特許第6810570号(P6810570)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6810570
(24)【登録日】2020年12月15日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】カカオ分高含有のフィリング
(51)【国際特許分類】
   A23G 3/00 20060101AFI20201221BHJP
   A23G 1/36 20060101ALI20201221BHJP
   A23D 9/00 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
   A23G3/00
   A23G1/36
   A23D9/00
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-193229(P2016-193229)
(22)【出願日】2016年9月30日
(65)【公開番号】特開2018-50582(P2018-50582A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年7月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 立志
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 敬宏
(72)【発明者】
【氏名】土橋 さゆり
【審査官】 澤田 浩平
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/061750(WO,A1)
【文献】 国際公開第2016/125791(WO,A1)
【文献】 特開2010−077244(JP,A)
【文献】 特開2014−207890(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0286940(US,A1)
【文献】 米国特許第05288513(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23G,A23D
CAplus/WPIDS/FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィリング全体中、水分を0.1〜3重量%、水溶性固形分を7〜35重量%、無脂カカオ分を5〜20重量%、カカオバターを3〜10重量%、及びカカオバター以外の油脂を50〜80重量%含み、
フィリングに含まれる油脂中の構成脂肪酸全体中、トランス脂肪酸含有量が3重量%以下であり、
フィリングに含まれる油脂全体中SSSを3〜10重量%、S2Uを20〜35重量%、SU2を20〜25重量%、UUUを20〜45重量%、及びSSUを8〜20重量%含有することを特徴とするフィリング。
SSS:Sが3分子結合しているトリグリセリド、
S2U:Sが2分子、Uが1分子結合しているトリグリセリド、
SU2:Sが1分子、Uが2分子結合しているトリグリセリド、
UUU:Uが3分子結合しているトリグリセリド、
SSU:1位及び2位、又は2位及び3位にSが、1位又は3位にUが結合しているトリグリセリド、
S:C16以上の飽和脂肪酸、
U:C16以上の不飽和脂肪酸
【請求項2】
フィリングに含まれる油脂中の構成脂肪酸全体中、ベヘン酸を0.5〜5重量%含有する請求項1記載のフィリング。
【請求項3】
フィリングに含まれるカカオバター以外の油脂全体中、融点が20℃を超えるパーム系油脂を30〜80重量%且つ液油を20〜60重量%含有し、それらを合計で60〜100重量%含有する請求項1又は2に記載のフィリング。
【請求項4】
パーム系油脂が、パーム系油脂のエステル交換油の分別液状部であり、且つヨウ素価が35〜62の油脂である請求項3に記載のフィリング。
【請求項5】
フィリング全体中、水分を0.1〜3重量%、水溶性固形分を7〜35重量%、無脂カカオ分を5〜20重量%、カカオバターを3〜10重量%、及びカカオバター以外の油脂を55〜80重量%含み、フィリングに含まれる油脂中の構成脂肪酸全体中、トランス脂肪酸含有量が3重量%以下であり、フィリングに含まれる油脂全体中SSSを3〜10重量%、S2Uを20〜35重量%、SU2を20〜25重量%、UUUを20〜45重量%、及びSSUを8〜20重量%含有する混合物を乳化し、急冷捏和することを特徴とするフィリングの製造方法。
【請求項6】
請求項1〜4の何れかに記載のフィリングを含む食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィリング、及び該フィリングを含む食品に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでのカカオ含有フィリングは、カカオ分と他の成分との相溶性を保ちながら軟質にするため、通常、部分水素添加油が配合され、トランス脂肪酸が含まれていることが多かった。しかし最近の健康志向と食の多様化により、低トランス脂肪酸でありながらチョコレート風味が強く、良好な口溶けと保型性を有し、可塑性が良好なフィリングが望まれている。チョコレート風味の強いフィリングとしては、スプレッド状チョコレートとチョコレートスプレッドの2種類がある。
【0003】
スプレッド状チョコレートは、チョコレート規格でチョコレート製造設備を用いて製造されるため、水分は3%以下であり、カカオマスやココアパウダーが油脂中に分散していることから、チョコレート風味を強く感じる。しかし、油脂含有量が少なく、粉糖や粉乳といった固形分が多いので、口溶けが悪く、可塑性も十分ではない。
【0004】
一方、チョコレートスプレッドは、急冷捏和装置で製造されるために、微細結晶が増えて可塑性が良好になり、また流動性の観点から油脂含有量が多くて口溶けも良好になるが、水分を3%より多く含むために、水溶性固形分や無脂カカオ分が水相に溶解するため、チョコレート風味がやや弱くなる。
【0005】
特許文献1では、低トランス脂肪酸にも関わらず、良好な風味と口溶けを満足させるために、炭素数16〜24の飽和脂肪酸(Z)を特定量含有し、炭素数16〜24の飽和脂肪酸(Z)と炭素数16〜24の不飽和脂肪酸(X)とからなるジ飽和モノ不飽和トリグリセリド(Z2X)が特定量未満、モノ飽和ジ不飽和トリグリセリド(ZX2)が特定量以上であって、ZX2に対するZ2Xの比が特定値である油脂組成物、及び油脂組成物を使用した低トランス脂肪酸のチョコレート用油脂組成物が開示されているが、口溶けが十分でなく、可塑性も十分ではないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−228641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、低トランス脂肪酸でありながらチョコレート風味が強く、良好な口溶けと保型性を有し、可塑性が良好なフィリング、並びに該フィリングを含む食品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、フィリングにおいて、健康面からトランス脂肪酸含有量を少なくするとともに、チョコレート風味を強くするために、水分や水溶性固形分を少なくし、無脂カカオ分やカカオバターを高含有させた上で、さらに、カカオバター以外の油脂を特定量含有させ、油脂中にSSS、S2U、SU2、UUU、及びSSUを特定量含ませることで、良好な口溶け、保型性及び可塑性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明の第一は、フィリング全体中、水分を0.1〜3重量%、水溶性固形分を7〜35重量%、無脂カカオ分を5〜20重量%、カカオバターを3〜10重量%、及びカカオバター以外の油脂を50〜80重量%含み、フィリングに含まれる油脂中の構成脂肪酸全体中、トランス脂肪酸含有量が3重量%以下であり、フィリングに含まれる油脂全体中SSSを3〜10重量%、S2Uを20〜35重量%、SU2を10〜25重量%、UUUを20〜45重量%、及びSSUを8〜20重量%含有することを特徴とするフィリングに関する。
SSS:Sが3分子結合しているトリグリセリド、
S2U:Sが2分子、Uが1分子結合しているトリグリセリド、
SU2:Sが1分子、Uが2分子結合しているトリグリセリド、
UUU:Uが3分子結合しているトリグリセリド、
SSU:1位及び2位、又は2位及び3位にSが、1位又は3位にUが結合しているトリグリセリド、
S:C16以上の飽和脂肪酸、
U:C16以上の不飽和脂肪酸
本発明のフィリングは、フィリングに含まれる油脂中の構成脂肪酸全体中、ベヘン酸を0.5〜5重量%含有することが好ましい。
【0010】
また、本発明のフィリングは、フィリングに含まれるカカオバター以外の油脂全体中、融点が20℃を超えるパーム系油脂を30〜80重量%且つ液油を20〜60重量%含有し、それらを合計で60〜100重量%含有することが好ましく、パーム系油脂が、パーム系油脂のエステル交換油の分別液状部であり、且つヨウ素価が35〜62の油脂であることがより好ましい。
【0011】
本発明の第二は、フィリング全体中、水分を0.1〜3重量%、水溶性固形分を7〜35重量%、無脂カカオ分を5〜20重量%、カカオバターを3〜10重量%、及びカカオバター以外の油脂を55〜80重量%含み、フィリングに含まれる油脂中の構成脂肪酸全体中、トランス脂肪酸含有量が3重量%以下であり、フィリングに含まれる油脂全体中SSSを3〜10重量%、S2Uを20〜35重量%、SU2を10〜25重量%、UUUを20〜45重量%、及びSSUを8〜20重量%含有する混合物を乳化し、急冷捏和することを特徴とするフィリングの製造方法に関する。
【0012】
本発明の第三は、前記フィリングを含む食品に関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、低トランス脂肪酸でありながらチョコレート風味が強く、良好な口溶けと保型性を有し、可塑性が良好なフィリング、並びに該フィリングを含む食品を提供することができる。さらに、本発明の好適な態様によれば、粗大結晶が増えてフィリングの可塑性が悪化することを抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。本発明に係るフィリングは、水分、水溶性固形分、無脂カカオ分、カカオバター及びカカオバター以外の油脂をそれぞれ特定量含有し、フィリングに含まれる油脂の構成脂肪酸全体に対するトランス脂肪酸含有量が特定量以下であり、フィリングに含まれる油脂全体に対するSSS含量、S2U含量、SU2含量、UUU含量及びSSU含量が特定の範囲内であることを特徴とする。
【0015】
前記水分の含有量は、フィリング全体中、0.1〜3重量%であることが好ましく、0.1〜2重量%であることがより好ましく、0.1〜1重量%であることが更に好ましい。水分含有量が少ないほど無脂カカオ分、カカオバター及び水溶性固形分が油脂中に分散し、フィリングやこれを用いて製造した食品におけるチョコレート風味が強くなることから好ましい。しかし、無脂カカオ分、カカオバター及びカカオバター以外の油脂にも水分が含まれるため、フィリング中の水分含有量を0.1重量%未満にすることは難しい。また、3重量%を超えると、チョコレート風味が強く感じられない場合がある。
【0016】
前記水溶性固形分としては、糖類(単糖類、二糖類)、オリゴ糖、多糖類、甘味料、乳固形分、塩類、タンパク質、風味エキス、酸味料、増粘剤、酵素等が挙げられ、これらの群より選ばれる少なくとも1種類を用いることができる。なお、本願において、水溶性固形分は、無脂カカオ分以外の水溶性固形分を指すものとする。
【0017】
前記糖類としては、単糖類(ブドウ糖、果糖等)、二糖類(砂糖、麦芽糖、乳糖等)等が挙げられる。前記オリゴ糖としては、イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ラフィノース等が挙げられる。前記多糖類としては、デンプン、デキストリン、食物繊維等が挙げられる。前記甘味料としては、スクラロース、アスパルテーム、アセスルファム、ネオテーム等が挙げられる。前記乳固形分としては、脱脂粉乳、全粉乳、バターミルクパウダー等が挙げられる。前記塩類としては、食塩、塩化カリウム等が挙げられる。前記タンパク質としては、大豆タンパクやカゼイン等が挙げられる。前記風味エキスとしては、酵母エキス、肉類のエキス等が挙げられる。前記酸味料としては、クエン酸、アジピン酸、酒石酸等が挙げられる。前記増粘剤としては、カラギーナン、グアーガム等が挙げられる。前記酵素としては、プロテアーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ等が挙げられる。
【0018】
前記水溶性固形分の含有量は、フィリング全体中、7〜35重量%であることが好ましく、10〜25重量%であることがより好ましく、10〜20重量%であることが更に好ましい。7重量%未満であると、チョコレート風味が弱く感じる場合があり、35重量%を超えると相対的に油脂含量が少なくなることで、可塑性や口溶け感が悪くなる場合がある。
【0019】
前記無脂カカオ分の含有量は、フィリング全体中、5〜20重量%が好ましく、8〜15重量%がより好ましく、10〜13重量%が更に好ましい。カカオバターの含有量は、フィリング全体中、3〜10重量%が好ましく、4〜8重量%がより好ましく、5〜7重量%が更に好ましい。本発明のフィリングには、前記無脂カカオ分やカカオバターの原料として、カカオマスやココアパウダーを配合できるが、カカオマスやココアパウダーの配合量が多いほど、それらに含まれるカカオバターや無脂カカオ分のフィリング中での含有量が多く、チョコレート風味が強くなる。その一方で、カカオマスやココアパウダーの配合量が増えるにつれて、それらに含まれるカカオバターは結晶化が遅いために、粗大結晶が増えてフィリングの可塑性が悪化する傾向にある。無脂カカオ分やカカオバターの含有量が前記の範囲内になるようにカカオマスやココアパウダーを配合することで、チョコレート風味と可塑性のバランスの良いフィリングを得ることができる。
【0020】
前記カカオバター以外の油脂の含有量は、フィリング全体中、50〜80重量%が好ましく、55〜75重量%がより好ましく、60〜70重量%が更に好ましい。前記カカオバター以外の油脂の含有量が50重量%未満では、可塑性や口溶けが悪くなる場合がある。一方、前記カカオバター以外の油脂の含有量が80重量%を超えると、無脂カカオ分及びカカオバターの原料であるカカオマスやココアパウダーの配合量が相対的に減少し、フィリングのチョコレート風味が弱くなる場合がある。
【0021】
前記カカオバター以外の油脂としては、カカオバター以外の食用油脂を適宜使用できる。カカオバターと組み合わせて使用することで、フィリングに含まれる油脂全体に対するSSS含量、S2U含量、SU2含量、UUU含量及びSSU含量を特定の範囲内に収めることができるよう適切な食用油脂を選択して使用すればよい。前記食用油脂としては、パーム系油脂、液油、ラウリン系油脂等の植物油、牛脂、豚脂等の動物脂、魚油、乳脂肪等や、それらの分別油、エステル交換油、極度硬化油等が挙げられる。その中でも、コスト面ではパーム系油脂が好ましい。また、前記SSS含量等を特定の範囲内に収めることが容易であるため、融点が20℃を超えるパーム系油脂、液油、及びそれらの併用が好ましい。
【0022】
前記パーム系油脂としては、パーム油、パーム分別油、パーム極度硬化油及びそれらをエステル交換した油脂等が挙げられる。前記液油としては、菜種油、大豆油、コーン油、サフラワー油、綿実油、米油等が挙げられる。尚、本発明において液油とは、20℃において液状である油脂を意味する。前記ラウリン系油脂としては、ヤシ油、パーム核油、及びそれらの分別油や極度硬化油等が挙げられる。
【0023】
前記パーム系油脂をエステル交換した油脂としては、パームステアリンのエステル交換油や、パーム系油脂のエステル交換油の分別液状部などが挙げられる。中でも、パームステアリンのエステル交換油の分別液状部を用いた場合には、フィリングに好ましい風味を付与することができることから好ましい。
【0024】
パーム系油脂のエステル交換油の分別液状部は、パーム系油脂をランダムエステル交換した後に、固体部を除去して得られる液状部のことであり、融点が20℃を超えるパーム系油脂に該当する。当該液状部のヨウ素価は35〜62が好ましく、37〜58がより好ましく、40〜55が更に好ましい。ヨウ素価が35より低いと、分別の効率が悪くなってコストが上がったり、高融点成分が多くなってフィリングの口溶けが悪くなったりする場合があり、ヨウ素価が62より高いとSSU成分が少なくなり可塑性が悪化する場合がある。前記ヨウ素価は、「日本油化学会制定、基準油脂分析試験法2.3.4.1−1996」に準拠して測定できる。
【0025】
前記エステル交換に供するパーム系油脂のヨウ素価は30〜58が好ましく、その範囲であれば、最終的に得られる分別液状部のヨウ素価を35〜62に調整し易い。前記エステル交換に供する油脂としては、例えば、そのままエステル交換に使用する場合、パーム油、パームステアリン、パーム中融点部、パームオレインが挙げられる。パームダブルオレイン、パームスーパーオレイン、パームトップオレイン、パームハードステアリンなどヨウ素価が30未満、もしくは58を超えるパーム系油脂は、前記パーム系油脂同士を混合してヨウ素価を30〜58の範囲に調整した後、エステル交換に供することができ、又これらの硬化油及びエステル交換油を混合してヨウ素価30〜58に調整してからエステル交換に供してもよい。
【0026】
前記パーム系油脂のエステル交換は常法に従って行えばよい。エステル交換に用いる触媒としては、食品用途に用いられる触媒であれば種類を問わずに使用でき、例えばナトリウムメチラートやリパーゼ等が挙げられる。リパーゼは通常トリグリセリドのエステル交換に用いられるリパーゼなら特に種類は選ばないが、パーム油を原料に用いる場合には、対称型トリグリセリドSUSを減少させるため、1,3位だけでなく2位に対してもエステル交換活性を持つものが好ましい。具体的にはThermomyces属由来、Alcaligenes属由来のリパーゼなどが挙げられる。
【0027】
前記エステル交換後の分別方法としては、食用油脂に一般的に適用される方法が挙げられる。例えば、パーム系油脂のエステル交換油を温調しながら攪拌して結晶を析出させた後、その油脂を加圧圧搾装置に導入して圧搾して液状部を得ることができる。具体的には、パーム系油脂のランダムエステル交換油を5〜48時間、分別に供するエステル交換油脂の融点よりも2〜14℃低い温度で温調しながら攪拌して結晶を析出させ、その油脂を加圧圧搾装置に導入し、前記温度を維持しながら0.5〜5MPaで圧搾すると、容易にヨウ素価が35〜62の液状部が得られて好ましい。
【0028】
更に前記パーム系油脂のエステル交換油の分別液状部は、SSSを2〜13重量%含有し、SSUとSUSを合計で34〜54重量%含有し、(SSUとSUSの合計含有量)/(SSS含有量)の重量比率が4〜20且つ(SSU含有量)/(SUS含有量)の重量比率が1以上であることが好ましい。
【0029】
本発明のフィリングにおいては、フィリングに含まれるカカオバター以外の油脂全体中、融点が20℃を超えるパーム系油脂を30〜80重量%含有することが好ましい。融点が20℃を超えるパーム系油脂の含有量が30重量%未満であると粗大結晶が増えてフィリングの可塑性が悪化したり、コストが高くなったりする場合があり、80重量%を超えると、可塑性が悪化する場合がある。また、フィリング中のカカオバター以外の油脂全体中、液油の含有量は20〜60重量%であることが好ましい。液油の含有量が20重量%未満であると可塑性が悪化する場合があり、60重量%を超えると、柔らかく保型性が悪化する場合がある。前記融点が20℃を超えるパーム系油脂及び液油は、フィリングに含まれるカカオバター以外の油脂全体中、融点が20℃を超えるパーム系油脂を30〜80重量%且つ液油を20〜60重量%を含有し、それらを合計で60〜100重量%含有するのがより好ましい。
【0030】
本発明のフィリングにおいては、油脂(トリグリセリド)中の構成脂肪酸が特定の条件を満足し、また、前記組成物は、特定のトリグリセリドを特定量含むことを特徴とする。なお、油脂は、1分子のグリセリンに対し3分子の脂肪酸がエステル結合してなるトリグリセリドである。トリグリセリドを構成している前記脂肪酸を、油脂中の構成脂肪酸という。本願における脂肪酸及びトリグリセリドの表記は、以下の通りである。
【0031】
S:炭素数16以上の飽和脂肪酸(好ましくは炭素数24以下)
U:炭素数16以上の不飽和脂肪酸(好ましくは炭素数24以下)
SSS:構成脂肪酸としてSが3分子結合しているトリグリセリド
S2U:構成脂肪酸としてSが2分子、Uが1分子結合しているトリグリセリド
SU2:構成脂肪酸としてSが1分子、Uが2分子結合しているトリグリセリド
UUU:構成脂肪酸としてUが3分子結合しているトリグリセリド
SSU:グリセリンの1位及び2位、又は、2位及び3位に構成脂肪酸としてSが、1位又は3位にUが結合しているトリグリセリド
本発明のフィリングに含まれる油脂中の構成脂肪酸全体中における前記トランス脂肪酸含有量は、健康面から3重量%以下であることが好ましく、より好ましくは2重量%以下、更に好ましくは1重量%以下であり、実質的に含有しないことが最も好ましい。ここでトランス脂肪酸を実質的に含有しないとは、本発明のフィリングに、水素添加した油脂原料を配合しないことである。なお、前記トランス脂肪酸含有量は、AOCS Ce 1f−96に準じて測定できる。
【0032】
本発明のフィリングにおいては、フィリングに含まれる油脂中の構成脂肪酸全体中において、ベヘン酸含有量は0.5〜5重量%が好ましく、より好ましくは1.0〜4重量%であり、更に好ましくは1.0〜3重量%である。0.5重量%より少ないと保型性が悪化したり、粗大結晶が増えて可塑性が悪化する場合があり、5重量%より多いと、口溶けが悪化したり、コストが上がり過ぎる場合がある。なお、前記ベヘン酸含有量は、「日本油化学会制定、基準油脂分析試験法暫11−2003及び暫15−2003」に記載されたメチルエステル化法及びガスクロマトグラフ法に準拠して測定する。
【0033】
本発明のフィリングにおいて、SSS含量は、フィリングに含まれる油脂全体(前記カカオバターと前記カカオバター以外の油脂の合計を意味する。以下同様)中、3〜10重量%であることが好ましく、より好ましくは4〜9重量%であり、更に好ましくは5〜8重量%である。3重量%より少ないと保型性が悪化する場合があり、10重量%より多いと、口溶けが悪くなる場合がある。
【0034】
S2U含量は、フィリングに含まれる油脂全体中、20〜35重量%であることが好ましく、より好ましくは25〜35重量%であり、更に好ましくは27〜33重量%である。20重量%より少ないと柔らかく可塑性が悪い場合があり、35重量%より多いと、硬く可塑性が悪い場合がある。
【0035】
SU2含量は、フィリングに含まれる油脂全体中、10〜25重量%であることが好ましく、より好ましくは15〜25重量%であり、更に好ましくは20〜25重量%である。10重量%より少ないとコストが高くなる場合があり、25重量%より多いと、可塑性が悪化する場合がある。
【0036】
UUU含量は、フィリングに含まれる油脂全体中、20〜45重量%であることが好ましく、より好ましくは25〜40重量%であり、更に好ましくは28〜37重量%である。20重量%より少ないと硬く可塑性が悪化する場合があり、45重量%より多いと、保型性が悪化する場合がある。
【0037】
SSU含量は、フィリングに含まれる油脂全体中、8〜20重量%であることが好ましく、より好ましくは12〜18重量%であり、更に好ましくは14〜17重量%である。8重量%より少ないと相対的にSUSが多くなることで粗大結晶が増えて可塑性が悪化する場合があり、20重量%より多いと、硬く可塑性が悪い場合がある。
【0038】
前記SSS、S2U、SU2、及びUUU含量は、ガスクロマトグラフ法により分析できる。また、SSU含量は、HPLCを用いて硝酸銀カラムにより分析できる。分析条件は「Journal of the American Oil Chemists Society,68,289−293,1991」記載の方法に準拠して分析できる。
【0039】
前記SSS、S2U、SU2、UUU、及びSSU含量を満足するフィリングリングを調製するには、上述したカカオバター及びカカオバター以外の油脂成分をそれぞれ適切な量で配合すればよい。
【0040】
本発明のフィリングは、その他の成分として、通常、フィリングに配合される成分を含有することができる。例えば、乳化剤、着色料、酸化防止剤、pH調整剤、保存料、香料、果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、穀類、豆類、野菜類、卵及び各種卵加工品、肉類、魚介類等の食品素材などが挙げられる。なお、前記その他の成分の合計含有量は、好ましくはフィリング全体中10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。
【0041】
本発明のフィリングの製造例を以下に例示する。具体的には、まず、無脂カカオ分やカカオバターの原料となるカカオマスやココアパウダー、カカオバター以外の油脂、糖類や甘味料及び乳化剤を混合して常法に準じてチョコレートを作製する。次いで、カカオバター以外の油脂を、必要により乳化剤を添加して加熱溶解する。溶解後、チョコレートや糖類、香料を加えて混合物とし、これを乳化した後、急冷捏和させることで本発明のフィリングを製造することができる。
【0042】
本発明のフィリングは、バタークリーム、サンドクリーム、マーガリン等の加工油脂製品として広く使用できる。また、これらの加工油脂製品は、パンや菓子をはじめとする食品のフィリングとして広く使用できる。
【実施例】
【0043】
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」や「%」は重量基準である。
【0044】
<チョコレート風味の評価>
実施例及び比較例で得られたフィリングを20gずつポリカップに小分けして20℃の恒温槽で3時間温調した後、熟練した10名のパネラーにそのまま食べてもらい、以下の基準により官能評価を実施し、それらの平均点を評価値とした。
5点:チョコレート風味が極めて強く感じられる。
4点:チョコレート風味が非常に強く感じられる。
3点:チョコレート風味が強く感じられる。
2点:チョコレート風味が弱く感じられる。
1点:チョコレート風味自体ほとんど感じられない。
【0045】
<口溶けの評価>
実施例及び比較例で得られたフィリングを20gずつポリカップに小分けして20℃の恒温槽で3時間温調した後、熟練した10名のパネラーにそのまま食べてもらい、以下の基準により官能評価を実施し、それらの平均点を評価値とした。
5点:口溶けが極めて良好である。
4点:口溶けが非常に良好である。
3点:口溶けが良好である。
2点:口溶けがやや悪い。
1点:口溶けが悪い。
【0046】
<保型性の評価>
実施例及び比較例で得られたフィリングをコッペパンに35g挟み、25℃で2日間保管してフィリングの状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。
5点:極めて保型性がある。
4点:非常に保型性があり、ダレやシマリがない。
3点:保型性があり、殆どダレやシマリがない。
2点:若干保型性が劣り、ややダレやシマリが生じる。
1点:保型性がなく、ダレやシマリが生じる。
【0047】
<可塑性の評価>
実施例及び比較例で得られたフィリングを、両切りぺネ缶(内径:57mm、長さ:40mm)の片方から突っ込み、もう一方からはみ出す迄押し込んだ。両端からはみ出たフィリングをバターナイフで面切りし、20℃の恒温水槽に浸漬しておき、3時間後にペネトロメーター(ELEX SCIENTIFIC社製「PENETRO METER」)でペネ値を測定し、以下の基準で評価した。なお、測定で得られるペネ値は、小数点以下は四捨五入されている。
5点:ぺネ値が180〜220で適度な硬さで、使用性が極めて良好である。
4点:ぺネ値が160〜179又は221〜240で、やや硬め又はやや柔らかめであるが、使用性は非常に良好である。
3点:ぺネ値が140〜159又は241〜260で、硬め又は柔らかめであるが、使用性は良好である。
2点:ぺネ値が120〜139又は261〜280で、硬すぎ又は柔らかすぎで、使用性が悪い。
1点:ぺネ値が100〜119又は281〜300で、硬すぎ又は柔らかすぎで、使用性が非常に悪い。
【0048】
(製造例1) パーム系油脂のエステル交換油脂の分別液状部の作製
脱酸処理されたパームステアリン(ヨウ素価35)100重量部を500Paの減圧下で90℃に加熱し、0.2重量部のナトリウムメチラートを加えて30分攪拌してランダムエステル交換した。水洗した後、500Paの減圧下、90℃において2重量部の白土を加えて脱色した。脱色後の油脂を、70℃に加熱して完全に溶融させ、46℃で攪拌しながら24時間晶析した。晶析後、3MPaでフィルタープレスして液状部を得た。得られた液状部を240℃、200Paの条件で1時間脱臭して融点38℃、ヨウ素価43のパーム系油脂のエステル交換油脂の分別液状部を得た。
【0049】
(製造例2) エステル交換混合油Aの作製
ヤシ油50重量部及びハイエルシン菜種極度硬化油脂50重量部を500Paの減圧下90℃に加熱し、0.2重量部のナトリウムメチラートを加えて30分攪拌してランダムエステル交換した。水洗した後、500Paの減圧下、90℃において2重量部の白土を加えて脱色し、240℃、200Paの条件で1時間脱臭してエステル交換混合油Aを得た。
【0050】
(製造例3) エステル交換混合油Bの作製
牛脂90重量部及びハイエルシン菜種極度硬化油脂10重量部を500Paの減圧下90℃に加熱し、0.2重量部のナトリウムメチラートを加えて30分攪拌してランダムエステル交換した。水洗した後、500Paの減圧下、90℃において2重量部の白土を加えて脱色し、240℃、200Paの条件で1時間脱臭してエステル交換混合油Bを得た。
【0051】
(製造例4) チョコレートAの作製
製造例1で作製したパーム系油脂のエステル交換油脂の分別液状部を20.2重量部、ココアパウダーA(「デルフィーココアパウダーDF720−11BR」(Petra Foods Limited社製))(カカオバター:11重量%)を18.2重量部、ココアパウダーB(「P−BMG22ココアパウダー」(明治社製))(カカオバター:22重量%)を3.9重量部、カカオマス(カカオバター:55重量%)を23.6重量部、砂糖を32.8重量部、スクラロースを0.9重量%、及びレシチン0.4重量%の配合で常法に準じてチョコレートAを作製した。チョコレートAにおける水分含量は1.3重量%、水溶性固形分含量は33.7重量%、無脂カカオ分含量は29.9重量%、カカオバター含量は15.8重量%、カカオバター以外の油脂含量は20.2重量%であった。
【0052】
(実施例1)
表1の配合に従って、フィリングを得た。即ち、製造例1のパーム系油脂のエステル交換油脂の分別液状部を23重量部、菜種油を31重量部、製造例2のエステル交換混合油Aを4重量部65℃で混合し、乳化剤Aを0.5重量部溶解し、製造例4のチョコレートAを36重量部溶解させ、チョコレートフレーバー0.5重量部を加えた。さらに液糖を5重量部加えて20分乳化させ、急冷捏和装置で捏和し、フィリングを作製した。得られたフィリングについて、チョコレート風味、口溶け、保型性及び可塑性の評価を行い、それらの評価結果を表1にまとめた。
【0053】
【表1】
【0054】
(実施例2)
表1の配合に従って、エステル交換混合油Aを加えず、パーム極度硬化油を加え、製造例1の油脂及び菜種油の量を変えた上で、乳化剤Aの量を変え、乳化剤Bを加えた以外は、実施例1と同様にしてフィリングを得た。得られたフィリングについて、チョコレート風味、口溶け、保型性及び可塑性の評価を行い、それらの評価結果を表1にまとめた。
【0055】
(実施例3、比較例2)
表1の配合に従って、液糖を加えず、製造例1の油脂、菜種油及びチョコレートAの量を変えた以外は、実施例1と同様にしてフィリングを得た。得られたフィリングについて、チョコレート風味、口溶け、保型性及び可塑性の評価を行い、それらの評価結果を表1にまとめた。
【0056】
(実施例4及び5)
表1の配合に従って、製造例1の油脂、菜種油及びチョコレートAの量を変え、液糖を加えずに水を加えた以外は、実施例1と同様にしてフィリングを得た。得られたフィリングについて、チョコレート風味、口溶け、保型性及び可塑性の評価を行い、それらの評価結果を表1にまとめた。
【0057】
(実施例6、比較例3)
表1の配合に従って、製造例1の油脂、菜種油及びチョコレートAの量を変えた以外は、実施例1と同様にしてフィリングを得た。得られたフィリングについて、チョコレート風味、口溶け、保型性及び可塑性の評価を行い、それらの評価結果を表1にまとめた。
【0058】
(比較例1)
表1の配合に従って、製造例1の油脂及び菜種油の量を変え、水を加えた以外は、実施例1と同様にしてフィリングを得た。得られたフィリングについて、チョコレート風味、口溶け、保型性及び可塑性の評価を行い、それらの評価結果を表1にまとめた。
【0059】
(比較例4)
表1の配合に従って、製造例1の油脂を加えず、菜種油、エステル交換混合油A及びチョコレートAの量を変えた以外は、実施例1と同様にしてフィリングを得た。得られたフィリングについて、チョコレート風味、口溶け、保型性及び可塑性の評価を行い、それらの評価結果を表1にまとめた。
【0060】
実施例1のフィリングは、チョコレート風味は強く感じられ、口溶けも良く、保型性や可塑性も非常に良好だった。
【0061】
実施例2のフィリングは、チョコレート風味が非常に強く感じられ、口溶け、保型性は良好で、可塑性は非常に良好だった。
【0062】
実施例3のフィリングは、チョコレート風味が非常に強く感じられ、口溶け、保型性及び可塑性も非常に良好だった。
【0063】
実施例4のフィリングは、チョコレート風味は強く感じられ、口溶けも良く、保型性や可塑性も非常に良好だった。一方、比較例1のフィリングは、口溶け、保型性及び可塑性は非常に良好だったが、チョコレート風味は弱かった。
【0064】
実施例5のフィリングは、チョコレート風味は強く感じられ、口溶けも良く、保型性や可塑性も非常に良好だった。一方、比較例2のフィリングは、口溶け、保型性及び可塑性は非常に良好だったが、チョコレート風味は弱かった。また、比較例3のフィリングは、口溶けは良く、保型性及び可塑性は非常に良好だったが、チョコレート風味はあまり感じられなかった。
【0065】
実施例6のフィリングは、チョコレート風味が非常に強く感じられ、口溶けや保型性も非常に良好で、可塑性も良好だった。一方、比較例4のフィリングは、チョコレート風味は非常に強く感じられ、口溶けや保型性も非常に良好だったが、可塑性が悪かった。
【0066】
(実施例7、比較例5)
表2の配合に従って、エステル交換混合油Aを加えず、エステル交換混合油B及びパーム中融点部を加え、製造例1の油脂及び菜種油の量を変えた以外は、実施例1と同様にしてフィリングを得た。得られたフィリングについて、チョコレート風味、口溶け、保型性及び可塑性の評価を行い、それらの評価結果を表2にまとめた。
【0067】
【表2】
【0068】
(実施例8、比較例6)
表2の配合に従って、パーム極度硬化油を加え、製造例1の油脂及び菜種油の量を変えた以外は、実施例1と同様にしてフィリングを得た。得られたフィリングについて、チョコレート風味、口溶け、保型性及び可塑性の評価を行い、それらの評価結果を表2にまとめた。
【0069】
(実施例9)
表2の配合に従って、製造例1の油脂を加えず、エステル交換混合油Bを加え、菜種油及びエステル交換混合油Aの量を変えた以外は、実施例1と同様にしてフィリングを得た。得られたフィリングについて、チョコレート風味、口溶け、保型性及び可塑性の評価を行い、それらの評価結果を表2にまとめた。
【0070】
(実施例10)
表2の配合に従って、エステル交換混合油Bを加え、製造例1の油脂、菜種油及びエステル交換混合油Aの量を変えた以外は、実施例1と同様にしてフィリングを得た。得られたフィリングについて、チョコレート風味、口溶け、保型性及び可塑性の評価を行い、それらの評価結果を表2にまとめた。
【0071】
(実施例11)
表2の配合に従って、製造例1の油脂、菜種油及びエステル交換混合油Aの量を変えた以外は、実施例1と同様にしてフィリングを得た。得られたフィリングについて、チョコレート風味、口溶け、保型性及び可塑性の評価を行い、それらの評価結果を表2にまとめた。
【0072】
(比較例7)
表2の配合に従って、パーム中融点部を加え、製造例1の油脂及び菜種油の量を変えた以外は、実施例1と同様にしてフィリングを得た。得られたフィリングについて、チョコレート風味、口溶け、保型性及び可塑性の評価を行い、それらの評価結果を表2にまとめた。
【0073】
(比較例8)
表2の配合に従って、製造例1の油脂及びエステル交換混合油Aを加えず、エステル交換混合油B及びパーム中融点部を加え、菜種油の量を変えた以外は、実施例1と同様にしてフィリングを得た。得られたフィリングについて、チョコレート風味、口溶け、保型性及び可塑性の評価を行い、それらの評価結果を表2にまとめた。
【0074】
(比較例9)
表2の配合に従って、製造例1の油脂及び菜種油の量を変えた以外は、実施例1と同様にしてフィリングを得た。得られたフィリングについて、チョコレート風味、口溶け、保型性及び可塑性の評価を行い、それらの評価結果を表2にまとめた。
【0075】
実施例7のフィリングは、チョコレート風味が非常に強く感じられ、口溶けや可塑性も非常に良好で、保型性も良好であった。一方、比較例5のフィリングは、チョコレート風味が非常に強く感じられ、口溶けや可塑性も非常に良好であったが、保型性が悪かった。
【0076】
実施例8のフィリングは、チョコレート風味が強く感じられ、口溶けも良好で、保型性は極めて良く、可塑性も非常に良好であった。一方、比較例6のフィリングは、保型性は極めて良く、可塑性も非常に良好であったが、チョコレート風味が弱く、口溶けもやや悪かった。
【0077】
実施例9のフィリングは、チョコレート風味が強く感じられ、口溶けも良好で、保型性は極めて良く、可塑性も非常に良好であった。
【0078】
実施例10のフィリングは、チョコレート風味が強く感じられ、口溶けや可塑性も良好で、保型性は極めて良好であった。一方、比較例7のフィリングは、チョコレート風味は非常に強く感じられ、口溶けや保型性も非常に良好であったが、可塑性が悪かった。また、比較例8及び9のフィリングは、チョコレート風味が強く感じられ、口溶けも良好で、保型性は非常に良かったが、可塑性が悪かった。
【0079】
実施例11のフィリングは、チョコレート風味が非常に強く感じられ、口溶けは非常に良好で、保型性も良く、可塑性は極めて良好であった。