(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記センサ保持部は、モータを保持するモータ保持体と、前記モータで前記モータ保持体に対して回動されるように構成された偏心カムと、前記加速度センサを保持し前記モータ保持体に固定されるセンサ保持体とを有し、前記モータで前記モータ保持体に対して前記偏心カムを回動させて前記モータ保持体と前記偏心カムとが前記伝熱管の内面を押圧することで、前記センサ保持部が前記伝熱管の内面と係合するように構成される、請求項2に記載の支持力検査装置。
前記加振力発生部は、流体を断続的に噴射することで前記センサ保持部に大きさが経時的に変動するように前記加振力を与えるように構成される、請求項7に記載の支持力検査装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
蒸気発生器では、Uベンド部において伝熱管が上記面内方向に振動するおそれがある。これに対し、上述した特許文献に記載の支持力測定装置では、振れ止め部材による伝熱管の支持力を伝熱管の応力から求めているので、測定される支持力は、主として上記面内方向と直交する方向の支持力である。
このことから、振れ止め部材による上記面内方向の支持力を測定することが求められている。
【0008】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、蒸気発生器における複数の伝熱管の曲部間に介装される振れ止め部材による、曲部の曲率円が存在する面に沿う方向の支持力を精度よく検査することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る支持力検査装置は、
蒸気発生器における複数の伝熱管の曲部間に介装される振れ止め部材の支持力を検査するための支持力検査装置であって、
前記曲部の振動状態を検出するための加速度センサと、
前記加速度センサを保持するセンサ保持部であって、前記伝熱管の内部に配置されるセンサ保持部と、
前記曲部の曲率円が存在する面に沿って前記伝熱管を振動させるための加振力を発生する加振力発生部と、を備え、
前記加振力発生部は、前記センサ保持部と協働して、前記曲率円が存在する面に沿って前記伝熱管を振動させるように構成される。
【0010】
上記(1)の構成によれば、曲部の曲率円が存在する面に沿って伝熱管を振動させるための加振力を発生する加振力発生部を備え、加振力発生部がセンサ保持部と協働して、曲率円が存在する面に沿って伝熱管を振動させるように構成されるので、曲部の曲率円が存在する面に沿って伝熱管を振動させることができる。そして、曲部の振動状態を加速度センサで検出できるので、加速度センサで検出した曲部の振動状態から振れ止め部材による曲部の曲率円が存在する面に沿う方向の支持力を精度よく検査できる。
【0011】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、前記加速度センサは、前記センサ保持部が前記伝熱管の内面と係合した状態で前記曲部の振動状態を検出するように構成される。
【0012】
上記(2)の構成によれば、センサ保持部が伝熱管の内面と係合した状態で曲部の振動状態を加速度センサで検出できるので、例えば、振れ止め部材の介装された位置でセンサ保持部を伝熱管の内面と係合させて曲部の振動状態を検出することで、振れ止め部材の支持力を正確に検査できる。
【0013】
(3)幾つかの実施形態では、上記(2)の構成において、前記センサ保持部は、モータを保持するモータ保持体と、前記モータで前記モータ保持体に対して回動されるように構成された偏心カムと、前記加速度センサを保持し前記モータ保持体に固定されるセンサ保持体とを有し、前記モータで前記モータ保持体に対して前記偏心カムを回動させて前記モータ保持体と前記偏心カムとが前記伝熱管の内面を押圧することで、前記センサ保持部が前記伝熱管の内面と係合するように構成される。
【0014】
上記(3)の構成によれば、モータでモータ保持体に対して偏心カムを回動させてモータ保持体と偏心カムとが伝熱管の内面を押圧することで、センサ保持部が伝熱管の内面と係合するように構成されるので、簡単な構成でセンサ保持部を伝熱管の内面と係合できる。また、簡単な構成でセンサ保持部を伝熱管の内面と係合させることができるので、センサ保持部を小型化でき、径の細い伝熱管や、曲率半径の小さい伝熱管であってもセンサ保持部を伝熱管の内部に配置できる。
【0015】
(4)幾つかの実施形態では、上記(2)又は(3)の構成において、前記加振力発生部は、経時的に変動するように前記加振力を発生させるように構成される。
【0016】
上記(4)の構成によれば、加振力発生部が経時的に変動するように加振力を発生できるので、曲率円が存在する面に沿って伝熱管を効率的に振動させることができ、曲部の曲率円が存在する面に沿う方向の支持力の検査精度を向上できる。
【0017】
(5)幾つかの実施形態では、上記(4)の構成において、
前記センサ保持部は、前記伝熱管の内面と係合した状態で前記伝熱管の内部を閉塞するように構成され、
前記加振力発生部は、前記センサ保持部で閉塞された前記伝熱管の内部に満たされた液体に経時的に変動するように圧力を加えるように構成される。
【0018】
上記(5)の構成によれば、伝熱管の内面と係合した状態で伝熱管の内部を閉塞するようにセンサ保持部が構成され、センサ保持部で閉塞された伝熱管の内部に満たされた液体に経時的に変動するように圧力を加えるように加振力発生部が構成されている。つまり、加振力発生部とセンサ保持部とが協働して、曲部の曲率円が存在する面に沿って伝熱管を振動させるように構成されている。
これにより、液体による静水圧によって曲部の曲率円が存在する面に沿って伝熱管を効率的に振動させることができるので、曲部の曲率円が存在する面に沿う方向の支持力の検査精度を向上できる。
また、液体に加える圧力を変動させる時間的な間隔を変更することで、加振力の周波数を容易に変更できる。これにより、加振力の周波数領域を広げることができるので、伝熱管を様々な周波数の加振力で振動させることができ、支持力の検査精度が向上する。
また、液体に加える圧力を変動させる時間的な間隔を大きくすることで、液体に加える圧力の大きさを低下させずに、加振力が生じる時間的な間隔を大きくすることができる。これにより、加振力の周波数が低周波数となる領域であっても、伝熱管を振動させるのに十分な加振力を得ることができ、低周波数領域における支持力の検査精度が向上する。
また、上記(5)の構成によれば、伝熱管の内面と係合した状態で伝熱管の内部を閉塞するようにセンサ保持部が構成されているので、伝熱管の内部を閉塞する部材等を別途用意して伝熱管内で固定する必要がないので、支持力検査装置の構成を簡素化できる。
【0019】
(6)幾つかの実施形態では、上記(2)又は(3)の構成において、
前記加振力発生部は、前記伝熱管の内面と係合した前記センサ保持部に向かって前記伝熱管内を管軸方向に射出体を射出するように構成され、
前記センサ保持部は、前記射出体が衝突することで生じた衝撃力を前記伝熱管に伝達することで前記曲率円が存在する面に沿って前記伝熱管を振動させるように構成される。
【0020】
上記(6)の構成によれば、伝熱管の内面と係合したセンサ保持部に向かって伝熱管内を管軸方向に射出体を射出するように加振力発生部が構成され、射出体が衝突することで生じた衝撃力を伝熱管に伝達することで曲部の曲率円が存在する面に沿って伝熱管を振動させるようにセンサ保持部が構成されている。つまり、加振力発生部とセンサ保持部とが協働して、曲部の曲率円が存在する面に沿って伝熱管を振動させるように構成されている。
したがって、センサ保持部の係合位置において、曲部の曲率円が存在する面に沿った加振力を伝熱管に対して効率的に伝達できる。これにより、振れ止め部材の介装された位置でセンサ保持部を伝熱管の内面と係合させることで、振れ止め部材の介装された位置において伝熱管に加振力を効率的に伝達できるとともに、振れ止め部材の介装された位置で曲部の振動状態を検出できるので、振れ止め部材の支持力を正確に検査できる。
また、上記(6)の構成によれば、射出体が衝突することで生じた衝撃力を伝熱管に伝達することで曲部の曲率円が存在する面に沿って伝熱管を振動させるようにセンサ保持部が構成されているので、センサ保持部材が伝熱管への振動を伝達する部材としても機能し、支持力検査装置の構成を簡素化できる。
【0021】
(7)幾つかの実施形態では、上記(2)または(3)の構成において、
前記加振力発生部は、前記センサ保持部に保持されており、前記センサ保持部に前記加振力を与えるように構成され、
前記センサ保持部は、保持している前記加振力発生部から与えられた前記加振力を前記伝熱管に伝達することで前記曲率円が存在する面に沿って前記伝熱管を振動させるように構成される。
【0022】
上記(7)の構成によれば、加振力発生部がセンサ保持部に保持されており、センサ保持部が加振力発生部から与えられた加振力を伝熱管に伝達することで曲部の曲率円が存在する面に沿って伝熱管を振動させるように構成されている。つまり、加振力発生部とセンサ保持部とが協働して、曲部の曲率円が存在する面に沿って伝熱管を振動させるように構成されている。
したがって、センサ保持部の係合位置において、曲部の曲率円が存在する面に沿った加振力を伝熱管に対して効率的に伝達できる。これにより、振れ止め部材の介装された位置でセンサ保持部を伝熱管の内面と係合させることで、振れ止め部材の介装された位置において伝熱管に加振力を効率的に伝達できるとともに、振れ止め部材の介装された位置で曲部の振動状態を検出できるので、振れ止め部材の支持力を正確に検査できる。
また、上記(7)の構成によれば、センサ保持部が加振力発生部から与えられた加振力を伝熱管に伝達することで曲部の曲率円が存在する面に沿って伝熱管を振動させるように構成されているので、センサ保持部材が伝熱管への振動を伝達する部材としても機能し、支持力検査装置の構成を簡素化できる。
【0023】
(8)幾つかの実施形態では、上記(7)の構成において、
前記加振力発生部は、射出体を射出することで前記センサ保持部に前記加振力を与えるように構成される。
【0024】
上記(8)の構成によれば、射出体を射出することでセンサ保持部に加振力を与えるように加振力発生部が構成されているので、簡単な構成によって効率的に加振力を発生でき、加振力発生部を小型化できる。
【0025】
(9)幾つかの実施形態では、上記(7)の構成において、
前記加振力発生部は、流体を断続的に噴射することで前記センサ保持部に大きさが経時的に変動するように前記加振力を与えるように構成される。
【0026】
上記(9)の構成によれば、流体を噴射することでセンサ保持部に大きさが経時的に変動するように加振力を与えるように加振力発生部が構成されているので、簡単な構成によって効率的に加振力を発生でき、加振力発生部を小型化できる。
また、流体の噴射量を変動させる時間的な間隔を変更することで、加振力の周波数を容易に変更できる。これにより、加振力の周波数領域を広げることができるので、伝熱管を様々な周波数の加振力で振動させることができ、支持力の検査精度が向上する。
また、流体の噴射量を変動させる時間的な間隔を大きくすることで、流体の噴射による反力の大きさを低下させずに、反力が生じる時間的な間隔を大きくすることができる。これにより、加振力の周波数が低周波数となる領域であっても、伝熱管を振動させるのに十分な加振力を得ることができ、低周波数領域における支持力の検査精度が向上する。
【0027】
(10)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記加速度センサは、前記センサ保持部が前記伝熱管内を移動している状態で前記曲部の振動状態を検出するように構成され、
前記加振力発生部は、前記伝熱管内を管軸方向に前記センサ保持部を射出するように構成され、
前記センサ保持部は、前記曲部で前記伝熱管内を摺動しながら移動することで前記曲率円が存在する面に沿って前記伝熱管を振動させるように構成される。
【0028】
上記(10)の構成によれば、センサ保持部が伝熱管内を移動している状態で曲部の振動状態を検出するように加速度センサが構成され、伝熱管内を管軸方向にセンサ保持部を射出するように加振力発生部が構成され、センサ保持部が曲部で伝熱管内を摺動しながら移動することで曲部の曲率円が存在する面に沿って伝熱管を振動させるようにセンサ保持部が構成されている。つまり、加振力発生部とセンサ保持部とが協働して、曲部の曲率円が存在する面に沿って伝熱管を振動させるように構成されている。
これにより、センサ保持部が伝熱管内を移動している間に加速度センサで曲部の振動状態を検出できるので、振れ止め部材の支持力を迅速に検査できる。また、センサ保持部の1回の射出によって曲部の各箇所に配置された振れ止め部材のそれぞれについての支持力を検査できるので、効率的である。
また、センサ保持部が曲部で伝熱管内を摺動しながら移動するように構成されているので、曲部の曲率円が存在する面に沿った加振力を簡単な構成で発生できる。
また、上記(10)の構成によれば、センサ保持部が曲部で伝熱管内を摺動しながら移動することで曲部の曲率円が存在する面に沿って伝熱管を振動させるようにセンサ保持部が構成されているので、センサ保持部材が伝熱管への振動を伝達する部材としても機能し、支持力検査装置の構成を簡素化できる。
【0029】
(11)本発明の少なくとも一実施形態に係る支持力検査装置は、
蒸気発生器における複数の伝熱管の曲部間に介装される振れ止め部材の支持力を検査するための支持力検査装置であって、
前記曲部の振動状態を検出するための加速度センサと、
前記加速度センサを保持するセンサ保持部であって、前記伝熱管の外部に配置されるセンサ保持部と、
前記曲部の曲率円が存在する面に沿って前記伝熱管を振動させるための加振力を発生する加振力発生部と、
前記センサ保持部と前記加振力発生部とを接続する加振ロッドと、を備え、
前記加振力発生部は、前記加振ロッドを介して、前記曲率円が存在する面に沿って前記伝熱管を振動させるように構成される。
【0030】
上記(11)の構成によれば、伝熱管の外部に配置されるセンサ保持部と加振力発生部とを接続する加振ロッドを備え、加振力発生部が加振ロッドを介して、曲部の曲率円が存在する面に沿って伝熱管を振動させるように構成されている。
これにより、伝熱管の外周面側から曲部にアクセスできる場合には、曲部の曲率円が存在する面に沿って伝熱管を容易に振動させることができるので、振れ止め部材による曲部の曲率円が存在する面に沿う方向の支持力を精度よく検査できる。
【0031】
(12)幾つかの実施形態では、上記(11)の構成において、
前記加振ロッドは、前記曲率円が存在する面と交差する方向に離間して配置された第1伝熱管と第2伝熱管との間に挿入可能に構成され、
前記加振ロッドの一端側には、前記加振ロッドの延在方向と交差する方向に突出し、前記伝熱管の外周面を把持可能な一対の把持部と、前記センサ保持部と、が設けられ、
前記加振ロッドの他端側には、前記加振力発生部が接続され、
前記加振ロッドは、前記一対の把持部の突出方向を少なくとも前記曲率円が存在する面に沿う方向と一致させると、前記一対の把持部を前記第1伝熱管と前記第2伝熱管との間に挿入可能に構成され、前記第1伝熱管と前記第2伝熱管との間に挿入された前記一対の把持部の突出方向を前記曲率円が存在する面と交差する方向に一致させると前記一対の把持部が前記第1又は第2伝熱管の外周面を把持可能に構成される。
【0032】
上記(12)の構成によれば、曲部の曲率円が存在する面と交差する方向に離間して配置された第1伝熱管と第2伝熱管との間に挿入可能に加振ロッドが構成され、加振ロッドの一端側には一対の把持部とセンサ保持部とが設けられ、加振ロッドの他端側には加振力発生部が接続される。これにより、支持力検査装置の構成を簡素化できる。
また、例えば蒸気発生器のように、複数の伝熱管が狭い間隔で隣り合って配置されている伝熱管群であっても、伝熱管群の外部から任意の伝熱管の近傍まで一対の把持部を差し入れて、当該伝熱管の外周面を一対の把持部で把持できる。したがって、蒸気発生器のように、複数の伝熱管が狭い間隔で隣り合って配置されている伝熱管群であっても、任意の伝熱管について、振れ止め部材による曲部の曲率円が存在する面に沿う方向の支持力を検査できる。したがって、複数の伝熱管が狭い間隔で隣り合って配置されている装置における伝熱管の振れ止め部材による支持力の検査に適した支持力検査装置を提供できる。
【0033】
(13)本発明の少なくとも一実施形態に係る支持力検査方法は、
蒸気発生器における複数の伝熱管の曲部間に介装される振れ止め部材の支持力を検査するための支持力検査方法であって、
前記曲部の振動状態を検出するための加速度センサを保持するセンサ保持部を前記伝熱管の内部に配置する配置ステップと、
前記曲部の曲率円が存在する面に沿って前記伝熱管を振動させるための加振力を発生する加振力発生部と前記センサ保持部とが協働して、前記曲率円が存在する面に沿って前記伝熱管を振動させる加振ステップと、
前記加振ステップで振動させた前記曲部の振動状態を前記センサ保持部で保持された加速度センサで検出する加速度検出ステップと、を備える。
【0034】
上記(13)の方法によれば、曲部の曲率円が存在する面に沿って伝熱管を振動させるための加振力を発生する加振力発生部と、加速度センサを保持するセンサ保持部とが協働して、曲部の曲率円が存在する面に沿って伝熱管を振動させることができる。そして、曲部の振動状態を加速度センサで検出できるので、加速度センサで検出した曲部の振動状態から振れ止め部材による曲部の曲率円が存在する面に沿う方向の支持力を精度よく検査できる。
【0035】
(14)幾つかの実施形態では、上記(13)の方法において、
前記配置ステップにおいて、前記センサ保持部は、前記伝熱管の内面と係合されて前記伝熱管の内部を閉塞し、
前記加振ステップにおいて、前記センサ保持部で閉塞された前記伝熱管の内部に液体を満たし、前記伝熱管の内部に満たされた液体に経時的に変動するように圧力を加えることで、前記曲率円が存在する面に沿って前記伝熱管を振動させる。
【0036】
上記(14)の方法によれば、センサ保持部が伝熱管の内面と係合されて伝熱管の内部を閉塞し、センサ保持部で閉塞された伝熱管の内部に液体を満たし、伝熱管の内部に満たされた液体に経時的に変動するように圧力を加える。これにより、液体による静水圧によって曲部の曲率円が存在する面に沿って伝熱管を効率的に振動させることができるので、曲部の曲率円が存在する面に沿う方向の支持力の検査精度を向上できる。
また、液体に加える圧力を変動させる時間的な間隔を変更することで、加振力の周波数を容易に変更できる。これにより、加振力の周波数領域を広げることができるので、伝熱管を様々な周波数の加振力で振動させることができ、支持力の検査精度が向上する。
また、液体に加える圧力を変動させる時間的な間隔を大きくすることで、液体に加える圧力の大きさを低下させずに、反力が生じる時間的な間隔を大きくすることができる。これにより、加振力の周波数が低周波数となる領域であっても、伝熱管を振動させるのに十分な加振力を得ることができ、低周波数領域における支持力の検査精度が向上する。
【発明の効果】
【0037】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、蒸気発生器における複数の伝熱管の曲部間に介装される振れ止め部材による、曲部の曲率円が存在する面に沿う方向の支持力を精度よく検査できる。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0040】
図1を参照して、幾つかの実施形態に係る支持力検査装置による検査対象の蒸気発生器が適用された原子力発電プラントについて説明する。
図1は、幾つかの実施形態に係る支持力検査装置による検査対象の蒸気発生器が適用された原子力発電プラントの概略構成図である。
図2は、幾つかの実施形態に係る支持力検査装置による検査対象の蒸気発生器を表す概略構成図である。
図3は、
図2に示した蒸気発生器の伝熱管の近傍を模式的に示した断面図である。
【0041】
図1に示した原子力発電プラントにおける原子炉は、軽水を原子炉冷却材及び中性子減速材として使用し、炉心全体にわたって沸騰しない高温高圧水とし、この高温高圧水を蒸気発生器に送って熱交換により蒸気を発生させ、この蒸気をタービン発電機へ送って発電する加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)である。
【0042】
図1に示した原子力発電プラントにおいて、原子炉格納容器11は、内部に加圧水型原子炉12及び蒸気発生器13が格納されており、この加圧水型原子炉12と蒸気発生器13とは高温側送給配管14と低温側送給配管15を介して連結されており、高温側送給配管14に加圧器16が設けられ、低温側送給配管15に一次冷却水ポンプ17が設けられている。この場合、減速材及び一次冷却水(冷却材)として軽水を用い、炉心部における一次冷却水の沸騰を抑制するために、一次冷却系統は加圧器16により150〜160気圧程度の高圧状態を維持するように制御している。
【0043】
従って、加圧水型原子炉12にて、燃料(原子燃料)として低濃縮ウランまたはMOXにより一次冷却水として軽水が加熱され、高温の一次冷却水が加圧器16により所定の高圧に維持された状態で、高温側送給配管14を通して蒸気発生器13に送られる。この蒸気発生器13では、高温高圧の一次冷却水と二次冷却水との間で熱交換が行われ、冷やされた一次冷却水は低温側送給配管15を通して加圧水型原子炉12に戻される。
【0044】
蒸気発生器13は、加熱された二次冷却水、つまり、蒸気を送給する配管31を介して蒸気タービン32と連結されており、この配管31に主蒸気隔離弁33が設けられている。蒸気タービン32は、高圧タービン34と低圧タービン35を有すると共に、発電機(発電装置)36が接続されている。また、高圧タービン34と低圧タービン35は、その間に湿分分離加熱器37が設けられており、配管31から分岐した冷却水分岐配管38が湿分分離加熱器37に連結される一方、高圧タービン34と湿分分離加熱器37は低温再熱管39により連結され、湿分分離加熱器37と低圧タービン35は高温再熱管40により連結されている。
【0045】
更に、蒸気タービン32の低圧タービン35は、復水器41を有しており、この復水器41は、配管31からバイパス弁42を有するタービンバイパス配管43が接続されると共に、冷却水(例えば、海水)を給排する取水管44及び排水管45が連結されている。この取水管44は、循環水ポンプ46を有し、排水管45と共に他端部が海中に配置されている。
【0046】
そして、この復水器41は、配管47が接続されており、復水ポンプ48、グランドコンデンサ49、復水脱塩装置50、復水ブースタポンプ51、低圧給水加熱器52が接続されている。また、配管47は、脱気器53が連結されると共に、主給水ポンプ54、高圧給水加熱器55、主給水制御弁56が設けられている。
【0047】
従って、蒸気発生器13にて、高温高圧の一次冷却水と熱交換を行って生成された蒸気は、配管31を通して蒸気タービン32(高圧タービン34から低圧タービン35)に送られ、この蒸気により蒸気タービン32を駆動して発電機36により発電を行う。このとき、蒸気発生器13からの蒸気は、高圧タービン34を駆動した後、湿分分離加熱器37で蒸気に含まれる湿分が除去されると共に加熱されてから低圧タービン35を駆動する。そして、蒸気タービン32を駆動した蒸気は、復水器41で海水を用いて冷却されて復水となり、グランドコンデンサ49、復水脱塩装置50、低圧給水加熱器52、脱気器53、高圧給水加熱器55などを通して蒸気発生器13に戻される。
【0048】
このように構成された原子力発電プラントの蒸気発生器13において、
図2に示すように、胴部61は、密閉された中空円筒形状をなし、上部に対して下部が若干小径となっている。この胴部61は、その下部に内壁面と所定間隔をもって円筒形状をなす管群外筒62が配設されている。この管群外筒62は、内部に所定の高さ位置に対応して複数の管支持板63が配設されると共に、この管支持板63の下方に管板64が固定されており、各管支持板63は、管板64から上方に延設された複数のステーロッド65により支持されている。そして、この管群外筒62は、内部に逆U字形状をなす複数の伝熱管66からなる伝熱管群67が配設されている。
【0049】
伝熱管群67にて、各伝熱管66は、上部がU字形状部としてのUベンド部68が構成され、入口側下端部66a及び出口側下端部66bがそれぞれ管板64に拡管して支持されると共に、中間部(中途部)が複数の管支持板63により支持されている。Uベンド部68は、複数の伝熱管が管群外筒62の内外方向(上下方向)に略平行をなして配置されると共に、管群外筒62の径方向(水平方向)に略平行をなして配置されている。そして、管群外筒62の径方向に配置された各伝熱管は、その間に複数の振れ止め金具(振れ止め部材)69が介装されている。
すなわち、
図3における紙面奥行き方向に複数の伝熱管66が配置され、
図3における紙面奥行き方向で隣り合う伝熱管66のUベンド部68同士の間には、振れ止め金具69が介装されている。伝熱管66は、Uベンド部68において、
図3における紙面奥行き方向手前側及び奥側の外周面が振れ止め金具69と接触している。
以下の説明では、
図3における紙面と平行な方向、すなわち、伝熱管66の曲部であるUベンド部68の曲率円が存在する面に沿う方向を面内方向とも呼ぶ。すなわち、Uベンド部68の曲率円は、例えばUベンド部68における伝熱管66の中心線を円弧の一部とする円である。
【0050】
なお、振れ止め金具69は、熱膨張によって伝熱管66が面内方向に移動できるようにするため、伝熱管66には固着されていない。
【0051】
また、胴部61は、下部が球面形状をなし、管板64の下方に隔壁70により入室71と出室72が区画形成されると共に、入口ノズル73及び出口ノズル74が形成され、各伝熱管66の一端部が入室71に連通し、他端部が出室72に連通している。
【0052】
また、胴部61は、伝熱管群67の上方に給水を蒸気と熱水とに分離する気水分離器75と、この分離された蒸気の湿分を除去して乾き蒸気に近い状態とする湿分分離器76が設けられている。また、胴部61は、伝熱管群67と気水分離器75との間に、内部に二次冷却水の給水を行う給水管77が連結される一方、天井部に蒸気出口78が形成されている。即ち、給水管77から内部に給水された二次冷却水は、管群外筒62との間を流下し、管板64にて上方に循環し、伝熱管群67内を上昇するときに各伝熱管66内を流れる熱水(一次冷却水)との熱交換を行う。
【0053】
従って、
図1及び
図2に示すように、加圧水型原子炉12で加熱された一次冷却水が高温側送給配管14を通して蒸気発生器13の入室71に送られ、多数の伝熱管66内を通って循環して出室72に至る。一方、復水器41で冷却された二次冷却水が冷却水配管47を通して蒸気発生器13の給水管77に送られ、胴部61内を通って伝熱管66内を流れる熱水(一次冷却水)と熱交換を行う。即ち、胴部61は、内部で高圧高温の一次冷却水と二次冷却水との間で熱交換が行われ、冷やされた一次冷却水は出室72から冷却水配管15を通して加圧水型原子炉12に戻される。一方、高圧高温の一次冷却水と熱交換を行った二次冷却水は、胴部61内を上昇し、気水分離器75で蒸気と熱水とに分離され、湿分分離器76でこの蒸気の湿分を除去され、蒸気出口78から配管31を通して蒸気タービン32に送られる。
【0054】
このように構成された蒸気発生器13にて、
図3に示すように、複数の伝熱管66は、内部に一次冷却水としての高圧水が流動し、胴部61内を流れる二次冷却水を加熱して蒸気を生成することから、振動しやすい。そのため、伝熱管66は、入口側下端部66a及び出口側下端部66bが管板64に支持される一方、上端部にあるUベンド部68が上述したように振れ止め金具69により支持されている。即ち、複数の伝熱管66は、Uベンド部68で各伝熱管66の間にそれぞれ振れ止め金具69が接触するように介装されることで、伝熱管の振動を抑制するようにしている。
この振れ止め金具69は、上述したように面内方向と交差する方向から伝熱管66の外周面に接触している。
【0055】
ところで、蒸気発生器13では、Uベンド部68において伝熱管66が面内方向にも振動するおそれがあることが知られている。したがって、振れ止め金具69によって伝熱管66の面内方向への振動を抑制することが必要とされる。
そのため、振れ止め金具69による伝熱管66の面内方向への振動の抑制効果を確認するため、振れ止め金具69による伝熱管66の面内方向の支持力を精度よく測定することが求められている。
【0056】
そこで、以下で説明する幾つかの実施形態の支持力検査装置を用いることで、例えば蒸気発生器13の製造段階や、蒸気発生器13の使用を開始した後の定期点検時等において、振れ止め金具69による伝熱管66の面内方向の支持力を測定することができる。
図4〜
図8は、実施形態に係る支持力検査装置100A〜100Eの構成を模式的に示す図である。
【0057】
図4〜
図8に示す実施形態の支持力検査装置100A〜100Eは、伝熱管66の内部に配置されるセンサ保持部110A〜110Eと、Uベンド部68、すなわち伝熱管66の曲部の曲率円が存在する面に沿って伝熱管66を振動させるための加振力を発生する加振力発生部120A〜120Eとを備える。以下で説明するように、加振力発生部120A〜120Eは、センサ保持部110A〜110Eと協働して、伝熱管66の曲部の曲率円が存在する面に沿って伝熱管66を振動させるように構成される。
【0058】
図4〜
図7に示すセンサ保持部110A〜110Dは、伝熱管66の内面と係合するよう及び係合を解除できるように構成されている。なお、センサ保持部110A〜110Dは、いずれも同様の構成を有するので、センサ保持部110A〜110Dを代表して、センサ保持部110Aの概略の構成を、
図9を参照して説明する。
図9は、伝熱管66の内部に配置されて、伝熱管66の内面と係合した状態にあるセンサ保持部110Aの概略の構成を示す図である。
【0059】
図9に示すように、センサ保持部110Aは、モータ115を保持するモータ保持体111と、モータ115でモータ保持体111に対して回動されるように構成された偏心カム112と、伝熱管66の曲部の振動状態を検出するための加速度センサ116を保持しモータ保持体111に固定されるセンサ保持体113と、を有する。センサ保持体113には、加速度センサ116からの出力を伝達するための配線や、モータ115に電力を供給する配線等が内部に挿通されたフレキシブルケーブル114が取り付けられている。
【0060】
図10は、モータ保持体111及び偏心カム112についての斜視図である。
図10に示すように、モータ115でモータ保持体111に対して偏心カム112を回動させることで、モータ保持体111に対して偏心カム112の位置を変更できる。このようにしてモータ保持体111に対して偏心カム112の位置を変更して、
図9に示すように、モータ保持体111と偏心カム112とが伝熱管66の内面を押圧することで、センサ保持部110Aは伝熱管66の内面と係合できるように構成されている。
【0061】
図4〜
図7に示す実施形態の支持力検査装置100A〜100Dでは、加速度センサ116は、センサ保持部110A〜110Dが伝熱管66の内面と係合した状態でUベンド部68の振動状態を検出するように構成されている。これにより、例えば、振れ止め金具69の介装された位置でセンサ保持部110A〜110Dを伝熱管66の内面と係合させてUベンド部68の振動状態を検出することで、振れ止め金具69による伝熱管66の面内方向の支持力Fを正確に検査できる。
【0062】
なお、
図8に示す実施形態の支持力検査装置100Eでは、加速度センサ116は、後述するように、センサ保持部110Eが伝熱管66内を移動している状態でUベンド部68の振動状態を検出するように構成されている。
【0063】
以下、
図4に示した一実施形態の支持力検査装置100Aについて、さらに説明する。
一実施形態に係るセンサ保持部110Aは、伝熱管66の内面と係合した状態で伝熱管66の内部を閉塞するように構成されている。すなわち、例えば一実施形態に係るセンサ保持部110Aは、モータ保持体111及び偏心カム112の外表面のうち、例えば伝熱管66の内周面と当接する部分の一部がゴム等の弾性を有する部材によって構成されている。そのため、モータ保持体111と偏心カム112とによって伝熱管66の内面を押圧することで、センサ保持部110Aを伝熱管66の内面に係合させると、上記の弾性を有する部材が撓んで伝熱管66の内面に密着するように構成されている。したがって、一実施形態に係るセンサ保持部110Aは、伝熱管66の内面と係合されて伝熱管66の内部を閉塞することができる。
【0064】
一実施形態に係る加振力発生部120Aは、センサ保持部110Aで閉塞された伝熱管66の内部に満たされた例えば水などの液体191に経時的に変動するように圧力を加えるように、例えば不図示のシリンダ内で往復動する不図示のピストンがシリンダ内の液体を押圧するように構成されている。
【0065】
以下、
図4に示した一実施形態の支持力検査装置100Aを用いた支持力の検査手順について説明する。
図4に示した一実施形態の支持力検査装置100Aを用いて振れ止め金具69による支持力を検査する場合、まず、配置ステップとして、センサ保持部110Aを伝熱管66の内部に配置する。具体的には、例えば、検査対象となる伝熱管66の入口側下端部66a及び出口側下端部66bの何れか一方からセンサ保持部110Aを伝熱管66の内部に挿入する。なお、
図4に示す例では、センサ保持部110Aは、検査対象となる伝熱管66の出口側下端部66bから伝熱管66の内部に挿入されている。
【0066】
そして、例えばフレキシブルケーブル114を押し込むことで、複数の振れ止め金具69のうち、支持力の検査対象となる振れ止め金具69によって外周面が支持されている位置までセンサ保持部110Aを移動させる。なお、伝熱管66内におけるセンサ保持部110Aの到達位置は、蒸気発生器13の設計情報と、フレキシブルケーブル114の伝熱管66内への挿入長さとにより把握可能である。また、振れ止め金具69が伝熱管66の外周面を支持する位置は、蒸気発生器13の設計情報から知ることができる。
所望の位置までセンサ保持部110Aを移動させた後、上述したようにモータ保持体111と偏心カム112とによって伝熱管66の内面を押圧することで、センサ保持部110Aを伝熱管66の内面に係合させる。これにより、上述したように、一実施形態に係るセンサ保持部110Aは、伝熱管66の内部を閉塞する。
【0067】
また、検査対象となる伝熱管66の入口側下端部66a及び出口側下端部66bの何れか他方に加振力発生部120Aを取り付ける。なお、
図4に示す例では、加振力発生部120Aは、検査対象となる伝熱管66の入口側下端部66aに配置されている。
【0068】
次いで、加振ステップとして、Uベンド部68の曲率円が存在する面に沿って、すなわち面内方向に伝熱管66を振動させる。具体的には、まず、センサ保持部110Aと加振力発生部120Aとによって閉塞された伝熱管66の内部に水等の液体191を満たす。そして、伝熱管66の内部に満たされた液体191に経時的に変動するように加振力発生部120Aによって圧力を加えることで、面内方向に伝熱管66を振動させる。すなわち、加振ステップでは、加振力発生部120Aは、伝熱管66の内部に満たされた液体191に与える圧力、すなわち加振力の周波数を適宜掃引する。
このように、伝熱管66の内部に満たされた液体191に経時的に変動するように加振力発生部120Aによって圧力を加えることで、Uベンド部68には、曲率を変化させようとする力が作用するので、Uベンド部68は、面内方向に曲げ伸ばしされるように振動する。
このように、加振ステップでは、センサ保持部110Aと加振力発生部120Aとが協働して、伝熱管66を面内方向に振動させる。
【0069】
加速度検出ステップでは、加振ステップで振動させたUベンド部68の振動状態をセンサ保持部110Aで保持された加速度センサ116で検出する。
図11は、加速度検出ステップにおいて加速度センサ116で検出された加速度と振動周波数との関係を示すグラフの一例である。加速度検出ステップにおける加速度センサ116の検出結果に基づいて、例えば
図11に示すように、ある周波数f1において加速度の極大値(ピーク82)を有するグラフ81が得られる。なお、説明の便宜上、
図11に示すグラフ81では、1つの振動モードについての加速度の値を表すこととし、他の振動モードの影響を排除したグラフとして掲載している。
【0070】
図11に示したグラフ81においてピーク82が現れる周波数f1は、検査対象の伝熱管66の共振周波数であり、振れ止め金具69による伝熱管66の面内方向の支持力Fによって変化する。たとえば、支持力Fが大きくなるほど周波数f1は高くなり、逆に、支持力Fが小さくなるほど周波数f1は低くなる。したがって、一実施形態では、周波数f1の値から、支持力Fを推定できる。
【0071】
なお、
図4に示した一実施形態の支持力検査装置100Aを用いた支持力の検査では、センサ保持部110Aの伝熱管66の管軸方向の係合位置を適宜変更して、複数の振れ止め金具69のそれぞれについて支持力Fを検査する。
【0072】
このように、
図4に示した一実施形態の支持力検査装置100Aでは、面内方向に伝熱管66を振動させるための加振力を発生する加振力発生部120Aを備え、加振力発生部120Aがセンサ保持部110Aと協働して、面内方向に伝熱管66を振動させるように構成されるので、伝熱管66を面内方向に効率的に振動させることができる。そして、Uベンド部68の振動状態を加速度センサ116で検出できるので、加速度センサ116で検出したUベンド部68の振動状態から振れ止め金具69による面内方向の支持力Fを精度よく検査できる。
【0073】
図4に示した一実施形態の支持力検査装置100Aでは、センサ保持部110Aが伝熱管66の内面と係合した状態でUベンド部68の振動状態を加速度センサ116で検出できるので、例えば、振れ止め金具69の介装された位置でセンサ保持部110Aを伝熱管66の内面と係合させて振動状態を検出することで、振れ止め金具69による面内方向の支持力Fを正確に検査できる。
【0074】
図4に示した一実施形態の支持力検査装置100Aでは、モータ115でモータ保持体111に対して偏心カム112を回動させてモータ保持体111と偏心カム112とが伝熱管66の内面を押圧することで、センサ保持部110Aが伝熱管66の内面と係合するように構成される。これにより、簡単な構成でセンサ保持部110Aを伝熱管66の内面と係合できる。また、簡単な構成でセンサ保持部110Aを伝熱管66の内面と係合させることができるので、センサ保持部110Aを小型化でき、径の細い伝熱管66や、Uベンド部68の曲率半径が小さい伝熱管66であってもセンサ保持部110Aを伝熱管66の内部に配置できる。
【0075】
図4に示した一実施形態の支持力検査装置100Aでは、加振力発生部120Aが経時的に変動するように加振力を発生できるので、伝熱管66を面内方向に効率的に振動させることができ、振れ止め金具69による面内方向の支持力Fの検査精度を向上できる。
【0076】
図4に示した一実施形態の支持力検査装置100Aでは、液体による静水圧によって伝熱管を面内方向に効率的に振動させることができるので、振れ止め金具69による面内方向の支持力Fの検査精度を向上できる。
また、液体に加える圧力を変動させる時間的な間隔を変更することで、加振力の周波数を容易に変更できる。これにより、加振力の周波数領域を広げることができるので、伝熱管66を様々な周波数の加振力で振動させることができ、支持力Fの検査精度が向上する。
また、液体に加える圧力を変動させる時間的な間隔を大きくすることで、液体に加える圧力の大きさを低下させずに、加振力が生じる時間的な間隔を大きくすることができる。これにより、加振力の周波数が低周波数となる領域であっても、伝熱管66を振動させるのに十分な加振力を得ることができ、低周波数領域における支持力Fの検査精度が向上する。
【0077】
図4に示した一実施形態の支持力検査装置100Aでは、伝熱管66の内面と係合した状態で伝熱管66の内部を閉塞するようにセンサ保持部110Aが構成されているので、伝熱管66の内部を閉塞する部材等を別途用意して伝熱管66内で固定する必要がないので、支持力検査装置100Aの構成を簡素化できる。
【0078】
以下、
図5に示した他の実施形態の支持力検査装置100Bについて、さらに説明する。
他の実施形態に係る加振力発生部120Bは、伝熱管66の内面と係合したセンサ保持部110Bに向かって伝熱管66内を管軸方向に射出体102Bを射出するように構成されている。
他の実施形態に係るセンサ保持部110Bは、射出体102Bが衝突することで生じた衝撃力を伝熱管66に伝達することで伝熱管66を面内方向に振動させるように構成されている。
すなわち、他の実施形態に係る加振力発生部120Bは、圧縮空気の圧力や、バネ等の弾性部材による付勢力、火薬等の燃焼や爆発によって生じる圧力等を駆動力として、保持している射出体102Bを伝熱管66の管軸方向に射出可能に構成されている。
射出体102Bは、センサ保持部110Bに与える衝撃力を考慮して適宜重量が設定された部材である。なお、複数の射出体102BをUベンド部68内で屈曲可能に連結して用いることで、センサ保持部110Bに与える衝撃力を増やすようにしてもよい。
【0079】
以下、
図5に示した他の実施形態の支持力検査装置100Bを用いた支持力の検査手順について説明する。
図5に示した他の実施形態の支持力検査装置100Bを用いて振れ止め金具69による支持力を検査する場合、まず、配置ステップとして、他の実施形態に係るセンサ保持部110Bを伝熱管66の内部に配置する。具体的には、
図4に示した一実施形態に係るセンサ保持部110Aと同様にして、伝熱管66内の所望の位置までセンサ保持部110Bを移動させた後、センサ保持部110Bを伝熱管66の内面に係合させる。
【0080】
また、検査対象となる伝熱管66の入口側下端部66a及び出口側下端部66bの何れか他方に、射出体102Bを保持した他の実施形態に係る加振力発生部120Bを取り付ける。なお、
図5に示す例では、加振力発生部120Bは、検査対象となる伝熱管66の入口側下端部66aに配置されている。
【0081】
次いで、加振ステップとして、面内方向に伝熱管66を振動させる。具体的には、加振力発生部120Bは、伝熱管66の内面と係合したセンサ保持部110Bに向かって伝熱管66内を管軸方向に射出体102Bを射出する。その後、射出体102Bは、センサ保持部110Bに衝突する。
センサ保持部110Bは、射出体102Bが衝突することで生じた衝撃力を伝熱管66に伝達する。これにより、伝熱管66には、面内方向にインパルス入力が与えられるので、伝熱管66は面内方向に振動する。
このように、加振ステップでは、他の実施形態に係るセンサ保持部110Bと加振力発生部120Bとが協働して、伝熱管66を面内方向に振動させる。
【0082】
加速度検出ステップでは、加振ステップで振動させたUベンド部68の振動状態、すなわち、Uベンド部68の残留振動をセンサ保持部110Bで保持された加速度センサ116で検出する。
図12は、加速度検出ステップにおいて加速度センサ116で検出されたUベンド部68の残留振動の時間推移を示すグラフの一例である。加速度検出ステップにおける加速度センサ116の検出結果に基づいて、例えば
図12に示すように、検出された残留振動が時間経過することで次第に減衰していくグラフ85が得られる。
【0083】
図12に示したグラフ85における残留振動は、振れ止め金具69による伝熱管66の面内方向の支持力Fによって変化する。たとえば、支持力Fが大きくなるほど残留振動の周波数は高くなり、残留振動の継続時間は短くなる。逆に、支持力Fが小さくなるほど残留振動の周波数は低くなり、残留振動の継続時間は長くなる。したがって、
図5に示した他の実施形態では、残留振動の周波数及び残留振動の継続時間から、支持力Fを推定できる。
【0084】
なお、
図5に示した他の実施形態の支持力検査装置100Bを用いた支持力の検査では、センサ保持部110Bの伝熱管66の管軸方向の係合位置を適宜変更して、複数の振れ止め金具69のそれぞれについて支持力Fを検査する。
【0085】
このように、
図5に示した他の実施形態の支持力検査装置100Bでは、面内方向に伝熱管66を振動させるための加振力を発生する加振力発生部120Bを備え、加振力発生部120Bがセンサ保持部110Bと協働して、面内方向に伝熱管66を振動させるように構成されるので、伝熱管66を面内方向に効率的に振動させることができる。そして、Uベンド部68の振動状態を加速度センサ116で検出できるので、加速度センサ116で検出したUベンド部68の振動状態から振れ止め金具69による面内方向の支持力Fを精度よく検査できる。
【0086】
図5に示した他の実施形態の支持力検査装置100Bでは、センサ保持部110Bが伝熱管66の内面と係合した状態でUベンド部68の振動状態を加速度センサ116で検出できるので、例えば、振れ止め金具69の介装された位置でセンサ保持部110Bを伝熱管66の内面と係合させて振動状態を検出することで、振れ止め金具69による面内方向の支持力Fを正確に検査できる。
【0087】
図5に示した他の実施形態の支持力検査装置100Bでは、モータ115でモータ保持体111に対して偏心カム112を回動させてモータ保持体111と偏心カム112とが伝熱管66の内面を押圧することで、センサ保持部110Bが伝熱管66の内面と係合するように構成される。これにより、簡単な構成でセンサ保持部110Bを伝熱管66の内面と係合できる。また、簡単な構成でセンサ保持部110Bを伝熱管66の内面と係合させることができるので、センサ保持部110Bを小型化でき、径の細い伝熱管66や、Uベンド部68の曲率半径が小さい伝熱管66であってもセンサ保持部110Bを伝熱管66の内部に配置できる。
【0088】
図5に示した他の実施形態の支持力検査装置100Bでは、伝熱管66の内面と係合したセンサ保持部110Bに向かって伝熱管66内を管軸方向に射出体102Bを射出するように加振力発生部120Bが構成されている。そして、射出体102Bが衝突することで生じた衝撃力を伝熱管66に伝達することで伝熱管を面内方向に振動させるようにセンサ保持部110Bが構成されている。つまり、加振力発生部120Bとセンサ保持部110Bとが協働して、伝熱管を面内方向に振動させるように構成されている。
したがって、センサ保持部110Bの係合位置において、面内方向への加振力を伝熱管66に対して効率的に伝達できる。これにより、振れ止め金具69の介装された位置でセンサ保持部110Bを伝熱管66の内面と係合させることで、振れ止め金具69の介装された位置において伝熱管66に加振力を効率的に伝達できるとともに、振れ止め金具69の介装された位置でUベンド部68の振動状態を検出できるので、振れ止め金具69による面内方向の支持力Fを正確に検査できる。
【0089】
図5に示した他の実施形態の支持力検査装置100Bでは、射出体102Bが衝突することで生じた衝撃力を伝熱管66に伝達することで伝熱管66を面内方向に振動させるようにセンサ保持部110Bが構成されているので、センサ保持部110Bが伝熱管66への振動を伝達する部材としても機能し、支持力検査装置100Bの構成を簡素化できる。
【0090】
以下、
図6に示した他の実施形態の支持力検査装置100Cについて、さらに説明する。
他の実施形態に係る加振力発生部120Cは、センサ保持部110Cに保持されており、センサ保持部110Cに加振力を与えるように構成されている。
他の実施形態に係るセンサ保持部110Cは、保持している加振力発生部120Cから与えられた加振力を伝熱管66に伝達することで伝熱管66を面内方向に振動させるように構成されている。
【0091】
具体的には、他の実施形態に係る加振力発生部120Cは、射出体102Cを射出することで反力を得て、センサ保持部110Cに加振力を与えるように構成されている。
すなわち、他の実施形態に係る加振力発生部120Cは、圧縮空気の圧力や、バネ等の弾性部材による付勢力、火薬等の燃焼や爆発によって生じる圧力等を駆動力として、保持している射出体102Cを伝熱管66の管軸方向に射出可能に構成されている。
射出体102Cは、センサ保持部110Cに与える加振力を考慮して適宜重量が設定された部材である。なお、複数の射出体102CをUベンド部68内で屈曲可能に連結して用いることで、センサ保持部110Cに与える加振力を増やすようにしてもよい。
【0092】
以下、
図6に示した他の実施形態の支持力検査装置100Cを用いた支持力の検査手順について説明する。
図6に示した他の実施形態の支持力検査装置100Cを用いて振れ止め金具69による支持力を検査する場合、まず、配置ステップとして、他の実施形態に係る加振力発生部120Cを保持したセンサ保持部110Cを伝熱管66の内部に配置する。具体的には、
図4に示した一実施形態に係るセンサ保持部110Aと同様にして、伝熱管66内の所望の位置までセンサ保持部110Cを移動させた後、センサ保持部110Cを伝熱管66の内面に係合させる。なお、射出体102Cは、他の実施形態に係る加振力発生部120Cに予め保持されている。
【0093】
次いで、加振ステップとして、面内方向に伝熱管66を振動させる。具体的には、加振力発生部120Cは、伝熱管66内を管軸方向に射出体102Cを射出する。
センサ保持部110Cは、加振力発生部120Cが射出体102Cを射出することで生じた反力を加振力として伝熱管66に伝達する。これにより、伝熱管66には、面内方向にインパルス入力が与えられるので、伝熱管66は面内方向に振動する。
このように、加振ステップでは、他の実施形態に係るセンサ保持部110Cと加振力発生部120Cとが協働して、伝熱管66を面内方向に振動させる。
【0094】
加速度検出ステップでは、加振ステップで振動させたUベンド部68の振動状態、すなわち、Uベンド部68の残留振動をセンサ保持部110Cで保持された加速度センサ116で検出する。
図6に示した他の実施形態の支持力検査装置100Cでは、
図5に示した他の実施形態の支持力検査装置100Bと同様に、加速度検出ステップにおける加速度センサ116の検出結果に基づいて、例えば
図12に示すように、検出された残留振動が時間経過することで次第に減衰していくグラフ85が得られる。
したがって、
図6に示した他の実施形態では、
図5に示した他の実施形態と同様に、残留振動の周波数及び残留振動の継続時間から、支持力Fを推定できる。
【0095】
なお、
図6に示した他の実施形態の支持力検査装置100Cを用いた支持力の検査では、センサ保持部110Cの伝熱管66の管軸方向の係合位置を適宜変更して、複数の振れ止め金具69のそれぞれについて支持力Fを検査する。
【0096】
このように、
図6に示した他の実施形態の支持力検査装置100Cでは、面内方向に伝熱管66を振動させるための加振力を発生する加振力発生部120Cを備え、加振力発生部120Cがセンサ保持部110Cと協働して、面内方向に伝熱管66を振動させるように構成されるので、伝熱管66を面内方向に効率的に振動させることができる。そして、Uベンド部68の振動状態を加速度センサ116で検出できるので、加速度センサ116で検出したUベンド部68の振動状態から振れ止め金具69による面内方向の支持力Fを精度よく検査できる。
【0097】
図6に示した他の実施形態の支持力検査装置100Cでは、センサ保持部110Cが伝熱管66の内面と係合した状態でUベンド部68の振動状態を加速度センサ116で検出できるので、例えば、振れ止め金具69の介装された位置でセンサ保持部110Cを伝熱管66の内面と係合させて振動状態を検出することで、振れ止め金具69による面内方向の支持力Fを正確に検査できる。
【0098】
図6に示した他の実施形態の支持力検査装置100Cでは、モータ115でモータ保持体111に対して偏心カム112を回動させてモータ保持体111と偏心カム112とが伝熱管66の内面を押圧することで、センサ保持部110Cが伝熱管66の内面と係合するように構成される。これにより、簡単な構成でセンサ保持部110Cを伝熱管66の内面と係合できる。また、簡単な構成でセンサ保持部110Cを伝熱管66の内面と係合させることができるので、センサ保持部110Cを小型化でき、径の細い伝熱管66や、Uベンド部68の曲率半径が小さい伝熱管66であってもセンサ保持部110Cを伝熱管66の内部に配置できる。
【0099】
図6に示した他の実施形態の支持力検査装置100Cでは、加振力発生部120Cがセンサ保持部110Cに保持されており、センサ保持部110Cが加振力発生部120Cから与えられた加振力を伝熱管66に伝達することで伝熱管を面内方向に振動させるように構成されている。つまり、加振力発生部120Cとセンサ保持部110Cとが協働して、伝熱管を面内方向に振動させるように構成されている。
したがって、センサ保持部110Cの係合位置において、面内方向への加振力を伝熱管66に対して効率的に伝達できる。これにより、振れ止め金具69の介装された位置でセンサ保持部110Cを伝熱管66の内面と係合させることで、振れ止め金具69の介装された位置において伝熱管66に加振力を効率的に伝達できるとともに、振れ止め金具69の介装された位置でUベンド部68の振動状態を検出できるので、振れ止め金具69による面内方向の支持力Fを正確に検査できる。
【0100】
図6に示した他の実施形態の支持力検査装置100Cでは、射出体102Cを射出することで得られた加振力を伝熱管66に伝達することで伝熱管66を面内方向に振動させるようにセンサ保持部110Cが構成されているので、センサ保持部110Cが伝熱管66への振動を伝達する部材としても機能し、支持力検査装置100Cの構成を簡素化できる。
【0101】
図6に示した他の実施形態の支持力検査装置100Cでは、射出体102Cを射出することでセンサ保持部110Cに加振力を与えるように加振力発生部120Cが構成されているので、簡単な構成によって効率的に加振力を発生でき、加振力発生部120Cを小型化できる。
【0102】
以下、
図7に示した他の実施形態の支持力検査装置100Dについて、さらに説明する。
他の実施形態に係る加振力発生部120Dは、センサ保持部110Dに保持されており、センサ保持部110Dに加振力を与えるように構成されている。
他の実施形態に係るセンサ保持部110Dは、保持している加振力発生部120Dから与えられた加振力を伝熱管66に伝達することで伝熱管66を面内方向に振動させるように構成されている。
【0103】
具体的には、他の実施形態に係る加振力発生部120Dは、管軸方向に流体103Dを断続的に噴射することで反力を得て、センサ保持部110Dに大きさが経時的に変動するように加振力を与えるように構成されている。
すなわち、他の実施形態に係る加振力発生部120Dは、流体103D、すなわち圧縮空気等の気体や水等の液体を断続的に噴射することによって生じる、大きさが経時的に変動する反力を得て、センサ保持部110Dに伝達するように構成されている。
なお、他の実施形態に係る加振力発生部120Dは、流体103Dを断続的に噴射することで大きさが経時的に変動する反力を得るようにしてもよく、流体103Dの噴射量や噴射する圧力などを経時的に変動させることで大きさが経時的に変動する反力を得るようにしてもよい。また、他の実施形態に係る加振力発生部120Dは、流体103Dを噴射する方向を管軸方向の一方側と他方側とで経時的に切り替えるように構成することで、大きさだけでなく、作用する方向が経時的に変化する反力を得るようにしてもよい。
【0104】
以下、
図7に示した他の実施形態の支持力検査装置100Dを用いた支持力の検査手順について説明する。
図7に示した他の実施形態の支持力検査装置100Dを用いて振れ止め金具69による支持力を検査する場合、まず、配置ステップとして、他の実施形態に係る加振力発生部120Dを保持したセンサ保持部110Dを伝熱管66の内部に配置する。具体的には、
図4に示した一実施形態に係るセンサ保持部110Aと同様にして、伝熱管66内の所望の位置までセンサ保持部110Dを移動させた後、センサ保持部110Dを伝熱管66の内面に係合させる。
【0105】
次いで、加振ステップとして、面内方向に伝熱管66を振動させる。具体的には、加振力発生部120Dは、管軸方向に流体103Dを断続的に噴射する。具体的には、加振ステップでは、加振力発生部120Dは、噴射1回当たりの噴射継続時間や、噴射停止後に次の噴射を開始するまでの時間、すなわち噴射間隔を適宜変更することで、センサ保持部110Dに与える反力、すなわち加振力の周波数を適宜掃引する。
センサ保持部110Dは、加振力発生部120Dが管軸方向に流体103Dを断続的に噴射することで生じた反力を加振力として伝熱管66に伝達する。これにより、伝熱管66は面内方向に振動する。
このように、加振ステップでは、他の実施形態に係るセンサ保持部110Dと加振力発生部120Dとが協働して、伝熱管66を面内方向に振動させる。
【0106】
加速度検出ステップでは、加振ステップで振動させたUベンド部68の振動状態をセンサ保持部110Dで保持された加速度センサ116で検出する。
図7に示した他の実施形態の支持力検査装置100Dでは、
図4に示した一実施形態の支持力検査装置100Aと同様に、加速度検出ステップにおける加速度センサ116の検出結果に基づいて、例えば
図11に示すように、ある周波数f1において加速度の極大値(ピーク82)を有するグラフ81が得られる。
したがって、
図7に示した他の実施形態では、
図4に示した一実施形態と同様に、周波数f1の値から、支持力Fを推定できる。
【0107】
なお、
図7に示した他の実施形態の支持力検査装置100Dを用いた支持力の検査では、センサ保持部110Dの伝熱管66の管軸方向の係合位置を適宜変更して、複数の振れ止め金具69のそれぞれについて支持力Fを検査する。
【0108】
このように、
図7に示した他の実施形態の支持力検査装置100Dでは、面内方向に伝熱管66を振動させるための加振力を発生する加振力発生部120Dを備え、加振力発生部120Dがセンサ保持部110Dと協働して、面内方向に伝熱管66を振動させるように構成されるので、伝熱管66を面内方向に効率的に振動させることができる。そして、Uベンド部68の振動状態を加速度センサ116で検出できるので、加速度センサ116で検出したUベンド部68の振動状態から振れ止め金具69による面内方向の支持力Fを精度よく検査できる。
【0109】
図7に示した他の実施形態の支持力検査装置100Dでは、センサ保持部110Dが伝熱管66の内面と係合した状態でUベンド部68の振動状態を加速度センサ116で検出できるので、例えば、振れ止め金具69の介装された位置でセンサ保持部110Dを伝熱管66の内面と係合させて振動状態を検出することで、振れ止め金具69による面内方向の支持力Fを正確に検査できる。
【0110】
図7に示した他の実施形態の支持力検査装置100Dでは、モータ115でモータ保持体111に対して偏心カム112を回動させてモータ保持体111と偏心カム112とが伝熱管66の内面を押圧することで、センサ保持部110Dが伝熱管66の内面と係合するように構成される。これにより、簡単な構成でセンサ保持部110Dを伝熱管66の内面と係合できる。また、簡単な構成でセンサ保持部110Dを伝熱管66の内面と係合させることができるので、センサ保持部110Dを小型化でき、径の細い伝熱管66や、Uベンド部68の曲率半径が小さい伝熱管66であってもセンサ保持部110Dを伝熱管66の内部に配置できる。
【0111】
図7に示した他の実施形態の支持力検査装置100Dでは、加振力発生部120Dがセンサ保持部110Dに保持されており、センサ保持部110Dが加振力発生部120Dから与えられた加振力を伝熱管66に伝達することで伝熱管を面内方向に振動させるように構成されている。つまり、加振力発生部120Dとセンサ保持部110Dとが協働して、伝熱管を面内方向に振動させるように構成されている。
したがって、センサ保持部110Dの係合位置において、面内方向への加振力を伝熱管66に対して効率的に伝達できる。これにより、振れ止め金具69の介装された位置でセンサ保持部110Dを伝熱管66の内面と係合させることで、振れ止め金具69の介装された位置において伝熱管66に加振力を効率的に伝達できるとともに、振れ止め金具69の介装された位置でUベンド部68の振動状態を検出できるので、振れ止め金具69による面内方向の支持力Fを正確に検査できる。
【0112】
図7に示した他の実施形態の支持力検査装置100Dでは、流体103Dを断続的に射出することで得られた加振力を伝熱管66に伝達することで伝熱管66を面内方向に振動させるようにセンサ保持部110Dが構成されているので、センサ保持部110Dが伝熱管66への振動を伝達する部材としても機能し、支持力検査装置100Dの構成を簡素化できる。
【0113】
図7に示した他の実施形態の支持力検査装置100Dでは、流体103Dを噴射することでセンサ保持部110Dに大きさが経時的に変動するように加振力を与えるように加振力発生部120Dが構成されているので、簡単な構成によって効率的に加振力を発生でき、加振力発生部120Dを小型化できる。
また、流体103Dの噴射量を変動させる時間的な間隔を変更することで、加振力の周波数を容易に変更できる。これにより、加振力の周波数領域を広げることができるので、伝熱管66を様々な周波数の加振力で振動させることができ、支持力Fの検査精度が向上する。
また、流体103Dの噴射量を変動させる時間的な間隔を大きくすることで、流体103Dの噴射による反力の大きさを低下させずに、反力が生じる時間的な間隔を大きくすることができる。これにより、加振力の周波数が低周波数となる領域であっても、伝熱管66を振動させるのに十分な加振力を得ることができ、低周波数領域における支持力Fの検査精度が向上する。
【0114】
以下、
図8に示した他の実施形態の支持力検査装置100Eについて、さらに説明する。
他の実施形態に係る加速度センサ116は、センサ保持部110Eが伝熱管66内を移動している状態でUベンド部68の振動状態を検出するように構成されている。
他の実施形態に係る加振力発生部120Eは、伝熱管66内を管軸方向にセンサ保持部110Eを射出するように構成されている。
他の実施形態に係るセンサ保持部110Eは、Uベンド部68で伝熱管66内を摺動しながら移動することで伝熱管66を面内方向に振動させるように構成されている。
【0115】
具体的には、他の実施形態に係る加振力発生部120Eは、例えば、
図5に示した他の実施形態の支持力検査装置100Bにおける加振力発生部120Bと同様に、圧縮空気の圧力や、バネ等の弾性部材による付勢力、火薬等の燃焼や爆発によって生じる圧力等を駆動力として、保持しているセンサ保持部110Eを伝熱管66の管軸方向に射出可能に構成されている。
他の実施形態に係るセンサ保持部110Eは、例えば、
図5に示した他の実施形態の支持力検査装置100Bにおける射出体102Bと同様の部材であり、加速度センサ118と、加速度センサ118からの出力を記録する不図示の記録部とを保持している。センサ保持部110Eは、後述するようにして伝熱管66に与える加振力を考慮して適宜重量が設定された部材である。
【0116】
以下、
図8に示した他の実施形態の支持力検査装置100Eを用いた支持力の検査手順について説明する。
図8に示した他の実施形態の支持力検査装置100Eを用いて振れ止め金具69による支持力を検査する場合、まず、配置ステップとして、検査対象となる伝熱管66の入口側下端部66a及び出口側下端部66bの何れか一方に、センサ保持部110Eを保持した他の実施形態に係る加振力発生部120Eを取り付ける。なお、
図8に示す例では、加振力発生部120Eは、検査対象となる伝熱管66の入口側下端部66aに配置されている。
【0117】
次いで、加振ステップとして、面内方向に伝熱管66を振動させる。具体的には、加振力発生部120Eは、伝熱管66内にセンサ保持部110Eを射出する。
センサ保持部110Eは、Uベンド部68を通過する際に主に遠心力を伝熱管66に伝達する。これにより、伝熱管66は、面内方向に振動する。
このように、加振ステップでは、他の実施形態に係るセンサ保持部110Eと加振力発生部120Eとが協働して、伝熱管66を面内方向に振動させる。
【0118】
加速度検出ステップでは、加振ステップで振動させたUベンド部68の振動状態をセンサ保持部110Eで保持された加速度センサ118で検出する。すなわち、加速度検出ステップでは、センサ保持部110Eは、Uベンド部68を通過する際に加速度センサ118で検出した加速度を不図示の記録部に記録させる。
加振力発生部120Eから射出されたセンサ保持部110Eは、検査対象となる伝熱管66の入口側下端部66a及び出口側下端部66bの何れか他方から伝熱管66外に射出される。伝熱管66外に射出された加振力発生部120Eを回収し、加振力発生部120Eの不図示の記録部に記録されたデータを例えば外部の機器に転送する。これにより、センサ保持部110EがUベンド部68を通過する際に加速度センサ118で検出した加速度のデータを得ることができる。
【0119】
図13は、加速度検出ステップにおいて加速度センサ118で検出された加速度を示すグラフの一例である。
図13に示すグラフ90では、横軸に伝熱管66内におけるセンサ保持部110Eの通過位置をとり、縦軸に加速度センサ118で検出された加速度をとる。
図13において、横軸の位置P1〜P5は、振れ止め金具69が伝熱管66の外周面に配置された位置である。
【0120】
図13のグラフ90では、振れ止め金具69が伝熱管66の外周面に配置された位置のうち、位置P1〜P3及び位置P5において、加速度の値が極大値をとる。これは、振れ止め金具69が伝熱管66の外周面に配置された位置では、センサ保持部110Eからの遠心力によってUベンド部68が面内方向に移動することが振れ止め金具69による面内方向の支持力Fによって制限されるため、センサ保持部110EがUベンド部68から受ける向心力が高まるためである。
なお、
図13のグラフ90では、振れ止め金具69が伝熱管66の外周面に配置された位置のうち、位置P4では、他の位置P1〜P3及び位置P5のような加速度の値の明確なピークが認められない。これは、位置P4では、振れ止め金具69による面内方向の支持力Fが他の位置P1〜P3及び位置P5と比べて低いために、Uベンド部68が面内方向に移動し易くなり、センサ保持部110EがUベンド部68から受ける向心力が低下するためである。
【0121】
このように、
図8に示した他の実施形態では、
図13に示したグラフ90に基づき、振れ止め金具69が伝熱管66の外周面に配置された位置における加速度から、支持力Fを推定できる。
【0122】
なお、
図8に示した他の実施形態の支持力検査装置100Eを用いた支持力の検査では、Uベンド部68にセンサ保持部110Eを1回通過させるだけで、当該Uベンド部68に接触している複数の振れ止め金具69のそれぞれについて支持力Fを検査できる。
【0123】
このように、
図8に示した他の実施形態の支持力検査装置100Eでは、センサ保持部110Eが伝熱管66内を移動している状態でUベンド部68の振動状態を検出するように加速度センサ118が構成されている。そして、
図8に示した他の実施形態の支持力検査装置100Eでは、伝熱管66内を管軸方向にセンサ保持部110Eを射出するように加振力発生部120Eが構成されている。さらに、
図8に示した他の実施形態の支持力検査装置100Eでは、センサ保持部110EがUベンド部68で伝熱管66内を摺動しながら移動することで伝熱管を面内方向に振動させるようにセンサ保持部110Eが構成されている。つまり、加振力発生部120Eとセンサ保持部110Eとが協働して、伝熱管を面内方向に振動させるように構成されている。
これにより、センサ保持部110Eが伝熱管66内を移動している間に加速度センサ118でUベンド部68の振動状態を検出できるので、振れ止め金具69による面内方向の支持力Fを迅速に検査できる。また、センサ保持部110Eの1回の射出によってUベンド部68の各箇所に配置された振れ止め金具69のそれぞれについての支持力Fを検査できるので、効率的である。
また、センサ保持部110EがUベンド部68で伝熱管66内を摺動しながら移動するように構成されているので、面内方向の加振力を簡単な構成で発生できる。
【0124】
図8に示した他の実施形態の支持力検査装置100Eでは、センサ保持部110EがUベンド部68で伝熱管66内を摺動しながら移動することで伝熱管を面内方向に振動させるようにセンサ保持部110Eが構成されているので、センサ保持部110Eが伝熱管66への振動を伝達する部材としても機能し、支持力検査装置100Eの構成を簡素化できる。
【0125】
上述した
図4〜
図8に示す実施形態の支持力検査装置100A〜100Eでは、伝熱管66を面内方向に振動させる加振力を伝熱管66の内面側からから与えたが、次で説明するように、伝熱管66の外面側からから与えてもよい。
以下、伝熱管66を面内方向に振動させる加振力を伝熱管66の外面側からから与えることができる、さらに他の実施形態に係る支持力検査装置について説明する。
図14は、さらに他の実施形態に係る支持力検査装置100Fの構成を模式的に示す図であり、Uベンド部68において伝熱管66の管軸方向から見た図である。
図15は、
図14のA−A矢視図である。
【0126】
図14に示す他の実施形態に係る支持力検査装置100Fは、Uベンド部68の振動状態を検出するための加速度センサ119と、加速度センサ119を保持するセンサ保持部であって、伝熱管66の外部に配置されるセンサ保持部110Fと、伝熱管66を面内方向に振動させるための加振力を発生する加振力発生部120Fと、センサ保持部110Fと加振力発生部120Fとを接続する加振ロッド151と、を備える。
他の実施形態に係る加振力発生部120Fは、加振ロッド151を介して、伝熱管66を面内方向に振動させるように構成されている。
なお、
図14において、面内方向は、
図14の紙面奥行き方向と
図14の紙面上下方向とが含まれる面に沿った方向である。また、
図15において、面内方向は、
図15の紙面上下方向と
図15の紙面奥行き方向とが含まれる面に沿った方向である。
【0127】
図14に示す他の実施形態に係る支持力検査装置100Fでは、加振ロッド151は、面内方向と交差する方向、すなわち
図14において紙面左右方向に離間して配置された第1伝熱管66Aと第2伝熱管66Bとの間に挿入可能に構成されている。
加振ロッド151の一端側には、加振ロッド151の延在方向と交差する方向に突出し、伝熱管66の外周面を把持可能な一対の把持部152と、センサ保持部110Fとが設けられている。加振ロッド151の他端側には、加振力発生部120Fが接続されている。
【0128】
加振ロッド151は、
図15の破線で示すように、一対の把持部152の突出方向を少なくとも面内方向と一致させると、一対の把持部152を第1伝熱管66Aと第2伝熱管66Bとの間に挿入可能に構成されている。また、加振ロッド151は、第1伝熱管66Aと第2伝熱管66Bとの間に挿入された一対の把持部152の突出方向を、加振ロッド151を軸周りに回動させることで
図15の実線で示すように面内方向と交差する方向に一致させると、一対の把持部152が第1又は第2伝熱管66A,66Bの外周面を把持可能に構成されている。なお、
図14及び
図15では、一対の把持部152が第1伝熱管66Aの外周面を把持した状態を示している。
【0129】
図14及び
図15に示すように一対の把持部152が伝熱管66の外周面を把持した状態で、加振ロッド151の延在方向に沿った加振力を加振力発生部120Fから加振ロッド151に与えると、加振ロッド151及び一対の把持部152を介して、一対の把持部152で把持している伝熱管66に対して面内方向への加振力を与えることができる。
なお、他の実施形態に係る加振力発生部120Fは、加振力の周波数を適宜掃引できるように構成されている。
【0130】
なお、一対の把持部152のそれぞれは、加振ロッド151から突出する腕部153と、腕部153に取り付けられた把持爪であって、伝熱管66の外周面に当接して外周面の周方向の所定範囲を把持するように構成された把持爪154とを有する。
腕部153と把持爪154との間には、加振力を検出するため加振力検出センサ161が設けられている。加振力検出センサ161は、例えばロードセルである。
【0131】
このように構成された他の実施形態に係る支持力検査装置100Fを用いることで、例えば蒸気発生器13の製造段階のようにUベンド部68にアクセス可能な状況下で振れ止め金具69による伝熱管66の面内方向の支持力Fを測定することができる。また、蒸気発生器13の使用を開始した後の定期点検時等においても、Uベンド部68にアクセス可能な場合には、他の実施形態に係る支持力検査装置100Fを用いて振れ止め金具69による伝熱管66の面内方向の支持力Fを測定することができる。
【0132】
以下、
図14に示した他の実施形態に係る支持力検査装置100Eを用いた支持力の検査手順について説明する。
図14に示した他の実施形態に係る支持力検査装置100Eを用いて振れ止め金具69による支持力を検査する場合、まず、配置ステップとして、伝熱管群67の外部から検査対象の伝熱管66の近傍まで加振ロッド151の先端を差し入れて、当該伝熱管の外周面を一対の把持部152で把持する。なお、一対の把持部152によって伝熱管66を把持する位置は、
図14及び
図15において不図示である、何れかの振れ止め金具69による支持位置の近傍である。
【0133】
次いで、加振ステップとして、面内方向に伝熱管66を振動させる。具体的には、一対の把持部152で把持した伝熱管66に加振力発生部120Fからの加振力を伝達することで伝熱管66を面内方向に振動させる。加振ステップでは、加振力発生部120Fは、加振力の周波数を適宜掃引する。
【0134】
加速度検出ステップでは、加振ステップで振動させたUベンド部68の振動状態をセンサ保持部110Fで保持された加速度センサ119で検出する。
図14に示した他の実施形態の支持力検査装置100Fでは、
図4に示した一実施形態の支持力検査装置100Aと同様に、加速度検出ステップにおける加速度センサ119の検出結果に基づいて、例えば
図11に示すように、ある周波数f1において加速度の極大値(ピーク82)を有するグラフ81が得られる。
したがって、
図14に示した他の実施形態では、
図4に示した一実施形態と同様に、周波数f1の値から、支持力Fを推定できる。
【0135】
なお、上述した加速度センサ119の検出結果に基づく支持力Fの推定に代えて、又は、上述した加速度センサ119の検出結果に基づく支持力Fの推定とともに、加振力検出センサ161の検出結果に基づいて支持力Fを推定するようにしてもよい。すなわち、加振力検出センサ161によって、加振ロッド151が伝熱管66を面内方向に押圧する力(押圧力)を検出できる。この押圧力は、伝熱管66をその共振周波数と略同じ加振周波数で加振した時に低下する。そのため、加振周波数に対する押圧力の変化から、伝熱管66の共振周波数を知ることができる。また、伝熱管66をその共振周波数と略同じ加振周波数で加振した時の押圧力から、面内方向の支持力Fを推定できる。
なお、述した加速度センサ119の検出結果に基づいて検査対象の伝熱管66の共振周波数を把握し、このようにして把握した共振周波数に対応する加振周波数で加振したときの押圧力から、面内方向の支持力Fを推定してもよい。
【0136】
図14に示した他の実施形態の支持力検査装置100Fを用いた支持力の検査では、一対の把持部152による伝熱管66の管軸方向の把持位置を適宜変更して、複数の振れ止め金具69のそれぞれについて支持力Fを検査する。
【0137】
このように、
図14に示した他の実施形態の支持力検査装置100Fでは、伝熱管66の外部に配置されるセンサ保持部110Fと加振力発生部120Fとを接続する加振ロッド151を備え、加振力発生部120Fが加振ロッド151を介して、伝熱管66を面内方向に振動させるように構成されている。
これにより、伝熱管66の外周面側からUベンド部68にアクセスできる場合には、伝熱管を面内方向に容易に振動させることができるので、振れ止め金具69による面内方向の支持力Fを精度よく検査できる。
【0138】
図14に示した他の実施形態の支持力検査装置100Fでは、面内方向と交差する方向に離間して配置された第1伝熱管66Aと第2伝熱管66Bとの間に挿入可能に加振ロッド151が構成されている。加振ロッド151の一端側には一対の把持部152とセンサ保持部110Fとが設けられ、加振ロッド151の他端側には加振力発生部120Fが接続される。これにより、支持力検査装置100Fの構成を簡素化できる。
また、例えば蒸気発生器13のように、複数の伝熱管66が狭い間隔で隣り合って配置されている伝熱管群67であっても、伝熱管群67の外部から任意の伝熱管66の近傍まで一対の把持部152を差し入れて、当該伝熱管66の外周面を一対の把持部152で把持できる。したがって、蒸気発生器13のように、複数の伝熱管66が狭い間隔で隣り合って配置されている伝熱管群67であっても、任意の伝熱管66について、振れ止め金具69による面内方向の支持力Fを検査できる。したがって、複数の伝熱管66が狭い間隔で隣り合って配置されている装置における伝熱管66の振れ止め金具69による支持力Fの検査に適した支持力検査装置100Fを提供できる。
【0139】
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
例えば、
図4において、センサ保持部110Aが伝熱管66の内面と係合して伝熱管66の内部を閉塞するが、その際、センサ保持部110Aは、伝熱管66の内部を完全に閉塞しなくてもよく、支持力Fの検査に支障が出ない程度であれば、センサ保持部110Aと伝熱管66の内面との間に隙間が存在してもよい。
なお、センサ保持部110Aと伝熱管66の内面との間の隙間からある程度の液体191が漏れる状態であっても、液体191がセンサ保持部110Aと伝熱管66の内面との間の隙間から流れる際に圧力損失が生じる。
したがって、センサ保持部110Aと伝熱管66の内面との間の隙間からある程度の液体191が漏れる状態であっても加振力発生部120Aによって伝熱管66の内部に満たされた液体191に圧力を与えることで、Uベンド部68を面内方向に曲げ伸ばしするように振動させることができる。
【0140】
また、例えば、上述した実施形態の支持力検査装置100A〜100Dでは、モータ保持体111と偏心カム112とが伝熱管66の内面を押圧することで、センサ保持部110A〜110Dは伝熱管66の内面と係合できるように構成されている。しかし、センサ保持部110A〜110Dを伝熱管66の内面と係合させるための構造は、上述した構造に限定されない。
【0141】
また、例えば、上述の説明では、原子力発電プラントにおける蒸気発生器13の伝熱管66の支持力の検査のために実施形態の支持力検査装置100A〜100Fを用いたが、上述した実施形態の支持力検査装置100A〜100Fによる検査対象は、原子力発電プラントにおける蒸気発生器13の伝熱管66に限定されない。例えば、化学プラントにおけるチューブ式の熱交換器の伝熱管や、各種工場やパイプラインにおける各種の配管の支持力の検査に上述した実施形態の支持力検査装置100A〜100Fを用いてもよい。