液用バルブとそれらが接続される前記流体送給流路とからなる噴出系統が2系統備えられ、前記噴出制御部は、一方の前記噴出系統に含まれる前記洗浄液噴出口からの洗浄液の噴出期間と、他方の前記噴出系統に含まれる前記洗浄液噴出口からの洗浄液の噴出期間との少なくとも一部が互いにずれるように制御する請求項1から5の何れか1の請求項に記載の塗装ガン洗浄装置である。
【0011】
請求項の発明は、前記ガン受容部における受容口にエアーカーテンを生成するための圧縮エアー噴出部が前記ボディに備えられている請求項1から6の何れか1の請求項に記載の塗装機洗浄装置である。
【発明の効果】
【0012】
求項1,3の塗装ガン洗浄装置では、洗浄液噴出口を末端に備えた流体供給流路に洗浄液を供給してから圧縮エアーを供給して圧縮エアーと共に洗浄液を洗浄液噴出口から噴出させる。これにより、洗浄液噴出口の手前の流体供給流路内の洗浄液が圧縮エアーによって洗浄液噴出口外に押し出されて従来より強く塗装ガンに衝突し、従来より高い洗浄力で塗装ガンを洗浄することが可能になる。
【0013】
求項1,4の塗装ガン洗浄装置は、洗浄液と圧縮エアーとを流体供給流路に交互に供給することで短時間で多くの洗浄液を塗装ガンに衝突させることができ、洗浄力が向上する。
【0014】
求項の塗装ガン洗浄装置によれば、塗装ガンの全周を効率良く洗浄することができる。
【0015】
求項2,3の塗装ガン洗浄装置では、三方弁でエアー用バルブと液用バルブとを兼用したので塗装ガン洗浄装置がコンパクトになる。
【0016】
求項の塗装ガン洗浄装置は、エアー用バルブ及び液用バルブとそれらが接続される流体供給流路とからなる噴出系統を2つ備え、一方の噴出系統に含まれる洗浄液噴出口からの洗浄液の噴出期間と、他方の噴出系統に含まれる洗浄液噴出口からの洗浄液の噴出期間とが互いにずれているので、2つの噴出系統を使用したときの圧縮エアーの圧力降下を抑えて効率良く洗浄を行うことができる。なお、一方の噴出系統に含まれる洗浄液噴出口からの洗浄液の噴出期間と、他方の噴出系統に含まれる洗浄液噴出口からの洗浄液の噴出期間とは、完全に重なり合うもののみならず、一部のみが重なり合うものも本発明に含まれる。
【0017】
求項の塗装ガン洗浄装置では、エアーカーテンによってガン受容部の受容口が閉塞されて、洗浄液がガン受容部から漏れることを規制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る塗装ガン洗浄装置の側断面図
図2】塗装ガン洗浄装置と圧縮エアー供給源等との配管図
図3】第1〜第3のバルブのオンオフのタイムチャート
図4】塗装ガン洗浄装置の側断面図
図5】塗装ガン洗浄装置の平断面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を図1図4に基づいて説明する。図1において符号10は、塗装ガンであって、図示しない塗装用ロボットのアーム先端に取り付けられている。この塗装ガン10の先端部には、先細りテーパー状のヘッド部12が備えられ、そのヘッド部12の先端面中央にベルカップ11が組み付けられている。そして、ベルカップ11を回転させることで塗料を霧化して噴射し、ワークを塗装することができる。
【0020】
本実施形態の塗装ガン洗浄装置20は、上記したような塗装ガン10におけるヘッド部12のテーパー側面12Aや先端面12Bに付着した塗料を洗浄するために使用され、その構造は以下のようになっている。即ち、塗装ガン洗浄装置20は、リング状のボディ21を有し、その内側がガン受容部22になっている。また、ボディ21は、洗浄液回収ドラム50の上端部に取り付けられ、上面開口22A(本発明の「受容口」に相当する)からガン受容部22内に塗装ガン10のヘッド部12を受容する。なお、ボディ21の内周面21Nは、円筒面の上端部にテーパー面を備えた形状をなしている。
【0021】
ボディ21の内部には、上側から順番に第1〜第4の環状流路31〜34が間隔を空けて設けられている。また、第1〜第4の各環状流路31〜34における周方向の複数位置からは、内周面21Nまで第1〜第4の噴出流路31A〜34Aが延びていて、それらの末端の開口が第1〜第4の噴出口31F〜34Fになっている。また、第1〜第4の噴出流路31A〜34Aの内径は、0.2〜1.5[mm]になっている。なお、第1〜第4の噴出流路31A〜34Aの内径は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、ボディ21の周方向に並んだ複数の噴出流路31A(又は、32A〜34A)同士の内径が同じであっても、異なっていてもよい。
【0022】
第1〜第4の環状流路31〜34には、それぞれ180度離れた2箇所から外周面21Gまで導入流路Dが延びている。そして、第1環状流路31の1対の導入流路Dに1対の第1エルボジョイント31Bが接続され、第2環状流路32の1対の導入流路Dに1対の第2エルボジョイント32Bが接続され、第3環状流路33の1対の導入流路Dに1対の第3エルボジョイント33Bが接続され、第4環状流路34の1対の導入流路Dに1対の第4エルボジョイント34Bが接続されている。
【0023】
第1〜第4の環状流路31〜34には、図2に示した第1〜第3のバルブ41〜43を介して圧縮エアー供給源52及び洗浄液供給源53が接続されている。
【0024】
洗浄液供給源53は、例えば、洗浄液として有機溶剤をポンプによって供給するようになっている。その有機溶剤としては、例えば、トルエン、アセトン、アルコール又はベンゼンを主成分とするものが挙げられ、本実施形態では、トルエンを主成分としたシンナーが使用されている。なお、洗浄液として水を使用してもよい。
【0025】
圧縮エアー供給源52としては、例えば工場に設置されている圧縮エアー配管が利用される。その圧縮エアー配管には、例えば、工場に備えたコンプレッサによって所定の圧力(例えば、0.1〜1[MPa])に圧縮された空気が供給されている。
【0026】
第1〜第3のバルブ41〜43は、例えば、エアー駆動バルブであって、圧縮エアーによって駆動される。第1バルブ41は、1つの入力ポートと1つの出力ポートとを備える。その入力ポートには、パイプPを介して圧縮エアー供給源52が接続される一方、出力ポートには、途中で二股に分かれるパイプPを介して1対の第1エルボジョイン31B,31Bが接続されている。
【0027】
第2及び第3のバルブ42,43は、2つの入力ポートと1つの出力ポートとを備えた、所謂、三方弁である。それら第2及び第3のバルブ42,43の各一方の入力ポート(以下、適宜「エアー入力ポート」という)には、パイプPを介して圧縮エアー供給源52が接続され、各他方の入力ポート(以下、適宜「洗浄液入力ポート」という)には、パイプPを介して洗浄液供給源53が接続されている。また、第2バルブ42の出力ポートには、途中で二股に分かれるパイプPを介して1対の第2エルボジョイント32B,32Bが接続され、第3バルブ43の出力ポートには、途中で二股に分かれるパイプPを介して1対の第4エルボジョイント34B,34Bが接続されている。
【0028】
なお、本実施形態では、上記した第2及び第4の環状流路32,34と第2及び第4の噴出流路32A,34Aとから、本発明に係る内部流路が構成されている。また、その内部流路と、第2及び第4のエルボジョイント32B,34Bと、それら第2及び第4のエルボジョイント32B,34Bと第2及び第3のバルブ42,43との間を連絡するパイプPとから本発明に係る「流体送給流路」が構成されている。また、本実施形態では、1対の第3エルボジョイント33B,33Bには何も接続されておらず、不使用状態になっている。
【0029】
上記した第1〜第3のバルブ41〜43は、噴出制御部54によって駆動制御される。具体的には、噴出制御部54は、第1〜第3のバルブ41〜43を駆動するためのエアー配管に繋がった複数の電磁バルブを有し、それら電磁バルブをオンオフすることで第1〜第3のバルブ41〜43をオンオフする。
【0030】
図3には、1回の洗浄処理の開始から終了までの第1〜第3のバルブ41〜43のオンオフのタイムチャートの一例が示されている。以下、このタイムチャートを利用して、本実施形態の塗装ガン洗浄装置20の作用効果について説明する。
【0031】
塗装用ロボットの動作により塗装ガン10のヘッド部12がガン受容部22に受容されると、噴出制御部54が塗装用ロボットのコントローラからトリガー信号を受けて塗装ガン洗浄装置20による洗浄処理を開始する。洗浄処理を開始されると、図3に示すように、第1バルブ41がオンされ(即ち、「開通状態」になり)、図4に示すように、塗装ガン洗浄装置20の上端部の複数の第1噴出口31Fからエアーが噴出される。これにより、ガン受容部22の上面開口22Aを閉塞するエアーカーテンが生成される。
【0032】
次いで、図3に示すように、第2及び第3のバルブ42,43の洗浄液入力ポートが、所定の第1噴出時間T1(例えば、0.1〜1.2[秒])に亘ってオンする。これにより、第2及び第3のバルブ42,43と塗装ガン洗浄装置20との間を連絡するパイプPに所定量の洗浄液が充填され、その一部は第2及び第3の環状流路32,33内に流れ込む。
【0033】
次いで、第2バルブ42のエアー入力ポートが、所定の第2噴出時間T2に亘ってオンする。すると、パイプPに残っていた洗浄液が圧縮エアーに押されて第2環状流路32に流れ込んで拡がり、第2環状流路32に連なる複数の第2噴出流路32Aの入口を覆う。その状態で第2環状流路32に圧縮エアーが流れ込み、洗浄液が複数の第2噴出流路32Aを通って第2噴出口32Fからガン受容部22内に噴出される(図4参照)。そして、洗浄液がヘッド部12のテーパー側面12Aに吹き付けられて、ヘッド部12が洗浄される。その際、洗浄液がテーパー側面12Aに衝突して飛散しても、上面開口22Aのエアーカーテンによってガン受容部22外に洗浄液が排出されることが規制される。また、この段階では、第4環状流路34とそれに繋がるパイプPは、洗浄液が充填された状態に維持される。
【0034】
次いで、第2及び第3のバルブ42,43の洗浄液入力ポートが、所定の第3噴出時間T3に亘ってオンする。これにより、第2環状流路32とそれに繋がるパイプPに洗浄液が再充填される。また、第4環状流路34とそれに繋がるパイプPには、充填されている洗浄液にさらに洗浄液が追加される。
【0035】
次いで、第2バルブ42のエアー入力ポートが、所定の第4噴出時間T4に亘ってオンする。これにより、再び、第2噴出口32Fからガン受容部22内へと洗浄液が噴出され、ヘッド部12が洗浄される。この段階でも、第4環状流路34とそれに繋がるパイプPは、洗浄液が充填された状態に維持される。そして、第4噴出時間T4の終了後、所定時間T5の経過後に、第3バルブ43のエアー入力ポートが、所定の第6噴出時間T6に亘ってオンする。これにより、第4環状流路34に溜まっていた洗浄液が一気に第4噴出口34Fから噴出されてヘッド部12のテーパー側面12A及び先端面12Bに吹き付けられ、ヘッド部12が洗浄される。そして、その第6噴出時間T6の終了と共に第1バルブ41がオフして(即ち、「遮断状態」になり)エアーカーテンがオフし、1回の洗浄処理が終了する。
【0036】
なお、本実施形態では、上記した第3噴出時間T3は第1噴出時間T1より僅かに長く、第4噴出時間T4は第2噴出時間T2より僅かに長く、さらに、第6噴出時間T6は第2噴出時間T2の複数倍の長さに設定されている。
【0037】
上記したように本実施形態の塗装ガン洗浄装置20では、洗浄液の噴出口(第2及び第4の噴出口32F,34F)を末端に備えた流路(第2及び第4の環状流路32,34、パイプP等)に洗浄液を供給してから圧縮エアーを供給して、圧縮エアーと共に洗浄液を噴出口から噴出させる。これにより、噴出口の手前の流路(第2及び第4の噴出流路32A,34A)内の洗浄液が圧縮エアーによって噴出口外に押し出されて従来より強く塗装ガン10に衝突し、従来より高い洗浄力で塗装ガン10を洗浄することが可能になる。
【0038】
また、洗浄液と圧縮エアーとを流路に交互に供給することで、短時間で多くの洗浄液を塗装ガン10に衝突させることができると共に、衝突に強弱がついて洗浄力が向上する。しかも、2つの噴出系統を備え、一方の噴出系統に含まれる第2噴出口32Fからの洗浄液の噴出期間と、他方の噴出系統に含まれる第4噴出口34Fからの洗浄液の噴出期間とが互いにずれているので、2つの噴出系統を使用したときの圧縮エアーの圧力降下を抑えて効率良く洗浄を行うことができる。さらには、三方弁(第2及び第3のバルブ42,43)で、エアー用バルブと液用バルブとを兼用したので、塗装ガン洗浄装置20全体をコンパクトにすることができる。
【0039】
また、本実施形態の塗装ガン洗浄装置20により洗浄液が霧化されて噴出されることがあるが、洗浄液を霧化するために、圧縮エアーの供給路と洗浄液の供給路とを直交させる、所謂、ベンチュリー式のものに比べて、塗装ガン洗浄装置20全体を小型にすることができる。
[他の実施形態]
【0040】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0041】
(1)前記実施形態の塗装ガン洗浄装置20では、第1〜第4の噴出流路31A〜34Aが、ボディ21の中心軸25J方向から見てボディ21の径方向に延びていたが、図5に示すように噴出流路31Zがボディ21Vの中心軸25J方向から見て、ボディ21Vの径方向に対して一方側に傾斜した構造としてもよい。
【0042】
(2)前記実施形態の塗装ガン洗浄装置20では、圧縮エアー及び洗浄液が通過する流路の一部が環状流路になっていたが、流路の一部に環状流路を備えていなくてもよい。
【0043】
(3)前記実施形態では、第2噴出口32Fからの洗浄液が噴出される噴出期間と、第4噴出口34Fからの洗浄液が噴出される噴出期間とが、完全に重なり合わないように制御されていたが、完全に重なり合うように制御してもよいし、第2噴出口32Fからの洗浄液の噴出期間と、第4噴出口34Fからの洗浄液の噴出期間とが部分的に重なり合うように制御してもよい。また、例えば、第4噴出口34Fから洗浄液が噴出されている期間に、第2噴出口32Fと第3噴出口34Fとから交互に洗浄液が噴出される構成としてもよい。
【符号の説明】
【0044】
10 塗装ガン
20 塗装ガン洗浄装置
21,21V ボディ
22 ガン受容部
22A 上面開口(受容口)
31〜34 第1〜第4の環状流路
31F〜34F 噴出口
42 第2バルブ(エアー用バブル、液用バルブ)
43 第3バルブ(エアー用バブル、液用バルブ)
52 圧縮エアー供給源
53 洗浄液供給源
54 噴出制御部
図1
図2
図3
図4
図5