(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6811318
(24)【登録日】2020年12月16日
(45)【発行日】2021年1月13日
(54)【発明の名称】カテーテル及び医療機器の製造方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/25 20210101AFI20201228BHJP
【FI】
A61B5/04 300J
【請求項の数】18
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-522541(P2019-522541)
(86)(22)【出願日】2017年10月20日
(65)【公表番号】特表2019-532754(P2019-532754A)
(43)【公表日】2019年11月14日
(86)【国際出願番号】US2017057655
(87)【国際公開番号】WO2018085062
(87)【国際公開日】20180511
【審査請求日】2019年7月4日
(31)【優先権主張番号】62/415,797
(32)【優先日】2016年11月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511177374
【氏名又は名称】セント・ジュード・メディカル,カーディオロジー・ディヴィジョン,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リンダ ケイ ネメック
(72)【発明者】
【氏名】フォス ウルス クーン
【審査官】
藤原 伸二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−224364(JP,A)
【文献】
特開2011−045720(JP,A)
【文献】
特開2016−097307(JP,A)
【文献】
特開平07−088093(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/0408−5/0492
A61M 25/00−25/18
A61B 17/00−18/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位領域と、ネック領域と、平面内に配置される少なくとも部分的なループになるように構成された遠位領域と、を有するカテーテル本体と、
前記遠位領域に配置された1又は複数の電極と、
前記近位領域に接合され、アクチュエータを含むハンドルと、
前記アクチュエータ及び前記遠位領域に結合される作動ワイヤであって、ユーザが前記アクチュエータを作動させたときに、前記作動ワイヤが作動されて、前記遠位領域の前記少なくとも部分的なループの半径を変化させる前記作動ワイヤと、
前記作動ワイヤが作動されたときに、前記ネックの傾きを防止する前記ネック内のチューブ状の拘束部材と、
前記ネック及び前記遠位領域の少なくとも一部を通って延在し、前記遠位領域の前記一部を前記少なくとも部分的なループに成形する形状記憶ワイヤと、
を備えており、
前記作動ワイヤ及び前記形状記憶ワイヤは、前記拘束部材内に拘束される、
カテーテル。
【請求項2】
前記拘束部材は、硬質チューブを備える、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記拘束部材は、金属チューブを備える、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記拘束部材は、圧縮コイルを備える、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記拘束部材は、コイルばねを備える、請求項4に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記圧縮コイルは、0.002インチ(0.051mm)の直径を有する巻線を備える、請求項4又は5に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記拘束部材の内径は、前記作動ワイヤ及び前記形状記憶ワイヤを合わせた厚みよりも最大で0.003インチ(0.076mm)大きい、請求項1〜6のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記拘束部材の内径は、前記作動ワイヤ及び前記形状記憶ワイヤを合わせた厚みよりも最大で0.002(0.051mm)インチ大きい、請求項7に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記拘束部材は、全長を有し、
前記拘束部材の前記全長の40%が前記カテーテル本体の前記近位領域と平行に延び、前記拘束部材の前記全長の60%が前記カテーテル本体の前記遠位領域の前記平面内にある、請求項1〜8のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項10】
軸に沿って延びる近位領域と、前記近位領域の前記軸に直交する平面内に配置された少なくとも部分的なループになるように構成された遠位領域と、前記近位領域と前記遠位領域の間のネック領域と、を有するカテーテル本体と、
前記遠位領域に配置された1又は複数の電極と、
前記近位領域に接合され、アクチュエータを含むハンドルと、
前記アクチュエータ及び前記遠位領域に結合される作動ワイヤであって、ユーザが前記アクチュエータを作動させたときに、前記作動ワイヤが作動されて、前記遠位領域の前記少なくとも部分的なループの半径を変化させる前記作動ワイヤと、
前記ネック領域及び前記遠位領域の少なくとも一部を通って延在し、前記遠位領域の前記一部を前記少なくとも部分的なループに成形する形状記憶ワイヤと、
前記ネック領域内の非変形性の拘束部材と、
を備え、
前記作動ワイヤ及び前記形状記憶ワイヤが、前記非変形性の拘束部材内に配置される、
カテーテル。
【請求項11】
前記非変形性の拘束部材は、前記カテーテル本体の前記遠位領域が前記カテーテル本体の前記近位領域に対して、前記カテーテル本体の前記近位領域の前記軸から最大10度まで傾くことを許容する、請求項10に記載のカテーテル。
【請求項12】
前記非変形性の拘束部材は、ばね鋼コイルを備える、請求項10又は11に記載のカテーテル。
【請求項13】
前記非変形性の拘束部材の内径は、前記作動ワイヤ及び前記形状記憶ワイヤを合わせた厚みよりも最大で0.003インチ(0.076mm)大きい、請求項10〜12のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項14】
前記非変形性の拘束部材の第1の部分は、前記カテーテル本体の前記近位領域の前記軸に沿って延びており、
前記非変形性の拘束部材の第2の部分は、前記カテーテル本体の前記遠位領域の前記平面内で延びている、請求項10〜13のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項15】
医療機器の製造方法であって、
1又は複数の電極が配置された遠位領域、及び近位領域を有する細長の本体を形成する工程と、
前記本体の遠位領域内に形状記憶ワイヤを配置して、前記本体の前記遠位領域を前記近位領域の軸に直交する平面内に配置された少なくとも部分的なループになるように構成し、それによって、前記近位領域と前記遠位領域の間にネック領域を形成する工程と、
前記細長の本体を通るように作動ワイヤを配置する工程と、
前記作動ワイヤを前記遠位領域に固定する工程と、
前記ネック領域内で、前記形状記憶ワイヤ及び前記作動ワイヤの周りに非変形性の拘束部材を形成する工程、
を備える、方法。
【請求項16】
前記ネック領域内で、前記形状記憶ワイヤ及び前記作動ワイヤの周りに非変形性の拘束部材を形成する前記工程は、前記ネック領域内で、圧縮コイルで前記形状記憶ワイヤ及び前記作動ワイヤを囲む工程を備える、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記非変形性の拘束部材の内径は、前記形状記憶ワイヤ及び前記作動ワイヤを合わせた厚みを最大で0.003インチ(0.076mm)超える、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記細長の本体の前記近位領域を、アクチュエータを含むハンドルに固定する工程と、
ユーザが前記アクチュエータを作動させたときに、前記作動ワイヤが作動されて、前記遠位領域の前記少なくとも部分的なループの半径を変化させるように、前記作動ワイヤを前記アクチュエータに固定する工程、をさらに備える、請求項15〜17のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年11月1日に出願された米国特許仮出願第62/415,797号の利益を主張し、この出願は本明細書に完全に記載されているかのように参照により組み込まれる。
【0002】
本開示は、電気生理学的研究などの医療処置に使用するためのカテーテルに関する。特に、本開示は、肺静脈口などの患者の解剖学的構造の環状領域又はその近傍における診断及び治療処置に使用するためのカテーテルに関する。
【背景技術】
【0003】
カテーテルは、ますます多くの処置に使用されている。例えば、カテーテルは、ほんの数例を挙げると、診断的、治療的、及び切除的処置に使用される。典型的には、カテーテルは、患者の脈管構造を通して意図された部位、例えば患者の心臓内の部位まで操作される。
【0004】
典型的な電気生理学的カテーテルは、細長いシャフトと、シャフトの遠位端にある1又は複数の電極を含む。電極は、切除、診断などのために使用されてよい。多くの場合、これらの電極は、カテーテルシャフトの全周にわたって延びるリング電極である。
【0005】
電気生理学的カテーテルの1つの特定の用途は、心臓の心房領域、特に心房細動の起点又は焦点であることが多い肺静脈をマッピングすることである。このような電気生理学的マッピングカテーテルは、典型的には、カテーテルシャフトの長手方向軸にほぼ直交する平面内に配向される少なくとも部分的なループ形状をその遠位端に有しており、それにより、ループで肺静脈口を囲むことが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、患者の解剖学的構造は様々であるため、カテーテルのループ部分を正確に肺静脈口に適切に配置することが困難な場合がある。したがって、現存するカテーテルの多くは、ループ部分が、カテーテルシャフトの近位端に取り付けられた制御ハンドルを介して調節することができる可変半径を有するように構成されている。しかしながら、時折、ループ部分の半径調整により、カテーテルの「ネック」(すなわち、カテーテルが比較的真っ直ぐな近位部分からループ状の遠位部分へ移行する部分)が「傾く」(すなわち、カテーテルシャフトの比較的真っ直ぐな近位部分に対してループが位置する平面が偏向する)という意図しない結果がもたらされる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書は、近位領域と、ネック領域と、平面内に配置される少なくとも部分的なループになるように構成された遠位領域と、を有するカテーテル本体と、近位領域に接合され、アクチュエータを含むハンドルと、アクチュエータ及び遠位領域に結合される作動ワイヤであって、ユーザがアクチュエータを作動させたときに、作動ワイヤが作動されて、遠位領域の少なくとも部分的なループの半径を変化させる作動ワイヤと、作動ワイヤが作動されたときに、ネックの傾きを防止するネック内のチューブ状の拘束部材と、を含むカテーテルを開示する。カテーテルはまた、遠位領域に配置された複数の電極を含んでもよい。
【0008】
本開示の態様によれば、カテーテルは、ネック及び遠位領域の少なくとも一部を通って延在し、遠位領域の一部を少なくとも部分的なループに成形する形状記憶ワイヤをさらに含む。作動ワイヤと形状記憶ワイヤの両方が、拘束部材内に拘束されてもよい。実施形態では、拘束部材の内径は、作動ワイヤ及び形状記憶ワイヤを合わせた厚みよりも最大で0.003インチ大きい。他の実施形態では、拘束部材の内径は、作動ワイヤ及び形状記憶ワイヤを合わせた厚みよりも最大で0.002インチ大きい。
【0009】
拘束部材は、硬質チューブ、金属チューブ、又は、コイルばねや約0.002インチの直径を有する巻線などの圧縮コイルであってよい。拘束部材はまた、全長を有する。実施形態では、拘束部材の全長の約40%がカテーテル本体の近位領域と平行に延びてもよく、一方で、拘束部材の全長の約60%がカテーテル本体の遠位領域の平面内にあってもよい。
【0010】
本明細書はまた、軸に沿って延びる近位領域と、近位領域の軸に直交する平面内に配置された少なくとも部分的なループになるように構成された遠位領域と、近位領域と遠位領域の間のネック領域と、を有するカテーテル本体と、近位領域に接合され、アクチュエータを含むハンドルと、アクチュエータ及び遠位領域に結合される作動ワイヤであって、ユーザがアクチュエータを作動させたときに、作動ワイヤが作動されて、遠位領域の少なくとも部分的なループの半径を変化させる作動ワイヤと、ネック領域及び遠位領域の少なくとも一部を通って延在し、遠位領域の一部を少なくとも部分的なループに成形する形状記憶ワイヤと、ネック領域内の非変形性の拘束部材と、を含み、作動ワイヤ及び形状記憶ワイヤが、非変形性の拘束部材内に配置される、カテーテルを開示する。非変形性の拘束部材は、カテーテル本体の遠位領域がカテーテル本体の近位領域に対して、カテーテル本体の近位領域の軸から最大10度まで傾くことを許容すると考えられる。したがって、実施形態では、非変形性の拘束部材は、ばね鋼コイルであってよい。非変形性の拘束部材の内径も、作動ワイヤ及び形状記憶ワイヤを合わせた厚みよりも最大で0.003インチ大きくてもよい。
【0011】
本開示の実施形態では、非変形性の拘束部材の第1の部分は、カテーテル本体の近位領域の軸に沿って延びてよく、非変形性の拘束部材の第2の部分は、カテーテル本体の遠位領域の平面内で延びてよい。
【0012】
本開示の別の態様によれば、医療機器の製造方法は、以下の工程、すなわち、遠位領域及び近位領域を有する細長の本体を形成する工程と、本体の遠位領域内に形状記憶ワイヤを配置して、本体の遠位領域を近位領域の軸に直交する平面内に配置された少なくとも部分的なループになるように構成し、それによって、近位領域と遠位領域の間にネック領域を形成する工程と、細長の本体を通るように作動ワイヤを配置する工程と、作動ワイヤを遠位領域に固定する工程と、ネック領域内で、形状記憶ワイヤ及び作動ワイヤの周りに非変形性の拘束部材を形成する工程、を含む。非変形性の拘束部材は、ネック領域内で、圧縮コイルで形状記憶ワイヤ及び作動ワイヤを囲むことによって、ネック領域内で、形状記憶ワイヤ及び作動ワイヤの周りに形成されてもよい。非変形性の拘束部材の内径は、形状記憶ワイヤ及び活性化ワイヤを合わせた厚みを最大で0.003インチ超えてもよい。
【0013】
方法はまた、細長の本体の近位領域を、アクチュエータを含むハンドルに固定する工程と、ユーザがアクチュエータを作動させたときに、作動ワイヤが作動されて、遠位領域の少なくとも部分的なループの半径を変化させるように、作動ワイヤをアクチュエータに固定する工程、を含んでもよい。
【0014】
本発明の前述及び他の態様、特徴、詳細、有用性、及び利点は、以下の説明及び特許請求の範囲を読み、添付の図面を検討することにより明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【0016】
【
図2A】本開示のいくつかの実施形態による電気生理学的カテーテルの一部の拡大図。
【0017】
【0018】
【
図3A】本開示のさらなる実施形態による電気生理学的カテーテルの一部の拡大図。
【0019】
【0020】
【発明を実施するための形態】
【0021】
例示のために、本開示の特定の実施形態は、St. Jude Medical, Inc.のInquiry(商標) Optima(商標)診断カテーテルなどの心臓電気生理学研究に利用される電気生理学的カテーテルを参照して本明細書で説明される。しかしながら、本教示は他の文脈においても同様に有利に適用されてよいことが理解されるべきである。
【0022】
ここで図面を参照すると、
図1は、本開示の第1の態様による電気生理学的(EP)カテーテル10を示す。
【0023】
EPカテーテル10は、一般に、細長のカテーテル本体12を含み、いくつかの実施形態では、細長のカテーテル本体12は管状である(例えば、それを通る少なくとも1つの内腔を画定する)。カテーテル本体12は、近位領域14、遠位領域16、及び近位領域14と遠位領域16との間のネック領域18を含む。
図1に示される近位領域14、遠位領域16、及びネック領域18の相対的な長さは、単なる例示であり、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく変化してよい。もちろん、カテーテル本体12の全長は、患者の体内の意図された場所に達するのに十分な長さであるべきである。
【0024】
カテーテル本体12は、典型的には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)チューブ(例えば、TEFLON(登録商標)ブランドのチューブ)のような生体適合性ポリマー材料からなる。もちろん、フッ素化エチレン−プロピレンコポリマー(FEP)、パーフルオロアルコキシエチレン(PFA)、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンテトラフルオロエチレン共重、及び他のフルオロポリマーのような他のポリマー材料を利用してもよい。カテーテル本体12に適切な材料はさらに、ポリアミド系熱可塑性エラストマー(すなわち、PEBAX(登録商標)などのポリ(エーテルブロックアミド))、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(例えば、HYTREL(登録商標))、熱可塑性ポリウレタン(例えば、PELLETHANE(登録商標)、ESTANE(登録商標))、イオン性熱可塑性エラストマー、官能化熱可塑性オレフィン、及びそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。一般に、カテーテル本体12に適した材料はまた、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、官能化ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリイミド、ポリケトン、液晶ポリマー、及びそれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない様々な熱可塑性物質から選択してもよい。カテーテル本体12のデュロメータは、その長さに沿って変化してよいこともまた考えられる。一般に、カテーテル本体12の基本構造は当業者にはよく知られているので、本明細書ではこれ以上詳細に説明しない。
【0025】
図2A、
図2B、
図3A、及び
図3Bに見られるように、カテーテル本体12の遠位領域16は、少なくとも部分的にループになるようにされている。このループ形状により、遠位領域16は、例えば肺静脈口の形状に適合することができる。部分的なループは、本開示に整合して、EPカテーテル10の意図された又は所望の用途に応じて、さまざまな構造をとることができる。したがって、
図2B及び
図3Bにそれぞれ示されている円形及び楕円形のループ構造は単なる例示であることを理解されたい。
【0026】
図2A、
図2B、
図3A、及び
図3Bはまた、遠位領域16がその上に配置された複数の電極20を含んでもよいことを示している。電極20は、リング電極であってもよいし、EPカテーテル10の特定の用途に適した他の任意の電極であってもよい。例えば、EPカテーテル10が非接触電気生理学的研究における使用を意図している場合、本明細書に完全に記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる2009年7月2日に出願された米国特許出願第12/496,855に記載されているように、電極20が構成されてもよい。もちろん、検知目的(例えば、心臓マッピング及び/又は診断)を果たすことに加えて、電極20は治療目的(例えば、心臓切除及び/又はペーシング)のために用いられてもよい。
【0027】
図1を再び参照すると、ハンドル22がカテーテル本体12の近位領域14に結合されている。ハンドル22は、例えば、本明細書に完全に記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,369,923号に記載されているような、カテーテル本体12の偏向を制御する適切なアクチュエータ(例えば、ノブ24)を含む。電気生理学的カテーテルと共に使用する様々なハンドル及びそれらに関連するアクチュエータが知られているので、ハンドル22は本明細書でさらに詳細には説明しない。
【0028】
遠位領域16のループの曲率半径は、例えば、異なる年齢の患者の様々なサイズの肺静脈口に適合するように、調整可能であってもよいと考えられる。この追加的な制御は、例えば、遠位領域16のループの曲率半径を変化させるように適合されている
図4に示される作動ワイヤ26の使用を介して提供されてもよい。作動ワイヤ26に適切な材料の1つは、ステンレス鋼であるが、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、他の材料を使用してもよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、作動ワイヤ26の一端(例えば、遠位端)は、カテーテル本体12の先端に結合されてもよく(例えば、電極20のうち最遠位端の電極に結合されてもよく)、作動ワイヤ26の他端(例えば、近位端)は、ハンドル22のアクチュエータ(例えば、ノブ24)に結合されてもよい。したがって、例えば、ノブ24を回転させることで、作動ワイヤ26に張力をかけることができ、それによって、遠位領域16のループの曲率半径を変化させることができる。
【0030】
遠位領域16のループの曲率半径を変化させるための別の例示的な機構は、本明細書に完全に記載されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,606,609号に記載されている。
【0031】
図4は、成形ワイヤ28も示す。成形ワイヤ28は、遠位領域16を図示されたループ形状にしやすくするために、ネック領域18及び、遠位領域16の少なくとも一部を通って延びる。成形ワイヤ28は、ニチノールなどの形状記憶材料から作製してよい。
【0032】
ネック領域18は、比較的真っ直ぐな近位領域14から遠位領域16の平面への移行部を提供する。ネック領域18は、チューブ状の拘束部材30をさらに含む。拘束部材30は、作動ワイヤ26の少なくとも一部を囲む。いくつかの実施形態では、拘束部材30はまた、成形ワイヤ28の少なくとも一部も囲む。拘束部材30は、特に遠位領域16のループの曲率半径を変化させるために作動ワイヤ26に張力が加えられるときに、作動ワイヤ26と成形ワイヤ28とを互いに近接させて保持することによって、ネック領域18の傾きを最小にする。
【0033】
本開示の態様によれば、拘束部材30の内径は、作動ワイヤ26と成形ワイヤ28とを合わせた厚さよりも約0.002インチから約0.003インチ大きい。したがって、例えば、作動ワイヤ28が約0.008インチの厚さ(例えば、直径)を有し、成形ワイヤ26が約0.015インチの厚さを有する場合、拘束部材30の内径は、約0.025インチから0.026インチの間であってよい。
【0034】
「非変形性」という用語は、拘束部材30を説明するために本明細書で使用される。しかしながら、本明細書で使用される「非変形性」は、硬質又は実質的に硬質のチューブに限定されない(ただし、硬質及び実質的に硬質のチューブは、本開示の意味において「非変形性」である)。むしろ、「非変形性」という用語は、拘束部材30、ひいてはネック領域18のある程度の柔軟性又は展性を考慮している。実施形態において、拘束部材30は、ネック領域18をカテーテル本体12の長手方向軸に対して最大で約10度傾かせることが可能である。
【0035】
このある程度の柔軟性又は展性を容易にするために、本開示の実施形態では、拘束部材30は、コイルばねなどの圧縮コイルである。拘束部材30は、約0.002インチの直径を有する円形ばね鋼ワイヤを圧縮コイル状に巻くことによって作製してもよい。したがって、上述の例示的な実施形態では、拘束部材30の外径は、約0.029インチから0.030インチの間であってよい。
【0036】
拘束部材30の全長は、約1/2インチであってよい。実施形態では、拘束部材30の長さの約40%が比較的真っ直ぐな近位部分14を辿ってもよく、一方で、拘束部材の長さの約60%が遠位領域16の平面内にあってよい。
【0037】
使用中、EPカテーテル10は、肺静脈口などの関心領域に近い患者の体内に導入される。もちろん、EPカテーテル10は、外科的に(例えば、患者の胸部の切開を介して)又は非外科的に(例えば、シース、ガイドワイヤなどの補助の有無に関わらず、患者の血管系を通って所望の部位まで)導入されてよい。配向されると、施術者は、アクチュエータ24を使用して遠位領域16のループの曲率半径を調節し、患者の解剖学的構造に適切に合わせることができる。有利には、拘束部材30により、ネック領域18はこれらの調整の間安定したままであるため、調整が完了した後にEPカテーテル10をさらに再位置決めする必要性を軽減する。その後、電極20を診断目的及び/又は治療目的に用いてもよい。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態をある程度の特定性をもって上述してきたが、当業者は、本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、開示された実施形態に対して多数の変更を加えることができる。
【0039】
例えば、本明細書に記載の拘束部材30の寸法及び構成は単なる例示であることを理解されたい。
【0040】
すべての方向に関する言及(例えば、上側、下側、上方、下方、左、右、左方、右方、上部、底部、上、下、垂直、水平、時計回り、及び反時計回り)は、本発明の読み手の理解を助けるための識別目的のためにのみ使用され、特に本発明の位置、配向、又は使用に関する制限を創造するものではない。接合に関する言及(例えば、取り付けられる、結合される、接続されるなど)は広く解釈されるべきであり、要素の接続間の中間部材及び要素間の相対移動を含んでもよい。このように、接合に関する言及は、必ずしも2つの要素が直接接続され、互いに固定された関係にあることを暗示するものではない。
【0041】
上記の説明に含まれているか、又は添付の図面に示されているすべての事項は、例示的なものとして解釈されるものであり、限定的なものではないと解釈されることが意図されている。添付の特許請求の範囲に規定される本発明の精神から逸脱することなく、詳細又は構造の変更を加えてもよい。