特許第6810957号(P6810957)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6810957
(24)【登録日】2020年12月16日
(45)【発行日】2021年1月13日
(54)【発明の名称】油性固形化粧料およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/92 20060101AFI20201228BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20201228BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20201228BHJP
【FI】
   A61K8/92
   A61K8/02
   A61Q1/00
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-207618(P2016-207618)
(22)【出願日】2016年10月24日
(65)【公開番号】特開2018-70449(P2018-70449A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2019年8月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000158781
【氏名又は名称】紀伊産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167900
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 仁
(72)【発明者】
【氏名】林 佳世子
(72)【発明者】
【氏名】渡部 友絵
【審査官】 松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−000338(JP,A)
【文献】 特開2007−261949(JP,A)
【文献】 特開2007−261950(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/037730(WO,A1)
【文献】 特開2011−121927(JP,A)
【文献】 特開2006−335667(JP,A)
【文献】 特開2005−320268(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00− 90/00
A45D 33/00− 40/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油性成分を含有する複数色の化粧料を容器に収容した油性固形化粧料であって、
前記容器に収容された第1の化粧料と、
前記第1の化粧料と異なる色を有し、前記容器に収容された第2の化粧料と、
前記第1の化粧料および前記第2の化粧料の境界を形成するとともに、前記第1の化粧料側から前記第2の化粧料側に向かうにしたがって、前記油性固形化粧料の表面に近づくように傾斜する境界部とを備え、
前記境界部は、前記容器の深さ方向に沿って形成され、
前記境界部の色は、前記第1の化粧料側から前記第2の化粧料側に向かうにしたがって、前記第1の化粧料の色から前記第2の化粧料の色へとグラデーション状に変化するように形成されることを特徴とする油性固形化粧料。
【請求項2】
請求項1に記載された油性固形化粧料において、
前記第1の化粧料は、透光性を有することを特徴とする油性固形化粧料。
【請求項3】
油性成分を含有する複数色の化粧料を容器に収容した油性固形化粧料の製造方法であって、
流動性を有する第1の化粧料を第1のノズルを介して吐出している間に、前記第1の化粧料と異なる色の流動性を有する第2の化粧料を第2のノズルを介して吐出することによって、前記第1の化粧料および前記第2の化粧料を前記容器に充填する充填ステップと、
前記充填ステップにて前記容器に充填された前記第1の化粧料および前記第2の化粧料を冷却して固化させる冷却ステップとを備え、
前記充填ステップは、前記第1の化粧料の温度を前記第2の化粧料の温度よりも高い温度に設定することを特徴とする油性固形化粧料の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載された油性固形化粧料の製造方法において、
前記充填ステップは、前記第1の化粧料を吐出する方向を前記第2の化粧料側に向けるように前記第1のノズルを傾斜させて配置するとともに、前記第2の化粧料を吐出する方向を前記第1の化粧料側に向けるように前記第2のノズルを傾斜させて配置することを特徴とする油性固形化粧料の製造方法。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載された油性固形化粧料の製造方法において、
前記充填ステップは、前記第1のノズルおよび前記第2のノズルの少なくともいずれか一方を移動させながら前記第1の化粧料および前記第2の化粧料を前記容器に充填することを特徴とする油性固形化粧料の製造方法。
【請求項6】
請求項3から請求項5のいずれかに記載された油性固形化粧料の製造方法において、
前記第1の化粧料は、透光性を有することを特徴とする油性固形化粧料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油性成分を含有する複数色の化粧料を容器に収容した油性固形化粧料およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、油性成分を含有する複数色の化粧料を容器に収容した油性固形化粧料が知られている。
例えば、特許文献1に記載された多色固形化粧料(油性固形化粧料)は、複数色の化粧料組成物(化粧料)の粘度の差を100センチストークス以上とするように調整した後、これらを容器に充填し、冷却して固化させることによって、高粘度の組成物を低粘度の組成物に滑らかな円弧を描いた凸状に入り込ませた模様を形成している。
また、例えば、特許文献2に記載された化粧製品(油性固形化粧料)は、透光性を有する赤色の化粧料を傾斜させた容器に充填し、冷却して固化させた後、この容器を水平に戻し、透光性を有する紫色の化粧料を更に充填することによって、化粧製品の表面側から見た複数色の化粧料の重なり具合を徐々に変化させた模様を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−97112号公報
【特許文献2】特開2005−320268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1または特許文献2に記載された油性固形化粧料では、複数色の化粧料の境界は、鮮明になっているので、一方の化粧料側から他方の化粧料側に向かうにしたがって、一方の化粧料の色から他方の化粧料の色へとグラデーション状に変化するように形成することができないという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、複数色の化粧料の境界部にグラデーション状の模様を形成することができ、複数色の化粧料の境界部の色を徐々に変化させることができる油性固形化粧料およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の油性固形化粧料は、油性成分を含有する複数色の化粧料を容器に収容した油性固形化粧料であって、容器に収容された第1の化粧料と、第1の化粧料と異なる色を有し、容器に収容された第2の化粧料と、第1の化粧料および第2の化粧料の境界を形成するとともに、第1の化粧料側から第2の化粧料側に向かうにしたがって、油性固形化粧料の表面に近づくように傾斜する境界部とを備え、境界部は、容器の深さ方向に沿って形成され、境界部の色は、第1の化粧料側から第2の化粧料側に向かうにしたがって、第1の化粧料の色から第2の化粧料の色へとグラデーション状に変化するように形成されることを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、油性固形化粧料は、第1の化粧料および第2の化粧料の境界を形成するとともに、第1の化粧料側から第2の化粧料側に向かうにしたがって、油性固形化粧料の表面に近づくように傾斜する境界部を備えているので、複数色の化粧料の重なり具合を徐々に変化させて全体としてグラデーション状の模様を形成することができる。また、境界部の色は、第1の化粧料側から第2の化粧料側に向かうにしたがって、第1の化粧料の色から第2の化粧料の色へとグラデーション状に変化するように形成されているので、複数色の化粧料の境界部の色を徐々に変化させることができる。
【0008】
本発明では、第1の化粧料は、透光性を有することが好ましい。
【0009】
ここで、本発明の油性固形化粧料は、第1の化粧料側から第2の化粧料側に向かうにしたがって、油性固形化粧料の表面に近づくように傾斜する境界部を備えているので、この境界部では、第1の化粧料は、油性固形化粧料の表面側に位置し、第2の化粧料は、油性固形化粧料の裏面側に位置している。
本発明によれば、油性固形化粧料の表面側に位置する第1の化粧料は、透光性を有するので、油性固形化粧料を表面側から見たときに第1の化粧料を透過して第2の化粧料を見ることができる。したがって、油性固形化粧料は、第1の化粧料に遮られることなく複数色の化粧料の重なり具合を視認することができ、全体としてグラデーション状の模様を形成することができる。
【0010】
本発明の油性固形化粧料の製造方法は、油性成分を含有する複数色の化粧料を容器に収容した油性固形化粧料の製造方法であって、流動性を有する第1の化粧料を第1のノズルを介して吐出している間に、第1の化粧料と異なる色の流動性を有する第2の化粧料を第2のノズルを介して吐出することによって、第1の化粧料および第2の化粧料を容器に充填する充填ステップと、充填ステップにて容器に充填された第1の化粧料および第2の化粧料を冷却して固化させる冷却ステップとを備え、充填ステップは、第1の化粧料の温度を第2の化粧料の温度よりも高い温度に設定することを特徴とする。
【0011】
このような構成によれば、油性固形化粧料の製造方法は、流動性を有する第1の化粧料を第1のノズルを介して吐出するとともに、第1の化粧料と異なる色の流動性を有する第2の化粧料を第2のノズルを介して吐出することによって、第1の化粧料および第2の化粧料を容器に充填する充填ステップを備えている。そして、この充填ステップは、第1の化粧料の温度を第2の化粧料の温度よりも高い温度に設定するので、第1の化粧料および第2の化粧料の境界部では、温度の高い第1の化粧料は鉛直上方側に対流し、温度の低い第2の化粧料は鉛直下方側に対流することになる。また、第1の化粧料および第2の化粧料の対流によって、第1の化粧料および第2の化粧料の境界部の色は、第1の化粧料側から第2の化粧料側に向かうにしたがって、第1の化粧料の色から第2の化粧料の色へとグラデーション状に変化するように混色して形成されることになる。
【0012】
したがって、充填ステップにて容器に充填された第1の化粧料および第2の化粧料を冷却して固化させる冷却ステップを実行することによって、第1の化粧料および第2の化粧料の境界を形成するとともに、第1の化粧料側から第2の化粧料側に向かうにしたがって、油性固形化粧料の表面に近づくように傾斜する境界部を備えた油性固形化粧料を製造することができる。
【0013】
ここで、特許文献2に記載された油性固形化粧料では、化粧製品は、紫色の化粧料側から赤色の化粧料側に向かうにしたがって、油性固形化粧料の表面に近づくように傾斜する境界を備えているが、容器の姿勢を変化させて複数色の化粧料を別々に充填しなければならないので、容易に製造することができないという問題がある。
これに対して、本発明では、容器の姿勢を変化させることなく、複数色の化粧料を一緒に充填しているので、第1の化粧料側から第2の化粧料側に向かうにしたがって、油性固形化粧料の表面に近づくように傾斜する境界部を備えた油性固形化粧料を容易に製造することができる。
【0014】
本発明では、充填ステップは、第1の化粧料を吐出する方向を第2の化粧料側に向けるように第1のノズルを傾斜させて配置するとともに、第2の化粧料を吐出する方向を第1の化粧料側に向けるように第2のノズルを傾斜させて配置することが好ましい。
【0015】
このような構成によれば、充填ステップは、第1の化粧料を吐出する方向を第2の化粧料側に向けるとともに、第2の化粧料を吐出する方向を第1の化粧料側に向けるので、第1の化粧料および第2の化粧料は、互いにぶつかり合うようにして容器に充填されることになる。このため、第1の化粧料および第2の化粧料の境界部は、第1の化粧料および第2の化粧料を吐出する方向を容器の底面に対して垂直に向ける場合と比較して広がることになる。換言すれば、本発明の油性固形化粧料の製造方法は、第1のノズルを傾斜させて配置する角度および第2のノズルを傾斜させて配置する角度を調整することによって、第1の化粧料および第2の化粧料の境界部の範囲を調整することができるので、デザイン性に富んだ油性固形化粧料を製造することができる。
【0016】
本発明では、充填ステップは、第1のノズルおよび第2のノズルの少なくともいずれか一方を移動させながら第1の化粧料および第2の化粧料を容器に充填することが好ましい。
【0017】
このような構成によれば、本発明の油性固形化粧料の製造方法は、第1のノズルおよび第2のノズルの少なくともいずれか一方を移動させながら第1の化粧料および第2の化粧料を容器に充填することによって、第1の化粧料および第2の化粧料の境界部の形状を多様化することができるので、デザイン性に富んだ油性固形化粧料を製造することができる。
【0018】
本発明では、第1の化粧料は、透光性を有することが好ましい。
【0019】
このような構成によれば、油性固形化粧料の表面側に位置する第1の化粧料は、透光性を有するので、油性固形化粧料を表面側から見たときに第1の化粧料を透過して第2の化粧料を見ることができる。したがって、油性固形化粧料は、第1の化粧料に遮られることなく複数色の化粧料の重なり具合を視認することができ、全体としてグラデーション状の模様を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施形態に係る油性固形化粧料を示す上面図および断面図
図2】油性固形化粧料の製造方法を示す図
図3】油性固形化粧料の製造方法の別例を示す図
図4】油性固形化粧料の製造方法の参考例を示す図
図5】本発明の第2実施形態に係る油性固形化粧料の製造方法を示す図
図6】本発明の第3実施形態に係る油性固形化粧料を示す上面図および断面図
図7】油性固形化粧料の製造方法を示す図
【発明を実施するための形態】
【0021】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る油性固形化粧料を示す上面図および断面図である。具体的には、図1(A)は、油性固形化粧料1の上面図である。また、図1(B)は、図1(A)のA−A断面を示す断面図である。
油性固形化粧料1は、図1に示すように、略矩形状に形成された底面と、この底面の四辺から起立する4つの側面とを有し、上面を開口した形状に形成された化粧皿2(容器)に収容されている。
【0022】
ここで、油性固形化粧料1は、油性成分を含有する化粧料である。具体的には、油性固形化粧料1は、キャンデリラロウ等の固体脂や、炭化水素等の液状油等に対して必要に応じて顔料等を配合したものである。この油性固形化粧料1は、皮膚に対する親和性が良く、例えば、グロス、口紅、アイシャドウ、アイライナー、および油性ファンデーション等のメークアップ化粧料に用いられている。また、その剤形は、固形、液状、ペースト状、および乳液状等の種々のものがある。本実施形態では、油性固形化粧料1は、常温では形状を保持できる程度の固形性を保っているが、60℃以上(より好ましくは70℃以上)に加熱することによって溶融して流動性を生じるものを採用している。
【0023】
この油性固形化粧料1は、化粧皿2の半分(図中左半分)の領域に収容された半透明のクリアピンクの化粧料CPと、クリアピンクの化粧料CPと異なる色を有し、化粧皿2の残り半分(図中右半分)の領域に収容された半透明のクリアブルーの化粧料CBとを備えている。換言すれば、クリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBは、透光性を有している。
【0024】
ここで、異なる色の化粧料とは、人間の視覚に基づいて、両者の違いを区別できる化粧料を言うものとし、明度、彩度、および色相の異なる化粧料はもとより、パール等を加えたものと、そうでないものといったように同一色であっても光沢感の異なる化粧料などを含むものとする。
【0025】
また、油性固形化粧料1は、クリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBの境界を形成するとともに、クリアピンクの化粧料CP側からクリアブルーの化粧料CB側に向かうにしたがって、油性固形化粧料1の表面に近づくように傾斜する境界部11を備えている。
境界部11の色は、クリアピンクの化粧料CP側からクリアブルーの化粧料CB側に向かうにしたがって、クリアピンクの化粧料CPの色からクリアブルーの化粧料CBの色へとグラデーション状に変化するように形成されている。換言すれば、境界部11の色は、クリアブルーの化粧料CB側からクリアピンクの化粧料CP側に向かうにしたがって、クリアブルーの化粧料CBの色からクリアピンクの化粧料CPの色へとグラデーション状に変化するように形成されている。
【0026】
以下、油性固形化粧料1の製造方法を説明する。なお、この油性固形化粧料1の製造方法は、全ての工程を製造装置にて実施してもよく、各工程に作業者の手作業を介在させて実施してもよい。
【0027】
図2は、油性固形化粧料の製造方法を示す図である。
油性固形化粧料1を製造するには、まず、油性成分を含有するクリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBを加熱することによって溶融して流動性を生じさせた状態とし、図2(A)に示すように、クリアピンクの化粧料CPを第1のノズル31を介して化粧皿2の半分(図中左半分)の領域に吐出するとともに、クリアブルーの化粧料CBを第2のノズル32を介して化粧皿2の残り半分(図中右半分)の領域に吐出することによって、クリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBを化粧皿2に充填する(充填ステップ)。
【0028】
なお、充填ステップは、クリアピンクの化粧料CPを吐出する方向を化粧皿2の底面に対して垂直に向けるように第1のノズル31を配置するとともに、クリアブルーの化粧料CBを吐出する方向を化粧皿2の底面に対して垂直に向けるように第2のノズル32を配置している。
【0029】
以下の表1は、クリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBの粘度および温度を示す表である。
クリアピンクの化粧料CPは、第1のノズル31から吐出するときの温度を100℃とするように調整されている。また、このときの粘度は、25mPa・sとなっている。
クリアブルーの化粧料CBは、第2のノズル32から吐出するときの温度を80℃とするように調整されている。また、このときの粘度は、200mPa・sとなっている。
したがって、充填ステップは、クリアピンクの化粧料CP(第1の化粧料)の温度をクリアブルーの化粧料CB(第2の化粧料)の温度よりも高い温度に設定している。
【0030】
【表1】
【0031】
充填ステップは、クリアピンクの化粧料CPの温度をクリアブルーの化粧料CBの温度よりも高い温度に設定するので、クリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBを化粧皿2に充填すると、図2(B)に示すように、クリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBの境界部11では、温度の高いクリアピンクの化粧料CPは鉛直上方側に対流し、温度の低いクリアブルーの化粧料CBは鉛直下方側に対流することになる。
【0032】
その後、充填ステップにて化粧皿2に充填されたクリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBを冷却して固化させる(冷却ステップ)。
このように、充填ステップおよび冷却ステップの各工程を実施することによって、油性固形化粧料1を製造することができる。
【0033】
この油性固形化粧料1は、クリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBの対流によって、図2(C)に示すように、クリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBの境界を形成するとともに、クリアピンクの化粧料CP側からクリアブルーの化粧料CB側に向かうにしたがって、油性固形化粧料1の表面に近づくように傾斜する境界部11を備えている。
【0034】
そして、この境界部11の色は、クリアピンクの化粧料CP側からクリアブルーの化粧料CB側に向かうにしたがって、クリアピンクの化粧料CPの色からクリアブルーの化粧料CBの色へとグラデーション状に変化するように混色して形成されることになる。換言すれば、境界部11の色は、クリアブルーの化粧料CB側からクリアピンクの化粧料CP側に向かうにしたがって、クリアブルーの化粧料CBの色からクリアピンクの化粧料CPの色へとグラデーション状に変化するように混色して形成されることになる。
【0035】
このような本実施形態によれば、以下の作用・効果を奏することができる。
(1)油性固形化粧料1は、クリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBの境界を形成するとともに、クリアピンクの化粧料CP側からクリアブルーの化粧料CB側に向かうにしたがって、油性固形化粧料1の表面に近づくように傾斜する境界部11を備えているので、複数色の化粧料の重なり具合を徐々に変化させて全体としてグラデーション状の模様を形成することができる。また、境界部11の色は、クリアピンクの化粧料CP側からクリアブルーの化粧料CB側に向かうにしたがって、クリアピンクの化粧料CPの色からクリアブルーの化粧料CBの色へとグラデーション状に変化するように形成されているので、複数色の化粧料の境界部11の色を徐々に変化させることができる。
【0036】
(2)油性固形化粧料1の表面側に位置するクリアピンクの化粧料CPは、透光性を有するので、油性固形化粧料1を表面側から見たときにクリアピンクの化粧料CPを透過してクリアブルーの化粧料CBを見ることができる。したがって、油性固形化粧料1は、クリアピンクの化粧料CPに遮られることなく複数色の化粧料の重なり具合を視認することができ、全体としてグラデーション状の模様を形成することができる。
(3)油性固形化粧料1の製造方法は、化粧皿2の姿勢を変化させることなく、複数色の化粧料を一緒に充填しているので、クリアピンクの化粧料CP側からクリアブルーの化粧料CB側に向かうにしたがって、油性固形化粧料1の表面に近づくように傾斜する境界部11を備えた油性固形化粧料1を容易に製造することができる。
【0037】
なお、本実施形態では、油性固形化粧料1は、クリアピンクの化粧料CPを第1の化粧料とし、クリアブルーCBの化粧料を第2の化粧料としていたが、これとは逆にクリアブルーCBの化粧料を第1の化粧料とし、クリアピンクの化粧料CPを第2の化粧料として油性固形化粧料1とは異なるデザインの油性固形化粧料を製造してもよい。
【0038】
図3は、油性固形化粧料の製造方法の別例を示す図である。
油性固形化粧料1とは異なるデザインの油性固形化粧料1Aを製造するには、まず、油性成分を含有するクリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBを加熱することによって溶融して流動性を生じさせた状態とし、図3(A)に示すように、クリアピンクの化粧料CPを第1のノズル31を介して化粧皿2の半分(図中左半分)の領域に吐出するとともに、クリアブルーの化粧料CBを第2のノズル32を介して化粧皿2の残り半分(図中右半分)の領域に吐出することによって、クリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBを化粧皿2に充填する(充填ステップ)。
【0039】
以下の表2は、クリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBの粘度および温度を示す表である。
クリアピンクの化粧料CPは、第1のノズル31から吐出するときの温度を80℃とするように調整されている。また、このときの粘度は、60mPa・sとなっている。
クリアブルーの化粧料CBは、第2のノズル32から吐出するときの温度を100℃とするように調整されている。また、このときの粘度は、25mPa・sとなっている。
したがって、充填ステップは、クリアブルーの化粧料CB(第1の化粧料)の温度をクリアピンクの化粧料CP(第2の化粧料)の温度よりも高い温度に設定している。
【0040】
【表2】
【0041】
充填ステップは、クリアブルーの化粧料CBの温度をクリアピンクの化粧料CPの温度よりも高い温度に設定するので、クリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBを化粧皿2に充填すると、図3(B)に示すように、クリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBの境界部11Aでは、温度の高いクリアブルーの化粧料CBは鉛直上方側に対流し、温度の低いクリアピンクの化粧料CPは鉛直下方側に対流することになる。
【0042】
その後、充填ステップにて化粧皿2に充填されたクリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBを冷却して固化させる(冷却ステップ)。
このように、充填ステップおよび冷却ステップの各工程を実施することによって、油性固形化粧料1Aを製造することができる。
【0043】
この油性固形化粧料1Aは、クリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBの対流によって、図3(C)に示すように、クリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBの境界を形成するとともに、クリアブルーの化粧料CB側からクリアピンクの化粧料CP側に向かうにしたがって、油性固形化粧料1Aの表面に近づくように傾斜する境界部11Aを備えている。
【0044】
そして、この境界部11Aの色は、クリアブルーの化粧料CB側からクリアピンクの化粧料CP側に向かうにしたがって、クリアブルーの化粧料CBの色からクリアピンクの化粧料CPの色へとグラデーション状に変化するように混色して形成されることになる。換言すれば、境界部11Aの色は、クリアピンクの化粧料CP側からクリアブルーの化粧料CB側に向かうにしたがって、クリアピンクの化粧料CPの色からクリアブルーの化粧料CBの色へとグラデーション状に変化するように混色して形成されることになる。
【0045】
また、本実施形態では、充填ステップは、クリアピンクの化粧料CP(第1の化粧料)の温度をクリアブルーの化粧料CB(第2の化粧料)の温度よりも高い温度に設定していたが、これらを同じ温度に設定した場合には、クリアピンクの化粧料CP側からクリアブルーの化粧料CB側に向かうにしたがって、油性固形化粧料1の表面に近づくように傾斜する境界部11を備えた油性固形化粧料1を製造することはできない。換言すれば、クリアピンクの化粧料CPの温度およびクリアブルーの化粧料CBの温度を同じ温度に設定して製造された油性固形化粧料は、油性固形化粧料1とは異なるデザインの油性固形化粧料となる。
【0046】
図4は、油性固形化粧料の製造方法の参考例を示す図である。
このような油性固形化粧料10を製造するには、まず、油性成分を含有するクリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBを加熱することによって溶融して流動性を生じさせた状態とし、図4(A)に示すように、クリアピンクの化粧料CPを第1のノズル31を介して化粧皿2の半分(図中左半分)の領域に吐出するとともに、クリアブルーの化粧料CBを第2のノズル32を介して化粧皿2の残り半分(図中右半分)の領域に吐出することによって、クリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBを化粧皿2に充填する。
【0047】
以下の表3は、クリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBの粘度および温度を示す表である。
クリアピンクの化粧料CPは、第1のノズル31から吐出するときの温度を90℃とするように調整されている。また、このときの粘度は、35mPa・sとなっている。
クリアブルーの化粧料CBは、第2のノズル32から吐出するときの温度を90℃とするように調整されている。また、このときの粘度は、150mPa・sとなっている。
したがって、クリアピンクの化粧料CPの温度およびクリアブルーの化粧料CBの温度は、同じ温度となっている。
【0048】
【表3】
【0049】
クリアピンクの化粧料CPの温度およびクリアブルーの化粧料CBの温度は、同じ温度となっているので、クリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBを化粧皿2に充填すると、図4(B)に示すように、クリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBの境界部101では、クリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBの対流は生じないことになる。
【0050】
その後、化粧皿2に充填されたクリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBを冷却して固化させる。
油性固形化粧料10は、クリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBの対流を生じないので、クリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBの境界部101の色は、図4(C)に示すように、鮮明な境界を有することになる。
【0051】
このように、クリアピンクの化粧料CPの温度およびクリアブルーの化粧料CBの温度を同じ温度に設定した場合には、クリアピンクの化粧料CP側からクリアブルーの化粧料CB側に向かうにしたがって、油性固形化粧料1の表面に近づくように傾斜する境界部11を備えた油性固形化粧料1を製造することはできない。
【0052】
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下の説明では、既に説明した部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0053】
図5は、本発明の第2実施形態に係る油性固形化粧料の製造方法を示す図である。
前記第1実施形態では、充填ステップは、クリアピンクの化粧料CPを吐出する方向を化粧皿2の底面に対して垂直に向けるように第1のノズル31を配置するとともに、クリアブルーの化粧料CBを吐出する方向を化粧皿2の底面に対して垂直に向けるように第2のノズル32を配置して油性固形化粧料1を製造していた。
これに対して、本実施形態では、充填ステップは、図5に示すように、クリアピンクの化粧料CPを吐出する方向をクリアブルーの化粧料CB側に向けるように第1のノズル31を傾斜させて配置するとともに、クリアブルーの化粧料CBを吐出する方向をクリアピンクの化粧料CP側に向けるように第2のノズル32を傾斜させて配置して油性固形化粧料1Bを製造している点で前記第1実施形態と異なる。
【0054】
具体的には、油性固形化粧料1Bを製造するには、まず、油性成分を含有するクリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBを加熱することによって溶融して流動性を生じさせた状態とし、図5(A)に示すように、クリアピンクの化粧料CPを第1のノズル31を介して化粧皿2の半分(図中左半分)の領域に吐出するとともに、クリアブルーの化粧料CBを第2のノズル32を介して化粧皿2の残り半分(図中右半分)の領域に吐出することによって、クリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBを化粧皿2に充填する(充填ステップ)。
【0055】
ここで、充填ステップは、クリアピンクの化粧料CPを吐出する方向をクリアブルーの化粧料CB側に向けるように第1のノズル31を角度θだけ傾斜させて配置するとともに、クリアブルーの化粧料CBを吐出する方向をクリアピンクの化粧料CP側に向けるように第2のノズル32を角度φだけ傾斜させて配置している。
【0056】
また、充填ステップは、前記第1実施形態と同様に、クリアピンクの化粧料CPの温度をクリアブルーの化粧料CBの温度よりも高い温度に設定するので、クリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBを化粧皿2に充填すると、図5(B)に示すように、クリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBの境界部11Bでは、温度の高いクリアピンクの化粧料CPは鉛直上方側に対流し、温度の低いクリアブルーの化粧料CBは鉛直下方側に対流することになる。
【0057】
その後、充填ステップにて化粧皿2に充填されたクリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBを冷却して固化させる(冷却ステップ)。
このように、充填ステップおよび冷却ステップの各工程を実施することによって、油性固形化粧料1Bを製造することができる。
【0058】
この油性固形化粧料1Bは、クリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBの対流によって、図5(C)に示すように、クリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBの境界を形成するとともに、クリアピンクの化粧料CP側からクリアブルーの化粧料CB側に向かうにしたがって、油性固形化粧料1Bの表面に近づくように傾斜する境界部11Bを備えている。
【0059】
そして、この境界部11Bの色は、クリアピンクの化粧料CP側からクリアブルーの化粧料CB側に向かうにしたがって、クリアピンクの化粧料CPの色からクリアブルーの化粧料CBの色へとグラデーション状に変化するように混色して形成されることになる。換言すれば、境界部11Bの色は、クリアブルーの化粧料CB側からクリアピンクの化粧料CP側に向かうにしたがって、クリアブルーの化粧料CBの色からクリアピンクの化粧料CPの色へとグラデーション状に変化するように混色して形成されることになる。
【0060】
ここで、充填ステップは、クリアピンクの化粧料CPを吐出する方向をクリアブルーの化粧料CB側に向けるとともに、クリアブルーの化粧料CBを吐出する方向をクリアピンクの化粧料CP側に向けるので、クリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBは、互いにぶつかり合うようにして化粧皿2に充填されることになる。このため、クリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBの境界部11Bは、クリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBを吐出する方向を化粧皿2の底面に対して垂直に向ける場合と比較して広がることになる。
この広がりの度合は、第1のノズル31および第2のノズル32にて吐出する化粧料の流量を同一とした場合には、角度θ,φを90度に近づけるように大きくするほど狭くなり、0度に近づけるように小さくするほど広くなる。
【0061】
このような本実施形態によれば、前記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる他、以下の作用・効果を奏することができる。
(4)油性固形化粧料1Bの製造方法は、第1のノズル31を傾斜させて配置する角度θおよび第2のノズル32を傾斜させて配置する角度φを調整することによって、クリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBの境界部11Bの範囲を調整することができるので、デザイン性に富んだ油性固形化粧料1Bを製造することができる。
【0062】
〔第3実施形態〕
以下、本発明の第3実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下の説明では、既に説明した部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0063】
図6は、本発明の第3実施形態に係る油性固形化粧料を示す上面図および断面図である。具体的には、図6(A)は、油性固形化粧料1Cの上面図である。また、図6(B)は、図6(A)のA−A断面を示す断面図である。
前記第1実施形態では、油性固形化粧料1は、油性固形化粧料1の表面側から見て直線状に形成された境界部11を備えていた。
これに対して、本実施形態では、油性固形化粧料1Cは、図6に示すように、油性固形化粧料1Cの表面側から見て円弧状に形成された境界部11Cを備えている点で前記第1実施形態と異なる。
【0064】
以下、油性固形化粧料1Cの製造方法を説明する。なお、この油性固形化粧料1Cの製造方法は、全ての工程を製造装置にて実施してもよく、各工程に作業者の手作業を介在させて実施してもよい。
【0065】
図7は、油性固形化粧料の製造方法を示す図である。
油性固形化粧料1Cを製造するには、まず、油性成分を含有するクリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBを加熱することによって溶融して流動性を生じさせた状態とし、図7(A)に示すように、クリアピンクの化粧料CPを第1のノズル31を介して化粧皿2の左側上方の領域に吐出するとともに、クリアブルーの化粧料CBを第2のノズル32を介して化粧皿2の右側中央の領域に吐出することによって、クリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBを化粧皿2に充填する(充填ステップ)。
【0066】
なお、充填ステップは、クリアピンクの化粧料CPを吐出する方向を化粧皿2の底面に対して垂直に向けるように第1のノズル31を配置するとともに、クリアブルーの化粧料CBを吐出する方向を化粧皿2の底面に対して垂直に向けるように第2のノズル32を配置している。
【0067】
充填ステップは、前記第1実施形態と同様に、クリアピンクの化粧料CPの温度をクリアブルーの化粧料CBの温度よりも高い温度に設定するので、クリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBを化粧皿2に充填すると、クリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBの境界部11Cでは、温度の高いクリアピンクの化粧料CPは鉛直上方側に対流し、温度の低いクリアブルーの化粧料CBは鉛直下方側に対流することになる。
【0068】
また、充填ステップは、第1のノズル31を移動させながらクリアピンクの化粧料CPを化粧皿2に充填する。具体的には、充填ステップは、第1のノズル31を化粧皿2の左側上方の領域から左下下方の領域まで円弧を描くようにして移動させながらクリアピンクの化粧料CPを化粧皿2に充填する(図7(A)矢印参照)。
【0069】
なお、本実施形態では、充填ステップは、第1のノズル31のみを移動させながらクリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBを化粧皿2に充填しているが、第1のノズル31および第2のノズル32の双方を移動させながらクリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBを化粧皿2に充填してもよい。要するに、充填ステップは、第1の化粧料および第2の化粧料の少なくともいずれか一方を移動させながら第1の化粧料および第2の化粧料を容器に充填すればよい。
【0070】
その後、充填ステップにて化粧皿2に充填されたクリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBを冷却して固化させる(冷却ステップ)。
このように、充填ステップおよび冷却ステップの各工程を実施することによって、油性固形化粧料1Cを製造することができる。
【0071】
この油性固形化粧料1Cは、クリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBの対流によって、クリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBの境界を形成するとともに、クリアピンクの化粧料CP側からクリアブルーの化粧料CB側に向かうにしたがって、油性固形化粧料1Cの表面に近づくように傾斜する境界部11C(図6(B)参照)を備えている。
【0072】
そして、この境界部11Cの色は、クリアピンクの化粧料CP側からクリアブルーの化粧料CB側に向かうにしたがって、クリアピンクの化粧料CPの色からクリアブルーの化粧料CBの色へとグラデーション状に変化するように混色して形成されることになる。換言すれば、境界部11Cの色は、クリアブルーの化粧料CB側からクリアピンクの化粧料CP側に向かうにしたがって、クリアブルーの化粧料CBの色からクリアピンクの化粧料CPの色へとグラデーション状に変化するように混色して形成されることになる。
【0073】
このような本実施形態によれば、前記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる他、以下の作用・効果を奏することができる。
(5)油性固形化粧料1Cの製造方法は、第1のノズル31を移動させながらクリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBを化粧皿2に充填することによって、クリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBの境界部11Cの形状を多様化することができるので、デザイン性に富んだ油性固形化粧料1Cを製造することができる。
【0074】
〔実施形態の変形例〕
なお、本発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記各実施形態では、複数色の化粧料としてクリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBの2色の化粧料を採用していたが、これら以外の色の化粧料を採用してもよく、3色以上の複数の化粧料を採用してもよい。
【0075】
また、前記各実施形態では、クリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBは、透光性を有していたが、透光性を有していなくてもよい。また、透光性を有する化粧料は、クリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBのいずれか一方であってもよい。
また、前記各実施形態では、充填ステップは、クリアピンクの化粧料CPおよびクリアブルーの化粧料CBの吐出を同時に開始していたが、異なるタイミングで開始してもよい。要するに、充填ステップは、第1の化粧料および第2の化粧料を容器に充填すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0076】
以上のように、本発明は、油性成分を含有する複数色の化粧料を容器に収容した油性固形化粧料およびその製造方法に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0077】
1,1A〜1C 油性固形化粧料
2 化粧皿(容器)
11,11A〜11C 境界部
31 第1のノズル
32 第2のノズル
CP クリアピンクの化粧料(第1の化粧料または第2の化粧料)
CB クリアブルーの化粧料(第1の化粧料または第2の化粧料)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7