(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6811286
(24)【登録日】2020年12月16日
(45)【発行日】2021年1月13日
(54)【発明の名称】排水機能付スコップ
(51)【国際特許分類】
E02F 3/02 20060101AFI20201228BHJP
【FI】
E02F3/02 H
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2019-112494(P2019-112494)
(22)【出願日】2019年6月18日
(65)【公開番号】特開2020-204190(P2020-204190A)
(43)【公開日】2020年12月24日
【審査請求日】2019年6月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】319005707
【氏名又は名称】門脇 重雄
(74)【代理人】
【識別番号】100206461
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 司
(72)【発明者】
【氏名】門脇 重雄
【審査官】
富士 春奈
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−196095(JP,A)
【文献】
実開昭60−022548(JP,U)
【文献】
特開2006−063740(JP,A)
【文献】
特開2018−031180(JP,A)
【文献】
実開昭51−078602(JP,U)
【文献】
特開2020−094772(JP,A)
【文献】
特開平06−233726(JP,A)
【文献】
特開2013−111453(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 1/00−3/26、3/40、
3/407、3/46−3/60
A01B 1/00、1/16
B62B 1/10、3/00
A47J 43/28
A47L 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スコップ本体と、該スコップ本体に一端が取り付けられた柄部と、該柄部の他端に取り付けられた把持部からなるスコップであって、前記スコップ本体は、底面部前端に掬い部を備え、底面部後端に上面が開口した容器体であって前記掬い部よりも深さのある溜り部を備えているとともに、該溜り部は左右側壁面の上端に排水用の注ぎ口を有しており、各側壁面とこれに対応する注ぎ口は、一定角度の傾斜面を介して連設されていることを特徴とするスコップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚泥や泥水などの流体物を掬い上げる機能を有する排水機能付スコップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、水が溜まった場所においてポンプを使用して排水などの作業を行う場合は、ポンプの構造上、一定の深さまでしか排水することができなかった。また、落葉や小石など少量の堆積物あるため、これを吸い込んでポンプが破損することも多かった。そして、ポンプを使用するには、必ず電力やエンジンなどが必要となるため、使用場所にも制限があった。
【0003】
そこで、スコップを用いて排水などの作業を行う場合があるが、この場合、従来のスコップで掬い上げることのできる水の量は非常に少なく、作業範囲が広範であればスコップに水を入れたまま移動しなければならないため取りこぼす量が多くなり、また、作業回数も多くなって、非効率であるという問題があった。
【0004】
さらに、浸水災害が発生した際に屋内に浸水した泥水等を排除しようとする場合、ポンプによる排水では、家屋の構造上、困難な場合が多々ある。そして、スコップによる排水作業では効率が非常に悪い。また、塵取りや小型のバケツなどを使用して排水作業をする場合もあるが、不衛生で、かつ危険な場合もある。
【0005】
特開2013−194417号公報によれば、バケット部と該バケット部に連結された一対のハンドル部からなる、バケツ機能付きスコップが提案されているが、バケット部の上部にハンドル部が接合されているため、これを排水作業に使用した場合は、作業者が汚水等の溜まった箇所に入っていかなければならず、不衛生であり、かつ危険性も高まってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−194417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、上記課題を解決するため、汚水や泥水などの排水作業に適した排水機能付スコップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する為、請求項1記載の発明は、掬い部と、該掬い部に一端が取り付けられた柄部と、該柄部の他端に取り付けられた把持部からなるスコップあって、前記掬い部は、底面部前端に掬い部が、底面部後端に上面が開口した容器体である溜り部を備えていることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2記載の発明は、前記掬い部は、左右側壁面の上端に排水用の注ぎ口を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の排水機能付スコップによれば、屋内外において、局所的に溜まった汚水や汚泥などの流体物を、排出箇所まで押し出さなくても、局所的に掬い上げることができるので、効率的に排水を行うことが可能となる。
【0011】
また、本発明の排水機能付スコップによれば、従来のスコップに比べて掬い上げることのできる量が多いため、作業性や作業速度が向上し、効率のよい作業が可能となる。
【0012】
また、本発明の排水機能付スコップは、一定の長さを有する柄部を備えていることから、汚水や汚泥に限らず、畜舎などの糞尿なども衛生的に処理することが可能となる。
【0013】
さらに、本発明の排水機能付スコップは、電力や動力を用いる必要がないため、緊急時や災害時などにおいても即時に作業することが可能であり、かつ、需要者に安価で提供できることから、一般家庭でも常備し易いという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係る排出機能付スコップの全体を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る排出機能付スコップを示す一部側面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る排出機能付スコップの掬い部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1〜3は、本発明に係る排水機能付スコップの一実施形態を示す全体斜視図、一部側面図、掬い部の斜視図である。
【0016】
本発明に係る排水機能付スコップ1は、棒状の柄部3の一端にスコップ本体2が接合され、該柄部3の他端に把持部4が接合されて構成される。
【0017】
スコップ本体2は、前端の掬い部5と後端の溜り部6により構成される。
【0018】
掬い部5は、底面部17と、その先端部に設けられる刃先部13と、底面部17の左右両端に立設される前端側壁部14a、14bとから構成される。
【0019】
溜り部6は、スコップ本体2の後端に設けられる上面が開口した一定の深さを有する容器体であって、折曲された底面部17と、該底面部17の左右両端に立設される後端側壁部15a、15bと、底面部17の後端に立設される背壁部16とから構成される。
【0020】
上記構成により、スコップ1を前方に押し出すだけで、刃先部13及び掬い部5から流入した泥水や汚水等を、溜り部6内に溜めておくことが可能となる。
【0021】
また、溜り部6は、後端側壁部15a、15bの上方の位置に、略半円形状の排水用注ぎ口11、12をそれぞれ備えている
【0022】
前記注ぎ口11、12により、スコップ本体2を左右に傾けるだけで溜り部6に溜まった泥水等の流体物を容易に排出することが可能となる。
【0023】
なお、後端側壁部15a、15bは、各側壁部の外側に一定角度傾斜した面を有しており、排水部11、12から貯留した泥水等を排水し易くしている。
【0024】
本実施形態においては、底面部17を一枚の板体を折曲加工して掬い部5と溜り部6の底面とし、また、前端側壁部と後端側壁部もそれぞれ一枚の板体から構成されているが、このような構成に限らず、別々に製作された掬い部と溜り部とを接合して一体化した構成としてもよい。
【0025】
柄部3は、一定の長さを有していることが必要ではあるが、その長さについては特に限定されるものではなく、使用場所に応じて変更可能である。
【0026】
把持部4は、本実施形態においては三角形状をしているが、これに限定されず、棒状であってもよい。
【0027】
本発明の排水機能付スコップについては、本実施形態に限定されるものではなく、柄の長さや、掬い部と溜り部のサイズを様々な大きさに変更することができ、そのため、各種用途に応じたものを提供することできる。
【0028】
また、溜り部6の底面や側壁部に複数の孔を設けることで、石や砂などの堆積物と水分を分別して掬い上げることが可能となり、側溝の掃除などで使用することができる。
【符号の説明】
【0029】
1 スコップ
2 スコップ本体
3 柄部
4 把持部
5 掬い部
6 溜り部
11、12 注ぎ口