(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種のコンパクト容器では、収容部の開放状態を安定して維持することについて、改善の余地があった。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、収容部の開放状態をより安定して維持させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のコンパクト容器は、内容物が収容される収容部を備える容器本体と、前記収容部を開放可能に閉塞する蓋体と、前記容器本体と前記蓋体との間に配置された中敷シートと、を備えるコンパクト容器であって、前記中敷シートは、前記収容部を覆う本体部と、前記容器本体に形成された装着孔に差し込まれた固定部と、前記本体部と前記固定部とを連結する折曲部と、を備え、前記装着孔は、上方に向けて開口するとともに、上面視において弧状を呈する長孔とされ、前記固定部は、上面視において前記装着孔の形状に沿って弧状を呈し、前記折曲部のうち、前記折曲部が延びる延在方向の両端部を除いた部分に、前記延在方向に延び、かつこの中敷シートの厚さ方向に前記折曲部を貫く第1貫通部が、前記延在方向に間隔を空けて一対形成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明のコンパクト容器によれば、中敷シートのうち、固定部が装着孔に差し込まれており、固定部と本体部とを連結する折曲部に、この折曲部が延びる延在方向に間隔を空けて一対の第1貫通部が形成されている。この構成では、折曲部のうち一対の第1貫通部同士の間に位置する部分が、本体部に対して、折曲部が折り曲げられず本体部および固定部が上下方向に連ねられた状態(以下、直立姿勢という)となるように上方に向けた弾性復元力を付与しつつ、本体部を固定部に対して回動可能に連結するヒンジ部として作用する。
また、中敷シートの固定部が、上面視で弧状を呈する容器本体の装着孔の形状に沿って弧状を呈している。これにより、直立姿勢から、本体部が折曲部回りに固定部に対して回転移動すると、本体部のうち固定部と接続されている部分には、固定部の湾曲した形状に倣って復元変形しようとする弾性復元力が生じることとなる。
以上のように、ヒンジ部が生じさせる弾性復元力と、固定部が上面視で弧状を呈していることによる弾性復元力と、の合力によって、中敷シートを直立姿勢のまま安定させることが可能となり、収容部内の内容物を露出させた状態を維持することができる。
また、中敷シートに作用する前述の弾性復元力によって、蓋体を開放させる動作に伴って、収容部を覆っていた本体部がこの収容部上から退避するように、本体部をヒンジ部回りに自ずと回転移動させることができる。これにより、中敷シートを収容部上から退避させる使用者の操作を省略させて、操作性を向上させることができる。
さらに、上面視において、弧状の装着孔が張り出している向きに、直立姿勢の本体部を、折曲部回りに固定部に対して回転移動させると、本体部のうち固定部に接続されている部分が反転変形するのに伴い、本体部の姿勢が保持される。例えば、上面視において、弧状の装着孔が収容部の反対側に向けて張り出している場合には、本体部を、収容部から離れる方向に直立姿勢を超えて回転移動させると、本体部の下面が上方を向き、収容部を大きく開放させた開姿勢となり、この開姿勢が保持される。一方、上面視において、弧状の装着孔が収容部側に向けて張り出している場合には、本体部が収容部を覆う閉姿勢の状態で中敷シートを保持することができる。
そして、上記のように中敷シートを反転変形させる際にクリック感が生じるため、直立姿勢から開姿勢へと、あるいは閉姿勢から直立姿勢へと、中敷シートの姿勢が変化したことを使用者に知覚させて、操作感をより向上させることができる。
【0008】
ここで、前記折曲部に、一対の前記第1貫通部それぞれにおいて、前記延在方向の両端部のうち、前記延在方向で互いに対向する内端部から前記延在方向に直交する方向に延びる第2貫通部が形成されていてもよい。
【0009】
この場合、折曲部のうち、一対の第2貫通部同士の間に位置する部分が前述のヒンジ部として作用することとなる。また、これらの第2貫通部が折曲部の延在方向に直交する方向(以下、単に直交方向という)に延びていることにより、ヒンジ部の直交方向における長さを確保することが可能となり、本体部を、固定部に対して折曲部回りに円滑に回転移動させることができる。
さらに、直立姿勢の状態から、上面視において装着孔が張り出す方向に、本体部を折曲部回りに固定部に対して回転移動させた場合には、ヒンジ部の直交方向における長さが長いことから、このヒンジ部がより大きく反転変形することとなり、クリック感を大きくして操作感をより向上させることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、収容部の開放状態をより安定して維持させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態に係るコンパクト容器の構成を、
図1〜
図4を参照しながら説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため縮尺を適宜変更している。
【0013】
図1および
図2(a)に示すように、コンパクト容器10は、例えば、内容物としてのファンデーション等の化粧品が充填された中皿Sを収容する携帯用の蓋付き容器である。コンパクト容器10は、中皿Sが収容される第1収容部11aを備えた内容器11および内容器11が収容された外容器12を有する容器本体13と、第1収容部11aを開放可能に閉塞する蓋体14と、容器本体13と蓋体14との間に配置された中敷シート15と、を備える。
【0014】
容器本体13は、全体として偏平な有底筒状に形成され、蓋体14は、偏平な有頂筒状に形成されている。これらの容器本体13および蓋体14の各中心軸は、共通軸上に配置されている。以下では、この共通軸を容器軸Oといい、容器軸Oに沿う方向を上下方向という。上下方向に沿って、容器本体13の底部側を下方といい、蓋体14の天壁部側を上方という。上下方向から見た平面視において、容器軸Oに交差する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0015】
図1に示すように、蓋体14は、容器本体13に対してヒンジ16を介して連結されている。蓋体14は、ヒンジ16回りに上下方向に回動可能であり、容器本体13を開閉する。以下では、ヒンジ16の軸線方向を左右方向といい、上下方向および左右方向の両方向に直交する方向を前後方向という。また、前後方向に沿う容器軸Oに対するヒンジ16側を後側といい、その反対側を前側という。
【0016】
(蓋体)
図2(a)に示すように、蓋体14内には、内容物を皮膚などの被塗布面に塗布する塗布具50が収容されている。塗布具50は、中敷シート15上に載置されている。蓋体14の頂壁には、鏡体30が取り付けられている。鏡体30は、板状に形成されている。鏡体30は、蓋体14の天壁部の下面に固定されている。
図1に示すように、蓋体14の後端部には、ヒンジ凸部29が設けられている。ヒンジ凸部29は、蓋体14から下方に向けて延びている。ヒンジ凸部29は、容器本体13の後端部に設けられて前方に向けて窪むヒンジ凹部23の内側に位置している。ヒンジ凹部23とヒンジ凸部29とが、左右方向に延びる軸部31を介して連結されることで、前記ヒンジ16が構成されている。
【0017】
(容器本体)
図1に示すように、容器本体13はプッシュピース24を備えている。プッシュピース24は、容器本体13の前端部に設けられている。プッシュピース24は、前方付勢状態で後方に向けて押し込み可能に設けられている。
容器本体13および蓋体14には、係合部が各別に設けられている。蓋体14が閉じられた状態では、容器本体13および蓋体14の各係合部が互いに係合することで、蓋体14のヒンジ16回りの回動が規制される。各係合部は、互いに乗り越え可能に係合されており、プッシュピース24が後方に向けて押し込まれたときにこの係合が解除され、蓋体14のヒンジ16周りの回動が許容される。
【0018】
図2(a)に示すように、外容器12は、中心軸が容器軸O上に位置する扁平な有底筒状に形成されている。内容器11は、収容筒部11bと、収容筒部11bの上端開口縁から径方向外側に向けて延びる環状のフランジ部11cと、を有している。収容筒部11bおよびフランジ部11cの各中心軸は、容器軸O上に配置されている。
図2(b)に示すように、フランジ部11cの左右方向における一方側(以下、左側という)の端部には、下方に向けて延びる保持壁11dが形成されている。内容器の収容筒部11bと、外容器の底壁部12aと、により、先述の第1収容部11aが画成されている。図示の例では、この第1収容部11a内に固形の内容物が充填された中皿Sが収容されている。フランジ部11cには、
図2(b)に示すように、上方に向けて開口し、上下方向に延びる装着孔11eが形成されている。
【0019】
(中敷シート)
図2(a)、(b)および
図3に示すように、中敷シート15は、第1収容部11aを全域にわたって覆う本体部33と、装着孔11e内に差し込まれた固定部34と、本体部33と固定部34とを連結する折曲部37と、を備えている。固定部34は、本体部33から下方に向けて突出している。
図3に示すように、本体部33および固定部34は、折曲部37を平らにすることで平面状に展開することが可能であり、中敷シート15は透明かつ弾性を有する1枚のシート材によって形成されている。すなわち、
図2(a)、(b)に示す中敷シート15は、折曲部37に沿って折り曲げられた状態となっている。中敷シート15は全体として透明であるため、中敷シート15の本体部33を通して第1収容部11a内の内容物を視認することができる。
【0020】
以下、
図3に示すように、中敷シート15を平面状に展開した状態について説明する。固定部34は本体部33から左側に向けて突設されている。固定部34は、左右方向よりも前後方向に長い長方形状に形成されている。固定部34の前後両端部と左端部とがなす一対の角部にはそれぞれ、左側に向かうに従い漸次前後方向における固定部34の中央部に向かう傾斜部34aが形成されている。
【0021】
固定部34の前後方向における両端部には、この両端部からそれぞれ前後方向に突出する一対の係止部35が形成されている。係止部35は、固定部34が装着孔11e内に差し込まれた際に、この装着孔11eの下側の開口周縁部(フランジ部11cの下面)に係止される。これにより、固定部34が装着孔11eに対して所定量を超えて上方に移動するのが規制される。
【0022】
中敷シート15は、PET(ポリエチレンテレフタレート)により形成されている。中敷シート15の材質としては、PETの他、PP(ポリプロピレン)などを用いることができる。PETおよびPPは、曲げ弾性率などの機械的特性に優れるため、本実施形態のように弾性変形させて用いる中敷シート15の材質として好ましい。特にPETは、高い透明度を有しているため、内容物を視認可能な状態で覆うことが可能であり、中敷シート15の材質として最適である。なお、PETおよびPP以外の材質を用いて中敷シート15を形成してもよい。
中敷シート15の厚さは、例えば約30μm〜1000μmであり、30μm〜500μmの範囲内がより好ましい。本実施形態の場合、中敷シート15は、例えば100μm〜500μm、好ましくは200μmのPETシートにより形成されている。この場合、本体部33を確実に直立させることができる程度に、後述するヒンジ部38の曲げ剛性を確保することができる。
【0023】
ここで、本実施形態の中敷シート15における折曲部37のうち、上面視においてこの折曲部37が延びる延在方向の両端部を除いた部分には、中敷シート15の厚さ方向にこの折曲部37を貫く第1貫通部39が、この延在方向に間隔を空けて一対形成されている。一対の第1貫通部39はそれぞれ、折曲部37の延びる延在方向に沿って真っ直ぐ延びている。折曲部37の延びる延在方向において、一対の第1貫通部39の長さは互いに同等である。折曲部37を折り曲げたときの折り曲げ線(
図3に示す二点鎖線)は、この第1貫通部39の形状に案内される。このため、折曲部37を折り曲げたときの折り曲げ線は、一対の第1貫通部39が延びる直線と同等の直線上に位置することとなる。
【0024】
一対の第1貫通部39同士の間に位置する部分(以下、ヒンジ部38という)には、折曲部37が折り曲げられる前の形状に復元変形しようとする弾性復元力が作用する。このため、
図2(b)の状態におけるヒンジ部38は、本体部33に上方に向けた弾性復元力を付与しつつ本体部33を固定部34に対して回動可能に連結する回動中心として作用する。
【0025】
また、
図1に示すように、本実施形態の装着孔11eは、上面視において容器軸Oを中心として周方向に延びる弧状を呈する長孔とされている。そして、中敷シート15の固定部34は、上面視における装着孔11eの形状に沿って弧状に弾性変形させられた状態で、この装着孔11eに差し込まれている。これにより、固定部34は容器軸Oを中心とした円筒形状の一部をなす曲面状に弾性変形した状態で、装着孔11e内に固定されている。なお、固定部34は、接着などによって装着孔11e内に固着されていてもよい。
【0026】
ところで、例えば弾性を有するシート材を弾性変形させて半円筒形状に湾曲させた場合、このシート材には半円筒形状を保持しようとする弾性復元力が作用し、仮にこのシート材の一部分を半円筒形状と異なる形状に弾性変形させたとしても、弾性復元力によって元の半円筒形状に復帰する。本実施形態では、弾性を有する中敷シート15の一部である固定部34が、装着孔11eの上面視形状に沿って上面視で弧状に弾性変形させられているため、中敷シート15の全体に上記と同様の弾性復元力が作用する。すなわち、中敷シート15の全体に、固定部34が呈する曲面に倣おうとする弾性復元力が作用する。また、固定部34は容器軸Oを中心とした円筒形状の一部をなす曲面形状に弾性変形しており、かつ装着孔11e内に固定されている。このため、中敷シート15の全体には、この固定部34の形状に倣って、容器軸Oを中心とした円筒形状の一部をなす曲面状に復帰しようとする弾性復元力が作用する。なお、この弾性復元力は、本体部33のうち固定部34に接続されている部分に、特に強く作用する。
【0027】
次に、以上のように構成されたコンパクト容器10の作用について、
図2(a)および
図4(a)〜(c)を用いて説明する。なお、
図4(a)〜(c)は
図1に示すA−A断面矢視における模式図であり、蓋体14の図示を省略している。
【0028】
図2(a)に示すように、蓋体14が閉じられており中敷シート15の本体部33上に塗布具50が載置されている場合、中敷シート15は本体部33が第1収容部11aを覆う閉姿勢となっている。閉姿勢の中敷シート15では、本体部33は上下方向に直交する平面内に延在し、固定部34は本体部33の周縁部から下方に延びている。
【0029】
蓋体14を開き、塗布具50を取り除くと、前述したヒンジ部38による弾性復元力および固定部34が呈する曲面に倣おうとする弾性復元力の合力によって、本体部33が折曲部37回りに固定部34に対して上方に回転移動する(
図4(a)参照)。このとき、固定部34が呈する曲面に倣おうとする弾性復元力によって、本体部33の前後方向における中央部が上方に位置し、本体部33の前後方向における両端部が下方に位置するように、本体部33も曲面形状を呈する。
【0030】
弾性復元力によって、本体部33がさらに折曲部37回りに固定部34に対して上方に回転移動すると、本体部33が固定部34から上下方向に連ねられ、折曲部37が折り曲げられていない直立姿勢となり、復元変形が完了する(
図4(b)参照)。この直立姿勢では、ヒンジ部38が折り曲げられる前の形状になっているため、ヒンジ部38に作用していた弾性復元力は解放されている。また、この直立姿勢では、本体部33および固定部34が一体となって、容器軸Oを中心とした円筒形状の一部をなす曲面形状を呈する。この直立姿勢は、中敷シート15の全体の形状が、装着孔11eにより固定された固定部34の曲面形状に倣った状態であって安定している。従って、中敷シート15は直立姿勢のまま維持される。中敷シート15が直立姿勢にある場合、第1収容部11a内の内容物が露出されるため、塗布具50などを用いてこの内容物を使用することができる。
【0031】
直立姿勢の状態から、折曲部37回りに本体部33を固定部34に対してさらに回転移動させると、ヒンジ部38および本体部33が反転変形する(
図4(c)参照)。このとき、ヒンジ部38は、径方向外側に向けて凸の形状から、径方向内側に向けて凸の形状へと反転変形する。また、本体部33は、上面が下方を向き、かつ下面が上方を向き、第1収容部11aを大きく開放する開姿勢になるとともに、前後方向における中央部が上方に位置し、前後両端部が下方に位置するように反転変形する、このとき、本体部33のうち固定部34と接続された部分における周方向の両端部には、上面視において、本体部33の外側に向けた引張力が作用することとなる。これにより、本体部33を開姿勢に保持する力が生じる。開姿勢では、直立姿勢と比較して第1収容部11aがさらに大きく開放されるため、塗布具50などを用いてこの第1収容部11a内の内容物をさらに使用しやすくなる。
【0032】
なお、本体部33のうち固定部34に接続された部分には、湾曲した固定部34の形状に倣おうとする大きな力が作用する一方で、この力は、本体部33のうち固定部34の反対側の端部に向かうに従って漸次弱まる。このため、
図4(a)〜(c)の各状態において、本体部33は、前後方向および中敷シート15の厚さ方向の双方向に沿う断面における曲率半径が、固定部34側からその反対側に向かうに従って漸次大きくなるように湾曲する。
【0033】
以上説明したように、本実施形態のコンパクト容器10によれば、中敷シート15のうち、固定部34が装着孔11eに差し込まれており、固定部34と本体部33とを連結する折曲部37に、この折曲部37が延びる延在方向に間隔を空けて一対の第1貫通部39が形成されている。この構成では、折曲部37のうち、一対の第1貫通部39同士の間に位置する部分が、本体部33に上方に向けた弾性復元力を付与しつつ本体部33を固定部34に対して回動可能に連結するヒンジ部38として作用する。
【0034】
また、中敷シート15の固定部34が、上面視で弧状を呈する装着孔11eに沿って弧状に弾性変形させられた状態で、この装着孔11eに差し込まれている。これにより、折曲部37が折り曲げられず本体部33および固定部34が上下方向に連ねられた直立姿勢から、本体部33が折曲部37回りに固定部34に対して回転移動すると、本体部33のうち固定部34と接続されている部分には、固定部34の湾曲した形状に倣って復元変形しようとする弾性復元力が生じることとなる。
【0035】
このように、ヒンジ部38が生じさせる弾性復元力と、固定部34が上面視で弧状に弾性変形していることによる弾性復元力と、の合力によって、中敷シート15を直立姿勢のまま安定させることが可能となり、第1収容部11a内の内容物を露出させた状態を維持することができる。
【0036】
また、中敷シート15には前述の弾性復元力が作用するため、蓋体14を開放させる動作に伴って、第1収容部11aを覆っていた本体部33が、この第1収容部11a上から退避するように、折曲部37回りに自ずと回転移動する。これにより、中敷シート15を第1収容部11a上から退避させる使用者の操作を省略させて、操作性を向上させることができる。
【0037】
さらに、本体部33が第1収容部11aを覆っている状態から、直立姿勢を超えて本体部33を折曲部37回りに固定部34に対して回転移動させると、ヒンジ部38および本体部33が反転変形するとともに、開姿勢が保持される。そして、ヒンジ部38および本体部33を反転変形させる際にクリック感が生じるため、使用者に中敷シート15が開姿勢となったことを知覚させて、操作感をより向上させることができる。
【0038】
また、折曲部37に一対の第1貫通部39が形成されているため、本体部33を折曲部37回りに固定部34に対して回転移動させる際に、折り曲げ変形する折曲部37の位置を安定させることが可能となり、本体部33による第1収容部11aの開閉操作を円滑に行うことができる。
【0039】
また、例えば一対の第1貫通部39が上面視で湾曲した形状である場合、中敷シート15を折曲部37で折り曲げたときに、本体部33における固定部34との接続部分が、固定部34の上方を覆うように位置し、本体部33の固定部34に対する回転移動を妨げる場合がある。これに対して、本実施形態では一対の第1貫通部39が折曲部37の延在方向に真っ直ぐ延びていることにより、閉姿勢において本体部33の前記接続部分が固定部34の上方を覆うように位置するのを回避して、本体部33を固定部34に対して円滑に回転移動させることが可能となる。
【0040】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態について説明するが、第1実施形態と基本的な構成は同様である。このため、同様の構成には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0041】
本実施形態では、
図5に示すように、中敷シート15を平面上に展開した状態において、折曲部37に、一対の第1貫通部39それぞれにおいて、折曲部37が延びる延在方向の両端部のうち、この延在方向で互いに対向する内端部からこの延在方向に直交する直交方向に延びる第2貫通部39aが形成されている。
図5に示す例では、第2貫通部39aが、第1貫通部39の前記内端部から直交方向の両側に向けて延びており、第1貫通部39および第2貫通部39aによって全体としてT字状の貫通部が、折曲部37に形成されている。直交方向において、一対の第2貫通部39aの長さは互いに同等である。
【0042】
本実施形態では、折曲部37のうち、一対の第2貫通部39a同士の間に位置する部分がヒンジ部38として作用することとなる。また、これらの第2貫通部39aは直交方向に延びていることにより、ヒンジ部38の直交方向における長さを確保することが可能となり、本体部33を、固定部34に対して折曲部37回りに円滑に回転移動させることができる。
さらに、直立姿勢を超えて本体部33を回転移動させた場合には、ヒンジ部38の直交方向における長さが長いことから、この帯状のヒンジ部38が大きく反転変形することとなり、クリック感を大きくして操作感をより向上させることができる。
【0043】
また、
図6に示すように、各第1貫通部39および各第2貫通部39aが、それぞれが延びる方向に直交する方向の幅を有していてもよい。
図6に示す例では、一対の第1貫通部39の幅を二分する中心線は、折曲部37の延びる直線上に位置している。各第1貫通部39および各第2貫通部39aは、互いに対向する内周面同士が接触しない長孔状に形成されている。
この場合、各第1貫通部39が左右方向の幅を有しているため、左右方向における本体部33と固定部34との間の隙間が確保され、本体部33を反転変形させる際に、この本体部33が固定部34に接触して反転変形が妨げられてしまうのを抑えることができる。
【0044】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る第3実施形態について説明するが、第1実施形態と基本的な構成は同様である。このため、同様の構成には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0045】
図7に示すように、本実施形態の中敷シート15には、塗布具50を収容する第2収容部36が設けられている。第2収容部36は、本体部33の径方向中央部を下方に向けて窪ませることで形成されている。中敷シート15の左右方向における他方側(以下、右側という)の端部には、摘み部33bが形成されている。
本実施形態の中敷シート15は、例えば約700μm程度の厚みを有するシートを用いて形成されてもよい。
【0046】
(第4実施形態)
次に、本発明に係る第4実施形態について説明するが、第1実施形態と基本的な構成は同様である。このため、同様の構成には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
本実施形態では、中敷シート15の形状は第1実施形態と同様であるが、上面視における装着孔11eの形状が第1実施形態と異なっている。
【0047】
図8に示すように、本実施形態におけるコンパクト容器10では、装着孔11eの上面視形状が、径方向の内側に向けて凸の弧状(周方向に延びる弧状とは逆向きの弧状)となっている。これにより、中敷シート15は、本体部33における固定部34との接続部およびヒンジ部38が反転変形した状態で閉姿勢となっており、本体部33における固定部34との接続部には張力が発生しており、この張力は本体部33を閉姿勢に保つように作用する。このため、蓋体14を開いて塗布具50を取り除いても、本体部33が固定部34に対して折曲部37回りに回動せず、第1収容部11a内の内容物は露出されない。
【0048】
内容物を露出させる場合には、本体部33を摘んで上方に移動させる。このとき、
図9(a)に示すように、本体部33のうち前後方向における中央部が上方に位置し、前後両端部が下方に位置するように本体部33が湾曲した状態で、本体部33が折曲部37周りに固定部34に対して回転移動する。
本体部33を所定量回転移動させると、クリック感とともに本体部33およびヒンジ部38の反転変形が解除されて、固定部34が呈する曲面に本体部33が倣い、本体部33が固定部34から上方に真っ直ぐ延びる直立姿勢となる(
図9(b)参照)。
また、直立姿勢を超えて本体部33を回転移動させても、中敷シート15に作用する弾性復元力によって本体部33は直立姿勢に戻る。これにより、直立姿勢が安定して維持される。
【0049】
以上説明したように、本実施形態では、装着孔11eの上面視形状が、径方向の内側に向けて凸の弧状となっていることにより、閉姿勢の状態で本体部33が反転変形しており、蓋体14を開いて塗布具50を除去しても本体部33が自ずと立ち上がらず、第1収容部11aが中敷シート15で覆われた状態が維持される。
そして、本体部33を上方に引き上げることにより、クリック感とともに本体部33およびヒンジ部38の反転変形が解除されて、直立姿勢の状態が維持される。
【0050】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0051】
例えば、前記実施形態では、内容器11のフランジ部11cに装着孔11eが形成されていたが、これに限られず、外容器12と内容器11との間の隙間を装着孔11eとして用いてもよい。
【0052】
また、装着孔11eおよび中敷シート15の上面視形状は図示の例に限られず、適宜変更することができる。例えば、折曲部37の延在方向における固定部34の長さと、装着孔11eの曲率半径および弧長と、を適宜設定することで、中敷シート15に作用する弾性復元力を調整して、本体部33を円滑に開閉動作させることができる。
【0053】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。
【0054】
例えば、
図5または
図6に示す中敷シート15に、
図7に示すような第2収容部36が形成されていてもよい。
あるいは、
図5または
図6に示す中敷シート15と、
図8に示すような上面視で第1収容部11a側に凸の円弧状を呈する装着孔11eを有する容器本体13と、を組み合わせてもよい。