特許第6810802号(P6810802)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6810802腕時計又は装飾品のための装飾を備えた外装部品及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6810802
(24)【登録日】2020年12月15日
(45)【発行日】2021年1月6日
(54)【発明の名称】腕時計又は装飾品のための装飾を備えた外装部品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A44C 5/00 20060101AFI20201221BHJP
   A44C 27/00 20060101ALI20201221BHJP
【FI】
   A44C5/00 C
   A44C27/00
【請求項の数】13
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-528753(P2019-528753)
(86)(22)【出願日】2017年8月9日
(65)【公表番号】特表2019-536558(P2019-536558A)
(43)【公表日】2019年12月19日
(86)【国際出願番号】EP2017070193
(87)【国際公開番号】WO2018108336
(87)【国際公開日】20180621
【審査請求日】2019年5月28日
(31)【優先権主張番号】16204579.3
(32)【優先日】2016年12月16日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】ラヌー,クレール
(72)【発明者】
【氏名】フランソワ,ニコラ
【審査官】 東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−120911(JP,U)
【文献】 特開2003−306802(JP,A)
【文献】 特開2002−263384(JP,A)
【文献】 実開昭61−131916(JP,U)
【文献】 特開平07−008308(JP,A)
【文献】 特開平06−239004(JP,A)
【文献】 実開平01−138732(JP,U)
【文献】 特開平06−312434(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第19513647(DE,A1)
【文献】 特開昭52−028359(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02233025(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44C 5/00 − 5/24
A44C 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
腕時計又は装飾品のための外装部品、特に、腕輪又はストラップ(5)、を製造する方法であって、
第2の面の反対側に第1の面を有する基材(1)を用意するステップと、
前記基材(1)の前記第1の面と前記第2の面を、合成材料の第1及び第2のバンド(2)とともに共同押し出し被覆するステップと
を備え、前記第1のバンド(2)は、前記基材(1)のすべて又は一部を依然として見ることができるように、前記第1の面に光透過性ないし半透明の層を形成し、
前記第1のバンド(2)は、異なる色または異なる屈折率の複数の材料の混合物の共同押し出しによって得られ、前記混合物の少なくとも1つは光透過性であり、
前記第1のバンド(2)は、前記共同押し出し被覆によって作られる押し出し材(3)のエッジと中心の間で異なる光学的効果を発揮させる
方法。
【請求項2】
前記共同押し出し被覆するステップの前に、前記基材(1)の前記第1の面に装飾を印刷及び/又はエッチングするステップを有する
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
印刷によって、前記装飾内に、有色のピグメント、発光性化合物、サーモクロミー化合物、光可逆変色化合物又はこれらの混合物を組み入れることを可能にする
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記基材(1)の前記第1の面に複数の別個の装飾が1つずつ印刷及び/又はエッチングされる
請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記印刷及び/又はエッチングの前に、各装飾の印刷又はエッチングに関連するカスタマイズされたデータを含む2D又は3Dのファイルを用意するステップを有する
請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記基材(1)は、天然バンド又は合成テキスタイルバンド、写真紙の細長材、金属バンド、熱可塑性エラストマーバンド、ラバーバンド又は接着性のバンドによって形成される
請求項1〜のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記基材(1)は、リネン、綿、麻、羊毛、合成皮革、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、熱可塑性オレフィン(TPE−O)、熱可塑性ポリイミド樹脂(TPA)、熱可塑性ウレタン(TPU)、スチレン熱可塑性エラストマー(TPE−S)又は熱可塑性コポリエステル(TPE−E)又は熱可塑性コポリエステルポリアミド(TPE−A)、ゴム、ポリ塩化ビニル、PETからなる群から選ばれた材料を含有している
請求項1〜のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記接着性のバンドは、鉱物粒子、有機粒子又は金属粒子を含有する
請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記基材(1)は、前記第1及び第2のバンド(2)よりも小さな幅を有し、これによって、前記共同押し出し被覆するステップにおいて前記バンドによって被覆される
請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
合成材料で作られた前記第1のバンド及び/又は前記第2のバンド(2)は、異なる色及び/又は屈折率及び/又は機械的性質を有する複数の種類の合成材料の混合物を共同押し出しすることによって得られる
請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記第1及び第2のバンド(2)の合成材料は、熱可塑性エラストマー、シリコーン、ゴム及びフッ素化されたエラストマーからなる群から選ばれる
請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記第2のバンド(2)の合成材料は、前記外装部品の快適性を改善させるフィラーを含有する
請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
共同押し出し被覆によって作られる前記押し出し材(3)は、前記腕輪(5)の幅又は前記腕輪(5)の1つ又は2つのストランドの長さに対応する幅を有する
請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計時器と装飾品の分野に関する。本発明は、特に、腕輪(ブレスレット)、ストラップなどを作るために基材に対して共同押し出し被覆(コエクストルージョンコーティング)を行う方法に関する。
【背景技術】
【0002】
異なる色、装飾を有していたり、特定の視覚効果を組み入れたりしているプラスチック製腕輪は、顧客に高く評価されている。この種の腕輪は、異なる色のプラスチック材料を用いて射出成形、オーバーモールド又はバイインジェクションモールドをすることによって製造することができる。これらは、多くのステップを伴うバッチ製造プロセスであり、そのために、廉価な物の工業的な大量生産には適さない。
【0003】
過去に、より低コストなプロセスである押し出しプロセスによって腕輪を作ることが提案されている。フランス特許FR2121864に記載されているように、押出しによる腕輪の製造は、一般的には、単色である同じ材料で作られる単純な形の腕輪の製造に限定されている。最近、欧州特許出願EP16150493において、色や特性が異なるいくつかの材料を共同押し出しして複雑な幾何学的構成や特性を備える腕輪を形成することが提案されている。
【0004】
しかし、これらの方法では、特定の幾何学的構成や、景色、小さな立像、メッセージなどにおいて必要とされるように非常に高い精度を有する複雑なパターンを作ることができない。また、プラスチック材料ではない材料は独特な審美的効果を発生させることがあるが、そのような材料を組み入れることは難しい。
【0005】
一般的には、複雑なパターンを有する腕輪は、成型によって作られた単色の基材上にデジタル印刷することによって作られる。デジタル印刷によって、種々様々な設計に対応することができる。しかし、このプロセスにはいくつかの課題がある。すなわち、表面上にのみパターンが形成され、したがって、機械的に摩耗する。このことは、時間が経過するにしたがってパターンが弱くなることを意味している。摩耗は、一般的には不規則であり、そのために、非常に速く腕輪の美的外観が害される。また、パターンはUV損傷や化学的損傷に弱い。このように、この種のプロセスによって製造される腕輪には、時間とともに変化するパターンがあり、これは、望まれない魅力がない外観を与える。フランス特許FR2639870は、熱可塑性のボディー、印刷されたフィルム及び光透過性の保護層によって形成された腕輪を提案することによって、この課題を解決している。しかし、この文献において提案されている製造方法は、射出成形プロセスである。このことによって、印刷されたフィルムを型内にて適所にポジショニングし保持するという課題が発生する。また、この射出成形プロセスは、長く(印刷されたフィルムを印刷し切断し、そのフィルムを型内にポジショニングし成型して光透過性の保護層を形成する)、いくつかの手動のオペレーションを必要とする。このことによって、生産速度を高くすることができなくなる。
【0006】
腕輪に表面印刷することの別の課題として、表面エネルギーが低いシリコーンタイプのプラスチック製腕輪に対するデジタル印刷のインクの接着性が低いということがある。また、腕輪の基本的プラスチック組成を変えると、インク組成を再調整することが必要となることが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、高い生産速度に対応することができる単純で低コストな方法を用いて、外装部品、特に、複雑なパターンを有する腕輪又はストラップ、を製造することを目的とする。本発明は、正確には、何らかのポジショニングについての問題又は印刷されたインクを用いる場合のインクの接着性についての問題がなく、外装部品内に装飾を組み入れることを意図するものである。本発明は、さらに、時間が経過しても印刷された装飾の安定性を確実にする製造方法を開発することを提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このために、本発明は、腕時計又は装飾品のための外装部品、特に、腕輪、を製造する方法に関する。これは、第2の面の反対側に第1の面を有する基材を用意するステップと、前記基材の前記第1の面と前記第2の面を、合成材料の第1及び第2のバンドとともに共同押し出し被覆するステップとを備え、前記第1のバンドは、前記基材のすべて又は一部を依然として見ることができるように、前記第1の面に光透過性ないし半透明の層を形成する。
【0009】
本発明の製造方法の有利な実施形態において、基材の第1の面と第2の面を共同押し出し被覆するステップの前に、基材の第1の面上に装飾を印刷及び/又はエッチングするステップを行い、好ましくは、基材の第1の面に複数の別個の装飾を1つずつ印刷及び/又はエッチングする。
【0010】
好ましい変種において、前記印刷するステップの前に、各装飾の印刷又はエッチングに関連するカスタマイズされたデータを含む2D又は3Dのファイルを提供するステップを行う。
【0011】
従属請求項に、他の特定の実施形態が記載されている。
【0012】
図面を参照しながら下記の詳細な説明を読むことで、本発明の特徴及び利点が明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る方法を実装している共同押し出しダイの上流にある押し出し成形機の概略図である。
図2】ブランクのバンドに異なるパターンのシーケンスを印刷する方法を示している。このようにして装飾されたバンドは、本発明に係る共同押し出し被覆方法において基材として用いられる。
図3】本発明にしたがって共同押し出しダイによって作られた多層の押し出し材及び切断とスタンピングの後の同じ押し出し材の概略図である。この変種によると、腕輪は、腕輪の長手方向に共同押し出しされる。
図4】腕輪が腕輪の横断方向にて共同押し出しされる別の変種を示している。また、切断オペレーションの後の押し出し材も示している。押し出し材には、その横方向の端において、中空の管状構造があり、これはこの後に腕輪をケースに取り付けるために有用である。
図5】本発明の方法によって得られた腕輪を備えた腕時計の部分的な斜視図であり、これは、NATOタイプの設計でケースに固定されている。
図6】本発明の共同押し出し法によって作られた腕輪を備えた腕時計の斜視図である。腕輪の上側バンドには、くぼみによって分離される隆起領域がある。図示していないが、上側バンドは、中央バンドの装飾を見せるように光透過性ないし半透明である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、基材に対して共同押し出し被覆を行うことによって計時器又は装飾品のための外装部品を製造する方法に関連する。「外装部品」とは、特に、腕輪、腕時計ケース及びその構成要素、ベゼル又は表盤を意味している。ここでは、この方法について、特に、腕輪の製造について説明する。この方法は、複雑な装飾及び/又はテキスチャーを有する基材を合成材料のバンドとともに被覆することを伴う。図1は、この方法を、各面にてそれぞれ合成材料2で共同押し出し被覆された基材1を形成する装飾用バンドのリールを用いて、概略的に示している。本発明によると、装飾に対向する被覆は、少なくとも部分的に光透過性ないし半透明である。これによって、装飾のパターンを見ることができる。
【0015】
装飾用バンドは、約200℃の高温に数秒間耐えることができる任意のフレキシブルな基材によって形成される。これは、通常、50μm〜2mm、好ましくは、100〜500μmの厚みを有する。
【0016】
パターンは、バンド全体にわたって一定であることができる。例えば、装飾用バンドは、天然又は合成テキスタイルのバンド(織られていなかったり、方向性がなかったり、織られていたり、ブレードされていたり、編まれていたりするもの)であることができ、特に、リネン、綿、麻、羊毛、ポリエステル、ポリアミドポリウレタンの材料によって作られる。装飾用バンドは、写真紙の細長材、金属板、砂のような鉱物粒子、木材繊維、植物質のような有機粒子又は金箔のような金属粒子が組み入れられた接着性のバンドであることができる。装飾用バンドは、TPU、TPI、TPE−O(熱可塑性オレフィン)、TPE−S(スチレン熱可塑性エラストマー)、TPE−E(熱可塑性コポリエステル)、TPE−A(熱可塑性コポリアミド)又はTPE−V及びTPSi−V(熱可塑性シリコーンとクロスリンクされたシリコーンの組み合わせ)のバンドのような熱可塑性エラストマーのバンドであることもできる。装飾用バンドは、PVC、PET、特定のタイプのポリカーボネート(PC)、又は天然又は合成ゴムのバンドであることもできる。装飾用バンドは、処理せずに用いることができ、この場合、天然の繊維の外観、その金属的な光沢などを有する実際の材料によって装飾が形成される。装飾用バンドは、パッド印刷、シルク印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、デジタル印刷のような伝統的な印刷方法によっても装飾されることができる。特に、基材上に印刷することによって、有色のピグメント、蛍光性、リン光性、サーモクロミー又はフォトクロミックな特性を有する化合物を装飾に組み入れることが可能になる。また、装飾用バンドをカレンダー掛けタイプのインラインエッチングプロセスによって装飾することもできる。工業的な観点から見ると、この方法は、腕輪の集合の製造に非常に適している。同じ集合内にて、腕輪の設計は同一であり、新しい集合を製造するには単に装飾用バンドのリールを変えればよい。
【0017】
本発明の変種の1つによると、ブランクの基材バンドにパターンがオンデマンドで印刷される。このようにして、図2に示しているように、異なるパターンのいくつかのシーケンスを同じバンド1に1つずつ印刷及び/又はエッチングすることができる。好ましくは、デジタル印刷によって印刷を行って、柔軟性を増すことができる。この場合、熱可塑性エラストマー(TPE−O、TPU、TPI、TPE−S、TPSi−v、TPE−v)、ゴム、PETで作られたバンド、合成又は天然のテキスタイルのバンド(特に、合成皮革)などは、特に適している。工業的な観点から見ると、この大量生産方法は、カスタマイズされた腕輪の製造に特に適している。顧客が自身の設計(図面、個人の写真など)を選び、可能性としては、基材のタイプ、オンライン又は店舗を選び、好ましくはデジタルファイルの形態である設計が基材の寸法に合うように処理され、そして、2D又は3Dのパターンが、腕輪ストランドの幅又は長さに長さが対応するブランクの基材バンドの特定の部分に、デジタル印刷によって印刷される。次に、顧客によって選ばれたパターンの様々なシーケンスを用いて装飾用バンド全体が印刷された後に、装飾用バンドが合成材料の2つのバンドとともに被覆される。このようにして形成された多層の押し出し材は、ウォータージェット、レーザー、デジタルナイフ(例えば、製造業者Zund社によって提供されている機械)又はスタンピングのプロセスによって切断され、カスタマイズされた腕輪が作られる。
【0018】
本発明に係るプラスチック被覆バンドは、外部ダメージから装飾用バンドを保護し、特定の審美的及び/又は視覚的な外観を与えるように意図されており、例えば、プラスチック被覆バンドは、拡大効果又は他の同様な光学的効果を発揮するように構成していることができる。皮膚に接するように意図された内側被覆バンドと、基材の対向面に配置された外側被覆バンドがある。典型的には、これらのバンドの厚みは、100μm〜2mmであり、好ましくは、100μm〜1mmである。
【0019】
外側のプラスチック被覆バンドは、標準ASTM D-1003にしたがって、透過インデックスが60%よりも大きいように、少なくとも部分的に光透過性ないし半透明である。これによって、装飾用バンドのパターンが見えるようにする。以下のようないくつかの構成を考えることができる。第1の変種において、外側バンドは、全体的に光透過性ないし半透明であり、結果的に、表面全体にわたってパターンが見えるようになる。第2の変種において、外側被覆バンドは、異なる色又は異なる屈折率の材料の混合物の共同押し出しによって得られ、この混合物の少なくとも1つは、装飾用バンドのパターンが見えるように光透過性である。したがって、光透過性ないし半透明の領域を維持しつつ、例えば、押し出し材の幅を横切って異なる色の線を作ることができる。この構成によって、腕輪のエッジと中心の間で異なる深さの効果を発揮させることができる。
【0020】
内側のプラスチック被覆バンドは、顧客に快適性を与えるように選ばれる。これは、55〜90ショアAの硬度を有しており、快適性を改善させるために添加剤を含有することができる。例えば、内側のプラスチック被覆バンドは、熱エネルギーを取り除き汗を減らすように、六方晶窒化ホウ素タイプのセラミックスを含有することができる。また、これは、汗がなくなるように毛管効果を発揮するテキスタイル繊維を含有したり、汗を抑えるようにアルミニウム塩類を含有したりすることができる。また、内側のプラスチック被覆バンドは、抗菌物質を含有することができる。これは、例えば、臭い対策の効果のための銀や亜鉛ピリチオンの粒子である。内側のプラスチック被覆バンドは、外側バンドのように、腕輪のエッジと中心の間で異なる光学的効果を発揮させるように異なる色又は異なる屈折率のプラスチック混合物を共同押し出しすることによって得ることができる。同様に、本発明は、内側バンドが少なくとも部分的に光透過性ないし半透明であることも排除しない。
【0021】
本発明によると、共同押し出し被覆において用いられる合成材料は、少なくとも1つのエラストマーを含有する混合物である。好ましいエラストマーは、熱可塑性エラストマー、シリコーン、ゴム及びフッ素化されたエラストマーである。
【0022】
正確には、外側バンドのために、エラストマーは、好ましくは、以下のリストから選ばれる。
− TPE−O − 熱可塑性オレフィン
− TPE−S − 特に、スチレン化合物SBS、SEBS又はSEPS
− TPE−E − コポリエステル化合物
− TPE−U − 熱可塑性ポリウレタン
− TPE−A − 熱可塑性ポリアミド
− アイオノマー樹脂
− シリコーン、好ましくは、MVQ(メチルビニルシリコーンゴム)
− フッ素化されたエラストマー:FKM
【0023】
より正確には、内側バンドのために、エラストマーは、好ましくは、以下のリストから選ばれる。
− TPE−O − 熱可塑性オレフィン
− TPE−S − 特に、スチレン化合物SBS、SEBS又はSEPS
− TPE−V − 特に、化合物PP/EPDM又はTPSiV(熱可塑性シリコーンとクロスリンクされたシリコーンの組み合わせ)
− TPE−E − コポリエステル化合物
− TPE−U − 熱可塑性ポリウレタン
− TPE−A − 熱可塑性コポリアミド
− アイオノマー樹脂
− シリコーン、好ましくは、MVQ(メチルビニルシリコーンゴム)
− フッ素化されたエラストマー:FKM
【0024】
好ましくは、内側バンドのための合成材料と外側バンドのための合成材料は、化学的に共存でき、好ましくは、腕輪との結合が良好であることを確実にするために同じ物質である。
【0025】
混合物には、固有な性質のために選ばれたエラストマーに依存して、顧客の快適性を改善することを望んで様々なフィラーや添加剤を補助的に用いることができる。
【0026】
共同押し出し被覆方法は、図3に示しているように、腕輪の幅に対応する幅を有する多層の押し出し材3を製造することを伴うことができる。好ましくは、基材1は、上側及び下側バンド2よりも小さな幅を有し、これによって、その側方のエッジは、合成バンドによって完全にカバーされる。共同押し出し被覆方法は、さらに、図4に示しているように、腕輪の一方のストランド又は両方のストランドの長さに対応する幅を有する多層の押し出し材3を製造することを伴うこともできる。同様に、基材の側方のエッジは、全体的に合成材料で被覆される。図3の実施形態において、腕輪5及び所望の穴6の形は、スタンピング、レーザー切断、デジタルナイフ切断又はウォータージェット切断によって得られる。共同押し出しの後に得られた多層の押し出し材は、一体化されていることができ、腕時計ケースの両側に配置されたループ7によって腕時計ケース8に取り付けられる。これは、図5に示しているいわゆるNATO設計である。図4の実施形態において、その後の腕時計ケースへの腕輪の組み付けを促進させるために、横方向の端において突き出ている中空の管状構造9がある多層の押し出し材3を作ることは有利である。この管状構造9は、腕時計ケースへの取り付けのための棒体をホーンとバックルでそれぞれ受けるように意図されており、腕輪に必要な幅は、レーザー切断、デジタルナイフ切断、ウォータージェット切断又はスタンピングによって前に得られたものである。また、幅を横切って腕輪ストランドに囲まれたケースの輪郭を組み入れる多層の押し出し材を作ることを考えることができる。その後に、ケースのための凹部をスタンピングによって形成することができる。
【0027】
また、共同押し出しダイには、突き出ている領域、一般的には、特定のエンボスされた設計の領域、がある被覆バンドを押し出すために独特な輪郭があることができる。図6は、例として、腕輪の外側バンドのために得ることができる輪郭を示している。また、本発明の範囲から逸脱せずに、この押し出し方法のさらなる利点を享受することができる。例えば、特に取り付け手段についていくつかの材料を組み合わせて腕輪の機械的性質を局所的に変えることができる。
【0028】
このようにして共同押し出しによって作られた腕輪には多くの利点がある。
【0029】
本発明に係る方法は、顧客によって選ばれた設計が反映されたカスタマイズされた腕輪ないし固有な腕輪を得ることを可能にする低コストな大量生産方法である。したがって、本発明に係る方法は、速い生産速度の大量生産には適さない一品ごとの成型方法とは異なる。
【0030】
製造ラインを変えずに非常に異なる設計を得ることができる。
【0031】
腕輪は、合成材料の厚い光透過性の層によって発生する深さの効果及び三次元効果を発揮する優れた美的外観を有する。
【0032】
腕輪内には複雑なパターンが形成される。したがって、腕輪は、合成バンドによって外部からの損傷(機械的摩耗、化学的損傷、紫外線など)から保護される。パターンは、三次元的な腕輪上ではなく、平坦な基材上に印刷される。このことによって、印刷プロセスを非常に単純化することができる。
【0033】
本発明に係る方法は、射出成形プロセスとは異なり、装飾用バンドが合成材料内にて正確に配置されることを可能にする。
【0034】
装飾用バンドの性質は、腕輪の基本組成に依存せずにインクの付着が良好であることを確実にするように選ぶことができる。
【0035】
また、装飾用バンドと被覆バンドの間の接着性について心配する必要なしに、上側バンドと下側バンドの間の接着によって腕輪の結合性が確実になる。これらの特徴によって、外装部品内に任意のタイプの媒体を組み入れることが可能になる。
【符号の説明】
【0036】
1 装飾用バンドとも呼ぶ基材
2 外側バンドと内側バンド
3 押し出し材
4 プリンター
5 腕輪又はストラップ
6 穴
7 ループ
8 ケース
9 中空の管状構造
10 腕時計
図1
図2
図3
図4
図5
図6