(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。以下の説明では、本発明に係るアイウェアの代表例として、電気的制御により光学特性が変化する電気活性領域を含むレンズを有する電子メガネについて説明する。また、本発明に係るセンサーモジュールの代表例として、当該電子メガネ用のテンプルについて説明する。
【0014】
[実施の形態1]
(電子メガネの構成)
図1は、本実施の形態に係る電子メガネ100の構成の一例を示す斜視図である。
図2は、本実施の形態に係る電子メガネ100の内部回路を示すブロック図である。電子メガネ100は、一対のレンズ110、フレーム120、制御部160(
図2参照)および電源170を有する。フレーム120は、フロント130、および一対のテンプル140を有する。なお、以下、フロント130が配置されている部分を電子メガネ100の正面(前方)として説明する。また、以下の説明において特に断ることなく、「前後方向」、「幅方向」、および「上下方向」といった場合には、使用者がメガネとして装着できる展開状態(
図1に示す状態)における電子メガネ100の各方向をいう。具体的には、電子メガネ100の前後方向とは、装着時における使用者の前後方向である。また、電子メガネ100の幅方向とは、装着時における使用者の左右方向である。さらに、電子メガネ100の上下方向とは、装着時における使用者の天地方向である。
【0015】
1)レンズ
図3は、レンズ110の構成の一例を説明するための断面模式図である。
図3は、
図1のA−A線における断面図である。なお、
図3では、レンズ110の曲率をゼロとしてレンズ110の構成を示している。
【0016】
なお、一対のレンズ110は、電子メガネ100を正面視したときに、左右対称となるように形成されており、互いに同一の構成要素を有する。そこで、以下の説明では、電子メガネ100の右目用のレンズ110について説明し、左目用のレンズ110の構成要素については、その説明を省略する。
【0017】
レンズ110は、電圧によりその焦点距離(度数)を切替え可能な第1領域(電気活性領域)1101と、第1領域1101以外の領域に配置されている第2領域1102とを有する。レンズ110は、球面レンズであってもよいし、非球面レンズであってもよい。レンズ110の形状は、所期の光学パワーに応じて適宜調整されうる。
【0018】
第1領域1101の形状、大きさおよび位置は、レンズ110の大きさやレンズ110の用途などに応じて適宜設計されうる。レンズ110の用途の例には、遠近両用レンズ、中近両用レンズおよび近々両用レンズが含まれる。第1領域1101の形状の例には、円形状および楕円形状が含まれる。本実施の形態では、第1領域1101の形状は、電子メガネ100の左右方向(幅方向ともいう。)を長軸とする楕円形状である。また、第1領域1101は、
図1に示されるように、レンズ110を正面視したときに、レンズ110の中央部より下側に配置されている。
【0019】
図3に示されるように、第1領域1101は、後方側(
図3の下側)から順に、第1基板111、第1電極112、液晶層113、第2電極114および第2基板115を有する。第2領域1102は、後方側から順に、第1基板111、第1電極112、接着層116、第2電極114および第2基板115を有する。各構成要素は、可視光に対して透光性を有する。
【0020】
第1基板111は、電子メガネ100において、レンズ110の後方側(使用者側)に配置されている。第1基板111は、電子メガネ100の前方側に向かって凸状となるように湾曲している。第1基板111の曲率および形状は、所期の光学パワーに応じて適宜調整されうる。
【0021】
第1基板111は、第1領域1101に対応する領域に配置されている回折領域117を含む。回折領域117には、第1基板111の一方の面(前方側の面)において、中央部分に配置されている半球状の凸部1171と、凸部1171の外側に配置されている複数の円環状の第1凸条1172とが形成されている。凸部1171および第1凸条1172の形状は、電子メガネ100の前方から入射した光を回折するときの、所期の光学パワーに応じて適宜調整されうる。凸部1171および第1凸条1172の形状の例には、フレネルレンズ形状が含まれる。凸部1171および第1凸条1172の一部がフレネルレンズ形状であってもよいし、凸部1171および第1凸条1172の全部がフレネルレンズ形状であってもよい。
【0022】
第1基板111の材料は、透光性を有していれば特に限定されない。例えば、第1基板111の材料としては、レンズの材料として使用されうる公知の材料が使用されうる。例えば、第1基板111の材料の例には、ガラスおよび樹脂が含まれる。当該樹脂の例には、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリジエチレングリコールビスアリルカーボネートおよびポリスチレンが含まれる。
【0023】
第1電極112および第2電極114は、透光性を有する一対の透明電極である。第1電極112は、第1基板111および液晶層113の間に配置されている。第2電極114は、液晶層113および第2基板115の間に配置されている。第1電極112および第2電極114は、少なくとも液晶層113に電圧を印加しうる範囲(第1領域1101)に亘って配置されていればよい。
【0024】
第1電極112および第2電極114の材料は、所期の透光性および導電性を有していれば特に限定されない。第1電極112および第2電極114の材料の例には、酸化インジウムスズ(ITO)および酸化亜鉛(ZnO)が含まれる。第1電極112および第2電極114の材料は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0025】
液晶層113は、第1電極112および第2電極114の間に配置されている。液晶層113は、電圧の印加の有無に応じて、その屈折率が変化するように構成されている。詳細については後述するが、例えば、液晶層113の屈折率は、液晶層113に電圧が印加されていない状態において、第1基板111の屈折率および第2基板115の屈折率とほぼ同じとなり、かつ液晶層113に電圧が印加されている状態において、第1基板111の屈折率および第2基板115の屈折率と異なるように調整されうる。
【0026】
液晶層113は、液晶材料を含有している。電圧が印加されているときの当該液晶材料の配向状態と、電圧が印加されていないときの当該液晶材料の配向状態とは、互いに異なる。液晶材料は、第1基板111の屈折率および第2基板115の屈折率に応じて、適宜選択されうる。例えば、液晶材料は、コレステリック液晶やネマチック液晶などにより構成されうる。
【0027】
第2基板115は、電子メガネ100において、レンズ110の前方側に配置されている。第2基板115も、電子メガネ100の前方側に向かって凸状となるように湾曲している。第2基板115の曲率は、第1基板111の曲率に対応している。第2基板115の材料の例は、第1基板111の材料と同じである。
【0028】
接着層116は、第2領域1102において、第1基板111および第2基板115の間に配置されており、第1基板111および第2基板115を接着している。第1電極112および第2電極114が、第2領域1102にも配置されている場合には、接着層116は、第1電極112および第2電極114の間に配置される。また、接着層116は、液晶層113を構成する液晶材料を封止する機能も有する。
【0029】
接着層116は、接着剤の硬化物により構成されている。当該接着剤の材料は、所期の透光性を有し、かつ第1基板111および第2基板115を適切に接着することができれば特に限定されない。レンズ110の光学パワーを調整する観点から、所期の屈折率を有する接着剤が選択されうる。
【0030】
レンズ110は、必要に応じて、透光性を有する他の構成要素をさらに有していてもよい。当該他の構成要素の例には、絶縁層および配向膜が含まれる。
【0031】
絶縁層は、第1電極112および第2電極114の間の導通を防止する。例えば、絶縁層は、第1電極112および液晶層113の間と、液晶層113および第2電極114の間とにそれぞれ配置される。絶縁層の材料としては、透光性を有する絶縁層として使用されうる公知の材料が使用されうる。絶縁層の材料の例には、二酸化ケイ素が含まれる。
【0032】
配向膜は、液晶層113における液晶材料の配向状態を制御する。例えば、配向膜は、第1電極112および液晶層113の間と、液晶層113および第2電極114の間とにそれぞれ配置される。配向膜の材料としては、液晶材料の配向膜として使用されうる公知の材料が使用されうる。配向膜の材料の例には、ポリイミドが含まれる。
【0033】
レンズ110は、例えば、下記の製造方法により製造されうる。まず、第1基板111および第2基板115を準備する。第1基板111および第2基板115は、例えば、射出成形により製造されうる。次いで、第1基板111上に第1電極112を形成し、第2基板115上に第2電極114を形成する。第1基板111上に第1電極112を形成する方法と、第2基板115上に第2電極114を形成する方法の例には、真空蒸着法およびスパッタリングが含まれる。次いで、第1電極112が形成された第1基板111の回折領域117上に液晶材料を提供するとともに、第1基板111の、回折領域117以外の部分に接着剤を提供する。液晶材料および接着剤が第1基板111上に配置されている状態で、第2電極114が形成された第2基板115を、第1基板111上に配置する。最後に、接着剤を硬化させることによってレンズ110を製造することができる。
【0034】
2)フロント
図1に示されるように、フロント130は、一対のレンズ110を保持している。フロント130は、一対のレンズ110をそれぞれ支持している一対のリム131と、一対のリム131を互いに幅方向に接続しているブリッジ132とを有する。リム131の形状は、レンズ110の形状に対応する形状である。ブリッジ132は、使用者の鼻に接触しうる一対の鼻パッド133を有する。特に図示しないが、フロント130の内部には、レンズ110の第1電極112および後述の制御部160と、レンズ110の第2電極114および制御部160とをそれぞれ電気的に接続するための配線が配置されている。
【0035】
フロント130の材料は、特に限定されない。フロント130の材料としては、メガネのフロントの材料として使用されている公知の材料が使用されうる。フロント130の材料の例には、ポリアミド、アセテート、カーボン、セルロイド、ポリエーテルイミドおよびウレタンが含まれる。
【0036】
3)テンプル
図4は、テンプル140の前端部の構成の一例を示す分解図である。以下のテンプル140の説明においても、特に断ることなく幅方向、前後方向、および上下方向といった場合には、テンプル140がフロント130に対して展開した展開状態(具体的には、
図1に示す状態)における各方向をいう。
図4は、装着状態において使用者の右側(幅方向における一方ともいう。)に配置されるテンプル140(
図1の左側のテンプル140)の前端部を、幅方向における内側(
図1の矢印αの方向)から見た状態の部分拡大図である。
図5A、Bは、テンプル140の前端部の構成の一例を示す部分拡大斜視図である。
図5Aは、電子メガネ100の幅方向における内側(
図1の矢印αの方向)から見たときの、テンプル140の前端部の構成の一例を示す部分拡大斜視図であり、
図5Bは、電子メガネ100の幅方向における外側(
図1の矢印βの方向)から見たときの、テンプル140の前端部の構成の一例を示す部分拡大斜視図である。
図6A〜Cは、テンプル140の前端部の構成の一例を示す部分拡大図である。
図6Aは、テンプル140の前端部の左側面図(幅方向における外側面図)であり、
図6Bは、テンプル140の前端部の右側面図(幅方向における内側面図)であり、
図6Cは、
図6AのC−C線における断面図である。
【0037】
なお、一対のテンプル140は、電子メガネ100においてほぼ左右対称となるように形成されており、互いに同一の構成要素を有する。そこで、以下の説明では、右側用の(装着状態において使用者の右側に配置される)テンプル140について説明し、左側用の(装着状態において使用者の左側に配置される)テンプル140の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0038】
図4、
図5A、Bおよび
図6A〜Cに示されるように、テンプル140は、筐体141、被接触部142、スペーサー143、弾性部材144、検出部145および前端部カバー146を有する。詳細については後述するが、検出部145は、静電容量方式の検出パッド153を有する。例えば、検出パッド153は電極層であり、被接触部142への接触による電極層の静電容量の変化を検出することで、被接触部142に対する接触を検知する検知部(図示しない)に接続される。
【0039】
図1に示されるように、テンプル140は、その前端部においてフロント130に接続されている。例えば、テンプル140は、回転可能にフロント130のリム131に係合されている。
【0040】
筐体141は、テンプル140の外形を構成している。筐体141は、被接触部142の一部と、スペーサー143と、弾性部材144と、検出部145とを収容している。筐体141は、一方向(具体的には、前後方向)に沿って延在している。本実施の形態では、筐体141の左側面(電子メガネ100の幅方向における外側面ともいう。)には、筐体141の長手方向に沿って延在している第2凸条1411が形成されている(
図5B参照)。また、筐体141の外側面の短手方向(換言すれば、上下方向)における中点は、第2凸条1411の稜線上に位置している。筐体141の右側面(電子メガネ100の幅方向における内側面ともいう。)の表面の形状は、平面形状である。なお、以下、テンプル140およびテンプル140を構成する各部材の説明において、電子メガネ100の幅方向における外側面を、単に「外側面」という。一方、テンプル140およびテンプル140を構成する各部材の説明において、電子メガネ100の幅方向における内側面を、単に「内側面」という。電子メガネ100が装用される際に装着者側に位置する面を内側面、装着者が位置する内側面とは反対側の面を外側面と言うこともできる。
【0041】
筐体141の前端部の外側面には、筐体141の長手方向に沿う細長形状の第1開口部1412が形成されている(
図6A、C参照)。第1開口部1412は、第2凸条1411の稜線(頂部)の延長線上に形成されている。また、筐体141の前端部(正面)には、第2開口部1413が形成されている(
図6B、C参照)。なお、筐体141の後端部(背面ともいう。)には、第3開口部(不図示)が形成されている。当該第3開口部には、電源170が着脱可能に配置されている(
図1参照)。
【0042】
筐体141の材料は、特に限定されない。筐体141の材料としては、メガネのテンプルの材料として使用されている公知の材料が使用されうる。筐体141の材料の例は、フロント130の材料の例と同じである。ただし、筐体141に金属材料を用いる場合、筐体141の一部分であって、被接触部142の周囲に位置し、被接触部142と接する(あるいは、接し得る)部分は、非金属材料で構成される。
【0043】
被接触部142は、電子メガネ100の使用者の指などの対象物により接触されうる部分である。このため、被接触部142の少なくとも一部は、筐体141の外部に露出するように配置されている。本実施の形態では、被接触部142は、第1開口部1412から被接触部142の一部が筐体141の外部(幅方向における外側ともいう。)に露出するように配置されている。
【0044】
被接触部142の位置は、電子メガネ100の使用者が被接触部142を触りやすい位置であることが好ましい。このような観点から、被接触部142は、筐体141の長手方向における中点より前方側に配置されていることが好ましく、筐体141を長手方向において三等分したときの、最も前方側の部分に配置されていることがより好ましい。また、被接触部142は、第2凸条1411の稜線の延長線上に配置されていることが好ましい。さらに、被接触部142は、電子メガネ100の外側面に対応する位置に配置されていることが好ましい。
【0045】
被接触部142の形状は、特に限定されない。本実施の形態では、被接触部142は、筐体141の長手方向に沿って延在している。被接触部142は、第1開口部1412から筐体141の外部に露出している露出部分1421と、筐体141の内部に収容されている収容部分1422とを有する。例えば、露出部分1421の形状は、棒形状であり、収容部分1422の形状は、板形状である。このような露出部分1421は、第1開口部1412から筐体141の幅方向における外側に露出している。
【0046】
導電体である対象物の被接触部142への接触は、電気的に検出部145に伝達される。被接触部142および検出部145を互いに電気的に接続する観点から、被接触部142は、導電性を有している。被接触部142の材料の例には、金、銀、銅、アルミニウム、鉄およびこれらの合金が含まれる。
【0047】
被接触部142の大きさは、筐体141の大きさや、弾性部材144の大きさ、検出部145における検出パッド153の大きさなどに応じて決定されうる。例えば、筐体141の長手方向における被接触部142の長さは、筐体141の長手方向における検出パッド153の検出領域の長さより短い。
【0048】
図7は、スペーサー143、弾性部材144および検出部145の位置関係の一例を説明するための斜視図である。スペーサー143は、被接触部142および検出部145の間に配置されている。本実施の形態では、スペーサー143は、被接触部142と、後述の導電板148との間に配置されている。換言すれば、幅方向における外側から、被接触部142、スペーサ143、検出部145(具体的には、導電版148)の順に配置されている。スペーサー143は、絶縁性を有する。スペーサー143の形状および大きさは、弾性部材144の大きさに応じた適切なスペースを形成することができれば特に限定されない。本実施の形態では、スペーサー143は、中央部に四角柱形状の貫通孔1431が形成されている板形状の部材である。
【0049】
弾性部材144は、弾性および導電性を有する。弾性部材144は、被接触部142および検出部145の間において、被接触部142および検出部145を電気的に接続するとともに、被接触部142を筐体141の外側(具体的には、幅方向における外側)に向けて付勢するように配置されている。これにより、弾性部材144は、被接触部142の位置ずれを抑制しつつ、被接触部142および検出部145を、適切に電気的に接続することができる。本実施の形態では、弾性部材144は、スペーサー143の貫通孔1431内において、被接触部142の中央部に当接するように配置されている。より具体的には、弾性部材144の一部が、スペーサー143の貫通孔1431内に配置されている。
【0050】
弾性部材144は、上記の機能を発揮することができればよい。本実施の形態では、弾性部材144は、板バネである。弾性部材144は、被接触部142および検出部145を互いに電気的に接続する観点から、導電性を有している。弾性部材144の材料の例には、金、銀、銅、アルミニウム、鉄およびこれらの合金が含まれる。
【0051】
図8A、Bは、検出部145の構成について説明するための模式図である。
図8Aは、検出部145の構成の概要について説明するための模式図であり、
図8Bは、検出部145の構成の詳細について説明するための模式図である。
【0052】
検出部145は、筐体141の内部に配置されている。検出部145では、対象物および被接触部142の接触に起因する静電容量の変化が生じる。
図8Aに示されるように、検出部145は、幅方向における内側(
図8Aの下側)から順に、検出用積層体150、絶縁層147、導電板148および第1接地部149を有する。
【0053】
詳細については後述するが、検出用積層体150は、静電容量方式の検出パッド153を有する。検出用積層体150は、対象物および被接触部142の接触によって生じる静電容量の変化を検出する。
【0054】
絶縁層147は、検出用積層体150上に配置されている。より具体的には、絶縁層147は、検出パッド153の検出領域上に配置されており、検出パッド153および導電板148の間の導通を防止している。ここで、検出パッド153の検出領域とは、対象物が検出パッド153に直接接触したときに、静電容量の変化が生じうる領域を意味する。
【0055】
絶縁層147の構成は、上記機能を有していれば特に限定されない。絶縁層147は、絶縁体により構成されていてもよいし、空気層であってもよい。絶縁層147は、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。当該絶縁体の材料の例には、二酸化ケイ素および窒化シリコンが含まれる。本実施の形態では、絶縁層147は、絶縁体である。絶縁層147の両端面は、検出パッド153および導電板148にそれぞれ接着されている。具体的には、絶縁層147の外側面(
図8A、Bの上側面)は、導電板148に接着されている。一方、絶縁層147の内側面(
図8A、Bの下側面)は、検出パッド153に接着されている。
【0056】
導電板148は、絶縁層147上(換言すれば、絶縁層147の外側面)に配置されている。より具体的には、導電板148は、絶縁層147を挟んで、検出パッド153の検出領域に対向するように配置されている。本実施の形態では、導電板148は、後述する検出用積層体150(具体的には、検出パッド153)よりも被接触部142に近い側(換言すれば、幅方向における外側)に配置されている。このような導電板148は、弾性部材144を介して被接触部142に電気的に接続されている。これにより、対象物が被接触部142に接触したときに、導電板148および検出パッド153の間で静電容量の変化が生じる。
【0057】
導電板148の大きさは、検出パッド153の検出領域の大きさと同程度であることが好ましい。これにより、対象物および被接触部142の接触を、検出パッド153の広い領域で検出することができ、対象物の接触を検出する感度を高めることができる。例えば、検出領域の面の大きさに対する、導電板148の、当該検出領域に対向する面の大きさの比は、0.8〜1.2であることが好ましい。
【0058】
第1接地部149は、導電板148を取り囲むように、導電板148を含む平面内に配置されている。第1接地部149は、第2接地部152(後述)に電気的に接続されている。第1接地部149は、被接触部142から印加されて導電板148に生じた静電気を逃がすことが可能である。これにより、静電気による機器の破壊、誤作動等を抑制することができる。
【0059】
ここで、検出用積層体150について説明する。
図8Bに示されるように、検出用積層体150は、幅方向における内側(
図8Bの下側)から順に、基板151、第2接地部152、検出パッド153および第3接地部154を有する。検出用積層体150は、絶縁層147により導電板148と絶縁されている。このため、検出用積層体150では、電気的外乱による誤作動が抑制されうる。
【0060】
基板151は、検出用積層体150の各構成要素を支持するための部材である。基板151は、例えば、制御部160が実装されたプリント基板である。制御部160は、検出パッド153における静電容量の変化についての検出結果を受信しうるように、検出パッド153に接続されている。本実施の形態では、基板151は、検出部145において、導電板148、絶縁層147、および検出パッド153よりも幅方向における内側に配置されている。換言すれば、導電板148、絶縁層147、および検出パッド153は、基板151と被接触部142との間に配置されている。
【0061】
第2接地部152は、基板151および検出パッド153の間に配置されている。第2接地部152は、ノイズから検出パッド153をガードする。これにより、意図していない静電容量の変化が、抑制されうる。検出パッド153と第2接地部152との間の寄生容量を低減する観点から、第2接地部152の形状は、メッシュ形状であることが好ましい。
【0062】
検出パッド153は、対象物および被接触部142の接触に起因する静電容量の変化を検出する静電容量方式の検出パッドである。検出パッド153としては、タッチセンサとして使用されうる公知の検出パッドが使用されうる。
【0063】
第3接地部154は、検出パッド153を取り囲むように、検出パッド153を含む平面内に配置されている。第3接地部154は、第2接地部152に電気的に接続されている。第3接地部154は、ノイズから検出パッド153をガードする。これにより、意図していない静電容量の変化が、抑制されうる。
【0064】
前端部カバー146は、テンプル140の前端部において、テンプル140の第2開口部1413を覆うように配置されている。このとき、前端部カバー146は、筐体141の長手方向における、スペーサー143の一端部(前端部)と、検出部145の一端部(前端部)とに当接している(
図4および
図6C参照)。これにより、スペーサー143および検出部145の位置が固定されうる。なお、前端部カバー146は、スペーサー143の一端部(前端部)と、検出部145の一端部(前端部)とに当接し、テンプル140の第2開口部1413を覆うように配置されていればよく、第2開口部1413の全てを塞ぐ必要はない。
【0065】
4)制御部
制御部160は、検出部145の検出パッド153、レンズ110の電極(第1電極112および第2電極114)に電気的に接続されている。制御部160は、検出部145が対象物および被接触部142の接触を検出したときに、一対のレンズ110に電圧を印加するか、または一対のレンズ110に対する電圧の印加を停止して、第1領域1101の焦点距離(度数)を切替える(
図2参照)。制御部160は、例えば、検出パッド153の駆動と、検出パッド153における静電容量の変化の検出と、レンズ110の第1領域1101への電圧の印加とを制御するための制御回路を有する。制御部160は、例えば、検出部145の基板151上に実装されている。
【0066】
5)電源
電源170は、検出部145および制御部160に電力を供給する(
図2参照)。本実施の形態では、電源170は、テンプル140の他端部(後端部に設けられた第3開口部)に着脱可能に保持される充電式のバッテリーパックである。電源170の例には、ニッケル水素充電池が含まれる。
【0067】
(電子メガネの動作)
次いで、電子メガネ100の動作の一例について説明する。まず、電子メガネ100の液晶層113に電圧が印加されていない状態(オフ状態)について説明する。オフ状態では、レンズ110の第1領域1101において、液晶層113の屈折率と、第1基板111および第2基板115の屈折率とが、ほぼ同じとなる。このため、液晶層113に起因するレンズ効果は生じない。したがって、レンズ110において、第1領域1101の焦点距離(度数)と、第2領域1102の焦点距離(度数)とは、互いにほぼ同じとなる。
【0068】
被接触部142が、導電体である対象物(例えば使用者の指)により接触されると、当該接触に基づく静電容量の変化が、検出部145の検出パッド153によって検出される。この接触の検出結果は、制御部160に送信される。制御部160は、オフ状態において被接触部142が接触されたことを検知すると、レンズ110の第1領域1101に電圧を印加する。これにより、液晶層113における液晶材料の配向が変化して、液晶層113の屈折率が変化する(オン状態)。これにより、オン状態では、液晶層113の屈折率と、第1基板111および第2基板115の屈折率とが、互いに異なる。このため、第1領域1101において液晶層113に起因するレンズ効果が生じる。したがって、第1領域1101の焦点距離(度数)を変えることができる。
【0069】
オン状態において、被接触部142が対象物により接触されると、上記と同様に、接触の検出結果が制御部160に送信される。制御部160は、オン状態において被接触部142が接触されたことを検知すると、レンズ110の第1領域1101に対する電圧の印加を停止する。これにより、液晶層113における液晶材料の配向が、電圧印可前の状態に戻って、液晶層113の屈折率も電圧印可前の状態に戻る(オフ状態)。
【0070】
以上のように、本実施の形態に係る電子メガネ100では、被接触部142が対象物により接触されることにより、レンズ110の第1領域1101の焦点距離を切替えることができる。
【0071】
(効果)
本実施の形態に係る電子メガネ100は、導電性を有する被接触部142と、検出部145とを有する。被接触部142は、対象物との接触によって生じる静電容量の変化が検出パッド153で生じるように検出部145(本実施の形態では、導電板148)に接続されている。検出パッドの検出領域が、カバー部材で覆われている従来のタッチセンサーパッドと比較して、本実施の形態に係る電子メガネ100では、被接触部142の少なくとも一部が、筐体141の外部に露出するように配置されている。このため、対象物が、被接触部142に接触したときの、検出パッド153における静電容量の変化が大きく、対象物の接触を高い感度で検出することができる。
【0072】
[実施の形態2]
実施の形態2に係る電子メガネおよびフレームでは、テンプル240の構成のみが実施の形態1に係るテンプル140と異なる。そこで、テンプル240についてのみ説明し、実施の形態1に係る電子メガネおよびフレームの構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0073】
図9は、テンプル240の構成の一例を示す分解図である。
図9は、実施の形態2に係る電子メガネの内側からみたときのテンプル240の前端部を示す部分拡大図である。
図10A〜Cは、テンプル240の前端部の構成の一例を示す部分拡大図である。
図10Aは、テンプル240の前端部の左側面図(幅方向における外側面図)であり、
図10Bは、テンプル240の前方部の右側面図(幅方向における内側面図)であり、
図10Cは、
図10AのC−C線における断面図である。
【0074】
なお、一対のテンプル240は、電子メガネにおいてほぼ左右対称となるように形成されており、互いに同一の構成要素を有する。そこで、以下の説明では、右側用のテンプル240について説明し、左側用のテンプル240の構成要素については、その説明を省略する。
【0075】
図9および
図10A〜Cに示されるように、テンプル240は、筐体141、被接触部242、弾性部材244、検出部145および前端部カバー146を有する。テンプル240は、その前端部においてフロント130に接続されている。例えば、テンプル240は、回転可能にフロント130のリム131に係合されている。
【0076】
被接触部242は、電子メガネの使用者の指などの対象物により接触されうる部分である。このため、被接触部242の少なくとも一部は、筐体141の外部に露出するように配置されている。本実施の形態では、被接触部242は、第1開口部1412から被接触部242の一部が筐体141の外部(換言すれば、幅方向における外側)に露出するように配置されている。
【0077】
本実施の形態では、被接触部242は、露出部分1421と、筐体141の内部に収容されている収容部分2422とを有する。例えば、収容部分2422の形状は、板形状である。本実施の形態では、被接触部242の、筐体141の内部に位置する面(収容部分2422の表面)には凹部2421が形成されている。なお、被接触部242は、収容部分2422の表面に凹部2421が形成されている点を除けば、実施の形態1における被接触部142と同様である。
【0078】
凹部2421内には、弾性部材244の少なくとも一部が配置されている。凹部2421の形状および大きさは、弾性部材244の大きさに応じた適切なスペースを形成することができれば特に限定されない。本実施の形態では、凹部2421は、被接触部242における収容部分2422の中央部に形成されている四角柱形状の凹部である。
【0079】
弾性部材244は、弾性および導電性を有する。弾性部材244は、被接触部242および検出部145の間において、被接触部242および検出部145を電気的に接続するとともに、被接触部242を筐体141の外側(具体的には、幅方向における外側)に向けて付勢するように配置されている。これにより、弾性部材244は、被接触部242の位置ずれを抑制しつつ、被接触部242および検出部145を、適切に電気的に接続することができる。本実施の形態では、弾性部材244は、被接触部242の凹部2421内において、被接触部242の中央部に当接するように配置されている。より具体的には、弾性部材244の一部が、凹部2421内に配置されている。
【0080】
弾性部材244は、上記の機能を発揮することができればよい。本実施の形態では、弾性部材244は、コイルバネである。弾性部材244は、コイルばねの軸方向が収容部分2422の表面に沿うように配置されていてもよいし、コイルばねの軸方向が収容部分2422の表面に直交するように配置されていてもよい。被接触部242および弾性部材244の接触面積と、弾性部材244および検出部145の接触面積とを大きくする観点からは、弾性部材244は、コイルばねの軸方向が収容部分2422の表面に沿うように配置されていることが好ましい。弾性部材244は、被接触部242および検出部145を互いに電気的に接続する観点から、導電性を有している。弾性部材244の材料の例は、実施の形態1の弾性部材144と同じである。
【0081】
(効果)
実施の形態2に係る電子メガネ、フレームおよびテンプル240も、実施の形態1と同様の効果を有する。被接触部242の、筐体141の内部に位置する面(収容部分2422の表面)に凹部2421が形成され、かつ弾性部材244の少なくとも一部が凹部2421内に配置されていることによって、実施の形態2に係るテンプル240は、被接触部242および検出部145の間にスペーサー(実施の形態1参照)を有していなくてもよい。このように、実施の形態2では、テンプル240の部品数を減らすことができる。
【0082】
[実施の形態3]
実施の形態3に係る電子メガネおよびフレームでは、テンプル340の構成のみが実施の形態1に係るテンプル140と異なる。そこで、テンプル340についてのみ説明し、実施の形態1に係る電子メガネおよびフレームの構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0083】
図11は、テンプル340の構成の一例を示す分解図である。
図11は、実施の形態3に係る電子メガネの内側からみたときのテンプル340の前端部を示す部分拡大図である。
図12A〜Cは、テンプル340の前端部の構成の一例を示す部分拡大図である。
図12Aは、テンプル340の前端部の左側面図(幅方向における外側面図)であり、
図12Bは、テンプル340の前端部の右側面図(幅方向における内側面図)であり、
図12Cは、
図12AのC−C線における断面図である。
【0084】
なお、一対のテンプル340は、電子メガネにおいてほぼ左右対称となるように形成されており、互いに同一の構成要素を有する。そこで、以下の説明では、右側用のテンプル340について説明し、左側用のテンプル340の構成要素については、その説明を省略する。
【0085】
図11および
図12A〜Cに示されるように、テンプル340は、筐体141、被接触部342、検出部145および前端部カバー146を有する。テンプル340は、その前端部においてフロント130に接続されている。例えば、テンプル340は、回転可能にフロント130のリム131に係合されている。
【0086】
被接触部342は、電子メガネの使用者の指などの対象物により接触されうる部分である。このため、被接触部342の少なくとも一部は、筐体141の外部に露出するように配置されている。本実施の形態では、被接触部342は、第1開口部1412から被接触部342の一部が筐体141の外部(換言すれば、幅方向における外側)に露出するように配置されている。
【0087】
被接触部342は、露出部分1421と、収容部分1422と、収容部分1422の一部に固定されている固定部分(保持部)3423とを有する。固定部分3423は、検出部145(具体的には、導電板148)に当接することにより、被接触部342と検出部145とを電気的に接続する。また、固定部分3423は、自身の弾性力に基づいて、被接触部142の露出部分1421および収容部分1422を筐体141の外側(具体的には、幅方向における外側)に向けて付勢する。つまり、固定部分3423は、前述の実施の形態1および2の弾性部材144、244と同様の機能を有する。なお、被接触部342は、固定部分3423を有する点を除けば、実施の形態1における被接触部142と同様である。
【0088】
本実施の形態では、固定部分3423は、組付状態(
図12A〜Cに示す状態)において、筐体141の外側方向(具体的には、幅方向における外側)における弾性を有し、被接触部342の位置を保持するための保持部として機能する。固定部分3423の形状および大きさは、上記機能を得ることができれば特に限定されない。本実施の形態では、固定部分3424は、板バネ構造を有する。
【0089】
具体的には、固定部分3423の基端部は、収容部分1422の幅方向における内側面に固定されている。一方、固定部分3423の先端部は、他の部分に固定されない自由端である。このような固定部分3423は、自由状態(
図11に示す状態)において、先端部が基端部よりも幅方向における内側に位置するように傾斜している。固定部分3424は、検出部145の導電板148と接触しつつ、当該板バネ構造の弾性力によって、被接触部342(露出部分1421)の位置を保持することができる。被接触部342の固定部分3423が板バネ構造を有することにより、被接触部342と導電板148との間の相対的な位置ずれが許容されることとなる。これにより、被接触部342と導電板148との接触が確実になされる。
【0090】
被接触部342は、対象物に押圧されたときには、筐体141の内側(具体的には、幅方向における内側)に移動する。被接触部342が筐体141の内側に移動する前後において、固定部分3423の板バネ構造の弾性力により、固定部分3423は、常に検出部145の導電板148に接触した状態にある。このため、導電体である対象物の被接触部342への接触は、電気的に検出部145に伝達される。被接触部342および検出部145を互いに電気的に接続する観点から、被接触部342は、導電性を有する。被接触部342の材料の例は、実施の形態1の被接触部132と同じである。
【0091】
(効果)
実施の形態3に係る電子メガネ、フレームおよびテンプル340も、実施の形態1と同様の効果を有する。実施の形態3では、被接触部342自身が、弾性を有する。すなわち、被接触部342が、前述の実施形態1および2の弾性部材144、244と同様の機能を有する固定部分3423を有する。このため、テンプル340は、被接触部342および検出部145の間に弾性部材(実施の形態1、2参照)を有していなくてもよい。このように、実施の形態3では、テンプル340の部品数を減らすることができる。
【0092】
[実施の形態4]
実施の形態4に係る電子メガネおよびフレームは、テンプル440の構成のみが実施の形態1に係るテンプル140と異なる。そこで、テンプル440についてのみ説明し、実施の形態1に係る電子メガネおよびフレームの構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0093】
図13は、テンプル440の構成の一例を示す分解図である。
図13は、実施の形態4に係る電子メガネの前端部を、幅方向における内側(
図1の矢印αの方向)から見た状態の部分拡大図である。
図14A、Bは、テンプル440の前端部の構成の一例を示す部分拡大斜視図である。
図14Aは、電子メガネの幅方向における内側(
図1の矢印αの方向)から見たときの、テンプル440の前端部の構成の一例を示す部分拡大斜視図であり、
図14Bは、電子メガネの幅方向における外側(
図1の矢印βの方向)から見たときの、テンプル440の前端部の構成の一例を示す部分拡大斜視図である。
図15A〜Cは、テンプル440の前端部の構成の一例を示す部分拡大図である。
図15Aは、テンプル440の前端部の左側面図(外側面図)であり、
図15Bは、テンプル440の前方部の右側面図(内側面図)であり、
図15Cは、
図15AのC−C線における断面図である。
【0094】
なお、一対のテンプル440は、電子メガネにおいてほぼ左右対称となるように形成されており、互いに同一の構成要素を有する。そこで、以下の説明では、右側用のテンプル440について説明し、左側用のテンプル440の構成要素については、その説明を省略する。
【0095】
図13、
図14A、Bおよび
図15A〜Cに示されるように、テンプル440は、筐体441、3つの被接触部142、スペーサー443、3つの弾性部材144、検出部145および前端部カバー146を有する。テンプル440は、その前端部においてフロント130に接続されている。例えば、テンプル440は、回転可能にフロント130のリム131に係合されている。
【0096】
筐体441は、テンプル440の外形を構成している。筐体441は、3つの被接触部142の一部と、スペーサー443と、3つの弾性部材144と、検出部145とを収容している。筐体441の前端部の左側面(外側面)には、筐体441の長手方向に沿う細長形状の3つの第1開口部1412が形成されている(
図15A、C参照)。なお、筐体441は、第1開口部1412の数が3つである点を除けば、実施の形態1における筐体141と同様である。
【0097】
実施の形態4では、3つの被接触部142は、3つの第1開口部1412から、それぞれ、被接触部142の一部が筐体441の外部(具体的には、幅方向における外側)に露出するように配置されている。隣り合う被接触部142(換言すれば、第1開口部1412)の間隔は、特に限定されず、必要に応じて適宜調整されうる。
【0098】
3つの被接触部142の形状および大きさは、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。本実施の形態では、3つの被接触部142の形状および大きさは、互いに同じである。
【0099】
スペーサー443は、3つの被接触部142および検出部145の間に配置されている。スペーサー443は、絶縁性を有する。スペーサー443の形状および大きさは、弾性部材144の大きさに応じた適切なスペースを形成することができれば特に限定されない。本実施の形態では、スペーサー443は、3つの四角柱形状の貫通孔1431が形成されている板形状の部材である。
【0100】
3つの弾性部材144は、弾性および導電性を有する。3つの弾性部材144は、スペーサー443の貫通孔1431内において、3つの被接触部142および検出部145(具体的には、後述する3つの導電板148)にそれぞれ当接するように配置されている。3つの弾性部材144は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。本実施の形態では、3つの弾性部材144は、互いに同じである。
【0101】
本実施の形態では、3つの被接触部142は、対象物および被接触部142の接触に起因する静電容量の変化が検出パッド153で生じるように、弾性部材144を介して検出部145にそれぞれ接続されている。すなわち、3つの被接触部142は、1つの検出部145に対して、それぞれ電気的に独立して接続されている。本実施の形態では、導電板148の数は、3つである。3つの導電板148は、検出パッド153の検出領域の異なる領域にそれぞれ対向するように配置されている。検出パッド153は、位置認識機能を有するため、検出パッド153において静電容量の変化が生じる位置に基づいて、対象物が接着した被接触部142を区別して認識することができる。
【0102】
(効果)
実施の形態4に係る電子メガネ、フレームおよびテンプル440も、実施の形態1と同様の効果を有する。実施の形態4では、テンプル440は、3つの被接触部142および3つの弾性部材144を有する。このため、本実施の形態では、電子メガネの設計の自由度を高めることができる。例えば、3つの被接触部142は、それぞれ独立して、電子メガネにおける種々の機能を切替えるためのスイッチとして使用されうる。
【0103】
なお、上記実施の形態4では、3つの被接触部142、3つの弾性部材144および1つの検出部145を有するテンプル440について説明したが、各構成要素の数は、複数であれば特に限定されず、必要に応じて適宜調整されうる。例えば、検出部の数は、被接触部の数(弾性部材の数)と同じであってもよい。
【0104】
[実施の形態5]
(電子メガネの構成)
実施の形態5に係る電子メガネおよびフレームでは、テンプル540の構成のみが実施の形態1に係るテンプル140と異なる。そこで、テンプル540についてのみ説明し、実施の形態1に係る電子メガネおよびフレームの構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0105】
以下、
図16〜
図27を参照して、実施の形態1について説明する。なお、以下の説明においても、特に断らずに幅方向、前後方向、および上下方向といった場合には、使用者がメガネとして装着できる展開状態(
図1に示す状態)における電子メガネ100の各方向をいう。
【0106】
また、以下、一対のテンプル540のうち一方の(例えば、装着状態において使用者の右側に配置される)テンプル540の構造について説明する。他方の(例えば、装着状態において使用者の左側に配置される)テンプル540の構造については、一方のテンプル540とほぼ左右対称となる構造であってもよいし、異なっていてもよい。
【0107】
テンプル540は、
図16および
図22に示すように、筐体541、被接触部542、検出部545、光源502、導光部材503、側部カバー504、接着部材505、および前端部カバー546を有する。以下、テンプル540を構成する各部材について説明する。
【0108】
1)筐体
筐体541は、
図16に示すように、テンプル540の外形を構成する。筐体541は、検出部545を収容する収容空間541e(
図22参照)を有する。筐体541は、一方向(具体的には、前後方向)に沿って延在する。具体的には、筐体541は、幅方向における外側に設けられた外側壁部541a、および、外側壁部541aよりも幅方向における内側(
図22の下側)に配置され、外側壁部541aと幅方向に対向する内側壁部541bを有する。
【0109】
本実施の形態では、筐体541の外側壁部541aの外側面には、筐体541の長手方向に沿って延在する第2凸条1411が形成される(
図17A参照)。また、外側壁部541aの外側面の短手方向(上下方向ともいう。)における中点は、第2凸条1411の稜線上に位置する。内側壁部541bの内側面は、平坦面である。
【0110】
外側壁部541aの上端部と内側壁部541bの上端部とは、上側壁部541cにより幅方向に連続される。一方、外側壁部541aの下端部と内側壁部541bの下端部とは、下側壁部541dにより幅方向に連続される。外側壁部541a、内側壁部541b、上側壁部541c、および下側壁部541dにより囲まれる空間が、筐体541の収容空間541eである。
【0111】
外側壁部541aは、外側面に外側凹部541fを有する。外側凹部541fは、幅方向における外側から見た形状が略六角形である。外側凹部541fは、底部に外側貫通孔541gを有する。外側貫通孔541gは、外側凹部541fの底部から外側壁部541aの内側面へと貫通する。このような外側貫通孔541gには、後述する接続部材501の外側接続部材501Aが挿通される。
【0112】
内側壁部541bは、内側面に内側凹部541hを有する。内側凹部541hは、幅方向における内側から見た形状が、筐体541の長手方向(前後方向ともいう。)に長い長円形である。このような内側凹部541hは、少なくとも一部において、外側壁部541aの外側凹部541fと幅方向に重なる。
【0113】
内側凹部541hは、底部に第1内側貫通孔541iを有する。第1内側貫通孔541iは、内側凹部541hの底部から内側壁部541bの外側面(
図22の上面)へと貫通する。このような第1内側貫通孔541iには、後述する導光部材503の導光本体部503aの一部が挿入される。
【0114】
内側凹部541hは、第1内側貫通孔541iから離れた位置に、第2内側貫通孔541jを有する。第2内側貫通孔541jは、内側凹部541hの底部から内側壁部541bの外側面(
図22の上面)へと貫通する。第2内側貫通孔541jは、少なくとも一部において、外側壁部541aの外側貫通孔541gと幅方向に重なる。本実施の形態では、第2内側貫通孔541jの中心軸は、外側貫通孔541gの中心軸と一致する。
【0115】
第2内側貫通孔541jは、後述する接続部材501の内側接続部材501Bが、幅方向内側から幅方向外側(
図22の下方から上方)へと通過可能な内径を有する。また、第2内側貫通孔541jは、接続部材501の外側接続部材501Aに対して内側接続部材501Bを係合(本実施の形態では螺合)させる工具(図示省略)を挿通可能な内径を有する。このような第2内側貫通孔541jには、組付状態において、後述する導光部材503の位置決め凸部503fが、幅方向における内側から挿入される。
【0116】
筐体541は、内面に、第1ガイド溝541kおよび第2ガイド溝541m(
図18A、
図18B、
図26A参照)を有する。第1ガイド溝541kおよび第2ガイド溝541mは、後述する基板551を筐体541の収容空間541eに配置する際のガイドである。
【0117】
具体的には、筐体541は、上側壁部541cの内面(下側面ともいう。)に第1ガイド溝541kを、下側壁部541dの内面(上側面ともいう。)に第2ガイド溝541mを、それぞれ有する。第1ガイド溝541kおよび第2ガイド溝541mはそれぞれ、前後方向に延在し、前端が開口する。第1ガイド溝541kおよび第2ガイド溝541mの前後方向における長さは、後述する基板551の前後方向における長さよりも短い。
【0118】
第1ガイド溝541kおよび第2ガイド溝541mの後端部の幅は、前端部の幅よりも狭い。具体的には、第1ガイド溝541kおよび第2ガイド溝541mは、前後方向において幅が変化しない平行溝部541n(
図26A参照)、および平行溝部541nよりも後方に設けられた傾斜溝部541p(
図26A参照)を有する。
【0119】
傾斜溝部541pは、後方に向かうほど幅が狭くなる。このような第1ガイド溝541kおよび第2ガイド溝541mは、基板551の短手方向(上下方向ともいう。)端部と係合することにより、基板551の長手方向(前後方向ともいう。)への変位をガイドする。
【0120】
2)被接触部
被接触部542は、電子メガネ100の使用者の指などの対象物により接触されうる部分である。このため、被接触部542の少なくとも一部は、筐体541の外部に露出するように配置される。
【0121】
被接触部542の材料の例には、金、銀、銅、アルミニウム、鉄またはこれらの合金など導電性を有する金属材料が含まれる。導電体である対象物の被接触部542への接触は、後述する検出部545に電気的に伝達される。なお、当該接触が伝達される経路については、後述する。
【0122】
本実施の形態では、被接触部542は、外側凹部541fに配置される。この状態において、被接触部542の外側面が、使用者の指が接触可能な状態で筐体541の外部に露出する。
【0123】
具体的には、被接触部542は、幅方向における外側から見た形状が、同方向から見た場合の外側凹部541fの外縁形状よりもわずかに小さい略六角形である。被接触部542は、外側面における筐体541の短手方向の中央部に、筐体541の長手方向に延在する被接触部側凸条542a(
図17A、
図18A、
図18B参照)を有する。
【0124】
このような被接触部542の外側面は、筐体541の外側面において外側凹部541fの周囲に存在する部分と同一面上に存在する。ただし、被接触部542の外側面は、筐体541(具体的には、外側壁部541a)の外側面において外側凹部541fの周囲に存在する部分よりも幅方向における外側に突出していてもよい。被接触部542の内側面は、外側凹部541fの底部に当接する。
【0125】
被接触部542の外側面は、被接触部側凸条542aから筐体541の短手方向両側(
図18A、
図18Bの左右方向)に向かうほど幅方向における内側(
図18A、
図18Bの下側)に向かうように傾斜する。被接触部542の内側面には、後述する接続部材501の外側接続部材501Aが被接触部542と一体に設けられる。
【0126】
3)検出部
図25は、検出部545の構成について説明するための模式図である。検出部545は、筐体541の収容空間541eに配置され、被接触部542と電気的に接続される。検出部545では、対象物と被接触部542との接触に起因する静電容量の変化が生じる。
【0127】
検出部545は、外側面から内側面へと貫通する貫通孔557A(
図22参照)を有する。また、検出部545は、貫通孔557Aの内周面に、外側面から内側面にかけて電気的に導通する導通部558A(
図22参照)を有する。
【0128】
具体的には、検出部545は、
図25に示されるように、複数の層が重なる積層構造を有する。具体的には、検出部545は、幅方向における外側(
図25の上側)から順に、外側板状部材555、絶縁層556a、基板551(第1基板551a、絶縁層556b、第2基板551b)、絶縁層556c、第2接地部552、絶縁層556d、検出パッド553、絶縁層556e、および導電板548を有する。
【0129】
なお、本実施の形態では、外側板状部材555、絶縁層556a、第1基板551a、絶縁層556b、第2基板551b、絶縁層556c、第2接地部552、絶縁層556d、および検出パッド553が、検出用積層体550を構成する。検出用積層体550は、対象物と被接触部542との接触によって生じる静電容量の変化を検出する。例えば、検出パッド553は電極層であり、被接触部542への接触による電極層の静電容量の変化を検出することで、被接触部542に対する接触を検知する検知部(図示しない)に接続される。
【0130】
外側板状部材555は、例えば、金属、セラミックス、合成樹脂などからなる板状部材である。外側板状部材555は、外側面から内側面へと貫通する貫通孔要素557aを有する。外側板状部材555は、貫通孔要素557aの周縁に、当該周縁に沿う円環状の導通部558aを有する。導通部558aは、例えば、金、銀、銅などの導電性を有する金属により構成される。
【0131】
導通部558aは、外側板状部材555の外側面に配置される外側導通部555a(
図25参照)を有する。外側導通部555aは、後述する外側接続部材501Aの先端面(幅方向における内端面)と当接する。本実施の形態では、外側導通部555aの外径は、外側接続部材501Aの先端面の外径よりも大きい。
【0132】
このような構成により、外側接続部材501Aの先端面は、外側導通部555aに確実に当接する。この結果、外側接続部材501Aと導通部558aとが、電気的に確実に接続される。一方、導通部558aにおいて、外側板状部材555の内側面に配置される部分は、絶縁層556aの導通部558bに連続する。
【0133】
絶縁層556a〜556eはそれぞれ、絶縁体により構成される。絶縁層556a〜556eは、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。絶縁層556a〜556eの材料として、例えば、二酸化ケイ素、窒化シリコンが挙げられる。絶縁層556a〜556eはそれぞれ、幅方向に貫通する貫通孔要素557b〜557fを有する。
【0134】
絶縁層556a〜556eは、貫通孔要素557b〜557fの周縁に、当該周縁に沿う円環状の導通部558b〜558fを有する。導通部558b〜558fは、例えば、金、銀、銅などの導電性を有する金属により構成される。
【0135】
基板551は、幅方向における外側から順に、第1基板551a、絶縁層556b、および第2基板551bを有する。このような基板551は、検出部545を構成する各要素を支持する。基板551は、例えば、制御部160(
図2参照)が実装されたプリント基板である。なお、本実施の形態の場合も、制御部160は、検出パッド553における静電容量の変化についての検出結果を受信しうるように、検出パッド553に接続される。
【0136】
本実施の形態では、基板551は、検出部545において、導電板548、絶縁層556e、および検出パッド553よりも幅方向における外側(
図25の上側)に配置されている。
【0137】
第1基板551aおよび第2基板551bはそれぞれ、幅方向に貫通する貫通孔要素557g、557hを有する。第1基板551aおよび第2基板551bはそれぞれ、貫通孔要素557g、557hの周縁に、当該周縁に沿う円環状の導通部558g、558hを有する。導通部558g、558hはそれぞれ、例えば、金、銀、銅などの導電性を有する金属により構成される。
【0138】
第2接地部552は、基板551と検出パッド553との間に、絶縁層556c、556dを介して配置される。第2接地部552は、ノイズから検出パッド553をガードする。これにより、意図しない静電容量の変化が、抑制されうる。本実施の形態の場合も、検出パッド553と第2接地部552との間の寄生容量を低減する観点から、第2接地部552の形状は、メッシュ形状であることが好ましい。
【0139】
第2接地部552は、幅方向に貫通する貫通孔要素557iを有する。第2接地部552は、貫通孔要素557iの周縁に、当該周縁に沿う円環状の導通部558iを有する。導通部558iは、例えば、金、銀、銅などの導電性を有する金属により構成される。
【0140】
検出パッド553は、前述の実施の形態1と同様に、対象物と被接触部542との接触に起因する静電容量の変化を検出する静電容量方式の検出パッドである。検出パッド553としては、タッチセンサとして使用されうる公知の検出パッドが使用されうる。
【0141】
検出パッド553は、幅方向に貫通する貫通孔要素557jを有する。検出パッド553は、貫通孔要素557jの周縁に、当該周縁に沿う円環状の導通部558jを有する。導通部558jは、例えば、金、銀、銅などの導電性を有する金属により構成される。導通部558jは、検出パッド553において導通部558jの周囲に存在する検出領域553a(
図25参照)と接続されていない。
【0142】
導電板548は、絶縁層556eの幅方向における内側面に配置される。具体的には、導電板548は、絶縁層556eを挟んで、検出パッド553の検出領域553aに対向するように配置される。本実施の形態では、導電板548は、検出用積層体550(具体的には、検出パッド553)よりも被接触部542から遠い位置に配置される。
【0143】
導電板548は、幅方向に貫通する貫通孔要素557kを有する。導電板548は、貫通孔要素557kの周縁に、当該周縁に沿う円環状の導通部558kを有する。導通部558kは、例えば、金、銀、銅などの導電性を有する金属により構成される。
【0144】
導通部558kは、導電板548の幅方向における内側面に配置される内側導通部548a(
図25参照)を有する。内側導通部548aは、内側接続部材501Bの頭部501b(挟持部ともいう。
図22参照)と当接する。
【0145】
本実施の形態では、内側導通部548aの外径は、内側接続部材501Bの頭部501bの外径よりも大きい。この構成により、内側接続部材501Bの頭部501bが、内側導通部548aに確実に当接する。この結果、内側接続部材501Bと導通部558kとが、電気的に確実に接続される。
【0146】
以上のような検出部545を構成する各部材が、幅方向に積層された状態において、貫通孔要素557a〜557kの中心軸はそれぞれ、同軸上に位置する。貫通孔要素557a〜557kは、検出部545の貫通孔557Aを構成する。
【0147】
このような貫通孔557Aは、検出部545の外側面(第1面ともいう。)から、検出部545の内側面(第2面ともいう。)へと貫通する。なお、本実施の形態において、検出部545の外側面は、外側板状部材555の外側面である。一方、検出部545の内側面は、導電板548の内側面である。
【0148】
また、導通部558a〜558kのうち幅方向に隣り合う導通部同士は、電気的に接続される。このようにして、幅方向において最も外側に配置される導通部558aと、幅方向において最も内側に配置される導通部558kとが、電気的に接続される。導通部558a〜558kは、検出部545の導通部558Aを構成する。
【0149】
4)接続部材
接続部材501は、導電性を有し、被接触部542と検出部545とを電気的に接続する。また、接続部材501は、被接触部542と検出部545の基板551とを固定する。本実施の形態では、被接触部542と検出部545とは、後述する第1導通路および第2導通路を介して電気的に接続される。
【0150】
具体的には、接続部材501は、外側接続部材501Aおよび内側接続部材501Bを有する。外側接続部材501Aは、ナットなどの締結部品であって、被接触部542の内側面に設けられる。外側接続部材501Aは、先端側(
図22の下端側)が開口する筒状部材であって、内周面の少なくとも一部に雌ねじ部501a(
図22参照)を有する。
【0151】
外側接続部材501Aの基端(
図22の上端)は、被接触部542の内側面に一体に固定される。このような外側接続部材501Aは、幅方向における外側から筐体541の外側貫通孔541gに挿通される。
【0152】
この状態において、外側接続部材501Aの先端面は、検出部545の導通部558Aの第1端部(幅方向における外端部であって、
図22の上端部)に当接する。具体的には、外側接続部材501Aの先端面は、検出部545における外側板状部材555の外側導通部555aに当接する。
【0153】
内側接続部材501Bは、ビスやボルトなどの締結部品である。内側接続部材501Bは、頭部501bおよび軸部501cを有する。頭部501bは、軸方向における一端面(
図22の下端面)に、ドライバや六角レンチなどの工具が係合可能な係合部501dを有する。
【0154】
頭部501bの外形は、例えば、円形である。なお、頭部501bの外形は、例えば六角形などの多角形であってもよい。この場合には、頭部501bの係合部501dは、省略されてもよい。
【0155】
軸部501cは、中実の軸部材であって、外周面に雄ねじ部501e(
図22参照)を有する。軸部501cは、検出部545の貫通孔557Aに挿通可能な外径を有する。このような軸部501cは、幅方向における内側から検出部545の貫通孔557Aに挿通される。
【0156】
この状態において、軸部501cの雄ねじ部501eは、外側接続部材501Aの雌ねじ部501aに係合する。これにより外側接続部材501Aと内側接続部材501Bとが締結し、電気的に接続される。
【0157】
外側接続部材501Aと内側接続部材501Bとが締結した状態において、内側接続部材501Bの頭部501bは、検出部545の導通部558Aの第2端部(幅方向における内端部であって、
図22の下端部)に当接する。具体的には、内側接続部材501Bの頭部501bは、検出部545における導電板548の内側導通部548aに、幅方向における内側から当接する。
【0158】
以上のように、外側接続部材501Aが、検出部545の導通部558Aの第1端部に、内側接続部材501Bが検出部545の導通部558Aの第2端部に、それぞれ当接することにより、被接触部542と検出部545の導電板548とが、以下の第1導通路および第2導通路により導通される。
【0159】
本実施形態では、導電板548は、外側面(第1主面ともいう。)側において、第1導通路を介して被接触部542と電気的に接続する。一方、導電板548は、内側面(第2主面ともいう。)側において、第2導通路を介して被接触部542と電気的に接続する。
【0160】
第1導通路は、被接触部542と検出部545の導電板548とを、貫通孔557Aを介して接続する経路である。具体的には、第1導通路は、被接触部542→外側接続部材501A→検出部545の導通部558A→導電板548の順に構成される。
【0161】
一方、第2導通路は、被接触部542と検出部545の導電板548とを、接続部材501(具体的には、外側接続部材501Aと内側接続部材501Bとの係合部)を介して接続する経路である。具体的には、第2導通路は、被接触部542→外側接続部材501A→内側接続部材501B→導電板548の順に構成される。
【0162】
5)光源
光源502(
図22参照)は、電子メガネ100の状態に応じた発光パターンで発光する。光源502は、例えば、電子メガネ100が動作している状態(オン状態)で発光(点灯)し、動作していない状態(オフ状態)で消灯する。
【0163】
光源502は、例えば、LED(Light Emitting Diode)である。このような光源502は、基板551に支持される。具体的には、本実施の形態では、光源502は、基板551の内側面(
図22の下面)において、筐体541の第1内側貫通孔541iと幅方向に重なる位置に設けられる。
【0164】
6)導光部材
導光部材503は、光透過性を有し、光源502からの光を筐体541の外部に導光する。すなわち、使用者などは、光源502からの光を、導光部材503を介して外部から視認できる。このような導光部材503は、アクリル、ポリカーボネート、ポリスチレン、またはこれらの複合材などの樹脂からなる。
【0165】
具体的には、導光部材503は、
図22および
図24に示すように、導光本体部503a、支持部503b、および位置決め凸部503fを有する。導光本体部503aは、光源502からの光を筐体541の外部に導光する部分であり、中実の円柱状である。導光本体部503aは、自身の軸方向が、展開状態(
図1に示す状態)における電子メガネ100の幅方向に一致するように配置される。
【0166】
導光本体部503aの第1端部(
図22の下端部であって、軸方向における一端部ともいう。)は、側部カバー504の露出用貫通孔504aに配置される。導光本体部503aの第1端面(
図22の下端面)は、後述する側部カバー504の露出用貫通孔504aから外部に露出する。
【0167】
一方、導光本体部503aの第2端部(
図22の上端部であって、軸方向における他端部ともいう。)は、筐体541における内側凹部541hの第1内側貫通孔541iに挿通される。
【0168】
この状態で、導光本体部503aの第2端面(
図22の上端面)は、光源502と対向する。光源502からの光は、導光本体部503aの第2端面から導光本体部503aに入り、導光本体部503aの第1端面から外部に出る。
【0169】
支持部503bは、導光本体部503aを筐体541に対して支持する。支持部503bは、板状部材であって、導光本体部503aの外周面に設けられる。このような支持部503bは、筐体541の内側凹部541hに配置される。具体的には、支持部503bは、第1覆い部503c、第2覆い部503d、および連続部503eを有する。
【0170】
第1覆い部503cは、導光本体部503aの外周面から、導光本体部503aの径方向における外側に延在する。具体的には、第1覆い部503cは、円輪状の板部材であって、第1内側貫通孔541iの外径よりも大きい外径を有する。第1覆い部503cの内周縁は、導光本体部503aの外周面に一体に固定される。
【0171】
このような第1覆い部503cは、内側凹部541hの底部における第1内側貫通孔541iの周囲に当接する。したがって、第1内側貫通孔541iの内周面と導光本体部503aの外周面との間の隙間(具体的には、円筒状の隙間)の第1開口部(
図22の下側の開口部)を覆う。
【0172】
本実施の形態では、第1覆い部503cは、上記隙間の第1開口部を全周にわたり塞ぐ。これにより水など液体が、外部から第1内側貫通孔541iへと浸入しにくくなる。
【0173】
第2覆い部503dは、連続部503eを介して第1覆い部503cに連続する。第2覆い部503dは、円板状の板部材であって、第2内側貫通孔541jの外径よりも大きい外径を有する。
【0174】
このような第2覆い部503dは、第2内側貫通孔541jの第1開口部(
図22の下側の開口部)を覆う。本実施の形態では、第2覆い部503dは、第2内側貫通孔541jの第1開口部の全体を塞ぐ。これにより水などの液体が、外部から第2内側貫通孔541jへと浸入しにくくなる。
【0175】
位置決め凸部503fは、第2覆い部503dの外側面(
図22の上面)に一体に設けられる。位置決め凸部503fは、中実の円柱状部材であって、第2覆い部503dの外側面から突出する。
【0176】
位置決め凸部503fは、第2内側貫通孔541jの内径よりもわずかに小さい内径を有する。このような位置決め凸部503fは、第2内側貫通孔541jに挿入される。位置決め凸部503fと第2内側貫通孔541jとの係合により、導光部材503の回り止めが図られる。
【0177】
7)側部カバー
側部カバー504は、遮光性を有する板状部材である。側部カバー504は、導光本体部503aの第1端面(
図22の下端面)を外部に露出させる露出用貫通孔504a(透光部ともいう。)を有する。露出用貫通孔504aは、筐体541において第1内側貫通孔541iと幅方向に重なる位置に設けられる。なお、透光部は、導光部材503により導光された光が通過可能であれば、本実施形態の貫通孔に限定されない。例えば、透光部は、側部カバー504の一部に設けた透光性を有する部材(例えば、透光性を有する樹脂部材)であってもよい。
【0178】
このような側部カバー504は、筐体541の内側凹部541hにおいて導光部材503の支持部503bによりも幅方向における内側(
図22の下側)に配置される。側部カバー504は、後述する接着部材505により筐体541の内側凹部541hに固定される。
【0179】
この状態で、露出用貫通孔504aに、導光本体部503aの第1端部(
図22の下端部)が挿入される。このようにして導光本体部503aの第1端面が、露出用貫通孔504aを介して外部に露出する。
【0180】
側部カバー504は、内側面に、例えば、ロゴマークなどの識別情報504b(
図16、
図17B参照)が付される。識別情報504bは、例えば、レーザ加工、刻印、印刷などにより側部カバー504の内側面に形成される。側部カバー504の内側面は、筐体541(具体的には、内側壁部541b)の内側面と、同一面上にある。
【0181】
8)接着部材
接着部材505は、筐体541の内側凹部541hの底部と側部カバー504との間に配置されて、側部カバー504を内側凹部541hの底部に固定する。接着部材505は、例えば両面テープであって、導光部材503の支持部503bを配置可能な収容部505a(
図16、
図22参照)を有する。
【0182】
本実施形態では、収容部505aは、貫通孔である。収容部505aは、幅方向から見た場合に、収容部505aの外周縁の内側に、筐体541の第二内側貫通孔541j、筐体541の第一内側貫通孔541i、および側部カバー504の露出用貫通孔504aが入る大きさを有する。換言すれば、収容部505aは、幅方向において、第二内側貫通孔541j、第一内側貫通孔541i、および露出用貫通孔504aのそれぞれと重なる。収容部505aの形状は、導光部材503の支持部503bを配置可能な形状であれば特に限定されない。このような収容部505aには、導光部材503の支持部503bが配置される。
【0183】
9)前端部カバー
前端部カバー546(
図16、
図19参照)は、テンプル540の前端部において、テンプル540の第2開口部1413を覆うように配置される。このような前端部カバー546は、後端側が開口した箱状部材である。
【0184】
具体的には、前端部カバー546は、断面矩形の筒状部546A、および筒状部546Aの前側開口部を塞ぐ前壁部546eを有する。筒状部546Aは、幅方向に対向する第1壁部546a、第2壁部546b、および上下方向に対向する第3壁部546c、第4壁部546dからなる。
【0185】
第3壁部546cおよび第4壁部546dはそれぞれ、後端面に幅方向における内側(
図21、22の下側)から順に、位置決め凹部546f、位置決め段部546g、および位置決め凸部546hを有する。
【0186】
筒状部546Aは、組付状態(
図21、22に示す状態)において、テンプル540の第2開口部1413に挿入される。この状態において、位置決め凹部546fおよび位置決め段部546gには、基板551の前端部が当接する。
【0187】
このようにして基板551の前方および幅方向における外方への位置決めが図られる。なお、基板551の後方への位置決めは、基板551の後端部と筐体541の内面との係合により図られる。また、基板551の幅方向における内方への位置決めは、基板551に接続部材501を介して固定された被接触部542と筐体541の外側凹部541fとの係合により図られる。
【0188】
前壁部546eは、筒状部546A(具体的には、第2壁部546b)よりも幅方向における内側に延在した位置決め鍔部546iを有する。このような位置決め鍔部546iは、筐体541の内側壁部541bにおける前端部に当接する。
【0189】
これにより前端部カバー546の、筐体541に対する後方への位置決めが図られる。なお、前端部カバー546の、幅方向および上下方向に関する位置決めは、筒状部546Aと筐体541の内面との係合により図られる。
【0190】
前壁部546eは、基板551に接続されるFPC507(
図16、
図19参照)を挿通可能なFPC用貫通孔546jを有する。また、前壁部546eは、前側面に、幅方向における外側から内側に向かうほど後方に向かう方向に滑らかに傾斜したガイド面546kを有する。
【0191】
ガイド面546kは、テンプル540がフロント130の幅方向両端部に対して滑らかに回動するようにガイドする。ガイド面546kは、曲線や直線の組み合わせにより構成される。このようなガイド面546kの形状は、フロント130の幅方向両端部の形状に合わせて適宜決定される。
【0192】
10)テンプルの組み立て方法
以下、テンプル540の組み立て手順について説明する。まず、
図26Aに示すように、基板551を、筐体541の第2開口部1413から収容空間541eに挿入する。この際、基板551の短手方向端部(具体的には、上下方向端部)を、筐体541の第1ガイド溝541kおよび第2ガイド溝541mに係合することにより、基板551の挿入をガイドする。
【0193】
つぎに、被接触部542を、筐体541の外側凹部541fに配置する。この際、被接触部542に一体に設けられた外側接続部材501Aを、筐体541の外側貫通孔541gに挿通する。つぎに、内側接続部材501Bを、筐体541の第2内側貫通孔541jから収容空間541eに進入させる。
【0194】
つぎに、内側接続部材501Bの軸部501cを、検出部545の貫通孔557Aに挿通する。そして、内側接続部材501Bの雄ねじ部501eを、外側接続部材501Aの雌ねじ部501aに係合(螺合)する。この際、筐体541の第2内側貫通孔541jから収容空間541eに進入させたドライバなどの工具(図示省略)により、内側接続部材501Bを回転させる。
【0195】
つぎに、導光部材503の導光本体部503aを、筐体541の第1内側貫通孔541iに挿入するとともに、導光部材503の位置決め凸部503fを筐体541の第2内側貫通孔541jに挿入する。この状態において、導光部材503の第1覆い部503cが、筐体541の第1内側貫通孔541iの内周面と導光本体部503aの外周面との間の隙間の第1開口部(
図22の下方の開口部)の全体を塞ぐ。
【0196】
一方、上述の状態において、導光部材503の第2覆い部503dが、第2内側貫通孔541jの第1開口部(
図22の下方の開口部)の全体を塞ぐ。つぎに、接着部材505を、筐体541の内側凹部541hの底部に接着する。この状態(
図27Aに示す状態)において、導光部材503の支持部503bが、接着部材505の収容部505aの内側に配置される。
【0197】
そして、側部カバー504を、筐体541の内側凹部541hに配置されるように、接着部材505に接着する。この状態(
図27Bに示す状態)において、側部カバー504の露出用貫通孔504aに、導光本体部503aの軸方向における第1端面(
図22の下端面)が配置される。
【0198】
(効果)
実施の形態5に係る電子メガネ、フレームおよびテンプル540も、実施の形態1と同様の効果を有する。さらに、実施の形態5の場合、導電板548と被接触部542との間に、基板551が配置されるような構造であっても、導電板548と被接触部542とを、接続部材501により電気的に接続できる。
【0199】
特に、本実施の形態の場合、導電板548と被接触部542とが、第1導通路および第2導通路の2経路により電気的に接続される。このため、対象物の被接触部542に対する接触を、安定して検出できる。この結果、電子メガネの動作の安定性を確保できる。
【0200】
(付記)
前述したような本発明に係るセンサモジュールの概要は、筐体と、少なくとも一部が筐体の外部に露出するように配置されており、かつ導電性を有する被接触部と、静電容量方式の検出パッドを有し、筐体の内部に配置されている検出部と、を有し、被接触部は、対象物との接触に起因する静電容量の変化が、検出パッドで生じるように検出部に接続されている。
【0201】
なお、上記実施の形態1〜4では、検出用積層体150、絶縁層147、導電板148および第1接地部149を有する検出部145について説明したが、本発明に係るセンサーモジュールの検出部は、絶縁層147、導電板148および第1接地部149を有していなくてもよい。この場合、被接触部と、検出部における検出パッドとは、弾性部材を介して、または直接、電気的に接続される。
【0202】
また、上記実施の形態1〜4では、一対の、本発明に係るテンプルを有する電子メガネについて説明したが、本発明に係るフレームおよびアイウェアはこの態様に限定されない。例えば、一方のテンプルは、筐体のみにより構成されていてもよい。
【0203】
さらに、上記実施の形態1〜4では、アイウェアとして、電子メガネについて説明したが、本発明に係るアイウェアは、電子メガネに限定されない。アイウェアの他の例には、サングラスおよびゴーグルが含まれる。
【0204】
2016年12月27日出願の特願2016−253272の日本出願に含まれる明細書、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。