(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施形態に係る断熱サッシについて、図面を参考にして説明する。
−断熱サッシ全体の構成−
本発明の実施形態に係る断熱サッシは、例えばビル等の建物開口部に設けられるものであり、
図1に示されるように、枠体1と、枠体1に対して引き違い自在に配置された内障子2および外障子3を有している。
枠体1は、上下の横枠(上枠11および下枠12)と左右の竪枠13,14を四周に枠組みしてなり、内障子2および外障子3は、それぞれ上下の横框(上框21,31および下框22,32)と左右の竪框(23,24,33,34)を四周に框組してなり、内周にガラス等のパネル体(25,35)を嵌め込んで形成されている。
【0009】
−枠体の構成−
(上枠の構成)
サッシの枠体1を構成する上枠11は、
図2,3に示すように、建物開口部に固定されアルミ合金等の金属材料からなる金属上枠111と、金属上枠111の室内側見付け面に配置され樹脂材料からなる樹脂上枠112と、を有している。さらに、上枠11は、金属上枠111の内周面に配置され樹脂材料からなる樹脂カバー部材113(
図2)及びアルミ合金等の金属材料からなる金属カバー部材114(
図3)を有している。
【0010】
上枠11の金属上枠111は、建物開口部の内周に取り付けられる上枠本体部111aと、上枠本体部111aの室内側端から垂下された室内側壁部111bと、上枠本体部111aの室外側端から垂下された室外側壁部111cと、上枠本体部111aの中央下面付近より垂下された中央壁部111dと、室外側壁部111cと中央壁部111dの間において上枠本体部111aの下面から垂設された室外側上レール111eを有している。
【0011】
金属上枠111の室内側壁部111bの下端室外側面には、内障子2の上框21の室内側面に当接する気密材s21が取付溝等によって取り付けられており、室内側壁部111bの室内側面には、樹脂上枠112を取り付けるための係合部が設けられている。また、金属上枠111の中央壁部111dの下端室外側面には、外障子3の上框31の室内側面に当接する気密材s31が取付溝等によって取り付けられており、中央壁部111dの室内側面には、樹脂カバー部材113もしくは金属カバー部材114を取り付けるために係合部が設けられている。
【0012】
上枠11の樹脂上枠112は、金属上枠111の室内側壁部111bの係合部に係合されることで金属上枠111に固定されている。樹脂上枠112は、金属上枠111の見付け(左右)方向全長に亘って室内側面を覆うように配置された樹脂上枠本体部112aと、樹脂上枠本体部112aの内周室内側端より室内側に延設された鍔部112bを有している。
そして、金属上枠111に固定された樹脂上枠112の樹脂上枠本体部112aの下壁が室外側に延設されており、室内側壁部111bの下端面を覆うと共に気密材s21に当接もしくは近接している。そのため、金属上枠111の室内側壁部111bは、室内側に露出することがない。
【0013】
上枠11の樹脂カバー部材113は、
図2に示すように、上枠本体部111aの内周(下)面に沿って配置される内周壁部113aと、内周壁部113aの室内側から下方に向けて設けられた室内側の見付け壁部113bと、内周壁部113aの室外側から下方に向けて設けられ、中央壁部111dの室内側に沿って配置された断面中空形状の室外側の見付け壁部113cと、室外側の見付け壁部113cの下端より室内方向に延設された断面中空形状の下壁部113dと、を有している。
【0014】
樹脂カバー部材113は、内、外障子2,3の閉鎖時で見付け方向外障子3側において、金属上枠111の内周に配置されており、室内側の見付け壁部113bを金属上枠111の室内側壁部111bの室外側に形成された気密材の取付溝に係止するとともに、室外側の見付け壁部113cおよび下壁部113dを中央壁部111dに形成された係合部に係合することにより、金属上枠111に取り付けられている。樹脂カバー部材113の下壁部113dは、中央壁部111dの下端面において気密材s31に当接もしくは近接するように配置されており、閉鎖した外障子3の室内側において金属上枠111が室内に露出することがない。
【0015】
上枠11の金属カバー部材114は、
図3に示すように、上枠本体部111aの内周(下)面に沿って配置される内周壁部114aと、内周壁部114aの室内側から下方に向けて設けられた室内側の見付け壁部114bと、内周壁部114aの室外側から下方に向けて設けられ中央壁部111dの室内側に沿って配置された断面中空形状の室外側の見付け壁部114cと、室外側の見付け壁部114cの下端より室内方向に延設された断面中空形状の下壁部114dと、を有している。
【0016】
金属カバー部材114は、内、外障子2,3の閉鎖時で見付け方向内障子2側において、金属上枠111の内周に配置されており、室内側の見付け壁部114bを金属上枠111の室内側壁部111bの室外側に形成された気密材の取付溝に係止するとともに、室外側の見付け壁部114cおよび下壁部114dを中央壁部111dに形成された係合部に係合することにより、金属上枠111に取り付けられている。
【0017】
(下枠の構成)
サッシの枠体1を構成する下枠12は、
図2,3に示すように、建物開口部に固定されアルミ合金等の金属材料からなる金属下枠121と、金属下枠121の室内側見付け面に配置され樹脂材料からなる樹脂下枠122と、を有している。さらに、下枠12は、内、外障子2,3の閉鎖状態において、外障子3側の金属下枠121の内周面(上面)に固定される樹脂レール部材123と、内、外障子2,3の閉鎖状態において、内障子2側の金属下枠121の内周面(上面)に固定される金属レール部材124とを有している。
【0018】
下枠12の金属下枠121は、建物開口部の内周に取り付けられる下枠本体部121aと、下枠本体部121aの室内側に設けられる断面中空形状の立上り部121bと、立上り部121bの室内側見付け面が上方に延設されてなる室内側壁部121cと、立上り部121bの室外側面の上方位置から室外側に向かって延設される気密材保持片部121dと、立上り部121bの上面に設けられる補強芯部121eと、下枠本体部121aの室外側上面に設けられる室外下レール部121fと、下枠本体部121aの室外側端部が上方に屈曲されてなる室外側壁部121gを有している。
【0019】
金属下枠121の室内側壁部121cの上端室外側面には、内障子2の下框22の室内側面に当接する気密材s22が取付溝等によって取り付けられており、気密材保持片部121dの室外側端部には、外障子3の下框32の室内側面に当接する気密材s32が取付溝等によって取り付けられている。
【0020】
立上り部121bの室内側面および室内側壁部121cの上端部には、樹脂下枠122を取り付けるための係合部が形成されている。また、立上り部121bの上面の補強芯部121eの見込み方向両側に、樹脂レール部材123もしくは金属レール部材124を保持するための係合片部121h,121hが設けられており、補強芯部121eの見込み方向両面に突状部121i,121iが設けられている。
なお、金属下枠121の室外側壁部121gは、金属上枠11の室外側壁部111cとともに、図示しない網戸が走行するレールを構成してもよい。
【0021】
下枠12の樹脂下枠122は、立上り部121bの室内側面および室内側壁部121cの上端部に形成された係合部に係合されることで金属下枠121に固定されている。樹脂下枠122は、金属下枠121の見付け(左右)方向全長に亘って室内側面を覆うように配置された樹脂下枠本体122aと、樹脂下枠本体122aの内周室内側端より室内側に延設された鍔部122bを有している。
そして、金属下枠121に固定された樹脂下枠122の樹脂下枠本体122aの上壁が室外側に延設されており、室内側壁部121cの上端面を覆うと共に気密材s22に当接もしくは近接している。
【0022】
下枠12の樹脂レール部材123は、
図2に示すように、断面略逆U字状で上方に突出する形状の樹脂レール部123aと、樹脂レール部123aの室内側に連続する室内カバー部123bと、樹脂レール部123aの室外側に連続する室外カバー部123cを有しており、下枠12の上面の見付け方向中央位置から左縦枠13に至る範囲に配置されている。
樹脂レール部123aは、金属下枠121の立上り部121bの上面で補強芯部121eに被さるように配置されており、立上り部121bに配置された樹脂レール部123aの下端は、立上り部121bの上面に設けられた係合片部121h,121hに保持されている。樹脂レール部123aの内周には、補強芯部121eの突状部121i,121iの先端が当接している。
室内カバー部123bは、樹脂レール部123aの室内側面から立上り部121bの上面を覆うように室内方向に延設されており、室内側先端は室内側壁部121cに取付けられた気密材s22に当接している。また、室外カバー部123cは、樹脂レール部123aの室外側面から立上り部121b及び気密材保持片部121dの上面を覆うように室外方向に延設されており、室外側先端は気密材保持片部121dに取付けられた気密材s32に当接している。
このため、内、外障子2,3の閉鎖状態において、外障子3側の下枠12の室内側への露出を最小減にとどめている。
【0023】
下枠12の金属レール部材124は、
図3に示すように、断面略逆U字状で上方に突出する形状の金属レール部124aと、金属レール部124aの室外側面から斜め下方に延びる室外脚部124bを有しており、下枠12の見付け方向中央位置から右縦枠14に至る範囲に配置されている。
金属レール部124aは、金属下枠121の立上り部121bの上面で補強芯部121eに被さるように配置されており、立上り部121bに配置された金属レール部材124の下端は、立上り部121bの上面に設けられた係合片部121h,121hに保持されるとともに、室外脚部124bの先端が立上り部121bの室外側面に当接している。金属レール部材124の内周に補強芯部121eの突状部121i,121iの先端が当接している。
そして、樹脂レール部材123の樹脂レール部123aと金属レール部材124の金属レール部124aは、見付け方向ほぼ中央位置で連続されており、内障子2を案内する内下レール部材は、内、外障子2,3の閉鎖時において外障子3側の領域が樹脂レールである樹脂レール部材123により形成され、内障子2側の領域が金属レールである金属レール部材124により形成されている。
【0024】
(左竪枠の構成)
サッシの枠体1を構成する左竪枠13は、
図4に示すように、建物開口部に固定されアルミ合金等の金属材料からなる金属左竪枠131と、金属左竪枠131の室内側内周面に配置され樹脂材料からなる主樹脂左竪枠132と、主樹脂左竪枠132の内周面に配置された副樹脂左竪枠133を有している。
【0025】
左竪枠13の金属左竪枠131は、建物開口部の内周に取り付けられる左竪枠本体部131aと、左竪枠本体部131aの室内側端内周面から内周方向に延設された室内側壁部131bと、左竪枠本体部131aの見込み方向で中央よりやや室外側寄りから内周方向に延設された気密材取付部131cと、気密材取付部131cの室外側で左竪枠本体部131aの内周面から内周方向に延設された引寄せ片部131dと、左竪枠本体部131aの室外側端内周面から内周方向に延設された室外側壁部131eを有している。
【0026】
金属左竪枠131の気密材取付部131cの室外側面には、外障子3の戸先框33の室内側面に当接する気密材s33が取付溝等により取り付けられており、気密材取付部131cの室内側面には、主樹脂左竪枠132の室外側端部を係合する係合部が形成されている。
【0027】
左竪枠13の主樹脂左竪枠132は、中空部を有し金属左竪枠131の気密材取付部131cよりも室内側の内周面を覆う樹脂左竪枠本体部132aと、金属左竪枠131よりも室内側に位置するように樹脂左竪枠本体部132aの室内側に形成された室内側部132bと、中空部の室外側に形成された副樹脂竪枠取付部132cと、室内側部132bの室内側内周端から室内方向に延設された鍔部132dを有している。
【0028】
主樹脂左竪枠132は、樹脂左竪枠本体部132aと室内側部132bとの境目部分の外周側に、金属左竪枠131の室内側壁部131bが嵌合される嵌合部132eが形成されており、金属左竪枠131の室内側壁部131bを嵌合させた状態で室外側端部を気密材取付部131cの室内側面に形成された係合部に係合させることで、金属左竪枠131の見付け(上下)方向全長に亘って配置されている。
そして、主樹脂左竪枠132は、内、外障子2,3の閉鎖時において、金属左竪枠131の内周面を覆っており,金属左竪枠131が室内側に露出することがない。
【0029】
左竪枠13の副樹脂左竪枠133は、軟質の樹脂材料等からなる戸当り部133aと、主樹脂左竪枠132の副樹脂竪枠取付部132cに係合する取付部133bを有している。副樹脂左竪枠133は、取付部133bを主樹脂左竪枠132の副樹脂竪枠取付部132cに取り付けることで、戸当り部133aが主樹脂左竪枠132の内周面に連続するように取り付けられている。
【0030】
(右竪枠の構成)
サッシの枠体1を構成する右竪枠14は、
図4に示すように、建物開口部に固定されアルミ合金等の金属材料からなる金属右竪枠141と、金属右竪枠141の室内側端部に配置され樹脂材料からなる樹脂右竪枠142を有している。
【0031】
右竪枠14の金属右竪枠141は、建物開口部の内周に取り付けられた右竪枠本体部141aと、右竪枠本体部141aの室内側内周面から内周方向に延設された室内側壁部141bと、室内側壁部141bの室外側において右竪枠本体部141aの内周面から内周方向に延設された引寄せ片部141cと、右竪枠本体部141aの見込み方向ほぼ中央位置の内周面から内周方向に延設された中央壁部141dと、右竪枠本体部141aの室外側端から内周方向に延設された室外側壁部141eを有している。
【0032】
金属右竪枠141の室内側壁部141bの室外側面には、内障子2の戸先框24の室内側面に当接する気密材s24が取付溝等により取り付けられており、室内側面には、樹脂右竪枠142を係合する係合部が形成されている。
【0033】
右竪枠14の樹脂右竪枠142は、金属右竪枠141の室内側壁部141bの係合部に係合して、室内側壁部141bの見付け(上下)方向全長に亘って室内側面を覆うように配置されている。
樹脂右竪枠142は、室内側壁部141bの内周端面において気密材s24に当接もしくは近接するように配置されており、金属右竪枠14の室内側壁部141bは、室内側に露出することがない。そして、樹脂右竪枠142の内周室内側端には室内方向に延びる鍔部142bが形成されている。
【0034】
−内、外障子の構成−
(上框の構成)
内、外障子2,3を構成する上框21,31は、構造上ほぼ同一であるので、ここでは内障子2の上框21を用いて説明する。
内障子2を構成する上框21は、
図3に示すように、アルミ合金等の金属材料からなる金属上框211と、金属上框211の室内側面に配置された樹脂上框212を有している。
【0035】
金属上框211は、中空部を有し上方に開口する開口部を有する上框本体部211aと、上框本体部211aの内周(下方)に連設されたパネル間口部211bを有している。パネル間口部211bは、上框本体部211aに比べて見込み方向に幅広に形成されており、上框本体部211aの室内側の下端が室内側へ張り出すように連設されている。上框本体部211aの室内側面の上端とパネル間口部211bの室内側の下端には、樹脂上框212を係止する上下の係止部が形成されている。
【0036】
樹脂上框212は、上框本体部211aの室内側面に配置される上方壁部212aと、パネル間口部211bの室内側面に配置される下方壁部212cと、上方壁部212aと下方壁部212cとを連結する見込み壁部212bを有している。上方壁部212aと下方壁部212cには、それぞれ上、下中空部212d,212eが形成されている。
上方壁部212aの上端および下方壁部212cの下端にはそれぞれ係止部が形成されており、上框本体部211aの室内側面の上端とパネル間口部211bの室内側の下端に形成された上下の係止部に対してそれぞれが係止されることで、樹脂上框212は金属上框211に対して空間を有して室内側に配置されている。
上框21は、樹脂上框212と金属上框211との間の空間、および、上、下中空部212d,212eによって、高い断熱性能を有している。
【0037】
内障子2の上框21は、上枠11に摺動自在に案内されており、内、外障子3の閉鎖時において、上框21の樹脂上框212の室内側面に上枠11の室内側壁部111bの室外側面に取り付けられた気密材s21が当接している。
一方、外障子3の上框31は、上枠11の室外側上レール111eに摺動自在に案内されており、上框31の樹脂上框312の室内側面に上枠11の中央壁部111dの室外側面に取り付けられた気密材s31が当接している。
【0038】
(下框の構成)
内障子2を構成する下框22は、
図3に示すように、アルミ合金等の金属材料からなる金属下框221と、金属下框221の室内側面に配置され樹脂材料からなる樹脂下框222を有している。
【0039】
内障子2の金属下框221は、下枠12に設けられた室内レールに案内される車輪wを収納する下框本体部221aと、下框本体部221aの内周に連設されたパネル間口部221bを有している。パネル間口部221bは、下框本体部221aに比べて見込み方向に幅広に形成されており、下框本体部221aの上端から室内側へ張り出すように連設されている。下框本体部221aの室内側面の下端とパネル間口部221bの室内側の上端には、樹脂下框222を係止する上下の係止部が形成されている。
【0040】
内障子2の樹脂下框222は、見込み方向に並ぶ複数の中空部からなる樹脂下框本体部222aと、樹脂下框本体部222aの下面から延びた複数のヒレ片222cを有している。複数の中空部のうち最も室内側に配置された室内中空部222bは他の中空部よりも内周側に延びており、金属下枠121のパネル間口部221bの室内側を覆っている。室内中空部222bの上端および樹脂下框本体部222aの下端にはそれぞれ係止部が形成されており、下框本体部221aの室内側面の下端とパネル間口部221bの室内側の上端に形成された上下の係止部に対してそれぞれが係止されることで、樹脂下框222は、金属下框221に対して空間を有して室内側に配置されている。
下框22は、樹脂下框222と金属下框221との間の空間及び複数の中空部によって、高い断熱性能を有している。また、樹脂下框本体部222aの下面から延びた複数のヒレ片222cは、下枠12の樹脂下枠122の上面に近接しており、樹脂下框本体部222aの下面と樹脂下枠122の上面との間の空間を見込み方向に分割している。これによって、下枠12と下框22との間に断熱空間が形成されて、内障子2と下枠12との間は、断熱性能が向上している。
【0041】
一方、外障子3を構成する下框32は、
図2に示すように、アルミ合金等の金属材料からなる金属下框321と、金属下框321の室内側に配置される樹脂材料からなる樹脂下框322を有している。
外障子3の金属下框321は、下枠12に設けられた室外下レール部121fに案内される車輪wを収納する下框本体部321aと、下框本体部321aの内周に連設されるパネル間口部321bを有している。パネル間口部321bは、下框本体部321aに比べて見込み方向に幅広に形成されており、下框本体部321aの上端から室内側へ張り出すように連設されている。下框本体部321aの室内側面の下端とパネル間口部321bの室内側の上端には、樹脂下框322を係止する上下の係止部が形成されている。
【0042】
外障子3の樹脂下框322は、中空部からなる樹脂下框本体部322aと、樹脂下框本体部322aの室内側内周面から上方に延設され中空部からなる室内樹脂框322bと、樹脂下框本体部322aの下面から延びた複数のヒレ片322cを有している。室内樹脂框322bの上端および樹脂下框本体部322aの下端にはそれぞれ係止部が形成されており、下框本体部321aの室内側面の下端とパネル間口部321bの室内側の上端に形成された上下の係止部に対してそれぞれが係止されることで、樹脂下框322は、金属下框321に対して空間を有して室内側に配置されている。
下框32は、樹脂下框322と金属下框321との間の空間及び中空部によって、高い断熱性能を有している。また、樹脂下框本体部322aの下面から延びた複数のヒレ片322cは、下枠12の、室外カバー部123cの上面に近接しており、樹脂下框本体部322aの下面と、室外カバー部123cの上面との間の空間を見込み方向に分割している。これによって、下枠12と下框32との間に断熱空間が形成されて、外障子3と下枠12との間は、断熱性能が向上している。
【0043】
(戸先框の構成)
内、外障子2,3を構成する戸先框24,33は、構造上ほぼ同一であるので、ここでは主に、内障子2の戸先框24を用いて説明する。
内障子2を構成する戸先框24は、
図4に示すように、アルミ合金等の金属材料からなる金属戸先框241と、金属戸先框241の室内側面に配置され樹脂材料からなる樹脂戸先框242を有している。
【0044】
金属戸先框241は、中空部と中空部の戸先側に連設された開口溝とからなる戸先框本体部241aと、戸先框本体部241aの内周に連設されたパネル間口部241bを有しており、戸先框本体部241aの開口溝に引寄せブロックfが配置されている。パネル間口部241bは、戸先框本体部241aに比べて見込み方向に幅広に形成されており、戸先框本体部241aの内周端から室内側へ張り出すように連設されている。
戸先框本体部241aの開口溝を構成する室内側壁の戸先側先端部およびパネル間口部241bの室内側内周端部には、樹脂戸先框242を係止する係止部が形成されている。
【0045】
樹脂戸先框242は、戸先框本体部241aの室内側面を覆う戸先側部242aとパネル間口部241bの室内側面を覆う間口側部242cと戸先側部242aと間口側部242cとを連結する見込み方向に延びる断面中空形状の見込み壁部242bを有している。
樹脂戸先框242は、戸先側部242aの戸先側端部および間口側部242cの内周側端部に係止部が形成されており、戸先框本体部241aおよびパネル間口部241bに形成された上下の係止部に対してそれぞれが係止されることで、金属戸先框241に対して空間を有して室内側に配置されている。
戸先框24は、樹脂戸先框242と金属戸先框241との間の空間、および、見込み壁部242bの中空部によって、高い断熱性能を有している。
【0046】
また、内、外障子2,3の閉鎖状態において、右竪枠14と右竪框24との間においては、右竪枠14に配置した気密材s24が戸先框24に当接するとともに、樹脂右竪枠142が樹脂戸先框242に近接している。これによって、樹脂戸先框242の戸先側部242aと見込み壁部242b及び右竪枠14の樹脂右竪枠142とによって半密閉もしくは密閉空間S2が形成され、右竪枠14と内障子2との間の断熱性能が向上している。
【0047】
一方、内、外障子2,3の閉鎖状態において、左竪枠13と外障子3との間においては、左竪枠13に配置した気密材s33が戸先框33に当接するとともに、副樹脂左竪枠133が樹脂戸先框332に当接している。これによって、樹脂材料からなる樹脂戸先框332の戸先側部332aと見込み壁部332b及び左竪枠13の副樹脂左竪枠133とによって半密閉もしくは密閉空間S3が形成され、左竪枠13と外障子3との間の断熱性能が向上している。
【0048】
(召合框の構成)
内障子2を構成する召合框23は、
図4に示すように、アルミ合金等の金属材料からなる金属召合框231と、金属召合框231の外周側面および室内側面に配置され樹脂部材からなる樹脂召合框232を有している。
【0049】
金属召合框231は、中空部を有し室外側面に気密材s52が取り付けられるとともにL形片が形成された召合框本体部231aと、召合框本体部231aの内周に連設されたパネル間口部231bを有しており、召合框本体部231aとパネル間口部231bの外周側面および室内側面には、樹脂召合框232を係止する複数の係止部が形成されている。
【0050】
樹脂召合框232は、見込み方向および見付け方向にならぶ複数の中空部を有する樹脂召合框本体部232aからなり、金属召合框231に形成された複数の係止部に係止されることで、金属召合框231の外周側面から室内側面にかけて空間を有して配置されている。
召合框23は、樹脂召合框232と金属召合框231との間の空間および複数の中空部によって、高い断熱性能を有している。
【0051】
外障子3を構成する召合框34は、
図4に示すように、アルミ合金等の金属材料からなる金属召合框341と、金属召合框341の室内側面に配置された樹脂材料からなる樹脂召合框342を有している。
【0052】
金属召合框341は、中空部を有し室内側面に内障子2の金属召合框231の室外側面に形成されたL形片と協働して煙返しを形成するL形片が形成された召合框本体部341aと、召合框本体部341aの内周に連設されたパネル間口部341bを有している。
召合框本体部341aは、中空部の室内側面に加熱により膨張する加熱膨張材を取り付けるための膨張材取付部341cを備え、膨張材取付部341cの内周側には樹脂召合框342を係止するための係止部が形成されている。
【0053】
樹脂召合框342は、金属召合框341に形成された係止部に係止されることで、召合框本体部341aの室内側面およびパネル間口部341bの室内側を覆うように取り付けられる。召合框34は、内、外障子3の閉鎖状態において、内障子2の召合框23に取り付けられた気密材s52が樹脂召合框342に当接し、外障子3の召合框34の金属召合框341が室内側に露出することがない。
【0054】
(下枠の他の実施形態)
以下に、金属レール及び樹脂レールからなる室内レールの第2の実施形態を、
図5を参考にして、説明する。なお、先の実施形態と同様の構成については、説明を省略する。
第2の実施形態のサッシの枠体1を構成する下枠12は、
図5に示すように、建物開口部に固定されアルミ合金等の金属材料からなる金属下枠121と、金属下枠121の室内側見付け面に配置され樹脂材料からなる樹脂下枠122と、を有している。さらに、下枠12は、内、外障子2,3の閉鎖状態において、外障子3側の金属下枠121の内周面(上面)に固定される樹脂レール部材123と、内、外障子2,3の閉鎖状態において、内障子2側の金属下枠121の内周面(上面)に固定される金属レール部材124とを有している。
【0055】
下枠12の金属下枠121は、建物開口部の内周に取り付けられる下枠本体部121aと、下枠本体部121aの室内側に設けられる断面中空形状の立上り部121bと、立上り部121bの室内側見付け面が上方に延設されてなる室内側壁部121cと、立上り部121bの室外側面の上方位置から室外側に向かって延設される気密材保持片部121dと、下枠本体部121aの室外側上面に設けられる室外下レール部121fと、下枠本体部121aの室外側端部が上方に屈曲されてなる室外側壁部121gを有している。すなわち、
図5に示す実施形態においては、金属下枠121は、立上り部121bの上面に補強芯部121eを有していない点で、
図2,3に示す実施形態と異なっている。
そして、立上り部121bの上面には、樹脂レール部材123もしくは金属レール部材124を保持するための室外側の係合片部121jと室内側の係合片部121kが、高さを異ならせて設けられている。
【0056】
樹脂レール部材123は、
図5(a)に示すように、断面中空形状で上方に突出する形状の樹脂レール部123aと、樹脂レール部123aの室内側に連続する室内カバー部123bと、樹脂レール部123aの室外側に連続する室外カバー部123cを有しており、下枠12の上面の見付け方向中央位置から左縦枠13に至る範囲に配置されている。
樹脂レール部123aは、中空内部に例えば金属等の材料を板状に形成してなる補強芯材123eが挿入されている。
補強芯材123eは、板状部材の両面から突状部123f,123fが突出しており、樹脂レール部123aの中空部内に挿入された補強芯材123eの突状部123f,123fの先端が中空部の内壁に当接している。
【0057】
室内カバー部123bは、樹脂レール部123aの室内側面から立上り部121bの上面を覆うように室内方向に延設されており、室内側先端は室内側壁部121cに取付けられた気密材s22に当接している。室内カバー部123bの下面には、係止爪123gが形成されており、樹脂レール部123aの下方部位が金属下枠121の室外側の係合片部121jに当接した状態で、係止爪123gが室内側の係合片部121kに係止することで、樹脂レール部材123が金属下枠121に取付けられている。
また、室外カバー部123cは、樹脂レール部123aの室外側面から立上り部121b及び気密材保持片部121dの上面を覆うように室外方向に延設されており、室外側先端は気密材保持片部121dに取付けられた気密材s32に当接している。
【0058】
下枠12の金属レール部材124は、
図5(b)に示すように、断面中空形状で上方に突出する形状の金属レール部124aと、金属レール部124aの室外側面から斜め下方に延びる室外脚部124bを有しており、下枠12の見付け方向中央位置から右縦框14に至る範囲に配置されている。
金属レール部124aの下端は、幅方向左右に突出する突出部124d、124dが形成されており、突出部124d、124dが立上り部121bの上面に設けられた室外側の係合片部121jと室内側の係合片部121kに係合して、金属下枠121の立上り部121bの上面に固定されている。
そして、樹脂レール部材123の樹脂レール部123aと金属レール部材124の金属レール部124aは、見付け方向ほぼ中央位置で連続されており、内障子2を案内する室内レールは、内、外障子2,3の閉鎖時において外障子3側の領域が樹脂レールである樹脂レール部材123により形成され、内障子2側の領域が金属レールである金属レール部材124により形成されている。
【0059】
以上の第2の実施形態においては、金属下枠の上面に補強芯材が突出しないので、様々な高さの樹脂レール部材及び金属レール部材を配置することができ、サッシの設計の自由度が向上する。
【0060】
以下に、金属レール及び樹脂レールからなる室内レールの第3の実施形態を、
図6を参考にして、説明する。第3の実施形態の下枠12は、第2の実施形態の樹脂レール部材123において、樹脂レール部123aの一部が開放している点でのみ異なっている。
具体的には、
図6に示すように、樹脂レール部材123の樹脂レール部123aは、室外カバー部123cの下方位置の一部分が切り欠かれて切り欠き部123kが形成されている。そして、樹脂レール部123aの切り欠き部123kの室外側部分を屈曲させて、室外側の係合片部121jに対する係止爪123mとして形成している。
これによって、樹脂レール部123a内に補強芯材123eを挿入する際に切り欠き部123kを広げてそこから挿入することができ、樹脂レール部材123の製造を容易にすることができる。
【0061】
以上のように、内障子2を案内する室内レールを、内、外障子2,3の閉鎖時において、外障子3側の領域を樹脂レールである樹脂レール部材123により形成し、内障子2側の領域を金属レールである金属レール部材124により形成しているので、障子の閉鎖時に室内に露出する部分を断熱性の高い樹脂部材によって完全に覆うことができる。また、閉鎖時に内障子2は、金属レールにより支持されているので、強風等によって外力が加わっても変形することが少なく、耐風圧性に優れた建具を得ることができる。
【0062】
なお、上記補強芯材の材料は、アルミ合金やスチール等の金属材料に限るものではなく、カーボン等強度の高いものであれば、特に限定されるものではない。
また、樹脂レールは、樹脂レール部を中実にしたり、強度の高い材料を用いるなどして十分な強度を得ることによって、補強芯部や補強芯材によって補強することなく構成することも可能である。