特許第6810552号(P6810552)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6810552
(24)【登録日】2020年12月15日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】アイソレータシステム
(51)【国際特許分類】
   B25J 21/02 20060101AFI20201221BHJP
   B25J 21/00 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
   B25J21/02
   B25J21/00
【請求項の数】7
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-158561(P2016-158561)
(22)【出願日】2016年8月12日
(65)【公開番号】特開2018-24070(P2018-24070A)
(43)【公開日】2018年2月15日
【審査請求日】2019年7月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 康彦
(72)【発明者】
【氏名】平田 和範
【審査官】 藤井 浩介
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第10311107(DE,A1)
【文献】 特開2016−059996(JP,A)
【文献】 特開平10−029084(JP,A)
【文献】 特開2010−184303(JP,A)
【文献】 特開2000−343479(JP,A)
【文献】 R. M. Crowder,"An anthropomorphic robotic end effector",Robotics and Autonomous Systems,Elsevier Science Publishers B.V.,1991年,Vol.7, No.4,Pages 253-268
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00−21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
隔壁により、外部と隔離されている作業空間と、
外面が前記作業空間に露出し、内面が前記外部と連通するように、前記隔壁に設けられているグローブと、
前記グローブの内部にアームを挿入して、前記作業空間での作業を行うロボットと、を備え、
前記グローブの先端部分には、当該グローブの内部に設けられている操作部と、前記作業空間に露出するように設けられているハンド部と、が形成されていて、
前記ハンド部には、ワークを把持するためのツメ部が設けられていて、
前記操作部は、前記ロボットにおける前記アームの把持部が当該操作部を把持することで、ハンド部のツメ部を動作するように構成されている、アイソレータシステム。
【請求項2】
前記グローブは、その基端部分が収縮した状態で、その先端部分が所定の位置に位置決めされるように構成されている、請求項1に記載のアイソレータシステム。
【請求項3】
前記グローブの基端部分が、蛇腹状に形成されていて、伸縮可能に構成されている、請求項1又は2に記載のアイソレータシステム。
【請求項4】
前記グローブの内部に配置され、複数のロッドと、前記ロッドを接続する球面継手と、を有するグローブ保持部材をさらに備え、
前記ロッドは、テレスコープ状に形成されている、請求項1又は2に記載のアイソレータシステム。
【請求項5】
前記アイソレータの作業空間に配置され、ワークを保持するハンドをさらに備える、請求項1〜のいずれか1項に記載のアイソレータシステム。
【請求項6】
前記グローブの内部に配置され、伸縮可能に構成されている蛇腹部材をさらに備える、請求項1〜のいずれか1項に記載のアイソレータシステム。
【請求項7】
隔壁により、外部と隔離されている作業空間と、
外面が前記作業空間に露出し、内面が前記外部と連通するように、前記隔壁に設けられているグローブと、を備え、
前記グローブの先端部分には、当該グローブの内部に設けられている操作部と、前記作業空間に露出するように設けられているハンド部と、が形成されていて、
前記ハンド部には、ワークを把持するためのツメ部が設けられていて、
前記操作部は、ロボットにおけるアームの把持部が当該操作部を把持することで、前記ハンド部の前記ツメ部を動作するように構成されている、アイソレータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アイソレータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
アイソレータは、その内部空間を無菌状態にして、細胞培養等の作業を実行するための装置である。このようなアイソレータにおいて、無菌状態に保たれる内部空間にロボットが配置されているアイソレータが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示されているアイソレータでは、作業室(内部空間)に配置されているロボットが、ディッシュ等の培養容器を把持して搬送している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−117003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1に開示されているアイソレータでは、作業室内にロボットが配置されているため、ロボットが故障した場合等のメンテナンス作業が困難となるおそれがある、又は、メンテナンス作業の時間がかかるおそれがあるという課題があった。
【0006】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、アイソレータの内部空間で作業を行うロボットのメンテナンスを容易に行うことができる、アイソレータシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記従来の課題を解決するために、本発明に係るアイソレータシステムは、隔壁により、外部と隔離されている作業空間と、外面が前記作業空間に露出し、内面が前記外部と連通するように、前記隔壁に設けられているグローブと、前記グローブの内部にアームを挿入して、前記作業空間での作業を行うロボットと、を備え、前記グローブの先端部分には、当該グローブの内部に設けられている操作部と、前記作業空間に露出するように設けられているハンド部と、が形成されている。
【0008】
これにより、作業空間外の外部にロボットを配置することができるので、ロボットのメンテナンスを容易に行うことができる。また、ロボットを作業空間外に配置することにより、ロボットが、作業空間内を滅菌するための過酸化水素ガス、又は作業空間内を酸性雰囲気化にするための酸性ガス等に曝されないため、ロボットが腐食されることを抑制することができる。
【0009】
また、本発明に係るアイソレータシステムは、隔壁により、外部と隔離されている作業空間と、外面が前記作業空間に露出し、内面が前記外部と連通するように、前記隔壁に設けられているグローブと、前記グローブの内部にアームを挿入して、前記作業空間での作業を行うロボットと、を備え、前記グローブの先端部分が、前記ロボットのアーム先端部分の形状に相当するように形成されている。
【0010】
これにより、作業空間外の外部にロボットを配置することができるので、ロボットのメンテナンスを容易に行うことができる。また、ロボットを作業空間外に配置することにより、ロボットが、作業空間内を滅菌するための過酸化水素ガス、又は作業空間内を酸性雰囲気化にするための酸性ガス等に曝されないため、ロボットが腐食されることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のアイソレータシステムによれば、作業空間外の外部にロボットを配置することができるので、ロボットのメンテナンスを容易に行うことができる。また、ロボットを作業空間外に配置することにより、ロボットが、作業空間内を滅菌するための過酸化水素ガス、又は作業空間内を酸性雰囲気化にするための酸性ガス等に曝されないため、ロボットが腐食されることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本実施の形態1に係るアイソレータシステムの概略構成を示すブロック図である。
図2図2は、図1に示すアイソレータシステムの斜視図である。
図3図3は、図1に示すアイソレータシステムにおけるロボットの概略構成を示す模式図である。
図4図4は、図1及び図2に示すアイソレータシステムの要部を拡大した断面図である。
図5図5は、図1及び図2に示すアイソレータシステムの要部を拡大した断面図である。
図6図6は、本実施の形態1に係るアイソレータシステムにおいて、一連の作業を実行する前に行う滅菌動作の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、本実施の形態1に係るアイソレータシステムにおいて、一連の作業を実行した後に行う滅菌動作の一例を示すフローチャートである。
図8図8は、本実施の形態1における変形例1のアイソレータシステムの要部を拡大した模式図である。
図9図9は、本実施の形態1における変形例2のアイソレータシステムの要部を拡大した模式図である。
図10図10は、本実施の形態2に係るアイソレータシステムの要部を拡大した模式図である。
図11図11は、本実施の形態2に係るアイソレータシステムにおいて、一連の作業を実行する前に行う滅菌動作の一例を示すフローチャートである。
図12図12は、本実施の形態1に係るアイソレータシステムにおいて、一連の作業を実行した後に行う滅菌動作の一例を示すフローチャートである。
図13図13は、本実施の形態2における変形例1のアイソレータシステムの要部を拡大した模式図である。
図14図14は、本実施の形態3に係るアイソレータシステムの要部を拡大した模式図である。
図15図15は、本実施の形態3における変形例1のアイソレータシステムの要部を拡大した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、全ての図面において、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、全ての図面において、本発明を説明するための構成要素を抜粋して図示しており、その他の構成要素については図示を省略している場合がある。さらに、本発明は以下の実施の形態に限定されない。
【0014】
(実施の形態1)
本実施の形態1に係るアイソレータシステムは、隔壁により、外部と隔離されている作業空間と、外面が作業空間に露出し、内面が外部と連通するように、隔壁に設けられているグローブと、グローブの内部にアームを挿入して、作業空間での作業を行うロボットと、を備え、グローブの先端部分には、当該グローブの内部に設けられている操作部と、作業空間に露出するように設けられているハンド部と、が形成されている。
【0015】
また、本実施の形態1に係るアイソレータシステムでは、グローブは、その基端部分が収縮した状態で、その先端部分が所定の位置に位置決めされるように構成されていてもよい。
【0016】
また、本実施の形態1に係るアイソレータシステムでは、グローブの基端部分が、蛇腹状に形成されていて、伸縮可能に構成されていてもよい。
【0017】
さらに、本実施の形態1に係るアイソレータシステムでは、アイソレータの作業空間に配置され、ワークを保持するハンドをさらに備えていてもよい。
【0018】
以下、本実施の形態1に係るアイソレータシステムの一例について、図1図7を参照しながら説明する。
【0019】
[アイソレータシステムの構成]
図1は、本実施の形態1に係るアイソレータシステムの概略構成を示すブロック図である。図2は、図1に示すアイソレータシステムの斜視図である。図3は、図1に示すアイソレータシステムにおけるロボットの概略構成を示す模式図である。なお、図3においては、ロボットにおける上下方向及び左右方向を図における上下方向及び左右方向として表している。
【0020】
図1及び図2に示すように、本実施の形態1に係るアイソレータシステム100は、ロボット101及び内部に作業空間120が形成されているアイソレータ102を備えていて、作業空間120の外方に配置されているロボット101が、作業空間120内で複数の工程からなる一連の作業を実行するように構成されている。
【0021】
なお、複数の工程からなる一連の作業としては、ディッシュ124等の培養容器を保持、搬送等の作業、オートピペット125を用いて、培養液等の液体をディッシュ124内に注ぐ作業等が挙げられる。
【0022】
また、本実施の形態1においては、ロボット101が、水平多関節型ロボットである態様を例示するが、これに限定されず、ロボット101は、垂直多関節型ロボットであってもよい。
【0023】
さらに、本実施の形態1においては、アイソレータシステム100は、ロボット101を備える形態を採用したが、これに限定されず、ロボット101を備えていない形態を採用してもよい。
【0024】
まず、ロボット101の構成について、図1図3を参照しながら詳細に説明する。
【0025】
図1図3に示すように、ロボット101は、台車12と、基軸16と、一対のロボットアーム(以下、単に「アーム」と記載する場合がある)13、13と、制御装置10と、を備えている。また、ロボット101では、オペレータが、適宜な手段により、制御装置10へ所要事項を教示することにより、制御装置10が、ロボット101の自動運転を実行するように構成されている。
【0026】
台車12は、車輪12aを有し、移動可能に構成されている。また、台車12の上面には、基軸16が固定されている。基軸16には、当該基軸16の軸心を通る回転軸線L1周りに回動可能にアーム13、13が設けられている。具体的には、アーム13、13は、一方のアーム13と他方のアーム13とが上下に高低差を有するように設けられている。さらに、台車12内には、制御装置10が収納されている。
【0027】
なお、本実施の形態1においては、左のアーム13及び右のアーム13は、同様の構成である態様を例示するが、これに限定されず、左右のアーム13の構成が異なる形態であってもよい。また、左のアーム13及び右のアーム13は、独立して動作したり、互いに関連して動作したりすることができるように構成されている。
【0028】
アーム13は、アーム部15、リスト部17、及びハンド部18を有している。アーム部15は、本実施の形態1においては、略直方体状の第1リンク15a及び第2リンク15bで構成されている。第1リンク15aは、基端部に回転間接J1が設けられていて、先端部に回転間接J2が設けられている。また、第2リンク15bは、先端部に直動関節J3が設けられている。
【0029】
そして、第1リンク15aは、回転間接J1を介して、その基端部が基軸16と連結されていて、回転間接J1により、回転軸線L1周りに回動することができる。また、第2リンク15bは、回転関節J2を介して、その基端部が第1リンク15aの先端部と連結されていて、回転関節J2により、回転軸線L2周りに回動することができる。
【0030】
第2リンク15bの先端部には、直動関節J3を介して、リスト部17が第2リンク15bに対し昇降移動可能に連結されている。リスト部17の下端部には、回転間接J4が設けられている。ハンド部18は、回転間接J4を介して、リスト部17の下端部と連結されていて、回転間接J4により、回転軸線L3周りに回動することができる。
【0031】
ハンド部18は、装着部18a及び把持部19により構成されており、把持部19はアーム13の先端に設けられている。装着部18aは、回転間接J4を介して、リスト部17に対して、脱着可能に構成されている。また、把持部19は、後述するグローブ140の先端部分に設けられている操作部43を把持することができるように構成されている。
【0032】
また、アーム13の各関節J1〜J4には、それぞれ、各関節が連結する2つの部材を相対的に回転又は昇降させるアクチュエータの一例としての駆動モータが設けられている(図示せず)。駆動モータは、例えば、制御装置10によってサーボ制御されるサーボモータであってもよい。また、各関節J1〜関節J4には、それぞれ、駆動モータの回転位置を検出する回転センサ(図示せず)と、駆動モータの回転を制御する電流を検出する電流センサ(図示せず)と、が設けられている。回転センサは、例えば、エンコーダであってもよい。
【0033】
制御装置10は、図1に示すように、CPU等の演算部10aと、ROM、RAM等の記憶部10bと、サーボ制御部10cと、を備える。制御装置10は、例えばマイクロコントローラ等のコンピュータを備えたロボットコントローラである。
【0034】
なお、制御装置10は、集中制御する単独の制御装置10によって構成されていてもよいし、互いに協働して分散制御する複数の制御装置10によって構成されていてもよい。また、本実施の形態1においては、記憶部10bが、制御装置10内に配置されている形態を採用したが、これに限定されず、記憶部10bが、制御装置10と別体に設けられている形態を採用してもよい。
【0035】
記憶部10bには、ロボットコントローラとしての基本プログラム、各種固定データ等の情報が記憶されている。演算部10aは、記憶部10bに記憶された基本プログラム等のソフトウェアを読み出して実行することにより、ロボット101の各種動作を制御する。すなわち、演算部10aは、ロボット101の制御指令を生成し、これをサーボ制御部10cに出力する。サーボ制御部10cは、演算部10aにより生成された制御指令に基づいて、ロボット101の各アーム13の関節J1〜J4に対応するサーボモータの駆動を制御するように構成されている。
【0036】
なお、上述したロボット101の構成は一例であって、ロボット101の構成はこれに限定されるものではなく、該ロボット101を用いて実施する作業内容及び作業空間等に応じて適宜、構成は変更される。
【0037】
次に、アイソレータ102の構成について、図1及び図2を参照しながら、詳細に説明する。
【0038】
図1及び図2に示すように、アイソレータ102は、筐体121を備えていて、筐体121の内部空間が作業空間120を構成している。また、アイソレータ102には、作業空間120を滅菌するための過酸化水素ガス等を供給するガス供給装置、作業空間120内を陽圧に保つためのファン等、公知のアイソレータが備える各機器(図示せず)が設けられている。
【0039】
筐体121の作業空間120には、ロボット101が一連の作業を行うための器具が配置されている。器具としては、例えば、ディッシュ124、オートピペット125、オートピペット125に用いられるチップ126、マイクロチューブ127、遠沈管128、遠心分離機129等が挙げられる。
【0040】
また、筐体121の作業空間120には、カメラ130が配置されていて、カメラ130で撮影された映像がロボット101の制御装置10に出力されるように構成されていてもよい。なお、制御装置10は、カメラ130から出力された映像情報を基に、各器具の位置情報を算出するように構成されていてもよく、ロボット101に取り付けられたカメラ(図示せず)からの映像情報を基に各器具の位置情報を算出するように構成されていてもよい。
【0041】
さらに、作業空間120には、後述するグローブ140の先端部分に設けられているハンド部42と同一の構成又は異なる構成のハンド131が配置されていてもよい。ハンド131としては、例えば、ディッシュ124を保持するために把持部が、半径の大きい円弧状に形成されている構成であってもよく、オートピペット125の機能を有するように構成されていてもよく、マイクロチューブ127又は遠沈管128を保持するために把持部が、半径の小さい円弧状に形成されている構成であってもよい。
【0042】
筐体121の側面には、各器具を作業空間120内に搬入するための開閉扉(隔壁)122が設けられている。開閉扉122には、適宜な手段(例えば、Oリング等)により、閉鎖した状態で作業空間120を密閉することができる。また、開閉扉122の適所には、2つの貫通孔123、123が設けられていて、当該貫通孔123を覆うように、グローブ140が設けられている。グローブ140は、適宜な手段(例えば、Oリング等)により、作業空間120内の気密状態を保つことができるように、配設されている。
【0043】
ここで、グローブ140の構成について、図4及び図5を参照しながら、詳細に説明する。
【0044】
図4及び図5は、図1及び図2に示すアイソレータシステムの要部を拡大した断面図であり、図4は、ロボットのアームがグローブの内部に挿入する前の状態を示し、図5は、ロボットのアームがグローブの内部に挿入された状態を示している。
【0045】
図4及び図5に示すように、グローブ140は、外面が作業空間120に露出し、内面が、外気に露出するようにするように設けられている。また、グローブ140は、基端部分41が蛇腹状に形成されている。これにより、グローブ140は、進退(伸縮)自在に可動することができ、かつ、屈曲又は湾曲することができる。
【0046】
基端部分41は、伸縮方向(ロボット101の前後方向)の長さ寸法が、当該基端部分41が伸長した状態で、グローブ140の先端部分が、作業空間120内に配置されている各器具に届くように、適宜調整されている。
【0047】
なお、基端部分41は、作業空間120の気密性を保つことができ、かつ、進退(伸縮)自在、かつ、屈曲又は湾曲することができれば、どのような材料で構成されていてもよく、例えば、PVC(ポリ塩化ビニル)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)等で構成されていてもよい。
【0048】
グローブ140の先端部分(正確には、基端部分41の先端41a)には、ディッシュ124等のワークを保持するためのハンド部42が設けられている。ハンド部42は、作業空間120内に露出するように配設されていて、作業空間120の気密性を保つことができるように、適宜な手段(例えば、Oリング等)により、基端部分41の先端41aに取り付けられている。なお、作業空間120内には、グローブ140のハンド部42を支持するための支持部材が配置されていてもよい。
【0049】
ハンド部42には、ワークを把持するためのツメ部42aが設けられていて、ツメ部42aは、その内面が、円弧状に形成されている。これにより、円板状のディッシュ124、又は円筒状のオートピペット125等を容易に把持することができる。
【0050】
なお、本実施の形態1においては、ツメ部42aの内面が、円弧状に形成されている形態を採用したが、これに限定されない。例えば、ツメ部42aの内面が平板状に形成されている形態を採用してもよい。この場合、ツメ部42aの内面に弾性部材を配置することで、ディッシュ124等のワークとの接触面積を大きくするようにしてもよい。
【0051】
また、グローブ140の先端部分には、操作部43がグローブ140(基端部分41)の内部空間に位置するように設けられている。操作部43は、ロボット101におけるアーム13の把持部19が操作部43を把持することで、ハンド部42のツメ部42aを動作するように構成されている。なお、操作部43は、ツメ部42aを物理的に動作させるように構成されていてもよく、把持部19と電気的に接続されることにより、ツメ部42aを動作させるように構成されていてもよい。
【0052】
[アイソレータシステムの動作及び作用効果]
次に、本実施の形態1に係るアイソレータシステム100の動作及び作用効果について、図1図7を参照しながら説明する。なお、ロボット101が、複数の工程からなる一連の作業を行う動作については、公知のロボットと同様に実行されるため、その詳細な説明は省略する。また、以下の動作は、制御装置10の演算部10aが、記憶部10bに格納されているプログラムを読み出すことにより実行される。
【0053】
まず、ロボット101が、複数の工程からなる一連の作業を実行する前に行う滅菌動作について、図1図6を参照しながら説明する。
【0054】
図6は、本実施の形態1に係るアイソレータシステムにおいて、一連の作業を実行する前に行う滅菌動作の一例を示すフローチャートである。
【0055】
図6に示すように、制御装置10は、オペレータから図示されない入力装置を介して、一連の作業を実行することを示す指示情報が入力されると、ロボット101をアイソレータ102の開閉扉122前にまで移動させ、アーム13を動作させて、開閉扉122を開放させる(ステップS101)。ついで、制御装置10は、アーム13を動作させて、一連の作業で使用する器具等(例えば、ディッシュ124等)を作業空間120内の適宜な位置に配置させる(ステップS102)。
【0056】
次に、制御装置10は、アーム13を動作させて、開閉扉122を閉鎖させる(ステップS103)。ついで、制御装置10は、作業空間120外に位置するアーム13を動作させて、開閉扉122の貫通孔123からグローブ140の基端部分41の内部空間にハンド部18を進入させ、把持部19で、グローブ140の操作部43を把持させる(ステップS104)。このとき、グローブ140の基端部分41は、図4に示すように、収縮した状態(以下、収縮した状態にあるグローブ140の位置を初期位置という)にあるとする。
【0057】
次に、制御装置10は、アーム13を動作させて、基端部分41の内部空間に位置するハンド部18を前方(作業空間120の内部)に向かって、突き出させる(ステップS105)。これにより、図5に示すように、グローブ140の基端部分41が、伸長した状態となる。
【0058】
次に、制御装置10は、滅菌処理を実行する(ステップS106)。具体的には、例えば、ガス供給装置(図示せず)から作業空間120内に過酸化水素ガス等の滅菌用のガスを供給させて、作業空間120内及び各器具等の滅菌処理を実行してもよい。また、例えば、筐体121及び開閉扉122の内壁、ディッシュ124等の各器具、及びグローブ140の表面等に、70〜80%のエタノール水溶液、オキシドール、次亜塩素酸ナトリウム水溶液等を噴霧することで、滅菌処理を実行してもよい。
【0059】
そして、制御装置10は、滅菌処理を実行した後に、本プログラムを終了し、一連の作業を実行する。
【0060】
次に、ロボット101が、複数の工程からなる一連の作業を実行した後に行う滅菌動作について、図1図5、及び図7を参照しながら説明する。
【0061】
図7は、本実施の形態1に係るアイソレータシステムにおいて、一連の作業を実行した後に行う滅菌動作の一例を示すフローチャートである。
【0062】
図7に示すように、制御装置10は、一連の作業の実行を終了したと判断した場合、又はオペレータから図示されない入力装置を介して、一連の作業が終了したことを示す指示情報が入力された場合に、ロボット101のアーム13を動作させる。具体的には、制御装置10は、グローブ140の操作部43を把持部19で把持させた状態で、ハンド部18が後方に移動するようにアーム13を動作させる(ステップS201)。ついで、制御装置10は、基端部分41が収縮して、グローブ140が初期位置までに移動すると、操作部43の把持状態を解放させて、ハンド部18がグローブ140から外れるように、アーム13を動作させる(ステップS202)。
【0063】
次に、制御装置10は、アーム13を動作させて、開閉扉122を開放させる(ステップS203)。ついで、制御装置10は、ロボット101を動作させて、一連の作業で使用した器具等(例えば、ディッシュ124等)を作業空間120外の適宜な位置に搬送させる(ステップS204)。
【0064】
次に、制御装置10は、アーム13を動作させて、開閉扉122を閉鎖させる(ステップS205)。ついで、制御装置10は、作業空間120外に位置するアーム13を動作させて、開閉扉122の貫通孔123から基端部分41の内部空間にハンド部18を進入させ、把持部19で、グローブ140の操作部43を把持させる(ステップS206)。
【0065】
次に、制御装置10は、アーム13を動作させて、基端部分41の内部空間に位置するハンド部18を前方に向かって、突き出させる(ステップS207)。これにより、図5に示すように、グローブ140の基端部分41が、伸長した状態となる。
【0066】
次に、制御装置10は、滅菌処理を実行し(ステップS208)、本プログラムを終了する。
【0067】
このように構成された、本実施の形態1に係るアイソレータシステム100では、アイソレータ102の作業空間120外にロボット101を配置することができるので、ロボット101のメンテナンスを容易に行うことができる。また、ロボット101を作業空間120外に配置することにより、ロボット101のアーム13等が作業空間120内を滅菌するための過酸化水素ガス等に曝されないため、ロボット101が腐食されることを抑制することができる。
【0068】
また、本実施の形態1に係るアイソレータシステム100では、グローブ140の基端部分41が蛇腹状に形成されているため、グローブ140が垂れ下がることを抑制して、グローブ140の形状を維持することができる。また、グローブ140の形状が維持されているため、グローブ140(の先端部分)の位置決めが容易となり、ロボット101のハンド部18を、基端部分41の内部空間内を容易に進退させることができる。このため、ロボット101のアーム13が進退するときに、ハンド部18等と基端部分41との接触を抑制することができ、基端部分41の破損を抑制することができる。
【0069】
さらに、本実施の形態1に係るアイソレータシステム100では、グローブ140の基端部分41を伸長した状態で滅菌処理を実行する。このため、基端部分41の一部が、過酸化水素ガス等が曝されないために、滅菌処理が不充分になることを抑制することができ、グローブ140を充分に滅菌処理することができる。したがって、ディッシュ124等の各器具への細菌等の汚染も充分に抑制することができる。
【0070】
[変形例1]
次に、本実施の形態1に係るアイソレータシステム100の変形例について説明する。
【0071】
本実施の形態1における変形例1のアイソレータシステムは、グローブの内部に配置され、伸縮可能に構成されている蛇腹部材をさらに備える。
【0072】
以下、本実施の形態1における変形例1のアイソレータシステムの一例について、図8を参照しながら、説明する。
【0073】
図8は、本実施の形態1における変形例1のアイソレータシステムの要部を拡大した模式図である。
【0074】
図8に示すように、本変形例1のアイソレータシステム100は、実施の形態1に係るアイソレータシステム100と基本的構成は同じであるが、グローブ140の構成が異なる。具体的には、基端部分41が略筒状に形成されている点と、基端部分41の内部空間(グローブ140の内部)に蛇腹部材141が配置されている点と、が異なる。蛇腹部材141は、基端部が開閉扉122の内壁に接続されていて、先端部が基端部分41の先端41aに接続されている。これにより、蛇腹部材141の伸縮に合わせて、基端部分41が伸縮することができる。
【0075】
また、蛇腹部材141は、作業空間120内の気密性をより確保する観点から、基端部分41と同様に、PVC(ポリ塩化ビニル)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)等で構成されていてもよい。
【0076】
なお、本変形例1においては、基端部分41を略筒状に形成する形態を採用したが、これに限定されず、実施の形態1と同様に、基端部分41を蛇腹状に形成する形態を採用してもよい。
【0077】
このように構成された、本変形例1のアイソレータシステム100であっても、実施の形態1に係るアイソレータシステム100と同様の作用効果を奏する。
【0078】
[変形例2]
本実施の形態1における変形例2のアイソレータシステムは、グローブの内部に配置され、複数のロッドと、ロッドを接続する球面継手と、を有するグローブ保持部材をさらに備え、ロッドは、テレスコープ状に構成されている。
【0079】
以下、本実施の形態1における変形例2のアイソレータシステムの一例について、図9を参照しながら、説明する。
【0080】
図9は、本実施の形態1における変形例2のアイソレータシステムの要部を拡大した模式図である。
【0081】
図9に示すように、本変形例2のアイソレータシステム100は、実施の形態1に係るアイソレータシステム100と基本的構成は同じであるが、グローブ140の構成が異なる。具体的には、基端部分41が略筒状に形成されている点と、基端部分41の内部空間にグローブ保持部材142が配置されている点と、が異なる。
【0082】
グローブ保持部材142は、複数のロッド142aと、球面継手142bと、円環状の第1部材142cと、を有していて、基端部が開閉扉122の内壁に接続されていて、先端部が基端部分41の先端41aに接続されている。具体的には、グローブ保持部材142の基端部には、球面継手142bが配置されていて、先端部には、ロッド142aが配置されている。
【0083】
ロッド142aは、テレスコープ状に構成されていて、ロボット101の前後方向において、隣接するロッド142a、142aが、球面継手142bを介して、接続されている。これにより、グローブ保持部材142は、進退自在に可動することができ、かつ、屈曲することができる。このため、グローブ140の基端部分41もグローブ保持部材142の動作に追随して、進退自在に可動することができ、かつ、屈曲することができる。
【0084】
また、第1部材142cは、ロボット101の上下又は左右方向において、複数のロッド142aを固定している。これにより、基端部分41の内部空間が広がった状態を維持することができ、グローブ140が垂れ下がることを抑制することができる。
【0085】
なお、本変形例2においては、第1部材142cが円環状に形成されている形態を採用したが、これに限定されず、第1部材142cが多角形状に形成されている形態を採用してもよい。
【0086】
このように構成された、本変形例2のアイソレータシステム100であっても、実施の形態1に係るアイソレータシステム100と同様の作用効果を奏する。
【0087】
(実施の形態2)
本実施の形態2に係るアイソレータシステムは、隔壁により、外部と隔離されている作業空間と、外面が作業空間に露出し、内面が外部と連通するように、隔壁に設けられているグローブと、グローブの内部にアームを挿入して、作業空間での作業を行うロボットと、を備え、グローブの先端部分が、ロボットのアーム先端部分の形状に相当するように形成されている。
【0088】
また、本実施の形態2に係るアイソレータシステムでは、グローブは、その基端部分が収縮した状態で、その先端部分が所定の位置に位置決めされるように構成されていてもよい。
【0089】
以下、本実施の形態2に係るアイソレータシステムの一例について、図10図12を参照しながら詳細に説明する。
【0090】
[アイソレータシステムの構成]
図10は、本実施の形態2に係るアイソレータシステムの要部を拡大した模式図である。
【0091】
図10に示すように、本実施の形態2に係るアイソレータシステム100は、実施の形態1に係るアイソレータシステム100と基本的構成は同じであるが、ロボット101の把持部19の形状と、グローブ140の先端部分44の形状と、が異なる。
【0092】
具体的には、把持部19は、ワークを把持するための一対のツメ部19a、19aを有していて、ツメ部19aの内面が、円弧状に形成されている。これにより、円板状のディッシュ124、又は円筒状のオートピペット125等を容易に把持することができる。
【0093】
なお、本実施の形態2においては、ツメ部19aの内面が、円弧状に形成されている形態を採用したが、これに限定されない。例えば、ツメ部19aの内面が平板状に形成されている形態を採用してもよい。この場合、ツメ部19aの内面に弾性部材を配置することで、ディッシュ124等のワークとの接触面積を大きくするようにしてもよい。
【0094】
また、グローブ140の先端部分44は、アーム13の先端部分である、把持部19の形状に相当するように形成されている。すなわち、先端部分44は、把持部19が容易に先端部分44内に進退できるように、把持部19の形状と略一致するように(同等の形状となるように)構成されている。より詳細には、本実施の形態2においては、グローブ140の先端部分44は、その断面形状が全体として略U字状に形成されていて、把持部19を包むように形成されている。
【0095】
なお、本実施の形態2においては、グローブ140の先端部分44は、当該先端部分44の内面と、把持部19の外面と、の間に隙間を有する形態を採用したが、これに限定されず、先端部分44の内面と、把持部19の外面と、の間に隙間を有しない形態を採用してもよい。
【0096】
[アイソレータシステムの動作及び作用効果]
次に、本実施の形態2に係るアイソレータシステム100の動作及び作用効果について、図10図12を参照しながら説明する。なお、ロボット101が、複数の工程からなる一連の作業を行う動作については、公知のロボットと同様に実行されるため、その詳細な説明は省略する。また、以下の動作は、制御装置4の演算部10aが、記憶部10bに格納されているプログラムを読み出すことにより実行される。
【0097】
まず、ロボット101が、複数の工程からなる一連の作業を実行する前に行う滅菌動作について、図10及び図11を参照しながら説明する。
【0098】
図11は、本実施の形態2に係るアイソレータシステムにおいて、一連の作業を実行する前に行う滅菌動作の一例を示すフローチャートである。
【0099】
図11に示すように、本実施の形態2に係るアイソレータシステム100における一連の作業を実行する前に行う滅菌動作は、実施の形態1に係るアイソレータシステム100における一連の作業を実行する前に行う滅菌動作と基本的動作は同じであるが、ステップS104の動作に代えて、ステップS104Aの動作が実行される点が異なる。
【0100】
具体的には、制御装置10は、作業空間120外に位置するロボット101のアーム13を動作させて、開閉扉122の貫通孔123からグローブ140の基端部分41の内部空間にハンド部18を進入させる。そして、制御装置10は、アーム13の把持部19が、グローブ140の先端部分44の内部空間に至るまでアーム13を動作させる(ステップS104A)。このとき、グローブ140の先端部分44は、把持部19の形状に相当するように形成されているため、把持部19は、先端部分44の内部空間を容易に進入することができる。
【0101】
以下、制御装置10は、実施の形態1に係るアイソレータシステム100と同様に、ステップS105及びステップS106を実行することにより、滅菌動作を実行する。
【0102】
次に、ロボット101が、複数の工程からなる一連の作業を実行した後に行う滅菌動作について、図10及び図12を参照しながら説明する。
【0103】
図12は、本実施の形態1に係るアイソレータシステムにおいて、一連の作業を実行した後に行う滅菌動作の一例を示すフローチャートである。
【0104】
図12に示すように、制御装置10は、把持部19のツメ部19aを閉じさせて、把持部19がグローブ140の先端部分44を保持した状態で、ハンド部18が後方に移動するようにアーム13を動作させる(ステップS201A)。ついで、制御装置10は、基端部分41が収縮して、グローブ140が初期位置までに移動すると、把持部19のツメ部19aを開かせて、把持部19を先端部分44から解放させて、ハンド部18がグローブ140から外れるように、アーム13を動作させる(ステップS202A)。
【0105】
次に、制御装置10は、アーム13を動作させて、開閉扉122を開放させる(ステップS203)。ついで、制御装置10は、ロボット101を動作させて、一連の作業で使用した器具等(例えば、ディッシュ124等)を作業空間120外の適宜な位置に搬送させる(ステップS204)。
【0106】
次に、制御装置10は、アーム13を動作させて、開閉扉122を閉鎖させる(ステップS205)。ついで、制御装置10は、作業空間120外に位置するアーム13を動作させて、開閉扉122の貫通孔123からグローブ140の基端部分41の内部空間にハンド部18を進入させる。そして、制御装置10は、アーム13の把持部19が、グローブ140の先端部分44の内部空間に至るまでアーム13を動作させる(ステップS206A)。
【0107】
次に、制御装置10は、アーム13を動作させて、基端部分41の内部空間に位置するハンド部18を前方に向かって、突き出させる(ステップS207)。これにより、図5に示すように、グローブ140の基端部分41が、伸長した状態となる。
【0108】
次に、制御装置10は、滅菌処理を実行し(ステップS208)、本プログラムを終了する。
【0109】
このように構成された、本実施の形態2に係るアイソレータシステム100であっても、実施の形態1に係るアイソレータシステム100と同様の作用効果を奏する。
【0110】
[変形例1]
次に、本実施の形態2に係るアイソレータシステムの変形例について、説明する。
【0111】
本実施の形態2における変形例1のアイソレータシステムは、グローブの内部に配置され、伸縮可能に構成されている蛇腹部材をさらに備える。
【0112】
以下、本実施の形態2における変形例1のアイソレータシステムの一例について、図13を参照しながら、説明する。
【0113】
図13は、本実施の形態2における変形例1のアイソレータシステムの要部を拡大した模式図である。
【0114】
図13に示すように、本変形例1のアイソレータシステム100は、実施の形態2に係るアイソレータシステム100と基本的構成は同じであるが、グローブ140の構成が異なる。具体的には、基端部分41が略筒状に形成されている点と、基端部分41の内部空間に蛇腹部材141が配置されている点と、が異なる。蛇腹部材141は、基端部が開閉扉122の内壁に接続されていて、先端部が基端部分41の先端41aに接続されている。これにより、蛇腹部材141の伸縮に合わせて、基端部分41が伸縮することができる。
【0115】
また、蛇腹部材141は、作業空間120内の気密性をより確保する観点から、基端部分41と同様に、PVC(ポリ塩化ビニル)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)等で構成されていてもよい。
【0116】
なお、本変形例1においては、基端部分41を略筒状に形成する形態を採用したが、これに限定されず、実施の形態2と同様に、基端部分41を蛇腹状に形成する形態を採用してもよい。
【0117】
このように構成された、本変形例1のアイソレータシステム100であっても、実施の形態2に係るアイソレータシステム100と同様の作用効果を奏する。
【0118】
(実施の形態3)
本実施の形態3に係るアイソレータシステムは、実施の形態1又は実施の形態2に係るアイソレータシステムにおいて、アイソレータの作業空間に配置され、ワークを保持するハンドをさらに備える。
【0119】
以下、本実施の形態3に係るアイソレータシステムの一例について、図14を参照しながら説明する。
【0120】
図14は、本実施の形態3に係るアイソレータシステムの要部を拡大した模式図である。
【0121】
図14に示すように、本実施の形態3に係るアイソレータシステム100は、実施の形態2に係るアイソレータシステム100と基本的構成は同じであるが、ロボット101の把持部19の形状と、ハンド131が作業空間120内に配置されている点と、が異なる。なお、作業空間120内には、当該作業空間120内に配置されている各器具に対応することができる1種類のハンド131が配置されていてもよく、各器具のそれぞれに対応する、複数の種類のハンド131が配置されていてもよい。
【0122】
ロボット101の把持部19は、ツメ部19aが平板状に形成されている。すなわち、本実施の形態3に係るアイソレータシステム100におけるロボット101の把持部19は、実施の形態1に係るアイソレータシステム100におけるロボット101の把持部19と同様の構成となっている。
【0123】
また、ハンド131は、ハンド部32と操作部33を有している。ハンド部32には、ワークを把持するためのツメ部32aが設けられている。ツメ部32aは、その内面が、円弧状に形成されている。これにより、円板状のディッシュ124、又は円筒状のオートピペット125等を容易に把持することができる。
【0124】
なお、本実施の形態3においては、ツメ部32aの内面が、円弧状に形成されている形態を採用したが、これに限定されない。例えば、ツメ部32aの内面が平板状に形成されている形態を採用してもよい。この場合、ツメ部32aの内面に弾性部材を配置することで、ディッシュ124等のワークとの接触面積を大きくするようにしてもよい。
【0125】
また、操作部33は、ロボット101におけるアーム13の把持部19が操作部33を把持することで、ハンド部32のツメ部32aを動作するように構成されている。なお、操作部33は、ツメ部32aを物理的に動作させるように構成されていてもよく、把持部19と電気的に接続されることにより、ツメ部32aを動作させるように構成されていてもよい。
【0126】
このように構成された、本実施の形態3に係るアイソレータシステム100であっても、実施の形態2に係るアイソレータシステム100と同様の作用効果を奏する。
【0127】
[変形例1]
次に、本実施の形態3に係るアイソレータシステムの変形例について、説明する。
【0128】
本実施の形態3における変形例1のアイソレータシステムは、グローブの内部に配置され、伸縮可能に構成されている蛇腹部材をさらに備える。
【0129】
以下、本実施の形態3における変形例1のアイソレータシステムの一例について、図15を参照しながら、説明する。
【0130】
図15は、本実施の形態3における変形例1のアイソレータシステムの要部を拡大した模式図である。
【0131】
図15に示すように、本変形例1のアイソレータシステム100は、実施の形態3に係るアイソレータシステム100と基本的構成は同じであるが、グローブ140の構成が異なる。具体的には、基端部分41が略筒状に形成されている点と、基端部分41の内部空間に蛇腹部材141が配置されている点と、が異なる。蛇腹部材141は、基端部が開閉扉122の内壁に接続されていて、先端部が基端部分41の先端41aに接続されている。これにより、蛇腹部材141の伸縮に合わせて、基端部分41が伸縮することができる。
【0132】
また、蛇腹部材141は、作業空間120内の気密性をより確保する観点から、基端部分41と同様に、PVC(ポリ塩化ビニル)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)等で構成されていてもよい。
【0133】
なお、本変形例1においては、基端部分41を略筒状に形成する形態を採用したが、これに限定されず、実施の形態3と同様に、基端部分41を蛇腹状に形成する形態を採用してもよい。
【0134】
このように構成された、本変形例1のアイソレータシステム100であっても、実施の形態3に係るアイソレータシステム100と同様の作用効果を奏する。
【0135】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良又は他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0136】
本発明のアイソレータシステムは、アイソレータの内部空間で作業を行うロボットのメンテナンスを容易に行うことができるため、産業ロボットの分野において有用である。
【符号の説明】
【0137】
10 制御装置
10a 演算部
10b 記憶部
10c サーボ制御部
12 台車
12a 車輪
13 アーム
15 アーム部
15a 第1リンク
15b 第2リンク
16 基軸
17 リスト部
18 ハンド部
18a 装着部
19 把持部
19a ツメ部
32 ハンド部
32a ツメ部
33 操作部
41 基端部分
41a 先端
42 ハンド部
42a ツメ部
43 操作部
44 先端部分
100 アイソレータシステム
101 ロボット
102 アイソレータ
120 作業空間
121 筐体
122 開閉扉
123 貫通孔
124 ディッシュ
125 オートピペット
126 チップ
127 マイクロチューブ
128 遠沈管
129 遠心分離機
130 カメラ
131 ハンド
140 グローブ
141 蛇腹部材
142 グローブ保持部材
142a ロッド
142b 球面継手
142c 第1部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15