(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記配線盤の下方には油が貯留されており、前記傾斜部の先端には、下方に垂下すると共に下端部が前記油の中に位置する緩流部を有する、請求項2に記載の配線ユニット。
前記配線盤のうち前記ワイヤーハーネスが配索された配索部には、前記傾斜部が設けられた部分に向かって下行傾斜する案内斜面が形成されている、請求項2または請求項3に記載の配線ユニット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動変速機の内部にはATF(Automatic Transmission Fluid)等の油が循環されている。自動変速機内におけるワイヤーハーネスの配置によっては、ワイヤーハーネスの上方から油が流下する場合がある。上記したように、ワイヤーハーネスは複数の電線が束ねられているので、ワイヤーハーネスの表面には、複数の電線の外周面によって複雑な凹凸が形成されている。このため、ワイヤーハーネスに流下した油は、ワイヤーハーネスの表面に形成された複雑な凹凸によって飛散して飛沫となる。この飛沫が合体して油滴となり、更に自動変速機の下部に貯留された油に流下する間に、空気を巻き込んで油泡が形成されてしまう場合がある。
【0005】
油泡は油の被膜によって覆われた空気なので、油泡が形成されると、油圧の調節が困難になるという問題が生じる。油泡内の空気が収縮することによって油に加えた圧力が減殺されてしまうためである。
【0006】
本明細書に開示された技術は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、油泡の発生が抑制された配線ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に開示された技術は、ワイヤーハーネスと、前記ワイヤーハーネスの上方に配されて、上下方向に貫通する貫通孔内に鉛直方向について傾斜した板面を有する整流板を有する整流部材と、を備えた配線ユニットである。
【0008】
上記の構成によれば、上方から整流部材に降りかかる油は、整流部材の貫通孔内に上方から進入し、整流板の上に流下する。これにより、上方から流下した油の勢いが整流板によって減殺されると共に、油の流下方向が鉛直方向に対して傾斜した方向へと整流される。これにより、油は、整流部材がない場合に比べて小さな流速で、且つ、鉛直方向について傾いた方向からワイヤーハーネスに流下するので、空気の巻き込みが抑制される結果、油泡が発生することを抑制することができる。
【0009】
本明細書に開示された技術の実施態様としては以下の態様が好ましい。
【0010】
前記ワイヤーハーネスは配線盤の上に配索されており、前記配線盤の側縁には、外方に突出すると共に、先端側ほど下行傾斜する斜面を有する傾斜部が形成されていることが好ましい。
【0011】
上記の構成によれば、配線盤に流下して傾斜部に達した油は、傾斜部の斜面に沿って下方に流下する。これにより、油が配線盤から垂直に流下する場合に比べて油の流下速度を小さくすることができる。この結果、配線盤の下方にたまった油に上方から油が流下した場合に、空気が巻き込まれて油泡が発生することを抑制することができる。
【0012】
前記配線盤の下方には油が貯留されており、前記傾斜部の先端には、下方に垂下すると共に下端部が前記油の中に位置する緩流部を有することが好ましい。
【0013】
上記の構成によれば、傾斜部の先端にまで流下した油は、緩流部の表面に沿って下方に流下し、配線盤の下方に貯留された油に注ぎ込まれる。このとき、緩流部の下端部は油の中に位置しているので、緩流部の表面に沿って流下した油が、配線盤の下方に貯留された油の油面において、空気を巻き込むことを抑制することができる。この結果、油泡が発生することを確実に抑制することができる。
【0014】
前記配線盤のうち前記ワイヤーハーネスが配索された配索部には、前記傾斜部が設けられた部分に向かって下行傾斜する案内斜面が形成されていることが好ましい。
【0015】
上記の構成によれば、配線盤に流下した油は、案内斜面に沿って流れ、傾斜部へと速やかに案内される。これにより、配線盤の上面に油が滞留することが抑制されるので、配線盤の側縁のうち傾斜部が設けられていない側縁から油が流下することが抑制される。この結果、配線盤の側縁のうち傾斜部が設けられていない側縁から流下した油によって、空気が巻き込まれて油泡が発生することを抑制することができる。
【0016】
前記ワイヤーハーネスは複数の電線を有しており、前記複数の電線は、油が流れる方向に沿って配索されていることが好ましい。
【0017】
上記の構成によれば、ワイヤーハーネスに流下した油は、複数の電線の隙間に沿って緩やかに流れるようになっている。これにより、油が配線盤の上を流れる際に、空気が巻き込まれて油泡が発生することを抑制することができる。
【0018】
前記ワイヤーハーネスの上方にフィルターが配されていることが好ましい。
【0019】
上記の構成によれば、フィルターに降りかかる油に含まれた油泡はフィルターによって除かれるので、フィルターの下方からは油泡が除かれた油が流下する。これにより、油中の油泡を減少させることができる。
【0020】
前記フィルターは、前記整流部材と前記ワイヤーハーネスとの間に配されていることが好ましい。
【0021】
フィルターが整流部材の下方に配されることにより、フィルターに流下する油は、まず、整流部材の整流板によって流速が減じられるようになっている。これにより、油がフィルターと接触する時には、油の流速が小さくなっているので、油がフィルターと接触することによって空気が巻き込まれることが抑制され、この結果、油泡の発生が抑制される。また、油がフィルターを通過することによって、油の流速は更に減じられるので、フィルターの下方に位置するワイヤーハーネスに油が流下する際に、空気が巻き込まれることが一層抑制され、この結果、油泡の発生が一層抑制される。
【0022】
前記フィルターは、外枠と、前記外枠の内側に設けられた桟部を有するフレームに取り付けられていることが好ましい。
【0023】
上記の構成によれば、外枠及び桟部によってフィルターの形状が保持されるので、流下した油の圧力によってフィルターが変形することが抑制される。これにより、油中に含まれる油泡を確実に減少させることができる。
【発明の効果】
【0024】
本明細書に開示された技術によれば、油泡の発生が抑制される。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<実施形態1>
本明細書に開示された技術を配線ユニット10に適用した実施形態1を
図1から
図10を参照しつつ説明する。本実施形態に係る配線ユニット10は、車両(図示せず)に搭載される自動変速装置(図示せず)の内部に配設されている。配線ユニット10は、自動変速装置の内部を循環する油11が上方から降りかかる位置に配されている。
図2に示すように、本実施形態では、自動変速装置を構成する一対のプーリー12と、一対のプーリー12の間に架け渡されたベルト13の下方の位置に配線ユニット10が配置されている。以下の説明においては、矢線Aで示す方向を上下方向とする。また、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材については符号を省略することがある。
【0027】
(ワイヤーハーネス14)
配線ユニット10はワイヤーハーネス14を備える。このワイヤーハーネス14は複数の電線15をテープ等の結束部材(図示せず)で束ねてなる。電線15の端部にはコネクタ16が接続されている。電線15の断面は略円形状をなしている。このため、複数の電線15が束ねられたワイヤーハーネス14の表面には、複数の電線15の外形状に基づく複雑な凹凸形状が形成されている。
【0028】
(配線盤17)
ワイヤーハーネス14は、配線盤17の上に配索されている。配線盤17は、合成樹脂、金属等、必要に応じて任意の材料を適宜に選択することができる。本実施形態に係る配線盤17は絶縁性の合成樹脂製とされる。
【0029】
配線盤17は、底壁18と、底壁18の側縁から上方に立ち上がる側壁19と、を備える。底壁18の上面には、ワイヤーハーネス14が載置して配索される配索部20が設けられている。底壁18には、自動変速装置の内部に配設された電気部品(図示せず)との干渉を避けるための複数(本実施形態では2つ)の逃がし孔21が上下方向に貫通されている。
【0030】
配線盤17の側壁19には、自動変速装置内に配線盤17を固定するためのブラケット部22が、外方に突出して形成されている。ブラケット部22は、配線盤17から斜め下方に突出しており、ブラケット部22の先端には図示しないボルトが挿通される挿通孔23が上下方向に貫通して設けられている。この挿通孔23にボルトが挿通された状態で、ボルトによって配線盤17が自動変速装置に固定されるようになっている。
【0031】
配線盤17の側壁19には、上方から降りかかる油11を排出するための複数の排出口24が設けられている。排出口24は、側壁19の上縁部から下方に切り欠かれたような形状をなしている。
【0032】
複数の排出口24のうち、
図2の右端部に位置するものは、複数の排出口24のうち最も大きな開口を有する主排出口24Aとされる。配線盤17の底壁18のうち、主排出口24Aが設けられた部分には、配線盤17の側縁から外方に突出すると共に、先端側に向かうほど下行傾斜する傾斜部25が設けられている。傾斜部25は、溝状をなしており、底壁26と、底壁26の側縁から上方に立ち上がる側壁27と、を有する。傾斜部25の底壁26の上面には、先端側に向かうほど下行傾斜する斜面28が形成されている。また、傾斜部25の側壁27は、配線盤17の側壁19と連続して形成されている。
【0033】
傾斜部25の下端部には、下方に垂下する緩流部29が設けられている。緩流部29は傾斜部25の底壁26と連続して形成されている。
図2に示すように、自動変速装置の内部には、配線盤17の下方に、油11が貯留されるようになっている。この油11は図示しないポンプによって、自動変速装置内を循環されるようになっている。
図2には、自動変速装置内に配線盤17が固定された状態で、緩流部29の下端部は、自動変速装置の内部に貯留された油11の中に位置するようになっている状態を示す。換言すると、
図2においては、緩流部29の下端部は油11面よりも下方に配されている状態となっている。なお、自動変速装置内を循環される油11の量、油圧、油11の偏在状況等により、緩流部29の下端部が油11の中に位置しない状態も生じうる。
【0034】
配線盤17に設けられた複数の排出口24からは、それぞれ、ワイヤーハーネス14から分岐された電線15が、配線盤17の外方に導出されている。排出口24(主排出口24Aを除く)を形成する側壁19の端縁は、曲面形状に形成されている。これにより、排出口24を形成する側壁19の端縁がワイヤーハーネス14に接触した場合でも、ワイヤーハーネス14の電線15が損傷することが、抑制されるようになっている。
【0035】
傾斜部25の斜面28の上には、ワイヤーハーネス14から導出された複数の電線15が載置されている。複数の電線15は斜面28の幅方向(
図4における左右方向)に広がった状態で斜面28に載置されている。傾斜部25に配索された電線15の先端にはコネクタ16Aが接続されている。緩流部29には、このコネクタ16Aが公知のロック構造(図示せず)によって取り付けられている。
【0036】
(フィルター30)
図3に示すように、ワイヤーハーネス14の上方には、フィルター30が配設されている。フィルター30は、フィルム、シート、又は板状をなしている。フィルター30には、フィルター30の上方と下方とを連通する複数の連通孔31が形成されているので、フィルター30を上方から下方に油11を流通させることにより、油11に含まれる油泡がフィルター30により濾過されるようになっている。
【0037】
フィルター30は、合成樹脂、金属等必要に応じて任意の材料を適宜に選択することができる。フィルター30を構成する合成樹脂としては、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリブチレンテレフタレート等のポリエチレン、6,6−ナイロン等のポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂等、必要に応じて任意の材料を用いることができる。フッ素樹脂製のフィルター30としては、例えば、ポアフロン(登録商標、住友電気工業製)を用いることができる。また、フィルター30を構成する金属としては、ステンレス鋼、ニッケル、クロム、ニッケル―クロム合金等、必要に応じて任意の材料から適宜に選択できる。金属製のフィルター30としては、例えば、セルメット(登録商標、住友電気工業製)を好適に用いることができる。
【0038】
図9に示すように、セルメットは断面が多角形状をなす骨格32によって構成されてなる。このため、フィルター30としてセルメットを用いた場合、油11中の油泡は、セルメットにより濾過されるとともに、セルメットを構成する骨格32の稜線部分33と接触することによって破裂させることができるようになっている。
【0039】
フィルター30は、フレーム34に取り付けられている。フレーム34を構成する材料は、合成樹脂、金属等、必要に応じて任意の材料を適宜に選択できる。フレーム34は、フィルター30と一体に形成される構成としてもよい。また、フレーム34とフィルター30とを別部材で構成し、接着、溶着、ねじ止め等、公知の手法によってフィルター30とフレーム34とを固定する構成としてもよい。
【0040】
フレーム34は、外枠35と、外枠35の内側に設けられた桟部36と、を有する。桟部36によって外枠35が補強されるようになっている。外枠35には、配線盤17に設けられた排出口24に対応する位置に、排出口37が設けられている。また、フレーム34には、配線盤17に設けられた逃がし孔21の上方に対応する位置に、上下方向に貫通する複数(本実施形態では2つ)の逃がし孔38が設けられている。
【0041】
(整流部材39)
ワイヤーハーネス14及びフィルター30の上方には、整流部材39が配されている。整流部材39は、合成樹脂、金属等、必要に応じて任意の材料を適宜に選択することができる。本実施形態に係る整流部材39は絶縁性の合成樹脂からなる。
【0042】
整流部材39は、外枠40と、外枠40に囲まれると共に上下方向に貫通する貫通孔41を有する。また、整流部材39には、配線盤17の逃がし孔21、及びフィルター30の逃がし孔38の上方に対応する位置に、1つの逃がし孔42が上下方向に貫通して設けられている。
【0043】
フィルター30は、配線盤17と整流部材39との間に挟持されるようになっている。配線盤17と整流部材39とは、ロック部とロック受け部との係止構造、接着、熱溶着、ねじ止め等の公知の手法により一体に組み付けられるようになっている。フィルター30は、配線盤17に固定されてもよく、整流部材39に固定されてもよく、また、配線盤17と整流部材39とを固定することによって配線盤17と整流部材39との間に固定される構成としてもよい。
【0044】
図5に示すように、整流部材39の貫通孔41内には、複数の板状をなす整流板43が外枠35と一体に設けられている。複数の整流板43は、板面が鉛直方向(重力の方向)について傾斜した板面を有する。これにより、整流板43は、概ね上下方向に立った状態で配置されると共に、鉛直方向について上方を向く上面と、鉛直方向に対して下方を向く下面と、を備える。整流板43は、配線盤17の底壁18の上面を油11が流れる方向について、整流板43の上端部よりも下端部が前方に位置するように配されている。
【0045】
図3に示すように、配線盤17には主排出口24Aが設けられている。配線盤17の底壁18の上面を流れる油11は、この主排出口24Aから主として流出するようになっている。このため、油11の大部分は、
図4における矢線L、矢線M、又は矢線Nに沿って、配線盤17の底壁18の上面を流れて、主排出口24Aから流出するようになっている。なお、本明細書に開示された技術は、主排出口24Aと異なる排出口24から油11が流出することを排除するものではない。
【0046】
図6には、
整流板43の下端部が、
整流板43の上端部よりも
図6における右方に位置するように配された構成が開示されている。
図6に示された領域においては、油11の大部分は、配線盤17の底壁18の上面を、矢線Lで示す方向(
図6における右方)に沿って流れるようになっている。各
整流板43は、側方から見て、下方について凸形状に湾曲した形状をなしている。
図6に示された領域においては、各
整流板43の湾曲率は異なっている。
【0047】
図7においても、上記と同様に、
整流板43の下端部が、
整流板43上端部よりも
図7における右方に位置するように配された構成が開示されている。
図7に示された領域においては、油11の大部分は、配線盤17の底壁18の上面を、矢線Mで示す方向(
図7における右方)に沿って流れるようになっている。各
整流板43は、側方から見て、下方について凸形状に湾曲した形状をなしている。
図7に示された領域においては、各
整流板43の湾曲率は異なっている。
【0048】
図8においては、
整流板43の下端部が、
整流板43の上端部よりも
図8における左方に位置するように配された構成が開示されている。
図8に示された領域においては、油11の大部分は、配線盤17の底壁18の上面を、矢線Nで示す方向(
図8における左方)に沿って流れるようになっている。各
整流板43は、側方から見て、下方について凸形状に湾曲した形状をなしている。
図8に示された領域においては、各
整流板43の湾曲率は略同じに設定されている。
【0049】
(組み付け工程の一例)
続いて、本実施形態に係る配線ユニット10の組み付け工程の一例について説明する。配線ユニット10の組み付け工程は以下の記載に限定されない。
【0050】
複数の電線15の端部に端子金具(図示せず)を接続し、各端子金具をコネクタ16,16Aのキャビティ(図示せず)内に収容する。複数の電線15をテープ又は結束部材で束ねてワイヤーハーネス14を形成する。
【0051】
絶縁性の合成樹脂材を射出成型することにより配線盤17を形成する。配線盤17の配索部20にワイヤーハーネス14を載置して複数の電線15を配索する。
配線盤17の排出口24,24Aから複数の電線15が束ねられた電線束を導出する。主排出口24Aから導出された電線束の先端に接続されたコネクタ16Aを、緩流部29に取り付ける。
【0052】
絶縁性の合成樹脂材を射出成型することによりフレーム34を形成する。フィルター30を所定の形状に切り出し、フレーム34に接着して固定する。
【0053】
絶縁性の合成樹脂材を射出成型することにより整流部材39を形成する。
【0054】
ワイヤーハーネス14が配索された配線盤17の上に、フレーム34を載置し、更にフレーム34の上から整流部材39を重ねて、整流部材39と、配線盤17とを一体に固定する。これにより、配線ユニット10が完成する。
【0055】
配線ユニット10は、ブラケット部22の挿通孔23に挿通されたボルトによって、自動変速装置の内部に取り付けられる。このとき、整流部材39が上側に位置するようにして自動変速装置に配設される。
【0056】
(本実施形態の作用効果)
続いて、本実施形態の作用効果について説明する。本実施形態に係る配線ユニット10は、ワイヤーハーネス14と、ワイヤーハーネス14の上方に配されて、上下方向に貫通する貫通孔41内に鉛直方向について傾斜した板面を有する整流板43を有する整流部材39と、を備える。
【0057】
上記の構成によれば、上方から整流部材39に降りかかる油11は、整流部材39の貫通孔41内に上方から進入し、整流板43の上に流下する。これにより、上方から流下した油11の勢いが整流板43によって減殺されると共に、油11の流下方向が鉛直方向に対して傾斜した方向へと整流される。これにより、油11は、整流部材39がない場合に比べて小さな流速で、且つ、鉛直方向について傾いた方向からワイヤーハーネス14に流下するので、空気の巻き込みが抑制される結果、油泡が発生することを抑制することができる。
【0058】
また、本実施形態によれば、ワイヤーハーネス14は配線盤17の上に配索されており、配線盤17の側縁には、外方に突出すると共に、先端側ほど下行傾斜する斜面28を有する傾斜部25が形成されている。
【0059】
上記の構成によれば、配線盤17に流下して傾斜部25に達した油11は、傾斜部25の斜面28に沿って下方に流下する。これにより、油11が配線盤17から垂直に流下する場合に比べて油11の流下速度を小さくすることができる。この結果、配線盤17の下方にたまった油11に上方から油11が流下した場合に、空気が巻き込まれて油泡が発生することを抑制することができる。
【0060】
また、本実施形態によれば、配線盤17の下方には油11が貯留されており、傾斜部25の先端には、下方に垂下すると共に下端部が油11の中に位置する緩流部29を有する。
【0061】
上記の構成によれば、傾斜部25の先端にまで流下した油11は、緩流部29の表面に沿って下方に流下し、配線盤17の下方に貯留された油11に注ぎ込まれる。このとき、緩流部29の下端部は油11の中に位置しているので、緩流部29の表面に沿って流下した油11が、配線盤17の下方に貯留された油11の油面において、空気を巻き込むことを抑制することができる。この結果、油泡が発生することを確実に抑制することができる。
【0062】
また、本実施形態によれば、ワイヤーハーネス14は複数の電線15を有しており、複数の電線15は、油11が流れる方向に沿って配索されている。
【0063】
上記の構成によれば、ワイヤーハーネス14に流下した油11は、複数の電線15の隙間に沿って緩やかに流れるようになっている。これにより、油11が配線盤17の上を流れる際に、空気が巻き込まれて油泡が発生することを抑制することができる。
【0064】
また、本実施形態によれば、ワイヤーハーネス14の上方にフィルター30が配されている。
【0065】
上記の構成によれば、フィルター30に降りかかる油11に含まれた油泡はフィルター30によって除かれるので、フィルター30の下方からは油泡が除かれた油11が流下する。これにより、油11に含まれる油泡を減少させることができる。
【0066】
また、本実施形態によれば、フィルター30は、整流部材39とワイヤーハーネス14との間に配されている。
【0067】
フィルター30が整流部材39の下方に配されることにより、フィルター30に流下する油11は、まず、整流部材39の整流板43によって流速が減じられるようになっている。これにより、油11がフィルター30と接触する時には、油11の流速が小さくなっているので、油11がフィルター30と接触することによって空気が巻き込まれることが抑制され、この結果、油泡の発生が抑制される。また、油11がフィルター30を通過することによって、油11の流速は更に減じられるので、フィルター30の下方に位置するワイヤーハーネス14に油11が流下する際に、空気が巻き込まれることが一層抑制され、この結果、油泡の発生が一層抑制される。
【0068】
また、本実施形態によれば、フィルター30は、外枠35と、外枠35の内側に設けられた桟部36を有するフレーム34に取り付けられている。
【0069】
上記の構成によれば、外枠35及び桟部36によってフィルター30の形状が保持されるので、流下した油11の圧力によってフィルター30が変形することが抑制される。これにより、油11に含まれる油泡を確実に減少させることができる。
【0070】
<実施形態2>
次に、本明細書に開示された技術の実施形態2を
図11及び
図12を参照しつつ説明する。
【0071】
図12には、
図11におけるXII―XII線断面図を示す。
図12に示すように、配線盤51の底壁18の上面には、配線盤51のうち傾斜部25が設けられた部分に向かう方向(
図12における矢線Pで示す方向)について下行傾斜する案内斜面50が形成されている。
図12に示すように、配線盤51のうち傾斜部25が設けられた部分に向かう方向が矢線Pで示す方向である。
【0072】
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0073】
本実施形態によれば、配線盤51に流下した油11は、案内斜面50に沿って流れ、傾斜部25へと速やかに案内される。これにより、配線盤51の上面に油11が滞留することが抑制されるので、配線盤51の側縁のうち傾斜部25が設けられていない側縁から油11が流下することが抑制される。この結果、配線盤51の側縁のうち傾斜部25が設けられていない側縁から流下した油11によって、空気が巻き込まれて油泡が発生することを抑制することができる。
【0074】
<他の実施形態>
本明細書に開示された技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書に開示された技術の技術的範囲に含まれる。
【0075】
(1)本実施形態においては、配線盤17と整流部材39との間にはフィルター30が介在される構成としたが、フィルター30は省略してもよい。
【0076】
(2)本実施形態においては、フィルター30はフレーム34に固定される構成としたが、フレーム34は省略してもよい。この場合、フィルター30は整流部材39の上面又は下面に固定してもよい。
【0077】
(3)本実施形態においては、傾斜部25の先端に緩流部29を設ける構成としたが、緩流部29は省略してもよい。
【0078】
(4)本実施形態に係る配線ユニット10は自動変速装置内に取り付けられる構成としたが、これに限られず、本明細書に開示された技術は、油11が上方から降りかかる環境で用いられる配線ユニット10に適用できる。
【0079】
(5)本実施形態においては、ワイヤーハーネス14は配線盤17の上に配索される構成としたが、これに限られず、配線盤17は省略してもよい。
【0080】
(6)本実施形態においては、整流板43は整流部材39と一体に形成される構成としたが、これに限られず、外枠35とは別部材の整流板43を、外枠35に組み付ける構成としてもよい。
【0081】
(7)本実施形態においては、主排出口24Aに傾斜部25が設けられる構成としたが、これに限られず、配線盤17に設けられた全ての排出口に傾斜部を設ける構成としてもよい。