特許第6811075号(P6811075)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6811075米飯加工食品用包装材、米飯加工食品包装体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6811075
(24)【登録日】2020年12月16日
(45)【発行日】2021年1月13日
(54)【発明の名称】米飯加工食品用包装材、米飯加工食品包装体
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/10 20160101AFI20201228BHJP
   B65D 85/50 20060101ALI20201228BHJP
   B65D 65/10 20060101ALI20201228BHJP
【FI】
   A23L7/10 F
   B65D85/50 140
   B65D65/10 A
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-218225(P2016-218225)
(22)【出願日】2016年11月8日
(65)【公開番号】特開2018-74934(P2018-74934A)
(43)【公開日】2018年5月17日
【審査請求日】2019年9月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241186
【氏名又は名称】朋和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(72)【発明者】
【氏名】神谷 知毅
【審査官】 吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−342201(JP,A)
【文献】 特開2009−255944(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
B65D 65/
B65D 85/
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に直交する他方向に分割可能な外シートと、該外シートと同方向に分割可能な内シートとを備えると共に、シート状食品を介して外シートと内シートとが重ね合わされた状態でシート状食品の周囲の位置で外シートと内シートとがシールされて形成されたシール部を備える米飯加工食品用包装材において、
前記外シートは、前記シール部を形成する領域よりも内側の内側領域が切り込まれて形成された切込部と、該切込部を覆う被覆シートとを備えており、
該切込部は、前記一方向に延びる仮想線と交差するように形成された第一切込線と、該第一切込線と交差すると共に前記他方向に間隔を空けて形成される一対の第二切込線とを備えており、
前記第一切込線の両端部は、第一切込線の中央側の領域よりも前記一方向における外シートの一端部側に位置するように形成されており、
前記一対の第二切込線は、第一切込線との交差位置から前記一方向における外シートの他端部側へ延びるように形成されており、
前記一方向における外シートの中央部よりも他端側に切込部が形成されており、
外シートの第一切込線で囲まれた領域が他の領域から分離して第一分離片が形成されており、
被覆シートは、第一分離片にシールされる分離片シール部と、摘み部とを備える米飯加工食品用包装材。
【請求項2】
前記一方向における外シートの他端部と切込部との間に前記シール部が形成される請求項1に記載の米飯加工食品用包装材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の米飯加工食品用包装材を用いて米飯加工食品が包装されてなる米飯加工食品包装体であって、
前記一方向における米飯加工食品用包装材の両端部同士が重なるように米飯加工食品用包装材が二つに折り返されており、
前記一方向における米飯加工食品用包装材の一端部と他端部とがシールされて形成された封止シール部を備え、該封止シール部は、前記仮想線と重なる位置に形成される米飯加工食品包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状食品と、米飯加工食品とを分離した状態で包装可能に構成されると共に、食する際には、両者を合体して食せるよう構成される米飯加工食品用包装材に関する。また、該米飯加工食品用包装材を用いて形成された米飯加工食品包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
コンビニエンスストア等で販売されている海苔付きおにぎりは、外シートと内シートとの間に海苔を収納した包装材によって包装されている。このように、外シートと内シートとの間に海苔が収納されることで、おにぎりと海苔とが直に接することがないため、おにぎりの水分によって海苔が湿気ってしまうのを抑制することが可能となっている。
【0003】
前記外シートとしては、例えば、おにぎりを包むことが可能なサイズの外シート本体と、該外シート本体に重なるように配置されて一方向に延びる帯状に形成されたカットテープとを備えるものが知られている。該外シートは、外シート本体の外周端部よりも内側の領域が切り込まれて形成された切込部を備える。該切込部は、円弧状の第一切込線と、該第一切込線に交わるように形成された一つの第二切込線とを備えるものが知られている(特許文献1参照)。
【0004】
該第一切込線は、両端部が中央側の領域より前記一方向における外シートの一端部側に位置するように形成される。具体的には、第一切込線は、前記一方向における外シートの他端部側へ膨出する円弧状に形成される。また、前記第二切込線は、第一切込線の中央部から前記一方向における外シートの他端部側へ延びるように形成される。これにより、外シート本体における第一切込線で囲まれた領域が他の領域から分離されるため、分離した領域によって指などで摘むことが可能な摘み部が形成される。そして、該摘み部とカットテープの一部とが重なるように構成されている。
【0005】
前記内シートは、外シートと略同一形状となるように形成されている。また、内シートは、2枚の内シート片から構成されている。該2枚の内シート片は、外シートと内シートとを重ね合わせた際、該外シートのカットテープに対応する位置で一方の内シート片の内側端部と他方の内シート片の内側端部とが重なるように構成されている。
【0006】
そして、上記のように構成される外シートと内シートとが海苔を挟んで重ね合わされた状態で、外シートと内シートとが海苔の周囲でシールされることで、包装材が形成される。この際、第一切込線及び第二切込線は、海苔と重なる位置に配置される。
【0007】
このような構成の包装材を用いて包装されたおにぎりを食する際には、外シートの摘み部を前記一方向における外シートの一端部側へ引っ張ることで、外シートは、第一切込線の両端部を起点に、前記一方向の一端部側へカットテープに沿って切断される(第一の切断)。これにより、第一切込線の両端部を起点として前記一方向に延びる一対の切断部間の領域が他の領域から分離される。そして、分離された部分を境とする包装材の一方側と他方側とを離間させるように引っ張ることで、外シートは、第二切込線の先端部を起点に、前記一方向における外シートの他端部側へ切断される(第二の切断)されると同時に、一対の内シート片が分離しておにぎりと海苔との間から引き抜かれる。これにより、米飯加工食品から包装材が取り除かれて、おにぎりと海苔とが一体となった状態で食することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−279113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記のような包装材では、第一の切断によって分離される部分を境に包装材の一方側と他方側とを離間させるように引っ張ることで、第二の切断が行われると同時に、おにぎりと海苔との間から一対の内シート片が引き抜かれることになる。つまり、上記のような包装材では、米飯加工食品から包装材を取り除く工程において第二の切断を行う力が必要になるため、包装材を取り除く工程で比較的多くの力が必要となり、包装材を取り除く工程を容易に行うことができない。
【0010】
そこで、本発明は、米飯加工食品から米飯加工食品用包装材を取り除く工程をより少ない力で行うことができる米飯加工食品用包装材を提供すると共に、該米飯加工食品用包装材を用いて米飯加工食品が包装されてなる米飯加工食品包装体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る米飯加工食品用包装材は、一方向に直交する他方向に分割可能な外シートと、該外シートと同方向に分割可能な内シートとを備えると共に、シート状食品を介して外シートと内シートとが重ね合わされた状態でシート状食品の周囲の位置で外シートと内シートとがシールされて形成されたシール部を備える米飯加工食品用包装材において、
前記外シートは、前記シール部を形成する領域よりも内側の内側領域が切り込まれて形成された切込部を備えており、該切込部は、前記一方向に延びる仮想線と交差するように形成された第一切込線と、該第一切込線と交差すると共に前記他方向に間隔を空けて形成される一対の第二切込線とを備えており、前記第一切込線の両端部は、第一切込線の中央側の領域よりも前記一方向における外シートの一端部側に位置するように形成されており、前記一対の第二切込線は、第一切込線との交差位置から前記一方向における外シートの他端部側へ延びるように形成される。
【0012】
斯かる構成によれば、第一切込線を備えることで、外シートの内側領域における第一切込線で囲まれた領域が他の領域から分離される。そして、分離した領域(以下、第一分離片とも記す)が前記一方向における外シートの一端部側へ引っ張られることで、第一切込線の両端部を起点に、前記一方向における外シートの一端部側へ外シートが切断される。これにより、第一分離片と、第一切込線の両端部を起点として前記一方向の一端部側へ延びる一対の切断部間の領域(即ち、該第一分離片よりも前記一方向の一端部側の領域)とから構成される第一分離領域が他の領域から分離される。
【0013】
更に、一対の第二切込線を備えることで、一対の第二切込線間の領域が他の領域から分離される。そして、分離した領域(以下、第二分離片とも記す)を外シートにおける前記一方向の他端部側へ引っ張ることで、一対の第二切込線の先端部を起点に、前記一方向における外シートの他端部側へ外シートが切断される。これにより、第二分離片と、一対の第二切込線の各先端部を起点として前記一方向の他端部側へ延びる一対の切断部間の領域(即ち、該第二分離片よりも前記一方向の他端部側の領域)とから構成される第二分離領域が他の領域から分離される。
【0014】
これにより、外シートは、前記一方向の両端間の全域に亘って延びる帯状の領域(即ち、第一分離領域及び第二分離領域)が他の領域から分離された状態となる。斯かる状態では、外シートは、前記一方向の全域に亘って切断された(他方向に分割された)状態であるため、米飯加工食品から米飯加工食品用包装材を取り除く工程を行う際に、外シートを切断する力が不要になる。これにより、米飯加工食品から米飯加工食品用包装材を取り除く工程をより少ない力で行うことができる。
【0015】
前記一方向における外シートの他端部と切込部との間に前記シール部が形成されてもよい。
【0016】
斯かる構成によれば、前記一方向における外シートの他端部と切込部との間に前記シール部が形成される場合であっても、米飯加工食品用包装材を取り除く工程をより少ない力で行うことができる。
【0017】
具体的には、従来のように、米飯加工食品用包装材を取り除く工程おいて外シートが一つの第二切込線の先端部を起点に切断される場合、前記シール部において外シートを切断する力が必要なるため、米飯加工食品用包装材を取り除く工程で比較的多くの力が必要となる。
【0018】
ここで、前記シール部は、前記一方向における外シートの他端部と切込部との間に形成されるため、前記第二分離領域を含む部分である。従って、一対の第二切込線の各先端部を起点に前記一方向における外シートの他端部側へ外シートが切断されて、前記第二分離領域が他の領域から分離されることで、該シール部を構成する部分において外シートが切断された状態になる。これにより、前記一方向における外シートの他端部と切込部との間に前記シール部が形成される場合であっても、米飯加工食品から米飯加工食品用包装材を取り除く工程をより少ない力で行うことができる。
【0019】
本発明に係る米飯加工食品包装体は、上記の米飯加工食品用包装材を用いて米飯加工食品が包装されてなる米飯加工食品包装体であって、前記一方向における米飯加工食品用包装材の両端部同士が重なるように米飯加工食品用包装材が二つに折り返されており、前記一方向における米飯加工食品用包装材の一端部と他端部とがシールされて形成された封止シール部を備え、該封止シール部は、前記一方向において前記切込部と対向する位置に形成される。
【0020】
斯かる構成によれば、前記一方向において前記切込部と対向する位置に前記封止シール部が形成される場合であっても、米飯加工食品用包装材を取り除く工程をより少ない力で行うことができる。
【0021】
具体的には、従来のように、米飯加工食品用包装材を取り除く工程おいて外シートが一つの第二切込線の先端部を起点に切断される場合、前記封止シール部において外シートを切断する力が必要なるため、米飯加工食品用包装材を取り除く工程で比較的多くの力が必要となる。
【0022】
ここで、前記封止シール部は、前記一方向において前記切込部と対向する位置に形成されるため、前記第二分離領域を含む部分である。従って、一対の第二切込線の各先端部を起点に前記一方向における外シートの他端部側へ外シートが切断されて、前記第二分離領域が他の領域から分離されることで、該封止シール部を構成する部分において外シートが切断された状態になる。これにより、前記一方向において前記切込部と対向する位置に前記封止シール部が形成される場合であっても、米飯加工食品から米飯加工食品用包装材を取り除く工程をより少ない力で行うことができる。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明によれば、米飯加工食品から米飯加工食品用包装材を取り除く工程をより少ない力で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係る米飯加工食品用包装材の分解斜視図。
図2】同実施形態に係る米飯加工食品用包装材を外シート側から見た平面図。
図3】同実施形態に係る米飯加工食品用包装材が備える切込部及び被覆シートの周辺を示した図。
図4】(a)は、同実施形態に係る米飯加工食品用包装材を用いて三角形状の米飯加工食品が包装されてなる米飯加工食品包装体を示す斜視図、(b)は、同実施形態に係る米飯加工食品包装体の外シートを切断して第一分離領域を分離する際の斜視図。
図5】(a)は、同実施形態に係る米飯加工食品包装体の外シートを切断して第二分離領域を分離する際の斜視図、(b)は、同実施形態に係る米飯加工食品包装体の外シートが分割された状態を示す斜視図。
図6】(a)は、他の実施形態に係る米飯加工食品用包装材の切込部の周辺を示した平面図、(b)は、更に他の実施形態に係る米飯加工食品用包装材の切込部の周辺を示した平面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明に係る米飯加工食品用包装材の実施形態について、図面に基づいて説明する。以下では、「米飯加工食品用包装材」を単に「包装材」と称することがある。また、以下の説明では、一方向(以下、第一方向とも記す)とは、各図の座標軸におけるx軸に沿った方向であり、他方向(以下、第二方向とも記す)とは、各図の座標軸におけるy軸に沿った方向である。
【0026】
本実施形態に係る包装材1は、図1及び図2に示すように、米飯加工食品Aと接する内シート2と、該内シート2に重ね合わされる外シート3とを備える。そして、内シート2と外シート3との間には、シート状食品Bが収容される。また、包装材1は、シート状食品Bの周囲で内シート2と外シート3がシールされて形成されたシール部1Sを備える。
【0027】
なお、米飯加工食品Aには、三角形状や樽形状などに握られた各種おにぎりの他、鮨なども含まれるが、本実施形態では、米飯加工食品Aとして、三角形状のおにぎり(一対の三角形状の面と、該一対の三角形状の面の外周を連結する側面とを備えるもの)が用いられる。また、シート状食品Bには、シート状の海苔の他、畳鰯なども含まれるが、本実施形態では、シート状食品Bとして、シート状の海苔が用いられる。
【0028】
内シート2は、第一方向に直交する第二方向に分割可能に構成される。具体的には、内シート2は、一対の内シート片2a,2aから構成される。また、内シート2は、一対の内シート片2a,2aの端部同士が重なり合う重合部2bを備える。該重合部2bは、第二方向における内シート2の略中央部において、第一方向における内シート2の全域に亘って延びるように形成される。これにより、内シート2は、第二方向に分割可能となっている。
【0029】
外シート3は、内シート2と略同一形状を有する外シート本体3aと、該外シート本体3aに積層される帯状のカットテープ3bとを備える。該カットテープ3bは、第二方向における外シート本体3aの略中央部において第一方向が長さ方向となるように配置される。また、外シート3は、前記シール部1Sを形成する領域(具体的には、外周端部)よりも内側の内側領域が切り込まれて形成された切込部3cと、該切込部3cを覆う被覆シート3dとを更に備える。
【0030】
前記切込部3cは、図3に示すように、第一方向に延びる仮想線Lと交差するように形成された第一切込線3eと、第二方向に間隔を空けて形成されて第一切込線3eと交差する一対の第二切込線3f,3fとを備える。
【0031】
第一切込線3eは、両端部3g,3gが中央側の領域よりも第一方向における外シート3の一端部側に位置するように形成される。つまり、第一切込線3eは、第一方向における外シート3の一端部側に向けて開放する凹状に形成される。より詳しくは、第一切込線3eは、仮想線Lと交差して第二方向に延びる横切込線3hと、該横切込線3h(具体的には、横切込線3hの両端部)から第一方向における外シート3の一端部側に向けて延びる一対の縦切込線3i,3iとを備える。そして、一対の縦切込線3i,3iの延出方向の先端部によって第一切込線3eの両端部3g,3gが構成される。本実施形態では、横切込線3hが第二方向に沿って形成され、一対の縦切込線3i,3iは、第一方向に沿って形成される。
【0032】
一対の第二切込線3f,3fは、第一切込線3e(具体的には、横切込線3h)との交差位置(具体的には、横切込線3hの両端部)から第一方向における外シート3の他端部側へ延びるように形成される。本実施形態では、一対の第二切込線3f,3fは、第一方向に沿って形成される。つまり、本実施形態では、切込部3cは、H字状に形成される。
【0033】
上記のように切込部3cが形成されることで、外シート3(具体的には、外シート本体3a)の第一切込線3eで囲まれた領域が他の領域から分離されて第一分離片3jが形成される。また、外シート3(具体的には、外シート本体3a)の一対の第二切込線3f,3f間の領域が他の領域から分離されて第二分離片3kが形成される。カットテープ3bは、一対の縦切込線3i,3iの間の領域(即ち、第一分離片3j)、及び、一対の第二切込線3f,3fの間の領域(即ち、第二分離片3k)と重なるように配置される。
【0034】
これにより、第一分離片3jが第一方向における外シート3の一端部側へ引っ張られることで、第一切込線3eの両端部3g,3gを起点に、外シート3(外シート本体3a)を第一方向における外シート3の一端部側へカットテープ3bに沿って切断することが可能となる。更に、第二分離片3kを摘んで第一方向における外シート3の他端部側へ引っ張ることで、一対の第二切込線3f,3fの先端部3r,3rを起点に、外シート3(外シート本体3a)を第一方向における外シート3の他端部側へカットテープ3bに沿って切断することが可能となる。
【0035】
被覆シート3dは、切込部3cを覆うように配置されて外シート本体3aにシールされる被覆シート本体部3mと、該被覆シート本体部3mから延出するように形成されて指など摘むことが可能な摘み部3nとを備える。被覆シート本体部3mは、切込部3cを囲むように外シート本体3aに剥離可能にシールされる部分(以下、枠状シール部とも記す)3pと、第一分離片3jにシールされる部分(以下、分離片シール部とも記す)3qとを備える。そして、分離片シール部3qは、枠状シール部3pよりも外シート本体3aに対する剥離強度が高くなるように構成される。
【0036】
そして、摘み部3nを摘んで、被覆シート3dを第一方向における外シート3の一端部側へ引っ張ることで、枠状シール部3pが外シート本体3aから剥離すると共に、分離片シール部3qによって被覆シート3dに連結された第一分離片3jを第一方向における外シート3の一端部側へ引っ張ることが可能になる。
【0037】
そして、上記のように構成される包装材1を用いて米飯加工食品Aを包装する際には、米飯加工食品Aを包むように包装材1を第一方向の両端部同士が重なるように二つ折りにする。この際、切込部3c及び被覆シート3dは、米飯加工食品Aの三角形状の面(正面)と重なるように配置される。そして、包装材1における米飯加工食品Aと重なっていない領域を米飯加工食品Aの外形に沿って裏面側へ折り返すことで、図4(a)に示すような米飯加工食品包装体(以下、包装体とも記す)10が形成される。
【0038】
本実施形態では、包装体10は、第一方向における包装材1の一端部と他端部とがシールされて形成された封止シール部(以下、第一封止シール部)10aを備える。該第一封止シール部10aは、第一方向において前記切込部3cと対向する位置に形成される。また、封止シール部10aは、三角形状の米飯加工食品Aの頂点部分の近傍に形成される。また、包装体10は、三角形状の米飯加工食品Aの他の頂点部分の近傍に包装材1の対向面同士がシールされて形成された第二封止シール部10bを備える。
【0039】
そして、被覆シート3dの摘み部3nを摘んで、被覆シート3dを第一方向における外シート3の一端部側へ引っ張ることで、第一切込線3eの両端部3g,3gを起点に、図4(b)に示すように、外シート3が第一方向の一端部側へ第一方向に沿って切断される。そして、更に摘み部3nを米飯加工食品Aの正面側から裏面側へ引き回すことで、第一分離片3jと、第一切込線3eの両端部3g,3gを起点として第一方向における外シート3の一端部側へ延びる一対の切断部間の領域(即ち、第一方向における外シート3の第一分離片3jよりも一端部側の領域)とから構成される第一分離領域3sが他の領域から分離される。
【0040】
次に、第二分離片3kを摘んで、該第二分離片3kを第一方向における外シート3の他端部側へ引っ張ることで、一対の第二切込線3f,3fの先端部3r,3rを起点に、図5(a)に示すように、外シート3が第一方向の他端部側へ第一方向に沿って切断される。これにより、第二分離片3kと、一対の第二切込線3f,3fの先端部3r,3rを起点として第一方向の他端部側へ延びる一対の切断部間の領域(即ち、第一方向における外シート3の第二分離片3kよりも他端部側の領域)とから構成される第二分離領域3tが他の領域から分離される。これにより、外シート3は、図5(b)に示すように、第一方向の両端間の全域に亘って延びる帯状の領域(第一分離領域3s及び第二分離領域3t)が他の領域から分離された状態となるため、外シート3が第二方向に分割可能となる。
【0041】
そして、分離された部分を境とする包装材1の一方側と他方側とを離間させるように第二方向に引っ張ることで、一対の内シート片2a,2aが分離して米飯加工食品Aとシート状食品Bとの間から引き抜かれる。これにより、米飯加工食品Aから包装材1が取り除かれて、米飯加工食品Aとシート状食品Bとが一体となった状態で食することが可能となる。
【0042】
以上のように、本発明に係る米飯加工食品用包装材によれば、米飯加工食品から米飯加工食品用包装材を取り除く工程をより少ない力で行うことができる。
【0043】
即ち、第一切込線3eを備えることで、外シート3の内側領域における第一切込線3eで囲まれた領域3jが他の領域から分離される。そして、分離した領域(以下、第一分離片3jとも記す)3jが第一方向における外シート3の一端部側へ引っ張られることで、第一切込線3eの両端部を起点に、第一方向における外シート3の一端部側へ外シート3が切断される。これにより、第一分離片3jと、第一切込線3eの両端部を起点として第一方向の一端部側へ延びる一対の切断部間の領域(即ち、該第一分離片3jよりも第一方向の一端部側の領域)とから構成される第一分離領域3sが他の領域から分離される。
【0044】
更に、一対の第二切込線3f,3fを備えることで、一対の第二切込線3f,3f間の領域3kが他の領域から分離される。そして、分離した領域(以下、第二分離片とも記す)3kを外シート3における第一方向の他端部側へ引っ張ることで、一対の第二切込線3f,3fの先端部3r,3rを起点に、第一方向における外シート3の他端部側へ外シート3が切断される。これにより、第二分離片3kと、一対の第二切込線3f,3fの先端部3r,3rを起点として第一方向の他端部側へ延びる一対の切断部間の領域(即ち、該第二分離片3kよりも第一方向の他端部側の領域)とから構成される第二分離領域3tが他の領域から分離される。
【0045】
これにより、外シート3は、第一方向の両端間の全域に亘って延びる帯状の領域(即ち、第一分離領域3s及び第二分離領域3t)が他の領域から分離された状態となる。斯かる状態では、外シート3は、第一方向の全域に亘って切断された(他方向に分割された)状態であるため、米飯加工食品Aから米飯加工食品用包装材1を取り除く工程を行う際に、外シート3を切断する力が不要になる。これにより、米飯加工食品Aから米飯加工食品用包装材1を取り除く工程をより少ない力で行うことができる。
【0046】
また、第一方向において前記切込部3cと対向する位置に前記封止シール部10aが形成される場合であっても、米飯加工食品用包装材1を取り除く工程をより少ない力で行うことができる。
【0047】
具体的には、従来のように、米飯加工食品用包装材を取り除く工程おいて外シート3が一つの第二切込線3fの先端部3rを起点に切断される場合、前記封止シール部10aにおいて外シート3を切断する力が必要なるため、米飯加工食品用包装材1を取り除く工程で比較的多くの力が必要となる。
【0048】
ここで、前記封止シール部10aは、第一方向において前記切込部3cと対向する位置に形成されるため、前記第二分離領域3tを含む部分である。従って、一対の第二切込線3f,3fの先端部3r,3rを起点に第一方向における外シート3の他端部側へ外シート3が切断されて、前記第二分離領域3tが他の領域から分離されることで、該封止シール部10aを構成する部分において外シート3が切断された状態になる。これにより、第一方向において前記切込部3cと対向する位置に前記封止シール部10aが形成される場合であっても、米飯加工食品Aから米飯加工食品用包装材1を取り除く工程をより少ない力で行うことができる。
【0049】
なお、本発明に係る米飯加工食品用包装材、及び、米飯加工食品包装体は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。また、上記した複数の実施形態の構成や方法等を任意に採用して組み合わせてもよく(1つの実施形態に係る構成や方法等を他の実施形態に係る構成や方法等に適用してもよく)、さらに、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0050】
例えば、上記実施形態では、切込部3cは、H字状に形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、横切込線3hの両端部よりも中央側の部分と一対の縦切込線3i,3iとが交差するように構成されてもよい。また、図6(a)に示すように、横切込線3hの両端部よりも中央側の部分と一対の第二切込線3f,3fとが交差するように構成されてもよい。
【0051】
また、図6(b)に示すように、外シート3における第一方向の他端部と切込部3cとの間にシール部1Sが形成されてもよい。
【0052】
斯かる構成によれば、第一方向における外シート3の他端部と切込部3cとの間に前記シール部1Sが形成される場合であっても、米飯加工食品用包装材1を取り除く工程をより少ない力で行うことができる。
【0053】
具体的には、従来のように、米飯加工食品用包装材1を取り除く工程おいて外シート3が一つの第二切込線3fの先端部3rを起点に切断される場合、前記シール部1Sにおいて外シート3を切断する力が必要なるため、米飯加工食品用包装材1を取り除く工程で比較的多くの力が必要となる。
【0054】
ここで、前記シール部1Sは、第一方向における外シート3の他端部と切込部3cとの間に形成されるため、前記第二分離領域3tを含む部分である。従って、一対の第二切込線3f,3fの先端部3r,3rを起点に第一方向における外シート3の他端部側へ外シート3が切断されて、前記第二分離領域3tが他の領域から分離されることで、該シール部1Sを構成する部分において外シート3が切断された状態になる。これにより、第一方向における外シート3の他端部と切込部3cとの間に前記シール部1Sが形成される場合であっても、米飯加工食品Aから米飯加工食品用包装材1を取り除く工程をより少ない力で行うことができる。
【0055】
また、上記実施形態では、包装材1における外シート3側から切込部3cが被覆シート3dによって覆われるように構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、内シート2側から切込部3cが被覆シート3dによって覆われるようにしてもよい。斯かる場合には、第一分離片3jを直接摘んで引っ張ることで、外シート3の切断を行うことができる。
【0056】
なお、本発明に係る切込部3cは、線状に形成されているが、数ミリ程度の幅を有するように形成されてもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、被覆シート本体部3mは、切込部3cを囲むように形成された枠状シール部3pと、第一分離片3jにシールされた分離片シール部3qとを別々に備えるように構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、被覆シート本体部3mの全体が外シート本体3aにシールされるように構成されてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…米飯加工食品用包装材、1S…シール部、2…内シート、2a…内シート片、2b…重合部、3…外シート、3a…外シート本体、3b…カットテープ、3c…切込部、3d…被覆シート、3e…第一切込線、3f…第二切込線、3h…横切込線、3i…縦切込線、3j…第一分離片、3k…第二分離片、3m…被覆シート本体部、3n…摘み部、3p…枠状シール部、3q…分離片シール部、3s…第一分離領域、3t…第二分離領域、10…米飯加工食品包装体、10a…第一封止シール部、10b…第二封止シール部、A…米飯加工食品、B…シート状食品、L…仮想線
図1
図2
図3
図4
図5
図6