特許第6811372号(P6811372)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6811372
(24)【登録日】2020年12月17日
(45)【発行日】2021年1月13日
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B05C 11/10 20060101AFI20201228BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20201228BHJP
   B41J 2/165 20060101ALI20201228BHJP
【FI】
   B05C11/10
   B05C5/00 101
   B41J2/165 301
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-114946(P2016-114946)
(22)【出願日】2016年6月9日
(65)【公開番号】特開2017-217619(P2017-217619A)
(43)【公開日】2017年12月14日
【審査請求日】2019年4月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100115554
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 幸一
(72)【発明者】
【氏名】池田 浩二
【審査官】 清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−007070(JP,A)
【文献】 特開2004−345266(JP,A)
【文献】 特開2005−212351(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0043567(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 5/00−21/00
B05B 12/16−12/36
14/00−16/80
B41J 2/01
2/165−2/20
2/21−2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐出機構によって吐出孔を介して吐出された液体を飛翔させて塗布対象物に塗布する吐出部と、
前記吐出部に装着され、前記吐出孔が設けられた吐出部材と、
前記吐出された液体が通過するスリット孔が所定間隔で設けられたスリットテープを、前記吐出部材に沿って走行させることにより前記スリット孔を前記吐出孔に位置合わせするテープ走行機構と、を備え、
前記吐出部材には前記吐出孔よりも突出した摺動面が形成され、
前記スリットテープの前記スリット孔が形成された第1区画を前記摺動面で支持した状態で前記吐出機構によって前記吐出孔から液体を吐出させる、液体吐出装置。
【請求項2】
前記スリットテープは、前記第1区画と、前記スリット孔が形成されていない第2区画とを有し、
前記第2区画を前記吐出部材に摺接させた状態で前記スリットテープを走行させることにより前記吐出部材をクリーニングする、請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記スリットテープにおいて、前記第1区画にはテープ幅方向に張り出した幅広部が形成されており、
前記吐出部材には前記幅広部に対応する位置に前記摺動面が形成される、請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記スリット孔を前記吐出孔に位置決めするに際し、他のスリット孔のいずれか1つを所定位置に位置合わせすることにより前記位置決めを行う、請求項1から3のいずれかに記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記スリットテープはリールに巻回収納が可能であり、巻き出しリールと巻取リールを一体に内蔵したカセット形態で着脱自在に供給される、請求項1から4のいずれかに記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記吐出部材には、前記摺動面を有するテープ支持凸部が設けられている、請求項1から5のいずれかに記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着用のペーストなどの液体を飛翔させて吐出する液体吐出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器製造分野など多くの産業分野では、接着用のペーストなどの液体を吐出させて塗布する液体吐出装置が広く用いられている。このような液体吐出装置として、液体を液滴の状態で飛翔させて吐出するいわゆるジェットディスペンサ方式のものが知られている(例えば特許文献1参照)。この特許文献例に示す先行技術では、吐出動作時のプランジャ先端が液質の内壁に非接触状態とすることにより、半田ペーストなどフィラー入りの液材であっても良好な吐出を行うことができるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2008/108097号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上述の先行技術を含め従来のジェットディスペンサには、吐出された液体の飛散に起因して以下のような不具合があった。すなわちジェットディスペンサでは、使用される液体の特性やディスペンサシステムの吐出条件などによって、液体の飛翔方向や液滴の形状は必ずしも安定しない。このため、吐出される液体は塗布対象の位置に向かって正常に飛翔する主滴以外に、塗布対象からずれた方向に微細な液滴となって飛散する。このようにして飛散した液滴は、液体を吐出する吐出部の吐出孔の近傍など塗布対象以外の部位に付着して装置の汚損を招く。そしてこのような汚損を放置したままにすると吐出孔の目詰まりなど故障の原因となるため、清掃作業によって汚損を除去する作業が余儀なくされて作業者の負荷が増大するという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、液体を飛翔させて吐出するに際し、吐出された液体が飛散して塗布対象以外の部位に付着するのを防止することができる液体吐出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液体吐出装置は、吐出機構によって吐出孔を介して吐出された液体を飛翔させて塗布対象物に塗布する吐出部と、前記吐出部に装着され、前記吐出孔が設けられた吐出部材と、前記吐出された液体が通過するスリット孔が所定間隔で設けられたスリットテープを、前記吐出部材に沿って走行させることにより前記スリット孔を前記吐出孔に位置合わせするテープ走行機構と、を備え、前記吐出部材には前記吐出孔よりも突出した摺動面が形成され、前記スリットテープの前記スリット孔が形成された第1区画を前記摺動面で支持した状態で前記吐出機構によって前記吐出孔から液体を吐出させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、液体を飛翔させて吐出するに際し、吐出された液体が飛散して塗布対象以外の部位に付着するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施の形態の液体吐出装置の正面図
図2】本発明の一実施の形態の液体吐出装置に使用されるスリットテープの構成説明図
図3】本発明の一実施の形態の液体吐出装置におけるスリットテープの機能説明図
図4】本発明の一実施の形態の液体吐出装置におけるスリットテープの機能説明図
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず図1を参照して、液体吐出装置1の構成を説明する。液体吐出装置1は、接着用のペーストなどの液体を塗布対象物である基板6に塗布する機能を有するものである。
【0010】
図1において、液体吐出装置1はケーシング部材(図示省略)に保持された吐出部2を備えている。吐出部2は吐出機構2aを内蔵しており、吐出部2の下面には吐出孔4aが形成された吐出ノズル4およびテープ支持凸部5(図3図4参照)が設けられた吐出部材3が装着されている。吐出機構2aはペーストPなどの液体を加圧して吐出孔4aを介して吐出させる機能を有している。吐出されたペーストPは液滴状態で飛翔し(矢印a)、塗布対象物である基板6に塗布される。すなわち吐出部2は、吐出機構2aによって吐出孔4aを介して吐出された液体であるペーストPを飛翔させて、塗布対象物である基板6に塗布する。
【0011】
本実施の形態に示す液体吐出装置1では、吐出部2によるペーストPの吐出に際し、吐出孔4aを介して吐出されたペーストPの液滴を、図2に示すスリットテープ9に所定間隔で設けられたスリット孔9aを通過させて、塗布対象物である基板6に塗布するようにしている。すなわち、液体吐出装置1では、吐出されたペーストPが通過するスリット孔9aが所定間隔で設けられたスリットテープ9を、以下に説明する構成のテープ走行機構によって、吐出孔4aを有する吐出ノズル4が設けられた吐出部材3に沿って走行させるようにしている。そしてこのテープ走行機構によって、スリット孔9aを吐出孔4aに位置合わせした状態で、吐出機構2aによって吐出孔4aからペーストPを吐出させる。
【0012】
図2に示すように、スリットテープ9は、スリット孔9aが形成された第1区画91と、スリット孔9aが形成されていない第2区画92とを有し、第1区画91と第2区画92が交互に反復して設けられた構成となっている。吐出機構2aによって吐出孔4aからペーストPを吐出させる際には、第1区画91をテープ支持凸部5に位置合わせする(図3(a)参照)。すなわち、スリットテープ9において、第1区画91にはテープ幅方向に張り出した幅広部9b(ハッチングを施した部分)が形成されている。そして吐出部材3には、幅広部9bに対応する位置に吐出孔4aよりも突出した摺動面5a(図3(b)参照)を有するテープ支持凸部5が形成されており、幅広部9bを摺動面5aに摺接させることにより、第1区画91をテープ支持凸部5に位置合わせして支持することができる。
【0013】
この位置合わせに際しては、巻き出しリール8Aと吐出部材3の上流側のガイド部材10との間に配設されたテープ位置決め部12が用いられる。テープ位置決め部12は、スリット孔9aに嵌合する形状の位置決めピン13をスリットテープ9に対して進退させる(矢印d)構成となっている。テープ位置決め部12は、吐出部材3の下面側に位置するスリット孔9aが吐出孔4aに位置合わせされた状態において、当該スリット孔9aに隣接する上流側のスリット孔9a*に対応する位置に設けられている。
【0014】
すなわちテープ位置決め部12においてスリット孔9aに位置決めピン13を嵌合させることにより、吐出部材3の下面においてスリット孔9aは吐出孔4aに対して位置決めされる。換言すれば、スリットテープ9のスリット孔9aを吐出孔4aに位置決めするに際し、他のスリット孔9aのいずれか1つ(ここでは隣接する上流側のスリット孔9a*)を、テープ位置決め部12が配置された所定位置に位置合わせすることにより、スリット孔9aの吐出孔4aに対する位置決めを行うようになっている。
【0015】
第2区画92は、スリットテープ9を走行させる際に吐出部材3に設けられた吐出ノズル4に摺接させて、吐出ノズル4をクリーニングする機能を有するものである。このため第2区画92は、テープ支持凸部5との干渉を生じることなく吐出ノズル4に摺接可能なように、吐出部材3におけるテープ支持凸部5の間隔B(図3(b)参照)よりも小さい幅寸法bとなっている。
【0016】
図2に示すスリットテープ9は、樹脂などの可撓性に富む材質を前述の所定形状に成形したテープ状部材であり、リールに巻回収納が可能となっている。本実施の形態では、スリットテープ9は巻き出しリール8Aと巻き取りリール8Bをカセットケース7に一体に内蔵したカセット形態で、液体吐出装置1に着脱自在に供給される。なお、本実施の形態では、図1の右側がスリットテープ9の供給における上流側であり、スリットテープ9は右側の巻き出しリール8Aから巻き出されて左側の巻き取りリール8Bに巻き取られる。
【0017】
図1に示すカセットケース7の装着状態では、巻き出しリール8Aから繰り出されたスリットテープ9は、吐出部材3の上流端に配置されたガイド部材10を介して吐出部材3の下面側に導かれる(矢印b)。次いでスリットテープ9は吐出部材3の下面に沿って走行した後、吐出部材3の上流端に配置されたガイド部材10を介して巻き取りリール8Bに導かれる(矢印c)。そしてスリットテープ9は、液体吐出装置1に備えられた巻き取り駆動部11に連結された状態の巻き取りリール8Bの巻き取り軸によって巻き取られる(矢印e)。
【0018】
上記構成において、巻き取りリール8Bの巻き取り軸に連結される巻き取り駆動部11、吐出部材3の両端に配置されたガイド部材10は、上述構成のスリットテープ9を吐出孔4aが設けられた吐出部材3に沿って走行させるテープ走行機構となっている。なおテープ走行機構として、単にガイド機能のみを有するガイド部材10の代わりに、回転駆動源を有しテープ送り機能を有するテープ送りローラを設けるようにしてもよい。
【0019】
次に図3図4を参照して、液体吐出装置1によるペーストPの塗布動作およびスリットテープ9を利用した吐出部材3のクリーニング動作について説明する。図3(a)、図3(b)は、テープ位置決め部12においてスリット孔9a*に位置決めピン13を嵌合させることにより、スリット孔9aを吐出孔4aに対して位置合わせした状態を示している。
【0020】
この状態では、スリットテープ9の幅広部9b(図2参照)が、テープ支持凸部5の上面の摺動面5a(図3(b)参照)に摺接した状態となり、これにより、図4(a)に示すように、スリット孔9aは摺動面5aと吐出ノズル4の上面との高さ差に相当する間隔Dだけ、吐出孔4aから離隔した状態となる、すなわち、吐出孔4aからペーストPを吐出する際には、幅広部9bを摺動面5aに摺接させることにより、スリット孔9aを吐出孔4aから離隔させるようにしている。そしてこの状態で吐出孔4aからペーストPを吐出することにより、スリット孔9aを通過する液滴のみが塗布対象部位に飛翔する。これに対し所定の塗布方向から外れて飛翔するペーストPはスリットテープ9によって飛散が防止され、塗布対象以外の部位にペーストPが付着して汚損するのを防止することができる。
【0021】
次に、図3(b)、図4(b)は、図3(b)、図4(b)に示すペーストPの塗布動作後に、スリットテープ9をテープ送りして、スリットテープ9の第2区画92を吐出ノズル4に摺接させた状態を示している。すなわち第2区画92は、図3(b)に示すテープ支持凸部5の間隔Bよりも小さい幅寸法b(図2参照)となっていることから、幅広部9bを摺動面5aから移動させるスリットテープ9のテープ送りにおいて、第2区画92は2つのテープ支持凸部5の間に填まり込む。そしてこの状態でテープ送りを行うことにより、第2区画92の下面側が吐出ノズル4の上面に摺接する。
【0022】
これにより、塗布動作において吐出孔4aから吐出されたペーストPが吐出ノズル4の上面に付着して生じた汚損を、スリットテープ9によって拭き取ってクリーニングすることができる。すなわち第2区画92を吐出部材3の吐出ノズル4に摺接させた状態でスリットテープ9を走行させることにより、吐出部材3をクリーニングする。そしてスリットテープ9においては、第1区画91と第2区画92が交互に配置されていることから、第1区画91をテープ支持凸部5に位置させて行われる塗布動作の次には、必ず第2区画92による吐出ノズル4のクリーニングが自動的に実行されることとなる。したがって、吐出ノズル4へのペーストPの付着に起因して生じる塗布不具合を、メンテナンスのための人手を要することなく自動的に防止することが可能となる。
【0023】
上記説明したように、本実施の形態に示す液体吐出装置1では、吐出機構2aによって吐出孔4aを介して吐出されたペーストPを飛翔させて塗布対象物の基板6に塗布する吐出部2と、吐出されたペーストPが通過するスリット孔9aが所定間隔で設けられたスリットテープ9を、吐出孔4aを有する吐出ノズル4が設けられた吐出部材3に沿って走行させるテープ走行機構とを備え、テープ走行機構によってスリット孔9aを吐出孔4aに位置合わせした状態で、吐出機構2aによって吐出孔4aからペーストPを吐出させるようにしている。これにより、ペーストPを飛翔させて吐出するに際し、吐出されたペーストPが飛散して塗布対象以外の部位に付着するのを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明の液体吐出装置は、液体を飛翔させて吐出するに際し、吐出された液体が飛散して塗布対象以外の部位に付着するのを防止することができるという効果を有し、接着用のペーストなどの液体を吐出させて塗布する分野において有用である。
【符号の説明】
【0025】
1 液体吐出装置
2 吐出部
2a 吐出機構
3 吐出部材
4a 吐出孔
5 テープ支持凸部
5a 摺動面
6 基板
7 カセットケース
8A 巻き出しリール
8B 巻き取りリール
9 スリットテープ
9a スリット孔
9b 幅広部
91 第1区画
92 第2区画
P ペースト
図1
図2
図3
図4