【発明が解決しようとする課題】
【0011】
先行技術が有する上述のおよび他の欠点を考慮すると、本発明の目的は、改良された浮動式風力エネルギー・ハーベスティング装置を提供すること、および詳細にはこのような風力エネルギー・ハーベスティング装置の容易なメンテナンスを提供することにある。
【0012】
したがって、本発明の第1の態様によると、沖合施設のための浮動式風力エネルギー・ハーベスティング装置において、長手方向風力タービン本体軸に沿って延在する細長い風力タービン本体であって、風力エネルギー・ハーベスティング装置が作動中であるときに主として水面下にあるべき下部本体部分と風力エネルギー・ハーベスティング装置が作動中であるときに主として水面上にあるべき上部本体部分とを含む風力タービン本体と;風力エネルギーを長手方向風力タービン本体軸を中心とした風力タービン本体の回転に変換するために上部本体部分に取付けられた少なくとも1つの翼と;風力タービン本体の回転を電気エネルギーに変換するために風力タービン本体に取付けられたエネルギー変換器と;を含む風力エネルギー・ハーベスティング装置であって、エネルギー変換器は、風力タービン本体の回転に応答して回転するためにタービン本体に結合された第1のエネルギー変換器部品と、風力タービン本体との関係において比較的静止状態に保たれるべき第2のエネルギー変換器部品とを含み、第2のエネルギー変換器部品との関係における第1のエネルギー変換器部品の結果としての回転は、エネルギー変換器によって電気エネルギーに変換され、エネルギー変換器は、第1のエネルギー変換器部品と風力タービン本体の下部本体部分との間の第1の解除可能な機械的結合および第1のエネルギー変換器部品と風力タービン本体の上部本体部分との間の第2の解除可能な機械的結合を用いて、風力タービン本体に取付けられている、浮動式風力エネルギー・ハーベスティング装置が提供される。
【0013】
上部本体部分および下部本体部分の各々がそれ自体、異なる機能を果たし得る複数の部分から形成されていてよいということを理解すべきである。例えば、下部本体部分は、風力エネルギー・ハーベスティング装置を全体として直立して浮動させ、こうして長手方向風力タービン本体軸が概して垂直である状態に保つために浮力提供部分とバラスト部分(錘)を含むことができる。当然のことながら、風および/または波の作用は、典型的に、長手方向風力タービン本体軸の向きを変動させ、垂直方向から偏向させ得る。
【0014】
上述の浮力提供部分およびバラスト部分に関して、これらの部分は有利には、浮力中心と質量中心を分離するために、可能なかぎり離隔されてよい。この配置が、風力エネルギー・ハーベスティング装置の安定した作動を提供する。
【0015】
下部本体部分は主として水面下にあるべきであるとは、下部本体部分の長さの半分超が水面下にあることを意味すると理解すべきである。
【0016】
上部本体部分および下部本体部分は、有利には第1のエネルギー変換器部品を介して連結固定することができ、こうして、上部本体部分の1回転が下部本体部分の1回転を結果としてもたらすようになっている。
【0017】
エネルギー変換器は有利には、発電機/電動機であってよく、第1のエネルギー変換器部品および第2のエネルギー変換器のうちの一方は、少なくとも1つの磁石を含むことができ、第1および第2のエネルギー変換器部品のもう一方は少なくとも1つのコイルを含むことができ、こうして、第2のエネルギー変換器部品との関係における第1のエネルギー変換器部品の回転の結果として、少なくとも1つのコイルの導体が、少なくとも1つの磁石によって生成される磁場の中を運動するようになっている。
【0018】
有利には、第1のエネルギー変換器部品は少なくとも1つの磁石を含み、第2のエネルギー変換器部品は少なくとも1つのコイルを含み、こうしてエネルギー変換器からおよびエネルギー変換器への電流の伝導を容易にすることができる。代替的には、1つ以上の発電機/電動機が、第1のエネルギー変換器部品および第2のエネルギー変換器部品の一方の中に含まれていてよく、(発電機モードにある場合)第1および第2のエネルギー変換器部品の間の相対的回転によって駆動されてよい。例えば、1つ以上の発電機/電動機は、第2のエネルギー変換器部品に取付けられ、(発電機モードにある場合)第1のエネルギー変換器部品上のピニオンにより駆動されてよい。
【0019】
錨泊用配置体または制動用配置体に第2のエネルギー変換器部品を機械的に結合できるようにするため、第2のエネルギー変換器部品にアームを連結し、こうして第1のエネルギー変換器部品と第2のエネルギー変換器部品の間の所望の相対的回転を達成することができる。
【0020】
上述の電流は、上述のアームに沿って延在し得る導体中をエネルギー変換器からまたはエネルギー変換器へ伝導され得る。
【0021】
さらに、エネルギー変換器は、風力エネルギー・ハーベスティング装置の作動を制御するための制御ユニットを含んでいてよい。例えば、制御ユニットは、エネルギー変換器を、発電機としての機能と電動機としての機能の間で交番させるべく制御するように構成されていてよい。さらに、制御ユニットは、下部本体部分および/または上部本体部分内に配置され得る1つ以上のアクチュエータ(単複)を制御するように構成され得る。
【0022】
下部本体部分および/または上部本体部分内に配置された1つ以上のアクチュエータの作動をエネルギー変換器内に含まれた制御ユニットが制御できるようにするために、風力エネルギー・ハーベスティング装置はさらに、エネルギー変換器と下部本体部分および上部本体部分のうちの少なくとも1つとの間に、電気信号用の解除可能な電気的結合を含むことができる。考えられるアクチュエータの例は、下部本体部分内に具備されたポンプおよび少なくとも1つの翼を制御するための上部本体部分内の翼ピッチ制御アクチュエータであり得る。
【0023】
第1および第2の機械的結合が解除可能であるとは、第1および第2の機械的結合を係合解除し再係合することができるということを意味するものと理解すべきである。例えば、第1および第2の機械的結合の各々は、少なくとも1つの取外し可能かつ再利用可能な締結具を用いて達成可能である。
【0024】
本発明は、交換および/またはメンテナンスを必要とする確率の高い機能性を、現場において装置の残りの部分から比較的容易に切り離して取り外すことのできるモジュール式ユニット内にまとめることによって、浮動式風力エネルギー・ハーベスティング装置のメンテナンスをより容易で安全なものにすることができるという認識に基づくものである。当該発明者は、さらに、下部本体部分および上部本体部分を提供し、エネルギー変換器を介して、詳細には下部および上部風力タービン本体部分と共に回転する第1のエネルギー変換器部品を介して、上部本体部分と下部本体部分を解除可能な形で機械的結合することによって、これを達成できるということも認識した。
【0025】
本発明の実施形態はこうして、特に風力エネルギー・ハーベスティング装置が非常に大型である場合に、VAWTタイプの浮動式風力エネルギー・ハーベスティング装置のより単純でより安全なメンテナンスを提供する。このことが今度は、この浮動式風力エネルギー・ハーベスティング装置の寿命全体にわたり生成される単位電気エネルギーあたりのコストを削減する。
【0026】
本発明の実施形態に係る浮動式風力エネルギー・ハーベスティング装置は、有利には、風力エネルギー・ハーベスティング装置が作動中である場合に、エネルギー変換器が水面上に配置されているような形で構成されてよい。
【0027】
このことは、例えば、下部本体部分および上部本体部分の好適な寸法決定を通して達成され得る。例えば、下部本体部分内に含まれ得る上述の浮力提供部分およびバラスト部分は、エネルギー変換器が全体として水面上にあるような形に寸法決定されてよい。当然のことながら、エネルギー変換器は、特に大波および強風の場合に、間欠的に少なくとも部分的に水面下にあり得る。
【0028】
エネルギー変換器のこの配置により、エネルギー変換器へのアクセスが容易になり、海水に対するその曝露は削減される。
【0029】
さまざまな実施形態によると、上部本体部分は、第1の本体フランジを含むことができ;下部本体部分は第2の本体フランジを含むことができ;第1のエネルギー変換器部品は第1のエネルギー変換器フランジおよび第2のエネルギー変換器フランジを含むことができ;第1の本体フランジは、第1のエネルギー変換器フランジに対し解除可能な形で機械的に連結され得、第2の本体フランジは、第2のエネルギー変換器フランジに対し解除可能な形で機械的に連結され得る。
【0030】
フランジは、ボルトおよびナットなどの好適な締結具を用いて互いに解除可能な形で連結されてよい。代替的には、連結されたフランジの1つの中の孔はネジ孔であってよい。
【0031】
連結されたフランジ間の界面は、下部本体部分と上部本体部分の間から外へのエネルギー変換器の滑動を容易にするように平面であり得る。代替的には、フランジ対の少なくとも1つは、フランジ対によって形成される機械的結合を横断したトルクの移送を改善するために、対応する溝またはトラックを有していてよい。
【0032】
例えば、下部本体部分とエネルギー変換器の間のフランジ対は、平面である界面を有していてよく、上部本体部分とエネルギー変換器の間のフランジ対は、上部本体部分から第1のエネルギー変換器部品へのトルクの信頼性の高い移送を提供するため、溝および溝の中に嵌合する対応する隆起(ridges)を有することができる。
【0033】
概して、第1の機械的結合および第2の機械的結合は、結合が解除される場合に風力タービン本体の長手方向軸に直交する方向にエネルギー変換器を取外すことができるような形で構成されてよい。
【0034】
さまざまな実施形態によると、第1の本体フランジおよび第2の本体フランジの少なくとも一方は、風力タービン本体に対するエネルギー変換器の解除可能な取付けのための第1の穴のセット;および第1の本体フランジと第2の本体フランジの間の風力タービン本体に対する風力タービン本体保持用配置体の解除可能な一時的な取付けのための第2の穴のセットを含むことができる。
【0035】
第1の穴のセットは、エネルギー変換器が下部本体部分と上部本体部分の間に取付けられている一方で下部および上部風力タービン本体部分に対する風力タービン保持用配置体の取付けを容易にするため、第2の穴のセットに比べて風力タービン本体の長手方向軸により近接して配置され得る。
【0036】
実施形態によると、さらに、エネルギー変換器は追加で、第1のエネルギー変換器部品および第2のエネルギー変換器部品に機械的に結合された制動用配置体;および第2のエネルギー変換器部品との関係において第1のエネルギー変換器部品の回転速度を低減させるように制動用配置体を制御するための処理回路を含むことができる。処理回路は、例えば、風力エネルギー・ハーベスティング装置の他の機能を制御するための制御ユニット内に含められてよい。
【0037】
本発明のさまざまな実施形態に記載の、浮動式風力エネルギー・ハーベスティング装置のエネルギー変換器を交換する方法において、上部本体部分および下部本体部分に保持用配置体を取付けるステップであって、保持用配置体が、上部本体部分および下部本体部分の相対的配置を維持するように配置され構成されている、保持用配置体を取付けるステップと;第1の解除可能な機械的結合および第2の解除可能な機械的結合を解除するステップと;エネルギー変換器と上部本体部分および下部本体部分の各々との間の軸力を低減させるステップと;エネルギー変換器を取外すステップと;上部本体部分と下部本体部分の間に交換用エネルギー変換器を配置するステップと;第1の解除可能な機械的結合および第2の解除可能な機械的結合を用いて上部本体部分および下部本体部分に対して交換用エネルギー変換器を取付けるステップと;エネルギー変換器と上部本体部分および下部本体部分の各々との間の軸力を増大させるステップと;保持用配置体を切り離し、取外すステップと;を含む、方法が提供されている。
【0038】
エネルギー変換器を取外す前に、取外しを可能にするのに充分なだけ軸力を低減させる。有利には、上部本体部分の質量の結果としてエネルギー変換器上に作用する圧縮力を、エネルギー変換器が取外される前にゼロまたはゼロ近くまで低減させてよい。
【0039】
本発明のさまざまな実施形態に係る方法のステップは、必ずしも何らかの特定の順序で実施される必要はない。例えば、交換用エネルギー変換器を上部本体部分および下部本体部分に取付ける前に、エネルギー変換器と上部本体部分および下部本体部分の各々との間の軸力を増大させてもよい。
【0040】
同様に、交換用エネルギー変換器は、異なるエネルギー変換器であるかまたは部品交換などのメンテナンス後の予め取外された同一のエネルギー変換器であり得るという点も指摘しておくべきである。
【0041】
エネルギー変換器は有利には、少なくとも当初は、風力タービン本体の長手方向軸に実質的に直交する方向にエネルギー変換器を移動させることによって取外し可能である。
【0042】
さらに、浮動式風力エネルギー・ハーベスティング装置は、風力タービン本体の回転を実質的に防止するための制動用配置体を含むことができ、この方法は、上部本体部分および下部本体部分に対して保持用配置体を取付ける前に風力タービン本体の回転を防止するように制動用配置体を制御するステップをさらに含ことができる。
【0043】
風力タービン本体は、制動用配置体が活動化されていても、ゆっくりと回転できるということを理解すべきである。
【0044】
様々な実施形態によると、本発明の方法は、さらに、保持用配置体および交換用エネルギー変換器を運搬する浮動の船舶を提供するステップと;保持用配置体が上部本体部分と下部本体部分との間に配置された状態になるような形で、風力タービン本体との関係において船舶を操縦するステップと、をさらに含むことができる。換言すると、浮動の船舶は、エネルギー変換器を交換する前に風力タービン本体と好適な形でドッキングすることができる。
【0045】
上部および下部本体部分とエネルギー変換器との間の軸力は、有利には、保持用配置体を加熱することおよび/またはエネルギー変換器を冷却することによって一時的に低減され得る。代替的には、または組合せた形で、保持用配置体は、例えば上部本体部分を上昇させるために液圧を利用し得る昇降用配置体を含んでいてよい。
【0046】
要約すると、さまざまな実施形態によると、本発明は、下部本体部分および上部本体部分を有する風力タービン本体;風力エネルギーを風力タービン本体の回転に変換するために上部本体部分に取付けられた少なくとも1つの翼と;風力タービン本体の回転を電気エネルギーに変換するために風力タービン本体に取付けられたエネルギー変換器と;を含む浮動式VAWTに関する。エネルギー変換器は、第1のエネルギー変換器部品と、この第1のエネルギー変換器部品との関係において比較的静止状態に保たれるべき第2のエネルギー変換器部品とを含む。エネルギー変換器は、第1のエネルギー変換器部品と風力タービン本体の下部本体部分との間の第1の解除可能な機械的結合および第1のエネルギー変換器部品と風力タービン本体の上部本体部分との間の第2の解除可能な機械的結合を用いて風力タービン本体に取付けられている。
【0047】
本発明のこれらのおよび他の態様について、ここで、本発明の例示的実施形態を示す添付図面を参照しながらさらに詳細に説明する。