(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記導出工程では、前記変換座標点群における、「y=x」軸における原点からの距離の平均値若しくは標準偏差、「y=−x」軸における原点からの距離の平均値若しくは標準偏差、又は、該平均値若しくは該標準偏差を用いて算出される比率若しくは分布面積の一つ以上を前記一種以上の指標値として導出する、
請求項1に記載の肌状態評価方法。
前記導出工程では、前記肌に関して導出された前記一種以上の指標値と前記比較対象肌に関する一種以上の指標値との類似度を、前記相互関係特性を示す前記特性情報として導出する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の肌状態評価方法。
前記導出工程では、前記肌の前記対象空間波形の前記空間変動特性を示す前記特性情報として導出された前記グラフと、前記比較対象肌に関して前記肌と同様に前記空間変動特性を示す前記特性情報として導出されたグラフとが対比可能な状態で示される比較情報を、前記相互関係特性を示す前記特性情報として導出する、
請求項5に記載の肌状態評価方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下に挙げる各実施形態はそれぞれ例示であり、本発明は以下の各実施形態の構成に限定されない。
【0014】
まず、本実施形態に係る肌状態評価方法の概要について
図1を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る肌状態評価方法を示すフローチャートである。
本実施形態に係る肌状態評価方法は、少なくとも、
図1に示されるように工程(S11)、工程(S13)、及び工程(S15)を含む。
【0015】
工程(S11)は、肌の凹凸形状に関する空間波形情報を取得する工程である。
ここで対象となる肌は、状態を評価したい被験者の任意の部位の肌の任意の領域である。
「肌の凹凸形状に関する空間波形情報」とは、肌の凹凸形状に関する空間変化(空間変動)を示す波形情報である。
「波形情報」又は「波形データ」とは、空間軸上に並ぶ振幅値の列データである。
「肌の凹凸形状に関する空間波形情報」は、高さの空間変化を示す凹凸波形データ(空間軸上に並ぶ高さ情報の列データ)であってもよいし、凹凸波形データから周波数解析などの演算により得られる値(パワー値などの振幅値)の空間変化を示す波形データであってもよい。
以降、前者の凹凸波形データをベース波形データと表記する場合がある。例えば、個々の画素値が皮膚表面の高さを示す画像データは凹凸波形データに該当する。
後者の例としては、凹凸波形データ(ベース波形データ)に対してウェーブレット変換といった空間情報を残す周波数解析を適用することにより、特定周波数成分の混合強度(パワー)の空間変化を示す波形データや、ベース波形データに対してフーリエ変換を適用することで特定周波数成分に限定した波形データがあり得る。このように、ベース波形データに対して何らかの演算を施された波形データを変換波形データと表記する場合がある。
【0016】
工程(S11)では、後述の肌状態評価装置のようなコンピュータが、レーザ顕微鏡などの肌の凹凸形状を測定した測定装置から凹凸波形データを当該空間波形情報として取得することができる。コンピュータは、他のコンピュータ又は可搬型記録媒体から凹凸波形データを取得してもよい。
また、当該コンピュータが、その取得された凹凸波形データに対して所定の演算を施すことにより、変換波形データを当該空間波形情報として取得することもできる。コンピュータは、他のコンピュータ又は可搬型記録媒体から当該変換波形データを取得してもよい。
ところで、肌の凹凸形状の測定装置は、肌から直接、高さ情報を測定してもよいし、肌から既存の手法で得られるレプリカ(非特許文献1参照)を用いて間接的に肌の高さ情報を測定してもよい。肌の凹凸形状の測定装置の測定原理は制限されない。
【0017】
工程(S13)は、工程(S11)で取得された空間波形情報を用いて、対象空間波形の空間変動特性又はその対象空間波形と比較対象肌の空間波形との間の相互関係特性を示す特性情報、より具体的には、対象空間波形の周期乱れを示す特性情報を導出する工程である。
ここで「対象空間波形の空間変動特性を示す特性情報」とは、対象となる空間波形の空間軸上での変動傾向を示す定量情報を意味する。また、「周期乱れを示す特性情報」とは、空間波形の乱れ、すなわち周波数や位相の乱れ(揺らぎ)を振幅から分離して表現した情報であり、本実施形態ではこれとは別に振幅の乱れ(揺らぎ)も同時に特性情報としている。この特性情報は、例えば、対象となる空間波形と、その空間波形を空間軸上で所定距離分シフトしたシフト波形との関係から得ることができる。この空間変動特性を示す特性情報の具体的な導出手法については後述する。
【0018】
また、「対象空間波形と比較対象肌の空間波形との間の相互関係特性を示す特性情報」とは、対象空間波形と比較対象肌の空間波形との関係性を示す定量情報を意味する。この特性情報は、例えば、両波形の類似度又は乖離度などで示され得る。この相互関係特性を示す特性情報の具体的な導出手法については後述する。
【0019】
ここで、比較対象肌は、対象肌と同一人物の肌であっても、他人の肌であってもよい。例えば、比較対象肌は、或る美容施術又は化粧料を施す前の同一人物の肌である。この例によれば、美容施術又は化粧料を施す前後での被験者の肌を相対的に評価することができる。他の例として、同一人物の或る年齢時の肌が比較対象肌とされてもよい。この例によれば、その年齢時から今までの被験者の肌の変化を相対評価することができる。他の例として、同一人物の他の部位の肌が比較対象肌とされてもよい。この例によれば、被験者自身の肌を部位間で相対的に評価することができる。更に他の例として、理想とされる肌或いは被験者が憧れる人の肌が比較対象肌とされてもよい。また、対象肌と比較対象肌とでは同一部位が対象とされてもよいし、異なる部位が対象とされてもよい。
【0020】
比較対象肌の空間波形情報は、対象肌に関する当該空間波形情報を取得する工程(S11)の実行と同期して(並列又はその前後にて)、取得されてもよいし、対象肌に関する空間波形情報とは別時期に別途取得されてもよい。更に言えば、比較対象肌に関する空間波形情報は、対象肌に関するそれとは異なる方法で予め取得され、保持されていてもよい。工程(S13)において、コンピュータが、他のコンピュータ又は可搬型記録媒体などから比較対象肌に関する空間波形情報を取得してもよい。
【0021】
工程(S15)は、工程(S13)で導出された特性情報に基づいて、対象肌の状態を評価する工程である。
工程(S15)で評価される肌の状態とは、肌の凹凸形状に関わる状態である。本実施形態では、肌の凹凸形状を形成する複数種の凹凸構造の空間均一性も肌状態として評価することができるため、評価される肌の状態としては、整った状態か否か、整った状態若しくは不揃い状態の程度、肌年齢など様々な指標で評価することができる。
【0022】
工程(S15)における具体的な評価手法については後述する。但し、この評価手法は、後述する例に限定されない。
例えば、コンピュータが、工程(S13)で導出された特性情報に基づいて、所定のアルゴリズムにより対象肌の状態を評価してもよい。この場合、コンピュータは、評価結果(「最高レベル」、「良好」、「改善要」など)を提示することもできる。また、コンピュータが工程(S13)で導出された特性情報を提示し、この特性情報を参照した者(被験者や評価者など)が、その特性情報を考慮して対象肌を評価してもよい。
【0023】
概要として説明したように、本実施形態では、対象肌の凹凸形状に関する空間波形情報から、対象空間波形の空間変動特性を示す特性情報又は対象空間波形と比較対象肌の空間波形との間の相互関係特性を示す特性情報が導出され、その特性情報に基づいて対象肌の状態が評価される。
これにより、本実施形態によれば、肌の凹凸形状に関わる肌状態を定量的に評価することができる。
更に、本実施形態において肌状態の評価の根拠とされる特性情報は、対象肌の凹凸形状の空間変動の情報を含む定量情報である。従って、本実施形態によれば、肌の凹凸形状の空間均一性といった観点でも肌状態を的確に定量評価することができる。
【0024】
以下、本実施形態に係る肌状態評価方法についてより具体的に説明する。
[第一実施形態]
第一実施形態では、上述の空間変動特性を示す特性情報に基づく肌状態評価の一具体例を挙げる。以下、第一実施形態に係る肌状態評価方法を本評価方法と略称する場合もある。
図2は、第一実施形態に係る肌状態評価方法を示すフローチャートである。
本評価方法は、
図2に示されるように、工程(S21)から工程(S25)を含む。工程(S21)は、
図1に示される工程(S11)に対応し、工程(S22)から工程(S24)は、工程(S13)に対応し、工程(S25)は、工程(S15)に対応する。
本評価方法は、例えば、後述の肌状態評価装置により実行される。但し、本評価方法は、各工程において人手が介入することを許容する。
【0025】
工程(S21)は、上述の工程(S11)と同様であり、被験者の肌の凹凸形状に関する空間波形情報を取得する工程である。工程(S21)では、上述したとおり、凹凸波形データを当該空間波形情報として取得してもよいし、その凹凸波形データから得られる変換波形データを当該空間波形情報として取得してもよい。また、工程(S21)における当該空間波形情報の取得手法についても上述したとおりである。
【0026】
工程(S22)は、工程(S21)で取得された空間波形情報を、対象空間波形における空間軸上で所定距離離れた振幅値ペアで形成される直交座標系の座標点群に変換する工程である。
即ち、ここでの直交座標系は、空間波形情報により示される対象空間波形における空間軸上で所定距離離れた振幅値ペアの一方を横軸(x軸)、他方を縦軸(y軸)にした直交平面座標系となる。このように空間波形情報を直交座標系の座標点群に変換することをローレンツプロットと表記する場合もある。
ローレンツプロットに用いる当該所定距離は、シフト距離であり、抽出したい空間周波数成分に対応する適切な値に設定されることが望ましい。例えば、細かな空間変化を抽出したい場合には、所定距離Δxは、大まかな空間変化を抽出したい場合に比べて、小さい値に設定すればよい。
【0027】
工程(S23)は、工程(S22)で得られた直交座標系の座標点群を、当該直交座標系の直交軸であるx軸及びy軸で示される「y=x」軸及び「y=−x」軸に投影した変換座標点群に変換する工程である。
【0028】
図3は、第一実施形態におけるローレンツプロット及び座標変換を概念的に示す図である。
図3で示される凹凸パワー波形データは、ベース波形データである凹凸波形データに対してウェーブレット変換を適用して得られる変換波形データである。この変換波形データが空間波形情報として取得され、この変換波形データがローレンツプロットにより直交座標系の座標点群に変換される。ローレンツプロットでは、変換波形データの振幅値(パワー値)が横軸(x軸)に、所定距離Δxシフトされたシフト波形データの振幅値(パワー値)が縦軸(y軸)に取られる。つまり、当該直交座標系の一座標点のy軸要素である振幅値は、変換波形データにおいて、同座標点のx軸要素である振幅値から所定距離Δx離間した位置に現れる値である。
座標変換では、当該直交座標系の座標点群が「y=x」軸及び「y=−x」軸に投影された座標に変換される。
図3では、「y=x」軸が変換後の座標系においてX'軸と表記され、「y=−x」軸が変換後の座標系においてY'軸と表記されている。
【0029】
工程(S24)は、工程(S23)で得られた変換座標点群の分布状態を示す一種以上の指標値を当該対象空間波形の空間変動特性を示す特性情報として導出する工程である。
例えば、工程(S24)では、当該変換座標点群における、「y=x」軸(
図3のX'軸)における原点からの距離の平均値若しくは標準偏差、「y=−x」軸(
図3のY'軸)における原点からの距離の平均値若しくは標準偏差、又は、それら平均値若しくはそれら標準偏差を用いて算出される比率若しくは分布面積の一つ以上を当該一種以上の指標値として導出することができる。
【0030】
図3では、X'軸における原点からの距離の平均値が黒塗り星マークで示され、その距離の標準偏差がσxで示され、Y'軸における原点からの距離の平均値が白抜き星マークで示され、その距離の標準偏差がσyで示されている。
比率としては、X'軸における平均距離とY'軸における平均距離との比率、又は、X'軸における標準偏差σxとY'軸における標準偏差σyとの比率(σx/σy)が算出され得る。
分布面積は、標準偏差σx及び標準偏差σyを用いて、楕円面積として(π×σx×σy)で算出され得る。
但し、算出される一種以上の指標値は、このような例に限定されず、変換座標点群の分布状態を示す他の指標値であってもよい。例えば、距離の分散値又は分散値の比率が指標値として用いられてもよいし、分布面積は、長方形面積として(2σx×2σy)で算出されてもよい。工程(S24)で算出される一種以上の指標値は、工程(S23)で得られた変換座標点群の分布状態を示す複数種の指標値のうち、肌状態と相関の高い指標値とされることが望ましい。
【0031】
本発明者らは、このようにローレンツプロットを用いて得られる指標値が、肌の凹凸形状に関する空間波形情報の特徴を示していることを見出している。
図4は、直線波形のローレンツプロット及び座標変換を示す図である。
図4に示されるように、直線波形は、ローレンツプロット及び座標変換により一座標点に変換される。直線波形の振幅を増加させると、座標変換後の座標点はX'軸上を移動する。このことから、X'軸における平均距離は空間波形情報の振幅値(高さ、パワーなど)の平均情報を示すといえる。
【0032】
図5は、三角波形及び三角波の変形波形のローレンツプロット及び座標変換を示す図である。
図5に示されるように、三角波形はローレンツプロット及び座標変換によりX'軸に平行な直線状の複数座標点に変換される。この三角波形の振幅を増加させると、座標変換後の複数座標点の直線状分布はX'軸方向に延びる。このことから、X'軸における標準偏差σxは空間波形情報の振幅(高さ、パワーなど)の幅を示すといえる。
また、三角波形に周期の乱れを含めると、座標変換後の複数座標点の分布がY'軸方向に延びる。更に、三角波形を不均一化すると、座標変換後の複数座標点の分布が散らばる。このことから、Y'軸における平均距離は空間波形情報の周期の乱れの平均情報を示し、Y'軸における標準偏差σyは空間波形情報の周期の乱れの大きさを示すといえる。
更に、分布面積は、標準偏差σx及びσyを用いるため、空間波形情報の振幅の幅及び周期の乱れの大きさを示すといえ、標準偏差の比率(σx/σy)は、空間波形情報の振幅の幅と周期の乱れの大きさとの比率を示すといえる。
なお、
図5で示されるローレンツプロットでは所定距離Δxが1周期に設定されている。
これらにより、ローレンツプロットを用いて得られる指標値が、肌の凹凸形状に関する空間波形情報の特徴を示すことが理論的に実証される。更に、本発明者らにより、これら指標値により人の肌の状態を定量評価できることは実証されている(実施例の項参照)。
【0033】
工程(S25)は、工程(S24)で導出された一種以上の指標値を提示する工程である。
指標値の提示は、ディスプレイのような表示装置への表示で実現されてもよいし、プリンタへの印刷で実現されてもよいし、音声出力で実現されてもよい。
本評価方法では、被験者自ら又は評価者が、工程(S25)で提示された指標値を参照して、被験者の肌状態を評価することができる。このとき、工程(S25)では、被験者の肌に関する指標値と比較するための基準となる指標値又は肌状態の空間均一性の良し悪しの境界を示す閾値を更に提示することもできる。また、このような比較のための指標値又は閾値は、予め印刷媒体などに出力されていてもよい。
【0034】
また、本評価方法では、工程(S24)で導出された一種以上の指標値をそのような基準となる指標値や閾値などと比較することにより、被験者の肌状態を自動的に評価し、その評価結果を工程(S25)で提示することもできる。例えば、指標種ごとに閾値を予め保持しておき、各種の指標値が閾値を超えるか否かにより、最高、良好、改善要、劣悪などと肌状態を評価し、その評価結果を提示することができる。
【0035】
また、本評価方法では、工程(S24)で複数種の指標値が導出される場合に、工程(S25)において、各指標種を座標軸とする座標系に、被験者の肌に関する複数種の指標値に対応する点がプロットされたグラフを提示することもできる。
図6は、二種の指標値を座標軸とするグラフの例を示す図である。
図6に示されるグラフでは、Y'軸の平均距離が横軸(x軸)とされ、Y'軸の標準偏差σyが縦軸(y軸)とされている。空間波形に関するY'軸の平均距離は周期の乱れの平均情報を示し、Y'軸の標準偏差は周期の乱れの大きさを示す。そのため、
図6のグラフによれば、肌の凹凸構造の空間均一性に関する肌状態を視覚的に評価することができる。
例えば、
図6に示されるように、被験者の肌(被験肌)に関する指標値と共に、同年代の平均的な肌状態や理想的な肌状態のような基準となる肌状態に関する指標値(基準指標値)がプロットされていてもよい。これにより、グラフ上におけるこの基準指標値との位置関係に応じて、被験者の肌状態を容易に評価することができる。
【0036】
このように第一実施形態では、被験者の肌の凹凸形状に関する空間波形情報がローレンツプロットにより直交座標系の座標点群に変換され、更に座標変換される。そして、得られた変換座標点群の分布状態を示す一種以上の指標値が導出され、この指標値が被験者の肌状態を示す定量情報として提示される。この指標値が人の肌状態を示すことは本発明者らにより実証されている(実施例参照)。
従って、第一実施形態によれば、肌の凹凸形状の空間変動に関わる肌状態、例えば、凹凸の空間均一性といった肌状態を的確に定量評価することができる。
【0037】
[第一実施形態の変形例]
上述の第一実施形態では、被験者の肌に関して導出される一種以上の指標値に基づいて、肌状態が評価されたが、指標値を用いることなく肌状態を評価することはできる。
例えば、
図2の工程(S24)の代わりに、工程(S23)で得られた変換座標点群がプロットされたグラフを当該空間変動特性を示す特性情報として導出し、工程(S25)においてこのグラフを提示してもよい。このグラフは、例えば、
図3の下部に示される座標変換後のグラフである。
また、ローレンツプロットされたグラフを当該空間変動特性を示す特性情報として導出し、このグラフを提示してもよい。即ち、
図2の工程(S23)を省き、工程(S24)の代わりに、工程(S22)で得られた直交座標系の座標点群がプロットされたグラフを当該特性情報として導出する。この場合、
図3の中央に示されるローレンツプロットされたグラフが提示される。
当該直交座標系の座標点群又はこの座標点群に対する座標変換により得られる変換座標点群がプロットされたグラフによれば、グラフの形状から視覚的にその指標値と同様の情報を把握することができる。即ち、このグラフによっても、被験者の凹凸形状に関わる肌状態を的確に定量評価することができる。
【0038】
[第二実施形態]
第二実施形態では、上述の空間変動特性を示す特性情報に基づく肌状態評価の一具体例として、第一実施形態と異なる例を挙げる。以下、第二実施形態に係る肌状態評価方法を本評価方法と略称する場合もある。
【0039】
図7は、第二実施形態に係る肌状態評価方法を示すフローチャートである。
本評価方法は、
図7に示されるように、工程(S31)から工程(S34)を含む。工程(S31)は
図1に示される工程(S11)に対応し、工程(S32)及び工程(S33)は工程(S13)に対応し、工程(S34)は工程(S15)に対応する。
本評価方法は、例えば、後述の肌状態評価装置により実行される。但し、本評価方法は、各工程において人手が介入することを許容する。
【0040】
工程(S31)は、上述の工程(S11)及び工程(S21)と同様であり、被験者の肌の凹凸形状に関する空間波形情報を取得する工程である。
工程(S32)は、工程(S31)で取得された空間波形情報を空間軸上で所定距離シフトしたシフト波形情報を生成する工程である。
ここでの所定距離もローレンツプロットに用いる当該所定距離と同様にシフト距離であり、抽出したい周波数成分(凹凸構造のスケール)に対応する適切な値に設定されることが望ましい。例えば、細かな空間変化(小さい凹凸構造)を抽出したい場合には、所定距離Δxは、大まかな空間変化(大きい凹凸構造)を抽出したい場合に比べて、小さい値に設定すればよい。
【0041】
工程(S33)は、工程(S31)で取得された空間波形情報を成分とする元ベクトルと工程(S32)で生成されたシフト波形情報を成分とするシフトベクトルとの演算により、対象空間波形の空間変動特性を示す特性情報を導出する工程である。
この演算としては、内積演算、ベクトル間のユークリッド距離演算などがある。内積演算によれば、内積値及びベクトル間の角度cosθが当該空間変動特性を示す特性情報として算出され得る。また、ベクトル間のユークリッド距離が当該空間変動特性を示す特性情報として算出されてもよい。なお、当該演算により得られる値は、ベクトル間の類似度と呼ぶこともできる。
【0042】
図8は、第二実施形態におけるベクトル間の内積演算を概念的に示す図である。
図8で示される凹凸パワー波形データは、
図3と同様である。このような変換波形データが空間波形情報として取得され、この変換波形データが空間シフトされ、シフト波形データが生成される。例えば、凹凸パワー波形データの中の10000個のパワー値を成分とする元ベクトルAとシフト波形データの中の10000個のパワー値を成分とするシフトベクトルBとの内積演算が行われる。但し、各ベクトルの要素数(成分数)は、このような数に限定されない。
図8の例では、内積演算により内積値とcosθとが当該空間変動特性を示す特性情報として導出されている。
【0043】
工程(S34)は、工程(S33)での演算結果、即ち、当該空間変動特性を示す特性情報を提示する工程である。提示される特性情報は、内積値又はcosθのように、一つの値であってもよいし、複数種の値であってもよい。
工程(S34)での演算結果の提示手法は、第一実施形態における指標値の提示手法と同様である。
本評価方法では、被験者自ら又は評価者が、工程(S34)で提示された演算結果を参照して、被験者の肌状態を評価することができる。このとき、工程(S34)では、被験者の肌に関する演算結果と比較するための基準となる値又は肌の空間均一性の良し悪しの境界を示す閾値を更に提示することもできる。また、このような比較のための基準値又は閾値は、予め印刷媒体などに出力されていてもよい。
【0044】
また、本評価方法では、工程(S33)で導出された演算結果をそのような基準値や閾値などと比較することにより、被験者の凹凸形状に関わる肌状態を自動的に評価し、その評価結果を工程(S34)で提示することもできる。例えば、閾値を予め保持しておき、演算結果が閾値を超えるか否かにより、最高、良好、改善要、劣悪などの良し悪しの程度や、肌年齢などにより肌状態を評価し、その評価結果を提示することができる。
【0045】
このように第二実施形態では、被験者の肌の凹凸形状に関する空間波形情報を成分とするベクトルとその空間波形情報を所定距離シフトしたシフト波形情報を成分とするベクトルとの演算により、当該空間変動特性を示す特性情報が導出される。演算結果がベクトル間の類似度が高いことを示す場合、対象空間波形の空間変動が小さいことを示し、その類似度が低い場合、対象空間波形の空間変動が大きいことを示す。そして、その演算結果が被験者の肌状態を示す定量情報として提示される。このように提示される演算結果が人の肌状態を示すことは本発明者らにより実証されている(実施例参照)。
従って、第二実施形態によれば、肌の凹凸形状の空間変動に関わる肌状態、例えば、肌の凹凸構造の空間均一性といった肌状態を的確に定量評価することができる。
【0046】
[第三実施形態]
上述の第一及び第二実施形態では、被験者の肌の凹凸形状に関する空間波形情報を処理して得られた情報に基づいて、被験者の肌の状態が評価された。第三実施形態では、被験者の肌に関する対象空間波形と比較対象肌に関する空間波形との間の相互関係特性を示す特性情報に基づいて、被験者の肌の状態が相対的に評価される。以下、第三実施形態に係る肌状態評価方法を本評価方法と略称する場合もある。
【0047】
図9は、第三実施形態に係る肌状態評価方法を示すフローチャートである。
本評価方法は、
図9に示されるように、工程(S41)から工程(S46)を含む。工程(S41)は
図1に示される工程(S11)に対応し、工程(S42)から工程(S45)は工程(S13)に対応し、工程(S46)は工程(S15)に対応する。
本評価方法は、例えば、後述の肌状態評価装置により実行される。但し、本評価方法は、各工程において人手が介入することを許容する。
【0048】
工程(S41)から工程(S44)は、
図2に示される工程(S21)から工程(S24)と同様である。
工程(S45)は、被験者の肌に関して工程(S44)で導出された一種以上の指標値と比較対象肌に関する一種以上の指標値との類似度を算出する工程である。
工程(S45)で算出される類似度は、被験者の肌の対象空間波形と比較対象肌の空間波形との間の相互関係特性を示す特性情報の一例である。
【0049】
一種の指標値が導出される場合、被験者の肌に関する指標値と比較対象肌に関する指標値との差が当該類似度として算出されてもよい。また、複数種の指標値が導出される場合、当該類似度は、複数種の指標値を成分とするベクトル間のユークリッド距離として算出されてもよいし、それらベクトル間の角度として算出されてもよい。後者の場合、被験者の肌に関する複数種の指標値を成分とする特性ベクトルと比較対象肌に関する複数種の指標値を成分とする特性ベクトルとの内積演算を行い求められるcosθの値を類似度として算出することができる。
【0050】
図10は、工程(S45)における類似度の算出例を概念的に示す図である。
図10の例では、被験者の肌(被験肌)に関する複数種の指標値を成分とする特性ベクトルAと比較対象肌に関する複数種の指標値を成分とする特性ベクトルBとの内積演算を行い求められるcosθの値が類似度として算出されている。特性ベクトルA及びBの各成分数は、指標値として採用する上述の指標値の数となる。cosθの値は、例えば、特性ベクトルAと特性ベクトルBとの内積値(A・B)を特性ベクトルAの長さ(|A|)と特性ベクトルBの長さ(|B|)との積で除算することで算出可能である。
【0051】
比較対象肌に関する指標値は、被験者の肌に関する空間波形情報に対する工程(S41)から工程(S44)の実行と同期して(並列又はその前後にて)、比較対象肌に関する空間波形情報に対する工程(S41)から工程(S44)の実行により算出されてもよいし、被験者の肌に関する指標値とは別時期に別途算出されてもよい。更に言えば、比較対象肌に関する指標値は、被験者の肌に関するそれとは異なる方法で予め取得され、保持されていてもよい。工程(S45)において、コンピュータが、他のコンピュータ又は可搬型記録媒体などから比較対象肌に関する指標値を取得してもよいし、当該指標値をユーザに入力させてもよい。
比較対象肌に関する指標値は、被験者の肌に関して工程(S41)で取得された空間波形情報と同じ測定条件で測定された空間波形情報に基づいて算出されることが望ましい。その測定条件としては、肌の凹凸形状を測定する際の測定部の肌上の移動速度などである。測定条件を合わせることで、評価精度を向上させることができる。
【0052】
工程(S46)は、工程(S45)で算出された類似度を提示する工程である。
類似度の提示は、ディスプレイのような表示装置への表示で実現されてもよいし、プリンタへの印刷で実現されてもよいし、音声出力で実現されてもよい。
本実施形態では、被験者自ら又は評価者が、工程(S46)で提示された類似度を参照して、被験者の肌状態を比較対象肌との間で相対的に評価する。例えば、提示された類似度が高い程、被験者の肌状態は比較対象肌の状態により近いと評価でき、提示された類似度が低い程、被験者の肌状態は比較対象肌の状態からより乖離していると評価できる。
工程(S46)では、類似度と共に、肌状態が近いと評価するための閾値と肌状態が遠い(異なる)と評価するための閾値とを提示することもでき、このような閾値は、予め印刷媒体などに出力されていてもよい。
ところで、被験者の肌状態と比較対象肌の状態との類似度合又は乖離(相違)度合が、肌に関する空間波形情報から得られる複数種の指標値間の類似度により定量的に評価できることは、本発明者らにより実証されている(実施例の項参照)。
【0053】
このように第三実施形態では、第一実施形態と同様にローレンツプロットを用いて、被験者の肌に関する空間波形情報から一種以上の指標値が導出され、被験者の肌に関する一種以上の指標値と比較対象肌に関する一種以上の指標値との類似度が算出される。算出された類似度は、被験者の肌の対象空間波形と比較対象肌の空間波形との間の相互関係特性を示す特性情報であり、被験者の肌と比較対象肌との類似度合又は乖離度合を示す定量情報である。
従って、第三実施形態によれば、肌の凹凸形状の空間変動に関わる肌状態、例えば、肌の凹凸構造の空間均一性といった被験者の肌状態を比較対象肌との比較により定量的に評価することができる。
【0054】
[第三実施形態の変形例]
上述の第三実施形態では、工程(S46)において類似度が提示されたが、類似度の提示に代えて、その類似度に対応する評価結果(「似ています」、「あまり似ていません」など)を提示してもよい。この場合、コンピュータが、予め保持される閾値などとその類似度とを比較することで、評価結果を導出し、この評価結果を提示することができる。
【0055】
また、工程(S45)における類似度の算出及び工程(S46)における類似度の提示を実行することなく、次のような比較グラフを提示してもよい。具体的には、複数種の指標値が導出される場合、工程(S46)では、各指標種を座標軸とする座標系に被験者の肌に関する複数種の指標値及び比較対象肌に関する複数種の指標値に対応する点がプロットされた比較グラフを提示することができる。この場合、コンピュータがその比較グラフを生成し、表示装置やプリンタなどにその比較グラフを出力し、その比較グラフを参照した者(被験者や評価者など)が、そのグラフ内の被験者の肌を示す点と比較対象肌を示す点との位置関係から被験者の肌を評価してもよい。また、コンピュータが、比較グラフの提示と共に、比較グラフ内の点の位置関係に対応する評価結果を提示することもできる。
例えば、この比較グラフは、
図6に示されるグラフで、基準指標値の代わりに比較対象肌に関する指標値に対応する点がプロットされていればよい。
【0056】
更に、工程(S45)及び工程(S46)に加えて、工程(S44)が実行されなくてもよい。この場合、工程(S43)で得られた変換座標点群がプロットされたグラフを生成し、比較対象肌に対しても同様の手法でそのグラフを生成する。そして、その両グラフが対比可能な状態で提示すればよい。また、変換座標点群がプロットされたグラフではなく、ローレンツプロットされたグラフを被験者の肌及び比較対象肌に関してそれぞれ生成し、その両グラフが対比可能な状態で提示されればよい。
言い換えれば、被験者の肌の対象空間波形の空間変動特性を示す特性情報として導出されたグラフと、比較対象肌に関して被験者の肌と同様に空間変動特性を示す特性情報として導出されたグラフとが対比可能な状態で示される比較情報を、被験者の肌の対象空間波形と比較対象肌の空間波形との間の相互関係特性を示す特性情報として導出することができる。
当該直交座標系の座標点群又はこの座標点群に対する座標変換により得られる変換座標点群がプロットされたグラフによれば、グラフの形状から視覚的にその指標値と同様の情報を把握することができる。即ち、このグラフによっても、被験者の肌状態を比較対象肌との間で高精度に相対評価することができる。
【0057】
[第四実施形態]
第四実施形態では、被験者の肌に関する対象空間波形と比較対象肌に関する空間波形との間の相互関係特性を示す特性情報に基づく肌状態評価の一具体例として、第三実施形態と異なる例を挙げる。以下、第四実施形態に係る肌状態評価方法を本評価方法と略称する場合もある。
【0058】
図11は、第四実施形態に係る肌状態評価方法を示すフローチャートである。
本評価方法は、
図11に示されるように、工程(S51)から工程(S53)を含む。工程(S51)は
図1に示される工程(S11)に対応し、工程(S52)は工程(S13)に対応し、工程(S53)は工程(S15)に対応する。
本評価方法は、例えば、後述の肌状態評価装置により実行される。但し、本評価方法は、各工程において人手が介入することを許容する。
【0059】
工程(S51)は、上述の工程(S11)、工程(S21)などと同様であり、被験者の肌の凹凸形状に関する空間波形情報を取得する工程である。
工程(S52)は、工程(S51)で取得された空間波形情報を成分とする被験肌ベクトルと比較対象肌の空間波形情報を成分とする比較肌ベクトルとの類似度を、被験者の肌の対象空間波形と比較対象肌の空間波形との間の相互関係特性を示す特性情報として導出する工程である。
当該類似度は、被験肌ベクトルと比較肌ベクトルとの間のユークリッド距離として算出されてもよいし、それらベクトル間の角度として算出されてもよい。後者の場合、両ベクトルの内積演算を行い求められるcosθの値を類似度として算出することができる。
【0060】
図12は、第四実施形態におけるベクトル間の内積演算を概念的に示す図である。
図12の例では、被験者の肌に関する空間波形情報を成分とする被験肌ベクトルAと比較対象肌に関する空間波形情報を成分とする比較肌ベクトルBとの内積演算を行い求められるcosθの値が類似度として算出されている。この場合、類似度が1に近付く程、類似度が高く、類似度が0に近付く程、類似度が低くなる。被験肌ベクトルA及び比較肌ベクトルBの各成分数(要素数)は、空間波形情報に含まれる振幅値群の一部又は全部とされる。
【0061】
比較対象肌に関する比較肌ベクトルは、予め取得され、保持されていてもよい。例えば、工程(S52)の実行時又はそれより前に、コンピュータが、他のコンピュータ又は可搬型記録媒体などから比較肌ベクトルを取得してもよいし、その比較肌ベクトルをユーザに入力させてもよい。
また、比較対象肌に関する空間波形情報が、被験者の肌に関する空間波形情報と共に(又は前後して)取得されてもよい。
比較対象肌に関する比較肌ベクトルは、被験者の肌に関して工程(S51)で取得された凹凸形状に関する空間波形情報と同じ測定条件で測定された空間波形情報から生成されることが望ましい。その測定条件としては、肌の凹凸形状を測定する際の測定部の肌上の移動速度などである。測定条件を合わせることで、評価精度を向上させることができる。
【0062】
工程(S53)は、工程(S52)において当該相互関係特性を示す特性情報として導出された類似度を提示する工程である。工程(S53)は、第三実施形態における工程(S46)と同様である。なお、被験者の肌状態と比較対象肌の状態との類似度合又は乖離(相違)度合が、肌の凹凸形状に関する空間波形情報を成分とするベクトル間の類似度により定量的に評価できることは、本発明者らにより実証されている(実施例の項参照)。
【0063】
このように第四実施形態では、被験者の肌の凹凸形状に関する空間波形情報を成分とするベクトルと、比較対象肌の凹凸形状に関する空間波形情報を成分とするベクトルとの類似度が算出される。この算出された類似度は、被験者の肌の対象空間波形と比較対象肌の空間波形との間の相互関係特性を示す特性情報であり、被験者の肌と比較対象肌との類似度合又は乖離度合を示す定量情報である。
従って、第四実施形態によれば、第三実施形態と同様に、被験者の肌の凹凸形状に関わる肌状態を比較対象肌との比較により定量的に評価することができる。
【0064】
[変形例]
上述の第一、第二、及び第三実施形態では、ローレンツプロット又は波形情報の空間シフトにおいて、所定距離が用いられた。
これら各実施形態では、それぞれ異なる複数の所定距離を用いてローレンツプロット又は波形情報の空間シフトをそれぞれ行い、所定距離ごとに上述の一種以上の指標値をそれぞれ算出するようにしてもよい。このように所定距離Δxを変えることで、肌の凹凸形状に関する空間波形において異なる成分の特徴を抽出できる。
【0065】
第一実施形態及び第二実施形態では、被験者の肌に関して所定距離Δxごとに算出された一種以上の指標値を用いて、被験者の肌の状態が評価されればよい。例えば、所定距離Δxごとに指標値と閾値とを比較して、その比較結果を総合的に評価することで、被験者の肌の凹凸形状に関わる肌状態の評価結果とすることができる。
また、第三実施形態では、被験者の肌に関する指標値及び比較対象肌に関する指標値を、所定距離Δxごとに比較することにより、被験者の肌状態を比較対象肌との間で相対的に評価することができる。例えば、上述の比較グラフが所定距離Δxごとにそれぞれ提示されてもよい。また、被験者の肌と比較対象肌との指標値間の類似度が所定距離Δxごとに算出及び提示されてもよい。
このようにすれば、小さい変化や大きい変化など着目すべき空間周波数成分に特化して、被験者の肌状態を高精度に評価することができる。
【0066】
このような着目すべき空間周波数成分に特化した評価を行うためには、処理対象とする空間波形情報を特定の空間周波数成分に制限した波形情報としてもよい。
図13は、それぞれ異なる空間周波数帯を選択したウェーブレット変換適用後の変換波形データ(凹凸パワー波形データ)の例を示す図である。
図13に示されるように、それぞれ異なる4つの空間周波数帯が選択された各変換波形データからローレンツプロットにより変換された座標点群はそれぞれ異なる分布を示している。即ち、着目すべき空間周波数成分を選択した空間波形情報を用いることで、肌の凹凸形状に関する空間波形において異なる成分の特徴を抽出できることが分かる。なお、
図13におけるローレンツプロットでは、所定距離Δxとして560μmが用いられた。
【0067】
また、上述の各実施形態では、肌の凹凸形状に関する空間波形情報が用いられたが、測定部により肌の凹凸の高さの検出位置が特定できない場合、その高さの検出時に基づく肌の凹凸形状に関する時間変化を示す時間波形情報が用いられてもよい。この場合の時間波形情報は、時間軸上に並ぶ凹凸形状に関わる振幅値(高さ、パワーなど)のデータ列となる。
【0068】
[肌状態評価装置]
上述の各実施形態及び変形例に係る肌状態評価方法は、
図14及び
図15例示される肌状態評価装置(以降、単に評価装置と略称する場合もある)により実行可能である。
図14は、肌状態評価装置10のハードウェア構成例を概念的に示す図である。
評価装置10は、いわゆるコンピュータ(情報処理装置)であり、例えば、バスで相互に接続される、CPU(Central Processing Unit)11、メモリ12、入出力インタフェース(I/F)13、通信ユニット14等を有する。評価装置10を形成する各ハードウェア要素の数はそれぞれ制限されず、これらハードウェア要素は情報処理回路と総称することもできる。また、評価装置10は、
図14に図示されないハードウェア要素を含んでもよく、そのハードウェア構成は制限されない。
【0069】
CPU11は、一般的なCPU以外に、特定用途向け集積回路(ASIC)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)等で構成してもよい。
メモリ12は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、補助記憶装置(ハードディスク等)である。
入出力I/F13は、出力装置15、入力装置16等のユーザインタフェース装置と接続可能である。出力装置15は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイのような、CPU11等により処理された描画データに対応する画面を表示する装置、印刷装置などの少なくとも一つである。入力装置16は、キーボード、マウス等のようなユーザ操作の入力を受け付ける装置である。出力装置15及び入力装置16は一体化され、タッチパネルとして実現されてもよい。
通信ユニット14は、他のコンピュータとの通信網を介した通信や、他の機器との信号のやりとり等を行う。通信ユニット14には、可搬型記録媒体等も接続され得る。また、通信ユニット14には、肌の触感に関わる物理量を検出可能な上述の検出部が接続されてもよい。
【0070】
図15は、肌状態評価装置10の処理構成例を概念的に示す図である。
評価装置10は、取得部21、生成部22、及び出力処理部23を有する。これら処理モジュールは、ソフトウェア要素であり、例えば、メモリ12に格納される肌状態評価プログラム(コンピュータプログラム)18がCPU11により実行されることにより実現される。このコンピュータプログラム18は、例えば、CD(Compact Disc)、メモリカード等のような可搬型記録媒体やネットワーク上の他のコンピュータから入出力I/F13又は通信ユニット14を介してインストールされ、メモリ12に格納されてもよい。
それら各ソフトウェア要素の動作により、評価装置10は、上述の各実施形態及び変形例に係る肌状態評価方法を実行することができる。即ち、評価装置10(CPU11)は、
図1、
図2、
図7、
図9、又は
図11に示される各工程を順次実行することができる。各工程の処理内容はそれぞれ上述の通りであるが、以下に、各工程の処理内容が適宜補足される。
【0071】
取得部21は、対象肌の凹凸形状に関する空間波形情報を取得する。即ち、取得部21は、上述の工程(S11)、工程(S21)、工程(S31)、工程(S41)、又は工程(S51)を実行する。
取得部21は、肌の凹凸形状に関する空間波形情報を外部のコンピュータ、機器(検出部など)、可搬型記録媒体などから入出力I/F13又は通信ユニット14を介して取得することができる。
取得部21は、測定装置により測定された肌の凹凸波形データを外部から取得し、この凹凸波形データに対して周波数解析などの演算を適用し、変換波形データを当該空間波形情報として取得してもよい。更に、取得部21は、そのような変換波形データを外部から取得することもできる。
【0072】
生成部22は、取得部21で取得された空間波形情報を用いて、対象空間波形の空間変動特性又は対象空間波形と比較対象肌の空間波形との間の相互関係特性を示す特性情報を生成する。即ち、生成部22は、上述の工程(S13)を実行する。
具体的には、生成部22は、
図2に示される工程(S22)から工程(S24)を実行して、工程(S23)で得られる変換座標点群の分布状態を示す一種以上の指標値を対象肌の対象空間波形の空間変動特性を示す特性情報として算出することができる。また、生成部22は、工程(S22)の実行により得られる直交座標系の座標点群又は工程(S22)及び工程(S23)の実行により得られる変換座標点群がプロットされたグラフを当該対象空間波形の空間変動特性を示す特性情報として生成することもできる。また、生成部22は、
図7に示される工程(S32)及び工程(S33)を実行することにより、元ベクトルとシフトベクトルとの演算結果を当該対象空間波形の空間変動特性を示す特性情報として算出することもできる。
更に、生成部22は、
図9に示される工程(S42)から工程(S45)を実行することにより、対象肌に関して算出された一種以上の指標値と比較対象肌に関する一種以上の指標値との類似度を、上記相互関係特性を示す特性情報として算出することもできる。加えて、生成部22は、
図11に示される工程(S52)を実行することにより、対象肌に関する空間波形情報を成分とするベクトルと比較対象肌の空間波形情報を成分とするベクトルとの類似度を上記相互関係特性を示す特性情報として算出することもできる。
【0073】
生成部22により利用される、比較対象肌の凹凸形状に関する空間波形情報から得られる一種以上の指標値又は比較対象肌の凹凸形状に関する空間波形情報は、メモリ12に予め格納されていてもよいし、通信ユニット14を介して外部から通信により取得されてもよい。
【0074】
出力処理部23は、生成部22により生成された特性情報又はその特性情報に基づく対象肌の状態の評価情報を出力する。即ち、出力処理部23は、上述の工程(S15)、工程(S25)、工程(S34)、工程(S46)、又は工程(S53)を実行する。
この評価情報は、例えば、対象肌(被験者の肌)の評価結果を示す情報である。例えば、当該評価情報は、被験者の肌の凹凸形状に関わる肌状態が良いか悪いか、肌の凹凸構造の空間均一性の良し悪し、被験者の肌状態が比較対象肌に近いか遠いかなどを示す。
【0075】
出力処理部23は、特性情報又は評価情報を出力装置15に出力することができる。また、出力処理部23は、特性情報又は評価情報を通信ユニット14を介して外部のコンピュータに出力してもよいし、可搬型記録媒体に書き込んでもよい。出力処理部23による特性情報及び評価情報の出力形態は制限されない。
【0076】
以下に実施例を挙げ、上述の内容を更に詳細に説明する。以下の実施例の記載は、上述の各実施形態及び変形例に何ら限定を加えるものではない。
【実施例】
【0077】
第一実施形態で述べた、肌の凹凸形状に関する空間波形情報からローレンツプロットを用いて算出された指標値により人の肌状態の違いが定量的に評価可能であることが、次のように検証された。
図16は、皮膚外用剤適用前後の肌に関してローレンツプロットで得られるグラフを示す図である。
図16において、左側の各グラフは、皮膚外用剤適用前の被験者の肌に対応し(GI−1、GII−1、GIII−1、GIV−1)、右側の各グラフは、同一被験者に対して所定の皮膚外用剤を適用した後の肌に対応する(GI−2、GII−2、GIII−2、GIV−2)。また、それぞれ異なる空間周波数帯を選択したウェーブレット変換適用後の変換波形データ(凹凸パワー波形データ)から変換された直交座標系の座標点群がプロットされたグラフが縦に並んでいる。このローレンツプロットでは、所定距離Δxとして560μmが用いられた。
図16によれば、皮膚外用剤適用前後において座標点群の分布形状が異なっている。特に、168Hzから1238Hzの周波数帯に対応するグラフでは、皮膚外用剤適用後に分布範囲が明らかに小さくなっている。これは、肌の凹凸形状の高さ及び周期の乱れが低減していること、即ち、皮膚外用剤により肌の凹凸形状がなめらかになりいわゆるキメが整ったことを示しているといえる。言い換えれば、皮膚外用剤により肌の凹凸構造の空間均一性が向上したことが示されている。
一方、皮膚外用剤の適用により被験者の肌のキメ状態は改善されたことが確認されている。
即ち、
図16によれば、肌の凹凸形状に関する空間波形情報からローレンツプロットを用いて得られるグラフにより人の肌状態の違いを可視化できることが実証されている。
【0078】
図17は、
図16に示される168Hzから1238Hzの周波数帯に対応する直交座標系の座標点群に基づいて算出された5種の指標値を示す図である。具体的には、
図17には、皮膚外用剤適用前後の肌の凹凸形状に関する空間波形情報から第一実施形態の手法で得られた5種の指標値、X'軸及びY'軸の平均距離、X'軸及びY'軸の標準偏差、並びに楕円面積(分布面積)が示されている。各グラフでは、皮膚外用剤適用前の被験者の肌に関する値(左側)と皮膚外用剤適用後の同一被験者の肌に関する値(右側)とが示されている。
図17によれば、いずれの指標値においても、皮膚外用剤適用後の肌に関する指標値が皮膚外用剤適用前のそれよりも小さくなっている。これは、
図16の場合と同様に、皮膚外用剤により肌の凹凸構造の空間均一性が向上したことを示している。
このように、被験者の肌の凹凸形状の空間波形情報から得られた複数種の指標値により肌状態の違いを定量化可能であることが実証されている。
更に言えば、
図16及び
図17によれば、本実施形態が皮膚外用剤効果による肌状態の違いも可視化可能であることが確認される。
【0079】
図18は、皮膚外用剤適用前後の同一被験者の肌に関する凹凸パワー波形データから第二実施形態の手法で得られたベクトル間の内積演算結果を示す図である。
図18では、皮膚外用剤適用前の被験者の肌に関する凹凸パワー波形データG1と、同一被験者に対して所定の皮膚外用剤を適用した後の肌に関する凹凸パワー波形データG2とが示されている。そして、これら変換波形データを成分とする元ベクトルとその変換波形データを所定距離Δx(560μm)シフトしたシフトベクトルとの内積演算により、内積値及びcosθが算出されている。
図18によれば、内積値及びcosθのいずれにおいても、皮膚外用剤適用前後で差が生じている。cosθの値については、皮膚外用剤適用後(G2)のほうが皮膚外用剤適用前(G1)よりも大きくなっている。これは、皮膚外用剤適用後の肌の凹凸パワー波形データのほうが、皮膚外用剤適用前の肌のそれよりも空間変動が小さいことを示しており、肌の凹凸構造の空間均一性が皮膚外用剤により向上したことを示しているといえる。
このように、肌の凹凸形状に関する空間波形情報から第二実施形態の手法で得られた演算結果においてもそれぞれ皮膚外用剤に伴う肌状態の違いを表していることが実証される。
【0080】
図19は、被験者の肌と比較対象肌との類似性と第三実施形態の手法で導出された指標値間の類似度との関係を示す図である。
図19には、被験者の肌に関してローレンツプロットされた2つのグラフG10及びG11と、比較対象肌に関してローレンツプロットされたグラフG12とが示されている。グラフG11は、皮膚外用剤を適用した後の被験者の肌を示している。
上述したように、皮膚外用剤の適用により被験者の肌のキメ状態は改善されたことが確認されている。また、グラフG12で示される比較対象肌は、キメが細かく整った肌である。つまり、被験者の実際の肌状態(凹凸形状に関わる状態)は、グラフG10で示される状態よりもグラフG11で示される状態のほうが、比較対象肌に近い状態であった。
一方、グラフG10、G11、及びG12で示される各肌の凹凸形状に関して、第一実施形態及び第三実施形態の手法により、X'軸及びY'軸の平均距離、X'軸及びY'軸の標準偏差、並びに楕円面積の5種の指標値がそれぞれ算出された。そして、各肌の指標値間の類似度として各ベクトルのなす角度cosθが算出された。
結果、グラフG11とグラフG12との指標値間の類似度がグラフG10とグラフG12との間の類似度よりも高い値を示した。これは、実際の肌のキメ状態の類似性と一致しているため、第三実施形態の手法で算出された複数種の特徴量間の類似度により、凹凸形状に関わる実際の肌状態の近さが定量化できることを実証している。
【0081】
図20は、被験者の肌と比較対象肌との類似性と第四実施形態の手法で導出されたベクトル間の類似度との関係を示す図である。
図20には、被験者の肌の凹凸波形データからウェーブレット変換により得られた変換波形データを示す二つのグラフG20及びG21と、比較対象肌の凹凸波形データからウェーブレット変換により得られた変換波形データを示すグラフG22とが示されている。グラフG21は、所定の皮膚外用剤を適用した後の被験者の肌を示している。
各肌の実際の状態(凹凸形状に関わる状態)は、
図19で述べたものと同様である。
一方で、グラフG20、G21、及びG22で示される各肌に関する変換波形データが第四実施形態の手法によりベクトル化され、それらベクトル間の内積演算により得られるcosθがベクトル間の類似度として算出された。
結果、グラフG21とグラフG22とのベクトル間の類似度がグラフG20とグラフG22との間の類似度よりも高い値を示した。これは、実際の肌のキメ状態の類似性と一致しているため、第四実施形態の手法で算出されたベクトル間の類似度により、凹凸形状に関わる実際の肌状態の近さが定量化できることを実証している。
【0082】
上述の内容の一部又は全部は、次のようにも特定され得る。但し、上述の内容が以下の記載に制限されるものではない。
【0083】
<1> 肌の凹凸形状に関する空間波形情報を取得する工程と、
前記取得された空間波形情報を用いて、対象空間波形の空間変動特性又は該対象空間波形と比較対象肌の空間波形との間の相互関係特性を示す特性情報を導出する導出工程と、
前記導出された特性情報に基づいて、前記肌の状態を評価する評価工程と、
を含む肌状態評価方法。
【0084】
<2> 前記空間変動特性又は前記相互関係特性は前記対象空間波形の周期乱れを示す、
<1>に記載の肌状態評価方法。
<3> 前記導出工程では、
前記取得された空間波形情報を、前記対象空間波形における空間軸上で所定距離離れた振幅値ペアで形成される直交座標系の座標点群に変換し、
前記直交座標系の前記座標点群を、前記直交座標系の直交軸であるx軸及びy軸で示される「y=x」軸及び「y=−x」軸に投影した変換座標点群に更に変換し、
前記変換座標点群の分布状態を示す一種以上の指標値を前記対象空間波形の前記空間変動特性を示す前記特性情報として導出する、
<1>又は<2>記載の肌状態評価方法。
<4> 前記導出工程では、前記変換座標点群における、「y=x」軸における原点からの距離の平均値若しくは標準偏差、「y=−x」軸における原点からの距離の平均値若しくは標準偏差、又は、該平均値若しくは該標準偏差を用いて算出される比率若しくは分布面積の一つ以上を前記一種以上の指標値として導出する、
<3>記載の肌状態評価方法。
<5> 前記導出工程では、前記変換座標点群の分布状態を示す複数種の指標値を導出し、
前記評価工程では、
各指標種を座標軸とする座標系に、前記肌に関する前記複数種の指標値に対応する点がプロットされたグラフを提示する、
<3>又は<4>記載の肌状態評価方法。
<6> 前記導出工程では、
前記取得された空間波形情報を、前記対象空間波形における空間軸上で所定距離離れた振幅値ペアで形成される直交座標系の座標点群に変換し、
前記直交座標系の座標点群又は該座標点群に対する座標変換により得られる変換座標点群がプロットされたグラフを前記対象空間波形の前記空間変動特性を示す前記特性情報として導出し、
前記評価工程では、前記グラフを提示する、
<1>から<5>のいずれか一項に記載の肌状態評価方法。
<7> 前記導出工程では、
前記取得された空間波形情報を成分とする元ベクトルと該空間波形情報を空間軸上で所定距離シフトしたシフト波形情報を成分とするシフトベクトルとの演算により、前記対象空間波形の前記空間変動特性を示す前記特性情報を導出する、
<1>から<6>のいずれか一項に記載の肌状態評価方法。
<8> 前記導出工程では、前記肌に関して導出された前記一種以上の指標値と前記比較対象肌に関する一種以上の指標値との類似度を、前記相互関係特性を示す前記特性情報として導出する、
<3>から<5>のいずれか一項に記載の肌状態評価方法。
<9> 前記導出工程では、前記肌の前記対象空間波形の前記空間変動特性を示す前記特性情報として導出された前記グラフと、前記比較対象肌に関して前記肌と同様に前記空間変動特性を示す前記特性情報として導出されたグラフとが対比可能な状態で示される比較情報を、前記相互関係特性を示す前記特性情報として導出する、
<6>記載の肌状態評価方法。
<10> 前記導出工程では、前記取得された空間波形情報を成分とするベクトルと前記比較対象肌の空間波形情報を成分とするベクトルとの類似度を前記相互関係特性を示す前記特性情報として導出する、
<1>又は<2>記載の肌状態評価方法。
<11> 肌の凹凸形状に関する空間波形情報を取得する取得手段と、
前記取得された空間波形情報を用いて、対象空間波形の空間変動特性又は該対象空間波形と比較対象肌の空間波形との間の相互関係特性を示す特性情報を生成する生成手段と、
前記生成された特性情報又は該特性情報に基づく前記肌の状態の評価情報を出力する出力処理手段と、
を備える肌状態評価装置。
<12> 前記空間変動特性又は前記相互関係特性は前記対象空間波形の周期乱れを示す、
<11>に記載の肌状態評価装置。
<13> 前記生成手段は、
前記取得された空間波形情報を、前記対象空間波形における空間軸上で所定距離離れた振幅値ペアで形成される直交座標系の座標点群に変換し、
前記直交座標系の前記座標点群を、前記直交座標系の直交軸であるx軸及びy軸で示される「y=x」軸及び「y=−x」軸に投影した変換座標点群に更に変換し、
前記変換座標点群の分布状態を示す一種以上の指標値を前記対象空間波形の前記空間変動特性を示す前記特性情報として算出する、
<11>又は<12>記載の肌状態評価装置。
<14> 前記生成手段は、前記変換座標点群における、「y=x」軸における原点からの距離の平均値若しくは標準偏差、「y=−x」軸における原点からの距離の平均値若しくは標準偏差、又は、該平均値若しくは該標準偏差を用いて算出される比率若しくは分布面積の一つ以上を前記一種以上の指標値として算出する、
<13>記載の肌状態評価装置。
<15> 前記生成手段は、前記変換座標点群の分布状態を示す複数種の指標値を算出し、
前記出力処理手段は、各指標種を座標軸とする座標系に、前記肌に関する前記複数種の指標値に対応する点がプロットされたグラフを出力する、
<13>又は<14>記載の肌状態評価装置。
<16> 前記生成手段は、
前記取得された空間波形情報を、前記対象空間波形における空間軸上で所定距離離れた振幅値ペアで形成される直交座標系の座標点群に変換し、
前記直交座標系の座標点群又は該座標点群に対する座標変換により得られる変換座標点群がプロットされたグラフを前記対象空間波形の前記空間変動特性を示す前記特性情報として生成し、
前記出力処理手段は、前記グラフを出力する、
<11>から<15>のいずれか一項に記載の肌状態評価装置。
<17> 前記生成手段は、
前記取得された空間波形情報を成分とする元ベクトルと該空間波形情報を空間軸上で所定距離シフトしたシフト波形情報を成分とするシフトベクトルとの演算により、前記対象空間波形の前記空間変動特性を示す前記特性情報を算出する、
<11>から<16>のいずれか一項に記載の肌状態評価装置。
<18> 前記生成手段は、前記肌に関して導出された前記一種以上の指標値と前記比較対象肌に関する一種以上の指標値との類似度を、前記相互関係特性を示す前記特性情報として算出する、
<13>から<15>のいずれか一項に記載の肌状態評価装置。
<19> 前記出力処理手段は、前記生成手段により生成された前記グラフと、前記比較対象肌に関して前記肌と同様に前記空間変動特性を示す前記特性情報として生成されたグラフとを対比可能な状態で出力する、
<16>記載の肌状態評価装置。
<20> 前記生成手段は、前記取得された空間波形情報を成分とするベクトルと前記比較対象肌の空間波形情報を成分とするベクトルとの類似度を前記相互関係特性を示す前記特性情報として算出する、
<11>又は<12>記載の肌状態評価装置。