(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記角部と前記周囲部との境界は、前記複合材料の厚み方向に沿って延びる平面状となっていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の複合材料の成形方法。
前記角部と前記周囲部との境界は、前記複合材料の内側から外側に向かって、前記周囲部が広がり、それに応じて、前記角部が狭まる形状か、または、前記複合材料の内側から外側に向かって、前記周囲部が狭まり、それに応じて、前記角部が広がる形状に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の複合材料の成形方法。
前記角部と前記周囲部との境界は、前記複合材料の内側から外側に向かって、前記周囲部が広がると共に前記角部が狭まる領域と、前記周囲部が狭まると共に前記角部が広がる領域と、が交互に設けられた形状に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の複合材料の成形方法。
前記周囲部に含まれる前記強化繊維が途切れて断絶される境界面である繊維断絶境界面が、前記複合材料の厚み方向に沿って延びる平面状となっていることを特徴とする請求項16に記載の複合材料。
前記周囲部に含まれる前記強化繊維が途切れて断絶される境界面である繊維断絶境界面が、前記複合材料の内側から外側に向かって、前記周囲部が広がり、それに応じて、前記角部が狭まる形状か、または、前記複合材料の内側から外側に向かって、前記周囲部が狭まり、それに応じて、前記角部が広がる形状に形成されていることを特徴とする請求項16に記載の複合材料。
前記周囲部に含まれる前記強化繊維が途切れて断絶される境界面である繊維断絶境界面が、前記複合材料の内側から外側に向かって、前記周囲部が広がると共に前記角部が狭まる領域と、前記周囲部が狭まると共に前記角部が広がる領域と、が交互に設けられた形状に形成されていることを特徴とする請求項16に記載の複合材料。
前記第1の強化繊維と前記第2の強化繊維とが不連続となる境界面である繊維不連続境界面が、前記複合材料の厚み方向に沿って延びる平面状となっていることを特徴とする請求項20に記載の複合材料。
前記第1の強化繊維と前記第2の強化繊維とが不連続となる境界面である繊維不連続境界面が、前記複合材料の内側から外側に向かって、前記周囲部が広がり、それに応じて、前記角部が狭まる形状か、または、前記複合材料の内側から外側に向かって、前記周囲部が狭まり、それに応じて、前記角部が広がる形状に形成されていることを特徴とする請求項20に記載の複合材料。
前記第1の強化繊維と前記第2の強化繊維とが不連続となる境界面である繊維不連続境界面が、前記複合材料の内側から外側に向かって、前記周囲部が広がると共に前記角部が狭まる領域と、前記周囲部が狭まると共に前記角部が広がる領域と、が交互に設けられた形状に形成されていることを特徴とする請求項20に記載の複合材料。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の方法と同様の従来の複合材料の成形方法を、
図12及び
図13を用いて説明する。
図12は、従来の複合材料の成形方法で成形された従来の複合材料100の概略図である。
図13は、
図12の従来の複合材料100を成形するための部材として用いられる従来の部材110の概略図である。
【0005】
従来の複合材料100は、
図12に示すように、三面角である従来の角部102を含む。従来の部材110は、
図13に示すように、三面を形成する部材と、三面を形成する部材の間に設けられた従来の角部片112と、を含む。従来の部材110は、折り曲げられて積層され、特許文献1に記載の方法を用いて成形されることで、従来の部材110が成形される。従来の角部片112は、周囲で折り曲げられて積層され、特許文献1に記載の方法を用いて成形されることで、従来の角部102となる。
【0006】
従来の角部片112は、周囲で折り曲げられるため、しわ、隙間、あるいは意図しない周囲の部材との重なりが生じやすく、品質よく積層されることが困難である。そのため、従来の角部片112が積層されて形成される従来の角部102は、しわ、隙間、あるいは意図しない周囲の部材との重なりが生じやすく、形状においても、強度においても、品質を保持することが困難となる可能性があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、品質の良い角部を適切に成形することができる複合材料の成形方法及び複合材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、複合材料の成形方法は、角部を含む複合材料の成形方法であって、前記角部が形成される前の状態が貫通孔の状態であり、前記貫通孔を取り囲む周囲部を形成する周囲部形成ステップと、前記貫通孔を塞ぎ、前記角部を形成する角部形成ステップと、前記周囲部と前記角部とを一体化させる一体化ステップと、を含むことを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、周囲部を形成すると
共に、周囲部によって形成された貫通孔を塞いで角部を形成することができるため、角部と周囲部とを別々に形成でき、別々に形成した角部と周囲部とを一体化させることができる。このため、周囲部に影響されることなく、角部の形成を行うことができるため、角部にしわ、隙間、あるいは意図しない周囲の部材との重なりが生じることが低減される。これにより、角部の品質の向上を図ることができ、品質の良い角部を適切に成形することができる。
【0010】
この構成において、前記周囲部を形成する周囲部材を準備する周囲部材準備ステップと、をさらに含むことが好ましい。この構成によれば、周囲部の形状及び強度の自由度を増やし、周囲部の形状及び強度の品質を安定化させることができる。
【0011】
これらの構成において、前記角部を形成する角部材を準備する角部材準備ステップと、をさらに含むことが好ましい。この構成によれば、角部の形状及び強度の自由度を増やし、角部の形状及び強度の品質を安定化させることができる。
【0012】
これらの構成において、前記周囲部形成ステップでは、前記周囲部を形成する周囲部材を複数積層して配置し、前記角部形成ステップでは、前記角部を形成する角部材を配置し、前記一体化ステップでは、前記角部材と前記複数の周囲部材とを一体化させてもよい。あるいは、これらの構成において、前記周囲部形成ステップでは、前記周囲部を形成する周囲部材を複数積層して配置し、前記角部形成ステップでは、前記角部を形成する角部材を複数積層して配置し、前記一体化ステップでは、前記複数積層された角部材と前記複数積層された周囲部材とを一体化させてもよい。これらの構成によれば、複数の部材を積層させるので、いずれの場合でも、複数の部材を積層させる部分の形状及び強度の自由度をさらに増やし、複数の部材を積層させる部分の形状及び強度の品質をさらに安定化させることができる。
【0013】
これらの構成において、前記角部と前記周囲部との境界は、前記複合材料の厚み方向に沿って延びる平面状となっていることが好ましい。この構成によれば、周囲部形成ステップ及び角部形成ステップが容易になるため、品質が安定化する。
【0014】
これらの構成において、前記角部と前記周囲部との境界は、前記複合材料の内側から外側に向かって、前記周囲部が広がり、それに応じて、前記角部が狭まる形状か、または、前記複合材料の内側から外側に向かって、前記周囲部が狭まり、それに応じて、前記角部が広がる形状に形成されていることが好ましい。この構成によれば、角部と周囲部との境界の面積が大きく、角部と周囲部との境界の形状が凹凸を含むので、角部と周囲部とをより強固に一体化することができる。
【0015】
周囲部形成ステップでは周囲部を形成する周囲部材を複数積層して配置し、角部形成ステップでは角部を形成する角部材を複数積層して配置する構成において、前記角部と前記周囲部との境界は、前記複合材料の内側から外側に向かって、前記周囲部が広がると共に前記角部が狭まる領域と、前記周囲部が狭まると共に前記角部が広がる領域と、が交互に設けられた形状に形成されていることが好ましい。この構成によれば、角部と周囲部とを嵌め合わせているので、角部と周囲部とをさらに強固に一体化することができる。
【0016】
これらの構成において、前記周囲部形成ステップでは、前記複合材料の内側を成形する成形型のうち前記周囲部を成形する箇所に周囲部材を配置し、前記角部形成ステップでは、前記成形型のうち前記角部を成形する箇所に角部材を配置し、前記一体化ステップの後に、前記成形型を除去することが好ましい。この構成によれば、成形型に基づいて精度よく複合材料を成形することができる。
【0017】
これらの構成において、前記周囲部は、互いに交差する少なくとも三面以上の複数の面を含み、前記周囲部を形成する周囲部材は、展開形状の複合材料を折り曲げて前記複数の面を形成したものであり、前記角部は、前記複数の面が交差する箇所に位置しており、前記複数の面と連続に接続する滑らかな曲面を有することが好ましい。この構成によれば、角部が、鋭角となりやすい三面角の場合でも、周囲部に影響されることなく、角部の形成を行うことができるため、角部の品質の向上を図ることができ、品質の良い角部を適切に成形することができる。
【0018】
これらの構成において、前記複合材料は、強化繊維に熱硬化性樹脂を含浸させたものであり、前記熱硬化性樹脂は、軟化状態と、硬化状態と、半硬化状態となるものであり、前記周囲部形成ステップ及び前記角部形成ステップでは、前記周囲部と前記角部との少なくともいずれかの前記熱硬化性樹脂を軟化状態または半硬化状態とし、前記一体化ステップでは、前記熱硬化性樹脂を硬化状態とすることが好ましい。この構成によれば、熱硬化性樹脂が硬化状態となることで、角部と周囲部とを強固に一体化させることができる。
【0019】
複合材料が強化繊維に熱硬化性樹脂を含浸させた構成において、前記周囲部に含浸された熱硬化性樹脂と、前記角部に含浸された熱硬化性樹脂と、が同じ種類であり、前記一体化ステップでは、前記周囲部に含浸された熱硬化性樹脂と、前記角部に含浸された熱硬化性樹脂と、が一体化することがより好ましい。この構成によれば、熱硬化性樹脂が硬化状態となることで、角部と周囲部とをより強固に一体化させることができる。
【0020】
複合材料が強化繊維に熱硬化性樹脂を含浸させた構成において、前記周囲部を形成する周囲部材は、前記強化繊維を有し、前記角部を形成する角部材は、前記強化繊維を有さなくてもよい。あるいは、前記周囲部を形成する周囲部材は、前記強化繊維を有し、前記角部を形成する角部材は、前記強化繊維を有していてもよい。これらの構成によれば、いずれの場合でも、角部及び周囲部の形状及び強度の自由度を増やし、角部及び周囲部の形状及び強度の品質を安定化させることができる。
【0021】
これらの構成において、前記角部は、前記複合材料を貫通する導入口を有することが好ましい。この構成によれば、導入口を通じて、複合材料の内部空間に液体などを導入または排出することができる。
【0022】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、複合材料は、角部を含む複合材料であって、前記複合材料は、強化繊維に熱硬化性樹脂を含浸させたものであり、強化繊維を有さない
前記角部と、強化繊維を有し、前記角部を取り囲む周囲部と、を含
み、前記角部は、前記周囲部と連続に接続する滑らかな曲面を有することを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、複合材料にある強化繊維の状態から、周囲部を形成すると
共に、周囲部によって形成された貫通孔を塞いで角部が形成されているため、角部と周囲部とが別々に形成され、別々に形成された角部と周囲部とが一体化されているものである。このため、周囲部に影響されることなく、角部の形成が行われているため、角部にしわ、隙間、あるいは意図しない周囲の部材との重なりが生じることが低減される。これにより、角部の品質の向上が図られており、品質の良い角部を適切に含むことができる。
【0024】
この構成において、前記周囲部に含まれる前記強化繊維が途切れて断絶される境界面である繊維断絶境界面が、前記複合材料の厚み方向に沿って延びる平面状となっていることが好ましい。この構成によれば、容易に成形することができるため、品質が安定化する。
【0025】
あるいは、この構成において、前記周囲部に含まれる前記強化繊維が途切れて断絶される境界面である繊維断絶境界面が、前記複合材料の内側から外側に向かって、前記周囲部が広がり、それに応じて、前記角部が狭まる形状か、または、前記複合材料の内側から外側に向かって、前記周囲部が狭まり、それに応じて、前記角部が広がる形状に形成されていることが好ましい。この構成によれば、角部と周囲部との境界の面積が大きく、角部と周囲部との境界の形状が凹凸を含むので、角部と周囲部とがより強固に一体化されることができる。
【0026】
あるいは、この構成において、前記周囲部に含まれる前記強化繊維が途切れて断絶される境界面である繊維断絶境界面が、前記複合材料の内側から外側に向かって、前記周囲部が広がると共に前記角部が狭まる領域と、前記周囲部が狭まると共に前記角部が広がる領域と、が交互に設けられた形状に形成されていることが好ましい。この構成によれば、角部と周囲部とが嵌め合わさっているので、角部と周囲部とがさらに強固に一体化されることができる。
【0027】
あるいは、上述した課題を解決し、目的を達成するために、複合材料は、角部を含む複合材料であって、前記複合材料は、強化繊維に熱硬化性樹脂を含浸させたものであり、前記強化繊維は、第1の強化繊維と、第2の強化繊維とを有し、前記第1の強化繊維を有する
前記角部と、前記第2の強化繊維を有し、前記角部を取り囲む周囲部と、を含み、前記第1の強化繊維と前記第2の強化繊維とは、不連続であ
り、前記角部は、前記周囲部と連続に接続する滑らかな曲面を有することを特徴とする。
【0028】
この構成によれば、複合材料にある強化繊維の状態から、周囲部を形成すると
共に、周囲部によって形成された貫通孔を塞いで角部が形成されているため、角部と周囲部とが別々に形成され、別々に形成された角部と周囲部とが一体化されているものである。このため、周囲部に影響されることなく、角部の形成が行われているため、角部の品質の向上が図られており、品質の良い角部を適切に含むことができる。
【0029】
この構成において、前記第1の強化繊維と前記第2の強化繊維とが不連続となる境界面である繊維不連続境界面が、前記複合材料の厚み方向に沿って延びる平面状となっていることが好ましい。この構成によれば、容易に成形することができるため、品質が安定化する。
【0030】
この構成において、前記第1の強化繊維と前記第2の強化繊維とが不連続となる境界面である繊維不連続境界面が、前記複合材料の内側から外側に向かって、前記周囲部が広がり、それに応じて、前記角部が狭まる形状か、または、前記複合材料の内側から外側に向かって、前記周囲部が狭まり、それに応じて、前記角部が広がる形状に形成されていることが好ましい。この構成によれば、角部と周囲部との境界の面積が大きく、角部と周囲部との境界の形状が凹凸を含むので、角部と周囲部とがより強固に一体化されることができる。
【0031】
この構成において、前記第1の強化繊維と前記第2の強化繊維とが不連続となる境界面である繊維不連続境界面が、前記複合材料の内側から外側に向かって、前記周囲部が広がると共に前記角部が狭まる領域と、前記周囲部が狭まると共に前記角部が広がる領域と、が交互に設けられた形状に形成されていることが好ましい。この構成によれば、角部と周囲部とが嵌め合わさっているので、角部と周囲部とがさらに強固に一体化されることができる。
【0032】
これらの構成において、前記周囲部は、互いに交差する少なくとも三面以上の複数の面を含み、前記角部は、前記複数の面が交差する箇所に位置しており、前記複数の面と連続に接続する滑らかな曲面を有することが好ましい。この構成によれば、角部が、鋭角となりやすい三面角の場合でも、周囲部に影響されることなく、角部の形成が行われているため、角部の品質の向上が図られており、品質の良い角部を適切に含むことができる。
【0033】
これらの構成において、前記角部に設けられ、前記複合材料を貫通する導入口をさらに含むことが好ましい。この構成によれば、導入口を通じて、複合材料の内部空間に液体などを導入または排出することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、品質の良い角部を適切に成形することができる複合材料の成形方法及び複合材料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0037】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る複合材料10の概略構成図である。
図2は、第1の実施形態に係る複合材料10の概略断面図である。
図2は、
図1において、複合材料10の角部12を通る断面における断面図である。複合材料10は、
図1及び
図2に示すように、角部12と、角部12を取り囲む周囲部14と、を含む。
図1では、複合材料10に含まれる後述する強化繊維が省略されている。また、
図2では、実施形態の説明のために強化繊維が極端な形で描かれているが、実際には、図示された大きさよりも細く、細かく絡み合っている。
【0038】
複合材料10は、航空機、自動車及び船舶等に用いられる材料が例示される。この複合材料は、複合材料を強化する強化繊維と、強化繊維に含浸された樹脂と、を含む材料が例示される。強化繊維は、5μm以上7μm以下の範囲内の基本繊維を数100本から数1000本程度束ねたものが例示される。強化繊維を構成する基本繊維は、炭素繊維が例示される。強化繊維を構成する基本繊維は、これに限定されず、その他のプラスチック繊維、ガラス繊維又は金属繊維でもよい。
【0039】
強化繊維に含浸される樹脂は、熱硬化性樹脂が好ましいが、熱可塑性樹脂でもよい。熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂が例示される。熱可塑性樹脂は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、及びポリフェニレンサルファイド(PPS)等が例示される。ただし、強化繊維に含浸される樹脂は、これに限定されず、その他の樹脂でもよい。
【0040】
強化繊維に含浸される樹脂が熱硬化性樹脂の場合、熱硬化性樹脂は、軟化状態と、硬化状態と、半硬化状態となることができる。軟化状態は、熱硬化性樹脂を熱硬化させる前の状態である。軟化状態は、自己支持性を有さない状態であり、支持体に支持されていない場合に形状を保持できない状態である。軟化状態は、加熱されて、熱硬化性樹脂が熱硬化反応をすることができる状態である。硬化状態は、熱硬化性樹脂を熱硬化させた後の状態である。硬化状態は、自己支持性を有する状態であり、支持体に支持されていない場合でも形状を保持できる状態である。硬化状態は、加熱されても、熱硬化樹脂が熱硬化反応をすることができない状態である。半硬化状態は、軟化状態と硬化状態との間の状態である。半硬化状態は、硬化状態よりも弱い程度の熱硬化を熱硬化性樹脂にさせた状態である。半硬化状態は、自己支持性を有する状態であり、支持体に支持されていない場合でも形状を保持できる状態である。半硬化状態は、加熱されて、熱硬化性樹脂が熱硬化反応をすることができる状態である。強化繊維が熱硬化性樹脂に含浸された複合材料10は、熱硬化性樹脂が半硬化状態であるプリプレグであるか、又は熱硬化性樹脂が硬化状態であることが好ましい。
【0041】
角部12と周囲部14との境界は、複合材料10の厚み方向に沿って延びる平面状となっている。具体的には、複合材料10の周囲部14によって形成される平面に直交する方向に沿って延びる平面状となっている。
【0042】
複合材料10の強化繊維は、
図2に示すように、第1の強化繊維12fと、第2の強化繊維14fとを有する。角部12は、第1の強化繊維12fを有する。第1の強化繊維12fは、等方に分散された短繊維が例示される。周囲部14は、第2の強化繊維14fを有する。第2の強化繊維14fは、一方向に並んだ一定長さ以上の繊維が例示される。角部12に含まれる第1の強化繊維12fと、周囲部14に含まれる第2の強化繊維14fとは、互いに、角部12と周囲部14との境界で途切れて、不連続となっている。なお、角部12と周囲部14とは一体化しているため、角部12と周囲部14との境界は、第1の強化繊維12f及び第2の強化繊維14fに着目しない限り、不鮮明なものとなっている。
【0043】
複合材料10は、第1の強化繊維12fと第2の強化繊維14fとが不連続となる境界面である繊維不連続境界面が、複合材料10の厚み方向に沿って延びる平面状となっている。具体的には、複合材料10における繊維不連続境界面は、角部12と周囲部14との境界により形成されている。すなわち、複合材料10における繊維不連続境界面は、複合材料10の周囲部14によって形成される平面に直交する方向に沿って延びる平面状となっている。
【0044】
角部12は、強化繊維を有していなくてもよい。角部12が強化繊維を有していない場合、周囲部14に含まれる第2の強化繊維14fは、角部12と周囲部14との境界で途切れて、不連続となっている。なお、角部12と周囲部14とは一体化しているため、角部12と周囲部14との境界は、周囲部14に含まれる強化繊維に着目しない限り、不鮮明なものとなっている。
【0045】
複合材料10は、角部12が強化繊維を有していない場合、第2の強化繊維14fが途切れて断絶される境界面である繊維断絶境界面が、複合材料10の厚み方向に沿って延びる平面状となっている。具体的には、複合材料10における繊維断絶境界面は、角部12と周囲部14との境界により形成されている。すなわち、複合材料10は、この繊維断絶境界面が、複合材料10の周囲部14によって形成される平面に直交する方向に沿って延びる平面状となっている。
【0046】
周囲部14は、
図1に示すように、第1面部14aと、第2面部14bと、第3面部14cと、第1面間部14xと、第2面間部14yと、第3面間部14zと、を含む。第1面間部14xは、第1面部14aと第2面部14bとの間の交線に配されており、第1面部14aと第2面部14bとの間の折り曲がり部分を緩和している。第2面間部14yは、第2面部14bと第3面部14cとの間の交線に配されており、第2面部14bと第3面部14cとの間の折り曲がり部分を緩和している。第3面間部14zは、第3面部14cと第1面部14aとの間の交線に配されており、第3面部14cと第1面部14aとの間の折り曲がり部分を緩和している。
【0047】
周囲部14は、互いに交差する第1面部14aと、第2面部14bと、第3面部14cとを含む。周囲部14の第1面部14aと、第2面部14bと、第3面部14cとが互いに交差する箇所には、角部12が設けられている。周囲部14は、これに限定されず、互いに交差する少なくとも三面以上の複数の面を含むことが好ましい。また、周囲部14は、二曲面を含むものでもよく、円錐の側面に例示される一曲面を含むものでもよく、これらの場合にも、周囲部14に含まれる曲面の交差する箇所には、角部12が設けられる。
【0048】
角部12は、第1面部14aと、第2面部14bと、第3面部14cとが互いに交差する箇所に位置する三面角となっている。角部12は、第1面部14a、第2面部14b及び第3面部14cと連続に接続する滑らかな曲面を有する。角部12は、これに限定されることなく、互いに交差する少なくとも三面以上の複数の面が互いに交差する箇所に設けられ、これらの複数の面と連続に接続する滑らかな曲面を有していることが好ましい。また、角部12は、二曲面の交差する箇所に設けられていてもよく、円錐の頂点に例示される一曲面の交差する箇所に設けられていてもよい。角部12は、いわゆる立体的に周囲に対して突起した頂部のことである。
【0049】
複合材料10は、以上のような構成を有するので、複合材料10にある強化繊維の状態、例えば角部12の第1の強化繊維12fと周囲部14の第2の強化繊維14fとが不連続となっていることなどから、周囲部14を形成すると
共に、周囲部14によって形成された貫通孔を塞いで角部12が形成されているため、角部12と周囲部14とが別々に形成され、別々に形成された角部12と周囲部14とが一体化されているものである。このため、複合材料10は、周囲部14に影響されることなく、角部12の形成が行われているため、角部12にしわ、隙間、あるいは周囲部14との意図しない重なりが生じることが低減される。これにより、複合材料10は、角部12の品質の向上が図られており、品質の良い角部12を適切に含むことができる。
【0050】
また、複合材料10は、角部12が、鋭角となりやすい三面角の場合でも、周囲部14に影響されることなく、角部12の形成が行われているため、角部12の品質の向上が図られており、品質の良い角部12を適切に含むことができる。
【0051】
複合材料10は、繊維不連続境界面または繊維断絶境界面が、複合材料10の厚み方向に沿って延びる平面状となっている。このため、後述する複合材料10の成形方法が容易になるため、品質が安定化する。
【0052】
複合材料10は、角部12と周囲部14との境界が、周囲部14から角部12にかけて周囲部14により形成される平面と周囲部14により形成される曲面とが滑らかに接続されており、この平面の箇所にあることが好ましい。すなわち、角部12は、周囲部14により形成される平面の延長上に形成される部分を含んでいてもよい。この場合、周囲部14における角部12との境界部分が折り曲げられないので、周囲部14の品質の向上が図られており、品質の良い周囲部14を適切に含むことができる。
【0053】
図3は、第1の実施形態に係る複合材料10の成形方法を示すフローチャートである。
図4は、第1の実施形態に係る複合材料10を成形するための周囲部材20の概略構成図である。
図5は、第1の実施形態に係る複合材料10を成形するための角部材30の概略構成図である。
図6は、第1の実施形態に係る複合材料10の成形方法における一状態を示す概略構成図である。
図4及び
図5では、
図2と同様に、実施形態の説明のために強化繊維が極端な形で描かれているが、実際には、図示された大きさよりも細く、細かく絡み合っている。また、
図6では、
図1と同様に、複合材料10に含まれる強化繊維が省略されている。
図3から
図6を用いて、第1の実施形態に係る複合材料10の成形方法を説明する。複合材料10の成形方法は、
図3に示すように、周囲部形成ステップ(ステップS12)と、角部形成ステップ(ステップS14)と、一体化ステップ(ステップS16)と、を含む。
【0054】
複合材料10の成形方法は、
図3に示すように、周囲部形成ステップ(ステップS12)の前に、周囲部14を形成する周囲部材20を準備する周囲部材準備ステップ(ステップS11)をさらに含むことが好ましい。複合材料10の成形方法は、
図3に示すように、角部形成ステップ(ステップS14)の前に、角部12を形成する角部材30を準備する角部材準備ステップ(ステップS13)をさらに含むことが好ましい。
【0055】
周囲部材20は、周囲部14を展開した展開形状の複合材料であり、例えば、強化繊維の方向が一方向に並んだUD(Uni Direction)材料が好適に用いられる。周囲部材20は、
図4に示すように、第1面部材24aと、第2面部材24bと、第3面部材24cと、第1面間部材24xと、第2面間部材24yと、第3面間部材24zと、を含む。また、周囲部材20は、第2の強化繊維24fを含む。第1面部材24aと、第2面部材24bと、第3面部材24cと、第1面間部材24xと、第2面間部材24yと、第3面間部材24zとは、それぞれ、第1面部14aと、第2面部14bと、第3面部14cと、第1面間部14xと、第2面間部14yと、第3面間部14zとに対応する。また、第2の強化繊維24fは、第2の強化繊維14fに対応する。周囲部材20は、第1面部材24aと、第2面部材24bと、第3面部材24cとに囲まれた領域に、空隙部28を含む。空隙部28は、角部12の位置に対応して設けられている。
【0056】
周囲部材20は、第2の強化繊維24fに樹脂が含浸され、成形されることで、準備される(ステップS11)。周囲部材20は、樹脂に熱硬化性樹脂が用いられている場合、熱硬化性樹脂が軟化状態であるか、または、熱硬化性樹脂が半硬化状態であるプリプレグであることが好ましい。この場合、後述する一体化ステップ(ステップS16)で熱硬化性樹脂が硬化状態となることで、角部12と、周囲部材20から形成される周囲部14とをより強固に一体化させることができる。
【0057】
角部材30は、
図5に示すように、第1の強化繊維32fを含むキャップ材である。角部材30は、第1の強化繊維32fに樹脂が含浸され、成形されることで、準備される(ステップS13)。ステップS13では、角部材30は、例えば、第1の強化繊維32fを含む短繊維材を射出成形する射出成型法、第1の強化繊維32fを含む短繊維材のプリプレグをプリフォームするドレープフォーミング、または第1の強化繊維32fを含む短繊維のドライ基材を成形した後に樹脂を含浸させるRTM(Resin Transfer Molding)により、成形され、準備される。角部材30は、樹脂に熱硬化性樹脂が用いられている場合、熱硬化性樹脂が軟化状態であるか、または、熱硬化性樹脂が半硬化状態であるプリプレグであることが好ましい。この場合、後述する一体化ステップ(ステップS16)で熱硬化性樹脂が硬化状態となることで、周囲部14と、角部材30から形成される角部12と、をより強固に一体化させることができる。
【0058】
なお、角部材30は、第1の強化繊維32fを含まないキャップ材であってもよい。この場合には、角部材30は、樹脂のみで成形されることで、準備される(ステップS13)。
【0059】
複合材料10の成形方法は、複合材料10の角部12及び周囲部14を、複合材料10の内側、すなわち角部12が突起している側とは反対側から成形する成形型40が用いられることが好ましい。成形型40は、
図6に示すように、角部12を成形する箇所である角部成形箇所42と、周囲部14を成形する箇所である周囲部成形箇所44と、を含む。成形型40は、複合材料10の成形方法において加えられる圧力に変形しないほど十分に硬く、かつ、複合材料10の成形方法において加えられる熱に溶解あるいは変形しないほどに十分に耐熱性を有する材料で形成されている。また、成形型40は、周囲部材20及び角部材30など、周囲部14及び角部12を形成する部材と接合しない材料で形成されている。
【0060】
複合材料10の成形方法において成形型40が用いられる場合、周囲部成形箇所44に周囲部材20を配置して折り曲げることで、空隙部28を角部12が形成される前の状態が貫通孔の状態とし、その貫通孔を取り囲むように周囲部14を形成する(ステップS12)。周囲部材20は、第1面部材24aと第1面間部材24xとの間、第1面間部材24xと第2面部材24bとの間、第2面部材24bと第2面間部材24yとの間、第1面部材24aと第3面間部材24zとの間、第3面間部材24zと第3面部材24cとの間でそれぞれ折り曲げられ、第2面間部材24yと第3面部材24cとの間が接するように配置される。
【0061】
ステップS12では、周囲部材20は、周囲部成形箇所44に1つ配置されてもよいし、周囲部成形箇所44に複数積層して配置されてもよい。周囲部材20が複数積層される場合には、周囲部材20に含まれる熱硬化性樹脂が軟化状態または半硬化状態であるか、あるいは、周囲部材20に含まれる熱硬化性樹脂が硬化状態である場合には、各周囲部材20の間に周囲部材20を接着する接着剤等が設けられる。
【0062】
第1面部材24aと、第2面部材24bと、第3面部材24cと、第1面間部材24xと、第2面間部材24yと、第3面間部材24zとは、ステップS12により、それぞれ、第1面部14aと、第2面部14bと、第3面部14cと、第1面間部14xと、第2面間部14yと、第3面間部14zとを構成する部材となる。また、第2の強化繊維24fは、ステップS12により、第2の強化繊維14fとなる。
【0063】
複合材料10の成形方法において成形型40が用いられる場合、角部成形箇所42に角部材30を配置することで、空隙部28が貫通孔の状態となっている箇所を塞ぎ、角部12を形成する(ステップS14)。周囲部材20に含まれる熱硬化性樹脂が硬化状態である場合には、角部材30に含まれる熱硬化性樹脂が軟化状態または半硬化状態となっているか、あるいは、角部材30と周囲部材20との間に角部材30と周囲部材20とを接着する接着剤等が設けられる。角部材30は、ステップS14により、角部12を構成する部材となる。また、角部材30が第1の強化繊維32fを含む場合には、第1の強化繊維32fは、ステップS14により、第1の強化繊維12fとなる。
【0064】
なお、複合材料10の成形方法は、ステップS12の処理が施されてからステップS14の処理が施されることに限定されない。例えば、ステップS14の処理が施されてからステップS12の処理が施されてもよいし、ステップS12の処理とステップS14の処理とが交互に施されてもよいし、ステップS12の処理とステップS14の処理とが同時に並行して施されてもよい。また、複合材料10の成形方法は、ステップS11、ステップS12、ステップS13、ステップS14の順に処理が施されることに限定されない。ステップS11がステップS12の前に施され、かつ、ステップS13がステップS14の前に施されれば、どのような順で処理が施されてもよい。
【0065】
ステップS12により形成された周囲部14と、ステップS14により形成された角部12とは、加圧及び加熱されることで、一体化される(ステップS16)。角部12と周囲部14とが一体化されることにより、角部12と周囲部14との間に隙間がない状態が形成される。複合材料10の成形方法において成形型40が用いられる場合、角部12と周囲部14とは、内側から成形型
40で加圧され、外側、すなわち角部12が突起している側からシートなどを介しておもり又は加圧器等で加圧される。また、角部12と周囲部14とは、加圧下で、内側及び外側から加熱器等で加熱される。これにより、軟化状態または半硬化状態である熱硬化性樹脂が硬化状態になること等により、角部12と周囲部14とが一体化される。角部12と周囲部14とが一体化された後、すなわちステップS16の後に、成形型40が除去されて、複合材料10が得られる。
【0066】
第1面部材24aと、第2面部材24bと、第3面部材24cと、第1面間部材24xと、第2面間部材24yと、第3面間部材24zとは、ステップS16により、それぞれ、第1面部14aと、第2面部14bと、第3面部14cと、第1面間部14xと、第2面間部14yと、第3面間部14zと、になる。角部材30は、ステップS16により、角部12となる。
【0067】
また、角部材30に第1の強化繊維32fが含まれていた場合、ステップS16により、第1の強化繊維12fと第2の強化繊維14fとが不連続となる境界面である繊維不連続境界面が、複合材料10の厚み方向に沿って延びる平面状に形成される。すなわち、ステップS16により、この繊維不連続境界面は、複合材料10の周囲部14によって形成される平面に直交する方向に沿って延びる平面状に形成される。
【0068】
また、角部材30に第1の強化繊維32fが含まれていなかった場合、ステップS16により、第2の強化繊維14fが途切れて断絶される境界面である繊維断絶境界面が、複合材料10の厚み方向に沿って延びる平面状に形成される。すなわち、ステップS16により、この繊維断絶境界面が、複合材料10の周囲部14によって形成される平面に直交する方向に沿って延びる平面状に形成される。
【0069】
複合材料10の成形方法は、以上のような構成を有するので、周囲部14を形成すると
共に、周囲部14によって形成された貫通孔を塞いで角部12を形成することができるため、角部12と周囲部14とを別々に形成でき、別々に形成した角部12と周囲部14とを一体化させることができる。このため、複合材料10の成形方法は、周囲部14に影響されることなく、角部12の形成を行うことができるため、角部12にしわ、隙間、あるいは周囲部14との意図しない重なりが生じることが低減される。これにより、複合材料10の成形方法は、角部12の品質の向上を図ることができ、品質の良い角部12を適切に成形することができる。
【0070】
複合材料10の成形方法は、周囲部14を形成する周囲部材20を準備する周囲部材準備ステップ(ステップS11)をさらに含むので、周囲部14の形状及び強度の自由度を増やし、周囲部14の形状及び強度の品質を安定化させることができる。また、複合材料10の成形方法は、角部12を形成する角部材30を準備する角部材準備ステップ(ステップS13)をさらに含むので、角部12の形状及び強度の自由度を増やし、角部12の形状及び強度の品質を安定化させることができる。
【0071】
複合材料10の成形方法は、周囲部形成ステップ
(ステップS12)では、周囲部14を形成する周囲部材20を複数積層して配置し、角部形成ステップ
(ステップS14)では、角部12を形成する角部材30を配置し、一体化ステップ
(ステップS16)では、角部材30と複数の周囲部材20とを一体化させている。そのため、複合材料10の成形方法は、複数の部材を積層させて形成する周囲部14の形状及び強度の自由度をさらに増やし、複数の部材を積層させて形成する周囲部14の形状及び強度の品質をさらに安定化させることができる。
【0072】
複合材料10の成形方法は、成形型40を用い、周囲部形成ステップ
(ステップS12)では、周囲部成形箇所44に周囲部材20を配置し、角部形成ステップ
(ステップS14)では、角部成形箇所42に角部材30を配置し、一体化ステップ
(ステップS16)の後に成形型40を除去している。そのため、複合材料10の成形方法は、成形型40に基づいて精度よく複合材料10を成形することができる。
【0073】
複合材料10の成形方法は、周囲部14が互いに交差する少なくとも三面以上の複数の面を含み、周囲部14を形成する周囲部材20が展開形状の複合材料を折り曲げて複数の面を形成したものであり、角部12が複数の面が交差する箇所に位置しており、複数の面と連続に接続する滑らかな曲面を有している。そのため、複合材料10の成形方法は、角部12が、鋭角となりやすい三面角の場合でも、周囲部14に影響されることなく、角部12の形成を行うことができるため、角部12の品質の向上を図ることができ、品質の良い角部12を適切に成形することができる。
【0074】
複合材料10の成形方法は、複合材料10が強化繊維に熱硬化性樹脂を含浸させたものであり、熱硬化性樹脂が軟化状態と硬化状態と半硬化状態となるものであり、周囲部形成ステップ
(ステップS12)及び角部形成ステップ
(ステップS14)では、周囲部14と角部12との少なくともいずれかの熱硬化性樹脂を軟化状態または半硬化状態とし、一体化ステップ
(ステップS16)では、熱硬化性樹脂を硬化状態とすることで周囲部14と角部12とを一体化している。そのため、複合材料10の成形方法は、熱硬化性樹脂が硬化状態となることで、角部12と周囲部14とを強固に一体化させることができる。
【0075】
複合材料10の成形方法は、複合材料10が強化繊維に熱硬化性樹脂を含浸させた構成であり、周囲部14に含浸された樹脂と、角部12に含浸された樹脂と、が同じ種類であり、一体化ステップ
(ステップS16)では、周囲部14に含浸された樹脂と、角部12に含浸された樹脂と、が一体化することがより好ましい。この場合、複合材料10の成形方法は、熱硬化性樹脂が硬化状態となることで、角部12と周囲部14とをより強固に一体化させることができる。
【0076】
複合材料10の成形方法は、複合材料10が強化繊維に熱硬化性樹脂を含浸させた構成であり、角部12を形成する角部材30が第1の強化繊維32fを有し、周囲部14を形成する周囲部材20が第2の強化繊維24fを有していてもよい。また、複合材料10の成形方法は、複合材料10が強化繊維に熱硬化性樹脂を含浸させた構成であり、周囲部14を形成する周囲部材20が強化繊維を有し、角部12を形成する角部材30が強化繊維を有さなくてもよい。そのため、複合材料10の成形方法は、角部12及び周囲部14の形状及び強度の自由度を増やし、角部12及び周囲部14の形状及び強度の品質を安定化させることができる。
【0077】
複合材料10の成形方法は、複合材料10の繊維不連続境界面または繊維断絶境界面が、複合材料10の厚み方向に沿って延びる平面状となっている。このため、複合材料10の成形方法は、周囲部形成ステップ
(ステップS12)及び角部形成ステップ
(ステップS14)が容易になるため、品質が安定化する。
【0078】
複合材料10の成形方法は、複合材料10における角部12と周囲部14との境界が、周囲部14から角部12にかけて周囲部14により形成される平面と周囲部14により形成される曲面とが滑らかに接続されており、この平面の箇所にあることが好ましい。すなわち、角部12は、周囲部14により形成される平面の延長上に形成される部分を含んでいてもよい。この場合、複合材料10の成形方法は、周囲部14における角部12との境界部分を折り曲げないので、周囲部14の品質の向上を図ることができ、品質の良い周囲部14を適切に成形することができる。
【0079】
[第2の実施形態]
図7は、第2の実施形態に係る複合材料50の概略断面図である。
図7は、
図2における断面の方向に相当する断面方向、すなわち複合材料50の角部52を通る断面における断面図である。
図7では、
図1及び
図6と同様に、複合材料50に含まれる強化繊維が省略されている。複合材料50は、複合材料10において、角部12と周囲部14との境界を、複合材料10の厚み方向に沿って延びる平面状から、階段状に変更したものである。第2の実施形態の説明では、第1の実施形態と同様の構成に第1の実施形態と同一の符号群を用い、その詳細な説明を省略する。
【0080】
複合材料50は、
図7に示すように、角部52と、角部52を取り囲む周囲部54と、を含む。複合材料50は、複合材料10と同様の材料が例示される。すなわち、角部52は、角部12と同様の材料が例示され、周囲部54は、周囲部14と同様の材料が例示される。角部52に含まれる強化繊維と、周囲部54に含まれる強化繊維との関係は、角部12に含まれる強化繊維と、周囲部14に含まれる強化繊維との関係と同様である。
【0081】
複合材料50は、厚み方向に3層有している。詳細には、複合材料50の第1層は、角部第1層52aと、周囲部第1層54aとを含む。複合材料50の第2層は、角部第2層52bと、周囲部第2層54bとを含む。複合材料50の第3層は、角部第3層52cと、周囲部第3層54cとを含む。角部52は、複合材料50の厚み方向に3層有しており、角部第1層52aと、角部第2層52bと、角部第3層52cとを含む。周囲部54は、複合材料50の厚み方向に3層有しており、周囲部第1層54aと、周囲部第2層54bと、周囲部第3層54cとを含む。
【0082】
複合材料50の第1層は、角部第1層52aが、周囲部第1層54aの方に大きく突き出している。複合材料50の第2層は、角部第2層52bが、周囲部第2層54bの方に少し突き出している。複合材料50の第3層は、角部第3層52cが、周囲部第3層54cの方に突き出していない。角部第1層52aと、角部第2層52bと、角部第3層52cとの、それぞれ周囲部第1層54aと、周囲部第2層54bと、周囲部第3層54cとに対する突き出し具合は、この順番に小さくなっている。
【0083】
角部52と周囲部54との境界は、複合材料50の内側から外側に向かって、周囲部54が単調に広がり、それに応じて、角部52が単調に狭まる形状に形成されている。具体的には、角部52と周囲部54との境界は、複合材料50の内側から外側に向かって、3段の階段状に、周囲部54が単調に広がり、それに応じて、角部52が単調に狭まる形状に形成されている。すなわち、角部52と周囲部54との境界は、複合材料50の厚み方向に3段の階段状になっている。
【0084】
角部52と周囲部54との境界の第1段目は、角部第1層52aと周囲部第1層54aとの境界及び角部第1層52aと周囲部第2層54bとの接面で形成されている。角部52と周囲部54との境界の第2段目は、角部第2層52bと周囲部第2層54bとの境界及び角部第2層52bと周囲部第3層54cとの接面で形成されている。角部52と周囲部54との境界の第3段目は、角部第3層52cと周囲部第3層54cとの境界で形成されている。なお、角部52と周囲部54とは一体化しているため、角部52と周囲部54との境界は、角部12と周囲部14との境界と同様に、不鮮明なものとなっている。
【0085】
複合材料50は、角部52に含まれる第1の強化繊維と周囲部54に含まれる第2の強化繊維とが不連続となる境界面である繊維不連続境界面が、複合材料50の内側から外側に向かって、周囲部54が単調に広がり、それに応じて角部52が単調に狭まる形状に形成されている。具体的には、複合材料50における繊維不連続境界面は、角部52と周囲部54との境界により形成されている。すなわち、複合材料50における繊維不連続境界面は、3段の階段状となっている。
【0086】
複合材料50は、角部52が強化繊維を有していない場合、第2の強化繊維が途切れて断絶される境界面である繊維断絶境界面が、上記の繊維不連続境界面と同様に、複合材料50の内側から外側に向かって、周囲部54が単調に広がり、それに応じて角部52が単調に狭まる形状に形成されている。具体的には、複合材料50における繊維断絶境界面は、上記の繊維不連続境界面と同様に、角部52と周囲部54との境界により形成されている。すなわち、複合材料50における繊維断絶境界面は、3段の階段状となっている。
【0087】
なお、複合材料50における繊維不連続境界面または繊維断絶境界面を形成する角部52と周囲部54との境界は、これに限定されず、複合材料50の内側から外側に向かって、周囲部54が単調に狭まり、それに応じて、角部52が単調に広がる形状に形成されていてもよい。また、角部52と周囲部54との境界は、階段状である場合、階段状の段数は、3段に限定されず、2段でも、4段以上でもよい。また、角部52と周囲部54との境界は、階段状に限定されず、テーパ状であってもよい。
【0088】
複合材料50は、以上のような構成を有するので、複合材料10と同様に、複合材料50にある強化繊維の状態から、周囲部54を形成すると
共に、周囲部54によって形成された貫通孔を塞いで角部52が形成されているため、角部52と周囲部54とが別々に形成され、別々に形成された角部52と周囲部54とが一体化されているものである。このため、複合材料50は、周囲部54に影響されることなく、角部52の形成が行われているため、角部52の品質の向上が図られており、品質の良い角部52を適切に含むことができる。また、複合材料50は、その他の複合材料10と同様の作用効果をもたらす。
【0089】
複合材料50は、角部52と周囲部54との境界が、複合材料50の内側から外側に向かって、3段の階段状に、周囲部54が単調に広がり、それに応じて角部52が単調に狭まる形状に形成されている。そのため、角部52と周囲部54との境界の面積が大きく、角部52と周囲部54との境界の形状が凹凸を含むので、角部52と周囲部54とがより強固に一体化されることができる。なお、複合材料50は、角部52と周囲部54との境界が上記のその他の形状を取っている場合でも同様に、角部52と周囲部54との境界の面積が大きくなるため、角部52と周囲部54とがより強固に一体化されることができる。
【0090】
複合材料50の成形方法は、複合材料10の成形方法と同様に、周囲部形成ステップ(ステップS12)と、角部形成ステップ(ステップS14)と、一体化ステップ(ステップS16)と、を含む。
【0091】
複合材料50の成形方法は、複合材料10の成形方法と同様に、周囲部54を形成する周囲部材20を準備する周囲部材準備ステップ(ステップS11)をさらに含むことが好ましい。なお、周囲部54を形成する周囲部材20は、周囲部第1層54aを形成する場合と、周囲部第2層54bを形成する場合と、周囲部第3層54cを形成する場合とに分けて準備される場合には、それぞれ、空隙部28の大きさ及び形状が、角部第1層52a、角部第2層52b及び角部第3層52cに対応するように、大きさ及び形状が異なる。また、周囲部54を形成する周囲部材20は、一体で準備されてもよい。
【0092】
複合材料50の成形方法におけるステップS12は、複合材料10の成形方法におけるステップS12に対し、配置して折り曲げる周囲部材20を、周囲部第1層54a、周囲部第2層54b及び周囲部第3層54cにあわせて変更したものである。複合材料50の成形方法におけるステップS12では、周囲部材20が一体で準備される場合には、周囲部材20が周囲部成形箇所44に配置されて折り曲げられる。複合材料50の成形方法におけるステップS12では、周囲部材20が分けて準備される場合には、周囲部第1層54aに対応する周囲部材20、周囲部第2層54bに対応する周囲部材20及び周囲部第3層54cに対応する周囲部材20の順に、周囲部成形箇所44に配置されて折り曲げられる。
【0093】
図8は、第2の実施形態に係る複合材料50を成形するための角部材60の概略構成図である。
図9は、第2の実施形態に係る複合材料50を成形するための角部材60の別の概略構成図である。
図8及び
図9では、
図1、
図6及び
図7と同様に、角部材60に含まれる強化繊維が省略されている。複合材料50の成形方法は、複合材料10の成形方法と同様に、角部52を形成する角部材60を準備する角部材準備ステップ(ステップS13)をさらに含むことが好ましい。
【0094】
角部材60は、
図8及び
図9に示すように、角部材第1層62aと、角部材第2層62bと、角部材第3層62cとを含む。角部材第1層62aは、角部第1層52aに対応し、角部材第2層62bは、角部第2層52bに対応し、角部材第3層62cは、角部第3層52cに対応する。角部材第1層62aと、角部材第2層62bと、角部材第3層62cとは、角部材30と同様に、強化繊維を含んでいても含んでいなくてもよい。角部材60は、角部材30と同様の方法で、一体で準備されてもよいし、角部材第1層62aと、角部材第2層62bと、角部材第3層62cとに分けてそれぞれ角部材30と同様の方法で準備されてもよい。
【0095】
複合材料50の成形方法におけるステップS14は、複合材料10の成形方法におけるステップS14に対し、配置する角部材30を、角部材60に変更したものである。複合材料50の成形方法におけるステップS14では、角部材60が一体で準備されている場合には、角部材60が角部成形箇所42に配置される。複合材料50の成形方法におけるステップS14では、角部材60が角部材第1層62aと、角部材第2層62bと、角部材第3層62cとに分けて準備されている場合には、角部材第1層62a、角部材第2層62b、角部材第3層62cの順に角部成形箇所42に配置される。
【0096】
複合材料50の成形方法におけるステップS16は、複合材料10の成形方法におけるステップS16と同様である。複合材料50の成形方法におけるステップS16では、複合材料10の成形方法におけるステップS16と同様に、ステップS12により形成された周囲部54と、ステップS14により形成された角部52とが、加圧及び加熱されることで、一体化される。角部52と周囲部54とが一体化された後、すなわちステップS16の後に、成形型40が除去されて、複合材料50が得られる。
【0097】
また、角部材60に第1の強化繊維が含まれていた場合、ステップS16により、第1の強化繊維と第2の強化繊維とが不連続となる境界面である繊維不連続境界面が、複合材料50の内側から外側に向かって、周囲部54が単調に広がり、それに応じて角部52が単調に狭まる形状に形成される。具体的には、ステップS16により、この繊維不連続境界面は、3段の階段状に形成される。
【0098】
また、角部材60に第1の強化繊維が含まれていなかった場合、ステップS16により、第2の強化繊維が途切れて断絶される境界面である繊維断絶境界面が、複合材料50の内側から外側に向かって、周囲部54が単調に広がり、それに応じて角部52が単調に狭まる形状に形成される。具体的には、ステップS16により、この繊維断絶境界面は、3段の階段状に形成される。
【0099】
なお、複合材料50における繊維不連続境界面または繊維断絶境界面は、この形状に限定されず、上記のその他の形状に形成されても良い。その場合、角部52を形成する角部材60と周囲部54を形成する周囲部材20との形状が、適宜変更される。
【0100】
複合材料50の成形方法は、以上のような構成を有するので、複合材料10の成形方法と同様に、周囲部54を形成すると
共に、周囲部54によって形成された貫通孔を塞いで角部52を形成することができるため、角部52と周囲部54とを別々に形成でき、別々に形成した角部52と周囲部54とを一体化させることができる。このため、複合材料50の成形方法は、周囲部54に影響されることなく、角部52の形成を行うことができるため、角部52の品質の向上を図ることができ、品質の良い角部52を適切に成形することができる。また、複合材料50の成形方法は、その他の複合材料10の成形方法と同様の作用効果をもたらす。
【0101】
複合材料50の成形方法は、周囲部形成ステップ
(ステップS12)では、周囲部54を形成する周囲部材20を複数積層して配置し、角部形成ステップ
(ステップS14)では、角部52を形成する角部材60を複数層に分けて準備する場合には、角部材60を複数積層して配置し、一体化ステップ
(ステップS16)では、複数層に分けられた角部材60と複数の周囲部材20とを一体化させている。そのため、複合材料50の成形方法は、複数の部材を積層させて形成する角部52及び周囲部54の形状及び強度の自由度をさらに増やし、複数の部材を積層させて形成する角部52及び周囲部54の形状及び強度の品質をさらに安定化させることができる。
【0102】
複合材料50の成形方法は、複合材料50における角部52と周囲部54との境界が、複合材料50の内側から外側に向かって、3段の階段状に、周囲部54が単調に広がり、それに応じて角部52が単調に狭まる形状に形成しているため、角部52と周囲部54との境界の面積が大きく、角部52と周囲部54との境界の形状が凹凸を含むので、角部52と周囲部54とをより強固に一体化することができる。なお、複合材料50の成形方法は、角部52と周囲部54との境界が上記のその他の形状を取っている場合でも同様に、角部52と周囲部54との境界の面積が大きくなるため、角部52と周囲部54とをより強固に一体化することができる。
【0103】
[第3の実施形態]
図10は、第3の実施形態に係る複合材料70の概略断面図である。
図10は、
図2及び
図7における断面の方向に相当する断面方向、すなわち複合材料70の角部72を通る断面における断面図である。
図10では、
図1及び
図6から
図9と同様に、複合材料70に含まれる強化繊維が省略されている。複合材料70は、複合材料50において、角部52と周囲部54との境界を、複合材料50の厚み方向に形成される階段状から、凹凸状に変更したものである。第3の実施形態の説明では、第2の実施形態と同様の構成に第2の実施形態と同一の符号群を用い、その詳細な説明を省略する。
【0104】
複合材料70は、
図10に示すように、角部72と、角部72を取り囲む周囲部74と、を含む。複合材料70は、複合材料50と同様の材料が例示される。角部72に含まれる強化繊維と、周囲部74に含まれる強化繊維との関係は、角部52に含まれる強化繊維と、周囲部54に含まれる強化繊維との関係と同様である。
【0105】
複合材料70は、厚み方向に3層有している。詳細には、複合材料70の第1層は、角部第1層72aと、周囲部第1層74aとを含む。複合材料70の第2層は、角部第2層72bと、周囲部第2層74bとを含む。複合材料70の第3層は、角部第3層72cと、周囲部第3層74cとを含む。角部72は、複合材料70の厚み方向に3層有しており、角部第1層72aと、角部第2層72bと、角部第3層72cとを含む。周囲部74は、複合材料70の厚み方向に3層有しており、周囲部第1層74aと、周囲部第2層74bと、周囲部第3層74cとを含む。
【0106】
複合材料70の第1層は、角部第1層72aが、周囲部第1層74aの方に大きく突き出している。複合材料70の第2層は、角部第2層72bが、周囲部第2層74bの方に突き出していない。複合材料70の第3層は、角部第3層72cが、周囲部第3層74cの方に大きく突き出している。角部第1層72aと、角部第3層72cとの、それぞれ周囲部第1層74aと、周囲部第3層74cとに対する突き出し具合は、同じ程度であり、角部第2層72bの周囲部第2層74bに対する突出し具合よりは大きい。
【0107】
角部72と周囲部74との境界は、複合材料70の内側から外側に向かって、周囲部74が広がると共に角部72が狭まる領域と、周囲部74が狭まると共に角部72が広がる領域と、が交互に設けられた形状に形成されている。具体的には、角部72と周囲部74との境界は、複合材料70の内側から外側に向かって、不連続に、3層の凹凸状に、周囲部74が広がると共に角部72が狭まる領域と、周囲部74が狭まると共に角部72が広がる領域と、が交互に設けられた形状に形成されている。すなわち、角部72と周囲部74との境界は、複合材料70の厚み方向に3層の凹凸状になっている。
【0108】
詳細には、角部72と周囲部74との境界は、角部第1層72aと周囲部第1層74aとの境界、角部第1層72aと周囲部第2層74bとの接面、角部第2層72bと周囲部第2層74bとの境界、角部第3層72cと周囲部第2層74bとの接面、及び角部第3層72cと周囲部第3層74cとの境界で形成されている。角部第1層72aと角部第3層72cとは、その端部で、周囲部第2層74bの端部を挟み込んでいる。なお、角部72と周囲部74とは一体化しているため、角部72と周囲部74との境界は、角部52と周囲部54との境界と同様に、不鮮明なものとなっている。
【0109】
複合材料70は、角部72に含まれる第1の強化繊維と周囲部74に含まれる第2の強化繊維とが不連続となる境界面である繊維不連続境界面が、複合材料70の内側から外側に向かって、周囲部74が広がると共に角部72が狭まる領域と、周囲部74が狭まると共に角部72が広がる領域と、が交互に設けられた形状に形成されている。具体的には、複合材料70における繊維不連続境界面は、角部72と周囲部74との境界により形成されている。すなわち、複合材料70における繊維不連続境界面は、3層の凹凸状となっている。
【0110】
複合材料70は、角部72が強化繊維を有していない場合、第2の強化繊維が途切れて断絶される境界面である繊維断絶境界面が、上記の繊維不連続境界面と同様に、複合材料70の内側から外側に向かって、周囲部74が広がると共に角部72が狭まる領域と、周囲部74が狭まると共に角部72が広がる領域と、が交互に設けられた形状に形成されている。具体的には、複合材料70における繊維断絶境界面は、上記の繊維不連続境界面と同様に、角部72と周囲部74との境界により形成されている。すなわち、複合材料70における繊維断絶境界面は、3層の凹凸状となっている。
【0111】
なお、複合材料70における繊維不連続境界面または繊維断絶境界面を形成する角部72と周囲部74との境界は、これに限定されない。角部72と周囲部74との境界は、凹凸状である場合、凹凸状の層数は、3層に限定されず、4層以上でもよい。また、角部72と周囲部74との境界は、凹凸状に限定されず、雄形状と雌形状とで嵌め合わされるいかなる形状であってもよい。
【0112】
複合材料70は、以上のような構成を有するので、複合材料50と同様に、複合材料70にある強化繊維の状態から、周囲部74を形成すると
共に、周囲部74によって形成された貫通孔を塞いで角部72が形成されているため、角部72と周囲部74とが別々に形成され、別々に形成された角部72と周囲部74とが一体化されているものである。このため、複合材料70は、周囲部74に影響されることなく、角部72の形成が行われているため、角部72の品質の向上が図られており、品質の良い角部72を適切に含むことができる。また、複合材料70は、その他の複合材料50と同様の作用効果をもたらす。
【0113】
複合材料70は、角部72と周囲部74との境界が3層の凹凸状となっている。そのため、角部72と周囲部74とが嵌め合わさっているので、角部72と周囲部74とがさらに強固に一体化されることができる。なお、複合材料70は、角部72と周囲部74との境界が上記のその他の形状を取っている場合でも同様に、角部72と周囲部74とが嵌め合わさっているので、角部72と周囲部74とがより強固に一体化されることができる。
【0114】
複合材料70の成形方法は、複合材料50の成形方法と同様に、周囲部形成ステップ(ステップS12)と、角部形成ステップ(ステップS14)と、一体化ステップ(ステップS16)と、を含む。
【0115】
複合材料70の成形方法は、複合材料50の成形方法と同様に、周囲部74を形成する周囲部材20を準備する周囲部材準備ステップ(ステップS11)をさらに含むことが好ましい。なお、周囲部74を形成する周囲部材20は、周囲部54を形成する周囲部材20と同様に、対応する層に応じて大きさ及び形状が異なり、分けて準備されてもよいし、一体で準備されてもよい。
【0116】
複合材料70の成形方法におけるステップS12は、複合材料50の成形方法におけるステップS12に対し、配置して折り曲げる周囲部材20を、周囲部第1層74a、周囲部第2層74b及び周囲部第3層74cにあわせて変更したものである。複合材料70の成形方法におけるステップS12は、複合材料50の成形方法におけるステップS12と同様に、周囲部材20の準備のされ方に応じて、適宜変更される。
【0117】
複合材料70の成形方法は、複合材料50の成形方法と同様に、角部72を形成する角部材を準備する角部材準備ステップ(ステップS13)をさらに含むことが好ましい。なお、角部72を形成する角部材は、角部52を形成する角部材60と同様に、対応する層に応じて大きさ及び形状が異なり、分けて準備されてもよいし、一体で準備されてもよい。また、角部72を形成する角部材は、角部52を形成する角部材60と同様に、強化繊維を含んでいても含んでいなくてもよい。
【0118】
複合材料70の成形方法におけるステップS14は、複合材料50の成形方法におけるステップS14に対し、配置する角部材60を、角部72を形成する角部材に変更したものである。複合材料70の成形方法におけるステップS14は、複合材料50の成形方法におけるステップS14と同様に、角部材の準備のされ方に応じて、適宜変更される。
【0119】
複合材料70の成形方法におけるステップS12及びステップS14は、角部72及び周囲部74の形状により、どのような順序で施しても構わないわけではない点で、複合材料50の成形方法におけるステップS12及びステップS14と異なる。すなわち、複合材料70の成形方法では、ステップS12及びステップS14は、交互に施される必要がある。具体的には、ステップS12により角部第1層72aが形成された後に、ステップS14により周囲部第2層74bが形成され、その後に、再びステップS12により角部第3層72cが形成される必要がある。
【0120】
複合材料70の成形方法におけるステップS16は、複合材料50の成形方法におけるステップS16と同様である。複合材料70の成形方法におけるステップS16では、複合材料50の成形方法におけるステップS16と同様に、ステップS12により形成された周囲部74と、ステップS14により形成された角部72とが、加圧及び加熱されることで、一体化される。角部72と周囲部74とが一体化された後、すなわちステップS16の後に、成形型40が除去されて、複合材料70が得られる。
【0121】
また、角部72を形成する角部材に第1の強化繊維が含まれていた場合、ステップS16により、第1の強化繊維と第2の強化繊維とが不連続となる境界面である繊維不連続境界面が、複合材料70の内側から外側に向かって、周囲部74が広がると共に角部72が狭まる領域と、周囲部74が狭まると共に角部72が広がる領域と、が交互に設けられた形状に形成される。具体的には、ステップS16により、この繊維不連続境界面は、3層の凹凸状に形成される。
【0122】
また、角部72を形成する角部材に第1の強化繊維が含まれていなかった場合、ステップS16により、第2の強化繊維が途切れて断絶される境界面である繊維断絶境界面が、複合材料70の内側から外側に向かって、周囲部74が広がると共に角部72が狭まる領域と、周囲部74が狭まると共に角部72が広がる領域と、が交互に設けられた形状に形成される。具体的には、ステップS16により、この繊維断絶境界面は、3層の凹凸状に形成される。
【0123】
なお、複合材料70における繊維不連続境界面または繊維断絶境界面は、この形状に限定されず、上記のその他の形状に形成されても良い。その場合、角部72を形成する角部材と周囲部74を形成する周囲部材20との形状が、適宜変更される。
【0124】
複合材料70の成形方法は、以上のような構成を有するので、複合材料50の成形方法と同様に、周囲部74を形成すると
共に、周囲部74によって形成された貫通孔を塞いで角部72を形成することができるため、角部72と周囲部74とを別々に形成でき、別々に形成した角部72と周囲部74とを一体化させることができる。このため、複合材料70の成形方法は、周囲部74に影響されることなく、角部72の形成を行うことができるため、角部72の品質の向上を図ることができ、品質の良い角部72を適切に成形することができる。また、複合材料70の成形方法は、その他の複合材料50の成形方法と同様の作用効果をもたらす。
【0125】
複合材料70の成形方法は、複合材料70における角部72と周囲部74との境界が3層の凹凸状としているため、角部72と周囲部74とを嵌め合わせているので、角部72と周囲部74とをさらに強固に一体化することができる。なお、複合材料70の成形方法は、角部72と周囲部74との境界が上記のその他の形状を取っている場合でも同様に、角部72と周囲部74とを嵌め合わせているので、角部72と周囲部74とをより強固に一体化することができる。
【0126】
[第4の実施形態]
図11は、第4の実施形態に係る複合材料80の概略断面図である。
図11は、
図2、
図7及び
図10における断面の方向に相当する断面方向、すなわち複合材料80の角部82を通る断面における断面図である。
図11では、
図1及び
図6から
図10と同様に、複合材料80に含まれる強化繊維が省略されている。複合材料80は、複合材料10において、角部12を、導入口86を含む角部82に変更したものである。第4の実施形態の説明では、第1の実施形態と同様の構成に第1の実施形態と同一の符号群を用い、その詳細な説明を省略する。
【0127】
複合材料80は、
図11に示すように、角部82と、角部82を取り囲む周囲部14と、を含む。複合材料80は、複合材料10と同様の材料が例示される。角部82に含まれる強化繊維と、周囲部14に含まれる強化繊維との関係は、角部12に含まれる強化繊維と、周囲部14に含まれる強化繊維との関係と同様である。
【0128】
角部82は、複合材料80の厚み方向に貫通する導入口86を有する。導入口86は、導入管84が設けられることで、強化及び安定化されている。
【0129】
複合材料80は、以上のような構成を有するので、複合材料10と同様の作用効果を有しつつ、導入口86を通じて、複合材料80の内部空間に液体などを導入または排出することができる。
【0130】
複合材料80の成形方法は、複合材料10の成形方法と同様に、周囲部形成ステップ(ステップS12)と、角部形成ステップ(ステップS14)と、一体化ステップ(ステップS16)と、を含む。複合材料80の成形方法におけるステップS12は、複合材料10の成形方法におけるステップS12と同様である。
【0131】
複合材料80の成形方法におけるステップS14は、複合材料10の成形方法におけるステップS14に対し、配置する角部材30を、角部82を形成する角部材に変更したものである。角部82を形成する角部材は、導入口86に導入管84が設けられている状態で配置されても、導入口86に導入管84が設けられていない状態で配置されても、構わない。
【0132】
複合材料80の成形方法におけるステップS16は、複合材料10の成形方法におけるステップS16と同様である。複合材料80の成形方法におけるステップS16では、複合材料10の成形方法におけるステップS16と同様に、ステップS12により形成された周囲部14と、ステップS14により形成された角部82とが、加圧及び加熱されることで、一体化される。角部82と周囲部14とが一体化された後、すなわちステップS16の後に、成形型40が除去される。複合材料80の成形方法におけるステップS14において、角部82を形成する角部材が導入口86に導入管84が設けられている状態で配置された場合には、この段階で、複合材料80が得られる。複合材料80の成形方法におけるステップS14において、角部82を形成する角部材が導入口86に導入管84が設けられていない状態で配置された場合には、この後に導入口86に導入管84を挿入することで、複合材料80が得られる。
【0133】
複合材料80の成形方法は、以上のような構成を有するので、複合材料10と同様の作用効果を有しつつ、導入口86を通じて、複合材料80の内部空間に液体などを導入または排出することができる。
【0134】
導入口86は、複合材料10と同様に、複合材料50及び複合材料70にも設けることができる。この場合、複合材料50の角部52を形成する角部材60に導入口86となる穴を設けておいたり、複合材料70の角部72を形成する角部材に導入口86となる穴を設けておいたりすることで、導入口86を設けることができる。複合材料50に導入口86を設ける場合であって、角部材60を一体で準備する場合には、ステップS16の前に導入口86に導入管84を設けることができる。複合材料50に導入口86を設ける場合であって、角部材60を分けて準備する場合、及び複合材料70に導入口86を設ける場合には、ステップS16の後の成形型40を除去した後に、導入口86に導入管84を挿入することができる。
【0135】
また、複合材料は、角部自体を設けることなく、周囲部のみで角部を貫通孔の状態のまま成形し、この貫通孔を導入口とすることもできる。さらに、この貫通孔に導入管を設けることもできる。