(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の実施の形態に係る基板処理装置および基板処理方法について図面を参照しながら説明する。以下の説明において、基板とは、半導体ウェハ、液晶表示装置用ガラス基板、PDP(プラズマディスプレイパネル)用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板等をいう。また、以下の説明では、回路パターン等の各種パターンが形成される基板の面を表面と呼び、その反対側の面を裏面と呼ぶ。また、下方に向けられた基板の面を下面と呼び、上方に向けられた基板の面を上面と呼ぶ。
【0030】
[1]第1の実施の形態
(1)基板処理装置の構成
第1の実施の形態に係る基板処理装置においては、主として基板の表面および裏面がブラシを用いて物理的に洗浄される。このとき、基板の表面には、膜が形成されていてもよいし、膜が形成されていなくてもよい。
図1は第1の実施の形態に係る基板処理装置の構成を示す平面図であり、
図2は
図1の基板処理装置100を矢印Xの方向から見た背面図であり、
図3は
図1のA−A線における基板処理装置100の縦断面図である。
【0031】
図1に示すように、基板処理装置100は、インデクサブロック10および処理ブロック11を有する。インデクサブロック10および処理ブロック11は、矢印Xの方向に並ぶとともに互いに隣り合うように設けられている。
【0032】
インデクサブロック10は、複数(本例では4つ)のキャリア載置台40および搬送部10Aを含む。複数のキャリア載置台40は、一方向に並ぶように搬送部10Aに接続されている。各キャリア載置台40上には、複数枚の基板Wを多段に収納するキャリアCが載置される。搬送部10Aには、インデクサロボットIRおよび制御部4が設けられている。インデクサロボットIRは、矢印Xに垂直な矢印U(
図1)の方向に移動可能に構成されるとともに、鉛直軸の周りで回転可能かつ上下方向に昇降可能に構成されている。インデクサロボットIRには、基板Wを受け渡すための2つのハンドIRH(
図3)が上下に設けられている。各ハンドIRHは、多関節型アームにより支持され、水平方向に進退可能となっている。多関節型アームは、図示しない駆動機構により独立に駆動される。また、ハンドIRHは、基板Wの下面の周縁部および外周端部を保持する。制御部4は、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リードオンリメモリ)およびRAM(ランダムアクセスメモリ)を含むコンピュータ等からなり、基板処理装置100内の各構成部を制御する。
【0033】
図2に示すように、処理ブロック11は、表面洗浄部11A、裏面洗浄部11Bおよび搬送部11Cを含む。表面洗浄部11Aは処理ブロック11の一方の側面側に位置し、裏面洗浄部11Bは処理ブロック11の他方の側面側に位置する。表面洗浄部11Aおよび裏面洗浄部11Bは、搬送部11Cを挟んで互いに対向する。
【0034】
表面洗浄部11Aには、複数(本例では3つ)の表面洗浄ユニットSSおよび1つの除電ユニットOWEが設けられる。複数の表面洗浄ユニットSSおよび1つの除電ユニットOWEは上下に積層配置されている。裏面洗浄部11Bには、複数(本例では3つ)の裏面洗浄ユニットSSRおよび1つの除電ユニットOWEが設けられる。複数の裏面洗浄ユニットSSRおよび1つの除電ユニットOWEは上下に積層配置されている。なお、表面洗浄部11Aおよび裏面洗浄部11Bの各々には、2以上の除電ユニットOWEが設けられてもよい。
【0035】
搬送部11Cには、メインロボットMRが設けられている。メインロボットMRは、鉛直軸の周りで回転可能かつ上下方向に昇降可能に構成されている。また、メインロボットMRには、基板Wを受け渡すための2つのハンドMRH(
図2)が上下に設けられている。各ハンドMRHは、多関節型アームにより支持され、水平方向に進退可能となっている。多関節型アームは、図示しない駆動機構により独立に駆動される。また、ハンドMRHは基板Wの下面の周縁部および外周端部を保持する。
【0036】
図3に示すように、インデクサブロック10の搬送部10Aと処理ブロック11の搬送部11Cとの間には、反転ユニットRT1,RT2および基板載置部PASS1,PASS2が上下に積層配置されている。反転ユニットRT1は基板載置部PASS1,PASS2の上方に設けられており、反転ユニットRT2は基板載置部PASS1,PASS2の下方に設けられている。
【0037】
(2)基板処理装置の動作の概要
本実施の形態に係る基板処理装置100においては、基板Wの表面および裏面がそれぞれ表面洗浄ユニットSSおよび裏面洗浄ユニットSSRにより洗浄される。
図4は、第1の実施の形態に係る基板処理装置100における基本的な動作の流れを示すフローチャートである。基板処理装置100の動作の概要について
図1〜
図4を参照しながら説明する。なお、以下に説明する基板処理装置100の各構成要素の動作は、
図1の制御部4により制御される。
【0038】
最初に、インデクサロボットIRは、インデクサブロック10内のいずれかのキャリアCから未処理の基板Wを取り出す(ステップS11)。この時点では、基板Wの表面が上方に向けられている。インデクサロボットIRは、取り出した未処理の基板Wを基板載置部PASS2に載置する。基板載置部PASS2に載置された基板Wは、メインロボットMRにより受け取られ、反転ユニットRT1に搬入される。反転ユニットRT1は、表面が上方に向けられた基板Wを、裏面が上方を向くように反転する(ステップS12)。反転後の基板Wは、メインロボットMRにより反転ユニットRT1から搬出され、処理ブロック11のいずれかの除電ユニットOWEに搬入される。
【0039】
除電ユニットOWEは、搬入された未処理の基板Wの除電処理を行う(ステップS13)。除電処理の詳細は後述する。除電処理後の基板Wは、メインロボットMRにより除電ユニットOWEから搬出され、裏面洗浄部11Bのいずれかの裏面洗浄ユニットSSRに搬入される。なお、上記のステップS12,S13の処理は逆の順で行われてもよい。
【0040】
裏面洗浄ユニットSSRは、未処理の基板Wの裏面の洗浄処理を行う(ステップS14)。以下、基板Wの裏面の洗浄処理を裏面洗浄処理と呼ぶ。裏面洗浄処理の詳細は後述する。裏面洗浄処理後の基板Wは、メインロボットMRにより裏面洗浄ユニットSSRから搬出され、反転ユニットRT2に搬入される。
【0041】
反転ユニットRT2は、裏面が上方に向けられた裏面洗浄処理後の基板Wを、表面が上方を向くように反転する(ステップS15)。反転後の基板Wは、メインロボットMRにより反転ユニットRT2から搬出され、処理ブロック11のいずれかの除電ユニットOWEに搬入される。
【0042】
除電ユニットOWEは、裏面洗浄処理後の基板Wの除電処理を行う(ステップS16)。除電処理が行われた基板Wは、メインロボットMRにより除電ユニットOWEから搬出され、表面洗浄部11Aのいずれかの表面洗浄ユニットSSに搬入される。なお、上記のステップS15,S16の処理は逆の順で行われてもよい。
【0043】
表面洗浄ユニットSSは、裏面洗浄処理後の基板Wの表面の洗浄処理を行う(ステップS17)。以下、基板Wの表面の洗浄処理を表面洗浄処理と呼ぶ。表面洗浄処理の詳細は後述する。表面洗浄処理後の基板Wは、メインロボットMRにより表面洗浄ユニットSSから搬出され、処理ブロック11のいずれかの除電ユニットOWEに搬入される。
【0044】
除電ユニットOWEは、表面洗浄処理後の基板Wの除電処理を行う(ステップS18)。除電処理後の基板Wは、メインロボットMRにより除電ユニットOWEから搬出され、基板載置部PASS1に載置される。インデクサロボットIRは、基板載置部PASS1に載置された基板Wを受け取り、受け取った処理済みの基板Wをインデクサブロック10内のいずれかのキャリアC内に収納する(ステップS19)。このように、基板処理装置100に搬入される基板Wごとに上記の一連の動作が繰り返される。
【0045】
なお、本実施の形態では、基板Wの裏面洗浄処理および表面洗浄処理がこの順で行われるが、基板Wの裏面洗浄処理および表面洗浄処理が逆の順で行われてもよい。この場合、上記のステップS11の処理後ステップS12〜S15の処理前にステップS16,S17の処理が行われ、ステップS15の処理後にステップS18,S19の処理が行われる。
【0046】
(3)除電ユニット
まず、本実施の形態に係る除電ユニットOWEによる除電処理の概略を説明する。除電ユニットOWEにおいては、酸素分子を含む雰囲気内に配置される基板Wの上面に波長約120nm以上約230nm以下の真空紫外線が照射される。このとき、基板Wの上面上の雰囲気が真空紫外線の一部を吸収することにより、その雰囲気に含まれる酸素分子が光解離により2つの酸素原子に分解される。分解された酸素原子が周囲に存在する酸素分子と結合することによりオゾンが発生される。
【0047】
オゾンは、正電荷を帯びた共鳴構造と負電荷を帯びた共鳴構造との重ね合わせによって表現される共鳴混成体である。各共鳴構造は、共有結合および配位結合を含む。配位結合は不安定であるため、生成されたオゾンが正または負に帯電した基板Wの上面に接触すると、オゾンと基板Wとの間で電荷の授受が行われる。この場合、オゾンの配位結合が切断されるとともに、基板Wの電位が0(V)に近づく。このようにして、基板Wの帯電量および帯電極性によらず、電位が0(V)に近づくように基板Wが除電される。
【0048】
続いて、除電ユニットOWEの構成の詳細を説明する。
図5は除電ユニットOWEの外観斜視図であり、
図6は除電ユニットOWEの側面図である。
図5および
図6に一点鎖線で示すように、除電ユニットOWEは略直方体形状を有する筐体60を含む。筐体60は、前壁部61、後壁部62、一側壁部63、他側壁部64、天井部65および床部66を有する。前壁部61および後壁部62は互いに対向し、一側壁部63および他側壁部64は互いに対向し、天井部65および床部66は互いに対向する。
【0049】
除電ユニットOWEは、後壁部62が
図1の搬送部11Cに向くように配置される。
図5に示すように、後壁部62には、搬送部11C内と筐体60内との間で基板Wを搬送するための搬送開口62pが形成されている。また、筐体60の床部66には、排気部70が設けられている。排気部70は配管71を介して基板処理装置100の外部の排気装置72に接続される。排気装置72は、例えば工場内の排気設備であり、筐体60から排出される気体の無害化処理等を行う。
【0050】
以下の説明では、
図5以降の所定の図に太い一点鎖線の矢印で示すように、筐体60の内部から前壁部61に向かう方向を除電ユニットOWEの前方と呼び、その逆方向(筐体60の内部から後壁部62に向かう方向)を除電ユニットOWEの後方と呼ぶ。
【0051】
除電ユニットOWEは、筐体60に加えて主として光出射部300、基板移動部400および搬入搬出部500から構成される。基板移動部400は、略直方体形状を有するケーシング410を含む。ケーシング410は、前上面部411、中央上面部419、後上面部412、下面部413、前面部414、後面部415、一方側面部416および他方側面部417を含む。
【0052】
一方側面部416および他方側面部417は、前後方向に延びるとともに互いに対向するように設けられている。一方側面部416および他方側面部417の上端部中央には一定高さ上方に延びる突出部prが形成されている。
図5および
図6では、一方側面部416および他方側面部417のうち他方側面部417の突出部prのみが示される。
【0053】
中央上面部419は、一方側面部416の突出部prと他方側面部417の突出部prとをつなぐように設けられる。前上面部411は、突出部prよりも前方の位置で、一方側面部416の上端部と他方側面部417の上端部とをつなぐように設けられる。後上面部412は、突出部prよりも後方の位置で、一方側面部416の上端部と他方側面部417の上端部とをつなぐように設けられる。前上面部411および後上面部412の高さは互いに等しい。
【0054】
一方側面部416の上端部と他方側面部417の上端部とをつなぐようにかつ前上面部411と後上面部412との間に位置するように、ケーシング410上に光出射部300が設けられる。光出射部300の一部は中央上面部419の上方に位置する。光出射部300の詳細は後述する。
【0055】
光出射部300の後方に搬入搬出部500が設けられる。
図6に示すように、搬入搬出部500は、蓋部材510、蓋駆動部590、支持板591および2つの支持軸592を含む。
図6では、2つの支持軸592のうち一方の支持軸592のみが示される。2つの支持軸592は、ケーシング410の両側部で上下方向に延びるようにそれぞれ設けられる。2つの支持軸592により支持板591が水平姿勢で支持される。この状態で、支持板591は光出射部300の後方かつ後上面部412の上方に位置する。支持板591の下面に蓋駆動部590が取り付けられる。蓋駆動部590の下方に蓋部材510が設けられる。
【0056】
ケーシング410の後上面部412には開口部412b(
図6)が形成されている。蓋駆動部590は、蓋部材510を駆動することにより蓋部材510を上下方向に移動させる。それにより、開口部412bが閉塞されまたは開放される。開口部412bが開放されることにより、ケーシング410内への基板Wの搬入およびケーシング410からの基板Wの搬出が可能となる。蓋部材510の構造および蓋部材510による開口部412bの開閉動作の詳細は後述する。
【0057】
図7は除電ユニットOWEの内部構造を説明するための側面図であり、
図8は除電ユニットOWEの内部構造を説明するための平面図であり、
図9は除電ユニットOWEの内部構造を説明するための正面図である。
【0058】
図7では、他方側面部417(
図5)が取り外された除電ユニットOWEの状態が示される。
図8では、前上面部411(
図5)および後上面部412(
図5)が取り外された除電ユニットOWEの状態が示される。
図9では、前面部414(
図5)が取り外された除電ユニットOWEの状態が示される。また、
図7〜
図9では、光出射部300(
図5)の構成の一部または全部が一点鎖線で示されるとともに、筐体60(
図5)の図示が省略される。
【0059】
図7に示すように、基板移動部400のケーシング410内には、受渡機構420およびローカル搬送機構430が設けられる。受渡機構420は、複数の昇降ピン421、ピン支持部材422およびピン昇降駆動部423を含み、光出射部300よりも後方に配置される。
【0060】
ピン支持部材422に複数の昇降ピン421がそれぞれ上方に延びるように取り付けられる。ピン昇降駆動部423は、ピン支持部材422を上下方向に移動可能に支持する。この状態で、複数の昇降ピン421は、後上面部412の開口部412bに重なるように配置される。受渡機構420は、例えば
図1の制御部4により制御される。ピン昇降駆動部423が動作することにより、複数の昇降ピン421の上端部が、後上面部412よりも上方の受渡位置と後述するローカル搬送ハンド434よりも下方の待機位置との間を移動する。
【0061】
図8に示すように、ローカル搬送機構430は、送り軸431、送り軸モータ432、2つのガイドレール433、ローカル搬送ハンド434、2つのハンド支持部材435および連結部材439を含む。
【0062】
ケーシング410内においては、前面部414の近傍に送り軸モータ432が設けられる。送り軸モータ432から後面部415の近傍にかけて前後方向に延びるように送り軸431が設けられる。送り軸431は、例えばボールねじであり、送り軸モータ432の回転軸に接続される。
【0063】
一方側面部416の近傍で前後方向に延びるようにガイドレール433が設けられる。また、他方側面部417の近傍で前後方向に延びるようにガイドレール433が設けられる。送り軸431および2つのガイドレール433は互いに平行となるように配置される。
【0064】
2つのガイドレール433上に2つのハンド支持部材435がそれぞれ前後方向に移動可能にかつ上方に延びるように設けられる。2つのハンド支持部材435は共通の高さを有する。2つのハンド支持部材435の上端部をつなぐようにローカル搬送ハンド434が設けられる。ローカル搬送ハンド434は、略円形状を有する板部材であり、2つのハンド支持部材435により支持される。ローカル搬送ハンド434上には基板Wが載置される。
【0065】
ローカル搬送ハンド434には、複数の貫通孔434hが形成される。複数の貫通孔434hは、ローカル搬送ハンド434の中心部を取り囲むように等角度間隔で配置される。複数の貫通孔434hには、受渡機構420の複数の昇降ピン421がそれぞれ挿入可能である。また、ローカル搬送ハンド434の下面には、ローカル搬送ハンド434と送り軸431とを連結する連結部材439が設けられる。
【0066】
ローカル搬送機構430は、例えば
図1の制御部4により制御される。送り軸モータ432が動作することにより送り軸431が回転する。それにより、ローカル搬送ハンド434が光出射部300よりも後方の後方位置P1と光出射部300よりも前方の前方位置P2との間で前後方向に移動する。
図7以降の所定の図では、後方位置P1および前方位置P2の中心部が黒い三角印で示される。なお、
図7および
図8では、前方位置P2にあるときのローカル搬送ハンド434およびハンド支持部材435が二点鎖線で示される。
【0067】
受渡機構420の複数の昇降ピン421の上端部が待機位置にありかつローカル搬送ハンド434が後方位置P1にある状態で、複数の貫通孔434hが受渡機構420の複数の昇降ピン421上にそれぞれ位置決めされる。
【0068】
基板Wの除電処理時には、ケーシング410内で酸素分子の光解離に起因してオゾンが発生される。オゾンは人体に悪影響を与えるため、オゾンが過剰に発生することは好ましくない。ケーシング410内でのオゾンの発生量は、ケーシング410内の酸素濃度が高いほど増加し、ケーシング410内の酸素濃度が低いほど低下する。そこで、ケーシング410内の酸素濃度を低下させるために、ケーシング410内に第1の窒素ガス供給部450が設けられる。
図8に示すように、第1の窒素ガス供給部450は、両端部が閉塞された管状部材により構成され、一方側面部416から他方側面部417に延びるように後面部415の内面に取り付けられる。
【0069】
図9に示すように、第1の窒素ガス供給部450のうち前方を向く部分には、複数の噴射孔451が形成されている。複数の噴射孔451は、第1の窒素ガス供給部450の一端部から他端部にかけて略等間隔で並ぶように配置される。また、
図7および
図8に示すように、第1の窒素ガス供給部450のうち後方を向く部分に、窒素ガス導入管459の一端部が接続される。窒素ガス導入管459の他端部はケーシング410の外側に位置する。窒素ガス導入管459の他端部には、図示しない窒素ガス供給系が接続される。
【0070】
ケーシング410の前面部414には、ケーシング410内の雰囲気をケーシング410の外部に排出するための気体導出管418が設けられている。窒素ガス供給系から窒素ガス導入管459に供給される窒素ガスは、第1の窒素ガス供給部450の内部空間を通って複数の噴射孔451からケーシング410内に噴射される。このとき、ケーシング410内の雰囲気が気体導出管418からケーシング410の外部に排出される。それにより、ケーシング410内の雰囲気が窒素ガスにより置換され、酸素濃度が低下する。したがって、オゾンが過剰に発生されることが抑制される。その結果、ケーシング410の外部に漏れ出るオゾンの量が低減される。
【0071】
また、ケーシング410内に供給される窒素ガスは、除電処理におけるオゾンの発生時に酸素原子と酸素分子との三体反応の触媒として機能する。したがって、適切な量のオゾンが効率よく発生される。
【0072】
ここで、
図5に示すように、筐体60においては、気体導出管418からケーシング410の外部に排出されるオゾンが、排気部70および配管71を通して排気装置72に送られる。したがって、除電処理によって発生するオゾンが除電ユニットOWEの周辺に拡散することが防止される。
【0073】
図7に示すように、ケーシング410内には、さらに後位置センサS1、前位置センサS2、照度センサS3および酸素濃度センサS4が設けられる。後位置センサS1は、ローカル搬送ハンド434が後方位置P1にあるか否かを検出し、検出結果を
図1の制御部4に与える。前位置センサS2は、ローカル搬送ハンド434が前方位置P2にあるか否かを検出し、検出結果を
図1の制御部4に与える。後位置センサS1および前位置センサS2としては、例えば光学式のセンサ等が用いられる。
【0074】
酸素濃度センサS4は、ケーシング410内の酸素濃度を検出し、検出結果を
図1の制御部4に与える。酸素濃度センサS4としては、ガルバニ電池式酸素センサまたはジルコニア式酸素センサ等が用いられる。
【0075】
照度センサS3は、フォトダイオード等の受光素子を含み、光が照射される受光素子の受光面の照度を検出する。ここで、照度とは、受光面の単位面積当たりに照射される光の仕事率である。照度の単位は、例えば「W/m
2」で表される。本実施の形態では、照度センサS3により検出される照度は、ローカル搬送ハンド434により後方位置P1と前方位置P2との間を移動する基板Wに真空紫外線が照射されるときの基板Wの照度、すなわち除電処理時において真空紫外線が照射されるときの基板Wの照度に相当する。また、照度センサS3は、光出射部300の後述する出射面321(
図13(c))に対向する位置で、センサ昇降駆動部441により上下方向に移動可能に支持される。センサ昇降駆動部441は、例えば
図1の制御部4により制御される。
【0076】
図8および
図9に示すように、照度センサS3の近傍には、遮光部材442および遮光駆動部443が設けられる。遮光部材442は、照度センサS3の受光素子よりも大きい外形を有する。遮光駆動部443は、上下方向における照度センサS3と光出射部300との間の位置(高さ)で、遮光部材442を前後方向に移動可能に支持する。遮光駆動部443は、例えば
図1の制御部4により制御される。センサ昇降駆動部441および遮光駆動部443の動作の詳細は後述する。
【0077】
次に、
図5のケーシング410の後上面部412、中央上面部419および搬入搬出部500の蓋部材510の構成について説明する。
図10は後上面部412および中央上面部419の平面図であり、
図11は蓋部材510の下面図である。
【0078】
図10に示すように、後上面部412および中央上面部419を上方から見た場合に、開口部412bは後上面部412の後縁および中央上面部419の前縁により取り囲まれる。蓋部材510は、開口部412bよりもやや大きい外形を有する。また、蓋部材510の下面は、両端部を除く前縁の一部から一定幅の領域510d(
図11)が他の領域に比べて一定高さ分高くなるように形成されている。
【0079】
蓋部材510により開口部412bが閉塞される場合には、蓋部材510の下面のうち前縁を除く外縁から一定幅の領域510c(
図11)が、後上面部412の上面に当接する。また、蓋部材510の下面のうち領域510d(
図11)が、中央上面部419の上面に当接する。すなわち、後上面部412および中央上面部419のうち開口部412bを取り囲む領域に蓋部材510の下面が接触する。それにより、ケーシング410と蓋部材510との間に隙間が生じない。したがって、簡単な構成でケーシング410内の密閉性が向上する。
【0080】
図11に示すように、蓋部材510の下面には、領域510cの内縁に沿って延びるように略一定幅の溝部510bが形成されている。溝部510b内に第2の窒素ガス供給部520が設けられる。第2の窒素ガス供給部520は、一端部が閉塞された管状部材により構成される。第2の窒素ガス供給部520のうち下方を向く部分には、複数の噴射孔511が形成されている。複数の噴射孔511は、略等間隔で並ぶように配置される。また、第2の窒素ガス供給部520の他端部に、窒素ガス導入管529の一端部が接続されている。窒素ガス導入管529の他端部は蓋部材510の側方に突出している。窒素ガス導入管529の他端部には、図示しない窒素ガス供給系が接続される。
【0081】
図12は、ケーシング410の開口部412bが開放されている状態を示す除電ユニットOWEの外観斜視図である。
図12では、除電ユニットOWEのうち搬入搬出部500およびその周辺部のみが示される。
【0082】
図12に示すように、蓋部材510により開口部412bが開放される場合には、蓋部材510の下面の領域510c(
図11)が、後上面部412の上方の位置で後上面部412の上面に対向する。また、蓋部材510の下面の領域510d(
図11)が、中央上面部419の上方の位置で中央上面部419の上面に対向する。この状態で、窒素ガス供給系から窒素ガス導入管529に窒素ガスが供給される。
【0083】
図12に太い実線の矢印で示すように、開口部412bが開放された状態で窒素ガス導入管529に供給される窒素ガスは、第2の窒素ガス供給部520(
図11)の複数の噴射孔511(
図11)から下方に噴射される。複数の噴射孔511(
図11)から噴射される窒素ガスは、開口部412bの内縁近傍を通ってケーシング410内に流れる。
【0084】
この場合、開口部412bの内縁部に沿うように蓋部材510の下面から下方に向かう窒素ガスの流れが形成される。形成された窒素ガスの流れは、蓋部材510の下方の空間とその空間の外方との間で雰囲気の流れを遮断する。それにより、ケーシング410の外部の雰囲気が開口部412bを通してケーシング410内に進入することが防止される。また、ケーシング410内で発生されたオゾンが開口部412bを通してケーシング410外へ流出することが抑制される。
【0085】
次に、光出射部300の構成について説明する。
図7〜
図9に示すように、光出射部300は、ケーシング310、紫外線ランプ320および第3の窒素ガス供給部330を含む。
図7および
図9では、ケーシング310が一点鎖線で示される。
図8では、ケーシング310、紫外線ランプ320および第3の窒素ガス供給部330が一点鎖線で示される。ケーシング310内には、紫外線ランプ320および第3の窒素ガス供給部330とともに、紫外線ランプ320の駆動回路、配線および接続端子等が収容される。光出射部300は、例えば
図1の制御部4により制御される。
【0086】
紫外線ランプ320および第3の窒素ガス供給部330は、それぞれ一方向に延びる直方体形状を有する。
図8に一点鎖線で示すように、紫外線ランプ320および第3の窒素ガス供給部330の長手方向の寸法は、互いに等しくかつ一方側面部416と他方側面部417との間の距離とほぼ等しい。
【0087】
本例では、紫外線ランプ320として、波長172nmの真空紫外線を発生するキセノンエキシマランプが用いられる。なお、紫外線ランプ320は、波長約120nm以上約230nm以下の真空紫外線を発生するランプであればよく、キセノンエキシマランプに代えて他のエキシマランプまたは重水素ランプ等が用いられてもよい。
【0088】
図13(a)は紫外線ランプ320および第3の窒素ガス供給部330の平面図であり、
図13(b)は紫外線ランプ320および第3の窒素ガス供給部330の正面図であり、
図13(c)は紫外線ランプ320および第3の窒素ガス供給部330の下面図である。
【0089】
図13(c)に示すように、紫外線ランプ320の下面には、紫外線ランプ320の一端部から他端部に延びるように真空紫外線の出射面321が形成されている。紫外線ランプ320の点灯時には、出射面321から下方に向かって真空紫外線が出射される。紫外線ランプ320から出射される真空紫外線は、進行方向(本例では上下方向)に直交する帯状断面を有する。また、帯状断面の長さは、基板Wの直径よりも大きい。
【0090】
紫外線ランプ320は、その紫外線ランプ320から出射される帯状の真空紫外線が
図8のローカル搬送ハンド434に載置される基板Wの移動経路を横切るように配置される。この場合、除電処理時に紫外線ランプ320から帯状の真空紫外線が出射された状態でローカル搬送ハンド434(
図8)が後方位置P1(
図8)と前方位置P2(
図8)との間を一定の移動速度で移動することにより、基板Wの一端部から他端部に向かって帯状の真空紫外線が走査される。それにより、簡単な構成で、基板Wの上面の全ての領域に対して真空紫外線が均一に照射される。
【0091】
また、この場合、ローカル搬送ハンド434(
図8)の移動速度を調整することにより、除電処理時に基板Wの上面の単位面積当たりに照射される真空紫外線のエネルギー(以下、露光量と呼ぶ。)を調整することが可能になる。なお、露光量の単位は、例えば「J/m
2」で表される。
【0092】
露光量に応じて基板W上で発生されるオゾンの量に差が生じる。例えば、露光量が大きいほどオゾンの発生量が増加し、露光量が小さいほどオゾンの発生量が低下する。したがって、ローカル搬送ハンド434(
図8)の移動速度を調整することにより、基板W上で発生されるオゾンの量を調整することができる。その結果、基板Wの上面全体を均一かつ適切に除電することができる。
【0093】
図13(a)〜(c)に示すように、紫外線ランプ320の前面下端部に第3の窒素ガス供給部330が取り付けられる。第3の窒素ガス供給部330は、両端部が閉塞された角筒形状を有する。
【0094】
図13(b),(c)に示すように、第3の窒素ガス供給部330のうち下方を向く部分には、複数の噴射孔331が形成されている。複数の噴射孔331は、第3の窒素ガス供給部330の一端部から他端部にかけて略等間隔で並ぶように配置される。また、第3の窒素ガス供給部330の前面に、窒素ガス導入管339の一端部が接続されている。窒素ガス導入管339の他端部には、図示しない窒素ガス供給系が接続される。
【0095】
基板Wの除電処理時には、窒素ガス供給系から窒素ガス導入管339に窒素ガスが供給される。窒素ガス導入管339に供給される窒素ガスは、第3の窒素ガス供給部330の内部空間を通って複数の噴射孔331から
図7のケーシング410内に分散的に噴射される。
【0096】
図13(c)に示すように、複数の噴射孔331は、紫外線ランプ320の出射面321に隣り合う。そのため、基板Wの除電処理時には、複数の噴射孔331から窒素ガスが噴射されることにより、基板Wに照射される真空紫外線の経路の酸素濃度をより低下させることができる。それにより、オゾンが過剰に発生されることがより抑制される。また、真空紫外線が照射される基板W上の領域に分散的に窒素ガスが供給されることにより、基板W上に均一な気体の流れを形成することができる。したがって、基板W上で発生されるオゾンを基板Wの上面全体に渡って均一に供給することができる。その結果、基板Wの上面全体のより均一な除電が可能になる。
【0097】
また、真空紫外線が照射される基板W上の領域に窒素ガスが供給されるので、供給された窒素ガスが上記の三体反応の触媒として機能しやすい。したがって、適切な量のオゾンを効率よく発生させることができる。
【0098】
紫外線ランプ320から基板Wの上面に照射される真空紫外線が酸素分子を含む雰囲気に吸収される量は、紫外線ランプ320と基板Wとの間の真空紫外線の経路が大きくなるにつれて大きくなる。そのため、真空紫外線の経路の長さに応じて基板W上で発生されるオゾンの量に差が生じる。例えば、真空紫外線の経路が長いほどオゾンの発生量が増加し、真空紫外線の経路が短いほどオゾンの発生量が低下する。したがって、紫外線ランプ320の出射面321(
図13(c))に対して基板Wの上面が傾斜していると、基板W上の複数の位置で発生するオゾンの量に差が生じる。
【0099】
本実施の形態では、紫外線ランプ320は水平面内で前後方向に直交する方向(以下、左右方向と呼ぶ。)に延びるように配置される。また、ローカル搬送ハンド434は、
図9に示されるように、2つのハンド支持部材435の上端部をつなぐように設けられる。2つのハンド支持部材435は、ローカル搬送ハンド434に基板Wが載置された状態で、左右方向において基板Wの中心を挟んで対向するように配置される。2つのハンド支持部材435は共通の高さを有するので、2つのハンド支持部材435が並ぶ左右方向では、ローカル搬送ハンド434の高さが一定となる。
【0100】
これらより、左右方向においては、ローカル搬送ハンド434に載置される基板Wと紫外線ランプ320との間の距離が一定に維持される。それにより、基板Wの除電処理時に、基板Wの上面の全体に均一に真空紫外線が照射される。したがって、基板W上の複数の位置で発生されるオゾンの量にばらつきが生じることが防止される。それにより、基板Wの上面全体についてより均一な除電が可能になる。
【0101】
(4)除電条件
本実施の形態において、除電ユニットOWEによる基板Wの除電条件には、ケーシング410内の酸素濃度およびローカル搬送ハンド434による基板Wの移動速度が含まれる。
【0102】
除電処理中のケーシング410内の酸素濃度は例えば1%よりも低くなるように設定される。この場合、
図7の酸素濃度センサS4により検出される酸素濃度が1%よりも低いときに基板Wの除電処理が行われる。それにより、オゾンが過剰に発生されることが抑制される。本実施の形態では、
図7の酸素濃度センサS4により検出される酸素濃度が1%以上であると、基板Wの除電処理は行われない。
【0103】
除電処理を行うための露光量は基板Wの処理内容に基づいて基板Wごとまたは基板Wの種類ごとに予め定められている。予め定められた露光量は、基板Wの除電処理前に設定露光量として
図1の制御部4に記憶される。
【0104】
上記のように、基板Wの一端部から他端部に帯状の真空紫外線を一定の速度で走査する場合には、基板Wの移動速度を制御することにより基板Wの露光量を調整することができる。例えば、基板Wの移動速度を高くすることにより露光量を減少させることができ、基板Wの移動速度を低くすることにより露光量を増加させることができる。ここで、基板Wの露光量と基板Wに照射される真空紫外線の照度と基板Wの移動速度との間には一定の関係が存在する。
【0105】
そこで、本実施の形態では、後述する照度測定により、除電処理時において真空紫外線が照射されるときの基板Wの照度が、除電処理前に予め照度センサS3により検出される。この場合、設定露光量を得るために必要な基板Wの移動速度V(m/sec)は、照度センサS3により検出される照度をIL(W/m
2(=J/sec・m
2))とし、設定露光量をSA(J/m
2)とし、紫外線ランプ320から出射される真空紫外線の断面の基板Wの移動方向に平行な長さ(照射幅)をEW(m)とした場合に、次式(1)で表される。
【0106】
V=(EW×IL)/SA …(1)
上記の式(1)に基づいて、基板Wの移動速度が制御部4により算出される。光出射部300から真空紫外線が出射された状態で、ローカル搬送ハンド434が前方位置P2から後方位置P1(または後方位置P1から前方位置P2)に算出された移動速度で移動するように、基板移動部400が制御される。
【0107】
このように、照度センサS3により検出された照度に基づいて基板Wの露光量が設定露光量となるように基板Wの移動速度がフィードバック制御される。それにより、基板Wに照射される真空紫外線の露光量に基づいて所望の量のオゾンが基板W上に均一に供給されるように基板Wの移動速度をフィードバック制御することが可能になる。それにより、基板Wの全体を均一に除電することが可能になる。
【0108】
(5)除電処理動作
図14〜
図21は、除電ユニットOWEにおける基板Wの除電処理動作を説明するための側面図である。
図14〜
図21では、
図7の側面図と同様に、筐体60(
図5)および他方側面部417(
図5)が取り外された除電ユニットOWEの状態が示される。
図16〜
図21では、基板移動部400の各構成要素と基板Wとを識別しやすいように、基板Wがハッチングパターンで示される。
【0109】
初期状態においては、
図14に示すように、ローカル搬送ハンド434は後方位置P1にあり、複数の昇降ピン421の上端部は待機位置にある。また、ケーシング410の開口部412bは閉塞された状態にあり、紫外線ランプ320は消灯状態にある。さらに、
図14に太い実線の矢印で示すように、第1の窒素ガス供給部450からケーシング410内に窒素ガスが供給される。
【0110】
第1の窒素ガス供給部450からケーシング410内に窒素ガスが供給されることにより、ケーシング410内の酸素濃度が低下する。それにより、ケーシング410内の酸素濃度が例えば1%よりも低く保持される。
【0111】
ケーシング410内に基板Wを搬入するために、
図15に示すように、蓋部材510が上昇されることにより開口部412bが開放される。このとき、
図11の第2の窒素ガス供給部520により蓋部材510の下面から開口部412bに窒素ガスが供給される(
図12参照)。それにより、上記のようにケーシング410の外部の雰囲気が開口部412bを通してケーシング410内に進入することが防止される。また、受渡機構420の複数の昇降ピン421が上昇される。それにより、複数の昇降ピン421の上端部が待機位置から受渡位置まで移動する。
【0112】
次に、
図16に示すように、
図1のメインロボットMRのいずれかのハンドMRHにより水平姿勢の基板Wが蓋部材510と開口部412bとの間に水平方向に挿入され、複数の昇降ピン421上に載置される。続いて、受渡機構420の複数の昇降ピン421が下降される。それにより、
図17に示すように、複数の昇降ピン421の上端部が受渡位置から待機位置まで移動し、水平姿勢の基板Wが開口部412bを通してケーシング410内に移動される。このとき、複数の昇降ピン421からローカル搬送ハンド434に基板Wが渡される。また、蓋部材510が下降されることにより開口部412bが閉塞されるとともに、
図11の第2の窒素ガス供給部520による窒素ガスの供給が停止される。
【0113】
次に、
図18に白抜きの矢印で示すように、ローカル搬送ハンド434が後方位置P1から前方位置P2に移動される。このとき、紫外線ランプ320は消灯状態にあるので、基板Wに真空紫外線は照射されない。
【0114】
その後、前位置センサS2の検出結果に基づいてローカル搬送ハンド434が前方位置P2にあるか否かが
図1の制御部4により判定される。また、酸素濃度センサS4により検出される酸素濃度が1%よりも低いか否かが制御部4により判定される。
【0115】
ローカル搬送ハンド434が前方位置P2にありかつ酸素濃度が1%よりも低くなると、紫外線ランプ320が消灯状態から点灯状態に切り替えられる。それにより、
図19にドットパターンで示すように、紫外線ランプ320から下方に真空紫外線UVが出射される。真空紫外線UVは、上記のように、左右方向に延びる帯状の断面を有する。左右方向に平行な方向における真空紫外線UVの断面の長さは、基板Wの直径よりも長い。
【0116】
また、第3の窒素ガス供給部330からケーシング410内に窒素ガスが供給される。第3の窒素ガス供給部330から供給される窒素ガスは、ローカル搬送ハンド434の一部または基板Wの一部に衝突し、基板Wの上方の空間に流れる。
【0117】
続いて、
図20に白抜きの矢印で示すように、ローカル搬送ハンド434が前方位置P2から後方位置P1に移動される。このときの移動速度は、予め上記の式(1)を用いて算出された速度で一定となるように制御される。それにより、基板Wの上面の全ての領域が設定露光量で露光されるように、基板W上に真空紫外線UVが照射され、基板Wが除電される。
【0118】
その後、後位置センサS1の検出結果に基づいてローカル搬送ハンド434が後方位置P1にあるか否かが
図1の制御部4により判定される。ローカル搬送ハンド434が後方位置P1にあると、紫外線ランプ320が点灯状態から消灯状態に切り替えられる。また、第3の窒素ガス供給部330による窒素ガスの供給が停止される。このときの除電ユニットOWEの状態は、
図17の例と同じである。
【0119】
次に、ケーシング410内から基板Wを搬出するために、
図21に示すように、蓋部材510が上昇されることにより開口部412bが開放される。このとき、
図11の第2の窒素ガス供給部520により蓋部材510の下面から開口部412bに窒素ガスが供給される(
図12参照)。また、受渡機構420の複数の昇降ピン421が上昇される。それにより、複数の昇降ピン421の上端部が待機位置から受渡位置まで移動し、ローカル搬送ハンド434から複数の昇降ピン421に基板Wが渡される。このようにして、水平姿勢の基板Wがケーシング410内から開口部412bの上方に移動される。
【0120】
複数の昇降ピン421上に載置された除電処理後の基板Wが、
図1のメインロボットMRのいずれかのハンドMRHにより水平方向に取り出される。その後、受渡機構420の複数の昇降ピン421が下降されるとともに、蓋部材510が下降されることにより開口部412bが閉塞される。また、
図11の第2の窒素ガス供給部520による窒素ガスの供給が停止される。それにより、除電ユニットOWEは初期状態に戻る。
【0121】
(6)照度測定動作
基板Wの除電処理に用いられる設定速度を得るために、例えば予め定められた数の基板Wが除電処理されるごとに、
基板Wのロットごとに、または1日ごとに、以下に示す照度測定が行われる。
【0122】
図22〜
図24は、除電ユニットOWEにおける照度測定動作を説明するための側面図である。
図22〜
図24では、
図7の側面図と同様に、筐体60(
図5)および他方側面部417(
図5)が取り外された除電ユニットOWEの状態が示される。
【0123】
除電ユニットOWEにおいては、照度測定が行われない間は、
図22に太い点線で示すように、照度センサS3の上端部を覆うように遮光部材442が配置される。それにより、基板Wへの真空紫外線の照射時(除電処理時)には照度センサS3の受光素子に光が入射しない。したがって、照度センサS3の劣化が抑制され、照度センサS3の長寿命化が実現される。また、照度センサS3は、ローカル搬送ハンド434の移動経路よりも下方に配置される。
【0124】
照度測定は、ケーシング410の開口部412bが閉塞されるとともに酸素濃度センサS4により検出される酸素濃度が1%よりも低い状態で開始される。初期状態において、紫外線ランプ320は消灯状態にある。
【0125】
照度測定が開始されると、
図22に白抜きの矢印で示すように、遮光駆動部443により遮光部材442が前方に移動される。それにより、照度センサS3の上端部に設けられた受光面が上方に露出する。
【0126】
次に、
図23に白抜きの矢印で示すように、センサ昇降駆動部441により照度センサS3が上昇される。このとき、照度センサS3は、受光面の高さがローカル搬送ハンド434に載置される基板Wの上面の高さに一致するように位置決めされる。
【0127】
次に、紫外線ランプ320が消灯状態から点灯状態に切り替えられる。それにより、
図24にドットパターンで示すように、紫外線ランプ320から照度センサS3に向かって帯状の真空紫外線UVが出射される。
【0128】
紫外線ランプ320から出射される真空紫外線UVの一部が、照度センサS3の受光素子に入射する。それにより、除電処理において真空紫外線が照射されるときの基板Wの照度が検出される。照度の検出結果は、
図1の制御部4に与えられる。
【0129】
その後、照度センサS3が下降されるとともに紫外線ランプ320が点灯状態から消灯状態に切り替えられる。また、照度センサS3の上端部を覆うように遮光部材442が後方に移動される。それにより、除電ユニットOWEが初期状態に戻る。
【0130】
上記のように、照度センサS3は、照度測定時に受光面の高さがローカル搬送ハンド434に載置される基板Wの上面の高さに一致するように位置決めされる。したがって、基板Wの除電時に基板Wに照射される真空紫外線の照度を正確に検出することができる。
【0131】
また、照度センサS3は、基板Wの除電処理時には、ローカル搬送ハンド434の移動経路よりも下方に配置される。それにより、除電処理時に照度センサS3が基板Wに干渉しない。
【0132】
(7)表面洗浄ユニットおよび裏面洗浄ユニット
図25は表面洗浄ユニットSSの構成を説明するための図であり、
図26は裏面洗浄ユニットSSRの構成を説明するための図である。
図25の表面洗浄ユニットSSによる表面洗浄処理、および
図26の裏面洗浄ユニットSSRによる裏面洗浄処理には、ブラシを用いた基板Wの洗浄処理(以下、スクラブ洗浄処理と呼ぶ。)とブラシを用いないリンス処理とが含まれる。
【0133】
まず、
図25を用いて表面洗浄ユニットSSの詳細について説明する。
図25に示すように、表面洗浄ユニットSSは、基板Wを水平に保持するとともに基板Wの中心を通る鉛直軸の周りで基板Wを回転させるためのスピンチャック21を備える。スピンチャック21は、チャック回転駆動機構22によって回転される回転軸23の上端に固定されている。
【0134】
スピンチャック21の外方には、モータ24が設けられている。モータ24には、鉛直方向に延びる回動軸25が設けられている。モータ24には、さらに図示しない昇降駆動部が設けられている。モータ24は、回動軸25を昇降可能かつ鉛直軸の周りで回転可能に支持する。回動軸25の上端部には、アーム26が水平方向に延びるように連結されている。アーム26の先端に略円筒形状のブラシ洗浄具27が設けられている。また、スピンチャック21の上方には、スピンチャック21により保持された基板Wの表面に向けて洗浄液またはリンス液を供給するための液吐出ノズル28が設けられている。
【0135】
表面洗浄ユニットSSには表面が上方に向けられた基板Wが搬入される。基板Wの表面洗浄時には、表面が上方に向けられた基板Wがスピンチャック21により水平姿勢で回転される。また、供給管29を通して液吐出ノズル28に洗浄液が供給される。本例では、洗浄液として純水が用いられる。これにより、回転する基板Wの表面に洗浄液が供給される。この状態で、モータ24および図示しない昇降駆動部が動作することによりブラシ洗浄具27が基板Wの上面(表面)に接触し、基板Wの中心から基板Wの外周端部に向かって移動する。それにより、基板Wの表面に対してスクラブ洗浄処理が行われる。なお、表面洗浄ユニットSSにおいては吸着式のスピンチャック21を用いているため、基板Wの周縁部および外周端部も同時に洗浄することができる。その後、ブラシ洗浄具27が基板Wの外方の位置まで移動するとともに、液吐出ノズル28から基板Wにリンス液が供給され、リンス処理が行われる。本例では、リンス液として純水が用いられる。
【0136】
次に、
図26を用いて、裏面洗浄ユニットSSRが
図25の表面洗浄ユニットSSと異なる点を説明する。
図26に示すように、裏面洗浄ユニットSSRは、基板Wの下面を真空吸着により保持する吸着式のスピンチャック21の代わりに、基板Wの外周端部を保持するメカチャック式のスピンチャック31を備える。スクラブ洗浄処理およびリンス処理を行う場合に、基板Wの下面の周縁部および外周端部がスピンチャック31上の複数の回転式保持ピン32により保持される。この状態で、基板Wは水平姿勢で回転される。
【0137】
裏面洗浄ユニットSSRにおいては、裏面が上方に向けられた状態の基板Wが搬入される。そのため、基板Wは裏面が上方に向けられた状態で上記のスピンチャック31により保持される。したがって、基板Wの裏面に対して、スクラブ洗浄処理が行われ、その後リンス処理が行われる。
【0138】
上記の例では、洗浄液として純水を用いる例を説明したが、洗浄液としては、純水に代えて、炭酸水、オゾン水、水素水または電解イオン水等を用いてもよいし、BHF(バッファードフッ酸)、DHF(希フッ酸)、フッ酸、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、シュウ酸およびアンモニア等の薬液を用いてもよい。
【0139】
また、上記の例では、リンス液として純水を用いる例を説明したが、リンス液としては、純水に代えて、炭酸水、オゾン水、水素水または電解イオン水等を用いてもよいし、HFE(ハイドロフルオロエーテル)またはIPA(イソプロピルアルコール)等の有機溶剤を用いてもよい。
【0140】
(8)第1の実施の形態の効果
上記の基板処理装置100においては、基板Wが反転ユニットRT1,RT2により反転され、基板Wの表面および裏面が表面洗浄ユニットSSおよび裏面洗浄ユニットSSRによりそれぞれ洗浄される。また、基板Wが除電ユニットOWEにより真空紫外線を用いて除電される。それにより、帯電に起因する基板Wの汚染が抑制され、基板Wの表面および裏面の清浄度が向上する。
【0141】
上記のように、洗浄処理前の基板Wに除電ユニットOWEによる除電処理が行われる場合、洗浄処理前の基板Wの電位が0(V)に近づく。それにより、基板Wの洗浄処理時に基板Wの帯電に起因する放電現象が発生しない。したがって、基板Wの一部が破損することによる処理不良の発生が防止される。
【0142】
また、洗浄処理後の基板Wに除電ユニットOWEによる除電処理が行われる場合、基板Wの洗浄処理時に基板Wが帯電する場合でも、洗浄処理後の基板Wの電位が0(V)に近づく。したがって、洗浄処理後の基板Wを清浄に保つことができる。
【0143】
上記の除電ユニットOWEにおいては、基板Wが載置されるローカル搬送ハンド434が光出射部300に対して移動されつつ、光出射部300により出射される真空紫外線が基板Wの上面に照射される。このような構成により、除電処理時に基板Wの全体に真空紫外線を同時に照射する必要がない。したがって、光出射部300の大型化を抑制することができる。
【0144】
[2]第2の実施の形態
以下、第2の実施の形態に係る基板処理装置について、第1の実施の形態に係る基板処理装置100とは異なる点を説明する。
【0145】
(1)基板処理装置の構成および動作の概略
第2の実施の形態に係る基板処理装置においては、主として基板Wの上面(表面または裏面)が例えば薬液からなる洗浄液を用いて化学的に洗浄される。このとき、基板Wの表面には、膜が形成されていてもよいし、膜が形成されていなくてもよい。
図27は第2の実施の形態に係る基板処理装置の構成を示す平面図である。
図27に示すように、本実施の形態に係る基板処理装置600は、インデクサブロック610および処理ブロック611を有する。インデクサブロック610および処理ブロック611は、一方向に並ぶとともに互いに隣り合うように設けられている。
【0146】
インデクサブロック610は、複数(本例では3つ)のキャリア載置台601および搬送部610Aを含む。複数のキャリア載置台601は一方向に並ぶように搬送部610Aに接続されている。各キャリア載置台40上には、キャリアCが載置される。搬送部610Aには、インデクサロボットIRおよび制御部604が設けられている。本例のインデクサロボットIRは、
図1のインデクサロボットIRと基本的に同じ構成を有する。制御部604は、CPU、ROMおよびRAMを含むコンピュータ等からなり、基板処理装置600内の各構成部を制御する。
【0147】
処理ブロック611は、1つの搬送部611A、4つの洗浄部620A,620B,620C,620D、1つの除電受渡部680および4つの流体ボックス部690A,690B,690C,690Dを含む。
【0148】
搬送部611Aは、処理ブロック611の中央部に設けられる。処理ブロック611においては、平面視で搬送部611Aを取り囲むように、4つの洗浄部620A,620B,620C,620Dおよび除電受渡部680が設けられている。除電受渡部680は、さらにインデクサブロック610の搬送部610Aに隣り合うように設けられている。4つの流体ボックス部690A,690B,690C,690Dは、対応する洗浄部620A,620B,620C,620Dにそれぞれ隣り合うように設けられている。
【0149】
搬送部611Aには、センターロボットCRが設けられている。センターロボットCRは、
図1のメインロボットMRと基本的に同じ構成を有する。洗浄部620A,620B,620C,620Dの各々には、複数(例えば3つ)の洗浄ユニット620が設けられる。複数の洗浄ユニット620は上下に積層配置されている。なお、各洗浄部620A,620B,620C,620Dには、1つの洗浄ユニット620のみが設けられてもよい。
【0150】
各洗浄ユニット620では、洗浄液を用いた洗浄処理、リンス液を用いたリンス処理および乾燥処理が行われる。本実施の形態では、洗浄液としては、例えばフッ酸、バッファードフッ酸(BHF)、希フッ酸(DHF)、フッ酸(フッ化水素水:HF)、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、シュウ酸もしくはアンモニア水等の水溶液、またはそれらの混合溶液を用いることができる。また、混合溶液としては、例えば高温に加熱された硫酸と過酸化水素水との混合液(SPM)、アンモニアと過酸化水素水との混合溶液(SC1)、または塩酸(HCl)と過酸化水素水との混合液(SC2)を用いることができる。リンス液としては、純水、炭酸水、オゾン水、水素水または電解イオン水等を用いることができる。あるいは、リンス液としては、HFE(ハイドロフルオロエーテル)またはIPA(イソプロピルアルコール)等の有機溶剤を用いることもできる。洗浄ユニット620の構成については後述する。
【0151】
各流体ボックス部690A,690B,690C,690Dは、対応する洗浄部620A,620B,620C,620Dへの洗浄液の供給および対応する洗浄部620A,620B,620C,620Dからの排液等に関する配管、継ぎ手、バルブ、流量計、レギュレータ、ポンプ、温度調節器、処理液貯留タンク等の流体関連機器を収納する。
【0152】
除電受渡部680は、インデクサブロック610の搬送部610Aと処理ブロック611の搬送部611Aとの間に位置する。これにより、2つの搬送部610A,611Aの間では、除電受渡部680を介して基板Wの受け渡しが行われる。除電受渡部680には、複数(例えば3つ)の除電ユニットOWE2が設けられる。複数の除電ユニットOWE2は上下に積層配置されている。
【0153】
各除電ユニットOWE2は、インデクサブロック610のインデクサロボットIRから受け取った基板Wに除電処理を施し、処理ブロック611のセンターロボットCRに渡す。また、除電ユニットOWE2は、処理ブロック611のセンターロボットCRから受け取った基板Wに除電処理を施し、インデクサブロック610のインデクサロボットIRに渡す。除電ユニットOWE2の構成については後述する。
【0154】
上記の基板処理装置600における基本的な動作を説明する。
図28は、第2の実施の形態に係る基板処理装置600における基本的な動作の流れを示すフローチャートである。基板処理装置600の動作の概要について
図27および
図28を参照しながら説明する。なお、以下に説明する基板処理装置600の各構成要素の動作は、
図27の制御部604により制御される。
【0155】
最初に、インデクサロボットIRは、インデクサブロック610内のいずれかのキャリアCから未処理の基板Wを取り出す(ステップS21)。取り出された基板Wは、除電受渡部680のいずれかの除電ユニットOWE2に渡される。除電ユニットOWE2は、受け取った基板Wの除電処理を行う(ステップS22)。除電処理後の基板Wは、除電受渡部680からセンターロボットCRに渡される。
【0156】
センターロボットCRにより受け取られた除電処理後の基板Wは、さらに洗浄部620A〜620Dの複数の洗浄ユニット620のいずれかに搬入される。基板Wが搬入された洗浄ユニット620は、基板Wの洗浄処理、リンス処理および乾燥処理を行う(ステップS23)。洗浄ユニット620による処理後の基板Wは、センターロボットCRにより当該洗浄ユニット620から搬出され、除電受渡部680のいずれかの除電ユニットOWE2に渡される。
【0157】
除電ユニットOWE2は、受け取った基板Wの除電処理を行う(ステップS24)。除電処理後の基板Wは、除電受渡部680からインデクサロボットIRに渡される。インデクサロボットIRは、受け取った処理済みの基板Wをインデクサブロック10内のいずれかのキャリアC内に収納する(ステップS25)。このように、基板処理装置600に搬入される基板Wごとに上記の一連の動作が繰り返される。
【0158】
(2)除電ユニット
第2の実施の形態に係る除電ユニットOWE2の構成について、第1の実施の形態に係る
図5の除電ユニットOWEとは異なる点を説明する。
図29は、第2の実施の形態に係る除電ユニットOWE2の外観斜視図である。
【0159】
図29に示すように、除電ユニットOWE2は筐体60を含む。筐体60は、前壁部61、後壁部62、一側壁部63、他側壁部64、天井部65および床部66を有する。除電ユニットOWE2についても、第1の実施の形態に係る除電ユニットOWEと同様に、筐体60の内部から前壁部61に向かう方向を除電ユニットOWE2の前方と呼び、その逆方向(筐体60の内部から後壁部62に向かう方向)を除電ユニットOWE2の後方と呼ぶ。
【0160】
除電ユニットOWE2は、一側壁部63が
図27のインデクサブロック610の搬送部610Aに向くように、かつ他側壁部64が
図27の処理ブロック611の搬送部611Aに向くように配置される。
【0161】
ここで、除電ユニットOWE2においては、後壁部62に
図5の搬送開口62pが形成されない代わりに、一側壁部63および他側壁部64に、それぞれ搬送開口63p,64pが形成されている。搬送開口63p,64pは、搬入搬出部500を挟むように形成される。
【0162】
また、本例の除電ユニットOWE2においては、搬入搬出部500の蓋部材510が基板Wよりも大きく形成される。ケーシング410の上面に形成される開口部412b(
図10)も、基板Wよりも大きく形成される。
【0163】
それにより、蓋部材510により開口部412b(
図10)が開かれた状態で、
図29に太い点線の矢印AR1で示すように、
図27のインデクサロボットIRにより搬送される基板Wが、搬送開口63pを通して受渡機構420(
図7)に渡され、ケーシング410内に搬入される。また、
図29に太い二点鎖線の矢印AR2で示すように、基板Wがケーシング410内の受渡機構420(
図7)により
図27のセンターロボットCRに渡され、筐体60内から搬送開口64pを通して搬送部611A内に搬出される。
【0164】
さらに、蓋部材510により開口部412b(
図10)が開かれた状態で、
図29に太い点線の矢印AR3で示すように、
図27のセンターロボットCRにより搬送される基板Wが、搬送開口64pを通して受渡機構420(
図7)に渡され、ケーシング410内に搬入される。また、
図29に太い二点鎖線の矢印AR4で示すように、基板Wがケーシング410内の受渡機構420(
図7)により
図27のインデクサロボットIRに渡され、筐体60内から搬送開口63pを通して搬送部610A内に搬出される。
【0165】
(3)洗浄ユニット
図30は第2の実施の形態に係る基板処理装置600の洗浄ユニット620の構成を説明するための図である。洗浄ユニット620は、流体ボックス部690A〜690Dから供給される洗浄液を用いて基板Wの表面に付着した不純物を洗浄処理により除去し、清浄な基板Wの表面を乾燥させる。
【0166】
図30に示すように、洗浄ユニット620は、基板Wを水平に保持するとともに基板Wの中心を通る鉛直軸の周りで基板Wを回転させるためのスピンチャック621を備える。スピンチャック621は、チャック回転駆動機構622によって回転される回転軸623の上端に固定されている。なお、
図30のスピンチャック621は基板Wの外周端部を保持するメカチャック式のスピンチャックであるが、スピンチャック621として基板Wの下面を真空吸着により保持する吸着式のスピンチャックが用いられてもよい。
【0167】
スピンチャック621の外方には、第1のモータ630が設けられている。第1のモータ630には、第1の回動軸631が接続されている。また、第1の回動軸631には、第1のアーム632が水平方向に延びるように連結され、第1のアーム632の先端に洗浄液ノズル633が設けられている。
【0168】
第1のモータ630により第1の回動軸631が回転するとともに第1のアーム632が回動し、洗浄液ノズル633がスピンチャック621により保持された基板Wの上方に移動する。
【0169】
第1のモータ630、第1の回動軸631および第1のアーム632の内部を通るように洗浄液供給管634が設けられている。洗浄液供給管634は流体ボックス部690A〜690Dに接続されている。洗浄液ノズル633には、流体ボックス部690A〜690Dから洗浄液供給管634を通して洗浄液が供給される。それにより、基板Wの表面へ洗浄液を供給することができる。
【0170】
また、スピンチャック621の外方に、さらに第2のモータ640が設けられている。第2のモータ640には、第2の回動軸641が接続されている。また、第2の回動軸641には、第2のアーム642が水平方向に延びるように連結され、第2のアーム642の先端にリンス液ノズル643が設けられている。
【0171】
第2のモータ640により第2の回動軸641が回転するとともに第2のアーム642が回動し、リンス液ノズル643がスピンチャック621により保持された基板Wの上方に移動する。
【0172】
第2のモータ640、第2の回動軸641および第2のアーム642の内部を通るようにリンス液供給管644が設けられている。リンス液供給管644は流体ボックス部690A〜690Dに接続されている。リンス液ノズル643には、流体ボックス部690A〜690Dからリンス液供給管644を通してリンス液が供給される。それにより、基板Wの表面へリンス液を供給することができる。
【0173】
洗浄処理時において洗浄液ノズル633は基板Wの上方に位置し、リンス処理時および乾燥処理時において洗浄液ノズル633は所定の位置に退避される。また、リンス処理時においてリンス液ノズル643は基板Wの上方に位置し、洗浄処理時および乾燥処理時においてリンス液ノズル643は所定の位置に退避される。
【0174】
スピンチャック21の周囲を取り囲むようにカップ装置650が設けられている。カップ装置650は、洗浄処理に用いられた洗浄液およびリンス処理に用いられたリンス液を回収し、回収した洗浄液およびリンス液を図示しない循環系または廃棄系に導く。
【0175】
(4)第2の実施の形態の効果
上記の除電ユニットOWE2においては、筐体60の一側壁部63および他側壁部64にそれぞれ搬送開口63p,64pが形成されている。搬送開口63p,64pは、それぞれ筐体60の内部と外部との間で基板Wを搬送するために用いられる。それにより、除電ユニットOWE2を通る基板Wの搬送経路の設計の自由度が向上する。
【0176】
本実施の形態に係る基板処理装置600においては、インデクサブロック610のキャリアCから処理ブロック611の洗浄ユニット620へ基板Wが搬送される際、および処理ブロック611の洗浄ユニット620からインデクサブロック610のキャリアCへ基板Wが搬送される際に、除電ユニットOWE2により基板Wに除電処理が行われる。それにより、インデクサブロック610および処理ブロック611を用いた基板処理のスループットを向上させることができる。
【0177】
[3]他の実施の形態
(1)上記実施の形態に係る基板処理装置100,600においては、洗浄処理前の基板Wおよび洗浄処理後の基板Wの各々に除電処理が行われるが、本発明はこれに限定されない。基板処理装置100,600においては、例えば洗浄処理前の基板Wにのみ除電処理が行われてもよいし、洗浄処理後の基板Wにのみ除電処理が行われてもよい。
【0178】
(2)上記実施の形態に係る除電ユニットOWE,OWE2においては、帯状の真空紫外線が基板Wの上面上を走査されることにより基板Wの上面全体に真空紫外線が照射されるが、本発明はこれに限定されない。除電ユニットOWE,OWE2の光出射部300は、基板Wの一面全体に真空紫外線を同時に照射可能に構成されてもよい。除電ユニットOWE,OWE2における除電処理の時間を短くすることができる。
【0179】
(3)第1の実施の形態に係る基板処理装置100においては、処理ブロック11の表面洗浄部11Aおよび裏面洗浄部11Bにそれぞれ除電ユニットOWEを設ける代わりに、基板載置部PASS1,PASS2にそれぞれ第2の実施の形態に係る除電ユニットOWE2を設けてもよい。この場合、インデクサブロック10のキャリアCから処理ブロック11の表面洗浄ユニットSSまたは裏面洗浄ユニットSSRへ基板Wが搬送される際に除電ユニットOWE2により基板Wに除電処理を行うことができる。また、処理ブロック11の表面洗浄ユニットSSまたは裏面洗浄ユニットSSRからインデクサブロック610のキャリアCへ基板Wが搬送される際に、除電ユニットOWE2により基板Wに除電処理を行うことができる。
【0180】
(4)第2の実施の形態に係る基板処理装置600においては、除電受渡部680に、除電ユニットOWE2に代えて第1の実施の形態に係る基板載置部PASS1,PASS2を設けるとともに、洗浄部620A〜620Dのいずれかに第1の実施の形態に係る除電ユニットOWEを設けてもよい。
【0181】
(5)第1の実施の形態に係る表面洗浄ユニットSSおよび裏面洗浄ユニットSSRにおいては、基板Wの表面および裏面がブラシを用いて洗浄されるが、本発明はこれに限定されない。表面洗浄ユニットSSおよび裏面洗浄ユニットSSRは、ブラシ洗浄具27および液吐出ノズル28に代えて、二流体ノズルを用いたソフトスプレー方式により基板Wを洗浄してもよい。二流体ノズルは、洗浄液と加圧された気体(不活性ガス)とを混合することにより、洗浄液の液滴および気体からなる混合流体を基板Wに噴射するノズルである。
【0182】
(6)第2の実施の形態に係る洗浄ユニット620においては、第1の実施の形態と同様に、基板Wの上面がブラシを用いて洗浄されてもよい。または、基板Wの上面が上記の二流体ノズルを用いて洗浄されてもよい。
【0183】
(7)上記実施の形態に係る除電ユニットOWE,OWE2においては、ローカル搬送ハンド434が前方位置P2から後方位置P1に移動する場合にのみ基板Wの上面に真空紫外線が照射されるが、本発明はこれに限定されない。ローカル搬送ハンド434が前方位置P2から後方位置P1に移動する場合に代えて、ローカル搬送ハンド434が後方位置P1から前方位置P2に移動する場合にのみ基板Wの上面に真空紫外線が照射されてもよい。また、ローカル搬送ハンド434が後方位置P1から前方位置P2に移動する場合および前方位置P2から後方位置P1に移動する場合に基板Wの上面に真空紫外線が照射されてもよい。
【0184】
(8)上記実施の形態では、酸素分子を2つの酸素原子に分離させるための光として真空紫外線が用いられるが、本発明はこれに限定されない。酸素分子を2つの酸素原子に分離させることが可能であれば、真空紫外線よりも短い波長を有する光を基板W上に照射してもよい。
【0185】
(9)上記実施の形態では、ケーシング410内の酸素濃度を低くするために窒素ガスが用いられるが、本発明はこれに限定されない。ケーシング410には窒素ガスに代えてアルゴンガスまたはヘリウムガス等が用いられてもよい。
【0186】
(10)上記実施の形態では、蓋部材510に第2の窒素ガス供給部520が設けられるが、第2の窒素ガス供給部520は設けられなくてもよい。また、光出射部300に第3の窒素ガス供給部330が設けられるが、第3の窒素ガス供給部330は設けられなくてもよい。これらの場合、除電ユニットOWE,OWE2の部品点数が低減される。
【0187】
(11)上記実施の形態では、紫外線ランプ320により帯状の真空紫外線が出射された状態でローカル搬送ハンド434が水平方向に移動することにより、基板Wの一端部から他端部に向かって帯状の真空紫外線が走査されるが、本発明はこれに限定されない。基板Wが固定された載置台上に載置された状態で、基板Wの上方の位置を紫外線ランプ320が水平方向に移動することにより基板Wの一端部から他端部に向かって帯状の真空紫外線が走査されてもよい。この場合、紫外線ランプ320の移動速度を調整することにより、基板W上で発生されるオゾンの量を調整することができる。
【0188】
[4]請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各構成要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
【0189】
上記実施の形態においては、表面洗浄ユニットSS、裏面洗浄ユニットSSRおよび洗浄ユニット620が洗浄処理部の例であり、除電ユニットOWE,OWE2が除電部の例であり、ローカル搬送ハンド434が保持部の例であり、光出射部300が出射部の例であり、基板処理装置100,600が基板処理装置の例である。
【0190】
また、制御部4,604が処理部の例であり、送り軸431、送り軸モータ432、2つのガイドレール433、2つのハンド支持部材435および連結部材439が相対的移動部の例であり、反転ユニットRT1,RT2が反転装置の例であり、筐体60が筐体の例であり、搬送開口63p,64pがそれぞれ第1および第2の搬送開口の例である。
【0191】
また、インデクサロボットIRが第1の搬送装置の例であり、インデクサブロック610が第1の領域の例であり、センターロボットCRが第2の搬送装置の例であり、処理ブロック611が第2の領域の例であり、キャリアCが収納容器の例であり、キャリア載置台601が容器載置部の例である。
さらに、照度センサS3が照度検出部の例であり、酸素濃度センサS4が酸素濃度検出部の例である。
【0192】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の構成要素を用いることもできる。
[5]参考形態
(1)本参考形態に係る基板処理装置は、基板の洗浄処理を行う洗浄処理部と、洗浄処理部による洗浄処理前の基板および洗浄処理部による洗浄処理後の基板のうち少なくとも一方の基板の除電処理を行う除電部とを備え、除電部は、酸素分子を含む雰囲気内で基板を保持する保持部と、保持部により保持された基板に雰囲気を通して真空紫外線を出射する出射部とを含む。
その基板処理装置においては、洗浄処理部による洗浄処理前および洗浄処理後のうち少なくとも一方の時点で、除電部により基板の除電処理が行われる。除電部では、出射部から出射される真空紫外線が、酸素分子を含む雰囲気を通して保持部により保持された基板に照射される。
このとき、基板上の雰囲気が真空紫外線の一部を吸収することにより、その雰囲気に含まれる酸素分子が光解離により2つの酸素原子に分解される。分解された酸素原子が周囲に存在する酸素分子と結合することによりオゾンが発生される。
オゾンは、正電荷を帯びた共鳴構造と負電荷を帯びた共鳴構造との重ね合わせによって表現される共鳴混成体である。各共鳴構造は、共有結合および配位結合を含む。配位結合は不安定であるため、発生されたオゾンが正または負に帯電した基板の一面に接触すると、オゾンと基板との間で電荷の授受が行われる。この場合、オゾンの配位結合が切断されるとともに、基板の電位が0(V)に近づく。このようにして、基板の帯電量および帯電極性によらず基板の全体が除電される。これらの結果、洗浄処理および除電処理後の基板の清浄度が向上する。
(2)基板処理装置は、制御部をさらに備え、除電部は、保持部および出射部のうち少なくとも一方を他方に対して一方向に相対的に移動させる相対的移動部をさらに含み、制御部は、出射部により出射される真空紫外線が雰囲気を通して保持部により保持された基板に照射されるように出射部および相対的移動部を制御してもよい。この場合、基板の全体に真空紫外線を同時に照射する必要がない。したがって、出射部の大型化を抑制することができる。
(3)制御部は、予め定められた光量の真空紫外線が基板に照射されるように、相対的移動部による保持部と出射部との相対的な移動速度を制御してもよい。
この場合、保持部と出射部との相対的な移動速度が制御されることにより、基板上で単位面積当たりに照射される真空紫外線の光量が調整され、基板上で発生されるオゾンの量が調整される。移動速度を高くすることにより、基板に照射される真空紫外線の光量が減少する。それにより、基板上で発生されるオゾンの量を減少させることができる。また、移動速度を低くすることにより、基板に照射される真空紫外線の光量が増加する。それにより、基板上で発生されるオゾンの量を増加させることができる。したがって、基板上に所望の量のオゾンを均一に供給することが可能になる。その結果、基板の全体を均一に除電することが可能になる。
(4)基板は一面および他面を有し、基板処理装置は、基板の一面と他面とを互いに反転させる反転装置をさらに備え、洗浄処理部は、反転装置により反転されていない基板の一面を洗浄可能でかつ反転装置により反転された基板の他面を洗浄可能に構成されてもよい。この場合、基板の一面および他面の清浄度を向上させることができる。
(5)除電部は、保持部および出射部を収容する筐体をさらに備え、筐体は、筐体の内部と外部との間で基板を搬送するための第1および第2の搬送開口を有してもよい。この場合、第1および第2の搬送開口を用いて除電部に対する基板の搬入および搬出を行うことができる。それにより、基板の搬送経路の設計の自由度が向上する。
(6)基板処理装置は、第1の搬送装置を含む第1の領域と、洗浄処理部および第2の搬送装置を含む第2の領域とを有し、除電部は、第1の搬送開口を通して第1の搬送装置に対する基板の受け渡しが可能でかつ第2の搬送開口を通して第2の搬送装置に対する基板の受け渡しが可能に配置されてもよい。この場合、第1および第2の搬送装置により第1の領域と第2の領域との間で基板が搬送される際に、基板の除電処理を行うことが可能になる。
(7)第1の領域は、基板を収容する収納容器が載置される容器載置部をさらに含み、第1の搬送装置は、容器載置部に載置された収納容器と除電部との間で基板を搬送し、第2の搬送装置は、除電部と洗浄処理部との間で基板を搬送し、除電部は、第1の搬送装置から第2の搬送装置への基板の受け渡しの際および第2の搬送装置から第1の搬送装置への基板の受け渡しの際に基板の除電処理を行ってもよい。
この場合、第1の領域の収納容器から第2の領域の洗浄処理部へ基板が搬送される際、および処理領域の洗浄処理部から搬入搬出領域内の収納容器へ基板が搬送される際に、除電部により基板に除電処理が行われる。それにより、第1の領域および第2の領域を用いた基板処理のスループットを向上させることができる。
(8)除電部は、洗浄処理部により洗浄される前の基板に除電処理を行ってもよい。この場合、洗浄処理前の基板の電位が0(V)に近づく。それにより、洗浄処理時に基板の帯電に起因する放電現象が発生しない。したがって、基板の一部が破損することによる処理不良の発生が防止される。
(9)制御部は、洗浄処理部により洗浄された後の基板に除電処理を行ってもよい。この場合、洗浄処理時に基板が帯電する場合でも、洗浄処理後の基板に除電処理が行われることにより基板の電位が0(V)に近づく。それにより、洗浄処理後の基板を清浄に保つことができる。
(10)本参考形態に係る基板処理方法は、基板の洗浄処理を行うステップと、洗浄処理を行うステップの前および洗浄処理を行うステップの後のうち少なくとも一方の時点で、基板の除電処理を行うステップとを含み、除電処理を行うステップは、酸素分子を含む雰囲気内で基板を保持部により保持するステップと、真空紫外線を出射部から出射させるとともに出射部により出射される真空紫外線を上記の雰囲気を通して保持部により保持された基板に照射するステップとを含む。
その基板処理方法においては、洗浄処理前および洗浄処理後のうち少なくとも一方の時点で、基板の除電処理が行われる。除電処理においては、出射部から出射される真空紫外線が、酸素分子を含む雰囲気を通して保持部により保持された基板に照射される。このとき、真空紫外線の一部が酸素分子を含む雰囲気に吸収されることにより、オゾンが発生される。
発生されたオゾンが正または負に帯電した基板の一面に接触すると、オゾンと基板との間で電荷の授受が行われる。この場合、オゾンの配位結合が切断されるとともに、基板の電位が0(V)に近づく。このようにして、基板の帯電量および帯電極性によらず基板の全体が除電される。これらの結果、洗浄処理および除電処理後の基板の清浄度が向上する。