(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の挟持搬送手段が前記シート部の搬送を開始するとき、前記シート部の先端の位置は、前記シート部の搬送方向において、前記第1の挟持搬送手段の挟持位置の下流であり、かつ前記検知手段の上流である、
ことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
(実施の形態1)
<記録装置の構成>
本発明の実施の形態1に係る記録装置100の構成について、
図1及び
図2を参照しながら、詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る記録装置の模式図であり、
図2は、本発明の実施の形態1に係る記録装置の構成示すブロック図である。
【0013】
記録装置100は、パーソナルコンピュータ140と接続可能であり、搬送装置1及び記録ヘッド130等を有している。記録装置100は、ここではインクジェット方式のプリンタを例示する。
【0014】
搬送装置1は、ロール状に巻かれた長尺シートのロール紙101を引き出して搬送する。ロール紙101は、保持手段によって保持された図示しないロール状記録シートから引き出される。なお、搬送装置1は、ロール紙101以外の樹脂シート等の材質の長尺シートを搬送してもよい。
【0015】
記録手段としての記録ヘッド130は、搬送装置1によって記録ヘッド130に対向する記録領域に搬送されるシート部としてのロール紙101上にインクジェット方式で画像を形成する。記録ヘッド130としては、使用されるロール紙の最大記録幅と略同じ幅に、複数のノズルが配列されて構成されるラインヘッドを用いる。なお、記録ヘッド130は、この構成に限定されるものではなく、ロール紙の搬送と停止を繰り返し、停止時にロール紙101の搬送方向と直交する幅方向(交差する方向)に走査することで記録を行うシリアルタイプの記録ヘッドでもよい。記録ヘッド130に対向する記録領域に搬送されるシート部に記録ヘッド130からインクが吐出される。
【0016】
搬送装置1の制御部150(
図2参照)は、記録装置100の全体の動作を制御する。具体的には、制御部150は、CPU150aと、ROM150bと、RAM150cと、を備えている。
【0017】
制御手段としてのCPU150aは、ROM150bに格納されている制御プログラムを実行することにより、制御部150の全体の動作を制御する。
【0018】
ROM150bは、制御プログラムを格納している。
【0019】
RAM150cは、CPU150aのワーキングエリアとして機能する。
【0020】
なお、記録装置100は、記録装置100の排出部にロール紙101を切り離して排出する図示しないカッタを備えている。
【0021】
<搬送装置の構成>
本発明の実施の形態1に係る搬送装置1の構成について、
図1から
図5を参照しながら、詳細に説明する。
図3は、本発明の実施の形態1に係る搬送装置を模式的に示す側面図であり、
図4は、本発明の実施の形態1に係るガイドユニットの斜視図であり、
図5は、本発明の実施の形態1に係る搬送装置を模式的に示す平面図である。
【0022】
搬送装置1は、ガイドユニット102と、給送ユニット110と、搬送ユニット120と、先端検知センサ129と、エンコーダ160と、搬送モータ170(
図2参照)と、フォトセンサ190(
図2参照)と、を有している。
【0023】
ガイドユニット102は、ロール紙101の幅方向の位置を規制すると共に、給送ユニット110から引き出されて給送されるロール紙(シート部)101を搬送ユニット120に案内する。
【0024】
具体的には、
図4、
図5に示すようにガイドユニット102は、固定ガイド103と、可動ガイド104と、フレーム105と、ボリュームセンサ180(
図2参照)と、を備えている。ガイドユニット102は、固定ガイド103を基準側として可動ガイド104を給送されるロール紙101の幅に応じて位置を可変にしてロール紙101の幅方向の移動を規制する。ボリュームセンサ180(
図2参照)は、フレーム105の裏側に設けられ、可動ガイド104の移動に連動して変位する抵抗値の信号を制御部150のCPU150aに出力する。
【0025】
保持手段としての給送ユニット110には、ロール紙101が回転可能な状態で収納される。給送ユニット110は、収納するロール紙101をガイドユニット102を介して搬送ユニット120に給送する。具体的には、給送ユニット110は、図示しないスプール軸と、トルクリミッタ111(
図3参照)と、を備えている。
【0026】
スプール軸は、給送ユニット110に回転可能に設けられており、ロール紙101を保持する。
【0027】
負荷付与部材としてのトルクリミッタ111は、スプール軸に保持されるロール紙101が巻き出される際のロール紙101の回転方向及び搬送方向に対して、逆方向にトルクを発生させて負荷を付与している。これにより、トルクリミッタ111は、繰り出されるロール紙101の回転を停止するときに発生する回転慣性力を抑制する。
【0028】
搬送ユニット120は、ガイドユニット102に案内されて給送されるロール紙101を記録ヘッド130と対向する記録領域へ搬送する。具体的には、搬送ユニット120は、搬送ベルト(駆動ベルト)121と、駆動プーリ122と、従動プーリ123と、従動プーリ124と、上流側ニップローラ125と、下流側ニップローラ126と、プラテン127と、支持コロ128と、を有している。
【0029】
上流側ニップローラ125(第1の回転体)と搬送ベルト121とは第1の挟持搬送手段を構成し、下流側ニップローラ126(第2の回転体)と搬送ベルト121とは第2の挟持搬送手段を構成している。また、下流側ニップローラ126は、上流側ニップローラ125よりもロール紙101の搬送方向の下流側に配置されている。下流側ニップローラ126は、上流側ニップローラ125及び搬送ベルト121が挟持して搬送しているロール紙101を、対向する搬送ベルト121で挟持して記録ヘッド130と対向する記録領域へ搬送する。
【0030】
搬送ベルト(駆動ベルト)121は、駆動プーリ122、従動プーリ123及び従動プーリ124に巻き付けられていると共に駆動プーリ122によって回転駆動されて、給送ユニット110から給送されたロール紙101を積載して搬送する。搬送ベルト121は、
図5に示すように、ロール紙101の搬送方向(シート搬送方向)と直交する幅方向に複数本設けられ、幅方向に沿って配列されている。搬送ベルト121の数は、ここでは3本を例示する。
【0031】
駆動プーリ122は、搬送モータ170(
図2参照)に連結され、搬送モータ170によって駆動されて搬送ベルト121を駆動する。
【0032】
従動プーリ123は、搬送ベルト121の駆動に従動して回転する。
【0033】
従動プーリ124は、搬送ベルト121の駆動に従動して回転する。
【0034】
上流側ニップローラ125(第1の回転体)は、ロール紙101の搬送方向において搬送ベルト121の従動プーリ123よりも下流側且つ先端検知センサ129が搬送されるロール紙101の先端を検知する検知位置よりも上流側に設けられている。上流側ニップローラ125は、駆動ベルトである搬送ベルト121に接触して従動回転する従動ローラである。上流側ニップローラ125は、搬送ベルト121との間でロール紙101を挟持して搬送方向に搬送する。上流側ニップローラ125は、
図3の矢印A方向に搬送ベルト121を押圧している。上流側ニップローラ125は、
図5に示すようにロール紙101の搬送方向と直交する幅方向に複数本設けられている搬送ベルト121と同じ数だけ設けられて各々の搬送ベルト121を押圧位置(挟持位置)で押圧する。
【0035】
下流側ニップローラ126(第2の回転体)は、ロール紙101の搬送方向において先端検知センサ129の検知位置よりも下流側且つ記録ヘッド130に対向して記録する記録領域よりも上流側に設けられている。下流側ニップローラ126は、ロール紙101を搬送ベルト121側に押圧することで、記録ヘッド130とロール紙101との接触を抑制する。下流側ニップローラ126は、駆動ベルトである搬送ベルト121に接触して従動回転する従動ローラである。下流側ニップローラ126は、搬送ベルト121との間でロール紙101を挟持して搬送方向に搬送する。下流側ニップローラ126は、
図3の矢印A方向に搬送ベルト121を押圧している。下流側ニップローラ126は、
図5に示すようにロール紙101の搬送方向と直交する幅方向に複数本設けられている搬送ベルト121と同じ個数だけ設けられて各々の搬送ベルト121を押圧する。
【0036】
プラテン127は、搬送ベルト121の内側に設けられ、記録ヘッド130と対向する記録領域にて搬送ベルト121を支持している。
【0037】
従動コロとしての支持コロ128は、上流側ニップローラ125及び下流側ニップローラ126の各々に対して搬送ベルト121を介して対向して配置されている。支持コロ128は、上流側ニップローラ125及び下流側ニップローラ126の各々の矢印A方向への押圧による搬送ベルト121の変位を抑制する。このため支持コロ128の材質は硬度が高いモールドコロである。
【0038】
上記構成の搬送ユニット120は、ロール紙101の幅方向のサイズに対応した幅方向の数の搬送ベルト121、上流側ニップローラ125及び下流側ニップローラ126によりロール紙101を各々の挟持位置で挟持して搬送する。例えば、搬送ユニット120は、
図5に示す最小サイズ幅のロール紙101aを搬送する場合に、各々1つの搬送ベルト121、上流側ニップローラ125及び下流側ニップローラ126によりロール紙101を挟持して搬送する。この際に、ロール紙101aは、各々1つの上流側ニップローラ(第1の回転体)125及び下流側ニップローラ(第2の回転体)126によって搬送力を付与される。
【0039】
検知手段としての先端検知センサ129は、上流側ニップローラ(第1の回転体)125の挟持位置と下流側ニップローラ(第2の回転体)126の挟持位置との間に検知位置が設けられている。先端検知センサ129は、搬送ベルト121によって搬送されるロール紙101の先端が先端検知センサ129の検知位置を通過する際に、そのロール紙101の先端を検知して検知結果を制御部150のCPU150aに出力する。
【0040】
制御部150のCPU150aは、後述するエンコーダ160の回転信号を検知するフォトセンサ190から入力される信号に基づいて、搬送ベルト121の移動量を検出してロール紙(シート部)101の搬送速度を制御する。CPU150aは、ガイドユニット102のボリュームセンサ180から入力される信号の抵抗値により可動ガイド104の位置を検出することで、ロール紙101の幅方向のサイズを検出する。CPU150aは、パーソナルコンピュータ140から送信された記録データ又はコマンド等を受信する。
【0041】
CPU150aは、受信した記録データ及びコマンドと、先端検知センサ129からの入力信号と、検出した搬送ベルト121の移動量及びロール紙101の幅方向のサイズと、に基づいて、給送ユニット110又は搬送ユニット120の動作を制御する。なお、CPU150aは、受信した記録データ及びコマンドと、検知手段としての先端検知センサ129からの入力信号と、回転信号を検知するフォトセンサ190から入力される信号と、に基づいて、記録手段としての記録ヘッド130のインク吐出等のタイミングも制御する。
【0042】
エンコーダ160は、駆動される搬送ベルト121に従動回転する従動プーリ124と同軸に固定されて回転するロータリエンコーダである。エンコーダ160は、回転方向に目盛りが振られた円板状の図示しないエンコーダスケールを備えている。
【0043】
搬送モータ170は、制御部150のCPU150aの制御により回転数を変更して駆動プーリ122を駆動させ、搬送ベルト121の速度を変更して搬送されるロール紙101の搬送送度を変更する。
【0044】
フォトセンサ190(
図2参照)は、エンコーダ160のエンコーダスケールの目盛の通過を検出して、通過した目盛りの数(パルス)に応じた信号をCPU150aに出力する。
【0045】
<ロール紙に作用する力>
本発明の実施の形態1に係るロール紙101に作用する力について、説明する。
【0046】
搬送されるロール紙101には、搬送方向に作用する搬送力Fと、搬送力Fとは逆向きに作用するバックテンションTと、が付与される。
【0047】
ここで、上流側ニップローラ125の
図3に示す矢印A方向の押圧力をN1、下流側ニップローラ126の
図3に示す矢印A方向の押圧力をN2、及びロール紙101と搬送ベルト121との摩擦係数をμとすると、搬送力Fは(1)式により求められる。
【0048】
F=N1×μ+N2×μ (1)
(1)式より、搬送力Fは、上流側ニップローラ125の矢印A方向の押圧力N1又は下流側ニップローラ126の矢印A方向の押圧力N2が大きいほど大きくなる。また、バックテンションTは、トルクリミッタ111によるトルクリミッタ張力とロール紙101の慣性力による張力との合算値になる。ロール紙101の慣性力は、ロール紙101を搬送する際の加速度が大きいほど大きくなる。
【0049】
搬送力Fに対してバックテンションTが大きい場合には、ロール紙101の目標の搬送量に対してズレを生じる可能性があるため、高精度に搬送を行うためには、バックテンションTに対して搬送力Fを大きくする必要がある。
【0050】
一方、搬送力Fを上げるために上流側ニップローラ125の矢印A方向の押圧力N1又は下流側ニップローラ126の矢印A方向の押圧力N2を大きくし過ぎた場合には、接触するロール紙101の記録面へのダメージが大きくなる。また、ロール紙101が剥離紙付きのラベルシートである場合には、上流側ニップローラ125の矢印A方向の押圧力N1を大きくし過ぎた場合には、ロール紙101のラベルが存在するラベル領域R1とラベルが存在しない非ラベル領域R2との間の段差通過によるロール紙101に対する衝撃が大きくなる。同様に、ロール紙101がラベルシートである場合には、下流側ニップローラ126の矢印A方向の押圧力N2を大きくし過ぎた場合には、ロール紙101のラベルが存在するラベル領域R1とラベルが存在しない非ラベル領域R2との間の段差通過によるロール紙101に対する衝撃が大きくなる。この結果、記録中のロール紙101にブレが発生し、ロール紙101に記録される画像の品位が低下する。
【0051】
このため、上流側ニップローラ125及び下流側ニップローラ126は、ロール紙101のブレをできるだけ低減するため、材質も硬度が低いローラが望ましい。従って、上流側ニップローラ125及び下流側ニップローラ126は、それぞれモールドコロ等の硬度が高いローラでは無く、スポンジローラ等の発泡層を備える硬度が低いものがよい。
【0052】
<記録装置の動作>
本発明の実施の形態1に係る記録装置100の動作について、
図6から
図9を参照しながら、詳細に説明する。
図6は本発明の実施の形態1に係る搬送装置でロール紙を低速搬送する際の動作を示すフロー図であり、
図7は本発明の実施の形態1に係る搬送装置でロール紙を搬送する際のロール紙の速度の推移を示す図である。
図8は本発明の実施の形態1に係る搬送装置でロール紙を高速搬送する際の動作を示すフロー図であり、
図9は本発明の実施の形態1に係る搬送装置でロール紙を高速搬送する際のロール紙の速度の推移を示す図である。
【0053】
本発明の実施の形態1に係る記録装置100は、生産性を向上するための高速搬送による記録動作(第1のモード)と画質を優先して低速搬送する記録動作(第2のモード)を選択可能である。この選択は記録装置100に接続されるパーソナルコンピュータ140や記録装置100に配置される不図示の操作部等から設定可能である。第1のモードを選択すると、ロール紙のシート部が高速で搬送されながら記録されるので、時間当たりの記録数が増加し、生産性が向上する。一方、第2のモードを選択すると、ロール紙のシート部が低速で搬送されながら記録されるので、時間当たりの記録数は減少するが、高精度の画像が形成されるので、画質が向上する。
【0054】
図7及び
図9において、ロール紙(シート部)101の待機位置は、上流側ニップローラ(第1の回転体)125の挟持位置と先端検知センサ129の検知位置との間の位置であって、ロール紙101の先端が待機する位置である。ユーザによるロール紙101のセット時には上流側ニップローラ125により搬送されるロール紙101が先端検知センサ129により検知されると上流側ニップローラ125等が逆回転してロール紙101の先端は待機位置まで戻され待機する。ロール紙先端の検知位置は、先端検知センサ129によってロール紙101の先端を検知する位置である。下流側ニップローラ126の押圧位置(挟持位置)は、下流側ニップローラ126によって押圧される位置である。印字開始位置は、記録手段としての記録ヘッド130によって記録領域のロール紙101に記録を開始する位置である。
【0055】
最初に、搬送装置1が第2のモードにより所定速度未満の搬送速度(低速搬送)でロール紙(シート部)101を搬送する場合の記録装置100の動作について、
図6及び
図7を用いて説明する。
【0056】
記録装置100の制御部150のCPU150aは、パーソナルコンピュータ140から送信された記録データ及びコマンド等を受信することにより
図6に示す動作を開始する。
【0057】
まず、CPU150aは、パーソナルコンピュータ140に対するユーザの搬送速度選択等に関する入力操作により(S1)、ユーザにより設定された搬送速度に関するコマンドと記録データ等とを、パーソナルコンピュータ140より受信する。ここで、ユーザにより設定された搬送速度は、所定速度未満である。設定された搬送速度は、ここでは200mm/secを例示する。また、所定速度は、ここでは300mm/secを例示する。
【0058】
次に、コマンド及び記録データ等を受信したCPU150aは、搬送ユニット120の搬送モータ170を正転駆動させて駆動プーリ122及び搬送ベルト121を加速駆動させ、設定された搬送速度までロール紙101を加速させる(S2)。
【0059】
第2のモード(低速搬送)が設定されたときは、CPU150aは、
図7にL1で示すように、ロール紙101の先端が待機位置で停止しているロール紙101を、設定された第1の所定速度である200mm/sec(低速搬送)まで加速させる。
【0060】
この際に、ロール紙101は、上流側ニップローラ(第1の回転体)125によって挟持搬送されるため、上流側ニップローラ125によって押圧力N1が付与される。また、ロール紙101の搬送速度は、ロール紙101に押圧力N1が付与された状態で増速される。
【0061】
このように、制御部150のCPU150aは、設定された搬送速度が所定速度未満(低速搬送)の場合に、上流側ニップローラ125(第1の回転体)によって、設定された搬送速度までロール紙101を加速させる。この加速に要する第1の加速期間はロール紙101の先端が、検知位置に到達する前に第1の所定速度である200mm/sec(低速搬送)まで到達させる期間である。
【0062】
次に、CPU150aは、ロール紙101の先端が待機位置から検知位置の手前まで搬送される所定のパルス数をカウントしたか否かを判定する(S3)。この際の所定のパルス数は、ここでは120パルスを例示する。また、この際の待機位置からの搬送距離は、ここでは15mmを例示する。
【0063】
CPU150aは、所定のパルス数をカウントしていない場合に(S3:No)、ステップS2の処理を繰り返す。
【0064】
一方、CPU150aは、所定のパルス数をカウントした場合に(S3:Yes)、搬送モータ170を制御して搬送ベルト121を定速駆動させることで、ロール紙101を設定された搬送速度で定速搬送させる(S4)。このCPU150aが定速搬送する第1の定速期間は、ロール紙101(シート部)の先端が、検知位置への到達前から、搬送ベルト121と第2の回転体とに挟持される挟持位置まで、搬送速度を第1の所定速度で定速とする期間である。これにより、ロール紙101は、記録ヘッド130と対向する記録領域へ設定された搬送速度で搬送される。
【0065】
例えば、CPU150aは、
図7にL1で示すように、所定のパルス数をカウントした際のロール紙101の先端が検知位置の手前まで搬送された際において、ロール紙101を200mm/secで定速搬送させる。
【0066】
次に、CPU150aは、搬送ベルト121を定速駆動させた状態で、先端検知センサ129からの入力信号に基づいて、先端検知センサ129によりロール紙101の先端を検知したか否かを判定する(S5)。
【0067】
CPU150aは、ロール紙101の先端を検知しない場合に(S5:No)、ステップS5の処理を繰り返す。
【0068】
一方、CPU150aは、ロール紙101の先端を検知した場合に(S5:Yes)、ロール紙101の先端がロール紙先端検知位置から印字開始位置まで搬送される所定のパルス数をカウントしたか否かを判定する(S6)。この際の所定のパルス数は、ここでは965パルスを例示する。また、ロール紙先端検知位置から印字開始位置までの搬送距離は、ここでは48mmを例示する。
【0069】
CPU150aは、所定のパスル数をカウントしていない場合に(S6:No)、ステップS6の処理を繰り返す。
【0070】
一方、CPU150aは、所定のパルス数をカウントした場合に(S6:Yes)、記録ヘッド130に印字動作を開始させる(S7)。搬送速度は、第2のモードにおいて、記録手段によってシート部に記録が行われるとき、第1の所定速度である。
【0071】
次に、CPU150aは、ロール紙101の先端がロール紙先端検知位置からロール紙101をカットするカッタ位置まで搬送される所定のパルス数に、ロール紙101の用紙長に応じたパルス数を加算したパルス数をカウントしたか否かを判定する(S8)。この際の所定のパルス数は、ここでは3016パルスを例示する。また、ロール紙先端検知位置からカッタ位置までの搬送距離は、ここでは142mmを例示する。ここで、用紙長は、ロール紙101におけるラベル領域R1の搬送方向の長さである。
【0072】
CPU150aは、所定のパルス数にロール紙101の用紙長に応じたパルス数を加算したパルス数をカウントしていない場合に(S8:No)、ステップS8の処理を繰り返す。
【0073】
一方、CPU150aは、所定のパルス数にロール紙101の用紙長に応じたパルス数を加算したパルス数をカウントした場合に(S8:Yes)、記録ヘッド130に印字動作を終了させる。そして、CPU150aは、搬送モータ170を停止させ(S9)、その後に印字動作を停止する。
【0074】
CPU150aは、ステップS5で定速駆動した状態を印字動作を終了するまで維持させる。例えば、CPU150aは、
図7にL1で示すように、検知位置でロール紙101を200mm/secで定速搬送させた状態を印字動作を終了するまで維持させる。
【0075】
このように、制御部150のCPU150aは、バックテンションTが大きくなる加速期間を先端検知センサ129がロール紙(シート部)先端を検知する検知位置の手前までとし、その後は設定された搬送速度でロール紙101を定速搬送する。定速搬送される際にロール紙101に作用するバックテンションTは、ロール紙101の角加速度が0になるためロール紙101の慣性力が0となり、トルクリミッタ111によるトルクリミッタ張力のみとなる。これにより、先端検知センサ129によりロール紙101の先端を検知した後の搬送量のズレを防ぐことができる。
【0076】
次に、
図7に示すL2及びL3は、設定された搬送速度を200mm/secよりも速い300mm/sec(高速搬送)とし、ロール紙101を300mm/secまで連続して加速させる場合を示している。
【0077】
図7に示すL2の場合には、設定された搬送速度300mm/secに達するまでの加速期間を検知位置の手前までにしているため、搬送ベルト121を駆動する搬送モータ170への負荷が増大して脱調する可能性がある。また、上流側ニップローラ125の矢印A方向の押圧力N1を変更していないので、上流側ニップローラ125と搬送ベルト121とによるロール紙101を挟持する力が足りず挟持するロール紙101に滑りが生じて、先端検知センサ129の検知位置を通過する前に設定された搬送速度300mm/secに達しないおそれもある。
【0078】
また、
図7に示すL3の場合には、加速度を抑えているためロール紙101の慣性力による張力は小さくなる。しかしながら、ロール紙101の先端は加速中に先端検知センサ129の検知位置を通過しており、300mm/secまで加速される間にロール紙101に滑りが発生しても先端検知センサ129の検知位置を通過後は検知できず、目標の搬送量に対してズレを生じるおそれがある。
【0079】
続いて、本発明の実施の形態1に係る搬送装置1が第1のモードが設定されて第2の所定速度(高速搬送)でロール紙(シート部)101を搬送する場合の記録装置100の動作について、
図8及び
図9を用いて説明する。
【0080】
記録装置100の制御部150のCPU150aは、パーソナルコンピュータ140から送信された記録データ、コマンド等を受信することにより
図8に示す動作を開始する。
【0081】
まず、CPU150aは、パーソナルコンピュータ140に対するユーザの搬送速度選択等に関する入力操作により(S21)、ユーザにより設定された搬送速度に関するコマンドと記録データとを、パーソナルコンピュータ140より受信する。ここで、ユーザにより設定された第1のモードにおける搬送速度は、第2の所定速度である。設定された搬送速度は高速搬送であり、搬送中に記録手段が記録する速度をここでは300mm/secを例示する。
【0082】
次に、コマンド及び記録データ等を受信したCPU150aは、搬送ユニット120の搬送モータ170を正転駆動させて駆動プーリ122及び搬送ベルト121を加速駆動させ、第1段階の搬送速度までロール紙(シート部)101を加速させる(S22)。第1段階の搬送速度は、ここでは200mm/secを例示する。
【0083】
例えば、CPU150aは、
図9にL4で示すように、ロール紙(シート部)101の先端が待機位置で停止しているロール紙101を、第1の挟持搬送手段を構成する上流側ニップローラ125と搬送ベルト121により、挟持して搬送している記録シートの先端を検知手段としての先端検知センサ129が検知する前に、第1段階の搬送速度(第1の所定速度)である200mm/secに到達するまで加速させる。ここで待機位置は、上流側ニップローラ125と搬送ベルト121との挟持位置の下流であり、かつ先端検知センサ129の検知位置の上流である。
【0084】
この際に、ロール紙101は、上流側ニップローラ125によって挟持搬送されるため、上流側ニップローラ125によって押圧力N1を付与される。また、ロール紙101の搬送速度は、ロール紙101に押圧力N1が付与された状態で増速される。
【0085】
次に、CPU150aは、ロール紙101の先端が検知位置の手前まで搬送される所定のパルス数をカウントしたか否かを判定する(S23)。この際の所定のパルス数は、ここでは120パルスを例示する。また、この際の待機位置からの搬送距離は、ここでは15mmを例示する。
【0086】
CPU150aは、所定のパルス数をカウントしていない場合に(S23:No)、ステップS23の処理を繰り返す。
【0087】
一方、CPU150aは、所定のパルス数をカウントした場合に(S23:Yes)、搬送モータを制御して搬送ベルト121を定速駆動させることで、ロール紙101を第1段階の搬送速度(第1の所定速度)で定速搬送させる(S24)。
【0088】
例えば、CPU150aは、
図9にL4で示すように、所定のパルス数をカウントした際のロール紙101の先端が検知位置に到達する手前において、ロール紙101を200mm/secで定速搬送させる。
【0089】
このように、制御部150のCPU150aは、搬送速度が設定された搬送速度(300mm/sec)に達する前に、先端検知センサ129の検知位置をロール紙101の先端が通過する際に、このロール紙101を等速で搬送させる。ロール紙先端を先端検知センサ129の検知時は定速なので検知精度が良い。ここまでの搬送制御は前述した第2のモードと同じである。このCPU150aが定速搬送する定速期間は、ロール紙101(シート部)の先端が、検知位置への到達前から、搬送ベルト121と第2の回転体とに挟持される挟持位置まで、搬送速度を第1の所定速度で定速とする期間である。
【0090】
次に、CPU150aは、搬送ベルト121を定速駆動させた状態で、先端検知センサ129からの入力信号に基づいて、先端検知センサ129によりロール紙101の先端を検知したか否かを判定する(S25)。
【0091】
CPU150aは、ロール紙101の先端を検知しない場合に(S25:No)、ステップS25の処理を繰り返す。
【0092】
一方、CPU150aは、ロール紙101の先端を検知した場合に(S25:Yes)、ロール紙101の先端が下流側ニップローラ126の押圧位置を通過した位置まで搬送される所定のパルス数をカウントしたか否かを判定する(S26)。この際の所定のパルス数は、ここでは600パルスを例示する。また、検知位置から下流側ニップローラ126の押圧位置までの搬送距離は、ここでは25mmを例示する。
【0093】
CPU150aは、所定のパルス数をカウントしていない場合に(S26:No)、ステップS26の処理を繰り返す。
【0094】
一方、CPU150aは、所定のパルス数をカウントした場合に(S26:Yes)、搬送モータ170を制御して、設定された搬送速度まで搬送ベルト121を加速駆動させ、設定された搬送速度までロール紙101を再び加速させる(S27)。ここで、設定された搬送速度は、第2の所定速度である。
【0095】
例えば、CPU150aは、
図9にL4で示すように、所定のパルス数をカウントした際のロール紙101の先端が第2の挟持搬送手段を構成する下流側ニップローラ126の押圧位置である挟持位置に到達したロール紙101を、300mm/secに到達するまで加速させる。この加速期間はロール紙101の先端が第2の挟持搬送手段に挟持された後、記録手段による記録を開始する前に加速する第2の加速期間である。
【0096】
この際に、ロール紙101は、上流側ニップローラ125と下流側ニップローラ126とによって挟持搬送されるため、上流側ニップローラ125によって押圧力N1が付与されると共に下流側ニップローラ126によって押圧力N2が付与される。また、ロール紙101の搬送速度は、ロール紙101に押圧力N1及び押圧力N2が付与された状態で更に増速される。
【0097】
このように、制御部150のCPU150aは、設定された搬送速度までロール紙101を段階的に加速させる第1のモードを実施する。
【0098】
次に、CPU150aは、ロール紙101の先端が検知位置から印字開始位置の手前まで搬送される所定のパルス数をカウントしたか否かを判定する(S28)。この際の所定のパルス数は、ここでは395パルスを例示する。また、検知位置からの搬送距離は、ここでは31.6mmを例示する。
【0099】
CPU150aは、所定のパルス数をカウントしていない場合に(S28:No)、ステップS28の処理を繰り返す。
【0100】
一方、CPU150aは、所定のパルス数をカウントした場合に(S28:Yes)、搬送モータを制御して搬送ベルト121を定速駆動させることで、ロール紙101を設定された搬送速度(第2の所定速度)で定速搬送させる(S29)。これにより、ロール紙101は、記録ヘッド130へ所定速度で搬送される。
【0101】
例えば、CPU150aは、
図9にL4で示すように、所定のパルス数をカウントした際のロール紙101の先端が印字開始位置の手前に到達した際に、設定された搬送速度である300mm/secでロール紙101を定速搬送させる。このCPU150aがロール紙101の搬送速度を第2の所定速度で定速搬送する第2の定速期間は、ロール紙101(シート部)の先端が、記録手段が記録する記録領域の記録位置へ到達されるまで搬送速度を第2の所定速度で定速とする期間である。
【0102】
次に、CPU150aは、ロール紙101の先端が検知位置から印字開始位置まで搬送される所定のパルス数をカウントしたか否かを判定する(S30)。この際の所定のパルス数は、ここでは965パルスを例示する。また、検知位置から印字開始位置までの搬送距離は、ここでは48mmを例示する。
【0103】
CPU150aは、所定のパルス数をカウントしていない場合に(S30:No)、ステップS30の処理を繰り返す。
【0104】
一方、CPU150aは、所定のパルス数をカウントした場合に(S30:Yes)、記録ヘッド130に印字動作を開始させる(S31)。第1のモードにおいて、記録手段によって記録が行われるときの搬送速度は、第2の所定速度である。
【0105】
次に、CPU150aは、ロール紙101の先端が検知位置からカッタ位置まで搬送される所定のパルス数に、ロール紙101の用紙長に応じたパルス数を加算したパルス数をカウントしたか否かを判定する(S32)。この際の所定のパルス数は、ここでは3016パルスを例示する。また、検知位置からカッタ位置までの搬送距離は、ここでは142mmを例示する。ここで、用紙長は、ロール紙101におけるラベル領域R1の搬送方向の長さである。
【0106】
CPU150aは、所定のパルス数にロール紙101の用紙長(ラベル長)に応じたパルス数を加算したパルス数をカウントした場合に(S32:Yes)、記録ヘッド130に印字動作を終了させる。そして、CPU150aは、搬送モータ170を停止させ(S33)、その後に印字動作を停止する。
【0107】
CPU150aは、ステップS29で定速駆動した状態を印字動作を終了するまで維持させる。例えば、CPU150aは、
図9にL4で示すように、ロール紙101を300mm/secで定速搬送させた状態を印字動作を終了するまで維持させる。
【0108】
このように、本実施の形態では、ロール紙101を挟持する上流側ニップローラ125及び下流側ニップローラ126の数が増加する毎に、上流側ニップローラ及び下流側ニップローラ126でロール紙101の搬送速度を段階的に増速させて所定速度まで加速する(第1の加速期間及び第2の加速期間)。これにより、ロール紙101を搬送しながら記録する際にロール紙101の搬送にバックテンションが発生しても、生産性を低下させることなく、高精度にロール紙101を搬送することができる。
【0109】
なお、本実施の形態では、段階的に増速させる間に定速期間(第1の定速期間)を設定し、先端検知センサ129の検知位置をロール紙101の先端が通過する際にロール紙101を等速で搬送させるが、これは記録ヘッド130のインク吐出タイミングやカット制御の基準となるロール紙の先端位置を検知する先端検知センサ129の検知精度を上げるためである。このため、本実施の形態では、先端検知センサ129の検知位置においてロール紙101を定速搬送させた後に、下流側ニップローラ126がロール紙101を挟持位置で挟持してから、設定された搬送速度に達するように搬送速度を段階的に加速させている。
【0110】
しかしながら、本実施の形態において、ロール紙101の検知位置の通過速度を、定速に限定せず、先端検知センサ129の性能に応じて、ロール紙101を低加速で先端検知センサ129の検知位置を通過させてもよい。そして、下流側ニップローラ126がロール紙101を挟持位置で挟持してから、設定された搬送速度に達するようにロール紙101の搬送速度を高加速で加速して、段階的に徐々に加速するようにしてもよい。
【0111】
なお、本実施の形態においては、二段階で加速を実施する高速搬送の第1のモードと段階的な加速を実施しない低速搬送の第2のモードを選択可能な設定としたが、選択機能を無くして加速モードを二段階の加速の設定のみにしても良い。
【0112】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る記録装置及び搬送装置の構成は
図1から
図5と同一構成であるので、その説明を省略する。
【0113】
<記録装置の動作>
本発明の実施の形態2に係る記録装置100の動作について、
図10から
図12を参照しながら、詳細に説明する。
図10は、本発明の実施の形態2に係る搬送装置のロール紙のサイズが所定幅以上の場合の動作を示すフロー図である。
図11は、本発明の実施の形態2に係る搬送装置のロール紙のサイズが所定幅未満の場合の動作を示すフロー図である。
図12は、本発明の実施の形態2に係る搬送装置を模式的に示す平面図及びロール紙の速度の推移を示す図である。
【0114】
本実施の形態は、ロール紙101の搬送方向と直交する幅方向のロール紙101のサイズに応じて、第1の挟持搬送手段及び第2の挟持搬送手段の搬送制御を変更することを特徴とする。具体的には、本実施の形態に係る記録装置100は、ロール紙101の幅方向のサイズが所定幅未満の上述した
図5に示すロール紙101aを所定速度で搬送する場合に、実施の形態1と同様に
図8に示す動作を行うが、本発明の実施の形態2に係る記録装置100は、ロール紙101の幅方向のサイズ等により、複数の加速期間を設ける第1のモードと、複数の加速期間を設けずに、検知位置に到達する前に、搬送速度を所定速度まで加速する単一の加速期間を設定する第2のモードと、を選択可能である。この選択は記録装置100に接続されるパーソナルコンピュータ140や記録装置100に設置される不図示の操作部等から設定可能である。
【0115】
まず、制御手段としてのCPU150aは、パーソナルコンピュータ140に対するユーザの搬送速度選択及び用紙幅選択等に関する入力操作により(S41)、設定された搬送速度及び用紙幅に関するコマンドと記録データとを、パーソナルコンピュータ140より受信する。なお、CPU150aは、ガイドユニット102のボリュームセンサ180から入力される信号の抵抗値により、ユーザがロール紙101の幅に合わせて移動する可動ガイド104の位置を検知して、給送されるロール紙101の幅方向のサイズを決定してもよい。
【0116】
次に、CPU150aは、受信したコマンド又はガイドユニット102のボリュームセンサ180から入力される信号の抵抗値により、記録するロール紙101の幅方向のサイズが所定幅以上であるか否かを判定する。(S42)。
【0117】
CPU150aは、ロール紙101の幅方向のサイズが所定幅以上の場合に(S42:Yes)、搬送モータ170を正転駆動させて駆動プーリ122及び搬送ベルト121を加速駆動させ、設定された搬送速度までロール紙101を加速させる(S43)。設定された搬送速度は、ここでは300mm/secを例示する。
【0118】
例えば、CPU150aは、
図12にL5で示すように、ロール紙(シート部)101の先端が待機位置で停止しているロール紙101を、設定された搬送速度である300mm/secまで加速させる。
【0119】
この際に、ロール紙101は、幅方向に設けられた複数の上流側ニップローラ125によって挟持搬送されるため、複数の上流側ニップローラ125(本発明にいう第1のローラ及び前記第2のローラ)の各々によって押圧力N1を付与される。この複数の上流側ニップローラ125の各々は、上流側ニップローラ125の回転軸方向において、互いに他の上流側ニップローラ125と異なる領域に設けられている。また、ロール紙101の搬送速度は、複数の上流側ニップローラ125からロール紙101に押圧力N1が各々付与された状態で増速される。
【0120】
次に、CPU150aは、ロール紙101の先端が先端検知センサ129の検知位置の手前まで搬送される所定のパルス数をカウントしたか否かを判定する(S44)。この際の所定のパルス数は、ここでは120パルスを例示する。また、この際の待機位置からの搬送距離は、ここでは15mmを例示する。
【0121】
CPU150aは、所定のパルス数をカウントしていない場合に(S44:No)、ステップS44の処理を繰り返す。
【0122】
一方、CPU150aは、所定のパルス数をカウントした場合に(S44:Yes)、搬送モータを制御して搬送ベルト121を定速駆動させることで、ロール紙101を設定された搬送速度(第2の所定速度)で定速搬送させる(S45)。
【0123】
例えば、CPU150aは、
図12にL5で示すように、所定のパルス数をカウントした際のロール紙101の先端が先端検知センサ129の検知位置の手前まで搬送された際において、ロール紙101を300mm/secで定速搬送させる。
【0124】
次に、CPU150aは、搬送ベルト121を定速駆動させた状態で、先端検知センサ129からの入力信号に基づいて、先端検知センサ129によりロール紙101の先端を検知したか否かを判定する(S46)。
【0125】
CPU150aは、ロール紙101の先端を検知しない場合に(S46:No)、ステップS46の処理を繰り返す。
【0126】
一方、CPU150aは、ロール紙101の先端を検知した場合に(S46:Yes)、ロール紙101の先端が検知位置から印字開始位置まで搬送される所定のパルス数をカウントしたか否かを判定する(S47)。この際の所定のパルス数は、ここでは965パルスを例示する。また、この際の検知位置から印字開始位置までの搬送距離は、ここでは48mmを例示する。
【0127】
CPU150aは、所定のパルス数をカウントしていない場合に(S47:No)、ステップS47の処理を繰り返す。
【0128】
一方、CPU150aは、所定のパルス数をカウントした場合に(S47:Yes)、記録ヘッド130に印字動作を開始させる(S48)。
【0129】
次に、CPU150aは、ロール紙101の先端が検知位置からカッタ位置まで搬送される所定のパルス数に、ロール紙101の用紙長に応じたパルス数を加算したパルス数をカウントしたか否かを判定する(S49)。この際の所定のパルス数は、ここでは3016パルスを例示する。また、この際の検知位置からカッタ位置までの搬送距離は、ここでは142mmを例示する。
【0130】
CPU150aは、所定のパルス数にロール紙101の用紙長に応じたパルス数を加算したパルス数をカウントしていない場合に(S49:No)、ステップS49の処理を繰り返す。
【0131】
一方、CPU150aは、所定のパルス数にロール紙101の用紙長に応じたパルス数を加算したパルス数をカウントした場合に(S49:Yes)、記録ヘッド130に印字動作を終了させる。そして、CPU150aは、搬送モータ170を停止させ(S50)、その後に画像形成動作を停止する。
【0132】
CPU150aは、ステップS45で定速駆動した状態を印字動作を終了するまで維持させる。例えば、制御部150は、
図12にL5で示すように、ロール紙101を300mm/secで定速搬送させた状態を印字動作を終了するまで維持させる。
【0133】
このように、制御部150のCPU150aは、バックテンションTが大きくなる加速期間を先端検知センサ129の検知位置の手前までとし、その後は設定された搬送速度でロール紙101を定速搬送する。定速搬送される際にロール紙101に作用するバックテンションTは、ロール紙101の角加速度が0になるためロール紙101の慣性力が0となり、トルクリミッタ111によるトルクリミッタ張力のみとなる。これにより、先端検知センサ129によりロール紙101の先端を検知した後の搬送量のズレを防ぐことができる。
【0134】
一方、CPU150aは、ロール紙101の幅方向のサイズが所定幅未満の場合(サイズが第1のサイズの場合)に(S42:No)、搬送ユニット120の搬送モータ170を正転駆動させて駆動プーリ122及び搬送ベルト121を加速駆動させる。そして、CPU150aは、第1段階の搬送速度までロール紙101を加速させる(S51)。第1段階の搬送速度は、ここでは200mm/secを例示する。
【0135】
この際に、ロール紙101は、上流側ニップローラ125によって挟持搬送されるため、上流側ニップローラ125によって押圧力N1を付与される。また、ロール紙101の搬送速度は、ロール紙101に押圧力N1が付与された状態で加速される。この加速に要する第1の加速期間はロール紙101の先端が、先端検知センサ129の検知位置に到達する前に第1の所定速度である200mm/secまで到達させる期間である。
【0136】
次に、CPU150aは、ロール紙101の先端が検知位置の手前まで搬送される所定のパルス数をカウントしたか否かを判定する(S52)。この際の所定のパルス数は、ここでは120パルスを例示する。また、この際の待機位置からの搬送距離は、ここでは15mmを例示する。
【0137】
CPU150aは、所定のパルス数をカウントしていない場合に(S52:No)、ステップS52の処理を繰り返す。
【0138】
一方、CPU150aは、所定のパルス数をカウントした場合に(S52:Yes)、搬送モータ170を制御して搬送ベルト121を定速駆動させることで、ロール紙101を第1段階の搬送速度(第1の定速度)で定速搬送させる(S53)。CPU150aは、先端検知センサ129の検知位置をロール紙101の先端が通過する際に、このロール紙101を等速で搬送させる。ロール紙先端を先端検知センサ129の検知時は定速なので検知精度が良い。このCPU150aが定速搬送する定速期間は、ロール紙101(シート部)の先端が、検知位置への到達前から、搬送ベルト121と第2の回転体とに挟持されるまで、搬送速度を第1の所定速度(200mm/sec)で定速とする期間である。
【0139】
このように、制御部150のCPU150aは、搬送速度が設定された搬送速度に達する前に、先端検知センサ129の検知位置をロール紙101の先端が通過する際に、このロール紙101を等速で搬送させる。
【0140】
次に、CPU150aは、搬送ベルト121を定速駆動させた状態で、先端検知センサ129からの入力信号に基づいて、先端検知センサ129によりロール紙101の先端を検知したか否かを判定する(S54)。
【0141】
CPU150aは、ロール紙101の先端を検知しない場合に(S54:No)、ステップS54の処理を繰り返す。
【0142】
一方、CPU150aは、ロール紙101の先端を検知した場合に(S54:Yes)、ロール紙101の先端が下流側ニップローラ126の押圧位置(挟持位置)を通過した位置まで搬送される所定のパルス数をカウントしたか否かを判定する(S55)。この際の所定のパルス数は、ここでは600パルスを例示する。また、検知位置から下流側ニップローラ126押圧位置(挟持位置)までの搬送距離は、ここでは25mmを例示する。
【0143】
CPU150aは、所定のパルス数をカウントしていない場合に(S55:No)、ステップS55の処理を繰り返す。
【0144】
一方、CPU150aは、所定のパルス数をカウントした場合に(S55:Yes)、搬送モータ170を制御して、設定された搬送速度まで搬送ベルト121を加速駆動させ、設定された搬送速度までロール紙101を再び加速させる(S56)。ここで、設定された搬送速度は、第2段階の搬送速度である。
【0145】
この際に、ロール紙101は、上流側ニップローラ125と下流側ニップローラ126とによって挟持搬送されるため、上流側ニップローラ125によって押圧力N1が付与されると共に下流側ニップローラ126によって押圧力N2が付与される。また、ロール紙101の搬送速度は、ロール紙101に押圧力N1及び押圧力N2が付与された状態で更に増速される。
【0146】
このように、制御部150のCPU150aは、設定された第2の所定速度までロール紙101を段階的に加速させる。例えば、CPU150aは、ロール紙101の先端が第2の挟持搬送手段を構成する下流側ニップローラ126と搬送ベルト121により挟持して搬送される下流側ニップローラ126の押圧位置である挟持位置に到達したロール紙101を、300mm/secに到達するまで加速させる。この加速期間はロール紙101の先端が第2の挟持搬送手段に挟持された後、記録手段による記録を開始する前に加速する第2の加速期間である。
【0147】
次に、CPU150aは、ロール紙101の先端が先端検知センサ129の検知位置から印字開始位置の手前まで搬送される所定のパルス数をカウントしたか否かを判定する(S57)。この際の所定のパルス数は、ここでは395パルスを例示する。また、検知位置からの搬送距離は、ここでは31.6mmを例示する。
【0148】
CPU150aは、所定のパルス数をカウントしていない場合に(S57:No)、ステップS57の処理を繰り返す。
【0149】
一方、CPU150aは、所定のパルス数をカウントした場合に(S57:Yes)、搬送モータを制御して搬送ベルト121を定速駆動させることで、ロール紙101を設定された搬送速度(第2の所定速度)で定速搬送させる(S58)。これにより、ロール紙101は、記録ヘッド130へ所定速度で搬送される。このCPU150aがロール紙101の搬送速度を第2の所定速度で定速搬送する第2の定速期間は、ロール紙101(シート部)の先端が、記録手段が記録する記録位置へ到達されるまで搬送速度を第2の所定速度で定速とする期間である。
【0150】
次に、CPU150aは、ロール紙101の先端が検知位置から印字開始位置まで搬送される所定のパルス数をカウントしたか否かを判定する(S59)。この際の所定のパルス数は、ここでは965パルスを例示する。また、検知位置から印字開始位置までの搬送距離は、ここでは48mmを例示する。
【0151】
CPU150aは、所定のパルス数をカウントしていない場合に(S59:No)、ステップS59の処理を繰り返す。
【0152】
一方、CPU150aは、所定のパルス数をカウントした場合に(S59:Yes)、記録ヘッド130に印字動作を開始させる(S60)。
【0153】
次に、CPU150aは、ロール紙101の先端が先端検知センサ129の検知位置からカッタ位置まで搬送される所定のパルス数に、ロール紙101の用紙長に応じたパルス数を加算したパルス数をカウントしたか否かを判定する(S61)。この際の所定のパルス数は、ここでは3016パルスを例示する。また、検知位置からカッタ位置までの搬送距離は、ここでは142mmを例示する。ここで、用紙長は、ロール紙101におけるラベル領域R1の搬送方向の長さである。
【0154】
CPU150aは、所定のパルス数にロール紙101の用紙長に応じたパルス数を加算したパルス数をカウントした場合に(S61:Yes)、記録ヘッド130に印字動作を終了させる。そして、CPU150aは、搬送モータ170を停止させ(S62)、その後に印字動作を停止する。
【0155】
CPU150aは、ステップS58で定速駆動した状態を印字動作を終了するまで維持させる。
【0156】
上記実施の形態1では、設定された搬送速度が所定速度である場合に、設定された搬送速度に達するまでに2段階に分けてロール紙101を段階的に加速させた。一方、本発明の実施の形態2では、設定された搬送速度が所定速度である場合に、搬送されるロール紙101の幅方向のサイズに応じて、ロール紙101の搬送速度を加速させる際の加速制御を変更する。
【0157】
具体的には、幅方向のサイズが所定幅以上(サイズが第2の幅の場合)の
図12に示すロール紙101bは、3個の上流側ニップローラ125と3本の搬送ベルト121により挟持され、3個の上流側ニップローラ125と3本の搬送ベルト121の各々から搬送力を付与される。これにより、ロール紙101bは、上記の(1)式より、ロール紙101bの慣性力による張力T2に対して、十分に大きな搬送力F(T2<F)を上流側ニップローラ125より付与される。従って、記録装置100は、ロール紙101bの先端が先端検知センサ129で検知される前に、ロール紙101bを第2の所定速度である300mm/secまで加速させることができる。
【0158】
このようにシート部が搬送ベルトと第1の回転体とに挟持された状態で、シート部の先端が、検知位置に到達する前に、搬送速度を第2の所定速度まで加速する単一の加速期間を設定する第2のモードを選択可能である。
【0159】
一方、幅方向のサイズが所定幅未満(サイズが第1の幅の場合)の
図5に示すロール紙101aは、1個の上流側ニップローラ125と1本の搬送ベルト121により挟持され、1個の上流側ニップローラ125と1本の搬送ベルト121から搬送力を付与される。
【0160】
これにより、ロール紙101aは、ロール紙101aの慣性力による張力T2に対して、十分に大きな搬送力Fを上流側ニップローラ125より付与されない。従って、記録装置100は、上流側ニップローラ125のみに挟持されているときのロール紙101aの搬送速度を200mm/secに到達するまで加速制御し、上流側ニップローラ125と下流側ニップローラ126の両者によって挟持されているときにロール紙101aの搬送速度を300mm/secまで加速制御することで、段階的に加速させる第1のモードを選択可能である。
【0161】
このように、本実施の形態では、幅方向に沿って設けられる上流側ニップローラ125と搬送ベルト121がロール紙101を挟持する数に応じて、ロール紙101の搬送速度を加速させる際の加速制御を変更する。例えば、幅方向のサイズが所定幅未満である第1のサイズの記録シートの場合は、第1のローラに接触し、第2のローラに接触せずに記録シートを挟持して搬送し、幅方向のサイズが第1のサイズより大きい第2のサイズの記録シートの場合は、第1のローラ及び第2のローラが接触して記録シートを挟持して搬送するので、第1のサイズの記録シートの場合は本発明の実施の形態2に係る第1のモード(二段階の加速モード)が選択され、第2のサイズの記録シートの場合は本発明の実施の形態2に係る第2のモード(一段階の加速モード)が選択される。
【0162】
これにより、幅方向のサイズが小さい小サイズより大きい大サイズの記録シートに記録する際は加速する際の段階数が減るので、幅方向のサイズが小サイズより大サイズのロール紙の時間当たりの記録数が増加し、生産性が向上する。また、搬送力に対して抵抗となる慣性力による張力を受ける加速期間をロール紙101の先端が先端検知センサ129の検知位置を通過する前にすることができ、先端検知センサ129がロール紙101の先端を検知した後の加速による搬送量のズレを防ぐことができる。
【0163】
なお、本実施の形態において、幅方向に沿って設けられる上流側ニップローラ125と搬送ベルト121がロール紙101を挟持する数が所定数を超えるときに、設定速度が低速搬送か高速搬送かを判断すること無く、ロール紙101の先端が先端検知センサ129の検知位置を通過する前に、設定された搬送速度までロール紙101を加速させるようにしてもよい。
【0164】
また、本実施の形態において、ロール紙101の幅方向のサイズが所定幅以上の場合に、上流側ニップローラ125と搬送ベルト121により搬送する際の搬送速度を超える任意の搬送速度までロール紙101を加速させてもよい。
【0165】
また、本実施の形態において、ユーザにより設定された搬送速度が所定速度未満(例えば200mm/secの低速搬送)であるときは、ロール紙101の幅方向のサイズを判断すること無く、上流側ニップローラ125と搬送ベルト121による搬送のみで設定された搬送速度に到達するまでロール紙101を加速させてもよい。
【0166】
更に、本実施の形態において、ユーザにより設定された搬送速度が所定速度未満(例えば200mm/secの低速搬送)であるときは、幅方向に沿って設けられる上流側ニップローラ125と搬送ベルト121がロール紙101を挟持する数を判断すること無く、上流側ニップローラ125と搬送ベルト121による搬送のみで設定された搬送速度に到達するまでロール紙101を加速させてもよい。
【0167】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であることは言うまでもない。
【0168】
具体的には、上記実施の形態1及び実施の形態2において、第1の挟持搬送手段と第2の挟持搬送手段との2つのニップローラを配置しているが、ロール紙101の搬送方向に沿って設けた3つ以上のニップローラによって、ロール紙101に搬送力Fを付与してもよい。この場合には、各々のローラの押圧力を小さくしてもバックテンションTよりも大きな搬送力Fを得ることができるため、挟持搬送手段の挟持力によるロール紙101に対するダメージを極力小さくすることができる。
【0169】
また、上記実施の形態1及び実施の形態2において、搬送ベルト121を取り除くと共に支持コロ128を駆動モータによって回転駆動される駆動ローラに変更してもよい。この場合には、第1の挟持搬送手段を構成する上流側ニップローラ125及びニップを構成する駆動ローラと、第2の挟持搬送手段を構成する下流側ニップローラ126及びニップを構成する駆動ローラと、により挟持搬送手段を構成する。そして、従動回転する従動コロとしての上流側ニップローラ125及び下流側ニップローラ126を駆動ローラに接触させて駆動ローラの回転に従動回転させる。このとき、ロール紙101の記録がなされる面と接触するそれぞれのニップローラは、スポンジローラ等の発泡層を備える硬度が低いものがよい。
【0170】
また、上記実施の形態1及び実施の形態2において、搬送速度を所定速度の300mm/secまで加速させる場合を一例として説明したが、搬送速度を300mm/sec以外の任意の所定速度まで加速させることができる。
【0171】
また、上記実施の形態1及び実施の形態2において、段階的な加速を二段階にしたが、三段階以上に増やしても良い。
【0172】
また、上記実施の形態1及び実施の形態2において、矢印A方向への押圧による搬送ベルト121の変位を抑制するための支持コロ128を設けないようにすることができる。このような構成において、上流側ニップローラ125及び下流側ニップローラ126の矢印A方向の押圧力を調整することが好ましい。