(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0004】
本発明の実施形態によれば、柔軟劣駆動把持具は、基部と、複数のフィンガーとを備えている。複数のフィンガーの少なくとも1本は、近位指骨と、近位指骨を基部に接続する近位関節と、遠位指骨と、遠位指骨を近位指骨に接続する遠位関節と、指骨を移動させるための部材と、を備えている。近位関節および遠位関節の少なくとも1つは、屈曲関節を含んでおり、屈曲関節は、屈曲関節の第1の方向において第1の柔軟性を有し、屈曲関節の第2の方向において第2の柔軟性を有しており、第2の柔軟性は、第1の柔軟性と比較して曲がらないほど小さくなっている。遠位指骨は、丸い端面と、丸い端面に隣接する持上げ縁を備える持上げ部と、を備えている。上記部材は、屈曲関節の第1の方向と平行に作用するようになっている。把持具は、該部材に関連付けられた少なくとも1つのアクチュエータをさらに備えている。把持具は、自由度よりも少ないアクチュエータを有している。
【0005】
いくつかの実施形態では、持上げ縁は、自由端末縁であり、遠位指骨は、丸い端面と持上げ縁の間に画定された持上げ溝を備えている。いくつかの実施形態では、丸い端面は、持上げ溝の長軸と実質的に直交する面において円弧を画定している。いくつかの実施形態では、持上げ溝は、約1mmから3mmの範囲内の深さを有している。
【0006】
丸い端面は、持上げ部よりも軟質な材料から形成されていてもよい。いくつかの実施形態では、丸い端面の軟質材料は、約ショアA硬度0からショアA硬度60の範囲内にある硬度を有しており、持上げ部は、少なくとも約100GPaの硬度を有している。
【0007】
把持具は、丸い端面に対する持上げ縁の位置を選択的に調整するように操作可能な調整機構を備えていてもよい。
【0008】
いくつかの実施形態では、遠位指骨は、実質的に平坦な内側把持面と、互いに向き合って軸方向に延在する明瞭な内側縁と、を有している。
【0009】
本発明の実施形態によれば、柔軟劣駆動把持具は、基部と、複数のフィンガーとを備えている。複数のフィンガーの少なくとも1本は、近位指骨と、近位指骨を基部に接続する近位関節と、遠位指骨と、遠位指骨を近位指骨に接続する遠位関節と、指骨を移動させるための部材と、を備えている。近位関節および遠位関節の少なくとも1つは、屈曲関節を含んでおり、屈曲関節は、屈曲関節の第1の方向において第1の柔軟性を有し、屈曲関節の第2の方向において第2の柔軟性を有しており、第2の柔軟性は、第1の柔軟性と比較して曲がらないほど小さくなっている。上記部材は、屈曲関節の第1の方向と平行に作用するようになっている。把持具は、該部材に関連付けられた少なくとも1つのアクチュエータをさらに備えている。遠位指骨は、実質的に平坦な内側把持面と、互いに向き合って軸方向に延在する明瞭な内側縁と、を有している。把持具は、自由度よりも少ないアクチュエータを有している。
【0010】
いくつかの実施形態では、平坦な内側把持面は、屈曲関節の主曲げ軸と実質的に平行になっている。
【0011】
平坦な内側把持面は、エラストマー材料から形成されていてもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、屈曲関節は、エラストマー材料から形成された屈曲リンクを備えている。
【0013】
いくつかの実施形態では、遠位指骨は、第1の方向と直交する実質的に矩形断面を有している。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態によれば、柔軟劣駆動把持具は、基部と、2本のフィンガーおよび2本のフィンガーと向き合う親指と、を備えている。フィンガーおよび親指は、各々、近位指骨と、遠位指骨と、近位指骨を遠位指骨に直接接続する遠位関節であって、第1の方向において追従するようになっている、遠位関節と、近位指骨を基部に直接接続する近位関節であって、第2の方向において追従するようになっている、遠位関節と、 近位指骨および遠位指骨を移動させるための腱ケーブルであって、第1の追従性の方向と実質的に平行であり、第1の方向における遠位関節の追従性を実質的に変化させるようになっている、腱ケーブルと、を備えている。把持具は、フィンガーおよび親指を移動させる少なくとも1つのアクチュエータをさらに備えている。各遠位指骨は、遠位指骨に接続された近位指骨の長さの0.60倍から0.66倍の長さを有している。親指に対する2本のフィンガーの各々の近位関節からの平均距離は、2本のフィンガーの近位指骨の平均長さの1.30倍から1.44倍である。把持具は、自由度よりも少ないアクチュエータを有している。
【0015】
いくつかの実施形態では、基部は、フィンガーと親指との間に掌を備えており、掌は、近位指骨の平均長さの約1.21倍から1.33倍の範囲内にある主寸法を有している。
【0016】
いくつかの実施形態では、フィンガーの近位関節間の間隔は、近位指骨の平均長さの約0.97倍から1.08倍の範囲内にある。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態によれば、柔軟劣駆動把持具は、掌基部と、2本のフィンガーとを備えている。フィンガーの各々は、近位指骨と、遠位指骨と、遠位指骨を近位指骨に接続する柔軟屈曲関節と、近位指骨を掌基部に接続するピン関節であって、ピン枢軸を中心とする回転に対して、掌基部に対する近位指骨の角運動を拘束するようになっている、ピン関節と、を備えている。把持具は、フィンガーを移動させるための少なくとも1つのアクチュエータをさらに備えている。把持具は、自由度よりも少ないアクチュエータを有している。
【0018】
把持具は、各フィンガーに関連付けられたピン関節角度センサをさらに備えていてもよい。
【0019】
把持具は、各フィンガーを掌基部に接続する回転関節をさらに備えていてもよく、フィンガーは、そのピン枢軸を掌基部に対して再配向させるために、回転関節を中心として掌基部に対して回転可能になっていてもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、把持具は、親指と、フィンガーから独立して親指を移動させる少なくとも1つのアクチュエータと、をさらに備えている。親指は、近位指骨と、遠位指骨と、遠位指骨を近位指骨に接続する柔軟屈曲関節と、近位指骨を掌基部に接続するピン関節であって、ピン枢軸を中心とする回転に対して、掌基部に対する近位指骨の角運動を拘束するようになっている、ピン関節と、を備えている。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態によれば、柔軟劣駆動把持具は、掌基部と、2本のフィンガーとを備えている。フィンガーの各々は、近位指骨と、遠位指骨と、遠位指骨を近位指骨に接続する柔軟屈曲関節と、近位指骨を掌基部に接続するピン関節であって、ピン枢軸を中心とする主要自由度を有している、ピン関節と、近位指骨および遠位指骨を移動させるための腱ケーブルであって、腱ケーブルの運動は、屈曲関節を中心とする遠位指骨の角運動よりも大きい割合でピン枢軸を中心とする近位指骨の角運動を生じさせるようになっている、腱ケーブルと、を備えている。把持具は、フィンガーを移動させる少なくとも1つのアクチュエータをさらに備えている。把持具は、自由度よりも少ないアクチュエータを有している。
【0022】
いくつかの実施形態では、屈曲関節は、柔軟なエラストマー材料から形成された屈曲リンクを備えている。
【0023】
いくつかの実施形態によれば、枢動関節は、近位指骨を枢動関節を中心として第1の方向および第2の方向に回転させるために、近位指骨を掌基部に接続しており、把持具は、近位指骨を第2の方向に駆動して戻り位置に至らせる戻り付勢バネを備えており、戻り付勢バネは、第1のバネ率を有しており、屈曲関節は、遠位指骨を近位指骨に対して開位置に付勢するように構成されており、第2のバネ率を有しており、第2のバネ率は、第1のバネ率よりも大きくなっている。いくつかの実施形態では、第2のバネ率は、第1のバネ率の少なくとも8倍になっている。いくつかの実施形態では、第1のバネ率は、腱ケーブルを緩めることによって、近位指骨を把持具の任意の方位における戻り位置に保持するのに十分になっており、第2のバネ率は、腱ケーブルを緩めることによって、遠位指骨を把持具の任意の方位における開位置に保持するのに十分になっている。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態によれば、柔軟劣駆動把持具は、掌基部と、2本のフィンガーとを備えている。フィンガーの各々は、近位指骨と、遠位指骨と、遠位指骨を近位指骨に接続する柔軟屈曲関節と、近位指骨を枢動関節を中心として第1の方向および第2の方向に回転させるために、近位指骨を掌基部に接続する枢動関節と、近位指骨を第1の方向に移動させるための腱ケーブルと、近位指骨を第2の方向に駆動して戻り位置に至らせる戻り付勢バネであって、戻り付勢バネのバネ率は、腱ケーブルを緩めることによって、近位指骨を把持具の任意の方位における戻り位置に保持するのに十分になっている、戻り付勢バネと、を備えている。把持具は、各腱ケーブルに関連付けられた少なくとも1つのアクチュエータをさらに備えている。把持具は、自由度よりも少ないアクチュエータを有している。
【0025】
いくつかの実施形態では、戻り付勢バネは、ねじりバネを含んでいる。
【0026】
本発明の実施形態によれば、把持具は、基部と、フィンガーと、腱ケーブルと、磁気離脱機構と、を備えている。フィンガーは、近位関節によって基部に接続された近位端を有している。腱ケーブルは、基部に対してフィンガーを移動させるように構成されている。磁気離脱機構は、フィンガーを基部に離脱可能に連結している。
【0027】
いくつかの実施形態では、腱ケーブルは、磁気離脱機構を通ってフィンガーに延在している。磁気離脱機構は、フィンガーサブマウントであって、フィンガーが近位関節によってフィンガーサブマウントに枢動可能に接続されている、フィンガーサブマウントと、 基部上の基部サブマウントと、を備えていてもよく、フィンガーサブマウントおよび基部サブマウントは、磁気的に互いに吸引されていてもよく、フィンガーサブマウントは、基部サブマウントを介して基部に接続されていてもよい。いくつかの実施形態によれば、 磁気離脱機構は、フィンガーサブマウントおよび基部サブマウントが分離し、次いで、再接合されたとき、フィンガーサブマウントを基部サブマウントと再び真っ直ぐに並べる少なくとも1つの位置決め特徴部を備えている。少なくとも1つの位置決め特徴部は、環状または半環状溝を備えていてもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、磁気離脱機構は、閾値負荷を越える負荷がフィンガーに加えられたとき、フィンガーを解放し、基部に対して撓ませるように、操作可能になっている。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態によれば、柔軟劣駆動把持具は、基部と、2本のフィンガーおよび2本のフィンガーと向き合う親指と、を備えている。フィンガーおよび親指の各々は、近位指骨と、遠位指骨と、近位指骨を遠位指骨に直接接続する遠位関節であって、第1の方向において追従するようになっている、遠位関節と、近位指骨を基部に直接接続する近位関節であって、第2の方向において追従するようになっている、近位関節と、 近位指骨および遠位指骨を移動させるための腱ケーブルであって、第1の柔軟性の方向と実質的に平行であり、第1の方向における遠位関節の柔軟性を実質的に変化させるようになっている、腱ケーブルと、を備えている。把持具は、フィンガーおよび親指を移動させる少なくとも1つのアクチュエータをさらに備えている。親指は、近位指骨から独立して遠位指骨の運動を可能にするために、近位指骨を第1の腱ケーブルの反対側において選択的に拘束するための第2の腱ケーブルをさらに備えている。把持具は、自由度よりも少ないアクチュエータを有している。
【0030】
いくつかの実施形態では、把持具は、親指の第1の腱ケーブルを作動させる第1のアクチュエータと、親指の第2の腱ケーブルを作動させる第2のアクチュエータと、を備えている。
【0031】
いくつかの実施形態では、各フィンガーは、近位指骨から独立して遠位指骨の運動を可能にするために近位指骨を腱ケーブルの反対側において選択的に拘束するための腱を備えていない。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態によれば、柔軟劣駆動把持具は、基部と、2本のフィンガーおよび2本のフィンガーと向き合う親指と、を備えている。フィンガーおよび親指の各々は、近位指骨と、遠位指骨と、近位指骨を遠位指骨に直接接続する遠位関節であって、第1の方向において追従するようになっている、遠位関節と、近位指骨を基部に直接接続する近位関節であって、第2の方向において追従するようになっている、近位関節と、近位指骨および遠位指骨を移動させるための腱ケーブルであって、第1の柔軟性の方向と実質的に平行であり、第1の方向における遠位関節の柔軟性を実質的に変化させるようになっている腱ケーブルと、を備えている。把持具は、フィンガーおよび親指を移動させる少なくとも1つのアクチュエータをさらに備えている。腱ケーブルは、約60lbfから120lbfの範囲内にある持続引張負荷を伝達することができ、曲げ時に低エネルギー貯蔵をもたらし、1mm未満の半径曲げに対して堅牢である。把持具は、自由度より少ないアクチュエータを有している。
【0033】
いくつかの実施形態では、フィンガーおよび親指の少なくとも1本は、近位関節を基部に離脱可能に連結する磁気離脱機構を備えている。
【0034】
本発明のさらなる特徴、利点、および詳細は、以下の図面および実施形態の詳細な説明を読めば、当業者によって明らかになるだろう。ただし、このような説明は、本発明の単なる例示にすぎない。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の例示的実施形態が示されている添付の図面を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。図面では、領域または特徴部の相対的な大きさは、明瞭にするために誇張されることがある。しかし、本発明は、多くの異なる形態で実施されてもよく、本明細書に記載されている実施形態に制限されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、この開示が十分かつ完全であって、本発明の範囲を当業者に十分に知らしめるために提示されている。
【0037】
ある要素が他の要素に「連結」または「接続」されていると言及されたとき、該要素は、他の要素に直接連結または接続されていてもよいし、または介在する要素が存在していてもよいことを理解されたい。対照的に、ある要素が他の要素に「直接連結」または[直接接続]されていると言及されたとき、介在する要素は、存在しない。同様の部番は、全体を通して同様の要素を指すものとする。
【0038】
加えて、「〜の下に」、「〜の下方に」、「〜の下側に」、{〜の上方に}、「〜の上側に」などの空間的な相対的用語が、図面に示されている1つの要素または特徴部と他の1つまたは複数の要素または特徴部との関係を説明するための記述を容易にするために、本明細書に用いられることがある。これらの空間的な相対的用語は、図面に描かれている方位に加えて、使用時または操作時における装置の異なる方位を含むことを意図していることを理解されたい。例えば、もし図面における装置が上下反転されたなら、他の要素または特徴部の「下方」または「直下」に位置すると記載された要素は、該他の要素または特徴部の「上方」に配向されるだろう。従って、「〜の下方」という例示的な用語は、「〜の上方」および「〜の下方」の両方の方位を含むことになる。装置は、別の方位(90°または他の方位)に回転されることもあるが、この場合、本明細書に用いられる空間的な相対的記述用語も、それに応じて解釈されるとよい。
【0039】
本明細書に用いられる専門用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、本発明を制限することを意図していない。本明細書に用いられる単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかに他の意味を指定しない限り、複数形を含むことを意図している。「備える(comprises)」および/または「備えている(comprising)」という用語は、本明細書に用いられるとき、記述された特徴、完全体、段階、操作、要素、および/または構成部品の存在を特定することになるが、1つまたは複数の他の特徴、完全体、段階、操作、要素、構成部品、および/またはそれらの群の存在または追加を排除するものではないことをさらに理解されたい。本明細書に用いられる「および/または」という表現は、1つまたは複数の互いに関連して列挙される項目のいずれかおよび全ての組合せを含んでいる。
【0040】
別段の定めがない限り、本明細書に用いられる(技術用語または科学用語を含む)全ての用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有している。一般的に用いられる辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈における意味と一致している意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書に明示的に規定されていない限り、理想的な意味または過度に形式的な意味に解釈されるべきではないことをさらに理解されたい。
【0041】
本発明の実施形態は、エンドエフェクタまたは把持具に関する。本明細書に開示されている把持具は、ロボットの一部を構成してもよいし、または補綴装置の一部を構成してもよい。特に、把持具は、ロボットアーム上に取り付けられ、整備された環境または整備されていない環境において対象物を操作し、かつ把持するのに用いられるとよい。把持具は、人型ロボットの把持具または「手」として用いられてもよいし、DARPA自律型ロボット操作ハードウエア(ARM−H)プログラムによって特定された基準に準じて用いられてもよい。
【0042】
図面を参照すると、本発明の実施形態によるロボット10(
図1)が示されている。ロボット10は、アーム12と、手首関節14によってアーム12に回転可能に連結された把持具20と、を備えている。
【0043】
把持具20は、基部アセンブリ30,第1のフィンガー70,第2のフィンガー80,および親指90を備えている。フィンガー70,80および親指90は、基部30上へのそれらの配置および以下に説明する作動の方法および機構を除けば、同じように構成されているとよい。別段の定めがない限り、単数の「フィンガー」および複数の「フィンガー」は、親指90も指すものとする。把持具20は、主軸または長軸LG−LG(
図4)を有している。
【0044】
基部30は、第1のフィンガーアクチュエータ60,第2のフィンガーアクチュエータ62、親指作動筋アクチュエータ64、親指拮抗筋アクチュエータ66、およびフィンガー回転アクチュエータ68を備えている。アクチュエータ60,62,64,66,68は、電気モータ(例えば、DCモータ)であるとよい。アクチュエータ60,62を用いてフィンガー70,80の制御された運動をもたらすために、腱ケーブル60A,62A(
図4)がそれぞれフィンガー70,80に接続されている。アクチュエータ64,66を用いて親指90の制御された運動をもたらすために、腱ケーブル64A,66A(
図5)が親指90に接続されている。フィンガー70,80,90の各々は、腱60A,62A,64A,66Aおよびアクチュエータ60,62,64,66によって、該当する近位ピン枢動関節JPにおいて、軸FP−FPを中心として枢動可能になっている。加えて、フィンガー70,80は、アクチュエータ68によって、それぞれの回転関節JRにおいて、回転軸FR−FR(
図8)を中心として互いに反対の方向Kに回転可能になっている。フィンガー70,80は、関節JRを中心として互いに反対の方向に並行して回転するように、リンケージによって互いに連結されている。また、各フィンガー70,80,90は、以下に説明するように、遠位側の柔軟屈曲関節JC(
図1)を中心として屈曲可能になっている。
【0045】
基部アセンブリ30は、フレーム32およびフレーム32の操作側の掌34を備えている。3つの磁石基部サブマウント160が、フレーム32内に取り付けられており、3つの関連するフィンガー基部サブマウント40がフレーム32の上に取り付けられている(
図15)。通常の操作中、各サブマウント160およびその関連するサブマウント40は、単一ユニットとして有効に機能するように、連結されている。フィンガー70,80のサブマウント160は、関節JRにおいて回転可能になっている。
【0046】
フィンガー70,80,90は、前述したように、同一または同様に構成されているとよい。例示的なフィンガー70について説明するが、この説明は、他のフィンガー80,90にも同様に適用されることを理解されたい。
【0047】
図9−14を参照すると、フィンガー70は、近位指骨110および遠位指骨120を備えている。近位指骨110および遠位指骨120は、柔軟な遠位側指骨間屈曲関節JCにおいて、柔軟屈曲リンク130に連結されている。フィンガー70は、フィンガー70をそのフィンガー基部マウント40に連結するヒンジ特徴部112も有している。フィンガー70は、長軸LF−LFを有している。さらに具体的には、近位指骨110は、近位端110Aおよび遠位端110Bを有している。遠位指骨120は、近位端120Aおよび遠位端120Bを有している。ヒンジ特徴部112は、端110A上に設けられている。屈曲リンク130は、端110B,120Aに固定されている。端120Bは、自由端である。遠位延長部材または遠位プレート部材140が、端120B上に取り付けられている。
【0048】
ヒンジ特徴部112は、ピン枢軸FP−FPを画定する枢動ピン50によって、フィンガー基部サブマウント40上の協働ヒンジ特徴部42(
図1)に枢動可能に連結されており、これによって、近位ピン枢動関節JPを形成している。枢動関節JPを中心とするフィンガー70の回転運動は、フィンガー閉鎖枢動方向Fおよびフィンガー開放枢動方向
Iにおいて枢軸FP−FPを中心とする枢動に制限されている。フィンガー70は、長軸LF−LFおよび枢軸FP−FPの各々と平行のフィンガー横面Eを画定している。枢軸FP−FPの方位は、軸FR−FRを中心とするサブマウント40の回転位置に依存して変化することを理解されたい。
【0049】
一実施形態では、関節JP内に配置された角位置センサ54が、基部30に対する指骨110の角位置を検出するようになっている。例えば、磁気エンコーダが関節JPの一方の部分(例えば、ヒンジ特徴部
42)上に取り付けられ、協働する磁石が関節JPの他方の部分(例えば、ヒンジ特徴部112)上に取り付けられるとよい。
【0050】
付勢部材52(
図4,7)が関節JP内に設けられている。いくつかの実施形態によれば、付勢部材52は、ねじりバネであり、特に、螺旋ねじりバネであるとよい。ねじりバネ52は、対向バネまたは付勢戻りバネとして機能する。腱ケーブルまたは外部力からの拘束が存在しない場合、ねじりバネ52は、フィンガー70を方向Iにおいて広開位置に強制的に枢動させることになる。
【0051】
屈曲リンク130は、半剛性、可撓性、弾性、および柔軟性(compliant)を有している。いくつかの実施形態では、屈曲リンク130は、エラストマー材料から形成されている。屈曲リンク130は、主に内向き方向Mおよび外向き方向Nの各々において遠位枢軸、すなわち、屈曲関節枢軸FB−FBを中心として優先的に屈曲または湾曲するようになっている。また、屈曲リンク130は、指閉鎖方向Fと直交または交差する互いに反対の二次的側方向または横方向Pにおいても屈曲または湾曲することができる。従って、屈曲リンク130および関節JCは、第1の方向Mにおいて第1の柔軟性(compliance)を有し、第2の方向Pにおいて第2の柔軟性を有している。第2の方向Pは、腱ケーブル後退方向Hと直交または交差している。第1の柔軟性は、第2の柔軟性よりも大きい(すなわち、屈曲リンク130を第1の方向に撓ませるために、より少ない力しか必要としない)。緩和された非負荷状態では、屈曲リンク130は、
図9−11に示されているように、緩和位置または緩和状態に弾性的に戻ることになる。いくつかの実施形態によれば、近位指骨110および遠位指骨120は、屈曲リンク130がその戻り位置にあるとき、実質的に互いに平行または互いに同軸である。
【0052】
腱ケーブル60Aは、アクチュエータ60から、サブマウント40,160内の腱配線
路158,168を通って、ヒンジ特徴部112の内側に沿って、近位指骨110内の腱配線路118を通って、屈曲関節JCを横切って、および遠位指骨120内の配線路128を通って、(例えば、配線路128内において)遠位指骨120に係留されている。アクチュエータ60は、配線路118,158,168を通る腱ケーブル60Aを方向Hに引き込み、これによって、フィンガー70を閉方向Fに枢動させることができる。その後、アクチュエータ60は、腱ケーブル60Aを解放し、すなわち、腱ケーブル60Aを反対方向に繰り出し、これによって、フィンガー70をねじりバネ52のトルクによって開方向Iに枢動させることができる。
【0053】
以下、フィンガー70の操作(およびフィンガー80および親指90の対応する操作)について、さらに詳細に説明する。フィンガー70が完全な開位置にある状態(
図23)において、アクチュエータ60が、腱ケーブル60Aを引き込む。ねじりバネ52のバネ力またはバネ抵抗は、屈曲リンク130の剛性またはバネ力または曲げ抵抗よりも小さくなっている。従って、近位指骨110が外抵抗を受けていないと仮定すれば、腱ケーブル60Aがフィンガー70に引張負荷を加えると、フィンガー70は、主にピン枢
動関節JPを中心
とし、副次的に屈曲関節JCを中心として、変位することになる。すなわち、近位指骨110は、遠位指骨120が屈曲関節軸FB−FBを中心として枢動または湾曲するよりも、枢動ピン枢軸FP−FPを中心として、より大きい角距離にわたって枢動することになる。
【0054】
もし近位指骨110が外部対象物(例えば、把持される対象物)によって妨げられるかまたは制限物(例えば、基部30の底)と衝突したなら、腱ケーブル60Aの引張負荷の大部分または全てが、屈曲関節JCに加えられ、その結果、遠位指骨120が、近位指骨110がピン枢軸FP−FPを中心として回転する割合よりも大きな割合で、屈曲関節軸FB−FBを中心として湾曲または回転することになる。
【0055】
指骨110,120のそれらの枢軸を中心とする変位の異なる割合は、ねじりバネ52および屈曲リンク130の相対的な有効バネ力に依存することになる。いくつかの実施形態によれば、屈曲関節JCのバネ力は、ピン枢動関節JPのバネ力の少なくとも8倍であり、いくつかの実施形態では、ピン枢動関節JPのバネ力の約8倍から12倍の範囲内にある。いくつかの実施形態では、ねじりバネ52のバネ率は、把持具20が静止しており、かつ外部対象物によって作用されていないとき、任意の意図された方位においてフィンガー70に作用する重力に十分に対抗するほど大きくなっている。いくつかの実施形態によれば、ねじりバネ52のバネ力は、把持具20が静止しており、かつ外部対象物によって作用されていないとき、任意の意図された方位においてフィンガー70に作用する重力に十分に対抗するのに必要な最小限の力の約100%から150%の間にある。ねじりバネ力を最小限に抑えることによって、設計者は、屈曲関節JCの必要なバネ率を低減させることができる。これによって、アクチュエータ60が上回らねばならない戻り力が低減されることになる。
【0056】
特に、屈曲関節JCのバネ力は、要望通りにおよび/または必要に応じて高くすることができる。具体的には、屈曲関節JCのバネ力は、把持具が大型になり、より大きくかつより重い対象物を持ち上げるのに用いられるときには、増大されるとよい。
【0057】
図1および
図23−29は、把持具20によって達成可能と見込まれるまたは実施可能なフィンガー70,80,90の種々の形態を示している。
【0058】
図23は、広開位置または準備位置を示している。この位置では、腱ケーブル60A,62A,64Aは、緩んでおり、これによって、ねじりバネ
52が各フィンガー70,80,90をその開方向における限界まで拡げることが可能である。
【0059】
図1は、摘み形態にあるフィンガー70,80を示している。この形態は、アクチュエータ60,62が、フィンガー70,80を大きな抵抗を受けることもなく(腱ケーブル60A,62Aを介して)閉じるように引っ張ったときに、達成される。この操縦では、フィンガー回転アクチュエータ68を最初に用いて、フィンガー70,80を、それらの枢軸FP−FPが互いに実質的に平行になるように、互いに向き合った位置に回転させるとよい。
図24は、平キーのような対象物2を保持および/または操作するために用いられる変更された摘み形態を示している。
【0060】
図23,25、26は、広開形態(
図23)から握力把持形態(
図26)に進展するフィンガー70,80,90を示している。この形態では、親指90がフィンガー70,80と交差している。この操縦では、
図25に示されているように、回転アクチュエータ68を用いて、フィンガー70,80を、フィンガー70,80,90の枢軸FP−FPが互いに実質的に平行になるように、親指90と向き合った位置に回転させるとよい。
図27は、電動工具のような対象物4を保持および/または操作するために用いられる変更された握力把持形態を示している。例示的な電動工具4は、ハンドル4Aおよびトリガー4Bを有している。把持具20は、フィンガー70,80,90を用いて、ハンドル4Aをしっかりと保持し、腱ケーブル62Aを介してフィンガー80に張力を加えかつフィンガー80から張力を解放することによって、トリガー4Bを操作するように用いることもできる。このとき、その遠位指骨120が屈曲関節JCにおいて独立して曲げられ、トリガー4Bを押圧しかつ解放することになる(近位指骨110は、ハンドル4Aによって制限または拘束されている)。
【0061】
図28は、球把持位置にあるフィンガー70,80,90を示している。この操縦では、フィンガー70,80は、それらの枢軸FP−FPが親指90の枢軸FP−FPに対して斜角で延在するように、回転されている。
図29は、把持具20がボールのような対象物6を保持している変更された球把持位置を示している。
【0062】
前述の説明は、把持具20によって達成される構成および操作を網羅するものではないことを理解されたい。
【0063】
指骨110、120の長さとフィンガーおよび親指のそれぞれの基部位置との間の関係は、有利な性能をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、これらの関係は、拡大縮小可能である。
【0064】
いくつかの実施形態によれば、各フィンガー70,80の近位指骨110の長さL1(
図13)は、おなじ指の遠位指骨120の長さL2よりも大きくなっている。いくつかの実施形態によれば、長さ
L2は、長さ
L1の約0.60倍から0.66倍の範囲内にある。
【0065】
いくつかの実施形態では、各フィンガー70,80の基部枢動関節JPから親指90の枢動関節JPの平均距離D1(
図6)は、平均近位指骨長さL1の約1.30倍から1.44倍の範囲内にある。
【0066】
いくつかの実施形態によれば、掌34の主寸法L3(
図6)は、平均近位指骨長さL1の約1.21倍から1.33倍の範囲内にある。
【0067】
いくつかの実施形態では、フィンガー70,80の枢動関節JP間の間隔D2(
図6)は、平均指骨長さL1の約0.97倍から1.08倍の範囲内にある。
【0068】
前述した近位ピン枢動関節および遠位屈曲関節を有する各フィンガーを設けることによって、いくつかの利点が得られる。フィンガーの基部における剛性枢軸は、微細操作および力仕事を容易にする摘み安定性およびねじり強度をもたらす。遠位関節の屈曲関節は、乱用に対する堅牢性をもたらし、未知の形状を有する対象物に適合または順応するフィンガーの能力を高める。いくつかの実施形態によれば、図示されているように、各フィンガーのピン枢軸FP−FPは、フィンガーの主屈曲軸FB−FBと実質的に平行である。
【0069】
図9−12を参照すると、いくつかの実施形態では、把持具20は、フィンガーネイルシステム141を備えている。フィンガーネイルシステム141は、遠位プレート部材140を備えている。遠位プレート部材140は、各フィンガー70,80,90の遠位指骨120上にその遠位端面124Aに隣接して取り付けられている。以下、1つのフィンガー70についてのみ説明する。しかし、この説明は、フィンガー80,90にも同様に適用されることを理解されたい。
【0070】
遠位プレート部材140は、基部分144および自由端末持上げ縁142Aを備えている。基部分144は、長孔144Aを有しており、ネジのような固定具144Bによって、指骨120の背面124Cに調整可能に固定されている。自由縁142Aは、端面124Aに隣接して配置されている。場合によっては、図示されているように、遠位プレート部材140は、延長部分142を有している。延長部分142は、自由端142Aで終端しており、プレート部材140が指骨120から分岐する箇所147から(片持ち梁のように)突き出しており、すなわち、箇所147を超えて軸方向に延在しており、これによって、棚を形成している。しかし、他の実施形態では、自由縁142Aは、箇所147と同じ位置にあってもよいし、またはその内側にあってもよい。
【0071】
いくつかの実施形態では、固定具144Bおよび溝144Aは、調整機構として機能することができる。さらに具体的には、固定具144Bを緩め、プレート部材140を摺動させ,縁142Aを端面124Aに対して要望通りに位置決めし、次いで、固定具144Bを再締め付けし、プレート部材140を適所に固定することができる。他の適切な調整機構が用いられてもよいことを理解されたい。
【0072】
プレート部材
140は、少なくとも自由縁142Aの領域では、比較的薄くなっている。いくつかの実施形態では、自由縁142Aは、約0.02インチ(約0.508ミリ)から0.03インチ(約0.762ミリ)の範囲内の厚みT1(
図12)を有している。いくつかの実施形態では、箇所147から自由縁142Aまでの延長部分142の長さL4は、少なくとも1mmであり、いくつかの実施形態では、約1.5mmから約2.5mmである。いくつかの実施形態によれば、自由縁142Aは、屈曲関節軸FB−FBと実質的に平行である。
【0073】
いくつかの実施形態によれば、図示されているように、端面124Aおよびプレート部材140は、延長部分142の底面と端面124Aの対向面との間に横方向に延在する長孔、溝、またはアンダーカット146を画定するように相対的に構成され、かつ配置されている。いくつかの実施形態では、図示されているように、端面124Aは、アンダーカット146を形成するように軸方向後方に切り込まれるように形作られている。いくつかの実施形態では、端面124Aは、丸められているかまたは片持梁のように一端が突出しており、いくつかの実施形態では、円弧断面(すなわち、面Eと直交し、遠位指骨120の長軸と平行の断面)を有している。
【0074】
いくつかの実施形態によれば、アンダーカット146の深さD3は、約1mmから3mmの範囲内にある。いくつかの実施形態によれば、アンダーカット146の幅W1は、約10mmから25mmの範囲内にある。
【0075】
いくつかの実施形態では、プレート部材140は、剛性であり(例えば、鋼またはステンレス鋼から形成されており)、端面124Aは、比較的軟質または柔軟である(例えば、柔軟ゴムから形成されている)。図示されているように、遠位指骨120は、端面124Aを含む軟質パッド125を備えている。いくつかの実施形態では、パッド125は、約ショアA硬度0からショアA硬度60の範囲内、いくつかの実施形態では、約ショアA硬度10からショアA硬度40の範囲内にあるデュロメータ硬度を有しており、プレート部材140は、少なくとも約100GPa、いくつかの実施形態では、少なくとも180Gpの剛性を有している。
【0076】
プレート部材140は、「フィンガーネイル」の存在によって初めて可能または容易になる方法によって、対象物をピックアップし、係合し、および/または操作するのに用いることができる。薄い剛性のプレート部材140(フィンガーネイル)と柔軟な軟質パッド125(フィンガーチップ)との組合せによって、フィンガーは、それらの間(すなわち、アンダーカット146内に)対象物の縁を捕捉することが可能になる。例えば、もし対象物が支持面(例えば、テーブル面)上に配置されているなら、プレート部材140を支持面に対して押し付け、対象物の下方に(対象物と支持面との間に)平行移動させ、次いで、対象物を持ち上げることができる。柔軟屈曲関節JCは、フィンガーネイルシステム141の機能性を助長することになる。関節の柔軟性によって、プレート部材140は、支持面と適応的に真っ直ぐに並び、かつ支持面との接触を保持することができる。
【0077】
図30A,30Bを参照すると、対象物2(図示されているように、比較的平らなキー)を平面Z(例えば、テーブルまたは床)から把持し、ピックアップする一連のステップまたは運動を行う把持具20が示されている。
【0078】
当初、キー2は、平面Z上に平らに置かれている。
図30Aを参照すると、把持具20は、以下のように、すなわち、フィンガー70のプレート部材140の延長区域142が、アンダーカット146および軟質パッド125が延長区域142の上に位置するように、キー2の側縁2Aに近接して平面Z上に配置されるように、位置決めされる。フィンガー80の指骨120が、平面Zに置かれ、キー2およびフィンガー70に向かって方向Jに駆動され、これによって、フィンガー70,80が相対的にピックアップ形態に配置される。フィンガー80が方向Jに駆動されると、該フィンガー80は、キー2の側縁2Bに係合し、側縁2Aをプレート部材140上に(いくつかの実施形態では、アンダーカット146内および延長区域142と軟質パッド125間に)押し込む。フィンガー80の指骨120は、フィンガー70に向かって上方にさらに駆動され、側縁2Bを平面Zから持ち上げる。これによって、
図30Aに示されているように、キー2は、反転され、具体的には、その縁2Aを中心として上方に、かつ方向Kにおいてフィンガー70の端面124Aに向かって枢動し、縁2Aがプレート部材140とパッド125との間に捕捉されることになる。
図30Bを参照すると、フィンガー80は、キー2が(キー2の対向する面2D,2Cに係合する)フィンガー70,80のそれぞれの端面124A間に挟み込まれるまで、キー2を継続して持上げ、フィンガー70と会合することになる。
【0079】
従って、把持具20の1つまたは複数の「フィンガーネイル」およびフィンガー70,80(いくつかの実施形態では、基部30および/またはアーム12)の協働運動を用いて、キー(またはクレジットカードなど)のような比較的平らな対象物を把持し、平面から取り上げ、かつ操作することができる。
【0080】
いくつかの実施形態では、図示されているように、遠位指骨120の軸方向に延在する前方側縁126Aは、鋭利または明瞭な縁をなしており、前面124B(すなわち、接触または係合面)は、実質的に平坦であるかまたは平面である(
図9,10)。いくつかの実施形態によれば、前面124Bによって側縁126Aが形成される遠位指骨120の側壁は、実質的に平坦であり、前面124Bに隣接しており、いくつかの実施形態では、前面124Bをなす平面と実質的に直交して延在している。前面124Bは、テクスチャー加工されているとよい。図示されているように、これらの縁126Aおよび前面124Bは、軟質パッド125の縁および前面である。いくつかの実施形態では、前面124Bをなす平面は、枢動ピン軸FP−FPおよび屈曲関節主軸FB−FBと実質的に平行である。
【0081】
使用時において、前述の構成は、遠位指骨120を安定化させるのを助長することになる。例えば、フィンガー70,80が対象物をそれらの遠位指骨120間に摘むのに用いられるとき、鋭利な側縁126Aおよび平坦な前面124Bは、遠位指骨120がそれらの屈曲関節JCを中心として捻られる傾向を低減または排除することができる。また、鋭利な縁124Aは、対象物との確実かつ正確な係合を助長することができる。
【0082】
いくつかの実施形態では、遠位指骨120は、角柱状であり、実質的に矩形断面を有している。いくつかの実施形態では、近位指骨110も角柱状であり、実質的に矩形断面を有している。
【0083】
図15−22を参照すると、把持具20は、フィンガー70,80、90の各々を基部30に連結する磁気離脱システムまたは機構も備えているとよい。フィンガー70,80,90の各々に対する後退特徴部は、実質的に同一または同様であり、以下のフィンガー70に関する説明は、フィンガー80,90にも同じように適用される。
【0084】
磁気離脱システム150は、フィンガー基部サブマウント40および磁石基部サブマウント160を備えている。磁石166がサブマウント160内に固定されており、(例えば、鋼から形成された)強磁性部材またはプレート156がサブマウント40内に取り付けられている。磁場集中装置153がサブマウント160内に設けられていてもよい。
【0085】
サブマウント40は、回転位置合せ長孔154を画定する周方向に延在する位置決めフランジ152を有している。サブマウント160は、回転位置合せタブ164を有する周方向に延在する半環状位置決め溝162を有している。位置決めフランジ152は、タブ164が長孔154内に着座するように、位置決め溝162内に着座している。腱ケーブル60Aは、サブマウント40,60内にそれぞれ画定された軸方向腱配線路158,168を貫通している。同じように、フィンガー80の場合、腱ケーブル62Aは、配線路158,168を貫通している。親指90の場合、腱ケーブル64A,66Aは、軸方向配線路158,168のそれぞれを貫通している。
【0086】
使用時に、磁気離脱システム150は、フィンガーまたは関節の損傷のおそれを阻止または低減させるために、フィンガー70,80,90を基部30から離脱させるように機能することができる。フィンガーへの負荷が所定の閾値負荷を超えると、構成要素156,166間の磁気吸引力を上回り、サブマウント40がサブマウント160から(部分的または完全に)分離する。例えば、フィンガー70およびそのサブマウント40は、
図22に示されているように、協働するサブマウント160から撓み方向Gに撓むことになる。フィンガーへの負荷が(例えば、対象物を取り外すかまたは腱ケーブルをくり出すように関連するアクチュエータを操作することによって)解除されたとき、磁気吸引力または腱ケーブルの引張力がサブマウント40,160を再び互いに引き込む。例えば、フィンガー70およびそのサブマウント40は、
図22に示されて
いる戻り方向
Oに沿って協働するサブマウント160上に復帰、すなわち、逆方向枢動することになる。配線路158,168を通る腱の引張力は、サブマウント40,160を同軸配置させるように引き込む傾向にある。サブマウント160からのサブマウント40の離脱撓みが小さい場合、位置決め特徴部152,154,162,164の形状が、サブマウント40,160を回転整合位置に戻るように自動的に案内し、これによって、サブマウント40,160は、再び連結することになる。腱ケーブルに追加的な引張力を加えることによって、サブマウント40,160を回転整合位置に回転させてもよい。場合によっては、アクチュエータ68を用いてサブマウント160を回転させることによって、サブマウント40,160を回転させながら位置合わせさせてもよい。サブマウント160は、対応するサブマウント40に対して、それらの位置決め特徴部が互いに位置合せされるまで、摺動回転し、これによって、サブマウント40,160が互いに入れ子になって連結されることになる。場合によっては、手動によって、サブマウント40,160を再位置合せし、再着座させることが必要なこともある。
【0087】
いくつかの実施形態では、磁気離脱システム150は、重量のある対象物を持ち上げる把持具20の能力を損なわないようになっている。1つまたは複数の腱ケーブルがサブマウント40,160の両方を軸方向に通って磁石166の面と実質的に直交して延在しているので、腱ケーブルが、サブマウント40,160を一緒に引っ張っている。典型的には、サブマウント40,160のみは、フィンガーへのねじり力によって、離脱されることになる。
【0088】
前述したように、かつ
図5に示されているように、親指90は、対応するアクチュエータ64,66に接続された2つの独立した腱ケーブル64A,66Aを備えている。腱ケーブル64Aは、作動筋腱と見なされており、腱ケーブル66Aは、拮抗筋腱と見なされている。
【0089】
腱ケーブル64Aは、前述したのと同じように、親指90の遠位指骨120に導かれ、かつ係留されている。腱ケーブル66Aは、外側配線路158,168内を通って、ヒンジ特徴部42上を導かれ、近位骨指110の後側にネジ43によって係留されている。
【0090】
腱ケーブル64Aを用いることによって、フィンガー70,80に対して前述したのと同じように操作可能であることに加えて、腱ケーブル64A,66Aを一緒に用いることによって、親指90の遠位指骨120の運動をその近位指骨110から独立して制御することができる。さらに具体的には、腱ケーブル66Aを用いることによって、アクチュエータ64が腱ケーブル64Aを引き込む間、近位指骨110を適所に保持し、近位指骨110を閉方向Fにおけるさらなる回転に対して効果的に引き止めることができる。近位指骨110が適所に保持されているので、遠位指骨120は、閉方向Fにおける近位指骨110の同時枢動をもたらすことなく、屈曲関節JCにおいて、方向Mに独立して屈曲されることになる。腱ケーブル66Aは、遠位指骨120が屈曲関節JCを中心として方向Nに戻るように弾性的に屈曲することが可能となるように、延在していてもよい。
【0091】
いくつかの実施形態によれば、腱ケーブル60A,62A,64A,66Aは、約60lbfから120lbfの範囲内の持続引張力を伝達することができ、曲げ時にエネルギーを貯蔵し、1mm未満の半径曲げに対して堅牢である。
【0092】
以上の説明は、本発明の例示にすぎず、本発明を制限すると解釈されるべきではない。本発明のわずかな例示的実施形態について説明してきたが、当業者であれば、本発明の新規の示唆および利点から実質的に逸脱することなく、例示的実施形態に対して多くの修正が可能であることを容易に理解するだろう。従って、このような修正の全てが本発明の範囲内に含まれることが意図されている。それ故、前述の説明は、本発明の例示にすぎず、開示されている特定の実施形態に制限されるものではないこと、および開示された実施形態に対する修正および他の実施形態は、本発明の範囲内に含まることが意図されていることを理解されたい。
[実施形態1]
柔軟劣駆動把持具であって、
基部と、
複数のフィンガーであって、前記複数のフィンガーの少なくとも1本は、
近位指骨と、
前記近位指骨を前記基部に接続する近位関節と、
遠位指骨と、
前記遠位指骨を前記近位指骨に接続する遠位関節と、
前記指骨を移動させるための部材と、
を備えており、
前記近位関節および前記遠位関節の少なくとも1つは、屈曲関節を含んでおり、前記屈曲関節は、前記屈曲関節の第1の方向において第1の柔軟性を有し、前記屈曲関節の第2の方向において第2の柔軟性を有しており、前記第2の柔軟性は、前記第1の柔軟性と比較して曲がらないほど小さくなっており、
前記遠位指骨は、
丸い端面と、
前記丸い端面に隣接する持上げ縁を備える持上げ部と、
を備えており、
前記部材は、前記屈曲関節の前記第1の方向と平行に作用するようになっている、
複数のフィンガーと、
前記部材に関連付けられた少なくとも1つのアクチュエータと、
を備えており、
前記把持具は、自由度よりも少ないアクチュエータを有している、
柔軟劣駆動把持具。
[実施形態2]
前記持上げ縁は、自由端末縁であり、
前記遠位指骨は、前記丸い端面と前記持上げ縁の間に画定された持上げ溝を備えている、
実施形態1に記載の把持具。
[実施形態3]
前記丸い端面は、前記持上げ溝の長軸と実質的に直交する面において円弧を画定している、実施形態2に記載の把持具。
[実施形態4]
前記持上げ溝は、約1mmから3mmの範囲内の深さを有している、実施形態2に記載の把持具。
[実施形態5]
前記丸い端面は、前記持上げ部よりも軟質な材料から形成されている、実施形態1に記載の把持具。
[実施形態6]
前記丸い端面の前記軟質材料は、約ショアA硬度0からショアA硬度60の範囲内にある硬度を有しており、
前記持上げ部は、少なくとも約100GPaの硬度を有している、
実施形態5に記載の把持具。
[実施形態7]
前記丸い端面に対する前記持上げ縁の位置を選択的に調整するように操作可能な調整機構を備えている、実施形態1に記載の把持具。
[実施形態8]
前記遠位指骨は、実質的に平坦な内側把持面と、互いに向き合って軸方向に延在する明瞭な内側縁と、を有している、実施形態1に記載の把持具。
[実施形態9]
柔軟劣駆動把持具であって、
基部と、
複数のフィンガーであって、前記複数のフィンガーの少なくとも1本は、
近位指骨と、
前記近位指骨を前記基部に接続する近位関節と、
遠位指骨と、
前記遠位指骨を前記近位指骨に接続する遠位関節と、
前記指骨を移動させるための部材と、
を備えており、
前記近位関節および前記遠位関節の少なくとも1つは、屈曲関節を含んでおり、前記屈曲関節は、前記屈曲関節の第1の方向において第1の柔軟性を有し、前記屈曲関節の第2の方向において第2の柔軟性を有しており、前記第2の柔軟性は、前記第1の柔軟性と比較して曲がらないほど小さくなっており、
前記部材は、前記屈曲関節の前記第1の方向と平行に作用するようになっている、
複数のフィンガーと、
前記部材に関連付けられた少なくとも1つのアクチュエータと、
を備えており、
前記遠位指骨は、実質的に平坦な内側把持面と、互いに向き合って軸方向に延在する明瞭な内側縁と、を有しており、
前記把持具は、自由度よりも少ないアクチュエータを有している、
柔軟劣駆動把持具。
[実施形態10]
前記平坦な内側把持面は、前記屈曲関節の主曲げ軸と実質的に平行になっている、実施形態9に記載の把持具。
[実施形態11]
前記平坦な内側把持面は、エラストマー材料から形成されている、実施形態9に記載の把持具。
[実施形態12]
前記屈曲関節は、エラストマー材料から形成された屈曲リンクを備えている、実施形態9に記載の把持具。
[実施形態13]
前記遠位指骨は、前記第1の方向と直交する実質的に矩形断面を有している、実施形態9に記載の把持具。
[実施形態14]
柔軟劣駆動把持具であって、
基部と、
2本のフィンガーおよび前記2本のフィンガーと向き合う親指であって、前記フィンガーおよび前記親指の各々は、
近位指骨と、
遠位指骨と、
前記近位指骨を前記遠位指骨に直接接続する遠位関節であって、第1の方向において追従するようになっている、遠位関節と、
前記近位指骨を前記基部に直接接続する近位関節であって、第2の方向において追従するようになっている、遠位関節と、
前記近位指骨および前記遠位指骨を移動させるための腱ケーブルであって、前記第1の追従性の方向と実質的に平行であり、前記第1の方向における前記遠位関節の前記追従性を実質的に変化させるようになっている、腱ケーブルと、
を備えている、2本のフィンガーおよび親指と、
前記フィンガーおよび親指を移動させる少なくとも1つのアクチュエータと、
を備えており、
各遠位指骨は、前記遠位指骨に接続された前記近位指骨の長さの0.60倍から0.66倍の長さを有しており、
前記親指に対する前記2本のフィンガーの各々の前記近位関節からの平均距離は、前記2本のフィンガーの前記近位指骨の平均長さの1.30倍から1.44倍であり、
前記把持具は、自由度よりも少ないアクチュエータを有している、
柔軟劣駆動把持具。
[実施形態15]
前記基部は、前記フィンガーと前記親指との間に掌を備えており、
前記掌は、前記近位指骨の前記平均長さの約1.21倍から1.33倍の範囲内にある主寸法を有している、
実施形態14に記載の把持具。
[実施形態16]
前記フィンガーの前記近位関節間の間隔は、前記近位指骨の前記平均長さの約0.97倍から1.08倍の範囲内にある、実施形態14に記載の把持具。
[実施形態17]
柔軟劣駆動把持具であって、
掌基部と、
2本のフィンガーであって、前記フィンガーの各々は、
近位指骨と、
遠位指骨と、
前記遠位指骨を前記近位指骨に接続する柔軟屈曲関節と、
前記近位指骨を前記掌基部に接続するピン関節であって、ピン枢軸を中心とする回転に対して、前記掌基部に対する前記近位指骨の角運動を拘束するようになっている、ピン関節と、
を備えている、2本のフィンガーと、
前記フィンガーを移動させるための少なくとも1つのアクチュエータと、
を備えており、
前記把持具は、自由度よりも少ないアクチュエータを有している、
柔軟劣駆動把持具。
[実施形態18]
各フィンガーに関連付けられたピン関節角度センサを備えている、実施形態17に記載の把持具。
[実施形態19]
各フィンガーを前記掌基部に接続する回転関節を備えており、前記フィンガーは、そのピン枢軸を前記掌基部に対して再配向させるために、前記回転関節を中心として前記掌基部に対して回転可能になっている、実施形態17に記載の把持具。
[実施形態20]
親指であって、
近位指骨と、
遠位指骨と、
前記遠位指骨を前記近位指骨に接続する柔軟屈曲関節と、
前記近位指骨を前記掌基部に接続するピン関節であって、ピン枢軸を中心とする回転に対して、前記掌基部に対する前記近位指骨の角運動を拘束するようになっている、ピン関節と、
を備えている、親指と、
前記フィンガーから独立して前記親指を移動させる少なくとも1つのアクチュエータと、
をさらに備えている、実施形態17に記載の把持具。
[実施形態21]
柔軟劣駆動把持具であって、
掌基部と、
2本のフィンガーであって、前記フィンガーの各々は、
近位指骨と、
遠位指骨と、
前記遠位指骨を前記近位指骨に接続する柔軟屈曲関節と、
前記近位指骨を前記掌基部に接続するピン関節であって、ピン枢軸を中心とする主要自由度を有している、ピン関節と、
前記近位指骨および遠位指骨を移動させるための腱ケーブルであって、前記腱ケーブルの運動は、前記屈曲関節を中心とする前記遠位指骨の角運動よりも大きい割合で前記ピン枢軸を中心とする前記近位指骨の角運動を生じさせるようになっている、腱ケーブルと、
を備えている、2本のフィンガーと、
前記フィンガーを移動させる少なくとも1つのアクチュエータと、
を備えており、
前記把持具は、自由度よりも少ないアクチュエータを有している、
柔軟劣駆動把持具。
[実施形態22]
前記屈曲関節は、柔軟なエラストマー材料から形成された屈曲リンクを備えている、実施形態21に記載の把持具。
[実施形態23]
前記枢動関節は、前記近位指骨を前記枢動関節を中心として第1の方向および第2の方向に回転させるために、前記近位指骨を前記掌基部に接続しており、
前記把持具は、前記近位指骨を前記第2の方向に駆動して戻り位置に至らせる戻り付勢バネを備えており、
戻り付勢バネは、第1のバネ率を有しており、
前記屈曲関節は、前記遠位指骨を前記近位指骨に対して開位置に付勢するように構成されており、第2のバネ率を有しており、
前記第2のバネ率は、前記第1のバネ率よりも大きくなっている、
実施形態21に記載の把持具。
[実施形態24]
前記第2のバネ率は、前記第1のバネ率の少なくとも8倍になっている、実施形態23に記載の把持具。
[実施形態25]
前記第1のバネ率は、前記腱ケーブルを緩めることによって、前記近位指骨を前記把持具の任意の方位における前記戻り位置に保持するのに十分になっており、
前記第2のバネ率は、前記腱ケーブルを緩めることによって、前記遠位指骨を前記把持具の任意の方位における前記開位置に保持するのに十分になっている、
実施形態23に記載の把持具。
[実施形態26]
柔軟劣駆動把持具であって、
掌基部と、
2本のフィンガーであって、前記フィンガーの各々は、
近位指骨と、
遠位指骨と、
前記遠位指骨を前記近位指骨に接続する柔軟屈曲関節と、
前記近位指骨を前記枢動関節を中心として第1の方向および第2の方向に回転させるために、前記近位指骨を前記掌基部に接続する枢動関節と、
前記近位指骨を前記第1の方向に移動させるための腱ケーブルと、
前記近位指骨を前記第2の方向に駆動して戻り位置に至らせる戻り付勢バネであって、前記戻り付勢バネの前記バネ率は、前記腱ケーブルを緩めることによって、前記近位指骨を前記把持具の任意の方位における前記戻り位置に保持するのに十分になっている、戻り付勢バネと、
を備えている、2本のフィンガーと、
各腱ケーブルに関連付けられた少なくとも1つのアクチュエータと、
を備えており、
前記把持具は、自由度よりも少ないアクチュエータを有している、
柔軟劣駆動把持具。
[実施形態27]
前記戻り付勢バネは、ねじりバネを含んでいる、実施形態26に記載の把持具。
[実施形態28]
基部と、
近位関節によって前記基部に接続された近位端を有するフィンガーと、
前記基部に対して前記フィンガーを移動させるように構成された腱ケーブルと、
前記フィンガーを前記基部に離脱可能に連結する磁気離脱機構と
を備えている,把持具。
[実施形態29]
前記腱ケーブルは、前記磁気離脱機構を通って前記フィンガーに延在している、実施形態28に記載の把持具。
[実施形態30]
前記磁気離脱機構は、
フィンガーサブマウントであって、前記フィンガーが前記近位関節によって前記フィンガーサブマウントに枢動可能に接続されている、フィンガーサブマウントと、
前記基部上の基部サブマウントと、
を備えており、
前記フィンガーサブマウントおよび前記基部サブマウントは、磁気的に互いに吸引されており、前記フィンガーサブマウントは、前記基部サブマウントを介して前記基部に接続されている、
実施形態29に記載の把持具。
[実施形態31]
前記磁気離脱機構は、前記フィンガーサブマウントおよび前記基部サブマウントが分離し、次いで、再接合されたとき、前記フィンガーサブマウントを前記基部サブマウントと再び真っ直ぐに並べる少なくとも1つの位置決め特徴部を備えている、実施形態30に記載の把持具。
[実施形態32]
前記少なくとも1つの位置決め特徴部は、環状または半環状溝を備えている、実施形態31に記載の把持具。
[実施形態33]
前記磁気離脱機構は、閾値負荷を越える負荷が前記フィンガーに加えられたとき、前記フィンガーを解放し、前記基部に対して撓ませるように、操作可能になっている、実施形態28に記載の把持具。
[実施形態34]
柔軟劣駆動把持具であって、
基部と、
2本のフィンガーおよび前記2本のフィンガーと向き合う親指であって、前記フィンガーおよび前記親指の各々は、
近位指骨と、
遠位指骨と、
前記近位指骨を前記遠位指骨に直接接続する遠位関節であって、第1の方向において追従するようになっている、遠位関節と、
前記近位指骨を前記基部に直接接続する近位関節であって、第2の方向において追従するようになっている、近位関節と、
前記近位指骨および遠位指骨を移動させるための腱ケーブルであって、前記第1の柔軟性の方向と実質的に平行であり、前記第1の方向における前記遠位関節の前記柔軟性を実質的に変化させるようになっている、腱ケーブルと、
を備えている、2本のフィンガーおよび親指と、
前記フィンガーおよび親指を移動させる少なくとも1つのアクチュエータと、
を備えており、
前記親指は、前記近位指骨から独立して前記遠位指骨の運動を可能にするために、前記近位指骨を前記第1の腱ケーブルの反対側において選択的に拘束するための第2の腱ケーブルをさらに備えており、
前記把持具は、自由度よりも少ないアクチュエータを有している、
柔軟劣駆動把持具。
[実施形態35]
前記親指の前記第1の腱ケーブルを作動させる第1のアクチュエータと、前記親指の前記第2の腱ケーブルを作動させる第2のアクチュエータと、を備えている、実施形態34に記載の把持具。
[実施形態36]
各フィンガーは、前記近位指骨から独立して前記遠位指骨の運動を可能にするために前記近位指骨を前記腱ケーブルの反対側において選択的に拘束するための腱を備えていない、実施形態34に記載の把持具。
[実施形態37]
柔軟劣駆動把持具であって、
基部と、
2本のフィンガーおよび前記2本のフィンガーと向き合う親指であって、前記フィンガーおよび親指の各々は、
近位指骨と、
遠位指骨と、
前記近位指骨を前記遠位指骨に直接接続する遠位関節であって、第1の方向において追従するようになっている、遠位関節と、
前記近位指骨を前記基部に直接接続する近位関節であって、第2の方向において追従するようになっている、近位関節と、
前記近位指骨および遠位指骨を移動させるための腱ケーブルであって、前記第1の柔軟性の方向と実質的に平行であり、前記第1の方向における前記遠位関節の前記柔軟性を実質的に変化させるようになっている、腱ケーブルと、
を備えている、2本のフィンガーおよび親指と、
前記フィンガーおよび親指を移動させる少なくとも1つのアクチュエータと、
を備えており、
前記腱ケーブルは、約60lbfから120lbfの範囲内にある持続引張負荷を伝達することができ、曲げ時に低エネルギー貯蔵をもたらし、1mm未満の半径曲げに対して堅牢であり、
前記把持具は、自由度より少ないアクチュエータを有している、
柔軟劣駆動把持具。
[実施形態38]
前記フィンガーおよび前記親指の少なくとも1本は、前記近位関節を前記基部に離脱可能に連結する磁気離脱機構を備えている、実施形態37に記載の把持具。