(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6810876
(24)【登録日】2020年12月16日
(45)【発行日】2021年1月13日
(54)【発明の名称】入浴構造
(51)【国際特許分類】
A61H 33/00 20060101AFI20201228BHJP
【FI】
A61H33/00 310K
【請求項の数】14
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2020-535039(P2020-535039)
(86)(22)【出願日】2017年11月6日
(86)【国際出願番号】EP2017078313
(87)【国際公開番号】WO2019086130
(87)【国際公開日】20190509
【審査請求日】2020年6月22日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520154575
【氏名又は名称】ロボティクス・ケア・エービー
【氏名又は名称原語表記】Robotics care AB
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】リュベリ、トーマス
【審査官】
森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2016/107711(WO,A1)
【文献】
国際公開第2016/107712(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2004/231043(US,A1)
【文献】
国際公開第2006/075351(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 33/00 − 33/14
A61G 7/10 − 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入浴構造(100)であって、
開閉可能な側壁(500)を備える入浴囲い(110)と、
人をサポートするためのシート(120)と、ここにおいて、前記シートは、水平軸について前記シートを旋回させるために前記入浴構造のピボット(130)に旋回可能に結合され、それにより、前記シートは、前記ピボットの回転の際に、前記入浴囲い内の前記シートの格納ポジションと前記入浴囲いの外側の前記シートの伸長ポジションとの間で移動可能であり、
前記ピボットに結合されている作動システム(140)と、ここにおいて、前記作動システムは、前記シートの前記格納ポジションと前記シートの前記伸長ポジションとの間での前記シートの移動のために前記ピボットを回転させるように構成され、ここにおいて、前記作動システムは、前記シートが前記入浴囲い内の前記シートの前記格納ポジションから前記入浴囲いの外側の前記シートの前記伸長ポジションに移動する前に前記側壁を開き、前記シートが前記入浴囲いの外側の前記シートの前記伸長ポジションから前記入浴囲い内の前記シートの前記格納ポジションに移動した後に前記側壁を閉じるように構成されている、
を備える、入浴構造。
【請求項2】
前記ピボットは、水平に配置されているピボット軸を備える、請求項1に記載の入浴構造。
【請求項3】
前記作動システムは、前記ピボットに結合されているレバー機構(180)と、前記ピボットの回転のために前記レバー機構を介して前記ピボットに機械的に結合されている伸縮要素(190)とを備える、請求項1又は2に記載の入浴構造。
【請求項4】
前記作動システムに通信可能に結合されている少なくとも1つの制御ユニット(200)をさらに備え、前記少なくとも1つの制御ユニットが、前記シートの前記移動を制御するように構成されている、請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の入浴構造。
【請求項5】
前記少なくとも1つの制御ユニットのうちの少なくとも1つは、手動で操作可能である、請求項4に記載の入浴構造。
【請求項6】
前記少なくとも1つの制御ユニットのうちの少なくとも1つは、前記シート上に配置され、前記シートに座っている人によって手動で操作可能である、請求項5に記載の入浴構造。
【請求項7】
前記シートは、第1の水平方向に配置されている少なくとも1つの肘掛け(300a、b)を備え、前記少なくとも1つの肘掛けのうちの少なくとも1つは、前記第1の水平方向と、前記第1の水平方向とは異なる第2の方向との間で移動可能である、請求項1〜6のうちのいずれか1項に記載の入浴構造。
【請求項8】
前記シートは、前記シートに座っている人の重量を感知するための少なくとも1つの重量センサ(601)を備える、請求項1〜7のうちのいずれか1項に記載の入浴構造。
【請求項9】
前記少なくとも1つの重量センサは、前記作動システムに通信可能に結合され、前記作動システムは、前記シートに座っている人の重量に応じて前記シートを移動させるように構成されている、請求項8に記載の入浴構造。
【請求項10】
前記シートは、前記シートの交換のために前記入浴構造に取り外し可能に固定されている、請求項1〜9のうちのいずれか1項に記載の入浴構造。
【請求項11】
入浴設備(700)であって、
請求項1〜10のうちのいずれか1項に記載の入浴構造と、
入浴囲いに水を供給するための水供給システム(710)とを備える、入浴設備。
【請求項12】
少なくとも1つの身体洗浄製品を前記入浴囲いに供給するための製品供給システム(730)を備える、請求項11に記載の入浴設備。
【請求項13】
前記入浴設備は、前記入浴構造の前記シートに座っている人を洗浄する目的で前記入浴囲い内に配置されている少なくとも1つのノズル(720a−j、740a、b)を備える、請求項11又は12に記載の入浴設備。
【請求項14】
入浴システム(800)であって、
請求項12又は13に記載の入浴設備と、
水供給システム及び製品供給システムに通信可能に結合されている制御システム(810)とを備え、前記制御システムは、入浴囲いへの水及び身体洗浄製品の供給を制御するように構成されている、入浴システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、高齢者、障害者、負傷者、及び/又は運動障害者を入浴時に補助するための入浴構造に関する。
【背景技術】
【0002】
入浴手順は、いくつかの理由により、高齢者及び/又は障害者にとってしばしば問題である。第1に、シャワー及びバスタブのような入浴設備は、通常、非障害者用に設計されており、特に、これらの設備の出入りは、障害者にとって深刻な困難に関連することがあることに留意されたい。第2に、例えば、浴室の床が硬くて滑りやすいことを考慮すると、浴室環境自体が潜在的に危険であるかもしれないことが認識されるだろう。したがって、シャワー又は入浴は、高齢者及び/又は障害者にとって危険であることがあり、いくつかのケースでは、身体的傷害をもたすことがある。その結果、多くの人々は、それに関連するリスクを回避するために、より少ない頻度で入浴することを余儀なくされているかもしれない。代替的に、特にシャワー又はバスタブに出入りするときに、浴室中に1人以上の補助者を得なければならない。しかしながら、補助スタッフは、人を補助するときに重い及び/又は扱いにくい持ち上げにさらされるかもしれず、スタッフは、負傷するリスクも負うかもしれない。さらに、脱衣時及び/又は個人衛生のケア時の補助の必要性は、入浴者にとって恥ずかしい及び/又は屈辱的であることがある。
【0003】
上記の観察に鑑みて、シャワー又は入浴へのアクセス性に関して、高齢者及び/又は障害者に安全かつ便利な補助を提供することができる設備の必要性が高まっている。
【0004】
US2011/0283449は、バスタブ及びシャワーに出入りする間に人を補助するためのシステム及び装置を説明している。システムは、サポート部材を有するバスタブ用椅子システムを備え、サポート部材は、バスタブの第1の側に結合されている第1の端部を有し、バスタブの第2の側に渡って及び第2の側を越えてサポート部材の第2の端部のベース部材まで伸長する。システムは、サポート部材上に配置されている座面と、ベース部材内に配置されている電気モータと、座面を電気モータに結合する駆動部材とをさらに備えている。
【0005】
しかしながら、説明したシステムは、高齢者及び/又は障害者のバスタブへの便利なアクセスを提供しない。したがって、シャワー又はバスへのアクセス性に関して高齢者及び/又は障害者に安全かつ便利な補助を提供できる、代替的な解決策への関心がある。
【0006】
WO2016/107711及びWO2016/107712は、人が安全で、信頼性があり、かつ便利な方法でシャワー及び/又は入浴することができる入浴設備を説明している。入浴囲いの外側のポジションと入浴囲いの内側のポジションとの間で人を前後に移送するように設備が構成されていることが認識されるだろう。したがって、滑る及び/又は落下事故のような入浴及び/又はシャワー時の事故の発生を抑制するという点で、設備は、人の入浴及び/又はシャワー手順をサポートする。入浴設備による、安全で、信頼性があり、便利な人の移送により、特に高齢者及び/又は障害者のための安全な入浴及び/又はシャワー手順を提供できる。
【0007】
しかしながら、上述したような入浴設備のさらに改良された構造の可能性を調査又は研究することに関心があるかもしれない。より具体的には、重量、安定性、安全性及び/又は強度に関して先行技術と比較してさらに改良できる構造を提供することが望まれるかもしれない。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、人にとって安全で便利な入浴又はシャワーアクセスを達成することができ、同時に、安定性、安全性及び/又は強度に関して有利な仕組みを有する入浴構造を提供することである。
【0009】
この目的及び他の目的は、独立請求項に規定される特徴を有する入浴構造を提供することによって達成される。好ましい実施形態は、従属請求項において規定される。
【0010】
したがって、本発明にしたがうと、入浴囲いを備える入浴構造が提供される。入浴構造は、人をサポートするためのシートをさらに備えている。シートは、水平軸についてシートを旋回させるために入浴構造のピボットに旋回可能に結合され、それにより、シートは、ピボットの回転の際に、入浴囲い内のシートの格納ポジションと入浴囲いの外側のシートの伸長ポジションとの間で移動可能である。入浴構造は、ピボットに結合されている作動システムをさらに備え、作動システムは、シートの格納ポジションとシートの伸長ポジションとの間のシートの移動のためにピボットを回転させるように構成されている。
【0011】
本発明にしたがう入浴構造は、人のシャワー、入浴及び/又は洗浄のための安全で便利にアクセス可能な設備を提供し、特に高齢者及び/又は障害者に適している。さらに、入浴構造の仕組みは、比較的軽量でありながら、強度及び安定性を確保する。
【0012】
入浴構造のシートは、ピボットを介した作動システムによって、入浴囲い内のシートの第1の格納ポジションと入浴囲いの外側の第2の伸長ポジションとの間で移動可能である。入浴囲い内のシートの格納ポジションにおいて、人は、シャワーを浴び、入浴し、及び/又は洗浄することができる。入浴囲いの外側のシートの伸長ポジションでは、人は、シャワー及び/又は入浴の前にシートに座ってもよく、或いは、シャワー及び/又は入浴の後にシートから離れてもよい。これにより、入浴構造は、シャワー及び/又は入浴手順の前に人がシートに便利にアクセスできるように構成され、同様に、前記手順の後に人がシートを便利に離れるように構成されている。入浴構造は、さらに、人を入浴囲いの外側のポジションから、シャワー及び/又は入浴手順が行われる入浴囲い内に優しくかつ便利に移送するように構成されている。前記手順の後、入浴構造は、人を入浴囲いの外側のポジションに優しくかつ便利に戻すように構成されている。
【0013】
シートは、水平軸についてシートを旋回させるために入浴構造のピボットに旋回可能に結合され、作動システムは、ピボットを回転させるためにピボットに機械的に結合される。これにより、シートは、作動システムによるピボットの回転の際に、その格納ポジションと伸長ポジションとの間で移動するように構成されている。
【0014】
本発明は、入浴構造が、人を入浴構造に出入りするための比較的強く安定した構造を提供するという点で有利である。本発明の入浴構造の強度及び安定性は、高齢者及び/又は障害者を移送するために特に重要かつ有利であることが認識されるだろう。さらに、入浴構造の強度及び安定性は、比較的大きく重い人に対しても安全で信頼性の高い入浴動作を保証することができる。
【0015】
本発明は、人が安全で、信頼性があり、便利な方法でシャワー及び/又は入浴することができることがさらに有利である。入浴構造は、入浴囲いの外側のポジションと入浴囲いの内側のポジションとの間で人を前後に移送するように構成されていることが認識されるだろう。したがって、入浴構造は、人の入浴及び/又はシャワー手順をサポートし、入浴及び/又はシャワーのときの滑る及び/又は落下事故のような事故の発生を抑制する。入浴構造による人の安全で、信頼でき、便利な移送により、本発明は、特に高齢者及び/又は障害者のための安全な入浴及び/又はシャワー手順を提供する。
【0016】
本発明の別の利点は、入浴及び/又はシャワーを浴びる際に、1人以上の補助者からの助けを必要とせずに、人が自分自身を補助できることである。これは、入浴構造が、入浴囲いの外側のポジションと入浴囲いの内側のポジションとの間で人を移送し、再び戻るように構成され、入浴構造が、さらに、人のために、シートへの容易かつ便利なアクセス、並びにシートからの容易かつ便利な上昇を提供することとして理解される。したがって、本発明の入浴構造は、1人以上の補助者の必要性を回避することができ、これは経済性及び/又は個人での完全性の点で有益である。
【0017】
補助者の助けを必要とせずに入浴及び/又はシャワーを浴びるときに自分自身を補助する人の能力の別の利点は、これによって補助者スタッフの負傷のリスクを回避できることである。人が自律的に入浴/シャワーを浴びることができる設備を入浴構造が提供するので、本発明の入浴構造は、人を助けるときに補助者スタッフを重く及び/又は扱いにくい持ち上げにさらすリスクを回避することが認識されるだろう。
【0018】
脱衣時及び/又は個人衛生のケア時の補助の必要性は、入浴者にとって恥ずかしい及び/又は屈辱的であるかもしれないことが認識されるだろう。したがって、本発明の別の利点は、入浴及び/又はシャワーを浴びることを意図する人に個人的補助が必要とされないことから、入浴構造が入浴者に親密さを提供することである。
【0019】
入浴構造は、入浴囲いを備える。「入浴囲い」という用語は、ここでは、実質的に任意の(シャワー)キャビン、キャビネット、キュービクル、ブース、(バス)タブ、又はこれらに類するものを意味する。
【0020】
入浴構造は、人をサポートするためのシートをさらに備え、シートは、ピボットに旋回可能に結合される。「シート」という用語は、ここでは、座っているポジションで人をサポートするための実質的にあらゆる種類の要素を意味する。「旋回可能に結合される」という用語は、ここでは、ピボットが回転されるとき、シートが水平軸について垂直面内の予め定められた経路に沿って旋回又は回転してもよいように、シートがピボットに機械的に結合されることを意味する。
【0021】
入浴構造は、ピボットに結合されている作動システムをさらに備える。「作動システム」という用語は、ここでは、それに結合されている任意の要素を作動、駆動、移動、及び/又は実行するように構成、配置、及び/又は適合されている実質的に任意のシステム、設備、及び/又は装置を意味する。作動システムは、ピボットに結合され、シートが入浴囲い内のシートの格納ポジションと入浴囲いの外側のシートの伸長又は引き出しポジションとの間で(前後に)移動されるように、水平軸についてシートを旋回させるためにピボットを回転させるように構成、配置、及び/又は適合されている。「構成されている」という用語は、ここでは、作動システムが、動作(例えば、ピボットの回転)を行うように配置され、適合され、及び/又は行うことができるが、必要及び/又は所望されない場合、そのようにすることを強制されないことを意味する。
【0022】
本発明の実施形態にしたがうと、ピボットは、水平に配置されているピボット軸を含むことができる。これにより、シートは、ピボット軸についてシートを旋回させるために、入浴構造の水平に配置されているピボット軸に旋回可能に結合されてもよく、シートは、ピボット軸の回転の際に、入浴囲い内のシートの格納ポジションと入浴囲いの外側のシートの伸長ポジションとの間で移動可能である。
【0023】
本発明の実施形態にしたがうと、作動システムは、ピボットに結合されているレバー機構と、ピボットの回転のためにレバー機構を介してピボットに機械的に結合されている伸縮要素とを備えている。「レバー機構」という用語は、1つ以上のレバー、機械的アーム、又はこれらに類するものを含む実質的に任意の機構を意味する。「伸縮要素」という用語は、ここでは、作動の際に、より長く(伸長)又はより短く(収縮)することができる実質的に任意の要素を意味する。本実施形態は、作動システムが伸縮要素を都合よく作動させることができ、レバー機構を介してピボットにモーメントを与えることができ、ピボットが回転することができることである。
【0024】
本発明の実施形態にしたがうと、入浴構造は、作動システムに通信可能に結合されている少なくとも1つの制御ユニットをさらに備えていてもよく、制御ユニットは、シートの移動を制御するように構成されてもよい。「通信可能に結合される」という用語は、ここでは、通信が確立されてもよい(例えば、ワイヤ又はワイヤレスによる)実質的に任意の結合及び/又はリンクを意味する。「制御ユニット」という用語は、ここでは、例えばフィードバックによってシートの移動、動き、及び/又はポジショニングを制御するように構成され、配置され、適合され、及び/又は制御することができる実質的に任意のユニット、システム、設備、及び/又は装置を意味する。したがって、入浴構造の制御ユニットは、作動システムを介してシートの移動を制御するように構成されてもよい。本実施形態は、入浴構造が、1つ以上の条件にしたがってシートの動きを適合させることができるという点で有利であり、それにより、入浴構造は、人がシートに座る、入浴囲いに入る(から出る)、及び/又はシートから出るそれぞれの方法をさらに容易にすることができる。
【0025】
本発明の実施形態にしたがうと、少なくとも1つの制御ユニットは、手動で操作可能であってもよい。「手動で操作可能」という用語は、ここでは、制御ユニットが、入浴構造を使用する及び/又は使用しようとする人によって操作可能であってもよいことを意味する。代替的に、制御ユニットは、補助者のような他の何らかの人によって操作可能であってもよい。本実施形態は、入浴構造を使用する及び/又は使用しようとする人、並びに/或いは、1人以上の補助者がシートの動きを制御することができるという点で有利である。
【0026】
本発明の実施形態にしたがうと、少なくとも1つの制御ユニットのうちの少なくとも1つは、シート上に配置されてもよく、シートに座っている人によって手動で操作可能であってもよい。例えば、制御ユニットは、シートの肘掛けに配置されてもよい。本実施形態は、入浴構造のシートに座っている人がシートの動きを便利に制御できるという点で有利である。本発明のさらに別の実施形態にしたがうと、入浴構造は、少なくとも1つの制御ユニットに通信可能に結合されている検出ユニットをさらに備えることができる。検出ユニットは、シートに対する人のポジションを検出するように構成されてもよく、少なくとも1つの制御ユニットは、検出した人のポジションにしたがってシートをポジション決めするように構成されてもよい。言い換えると、検出ユニットは、人のポジションを検出するように構成され、配置され、適合され、及び/又は検出することができる。検出した人のポジションに基づいて、制御ユニットは、検出されたポジションにしたがってシートをポジション決めするように構成され、配置され、適合され、及び/又はポジション決めすることができる。本実施形態は、入浴構造が、制御ユニットによって、人に対してシートをポジション決めして、人がシートに座ることができる方法をさらに促進できるという点で有利である。本実施形態は、シートがさもなければ入浴構造を使用しようとする人と衝突すると制御ユニットが検出したケースにおいて、シートの移動を停止するように制御ユニットを構成することができるので、入浴構造の安全性がさらに増加するという点でさらに有利である。
【0027】
本発明の実施形態にしたがうと、シートは、第1の水平方向に配置されている少なくとも1つの肘掛けを備えることができ、少なくとも1つの肘掛けのうちの少なくとも1つは、第1の水平方向と、第1の水平方向とは異なる第2の方向との間で移動可能である。「シートに沿った方向」という用語は、ここでは、実質的にシートに沿った水平方向を意味する。これにより、1つの(又は両方)の肘掛けを、シートに沿った第1の方向から他の何らかの第2の方向に移動させ、再び元に戻すことができる。例えば、肘掛けは、シートに沿った(水平)ポジションと肘掛けの垂直ポジションとの間で移動可能であるように構成されてもよい。代替的に、肘掛けは、シートに沿った(水平)ポジションと、シートに対して横方向外側に伸長するポジションとの間で移動可能であるように構成されてもよい。人がシートに座ることを意図するとき、入浴構造が肘掛けによる妨害を軽減するように、肘掛けは離れて移動されてもよいことが理解されるであろう。したがって、本実施形態は、入浴構造が、人のシートへのアクセス及び/又は人がシートに座る及び/又はシートから離れる方法をさらに促進することができるという点で有利である。
【0028】
本発明の実施形態にしたがうと、シートは、シートに座っている人の重量を感知するためのうちの少なくとも1つの重量センサを備えることができる。少なくとも1つの重量センサは、シート上及び/又はシート内に設けられ、配置され、及び/又は分布されてもよく、重量センサは、人の(実際の)重量及び/又はシート上の人の重量の分布を決定してもよい。本実施形態は、入浴構造がシート上の人のポジションを決定するように構成されてもよいという点で有利である。例えば、入浴構造は、人がシートに正しく座っているか、又は間違って座っているかを決定するように構成されてもよい。本実施形態は、入浴構造が、例えば健康登録目的のために、人の重量を便利に決定することができるという点で、さらに有利である。本発明のさらに別の実施形態にしたがうと、少なくとも1つの重量センサは、作動システムに通信可能に結合することができ、作動システムは、シートに座っている人の重量に応じてシートを移動させるように構成することができる。言い換えると、入浴構造の作動システムは、シート上の人の重量及び/又は重量分布に基づいて(応じて)シートを移動させるように構成され、配置され、適合され、及び/又は移動させることができる。例えば、入浴構造は、人がシート上に正しく座っているか又は誤って座っているかを決定するように構成することができ、これにより、この情報に基づいてシートを移動させるように構成することができる。例えば、作動システムは、人がシートに正しく座っているようである場合にシートを移動させ、人がシートに正しく座っていないような場合に移動を停止するように構成されてもよい。本実施形態は、入浴者の安全面において、入浴構造をより一層向上させるという利点がある。
【0029】
本発明の実施形態にしたがうと、入浴囲いは、開閉可能な側壁を備えてもよく、作動システムは、シートが入浴囲い内のシートの格納ポジションから入浴囲い外のシートの伸長ポジションに移動する前に側壁を開き、シートが入浴囲い外のシートの伸長ポジションから入浴囲い内のシートの格納ポジションに移動した後に側壁を閉じるように構成されている。本実施形態は、作動システムが、シートに座っている人が側壁を開閉する必要なく、シートの移動及び/又はポジションに依存して側壁を(自動的に)開閉するように構成、配置、適合され、及び/又は開閉可能であるという点で有利である。
【0030】
本発明の実施形態にしたがうと、シートは、シートの交換のために入浴構造に取り外し可能に固定される。本実施形態は、シートを洗浄する必要があるケース、及び/又はシートに何らかの損傷があるケースにおいて、カスタマイズ目的でシートを便利に交換できるという点で有利である。
【0031】
本発明の実施形態にしたがうと、シートは、シートの伸長ポジションにおいて垂直に動かすことが可能なフットレストを備える。本実施形態は、垂直方向に動かすことが可能なフットレストが、入浴構造のシートのアクセス性及び/又は快適性にさらに寄与できるという点で有利である。
【0032】
本発明のさらに別の実施形態にしたがうと、本発明の入浴構造は、シートの伸長ポジションにおいて、シートを水平面内で回転させるように、及び/又は垂直軸に対してシートを傾斜させるように構成されてもよい。これにより、入浴構造は、人がシートに座ることを意図するときに、安全で信頼性のある方法で人を受け入れてサポートすることができる。同様に、入浴構造は、人がシートを離れようとするときに、安全で信頼性のある操作を提供するためにシートを回転及び/又は傾斜させるように構成されている。座っている時のさもなければ実質的に水平なポジションから起立ポジションへの移動は、高齢者及び/又は障害者にとって特に困難であるかもしれないので、入浴構造の作動システムがシートを傾斜させる能力は、人がシートを離れようとするときに特に有利であることに留意されたい。さらに、入浴構造は、シートを傾斜及び/又は回転させることができるので、入浴構造は、身体の左側又は右側の運動に障害があるかもしれない、脳卒中を患う人にとって特に有益である。
【0033】
本発明の実施形態にしたがうと、前述の実施形態のいずれか1つにしたがう入浴構造と、入浴囲いに水を供給するための水供給システムとを備える入浴設備が提供される。水供給システムは、入浴構造の入浴囲いに水を供給するための実質的に任意のシステムであってもよいことが理解されるであろう。例えば、水供給システムは、例えば1つ以上の(シャワー)ノズルを含むシャワーシステムとして配置及び/又は形成されてもよい。代替的に、水供給システムは、例えば、入浴囲いを水で少なくとも部分的に満たすための1つ以上の蛇口を備える、入浴システムとして配置及び/又は形成されてもよい。本実施形態は、入浴囲い内のシートに座っている人が、水供給システムによって容易かつ便利にシャワーを浴びる及び/又は入浴することができるという点で有利であり、水供給システムは、自動的に及び/又は手動で操作されてもよい。
【0034】
本発明の実施形態にしたがうと、入浴設備は、少なくとも1つの身体洗浄製品を前記入浴囲いに供給するための製品供給システムを備えることができる。製品供給システムは、少なくとも1つの身体洗浄製品を入浴囲いに供給するための実質的に任意の自動及び/又は手動で操作されるシステムであってもよいことが認識されるだろう。「身体洗浄製品」という用語は、ここでは、石鹸、シャンプー、(ヘア)コンディショナー等のような、身体を洗浄する及び/又は洗う目的のための実質的に任意の製品を意味する。本実施形態は、自動及び/又は手動製品供給システムが、入浴囲い内のシートに座っている人に少なくとも1つの身体洗浄製品を容易かつ便利に供給するように構成及び/又は配置されるという点で有利である。
【0035】
本発明の実施形態にしたがうと、入浴設備は、入浴構造のシートに座っている人を洗浄する目的で入浴囲い内に配置されている少なくとも1つのノズルを備えることができる。1つ以上のノズルが、1つ以上の前述の実施形態にしたがう水供給システム及び/又は製品供給システムに結合されてもよいことが理解されるであろう。さらに、少なくとも1つのノズルは、入浴設備を使用する人の異なるエリアを洗浄するために、入浴囲い内のさまざまなポジションに配置されてもよい。本実施形態は、入浴囲い内のシートに座っている人が、自分の身体の1つ以上のエリアで水及び/又は身体洗浄製品によって効率的かつ便利に洗浄されることができるという点で有利である。
【0036】
本発明の実施形態にしたがうと、前述の実施形態のいずれか1つにしたがう入浴設備を備える入浴システムが提供される。入浴システムは、水供給システム及び製品供給システムに通信可能に結合されている制御システムをさらに備え、制御システムは、入浴囲いへの水及び身体洗浄製品の供給を制御するように構成されている。制御システムは、手動又は自動で操作されてもよく、さらに、予め定められた洗浄プログラムにしたがって水の供給を制御するように構成されてもよい。ここで、「予め定められた洗浄プログラム」という用語は、シートに座っている人を洗浄するために事前に設定されたプログラムを意味する。例えば、プログラムは、時間、水の量、1つ以上のノズルのポジション等に依存する水供給を含んでいてもよい。言い換えれば、予め定められた洗浄プログラムが提供され、それにしたがって(応じて)、制御システムは、水及び製品供給システムからの水及び身体洗浄製品の供給をそれぞれ制御するように構成され、配置され、適合され、及び/又は制御することができる。本実施形態は、入浴囲い内のシートに座っている人が、いかなる手動の介入も必要とせずにシャワー及び/又は入浴することができるという点で有利である。代替的に、制御システムは、入浴構造を使用する及び/又は使用しようとする人によって手動で操作可能であってもよく、又は入浴囲いの外側にいる補助者のような他の何らかの人によって操作可能であってもよい。制御システムは、任意の前述の実施形態にしたがう制御ユニットに通信可能に結合され、及び/又はそれと統合されてもよいことを理解すべきである。
【0037】
本発明のさらなる目的、特徴、及び利点は、以下の詳細な開示、図面、及び添付の特許請求の範囲を検討すると明らかになるであろう。当業者は、本発明の異なる特徴を組み合わせて、以下に説明するもの以外の実施形態を作成できることを理解する。
【0038】
本発明のこの態様及び他の態様を、本発明の実施形態を示す添付の図面を参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】
図1は、本発明にしたがう入浴構造の概略図を示す。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態にしたがう入浴構造のシートの概略図を示す。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態にしたがう制御ユニットの概略図を示す。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態にしたがう入浴設備の概略図を示す。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態にしたがう入浴システムの概略図を示す。
【0040】
すべての図は概略的であり、必ずしも縮尺通りではなく、一般に、本発明を明確にするために必要な部分のみを示し、他の部分は省略されるか、又は単に示唆しているかもしれない。
【0041】
図1は、本発明にしたがう入浴構造100の概略図を示す。入浴構造100は、入浴囲い110を備える。
図1の入浴囲い110は、上部が開口した円筒形状を有する(シャワー)キャビンとして例示されている。代替的に、入浴囲い110は、キャビネット、キュービクル、ブース、(バス)タブ、又は、これらに類するものであってもよい。入浴囲い110は、少なくとも部分的に透明な素材、例えばプレキシガラス、ガラス、プラスチック、又は、これらに類するものを含むことができる。
図1に示すような実質的に円形の入浴囲い110のケースでは、入浴囲い110の直径は、約1000−1400mm、好ましくは約1200mmであってもよい。
【0042】
入浴囲い110は、開閉可能な側壁500を備える。側壁500は、矢印501によって示されるように、側壁500と摺動可能に係合されてもよい、第1の部分及び第2の部分を備えてもよい。代替的に、側壁500は、ドアとして側壁500から外側に開くことができる第1の部分及び第2の部分を備えることができる。しかしながら、当業者は、
図1に示されたもの以外の側壁500の他の設備が実現可能であることを理解する。側壁500は、手動又は自動で開閉可能であってもよいことが認識されるだろう。側壁500は、側壁500が正しく閉じられているかどうかを感知するための1つ以上のセンサをさらに備えることができる。
【0043】
図1の入浴構造100は、人をサポートするためのシート120をさらに備える。シート120は、座っているポジションにある人をサポートするためのシート部分121と、シート部分121に実質的に垂直に配置されている背もたれ122と、シート部分121に沿って配置されている2つの肘掛け300a、bとを備える。
【0044】
図1では、シート121は、平行に配置されている2つの分離された部分121a、bを備え、それによってこれらの間に空間を規定する。背もたれ122はまた、2つの部分122a、bを備え、空間がこれらの間に規定されるように平行に配置されている。シート120は、シート部分121の下方に配置されているフットレスト600をさらに備える。フットレスト600は、シート120が入浴囲いの外側のその伸長ポジションにあるとき、垂直に動かすことが可能であってもよい。さらに、フットレスト600は、シート120がその格納ポジションに動かされるときに、シート120の下のポジションに自動的に格納するように構成されてもよい。同様に、フットレスト600は、シート120がその伸長ポジションに動かされるとき、シート120の下のポジションから自動的に伸長するように構成されてもよい。
【0045】
図1の入浴構造100は、水平軸についてシートを旋回させるためにシート120が旋回可能に結合されるピボット130をさらに備える。
図1に例示されるピボット130は、入浴構造100の底部に水平に配置されているピボット軸130を含み又は構成し、シート120は、フレームワーク135を介してピボット軸130に機械的に結合される。入浴構造100のフレームワーク135は、1つ以上のアーム、レバー、バー、又はこれらに類するものを含んでいてもよいことが理解されるであろう。しかしながら、簡略化のため、及び
図1の理解を高めるために、フレームワーク135は、より詳細には説明しない。
【0046】
図1の入浴構造100のピボット軸130の回転137の際に、シート120は、ピボット軸130の周りを旋回138するように配置される。その結果、シート120は、シート120の格納ポジションからシート120の伸長ポジションまで垂直面内のわずかに湾曲した経路に沿って移動し、戻ることができる。例えば、
図1に例示されるような入浴構造100の向きからの、ピボット軸130の反時計回りの回転137のケースでは、シート120は旋回138し、格納ポジションから伸長ポジションに移動してもよい。同様に、ピボット軸30の時計回りの回転137のケースでは、シート120は旋回138し、伸長ポジションから格納ポジションに移動してもよい。
【0047】
入浴構造100は、概略的に示された作動システム140をさらに備える。作動システム140は、1つ以上のモータ設備、カップリング、ギア等を含むことができる動力システム150を含む。動力システム150は、動力システムのコンポーネントを水から密封するためのハウジングを備える。入浴構造100の動力システム150のさらなる詳細は、当業者に周知であるため、省略されることが理解されるであろう。
【0048】
作動システム140は、ピボット軸130に結合され、作動システム140は、その格納ポジションと伸長ポジションとの間のシート120の旋回可能な移動のためにピボット軸130を回転させるように構成されている。
図1の入浴構造100の作動システム140は、ピボット軸130に直接的又は間接的にのいずれかで結合されるレバー機構180をさらに備える。さらに、伸縮要素190は、ピボット軸130の回転のためにレバー機構180を介してピボット軸130に機械的に結合される。
【0049】
図1の伸縮要素190は、直線的に伸長可能及び格納可能であることが認識されるだろう。したがって、伸縮要素190は、例えば、互いに内側に摺動する部分によって、より長く(伸長)又はより短く(収縮)することができる。しかしながら、伸縮要素190の他の実現が実現可能であることに留意されたい。
【0050】
したがって、
図1の例示的な実施形態にしたがうと、入浴構造100の作動システム140は、伸縮要素190を介してピボット軸130を回転させる137ように構成されている。その結果、シート120は、入浴囲い110内のシート120の格納ポジションと入浴囲い110の外側のシート120の伸長ポジションとの間で、予め定められたわずかに湾曲した経路に沿って移動してもよい。同様に、入浴構造100の作動システム140は、入浴囲い110の外側のシート120の伸長ポジションと入浴囲い110の内側のシート120の格納ポジションとの間でシート120を移動させるように構成されている。伸縮要素190を格納ポジションから伸長ポジションに伸長させる(又はその逆の)時間は、約30−40秒であってもよい。したがって、作動システム140は、伸縮要素190を比較的ゆっくりと伸長(格納)するように構成され、これは、シート120に座っている人にとって安全上の理由で有益である。
【0051】
入浴構造100の例示的な実施形態にしたがうと、入浴構造100の作動システム140は、シート120の伸長ポジションにおいて、シート120を実質的に水平面の方向に回転させるようにさらに構成されてもよい。例えば、作動システム140は、シート120を水平面x−yで、約+90°から−90°、例えば+45°から−45°回転させるように構成することができる。さらに、入浴構造100の作動システム140は、シート120の伸長ポジションにおいて、シート120を垂直軸に対して傾斜させるように構成されてもよい。例えば、作動システム140は、シート120を約0−45°、例えば0−30°前方に傾斜させるように構成することができる。さらに、作動システム140は、シート120を約0−25°、例えば0−15°後方に傾斜させるように構成することができる。入浴構造100の作動システム140は、その伸長ポジションにおいて、シート120を垂直軸zに沿って移動させるようにさらに構成されてもよい。言い換えれば、入浴構造100は、シート120の高さを調節するように構成されてもよい。例えば、入浴構造100は、シート120のシート121の高さを床面から約35−60cm、例えば42−52cm上に調整するように構成されてもよい。
【0052】
図1に例示される入浴構造100は、
図3に概略的に示される制御ユニット200をさらに備えてもよい。作動システム140に(有線又は無線で)通信可能に結合されている制御ユニット200は、シート120の移動を制御するように構成されている。制御ユニット200は、自動又は手動で操作可能であってもよいことが認識されるだろう。制御ユニット200は、シート120に座っている人130(すなわち入浴者)がシート120の動きを制御することができるように、入浴囲い110の内側に配置することができる。例えば、
図1に例示されるように、制御ユニット200は、シート120に座っている人130によるシート120の便利な制御のために、シート120の肘掛け300a、b上に配置されてもよい。代替的に、又はこれと組み合わせて、制御ユニット200は、入浴囲い110の外側に配置されてもよい。手動操作のケースでは、入浴囲い110の外側の人(例えば入浴者又は補助者)は、制御ユニット200によってシート120の動きを制御することができる。
【0053】
図2は、本発明の実施形態にしたがう入浴構造のシート120の概略図を示す。
図2のシート120は、
図1のシート120の特徴及びコンポーネントを含むことが認識されるだろう。シート部分321は、平行に配置されている2つのカップ形状の分離された部分321a、bを備え、これによってこれらの間に空間を規定する。背もたれ322はまた、平行に配置されている2つの部分322a、bを備え、空間がこれらの間に規定される。背部シート322は、シート120に座っている人の背中に向かって膨らむアーチ状の凸形状を有してもよい。シート120は、好ましくは、耐水性素材、例えば、ポリウレタン、プラスチック又はガラス繊維を含む。シート120は、石鹸、シャンプー、(ヘア)コンディショナー等の身体洗浄製品、とともに界面活性剤、カビ、洗浄剤等に対して耐性があることが好ましい。ここで、シート120は、暖かい、湿った、及び/又は、濡れた環境にさらされるように構成され、流体及び/又は液体製品に耐えるように構成されている。さらに、シート120は、好ましくは、糞便、尿、汗のような体の排泄物に対して耐性があり、シート120はまた、このような体の排泄物から容易かつ便利に洗浄可能である。例示したシート120は、本発明の任意の前述の実施形態にしたがう入浴構造に含まれてもよいことが認識されるだろう。例えば、シート120は、シート120の交換のために入浴構造に取り外し可能に固定されてもよい。
【0054】
シート120は、シート120に沿って配置されている2つの肘掛け300a、bを備える。1つ(又は両方)の肘掛け300a、bは、その第1の(初期)水平方向から、第1の水平方向とは異なる第2の方向に移動及び/又は回転されてもよい。例えば、1つ又は両方の肘掛け300a、bは、水平x−y平面で方向Aに移動されてもよく、例えば、シート120から外側に回転されてもよい。さらに、1つ又は両方の肘掛け300a、bは、垂直軸zに対して方向Cに移動されてもよく、すなわち、シート120から上方又は下方に上昇又は下降されてもよい。
【0055】
図2の例示的な実施形態にしたがうシート120は、シート120に座っている人の重量を感知するための複数の重量センサ601をさらに備えることができる。ここで、重量センサ601は、重量センサ601がシート120に座っている人の重量の分布をさらに決定することができるように、シート120に分布される。重量センサ601の数、サイズ、及び/又は配置はさまざまであってよいことが認識されるだろう。さらに、本発明の実施形態にしたがうと、重量センサ601は、作動システムに通信可能に結合することができ、作動システムは、これにより、シート120に座っている人の重量センサ601によって感知された重量に応じて(又はそれに基づいて)シート120を移動させるように構成することができる。例えば、入浴構造は、人がシート120に正しく座っているか、又は間違って座っているかを決定するように構成されてもよい。人がシート120に正しく座っていると入浴構造が決定した場合、それに応じてシート120を移動させるように構成することができる。しかしながら、人がシート120に誤って座っていると入浴構造が決定した場合、入浴構造は、安全上の理由によりシート120の移動を停止するように構成されてもよい。
【0056】
図3は、本発明の実施形態にしたがう制御ユニット200の概略図を示す。制御ユニット200は、複数のタッチ可能制御エリアを示すタッチスクリーン201を有するものとして例示される。タッチスクリーン201は、例示されるように、タッチ可能制御エリア「シート前方」210、「シート後方」211、「水オン」212、「水オフ」213等を含み、それによって、タッチ可能制御エリア214−217は、シートの操作、水の供給、アラーム等に関連するさらなるコマンドを構成してもよい。制御ユニット200は、例えばシート120の移動を制御するために、上述したものよりも多い又は少ないタッチ可能制御エリアを有してもよいことが理解されるであろう。さらに、制御ユニット200は、シート120の移動を制御するための1つ以上のノブ又はこれに類するものを備えることができる。シート120の移動の制御は、以下のように例示されてもよい:制御エリア「シート前方」210を押すことによって、作動システム140は、入浴囲い110内のシート120の格納ポジションから入浴囲い110の外側のシート120の伸長ポジションまでシート120を移動させるように命令される。同様に、制御エリア「シート後方」211を押すことによって、作動システム140は、入浴囲い110の外側のシート120の伸長ポジションから入浴囲い110の内側のシート120の格納ポジションまでシート120を移動させるように命令される。
【0057】
図4は、本発明の実施形態にしたがう入浴設備700の概略図を示す。入浴設備700は、前述の実施形態のいずれか1つにしたがう入浴構造100を備える。
図4の入浴構造100のシート120は、伸長ポジションで示される
図1の入浴構造100のシート120と比較して、シート120の格納ポジションで示されていることが理解されるであろう。入浴構造100は、入浴囲い110に水を供給するための概略的に示された水供給システム710をさらに備える。入浴設備700は、シャワーとして構築又は設計されてもよく、供給された水は、入浴囲い110中に配置されている床排水口を通って流出してもよいことが理解されるであろう。代替的に、入浴設備700は、バスとして構築又は設計されてもよく、供給された水は、所望の及び/又は予め定められた水位まで入浴囲い110を満たしてもよい。水供給システム710は、バスタブの蛇口、シャワー、洗面器、又は、これらに類するもののような水源を備えてもよく、これらは、入浴構造100が配置される(入浴)室に設けられてもよいことが認識されるだろう。水供給システム710は、入浴囲い110に水を供給するための1つ以上の導管、ポンプ等をさらに備えることができる。しかしながら、簡略化のために、水供給システム710の設備のより詳細な説明は省略されることに留意されたい。
【0058】
図4の入浴設備700は、入浴囲い110内に配置されている複数の水ノズル720a−jをさらに備える。水ノズル720a−jは、入浴構造100のシート120に座っている人に、前記人を洗浄する目的で水を噴霧するように配置される。例示される入浴設備700では、入浴囲い110内に配置されている10個の水ノズル720a−jがある。水ノズル720a及び720bは、入浴囲い110の前方左側及び右側にそれぞれ配置され、入浴囲い110に対して比較的高いポジションにあり、シート120に座っている人に向かって斜め下方に水を噴霧するように配置される。例えば、水ノズル720a及び720bは、シート120に座っている人の胸部及び/又は胴体に水を噴霧するように配置されてもよい。それに応じて、水ノズル720c及び720dは、入浴囲い110の正面左側及び右側にそれぞれ配置され、入浴囲い110に対して比較的低いポジションにあり、シート120に座っている人に向かって斜め上方に水を噴霧するように配置される。水ノズル720e及び720fは、入浴囲い110の前側に垂直シーケンスで配置され、シート120に座っている人の胴体、腿、脚、及び/又は足に水を噴霧するように配置される。例示的な実施形態にしたがうと、シート120に座っている人の足裏に水を噴霧するように配置されるように、シート120のフットレスト600に配置されている水ノズル720g及び720hが設けられてもよい。水ノズル720iは、シート120の2つの分離された部分121a、bによって規定された空間内(又はその近傍)に配置される。これにより、水ノズル720iは、シート120に座っている人の生殖器、肛門周囲、及び/又は臀裂エリアに向けて斜め上方に水を噴霧するように配置される。水ノズル720iからの水は、膣エリアから肛門周囲又は臀裂エリアに向けた方向に噴霧してもよいため、水ノズル720iは、女性の下腹部を洗浄する/洗うために特に重要であるかもしれないことを理解されたい。水ノズル720jは、入浴囲い110の裏側に配置され、シート120に座っている人の背中に水を噴霧するように配置される。入浴設備700は、シート120に座っている人によって望まれる及び/又は必要とされる場合、シャワー操作を便利にするために、入浴囲い110内に配置されている手動操作可能なシャワーヘッド(図示せず)をさらに備えることができる。
【0059】
図4では、入浴設備700は、入浴囲い110への身体洗浄製品(例えば、石鹸、シャンプー等)の供給のための製品供給システムをさらに備えてもよい。水供給システム710とは別個に配置される製品供給システムは、身体洗浄製品が保管されている容器を備えてもよい。製品供給システムは、入浴囲い110に身体洗浄製品を供給するための1つ以上の導管、継手、ポンプ等をさらに備えることができる。製品供給システムは、入浴囲い110内に配置されている複数の身体洗浄製品ノズル740a、bをさらに備える。身体洗浄製品ノズル740a、b(以下、石鹸ノズル740a、bと呼ぶ)は、入浴構造100のシート120に座っている人を洗浄する目的で、容器から前記人に身体洗浄製品(例えば、石鹸、シャンプー等)を噴霧するように配置される。
図4に例示される入浴設備700では、入浴囲い110内に配置されている2つの石鹸ノズル740a及び740bがある。石鹸ノズル740aは、入浴囲い110の前側に、入浴囲い110に対して比較的高いポジションに配置され、石鹸ノズル740aは、シート120に座っている人に向かって斜め下方に身体洗浄製品を噴霧するように配置される。例えば、石鹸ノズル740aは、シート120に座っている人の胸部及び/又は胴体に身体洗浄製品を噴霧するように配置されてもよい。石鹸ノズル740bは、シート120の2つの分離された部分121a、bによって規定される空間内(又はその近傍)に配置される。石鹸ノズル740bは、シート120に座っている人の生殖器、肛門周囲及び/又は臀裂エリアに向けて斜め上方に身体洗浄製品を噴霧するように配置される。
【0060】
水ノズル720a−j及び石鹸ノズル740a、bのうちの1つ以上は、その傾斜角に関して調整可能であってもよいことが認識されるだろう。さらに、水ノズル720a−j及び石鹸ノズル740a、bは、バヨネット結合を備えてもよい。水ノズル720a−j及び石鹸ノズル740a、b内の圧力は、ほぼ4−6バールであってもよい。
【0061】
図5は、本発明の実施形態にしたがう入浴システム800の概略図を示す。入浴システム800は、任意の前述の実施形態にしたがう入浴設備700を備える。
図5において、入浴設備700は、水供給システム710及び製品供給システム730の両方を含む。入浴システム800は、水供給システム710及び/又は製品供給システム730に(有線又は無線で)通信可能に結合されている制御システム810をさらに備える。制御システム810は、これにより、入浴設備700の入浴囲いへの水及び/又は身体洗浄製品の供給を制御するように構成されている。制御システム810は、自動であってもよく、さらに、予め定められた洗浄プログラムにしたがって水及び/又は身体洗浄製品の供給を制御するように構成されてもよい。例えば、予め定められた洗浄プログラムは、水及び/又は身体洗浄製品の量、流れ、並びに/或いは温度が予め設定された、水及び/又は身体洗浄製品の供給を含んでもよい。例えば、予め定められた洗浄プログラムは、入浴設備の入浴構造のシートに座っている人が、洗浄プログラムの第1の段階において、入浴設備の水ノズルのうちの1つ以上によって水でシャワー(洗浄、噴霧)されてもよいように形成されてもよい。次いで、洗浄プログラムの第2の段階において、人は、入浴設備の石鹸ノズルのうちの1つ以上によって身体洗浄製品(例えば、石鹸)でシャワー(洗浄、噴霧)されてもよい。次に、洗浄プログラムの第3段階において、人は再び水でシャワーされてもよい。
【0062】
制御システム810は、代替的に、入浴構造を使用する及び/又は使用しようとする人によって手動で操作可能であってもよく、或いは、入浴囲いの外側にいる補助者のような他の何らかの人によって操作可能であってもよい。制御システム810は、例えば、任意の前述の実施形態にしたがう制御ユニット200に通信可能に結合され、及び/又はそれと統合されてもよい。例えば、制御システム810は、シート120に座っている人による便利な制御のために、シート120(例えば、肘掛け300a、b)上に配置されている制御ユニット200と統合されてもよい。したがって、制御ユニット200は、水及び/又は身体洗浄製品の供給に関連する制御システム810の機能をさらに備えることができる。例えば、
図3で先に例示したようなタッチスクリーン201は、水又は身体洗浄製品の、温度、及び/又は時間期間の量の供給を制御するために、1つ以上のタッチ可能制御エリア(又はノブ)をさらに含んでもよい。例えば、タッチスクリーン201は、「水」、「時間」、「石鹸」、「温度」等のようなタッチ可能制御エリアを含むことができる。代替的に、タッチ可能制御エリアの代わりに、水及び/又は身体洗浄製品の供給に関連する制御システム810の機能は、ボタン、スイッチ、又はこれらに類するものによって制御可能であってもよい。
【0063】
本発明は、その特定の例示的な実施形態を参照して説明してきたが、多くの異なる変更、修正、及び、これらに類するものが、この説明を検討した後に当業者に明らかになるであろう。したがって、説明した実施形態は、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。例えば、入浴囲い110、シート120、伸縮要素190等のような入浴構造100の部品、部分、及び/又は、要素のうちの1つ以上のサイズ並びに/或いは形状は、示した又は表示したものとは異なってもよい。さらに、水ノズル720a−j及び/又は石鹸ノズル720a−bのような入浴構造100の部品、部分及び/又は要素のうちの1つ以上の数、ポジション決めは、示したものと異なってもよい。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 入浴構造(100)であって、
入浴囲い(110)と、
人をサポートするためのシート(120)と、ここにおいて、前記シートは、水平軸について前記シートを旋回させるために前記入浴構造のピボット(130)に旋回可能に結合され、それにより、前記シートは、前記ピボットの回転の際に、前記入浴囲い内の前記シートの格納ポジションと前記入浴囲いの外側の前記シートの伸長ポジションとの間で移動可能であり、
前記ピボットに結合されている作動システム(140)と、ここにおいて、前記作動システムは、前記シートの前記格納ポジションと前記シートの前記伸長ポジションとの間での前記シートの移動のために前記ピボットを回転させるように構成されている、
を備える、入浴構造。
[2] 前記ピボットは、水平に配置されているピボット軸を備える、[1]に記載の入浴構造。
[3] 前記作動システムは、前記ピボットに結合されているレバー機構(180)と、前記ピボットの回転のために前記レバー機構を介して前記ピボットに機械的に結合されている伸縮要素(190)とを備える、[1]又は[2]に記載の入浴構造。
[4] 前記作動システムに通信可能に結合されている少なくとも1つの制御ユニット(200)をさらに備え、前記少なくとも1つの制御ユニットが、前記シートの前記移動を制御するように構成されている、[1]〜[3]のうちのいずれか1項に記載の入浴構造。
[5] 前記少なくとも1つの制御ユニットのうちの少なくとも1つは、手動で操作可能である、[4]に記載の入浴構造。
[6] 前記少なくとも1つの制御ユニットのうちの少なくとも1つは、前記シート上に配置され、前記シートに座っている人によって手動で操作可能である、[5]に記載の入浴構造。
[7] 前記シートは、第1の水平方向に配置されている少なくとも1つの肘掛け(300a、b)を備え、前記少なくとも1つの肘掛けのうちの少なくとも1つは、前記第1の水平方向と、前記第1の水平方向とは異なる第2の方向との間で移動可能である、[1]〜[6]のうちのいずれか1項に記載の入浴構造。
[8] 前記シートは、前記シートに座っている人の重量を感知するためのうちの少なくとも1つの重量センサ(601)を備える、[1]〜[7]のうちのいずれか1項に記載の入浴構造。
[9] 前記少なくとも1つの重量センサは、前記作動システムに通信可能に結合され、前記作動システムは、前記シートに座っている人の重量に応じて前記シートを移動させるように構成されている、[8]に記載の入浴構造。
[10] 前記入浴囲いは、開閉可能な側壁(500)を備え、前記作動システムは、前記シートが前記入浴囲い内の前記シートの前記格納ポジションから前記入浴囲いの外側の前記シートの前記伸長ポジションに移動する前に前記側壁を開き、前記シートが前記入浴囲いの外側の前記シートの前記伸長ポジションから前記入浴囲い内の前記シートの前記格納ポジションに移動した後に前記側壁を閉じるように構成されている、[1]〜[9]のうちのいずれか1項に記載の入浴構造。
[11] 前記シートは、前記シートの交換のために前記入浴構造に取り外し可能に固定されている、[1]〜[10]のうちのいずれか1項に記載の入浴構造。
[12] 入浴設備(700)であって、
[1]〜[11]のうちのいずれか1項に記載の入浴構造と、
入浴囲いに水を供給するための水供給システム(710)とを備える、入浴設備。
[13] 少なくとも1つの身体洗浄製品を前記入浴囲いに供給するための製品供給システム(730)を備える、[12]に記載の入浴設備。
[14] 前記入浴設備は、前記入浴構造の前記シートに座っている人を洗浄する目的で前記入浴囲い内に配置されている少なくとも1つのノズル(720a−j、740a、b)を備える、[12]又は[13]に記載の入浴設備。
[15] 入浴システム(800)であって、
[13]又は[14]に記載の入浴設備と、
水供給システム及び製品供給システムに通信可能に結合されている制御システム(810)とを備え、前記制御システムは、入浴囲いへの水及び身体洗浄製品の供給を制御するように構成されている、入浴システム。
【要約】
入浴構造(100)は、入浴囲い(110)と、人をサポートするためのシート(120)とを備えている。シートは、水平軸についてシートを旋回させるために入浴構造のピボット(130)に旋回可能に結合され、それにより、シートは、ピボットの回転の際に、入浴囲い内のシートの格納ポジションと入浴囲いの外側のシートの伸長ポジションとの間で移動可能である。入浴構造は、ピボットに結合されている作動システム(140)をさらに備え、作動システムは、シートの格納ポジションとシートの伸長ポジションとの間のシートの移動のためにピボットを回転させるように構成されている。
【選択図】
図1