特許第6810705号(P6810705)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6810705
(24)【登録日】2020年12月15日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】変形可能なねじ組立体
(51)【国際特許分類】
   F16B 43/00 20060101AFI20201221BHJP
   F16B 39/26 20060101ALI20201221BHJP
   F16B 35/00 20060101ALI20201221BHJP
   F16B 31/02 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
   F16B43/00 A
   F16B39/26 Z
   F16B43/00 Z
   F16B35/00 H
   F16B35/00 R
   F16B39/26 D
   F16B31/02 Q
   F16B31/02 E
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-553236(P2017-553236)
(86)(22)【出願日】2016年4月15日
(65)【公表番号】特表2018-511762(P2018-511762A)
(43)【公表日】2018年4月26日
(86)【国際出願番号】FR2016050885
(87)【国際公開番号】WO2016166492
(87)【国際公開日】20161020
【審査請求日】2019年1月28日
(31)【優先権主張番号】1553427
(32)【優先日】2015年4月17日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】599161823
【氏名又は名称】サントル テクニーク デ アンデュストリ メカニーク
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100149249
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】エティエンヌ イヴァン
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ デルシェー
【審査官】 竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−065848(JP,A)
【文献】 実開平02−036616(JP,U)
【文献】 特開2010−025240(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B23/00−43/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの要素(32、34)の間で2つの互いに対向する方向に荷重を加えるよう意図された変形可能なねじ組立体であって、前記ねじ組立体は、一方では、2つの対向する端部と、前記2つの対向する端部の間に延在するねじ部(12を有し、ねじ込むことにより前記2つの要素の一方(34)に接続可能な長手方向部品(10)を備え、他方では、前記ねじ部(12は軸方向に歪んでいるのに対して、前記長手方向部品(10)の前記2つの対向する端部の一方または他方と前記2つの要素の他方との間で軸方向に圧縮された状態で支持されるように意図された弾性変形可能な部材(18,20を備え、
前記弾性変形可能な部材(18,20は弾性ワッシャを含み、
前記ねじ組立体は保持装置(30をさらに備え、前記弾性ワッシャ(18,20を軸方向圧縮下に保持することができ、前記2つの要素の他方(32)と前記長手方向部品の前記2つの対向する端部の前記一方または前記他方との間の前記圧縮状態において前記弾性ワッシャを解放することができ
前記保持装置(30)はねじ穴付き部品を備え、前記弾性ワッシャ(18、20)は、前記ねじ穴付き部品(30)の内部で係合可能となるようにねじ付き円形縁部(26、28)を有し、
前記弾性変形可能な部材は、前記ねじ穴付き部品(30)の内側に係合可能な他のねじ付き縁部(26)を有する他のワッシャ(18)をさらに備え、前記弾性ワッシャ(20)は、前記ねじ穴付き部品(30)の内側の前記他のワッシャに対して軸方向圧縮下に維持されることができ、
前記2つの端部の前記一方は、肩部(16)を形成する頭部(14)を有し、
前記ねじ穴付き部品(30)は、頭部(14)の最大直径よりも大きい内径(D)を有することを特徴とするねじ組立体。
【請求項2】
前記他のワッシャ(18)は円錐ワッシャである、請求項に記載のねじ組立体。
【請求項3】
前記弾性変形可能な部材(18、20は、前記肩部(16と当接することができる、請求項1または2に記載のねじ組立体。
【請求項4】
前記ねじ部と係合し、前記2つの要素の前記一方(34)に対して当接することができるナット(36)をさらに備える、請求項1〜のいずれか一項に記載のねじ組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの要素の間で2つの互いに対向する方向に荷重をかけることを可能にする変形可能なねじ組立体に関する。
【0002】
想定される1つの適用分野は、特に排他的ではないが、2つの要素の組立体の分野である。
【背景技術】
【0003】
ねじとナットを用いて2つの穴開き部品を組み立て、ナットと2つの部品の一方との間に弾性ワッシャを挟むことは公知の手法である。ねじは頭部とねじ付き軸部とを有し、弾性ワッシャのおかげで、ナットが締め付けられると、ナット内のねじ付き軸部の軸方向荷重は、2つの部品の変形または軸部の伸びにかかわらず、維持される。その結果、この軸方向の荷重は、ナット内部のねじ付き軸部の摩擦力を増加させることを可能にし、特にねじが外れるおそれを軽減する。
【発明の概要】
【0004】
しかしながら、特定の種類の組立体に対しては、ねじ付き軸部に所定の軸方向張力を付与する必要がある。これを行うには、通常、トルクレンチを使用する。しかし、その工具は、軸部に付与される張力を完全に制御できるようにするために、ある程度の技能と実践を必要とする。
【0005】
さらに、2つの組み立てられた部品を通してナットおよびねじを締め付けると、ねじ付き軸部にねじり負荷が生じ、また、前記部品の表面変形が生じる。具体的には、ナットの締め付けは、特に、弾性ワッシャおよび/または頭部を、それと当接する部品に対して擦れ合うようにする傾向がある。
【0006】
したがって、本発明が克服することを目的とする1つの問題は、変形可能なねじ組立体であって、それが通過する組立体に所定の軸方向の張力を容易に付与することができるだけでなく、それが押しつけられる表面の状態を保存することができる変形可能なねじ組立体を提供することである。
【0007】
この目的のために、本発明は、2つの要素の間で2つの互いに対向する方向に荷重を加えるよう意図された変形可能なねじ組立体であって、一方では、2つの対向する端部と、前記2つの対向する端部の間に延在するねじ部を有し、ねじ込むことにより前記2つの要素の一方に接続可能な長手方向部品を備え、他方では、前記ねじ部は軸方向に歪んでいるのに対して、前記長手方向部品の2つの対向する端部の一方または他方と前記2つの要素の他方との間で軸方向に圧縮された状態で支持されるように意図された弾性変形可能な部材を備えるねじ組立体を提供する。前記弾性変形可能な部材は弾性ワッシャを含み、前記ねじ組立体は保持装置をさらに備え、前記弾性ワッシャを軸方向圧縮下に保持することができ、前記2つの要素の他方と前記長手方向部品の前記2つの対向する端部の前記一方または他方との間の前記圧縮状態において前記弾性ワッシャを解放することができる。
【0008】
したがって、本発明の1つの特徴は、弾性変形可能な部材、すなわち弾性ワッシャを、2つの要素の組立中に軸方向の圧縮状態に維持し、長手方向部品の少なくとも部分的な締め付けを可能にする一時保持装置の使用にある。換言すれば、弾性変形可能な部材は、前記ねじ部が軸方向歪を受ける前には、圧縮状態に維持される。次に、後述してさらに詳細に説明するように、保持装置を作動させて弾性変形可能な部材を解放することにより、弾性変形可能な部材は、2つの組み立てられた部材の表面を損傷することなく、長手方向部品に軸方向の張力を付与する。さらに、一時的保持装置のおかげで、弾性変形可能な部材に所定の大きさの軸方向の歪を付与した後、この弾性変形可能な部材を解放して、この軸方向の張力を長手方向部品に加えることができるようにすることが容易である。その結果、トルクレンチ型の工具を手で持つ必要は全くなく、単にねじ組立体の製造時から必要な圧力で弾性変形可能な部材を取り付けるだけでよい。
【0009】
弾性ワッシャは、例えば、円錐ワッシャ、または実際には代替的に球状ワッシャである。さらに、ある状況下では、以下に説明するように、少なくとも1つの第2の弾性ワッシャを使用することが有利である。
【0010】
保持装置に関しては、これはねじ穴付き部品を含むことが好ましく、一方、前記弾性ワッシャは、前記ねじ穴付き部品の内部で係合可能となるようにねじ付き円形縁部を有する。このようにして、弾性ワッシャは、その周縁部を介して軸方向圧縮下に維持され、それにより、2つの要素を通る長手方向部品の使用後に保持装置を容易に外すことが可能になる。
【0011】
本発明の第1の代替実施形態によれば、前記弾性変形可能な部材は、前記ねじ穴付き部品の内側に係合可能な他のねじ付き縁部を有する他のワッシャをさらに備え、前記弾性ワッシャは、前記ねじ穴付き部品の内側の前記他のワッシャに対して軸方向圧縮下に維持される。したがって、例えば、円錐弾性ワッシャが他の平ワッシャに押し付けられると、円錐ワッシャの内部端縁が平ワッシャに押し付けられ、円錐ワッシャと平ワッシャとを強制的に締め付けると、円錐ワッシャは平ワッシャに対して変形し、それによってそれを引っ張る。
【0012】
本発明の1つの特に有利な実施形態によれば、前記他のワッシャは円錐ワッシャである。したがって、2つの円錐ワッシャのみを使用する場合、これらのワッシャは、互いに最小径の縁部を互いに押し付けて、互いに対向して配置するのが有利である。このようにして、同じ剛性を維持しながらも、同時に、可能性のある変形の大きさが2倍になる。
【0013】
1つの代替的な実施形態によれば、前記弾性ワッシャはU字形の半径方向断面を有し、前記U字形の開口部は前記弾性ワッシャの中心から離れる方向に面し、それによって2つの平行な円形の縁部または辺縁部を形成する。かかるワッシャは、ワッシャの軸線に垂直な対称面に対して互いに対称な2つの円形の当接端縁を形成するという利点を提供する。
【0014】
本発明の1つの特定の実施形態によれば、前記2つの端部の前記一方は、肩部を形成する頭部を有する。したがって、肩部は円形の当接承面を形成する。また、好ましくは、前記弾性変形可能な部材は、前記肩部と当接することができる。1つの特定の実施形態によれば、保持装置のねじ穴付き部品は、肩部の反対側の頭部と軸方向に当接することができる底部を有する。このようにして、弾性ワッシャのねじ山付き縁部が内部に係合している保持装置を回転させることにより、弾性ワッシャを変形させることができ、弾性ワッシャは、肩部を平坦に押圧する傾向がある。
【0015】
本発明の実施態様の第2の代替形態によれば、前記保持装置は、前記ねじ部を軸方向に貫通する作動軸部を備え、前記作動軸部は、前記ねじ部の前記2つの端部の前記他方と協働して、前記弾性変形可能な部材を軸方向圧縮下に保持することができるよう意図された第1の端部を有する。作動軸部は、ねじ部内で平行移動することができるように取り付けられる。また、前記弾性ワッシャは、前記第1の端部が貫通する前記ねじ部の前記2つの端部の前記他方の縁部に押し付けられる。さらに、例えば、サークリップ式の弾性リングによって弾性ワッシャを停止させる。このようにして、作動軸部は、力を受けてねじ部に向けて駆動されることができ、一方、弾性ワッシャは変形し、その代わりに復元力を加える。
【0016】
さらに、この第2の代替形態によれば、有利には、前記作動軸部は、前記第1の端部と反対側の端部に第2の端部を有し、前記第2の端部は、前記弾性変形可能な部材を軸方向圧縮に維持する第1の角位置と、前記弾性変形可能な部材を前記圧縮状態で解放する第2の角位置との間で、前記ねじ部の前記2つの端部の前記一方と協働するよう意図されている。このようにして、第2の端部は、前記ねじ部の前記2つの端部の前記一方と協働し、斜面効果によって、弾性ワッシャを圧縮状態に維持できるように、ねじ部の内部での作動軸部の並進運動を可能にする。
【0017】
本発明の一実施態様によれば、ねじ部は、2つの要素の一方と係合しているのに対して、自由な当接面を有する前記作動軸部の第1の端部は、2つの要素の前記他方に対して軸方向に当接することができる。
【0018】
本発明の他の実施形態によれば、ねじ部は、2つの要素の一方と係合しているのに対し、操作軸部の第2の端部は、2つの要素の前記他方に対して当接することができる肩部を形成する頭部を有する。
【0019】
有利には、ねじ組立体は、前記ねじ部と係合し、前記2つの要素の前記一方に対して当接することができるナットをさらに備える。
【0020】
本発明のさらなる詳細および利点は、本発明のいくつかの特定の実施形態に関する以下の説明を読むことにより明らかになるであろう。これらは添付の図面を参照して非限定的な例として与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施態様の第1の代替形態による変形可能なねじ組立体の部分概略側面図である。
図2】本発明の実施態様の第1の代替形態による変形可能なねじ組立体の部分概略上方斜視図である。
図3】本発明の実施形態の第1の代替形態による変形可能なねじ組立体の概略軸方向断面図である。
図4】本発明にしたがって使用される変形可能なねじ組立体の概略側面図である。
図5】実施形態の第2の代替形態による変形可能なねじ組立体の概略側面図である。
図6図5に描かれた変形可能なねじ組立体の要素の斜視断面概略図である。
図7】実施形態の第2の代替形態による変形可能なねじ組立体の軸方向断面における概略図である。
図8】第1の状態における、実施形態の第3の代替形態による変形可能なねじ組立体を示す概略正面図である。
図9】第2の状態における、実施形態の第3の代替形態による変形可能なねじの概略正面図である。
図10】他の用途による実施形態の第3の代替形態による変形可能なねじの概略側面図である。
図11図2に示した物体を得ることを可能にする設備の軸方向断面における概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、軸部を形成するねじ部12と、その一端部で肩部16を形成する頭部14とを備えるねじ10を側面図で示す。さらに、図1において平ワッシャ18が肩部16に当接して示されているのに対し、円錐ワッシャ20が平ワッシャ18と接触している。以下の説明で説明するように、他の実施形態によれば、2つの円錐ワッシャの使用も想定される。
【0023】
ワッシャ18、20は金属製である。円錐ワッシャ20は、外周に位置する外端縁24とは反対に中心に向かって位置する内端縁22を有する。平ワッシャ18は、ねじ10のねじ部12の反対側に第1のねじ付き縁部26を有し、円錐ワッシャ20は、同様にねじ部12の反対側に第2のねじ付き縁部28を有する。
【0024】
ねじが徐々に締め付けられて弾性ワッシャが圧縮される従来技術による変形可能なねじ組立体とは異なり、本発明によれば、円錐ワッシャ20は、図2に示されている大型の六角平ナットで形成されるねじ穴付き部品30の内部の平ワッシャ18に対して圧縮応力を与えられている。平ナット30は、図1に示したねじ10の頭部14の最大直径よりも大きい直径Dを有する。したがって、平ワッシャ18の第1のねじ付き縁部26および円錐ワッシャ20の第2のねじ付き縁部28はそれぞれ、平ナット30のねじ穴に係合される。したがって、円錐ワッシャ20は、所定量の歪によって、平ワッシャ18に対して強制的に変形される。2つのワッシャが平ナットの内部に設置されることを可能にする構成については、後で詳細に説明する。
【0025】
したがって、平ナット30およびその2つのワッシャ、すなわち平ワッシャ18および円錐ワッシャ20は、円錐ワッシャ20の軸方向張力がその結果として多少とも減少することなく後で使用できるように取り付けられることが分かる。
【0026】
したがって、図3に示すように、ねじ10のねじ部12は、平ナット30を通してワッシャ18、20内に係合させることができる。この図3は、平ナット30の内側で互いに係合している平ワッシャ18と、頭部14の肩部16を押圧する平ワッシャ18とを再び示している。ねじ部12はワッシャ18、20および平ナット30を貫通している。
【0027】
このねじ部12は、次に、図4に示すように、2つの重なり合った穴開き板32、34を通して係合される。次いで、ねじ部12にナット36が取り付けられ、ナット36は薄板34と接触するまで手でねじ込まれる。平ナット30によって平ワッシャ18に対して平坦化され予め荷重を加えた円錐ワッシャ20は、次に厚板32の表面に押し付けられる。その結果、頭部14を平ナット30に通しながら平ナット30を外すと、円錐ワッシャ20の第2のねじ付き縁部28が解放される。その後、円錐ワッシャ20は緩み、当初の円錐形状に戻る傾向がある。このようにすることで、その外端縁24が厚板32の表面に押し付けられ、反対側の内端縁が平ワッシャ18と当接し、それによってナット36と頭部14との間のねじ部12に張力を加える。
【0028】
この張力は、平ワッシャ18に対して平ナット30内の円錐ワッシャ20に最初に与えられた軸方向の歪によって予め定められる。
【0029】
また、ナット36を薄板34の表面に対して回転させる必要なく、ねじ部12に軸方向の張力を付与することができた。その結果、ねじ部12にはねじり歪が生じず、そのため、ねじ部12にかかる負荷が軽減され、ひいては薄板34の表面が損傷することはない。
【0030】
例えば、円錐ワッシャ20には40000ニュートンの荷重が予め加えられており、この歪は、ねじ組立体10が2つの板34、32を介して導入されるまで解放されない。
【0031】
また、円錐ワッシャ20は、歪を受けたままであり、軸方向に一定量だけさらに緩めることができるが、張力がなければ、結果として実質的に影響を受ける。その結果、板32、34のうちの一方が、例えば、経時的にクリープする傾向のある複合材料からなる場合、円錐ワッシャ20に含まれる位置エネルギーの蓄積によって、円錐ワッシャ20は、ねじ部12の張力を実質的に維持しながら緩むことができる。
【0032】
したがって、本発明による変形可能なねじ組立体は、ワッシャの組に位置エネルギーを格納することを可能にし、ねじ組立体が取り付けられた後にこのエネルギーを少なくとも部分的に解放することを可能にする。
【0033】
所定の張力に予荷重がかけられたワッシャを装備した平ナット30を、後の使用のために保管することができることにも留意されたい。したがって、トルクレンチ等の測定工具の使用を必要とすることなく、所定の張力をねじ込み組立体に適用することができる。
【0034】
次に、実施態様の第2の代替形態による変形可能なねじ組立体38を示す図5図7を参照する。これは、肩部46を残して頭部44が上に載っているねじ付き軸部42を備えたねじ40を有する。U字の開口側を外側に向けたU字形半径方向断面を有する弾性ワッシャ48が肩部46を押圧する。弾性ワッシャ46は、図6に詳細に示されており、ここでは断面が示されている。弾性ワッシャ48は、金属製であり、2つの平行な辺縁部50、すなわち上側辺縁部50および下側辺縁部52を画定する。次いで、2つの辺縁部は、図5および図7に示すねじ穴付きキャップ54にねじ込むことができるように、反対側の手でねじ付き軸部42にねじ込まれる。ねじ穴付きキャップ54は、肩部46とは反対側の頭部44に当接する底部56と、内側ねじ穴58とを有する。さらに、頭部44は円形の軸方向ハウジング60を有し、その内部では、ねじ穴付きキャップ54の底部56に固定されたガイドディスク62を回転中に案内することができる。ガイドディスクは、ねじ穴付きキャップ54からの突出部として同軸的に延び、反対側において、ねじ穴付きキャップ54には駆動つまみ64が設けられている。
【0035】
したがって、図7は、頭部44に取り付けられたねじ穴付きキャップ54、円形軸方向ハウジング60の内側に係合したガイドディスク62、頭部44と軸方向に当接する底部56を示しており、U字形断面の弾性ワッシャ48は、肩部46に対して圧縮された状態に保持され、そのねじ付き辺縁部は内側ねじ穴58に係合される。弾性ワッシャ48の圧縮は、つまみ64を使用してねじ40に対してねじ穴付きキャップ54を強制的に駆動することによって達成することができた。
【0036】
このようにして、第1の代替実施形態と同様に、ねじ40を穴付き組立体に取り付けると共にナットを使用すると、ねじ穴付きキャップ54を緩めて弾性ワッシャ48を解放することにより、ナットと頭部44との間で軸方向の歪を軸部42に与えることができる。
【0037】
次に、実施態様の第3の代替形態を示す図8および図9を参照する。図8は、円形の軸方向当接縁部70を画定する第1の端部68と、直径方向に対向する2つの円形切欠き部74、76を有する第2の端部72と、それらの間に2つの弓形縁部を形成する斜部78、80を有する中空ねじ部66を備える変形可能なねじ組立体65を示す。第1の端部68において、円錐形の弾性ワッシャ82が円形の軸方向当接縁部70に押し付けられる。弾性ワッシャは、中空ねじ部66の軸方向内側に延びる作動軸部84を含む保持装置により、そこでの押圧が維持される。作動軸部84は、一方では円錐弾性ワッシャ82に軸方向に当接する弾性リング88を備えた停止端部86を有し、他方では、反対側の端部に、斜部形成縁部78、80に当接する四角歯作動端部90を有する。また、四角歯作動端部90は、肩部93を画定する駆動頭部92を上に載せる。四角歯作動端部90は、同様に斜部を形成するよう面取りされ、かつ、円形の切欠き部74、76にそれぞれ延在する2つの直径方向に対向する四角歯94を有する。
【0038】
このようにして、四角歯94、96を斜部形成縁部78、80と協働させつつ、駆動頭部92を中空ねじ部66に対して1/4回転させて、駆動頭部92を中空ねじ部66の第2の端部72から離し、それよって作動軸部84を並進運動させることができる。このようにして、停止端部86は、中空ねじ部66の内側に向かって後退する傾向があり、その結果、弾性リング88を介して円錐弾性ワッシャ82を圧縮する。このようにして圧縮された円錐弾性ワッシャ82を、図9に再び見ることができる。
【0039】
この図9は、例えば、図4に示すような2枚の板からなる組立体を介して係合させることができる変形可能なねじ組立体65の他の全ての要素を示している。次いで、ナットを中空ねじ部66にねじ込んで一方の板と接触させ、一方、肩部93は他方の板を押圧する。次に、駆動頭部92を反対方向に1/4回転させて、作動軸部84を解放し、その結果として円錐弾性ワッシャ82を解放することができる。その結果、図示されていないナットが一方の板に当接し、一方、駆動頭部92が他方の板に当接し、中空ねじ部66は、ナットと駆動頭部92との間で軸方向の張力を受ける。
【0040】
変形可能なねじ組立体65が正確に動作するために、斜部形成縁部78、80と協働する四角歯94、96の間の摩擦が、ナットと駆動頭部92の間の板の初期把持に比べて確実に比較的小さくなるように注意が払われる。
【0041】
図9に示される実施態様の第3の代替形態による他の実施形態によれば、同じ機能を有する同じ要素が同じ参照符号の後に「’」記号を有する。
【0042】
したがって、再び、駆動軸部84’が貫通する中空ねじ部66’が存在し、駆動頭部92’を回転させることによって円錐弾性ワッシャ82’の圧縮をもたらすことができる。前の実施形態とは異なり、駆動頭部92’は肩部を有していない。これとは対照的に、要素の一方と当接するよう意図されているのは作動軸部84’の自由端98であり、一方、図示されていないナットを中空ねじ部66’の周りにねじ込み、要素の他方と当接させることが可能である。
【0043】
ここで、図11を参照すると、本発明による、および、1つの特定の実施形態による、2つのワッシャを1つの平ナットの内部に取り付けることを可能にする装置100が概略的に示されている。この特定の実施形態によれば、第1の円錐ワッシャ101および第2の円錐ワッシャ103は、平ナット30’の内部に設置される。
【0044】
したがって、装置100は、互いに向かって並進移動する能力を備えて取り付けられた、カラーを形成する2つの同軸工具、すなわち、上部工具102および下部工具104を備える。また、上部同軸工具102および下部同軸工具104を同軸に貫通することができる中心パンチ106も備える。
【0045】
2つの円錐ワッシャ101、103は同一であり、外径Dexおよび内径Dintを有する。それらの外縁部はそれぞれ、第1のねじ山部108および第2のねじ山部110を有する。また、それらは、第1の凸面部112および第2の凸面部114を有する。これらの凸面部112、114は、それら上に第1の内端縁116および第2の内端縁118を有する。
【0046】
平ナット30’に関しては、これは、円錐ワッシャ101、103の外径Dexよりもかなり大きい直径のねじ穴120を有する。また、同軸カラー成形工具102、104の外径は、円錐ワッシャ101、103の外径Dexよりも実質的に小さく、さらに、中心パンチ106の外径がワッシャの内径Dintに実質的に等しいので、そこに係合させることができる。
【0047】
したがって、平ナット30’は、2つの同軸工具102、104の間に同軸に介在されるが、第1の円錐ワッシャ101は、下部工具104と第2の円錐ワッシャ103との間に設置され、第2の円錐ワッシャ103は、下部工具104と平ナット30’の間に設置され、円錐ワッシャ100、103が、それらの凸面112、114が平ナット30’を介して互いに対向するように配置される。
【0048】
次いで、円錐ワッシャ101、103を同軸に保つために、中心パンチ106は、それらおよび平ナット30’を通って下の工具104まで係合される。
【0049】
次に、第1の内側端縁116と第2の内側端縁118とは、平ナット30’を介して互いに接触する。次いで、2つの同軸工具102、104は、円錐ワッシャ101、103が平坦になるまでこれらを変形させるように互いに向かって強制的に駆動される。その結果、それらの外縁部は連続するようになり、第1のねじ山部108および第2のねじ山部110は互いに十分に接近し、互いに連続した状態で円錐ワッシャ101、103を一緒にして平ナット30’にねじ込むことができる。したがって、円錐ワッシャ101、103は、弾性的に変形され、平ナット30’の内部で歪を受け続ける。
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図9
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図11