(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6811104
(24)【登録日】2020年12月16日
(45)【発行日】2021年1月13日
(54)【発明の名称】バタフライ弁及びバタフライ弁の製造方法
(51)【国際特許分類】
F16K 1/42 20060101AFI20201228BHJP
F16K 1/226 20060101ALI20201228BHJP
【FI】
F16K1/42 G
F16K1/226 J
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-10246(P2017-10246)
(22)【出願日】2017年1月24日
(65)【公開番号】特開2018-119576(P2018-119576A)
(43)【公開日】2018年8月2日
【審査請求日】2019年11月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】390014074
【氏名又は名称】前澤工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】堀口 英三
【審査官】
加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−144901(JP,A)
【文献】
実公昭12−008396(JP,Y1)
【文献】
実開昭51−037315(JP,U)
【文献】
実開昭61−045675(JP,U)
【文献】
実開平06−004474(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 1/00− 1/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が流入する流体流入口、前記流体が通過する流体通過面、前記流体流入口から流入して前記流体通過面を通過した流体が流出する流体流出口、並びに、前記流体流入口及び前記流体流出口の間の前記流体通過面に形成される弁座受部を有する弁箱と、
前記弁座受部に取り付けられるリング状の弁座部材と、を備え、
前記弁座受部は、前記弁座部材を取り付ける雌ねじ部と、前記雌ねじ部の前記流体流出口側に隣接して形成され且つ前記流体通過面から前記弁箱の中心軸に対して突出する突出部と、を有し、
前記弁座部材は、前記弁座部材の外周面に形成され且つ前記雌ねじ部に対応する雄ねじ部と、前記弁座部材の内周面に形成される弁座部と、前記弁座受部に取り付けられたときに前記流体流出口側に位置する側面部と、を有し、
前記弁座部材は、前記雄ねじ部が前記雌ねじ部に螺合するとともに、前記側面部が前記突出部に当接することによって前記弁座受部に取り付けられていることを特徴とするバタフライ弁。
【請求項2】
前記弁座部材の内周面はテーパー部であり、前記弁座受部に取り付けられた前記弁座部材において、前記流体流入口側の端部の内径は前記流体流出口側の端部の内径よりも大きいことを特徴とする請求項1記載のバタフライ弁。
【請求項3】
前記流体流入口から前記弁座受部における前記弁箱の内径は前記弁座部材の外径よりも大きいことを特徴とする請求項1又は2記載のバタフライ弁。
【請求項4】
前記側面部が前記突出部に当接するとき、前記側面部及び前記突出部の間に止水部材が介在していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のバタフライ弁。
【請求項5】
前記弁箱は複数の部材から構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のバタフライ弁。
【請求項6】
流体が流入する流体流入口、前記流体が通過する流体通過面、前記流体流入口から流入して前記流体通過面を通過した流体が流出する流体流出口、並びに、前記流体流入口及び前記流体流出口の間の前記流体通過面に形成される弁座受部を有する弁箱と、前記弁座受部に取り付けられるリング状の弁座部材と、を備え、前記弁座受部は、前記弁座部材を取り付ける雌ねじ部と、前記雌ねじ部の前記流体流出口側に隣接して形成され且つ前記流体通過面から前記弁箱の中心軸に対して突出する突出部と、を有し、前記弁座部材は、前記弁座部材の外周面に形成され且つ前記雌ねじ部に対応する雄ねじ部と、前記弁座部材の内周面に形成される弁座部と、前記弁座受部に取り付けられたときに前記流体流出口側に位置する側面部と、を有し、前記弁座部材は、前記雄ねじ部が前記雌ねじ部に螺合するとともに、前記側面部が前記突出部に当接することによって前記弁座受部に取り付けられていることを特徴とするバタフライ弁の製造方法において、
前記弁箱に前記弁座部材を挿入する挿入工程と、
前記雄ねじ部を前記雌ねじ部に螺合する螺合工程と、
前記側面部が前記突出部に当接する当接工程と、を有することを特徴とするバタフライ弁の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は
バタフライ弁及び
バタフライ弁の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、筒状の鋳鉄製弁箱、弁箱の内周面に形成されている弁座、弁箱に格納され且つ弁座に着座可能な弁体、並びに、弁箱及び弁体を接続する弁棒備え、弁体が弁棒を中心軸として回動するバタフライ弁が、知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1記載のバタフライ弁は流体が流れる管路に接続され、弁体が弁座に着座したとき、管路を流れる流体は堰き止められる。
【0003】
弁体が着座する弁座は、例えば、ステンレス製であり、弁座は、通常、鋳鉄製の弁箱の内周面に形成される。具体的に、弁座は、弁箱の内周面の一部が削られるとともに、削られた部分にニッケル金属及びステンレスが順次溶接され、ステンレスの表面に切削加工が施されることによって形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−220470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、弁体が弁座に着座し、管路を流れる流体を確実に堰き止めるためには、ステンレスの表面に施される切削加工は精密になされなければならず、高い専門性と経験が必要になる。また、ステンレス製の弁座を鋳鉄製の弁箱の内周面に形成するためには、弁箱を削る工程からステンレスの表面に切削加工を施す工程まで複数の工程が必要であり、その結果、弁座を弁箱に形成するために長時間の作業が必要になる。すなわち、弁箱の内周面に簡単に弁座を形成することができないという問題があった。
【0006】
本発明の目的は弁箱の内周面に簡単に弁座を形成することができる
バタフライ弁及び
バタフライ弁の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の
バタフライ弁は、
流体が流入する流体流入口、前記流体が通過する流体通過面
、前記流体流入口から流入して前記流体通過面を通過した流体が流出する流体流出口、並びに、前記流体流入口及び前記流体流出口の間の前記流体通過面に形成される弁座受部を有する弁箱と、
前記弁座受部に取り付けられるリング状の弁座部材と、を備え、前記弁座受部は、前記弁座部材を取り付ける雌ねじ部と、前記雌ねじ部の前記流体流出口側に隣接して形成され且つ前記流体通過面から前記弁箱の中心軸に対して突出する突出部と、を有し、前記弁座部材は、前記弁座部材の外周面に形成され且つ前記雌ねじ部に対応する雄ねじ部と、前記弁座部材の内周面に形成される弁座部と、前記弁座受部に取り付けられたときに前記流体流出口側に位置する側面部と、を有し、前記弁座部材は、前記雄ねじ部
が前記雌ねじ部に螺合する
とともに、前記側面部が前記突出部に当接することによって前記弁座受部に取り付けられていることを特徴とする。
また、上記目的を達成するために、本発明のバタフライ弁の製造方法は、流体が流入する流体流入口、前記流体が通過する流体通過面、前記流体流入口から流入して前記流体通過面を通過した流体が流出する流体流出口、並びに、前記流体流入口及び前記流体流出口の間の前記流体通過面に形成される弁座受部を有する弁箱と、前記弁座受部に取り付けられるリング状の弁座部材と、を備え、前記弁座受部は、前記弁座部材を取り付ける雌ねじ部と、前記雌ねじ部の前記流体流出口側に隣接して形成され且つ前記流体通過面から前記弁箱の中心軸に対して突出する突出部と、を有し、前記弁座部材は、前記弁座部材の外周面に形成され且つ前記雌ねじ部に対応する雄ねじ部と、前記弁座部材の内周面に形成される弁座部と、前記弁座受部に取り付けられたときに前記流体流出口側に位置する側面部と、を有し、前記弁座部材は、前記雄ねじ部が前記雌ねじ部に螺合するとともに、前記側面部が前記突出部に当接することによって前記弁座受部に取り付けられていることを特徴とするバタフライ弁の製造方法において、前記弁箱に前記弁座部材を挿入する挿入工程と、前記雄ねじ部を前記雌ねじ部に螺合する螺合工程と、前記側面部が前記突出部に当接する当接工程と、を有することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、弁箱の内周面に簡単に弁座を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態に係るバタフライ弁の概略図であって、
図1(A)はバタフライ弁の正面図であり、
図1(B)はバタフライ弁の側面図である。
【
図3】
図1のバタフライ弁のA−A線に沿う断面図である。
【
図6】
図1のバタフライ弁のB−B線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0011】
図1は、本発明の実施の形態に係るバタフライ弁1の概略図であって、
図1(A)はバタフライ弁1の正面図であり、
図1(B)は、バタフライ弁1の側面図である。
【0012】
図1のバタフライ弁1は、鋳鉄製の弁箱2、弁箱2に格納される略円盤状の弁体4、閉塞部材8a,8b、及びステンレス製の弁座部材12を備える。弁箱2は中心軸Oを有する筒状の形状であり、周方向に沿って弁箱外周面2aと、弁箱外周面2aよりも中心軸O側に配置され且つ流体が通過する弁箱内周面2b(流体通過面)とを有する。弁箱2の内径は中心軸Oに沿って変化してもよい。また、弁箱2の両端部の各々はフランジ部5a、5bを有する。フランジ部5a,5bは、流体が流れる流路、例えば、水道管に連結される。具体的に、水道管にフランジ部が取り付けられ、水道管に取り付けられたフランジ部とフランジ部5a、5bとがボルト及びナット等で連結される。本実施の形態では、
バタフライ弁1は水道管に接続され、水道管を流れる水がフランジ部5a側の流体流入口Mから流入してフランジ部5b側の流体流出口Nから流出することを前提とする。
【0013】
弁体4は後述の弁軸3が挿通するための弁軸挿通部(不図示)を備える。弁軸3は弁軸挿通部を介して弁体4を貫通し、弁軸挿通部の両端から突出する。閉塞部材8a,8bは中心軸Oに直交する方向であって弁箱外周面2aに配置され、弁軸挿通部の両端から突出した弁軸3の両端を保持する。すなわち、弁軸3は閉塞部材8a,8bで固定され、弁体4は弁軸3を中心に回動する。
【0014】
図2は、
図1における弁箱2の斜視図である。
【0015】
図2の弁箱2は挿通孔7a,7bを備え、挿通孔7a,7bは中心軸Oに直交する方向に配置される。弁軸挿通部の両端から突出した弁軸3の両端は挿通孔7a,7bを介して閉塞部材8a,8bに保持される。すなわち、バタフライ弁1は
、弁軸3が挿通孔7a、弁軸挿通部、及び挿通孔7bに順次挿通され、閉塞部材8a,8bが弁軸3の両端に取り付けられることによって組み立てられる。
【0016】
図3は、
図1のバタフライ弁1のA−A線に沿う断面図である。
【0017】
図3のバタフライ弁1は、中心軸Oに直交し且つ弁体4が回動する際の回動軸Pを備え、回動軸Pの流体流出口N側には弁座部材12を備える。弁座部材12は弁箱内周面2bに設けられた弁座受部10に取り付けられている。
【0018】
図4は、
図3における領域Cの拡大図であり、弁座受部10周辺を説明するための図である。
【0019】
図4の弁座受部10は、弁座部材12を取り付けるための雌ねじ部10aと、弁箱内周面2bから中心軸O側に突出し、弁座部材12が取り付けられる位置を決定するための位置決定部10b
(突出部)とを有する。本実施の形態の弁座部材12はリング状であり、弁座中心軸Qを有すると共に、弁座部材12の周方向に沿って弁座部材外周面12aと、弁座部材外周面12aよりも弁座中心軸Q側に配置される弁座部材内周面12cと、弁座受部10に弁座部材12が取り付けられたときに位置決定部10bに当接する当接部12b
(側面部)とを有し、弁座部材外周面12aには雌ねじ部10aに対応する雄ねじ部12eが形成されている(
図5)。当接部12b及び位置決定部10bのいずれか一方には凹部が形成されるが、本実施の形態では、当接部12bに凹部が形成されていることを前提とする。凹部にはOリング14
(止水部材)が嵌合され、凹部に嵌合されていないOリング14の断面形状は円形であるが、Oリング14が凹部に嵌合され且つ弁座部材12が弁座受部10に取り付けられ、当接部12bが位置決定部10bに当接すると、Oリング14は変形し、Oリング14の断面形状は、例えば、楕円形になる。
【0020】
図3に戻り、弁箱2は、流体流入口M側の端部から弁座受部10までの弁箱2の内径が弁座部材12の外径(最大径)よりも大きくなるように構成されている。したがって、弁座部材12を弁座受部10に取り付けるために、まず、弁座部材12は中心軸O及び弁座中心軸Qが重畳するように流体流入口Mから弁箱2の内部に挿入され、雄ねじ部12eが雌ねじ部10aに接触するまで挿入される
(挿入工程)。次いで、当接部12bが位置決定部10bに当接するまで雄ねじ部12eは雌ねじ部10aに螺合される
(螺合工程)。弁座部材12が弁座
受部10に螺合され、当接部12bが位置決定部10bに当接すると
(当接工程)、弁座受部10への弁座部材12の取り付けが終了する(
バタフライ弁の製造方法)。
【0021】
弁座部材内周面12cは少なくともその一部に、流体流出口Nから流体流入口Mに向けて弁座部材12が拡径するように中心軸Oに対して傾斜するテーパー部12dを有する。テーパー部12dに弁体4の外縁部が当接すると、流体流入口Mから流入した水は弁体4で堰き止められる。なお、弁体4の外縁部には、ゴムライニング加工が施されていてもよく、ステンレス系金属やアルミニウム等で金属加工が施されていてもよい。
【0022】
図6は、
図1のバタフライ弁のB−B線に沿う断面図である。
【0023】
図6のバタフライ弁1は、弁軸3を備え、弁軸3は弁軸挿通部を介して弁体4を支持する。弁体4はその外縁部が弁座部材12に当接し、流体流入口Mから流入した水が流体流出口Nから流出しない状態(以下、「閉弁状態」という。)からその外縁部が弁座部材12に当接せず、流体流入口Mから流入した水が流体流出口Nから流出する状態(以下、「開弁状態」という。)に弁軸3を中心に回動し、又は開弁状態から閉弁状態に弁軸3を中心に回動する。なお、本実施の形態では、閉弁状態から開弁状態になるように回動するときに弁体4が経由するルートと開弁状態から閉弁状態になるように回動するときのルートは同一であることを前提とする。
【0024】
本実施の形態に係るバタフライ弁1は弁箱内周面2bを有する弁箱2を備え、弁箱内周面2bは弁座受部10を有する。弁座受部10には、バタフライ弁1の弁座となるリング状の弁座部材12が取り付けられる。弁座受部10は雌ねじ部10aを有し、弁座部材12は雌ねじ部10aに対応する雄ねじ部12eを有し、雄ねじ部12eは雌ねじ部10aに螺合される。これにより、高い専門性と経験を必要とする複数の工程、例えば、弁箱内周面2bの一部を削り取る削取工程、弁箱内周面2bの削られた部分にニッケル金属及びステンレスを順次溶接する溶接工程、及びステンレスの表面に切削加工を施す切削加工工程に代えて弁座部材12(雄ねじ部12e)を弁箱2(雌ねじ部10a)に螺合させる螺合工程に基づいて弁座が弁箱2に形成されるので、弁箱2の内周面に簡単に弁座を形成することができる。
【0025】
また、弁箱2は、流体流入口M側の端部から弁座受部10までの弁箱2の内径が弁座部材12の外径(最大径)よりも大きくなるように構成されている。これにより、簡単に弁座部材12を弁座受部10まで挿入することができる。さらに、弁座受部10は位置決定部10bを有し、弁座部材12は当接部12bを有する。当接部12bは位置決定部10bに当接し、位置決定部10bの流体流出口N側への移動が規制される。これにより、開弁状態の際に水が流体流入口Mから流入しても弁座部材12が流入した水とともに位置決定部10bの流体流出口N側に移動するのを防止することができる。また、当接部12bに形成された凹部にOリング14が嵌合され、弁座部材12が弁座受部10に取り付けられ、当接部12bが位置決定部10bに当接すると、Oリング14は変形する。これにより、閉弁状態の際に流体流入口Mから流入した水が雌ねじ部10a及び雄ねじ部12eの間に滲入しても当接部12b及び位置決定部10bの間で確実に止水することができる。
【0026】
ところで、鋳鉄製の弁箱2にステンレス製の弁座を直接溶接して形成すると、弁座が弁箱2から剥離する場合がある。したがって、鋳鉄製の弁箱2にニッケル金属及びステンレスを順次溶接する必要があるが、鋳鉄製の弁箱2とステンレス製の弁座との間にニッケル金属が介在すると、弁座は弁箱2から剥離しないものの、高価なニッケル金属を使用するため、バルブの価格が高いという問題があった。これに対応して、本実施の形態に係るバタフライ弁1はニッケル金属を使用していないので、バタフライ弁1の価格を低廉にすることができる。
【0027】
なお、本実施の形態では、弁座部材12は回動軸Pの流体流出口N側に配置されている。すなわち、弁座部材12が取り付けられている弁座受部10も回動軸Pの流体流出口N側に配置されている。弁座受部10は弁箱内周面2bに形成されていればよく、例えば、回動軸P上に形成されてもよい。また、本実施の形態では、リング状の弁座部材12が取り付けられたバタフライ弁1を説明したが、他のバルブ、例えば、仕切弁に弁座部材12を取り付けてもよい。さらに、本実施の形態では、弁座部材12がステンレス製であるとしたが、他の金属部材、例えば、アルミニウム等であってもよい。
【0028】
次に、本発明の実施の形態に係るバタフライ弁1の変形例について説明する。
【0029】
バタフライ弁1が備える弁箱2は、例えば、弁箱2に対応する砂型に熔解した鉄を流し込む工程、熔解した鉄が流し込まれた砂型を冷却して熔解した鉄を凝固する工程、及び砂型から凝固した鉄を取り出す工程を順次実行することにより得られる。すなわち、弁箱2は複数の部材から構成されているのではなく、単一の部材から構成されている。しかしながら、例えば、大型の弁箱2が製造されるとき、運搬や保管、設置が容易であるため、弁箱2が複数の部材で構成されているのがよい。これに対応して、本変形例に係るバタフライ弁1の弁箱2は、中心軸Oの方向に関して結合可能な複数の部材(以下、「弁箱用部材」という。)から構成され、各弁箱用部材には弁座受部10が形成されている。
【0030】
複数の弁箱用部材を結合するとき、複数の弁箱用部材は、通常、各弁箱用部材の一端を揃えるように結合されるが、各弁箱用部材の一端を揃えることが困難な場合がある。本変形例に係る弁箱2は複数の弁箱用部材から構成され、各弁箱用部材には弁座受部10が形成されているので、各弁箱用部材は各弁箱用部材の弁座受部10に基づいて結合される。したがって、各弁箱用部材の弁座受部10は各弁箱用部材を正確に結合する際の目印になる。これにより、弁箱2が複数の弁箱用部材から構成されていても簡単に各弁箱用部材を結合することができる。
【0031】
以上、本発明について、上述した実施の形態を用いて説明したが、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0032】
1 バタフライ弁
2 弁箱
2b 弁箱内周面
4 弁体
10 弁座受部
10a 雌ねじ部
10b 位置決定部
12 弁座部材
12b 当接部
12c 弁座部材内周面
12e 雄ねじ部