特許第6811501号(P6811501)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6811501マスターバッチ、樹脂組成物、ポリオレフィン系樹脂フィルム及びその製造方法並びに積層フィルム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6811501
(24)【登録日】2020年12月17日
(45)【発行日】2021年1月13日
(54)【発明の名称】マスターバッチ、樹脂組成物、ポリオレフィン系樹脂フィルム及びその製造方法並びに積層フィルム
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/02 20060101AFI20201228BHJP
   C08L 23/08 20060101ALI20201228BHJP
   C08L 23/26 20060101ALI20201228BHJP
   C08K 5/42 20060101ALI20201228BHJP
   C08J 3/22 20060101ALI20201228BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20201228BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20201228BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20201228BHJP
【FI】
   C08L23/02
   C08L23/08
   C08L23/26
   C08K5/42
   C08J3/22CES
   C08J5/18
   B32B27/18 C
   B32B27/32 Z
【請求項の数】5
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2020-93625(P2020-93625)
(22)【出願日】2020年5月28日
【審査請求日】2020年6月10日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000210654
【氏名又は名称】竹本油脂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094190
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 清路
(74)【代理人】
【識別番号】100151644
【弁理士】
【氏名又は名称】平岩 康幸
(74)【代理人】
【識別番号】100151127
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 勝雅
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 春馬
【審査官】 大村 博一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−059269(JP,A)
【文献】 特開2007−290338(JP,A)
【文献】 特開2007−045855(JP,A)
【文献】 特開平08−300582(JP,A)
【文献】 特開2018−127533(JP,A)
【文献】 国際公開第2020/013140(WO,A1)
【文献】 特開昭54−028371(JP,A)
【文献】 国際公開第2018/216305(WO,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第03428227(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 3/00−3/28;99/00
C08J 5/00−5/02;5/12−5/22
C08K 3/00−13/08
C08L 1/00−101/14
B32B 1/00−43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)非変性のポリオレフィン樹脂と、(B)改質剤と、防曇剤とを含有するマスターバッチであって、
前記改質剤(B)は、エチレン・酢酸ビニル共重合体及びエチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体から選ばれた少なくとも1種であり、
前記防曇剤は、
(C)アルキルスルホン酸アルカリ金属塩、アルキルアリールスルホン酸アルカリ金属塩及びアルキル硫酸アルカリ金属塩から選ばれた少なくとも1種と、
(D)炭素数8〜22の脂肪族カルボン酸と多価アルコールの部分エステルとを含み
前記改質剤(B)の含有量は、前記非変性ポリオレフィン樹脂(A)100質量部に対して4〜85質量部であり、
前記防曇剤(C)の含有量は、前記非変性ポリオレフィン樹脂(A)100質量部に対して0.4〜16.0質量部であり、前記防曇剤(D)の含有量は、前記非変性ポリオレフィン樹脂(A)100質量部に対して4.0〜60質量部であることを特徴とするマスターバッチ。
【請求項2】
請求項1に記載のマスターバッチを含有することを特徴とする樹脂組成物。
【請求項3】
請求項2に記載の樹脂組成物をフィルム成形に供することを特徴とするポリオレフィン系樹脂フィルムの製造方法。
【請求項4】
(A)非変性のポリオレフィン樹脂と、(B)改質剤と、防曇剤とを含有するポリオレフィン系樹脂フィルムであって、
前記改質剤(B)は、エチレン・酢酸ビニル共重合体及びエチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体から選ばれた少なくとも1種であり、
前記防曇剤は、
(C)アルキルスルホン酸アルカリ金属塩、アルキルアリールスルホン酸アルカリ金属塩及びアルキル硫酸アルカリ金属塩から選ばれた少なくとも1種と、
(D)炭素数8〜22の脂肪族カルボン酸と多価アルコールの部分エステルとを含み
前記改質剤(B)の含有量は、前記非変性ポリオレフィン樹脂(A)100質量部に対して0.4〜80質量部であり、
前記防曇剤(C)の含有量は、前記非変性ポリオレフィン樹脂(A)100質量部に対して0.03〜6.00質量部であり、前記防曇剤(D)の含有量は、前記非変性ポリオレフィン樹脂(A)100質量部に対して0.26〜6.89質量部であることを特徴とするポリオレフィン系樹脂フィルム。
【請求項5】
請求項4に記載のポリオレフィン系樹脂フィルムからなる樹脂層と、他の層とが積層されてなることを特徴とする積層フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明性及び防曇性に優れたポリオレフィン系樹脂フィルム並びにその製造方法、その製造原料として好適なマスターバッチ及び樹脂組成物並びに積層フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリオレフィン系樹脂フィルムは、例えば、包装資材等として、広く使用されている。非変性のポリオレフィン樹脂は、疎水性の性質を持つため、これを用いて成形品とした場合に、透明性が十分ではないという傾向がある。そこで、透明性を有するポリオレフィン樹脂フィルムとするために、防曇剤を含有する樹脂組成物が成形材料として用いられている。このような防曇剤としては、例えば、特許文献1には、ポリグリセリン脂肪酸エステルが、特許文献2には、グリセリンと炭素数C8〜22脂肪酸とのモノエステル、ジグリセリンと炭素数C8〜22脂肪酸とのモノエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミノエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミノエーテルと炭素数C8〜22脂肪酸とのモノエステル又はモノ、ジエステルの混合物が、それぞれ、開示されている。また、特許文献3には、食品包装フィルム又はシートの形成に用いるマスターバッチに含有させる防曇剤として、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル等が開示されている。
【0003】
樹脂フィルムを用いて、野菜等の、含水性又は表面に水分が付着している物品を包装し、これを低温雰囲気で保存した場合に、フィルムの内表面に結露が発生して、水滴による曇りが生じて、包装状態の物品を明瞭に視認することができない不具合を解決するため、防曇剤を含有する樹脂フィルムが検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−96694号公報
【特許文献2】特開2006−231899号公報
【特許文献3】特開2018−127533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
防曇剤を含むフィルムを製造する場合、特許文献3に記載のように、防曇剤を含むマスターバッチをそのままフィルム成形に供する方法がある。また、複数種のマスターバッチを用いる製造方法、例えば、防曇剤を高濃度に含有させたマスターバッチと、防曇剤を含まない他のマスターバッチとを併用する製造方法もある。本発明は、これらのフィルム製造方法に好適であり、且つ、透明性及び防曇性に優れたポリオレフィン系樹脂フィルムを与えるマスターバッチ並びに樹脂組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、押出によるフィルム成形において、製膜時に押出変動の発生が抑制されたポリオレフィン系樹脂フィルムの製造方法を提供することを目的とする。更に、本発明は、上記のポリオレフィン系樹脂フィルムからなる樹脂層を備え、透明性及び防曇性に優れる積層フィルムを提供することを目的とする。本明細書において、「防曇性」は、含水性又は表面に水分が付着している物品を、樹脂フィルムにより包装した状態で、例えば、10℃以下の雰囲気下に載置して放置した後、フィルムの内表面に水滴がほとんど見られず、フィルムを通して物品を良好に視認できる性能をいう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意研究した結果、非変性のポリオレフィン樹脂、特定の改質剤、及び、特定の防曇剤を組み合わせてなるマスターバッチが透明性及び防曇性に優れたポリオレフィン系樹脂フィルムの製造原料として好適であることを見出した。
本発明は、以下に示される。
【0007】
本発明のマスターバッチは、(A)非変性のポリオレフィン樹脂(以下、「非変性ポリオレフィン樹脂(A)」ともいう)と、(B)改質剤(以下、「改質剤(B)」ともいう)と、防曇剤とを含有し、上記改質剤(B)は、エチレン・酢酸ビニル共重合体及びエチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体から選ばれた少なくとも1種であり、上記防曇剤は、(C)アルキルスルホン酸アルカリ金属塩、アルキルアリールスルホン酸アルカリ金属塩及びアルキル硫酸アルカリ金属塩から選ばれた少なくとも1種と、(D)炭素数8〜22の脂肪族カルボン酸と多価アルコールの部分エステルとを含み、上記改質剤(B)の含有量は、上記非変性ポリオレフィン樹脂(A)100質量部に対して4〜85質量部であり、上記防曇剤(C)の含有量は、上記非変性ポリオレフィン樹脂(A)100質量部に対して0.4〜16.0質量部であり、上記防曇剤(D)の含有量は、上記非変性ポリオレフィン樹脂(A)100質量部に対して4.0〜60質量部であることを特徴とする。
【0008】
本発明の樹脂組成物は、上記本発明のマスターバッチを含有することを特徴とする。
【0009】
本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムの製造方法は、上記本発明の樹脂組成物をフィルム成形に供することを特徴とする。
【0010】
本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムは、(A)非変性ポリオレフィン樹脂と、(B)改質剤と、防曇剤とを含有し、上記改質剤(B)は、エチレン・酢酸ビニル共重合体及びエチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体から選ばれた少なくとも1種であり、上記防曇剤は、(C)アルキルスルホン酸アルカリ金属塩、アルキルアリールスルホン酸アルカリ金属塩及びアルキル硫酸アルカリ金属塩から選ばれた少なくとも1種と、(D)炭素数8〜22の脂肪族カルボン酸と多価アルコールの部分エステルとを含み、上記改質剤(B)の含有量は、上記非変性ポリオレフィン樹脂(A)100質量部に対して0.4〜80質量部であり、上記防曇剤(C)の含有量は、上記非変性ポリオレフィン樹脂(A)100質量部に対して0.03〜6.00質量部であり、上記防曇剤(D)の含有量は、上記非変性ポリオレフィン樹脂(A)100質量部に対して0.26〜6.89質量部であることを特徴とする。
【0011】
本発明の積層フィルムは、ポリオレフィン系樹脂フィルムからなる樹脂層と、他の層とが積層されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のマスターバッチは、透明性及び防曇性に優れるポリオレフィン系樹脂フィルムの製造原料として好適である。また、本発明の樹脂組成物は、上記本発明のマスターバッチを含有するため、透明性及び防曇性に優れるポリオレフィン系樹脂フィルムの製造に好適である。また、上記本発明の樹脂組成物を用いた本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムの製造方法によれば、押出によるフィルム成形において、製膜時に押出変動の発生が抑制され、均一な構成のフィルムを効率よく得ることができる。更に、本発明の積層フィルムは、透明性及び防曇性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のマスターバッチは、例えば、円柱状、角柱状、球状、楕円球状等を有し、非変性ポリオレフィン樹脂(A)と、改質剤(B)と、防曇剤(C)と、防曇剤(D)とを、特定の割合で含有する熱可塑性樹脂組成物からなる物品である。本発明のマスターバッチは、必要に応じて、従来、公知の樹脂製品に配合される添加剤(後述)を含有することができる。
【0014】
上記非変性ポリオレフィン樹脂(A)は、ヘテロ原子又はそれを含む官能基を含まない樹脂であり、下記一般式(1)で表される構造単位の1種のみ又は2種以上からなる高分子化合物である。
【化1】
(式中、R、R、R及びRは、互いに、独立して、水素原子又は炭素原子数1〜8のアルキル基である)
【0015】
上記非変性ポリオレフィン樹脂(A)としては、上記一般式(1)におけるR、R、R及びRのすべてが水素原子である構造単位のみからなるポリエチレン;上記一般式(1)におけるR、R及びRが水素原子であり、Rがメチル基である構造単位のみからなるポリプロピレン;上記一般式(1)におけるR、R、R及びRのすべてが水素原子である構造単位と、上記一般式(1)におけるR、R及びRが水素原子であり、Rが炭素原子数1〜8のアルキル基である構造単位とからなるエチレン・α−オレフィン共重合体等が挙げられる。これらのうち、エチレン・α−オレフィン共重合体が好ましく、特に、炭素原子数が3〜8のα−オレフィンに由来する構造単位を含むエチレン・α−オレフィン共重合体(エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体等)が好ましい。
【0016】
本発明のマスターバッチに含まれる非変性ポリオレフィン樹脂(A)は、1種のみ又は2種以上とすることができる。
【0017】
上記改質剤(B)は、非変性ポリオレフィン樹脂(A)とのあいだで優れた相容性を有し、非変性ポリオレフィン樹脂(A)を主とするマトリックスにおいて、防曇剤、及び、必要に応じて配合される添加剤の保持性を向上させる成分であり、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体、及び、不飽和酸無水物で変性されたポリオレフィン樹脂(以下、「酸無水物変性ポリオレフィン樹脂」という)から選ばれた少なくとも1種とすることができるが、本発明においては、エチレン・酢酸ビニル共重合体及びエチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体から選ばれた少なくとも1種である。本発明のマスターバッチに含まれる改質剤(B)は、1種のみ又は2種以上とすることができる。上記改質剤(B)は、好ましくは、酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量が5〜30モル%であるエチレン・酢酸ビニル共重合体、及び、エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体であり、更に好ましくは、酢酸ビニルに由来する構造単位の含有量が5〜30モル%であるエチレン・酢酸ビニル共重合体である。
【0018】
上記エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体は、エチレンに由来する構造単位と、不飽和カルボン酸エステルに由来する構造単位とからなる共重合体である。不飽和カルボン酸エステルは、特に限定されず、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デカニル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸セチル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デカニル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸セチル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル等が挙げられる。上記エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体に含まれる、不飽和カルボン酸エステルに由来する構造単位は1種のみ又は2種以上とすることができる。
上記エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体は、好ましくは、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・アクリル酸ブチル共重合体及びエチレン・メタクリル酸メチル共重合体であり、特に好ましくはエチレン・アクリル酸エチル共重合体及びエチレン・メタクリル酸メチル共重合体である。
【0019】
上記酸無水物変性ポリオレフィン樹脂は、不飽和酸無水物に由来する構造単位を含むポリオレフィン系樹脂である。上記不飽和酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、2,3−ジメチル無水マレイン酸、2−ノルボルネン−5,6−ジカルボン酸無水物等が挙げられる。これらのうち、無水マレイン酸が好ましい。また、ポリオレフィン樹脂を構成する、オレフィンに由来する構造単位としては、エチレン単位、プロピレン単位、ブチレン単位等が挙げられ、1種のみ又は2種以上とすることができる。
【0020】
本発明において、透明性及び防曇性に優れたポリオレフィン系樹脂フィルムが容易に得られることから、マスターバッチに含まれる改質剤(B)の含有割合は、非変性ポリオレフィン樹脂(A)の含有量を100質量部とした場合に、4〜85質量部であり、好ましくは6〜55質量部である。
【0021】
本発明において、上記防曇剤は、アルキルスルホン酸アルカリ金属塩、アルキルアリールスルホン酸アルカリ金属塩及びアルキル硫酸アルカリ金属塩から選ばれた少なくとも1種である防曇剤(C)と、炭素数8〜22の脂肪族カルボン酸と多価アルコールの部分エステルである防曇剤(D)とを含むものである。
【0022】
上記アルキルスルホン酸アルカリ金属塩は、好ましくは脂肪族炭化水素に由来する炭化水素基からなるアルキル基を有するアルキルスルホン酸のアルカリ金属塩である。
上記アルキルスルホン酸は、炭素原子数が、通常、6以上のアルキル基を有する化合物であり、例えば、ヘキシルスルホン酸、ヘプチルスルホン酸、オクチルスルホン酸、ノニルスルホン酸、デシルスルホン酸、ウンデシルスルホン酸、ドデシルスルホン酸、トリデシルスルホン酸、テトラデシルスルホン酸、ペンタデシルスルホン酸、ヘキサデシルスルホン酸、ヘプタデシルスルホン酸、オクタデシルスルホン酸、ノナデシルスルホン酸、エイコシルスルホン酸、ヘンエイコシルスルホン酸、ドコシルスルホン酸等が挙げられる。
上記アルカリ金属塩を構成するアルカリ金属原子は、リチウム、ナトリウム又はカリウムであり、好ましくはナトリウムである。
【0023】
上記アルキルスルホン酸アルカリ金属塩としては、具体的には、ヘキシルスルホン酸リチウム、ヘキシルスルホン酸ナトリウム、ヘキシルスルホン酸カリウム、ヘプチルスルホン酸リチウム、ヘプチルスルホン酸ナトリウム、ヘプチルスルホン酸カリウム、オクチルスルホン酸リチウム、オクチルスルホン酸ナトリウム、オクチルスルホン酸カリウム、ノニルスルホン酸リチウム、ノニルスルホン酸ナトリウム、ノニルスルホン酸カリウム、デシルスルホン酸リチウム、デシルスルホン酸ナトリウム、デシルスルホン酸カリウム、ウンデシルスルホン酸リチウム、ウンデシルスルホン酸ナトリウム、ウンデシルスルホン酸カリウム、ドデシルスルホン酸リチウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸リチウム、トリデシルスルホン酸リチウム、トリデシルスルホン酸ナトリウム、トリデシルスルホン酸カリウム、テトラデシルスルホン酸リチウム、テトラデシルスルホン酸ナトリウム、テトラデシルスルホン酸カリウム、ペンタデシルスルホン酸リチウム、ペンタデシルスルホン酸ナトリウム、ペンタデシルスルホン酸カリウム、ヘキサデシルスルホン酸リチウム、ヘキサデシルスルホン酸ナトリウム、ヘキサデシルスルホン酸カリウム、ヘプタデシルスルホン酸リチウム、ヘプタデシルスルホン酸ナトリウム、ヘプタデシルスルホン酸カリウム、オクタデシルスルホン酸リチウム、オクタデシルスルホン酸ナトリウム、オクタデシルスルホン酸カリウム、ノナデシルスルホン酸リチウム、ノナデシルスルホン酸ナトリウム、ノナデシルスルホン酸カリウム、エイコシルスルホン酸リチウム、エイコシルスルホン酸ナトリウム、エイコシルスルホン酸カリウム、ヘンエイコシルスルホン酸リチウム、ヘンエイコシルスルホン酸ナトリウム、ヘンエイコシルスルホン酸カリウム、ドコシルスルホン酸リチウム、ドコシルスルホン酸ナトリウム、ドコシルスルホン酸カリウム等が挙げられる。これらのうち、アルキル基の炭素原子数が、好ましくは6〜22、より好ましくは10〜18であるアルキルスルホン酸アルカリ金属塩を含む防曇剤を用いると、本発明の効果がより顕著である。
【0024】
上記アルキルアリールスルホン酸アルカリ金属塩は、芳香環を含む炭化水素に由来する炭化水素基を有するアルキルアリールスルホン酸のアルカリ金属塩である。
上記アルキルアリールスルホン酸は、芳香環を含み、炭素原子数が、通常、7以上の炭化水素基を有する化合物であり、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸等が挙げられる。このうち、アルキルベンゼンスルホン酸としては、ヘキシルベンゼンスルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸、ノニルベンゼンスルホン酸、デシルベンゼンスルホン酸、ウンデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、トリデシルベンゼンスルホン酸、テトラデシルベンゼンスルホン酸、ペンタデシルベンゼンスルホン酸、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸、ヘプタデシルベンゼンスルホン酸、オクタデシルベンゼンスルホン酸、ベヘニルベンゼンスルホン酸等のモノアルキルベンゼンスルホン酸;2,4−ジメチルベンゼンスルホン酸、3,4−ジメチルベンゼンスルホン酸、2,6−ジメチルベンゼンスルホン酸、2,3−ジメチルベンゼンスルホン酸、ジエチルベンゼンスルホン酸等のジアルキルベンゼンスルホン酸;トリアルキルベンゼンスルホン酸;テトラベンゼンスルホン酸等が挙げられる。また、アルキルナフタレンスルホン酸としては、メチルナフタレンスルホン酸、エチルナフタレンスルホン酸、プロピルナフタレンスルホン酸、イソプロピルナフタレンスルホン酸、ブチルナフタレンスルホン酸、イソブチルナフタレンスルホン酸、ジメチルナフタレンスルホン酸、ジエチルナフタレンスルホン酸、ジイソプロピルナフタレンスルホン酸、ジブチルナフタレンスルホン酸、ジイソブチルナフタレンスルホン酸、メチルノニルナフタレンスルホン酸塩等が挙げられる。
【0025】
上記アルキルアリールスルホン酸アルカリ金属塩としては、具体的には、ヘキシルベンゼンスルホン酸リチウム、ヘキシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ヘキシルベンゼンスルホン酸カリウム、オクチルベンゼンスルホン酸リチウム、オクチルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクチルベンゼンスルホン酸カリウム、ノニルベンゼンスルホン酸リチウム、ノニルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ノニルベンゼンスルホン酸カリウム、デシルベンゼンスルホン酸リチウム、デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、デシルベンゼンスルホン酸カリウム、ウンデシルベンゼンスルホン酸リチウム、ウンデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ウンデシルベンゼンスルホン酸カリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸リチウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム、トリデシルベンゼンスルホン酸リチウム、トリデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、トリデシルベンゼンスルホン酸カリウム、テトラデシルベンゼンスルホン酸リチウム、テトラデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、テトラデシルベンゼンスルホン酸カリウム、ペンタデシルベンゼンスルホン酸リチウム、ペンタデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ペンタデシルベンゼンスルホン酸カリウム、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸リチウム、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸カリウム、ヘプタデシルベンゼンスルホン酸リチウム、ヘプタデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ヘプタデシルベンゼンスルホン酸カリウム、オクタデシルベンゼンスルホン酸リチウム、オクタデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシルベンゼンスルホン酸カリウム、ベヘニルベンゼンスルホン酸リチウム、ベヘニルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ベヘニルベンゼンスルホン酸カリウム等、ジブチルナフタレンスルホン酸リチウム、ジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム等、ジブチルナフタレンスルホン酸カリウム等が挙げられる。これらのうち、アルキルアリール基の炭素原子数が、好ましくは7〜22、より好ましくは15〜20であるアルキルアリールスルホン酸アルカリ金属塩を含む防曇剤を用いると、本発明の効果がより顕著である。
【0026】
上記アルキル硫酸アルカリ金属塩は、R−O−SO(Rは、アルキル基であり、Mはアルカリ金属原子である)で表される化合物であり、この一般式において、Rは、通常、炭素原子数が2以上の、脂肪族炭化水素に由来する炭化水素基である。Mはアルカリ金属原子であり、好ましくは、リチウム、ナトリウム及びカリウムであり、特に好ましくはナトリウムである。
【0027】
上記アルキル硫酸アルカリ金属塩としては、具体的には、エチル硫酸ナトリウム、プロピル硫酸ナトリウム、ブチル硫酸ナトリウム、ヘキシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、ノニル硫酸ナトリウム、デシル硫酸ナトリウム、デシル硫酸カリウム、ウンデシル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸カリウム、ドデシル硫酸リチウム、トリデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、ヘキサデシル硫酸ナトリウム、ヘプタデシル硫酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウム等が挙げられる。これらのうち、アルキル基Rの炭素原子数が好ましくは4〜22、より好ましくは6〜18のアルキル硫酸アルカリ金属塩を含むマスターバッチを用いると、本発明の効果がより顕著である。
【0028】
本発明のマスターバッチに含まれる防曇剤(C)は、1種のみ又は2種以上とすることができる。
【0029】
本発明において、透明性及び防曇性に優れたポリオレフィン系樹脂フィルムが容易に得られることから、マスターバッチに含まれる防曇剤(C)の含有割合は、非変性ポリオレフィン樹脂(A)の含有量を100質量部とした場合に、好ましくは0.4〜16.0質量部、より好ましくは0.6〜15質量部である。
【0030】
本発明のマスターバッチは、防曇剤(D)を含有する。この防曇剤(D)としては、プロピレングリコールとラウリン酸の部分エステル、プロピレングリコールとオレイン酸の部分エステル、グリセリンとラウリン酸の部分エステル、グリセリンとオレイン酸の部分エステル、グリセリンとステアリン酸の部分エステル、グリセリンとベヘン酸の部分エステル、ジグリセリンとカプリル酸の部分エステル、ジグリセリンとラウリン酸の部分エステル、ジグリセリンとオレイン酸の部分エステル、ジグリセリンとステアリン酸の部分エステル、ソルビタンとラウリン酸の部分エステル、ソルビタンとステアリン酸の部分エステル、ソルビタンとオレイン酸の部分エステル、テトラグリセリンとラウリン酸の部分エステル、ステアリン酸の部分エステル、テトラグリセリンとオレイン酸の部分エステル、デカグリセリンとオレイン酸の部分エステル等が挙げられる。
本発明のマスターバッチに含まれる防曇剤(D)の含有割合の上限は、非変性ポリオレフィン樹脂(A)100質量部に対して、60質量部であり、より好ましくは40質量部である。
本発明のマスターバッチは、必要に応じて、上記防曇剤に加えて、従来、公知の、他の防曇剤を含有することができる。
【0031】
本発明のマスターバッチは、上記のように、添加剤を含有することができる。添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候剤、熱安定剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、滑剤、難燃剤、中和剤等が挙げられる。
【0032】
酸化防止剤としては、フェノール系化合物、アミン系化合物、含硫黄化合物、含リン化合物等が挙げられる。
【0033】
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、サリチル酸エステル系化合物等が挙げられる。
【0034】
アンチブロッキング剤としては、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化鉄、フェライト等の酸化物;ゼオライト、タルク、ウォラストナイト、マイカ、クレー等の珪酸塩;架橋ポリシリコーン、架橋ポリアミド、架橋ポリトリアジン、架橋ポリアクリル酸、架橋ポリスチレン等の架橋高分子等が挙げられる。本発明のマスターバッチが、このアンチブロッキング剤を含む場合、アンチブロッキング剤の含有割合は、非変性ポリオレフィン樹脂(A)100質量部とした場合に、好ましくは0.1〜30.0質量部である。
【0035】
帯電防止剤としては、プロピレングリコールと脂肪酸の部分エステル、グリセリンと脂肪酸の部分エステル、ジグリセリンと脂肪酸の部分エステル、テトラグリセリンと脂肪酸の部分エステル、ソルビタンと脂肪酸の部分エステル、高級アルコール硫酸エステル塩、液体脂肪油硫酸エステル塩、脂肪族アミン及び脂肪族アマイドの硫酸塩、脂肪族アルコールリン酸エステル塩、二塩基性脂肪酸エステルのスルホン酸塩、脂肪族アミドスルホン酸塩、アルキルスルホン酸アルカリ金属塩、アルキルアリールスルホン酸塩、ホルマリン縮合のナフタリンスルホン酸塩、脂肪族アミン塩、第4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、イミダゾリン誘導体、ベタイン型高級アルキルアミノ誘導体、硫酸エステル誘導体、リン酸エステル誘導体等が挙げられる。
【0036】
滑剤としては、シラン化合物、ポリオレフィン系ワックス、脂肪酸アミド等が挙げられる。
【0037】
本発明のマスターバッチは、非変性ポリオレフィン樹脂(A)、改質剤(B)及び防曇剤を含有する組成物を、溶融混練物とした後、これを、従来、公知の押出法に供することにより製造することができる。具体的な製造方法は、以下に示される。
(1)予め、非変性ポリオレフィン系樹脂(A)、改質剤(B)及び防曇剤をタンブラーブレンダー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー等の混合機に投入して混合し、その混合物を単軸押出機や多軸押出機等の押出機により溶融混練しつつ造粒してマスターバッチを得る方法
(2)非変性ポリオレフィン系樹脂(A)及び改質剤(B)の混合物を単軸押出機や多軸押出機等の押出機により溶融状態としたところへ、防曇剤をサイドフィード又は液状注入により混合し、溶融混練しつつ造粒してマスターバッチを得る方法
(3)非変性ポリオレフィン系樹脂(A)、エチレン・酢酸ビニル共重合体(B)及び防曇剤をフィーダーで単軸押出機や多軸押出機等の押出機へ供給し、溶融混練しつつ造粒してマスターバッチを得る方法
(4))非変性ポリオレフィン系樹脂(A)、エチレン・酢酸ビニル共重合体(B)をフィーダーで単軸押出機や多軸押出機等の押出機へ供給し、防曇剤をサイドフィード又は液状注入により押出機へ供給し溶融混練しつつ造粒してマスターバッチを得る方法
【0038】
上記方法(1)、(2)、(3)及び(4)において、ポリオレフィン系樹脂(A)、改質剤(B)及び防曇剤を混合する場合に、どの混合機を採用するか、どのような原料供給方法を採用するかは、ポリオレフィン系樹脂(A)、改質剤(B)及び防曇剤の性状等によって選択すればよい。例えば、原料が固体の場合は、タンブラーブレンダー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー等の混合機による混合又はフィーダー、サイドフィードを採用することが好ましく、また、液体の場合は液状注入又はスーパーミキサー、ヘンシェルミキサー等の混合機を採用することが好ましい。固体原料は、液状原料に溶解又は分散させた後、液体又は液状体として使用することもできる。
【0039】
本発明のマスターバッチを、そのまま、あるいは、他の成分(他のマスターバッチ等)と組み合わせた組成物を、フィルム成形に供することにより、透明性及び防曇性に優れたポリオレフィン系樹脂フィルムを製造することができる。従って、本発明のマスターバッチは、透明性及び防曇性に優れたポリオレフィン系樹脂フィルムの製造原料として好適である。
【0040】
本発明の樹脂組成物は、上記本発明のマスターバッチを含有することを特徴とする。本発明の樹脂組成物は、透明性及び防曇性に優れたポリオレフィン系樹脂フィルムの製造に好適であり、このようなポリオレフィン系樹脂フィルムを製造する場合には、上記本発明のマスターバッチのみからなる樹脂組成物を、そのまま用いるか、あるいは、上記本発明のマスターバッチと、他の成分とを含む混合物からなる樹脂組成物が用いられる。
他の成分は、特に限定されないが、好ましくは、樹脂、又は、樹脂と添加剤とからなる組成物(以下、この混合物を「他の組成物」という)であり、いずれも、1種のみであってよいし、2種以上であってもよい。
本発明の樹脂組成物は、上記本発明のマスターバッチと、他の成分とからなることが特に好ましい。
【0041】
上記他の成分に含まれる樹脂は、好ましくは、上記本発明のマスターバッチに含まれる非変性ポリオレフィン樹脂(A)と相容性を有する熱可塑性樹脂である。このような熱可塑性樹脂としては、上記本発明のマスターバッチに含まれると同一の又は異なる非変性ポリオレフィン樹脂(A);上記一般式(1)で表される構造単位と、いずれも炭化水素である、脂環式ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物から選ばれた少なくとも1種に由来する構造単位とからなる共重合体等が挙げられる。また、上記他の成分に含まれる樹脂は、上記本発明のマスターバッチに含まれる改質剤(B)と同一の又は異なる改質剤(B)を含有してもよい。
【0042】
また、上記添加剤としては、防曇剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候剤、熱安定剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、滑剤、難燃剤、中和剤等が挙げられる。防曇剤としては、上記本発明のマスターバッチに含まれると同一の又は異なる防曇剤、及び、上記本発明のマスターバッチに含有させることができる、他の防曇剤が挙げられる。
【0043】
本発明の樹脂組成物が、上記本発明のマスターバッチと、他の成分(樹脂又は他の組成物)とからなり、他の成分に含まれる樹脂が非変性ポリオレフィン樹脂(A)である場合、上記本発明のマスターバッチに由来する改質剤(B)の含有割合は、上記本発明のマスターバッチに由来する非変性ポリオレフィン樹脂(A)と、他の成分に含まれる非変性ポリオレフィン樹脂(A)との合計100質量部に対して、好ましくは0.4〜80質量部であり、より好ましくは0.4〜45質量部である。また、上記本発明のマスターバッチに由来する防曇剤(C)の含有量は、上記本発明のマスターバッチに由来する非変性ポリオレフィン樹脂(A)と、他の成分としての樹脂との合計100質量部に対して、好ましくは0.03〜6.00質量部であり、より好ましくは0.05〜4.80質量部である。
【0044】
本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムは、上記本発明のマスターバッチに含有されると同様の、非変性ポリオレフィン樹脂(A)と、改質剤(B)と、防曇剤(C)と、防曇剤(D)とを含有する、透明性及び防曇性に優れたフィルムである。上記改質剤(B)の含有量は、上記非変性ポリオレフィン樹脂(A)100質量部に対して0.4〜80質量部であり、より好ましくは0.4〜45質量部である。また、上記防曇剤(C)の含有量は、上記非変性ポリオレフィン樹脂(A)100質量部に対して、0.03〜6.00質量部であり、より好ましくは0.05〜4.80質量部である。
【0045】
本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムは、必要に応じて、他の樹脂、添加剤等を含有することができる。他の樹脂は、好ましくは、上記非変性ポリオレフィン樹脂(A)と相容性を有する熱可塑性樹脂であり、上記一般式(1)で表される構造単位と、いずれも炭化水素である、脂環式ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物から選ばれた少なくとも1種に由来する構造単位とからなる共重合体等が挙げられる。
また、上記添加剤としては、上記防曇剤(C)及び(D)を除く防曇剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候剤、熱安定剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、滑剤、難燃剤、中和剤等が挙げられる。
【0046】
本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムの厚さは、特に限定されず、好ましくは5〜150μm、より好ましくは10〜120μmである。
【0047】
本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムを製造する方法は、特に限定されないが、上記の非変性ポリオレフィン樹脂(A)、改質剤(B)防曇剤(C)及び防曇剤(D)が、フィルムを構成する割合で含まれる原料組成物を、押出法(インフレーション成形法、Tダイキャスト成形法)、カレンダー成形法、プレス成形法等のフィルム成形に供する方法を適用することができる。
本発明においては、上記本発明のマスターバッチを含む樹脂組成物をフィルム成形に供する。この樹脂組成物に含まれる非変性ポリオレフィン樹脂(A)、改質剤(B)防曇剤(C)及び防曇剤(D)の含有割合は、通常、上記本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムに含まれる非変性ポリオレフィン樹脂(A)、改質剤(B)防曇剤(C)及び防曇剤(D)の含有割合と同じである。上記本発明のマスターバッチは、非変性ポリオレフィン樹脂(A)に対する改質剤(B)防曇剤(C)及び防曇剤(D)の含有割合を、いずれも広い範囲とすることができるので、使用するマスターバッチにおいて改質剤(B)防曇剤(C)及び防曇剤(D)の少なくとも一方が高濃度である場合には、樹脂組成物を、このようなマスターバッチと、他の成分(樹脂又は他の組成物)とからなるものとして用い、他の成分によって、高濃度成分を希釈してその含有割合を、上記本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムを構成する特定の範囲に調整することができる。上記本発明のマスターバッチと併用する他の成分の構成を、適宜、変更することにより、改質剤(B)の含有割合又は防曇剤(C)若しくは防曇剤(D)の含有割合が互いに異なる多種のポリオレフィン系樹脂フィルムを効率よく製造することができる。
【0048】
本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムを製造する他の方法は、以下に例示される。
(i)非変性ポリオレフィン樹脂(A)及び改質剤(B)を含み、防曇剤を含まないマスターバッチと、非変性ポリオレフィン樹脂(A)及び防曇剤を含み、改質剤(B)を含まないマスターバッチとを含有する樹脂組成物を用いる方法
(ii)非変性ポリオレフィン樹脂(A)及び防曇剤を含み、改質剤(B)を含まないマスターバッチと、改質剤(B)と、必要により併用される非変性ポリオレフィン樹脂(A)からなるマスターバッチとを含有する樹脂組成物を用いる方法
(iii)改質剤(B)及び防曇剤を含み、非変性ポリオレフィン樹脂(A)を含まないマスターバッチと、非変性ポリオレフィン樹脂(A)を含むマスターバッチとを含有する樹脂組成物を用いる方法
(iv)非変性ポリオレフィン樹脂(A)及び防曇剤を含み、改質剤(B)を含まないマスターバッチと、改質剤(B)とを含有する樹脂組成物を用いる方法
【0049】
本発明において、ポリオレフィン系樹脂フィルムを製造する方法は、好ましくは、非変性ポリオレフィン樹脂(A)、改質剤(B)及び防曇剤を含むマスターバッチと、非変性ポリオレフィン樹脂(A)とを含有する樹脂組成物を用いる方法、並びに、上記(ii)のうち、非変性ポリオレフィン樹脂(A)及び防曇剤を含み、改質剤(B)を含まないマスターバッチ(以下、「防曇剤含有マスターバッチ」という)と、改質剤(B)と、非変性ポリオレフィン樹脂(A)とを含有する樹脂組成物を用いる方法であり、前者の方法が特に好ましい。
上記防曇剤含有マスターバッチにおいて、防曇剤(C)の含有割合は、非変性ポリオレフィン樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.4〜16.0質量部、より好ましくは0.6〜15.0質量部である。
【0050】
上記の樹脂組成物を用いて本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムを製造する場合には、従来、公知のフィルム成形方法を適用することができる。例えば、空冷インフレーション成形、空冷2段インフレーション成形、空冷3段インフレーション成形、水冷インフレーション成形等のインフレーション成形、Tダイとしてストレート・マニホールド型、コート・ハンガー型、これらを組み合わせたもの等を用いたTダイ成形、カレンダー成形等が挙げられる。本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムは未延伸及び延伸のいずれでもよく、延伸フィルムとする場合の延伸方法としては、逐次二軸延伸法、同時二軸延伸法、チューブラー二軸延伸法等が挙げられる。
【0051】
本発明において、上記のフィルム成形により製膜した後、必要に応じて、プラズマ処理、コロナ処理、フレーム処理、酸又はアルカリによる薬液処理等により表面改質を行ってもよい。
【0052】
次に、本発明の積層フィルムは、上記本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムからなる樹脂層(以下、「第1樹脂層」という)と、他の層とが積層されてなるフィルムである。
他の層の構成材料は、特に限定されない。他の層は、有機材料及び無機材料のいずれからなるものでもよく、両方を含むものでもよい。また、他の層の数は、1又は2以上とすることができ、2以上の場合、第1樹脂層の1面側のみに配されたものであってよいし、第1樹脂層の両面に配されたものであってもよい。
他の層は、具体的には、他の樹脂層、接着層、アンカーコート層、金属層等が挙げられる。他の層は、好ましくは、熱可塑性樹脂を含む層であり、熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂(非変性ポリオレフィン樹脂、変性ポリオレフィン樹脂等)、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート等)、ポリアミド樹脂(ナイロン6等)、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、スチレン系樹脂(ポリスチレン等)、アクリル樹脂(ポリメタクリル酸メチル等)等が挙げられる。他の樹脂層は、熱安定剤、酸化防止剤、中和剤、帯電防止剤、滑剤、耐候剤、紫外線吸収剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤等の添加剤を含有することもできる。他の層が金属層である場合、アルミニウム層等とすることができる。
【0053】
上記のように、本発明の積層フィルムにおける他の層の数は、1又は2以上であるが、第1樹脂層は、通常、柔軟性を有するため、他の層によって、積層フィルムに柔軟性を保持又は改良させたり、耐カール性、酸素バリア性、保香性、耐ピンホール性を付与させたりすることができる。このような目的を達成するために、積層フィルムの用途に応じて、他の層の数及び各層の厚さを、適宜、設定することが好ましい。
【0054】
本発明の積層フィルムの特に好ましい構成は、第1樹脂層と、他の樹脂層とを備えるものであり、他の樹脂層を、互いに同一又は異なる2つの隣り合う熱可塑性樹脂層とするものである。この隣り合う熱可塑性樹脂層を、第1樹脂層の側から、第2樹脂層及び第3樹脂層とすると、この3層型積層フィルムにおける第1樹脂層、第2樹脂層及び第3樹脂層の厚さの比は、好ましくは1:1〜10:1〜5、より好ましくは1:1〜5:1〜3である。尚、上記3層型積層フィルムの合計厚さは、好ましくは20〜150μm、より好ましくは30〜120μmである。
【0055】
上記3層型積層フィルムに透明性を付与する場合には、第2樹脂層及び第3樹脂層が、いずれも、透明性を有する熱可塑性樹脂を主とするものであればよいが、熱可塑性樹脂が、第1樹脂層に含まれるのと同じ又は異なる非変性ポリオレフィン樹脂(A)である場合には、第2樹脂層及び第3樹脂層に更に防曇剤を含有してもよい。このとき、防曇剤は、第1樹脂層に含まれる防曇剤であってよいし、他の防曇剤であってもよい。また、第2樹脂層及び第3樹脂層が防曇剤を含む場合には、これらの樹脂層は、更に改質剤を含有してもよい。
【0056】
本発明の積層フィルムは、従来、公知の方法で製造することができる。かかる製造方法は、他の層の構成、積層フィルムの用途等により、適宜、選択されるが、他の層が他の樹脂層である場合、ラミネート法、共押出法等が好ましく適用される。このうち、ラミネート法としては、ドライラミネート法、サンドラミネート法、押出ラミネート法等が挙げられる。これらのラミネート法により積層フィルムを製造する場合には、ポリオレフィン系樹脂フィルムと、他の樹脂層を形成する樹脂フィルムとの間に、公知の接着剤(ポリウレタン系接着剤、有機チタン系アンカーコート剤、イソシアネート系アンカーコート剤及び接着性樹脂等)を使用して、これを介在させた状態でラミネートすることができる。また、共押出法の場合、上記第1樹脂層を形成する上記本発明の樹脂組成物と、他の樹脂層を形成することとなる組成物(熱可塑性樹脂組成物、他の樹脂層の数が2以上の場合、相当数の種類の熱可塑性樹脂組成物)とを、インフレーション成形又はTダイ成形に供する方法を用いることができ、必要に応じて、延伸させることもできる。
【0057】
また、他の層が金属層である場合の積層フィルムの製造方法としては、上記本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムと、金属箔とを接着剤により接着させる方法、上記本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムの表面に金属蒸着を行う方法等が挙げられる。
【0058】
本発明のポリオレフィン系樹脂フィルム、及び、本発明の積層フィルムは、物品を包装する包装フィルムとして好適である。特に、含水性又は表面に水分が付着している物品である食品(野菜等)の側に、本発明のポリオレフィン系樹脂フィルム、又は、積層フィルムの第1樹脂層が面するように、これらのフィルムを用いて包装し、例えば、10℃以下の雰囲気下に載置して放置した後、フィルムの内表面に、水滴がほとんど見られない。従って、物品の視認性が保持され、商品価値の低下を抑制することができる。このような防曇性が得られることについて、成形された樹脂フィルムの最表面近くに、本発明に係る防曇剤が保持されているからであると推定している。
【実施例】
【0059】
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例及び比較例において、「%」及び「部」は、それぞれ、「質量%」及び「質量部」を意味することがある。
【0060】
1.製造原料
非変性ポリオレフィン樹脂、改質剤及び防曇剤を含有するマスターバッチの製造、並びに、これらを含有するフィルムの製造に用いた原料を示す。
1−1.非変性ポリオレフィン樹脂(A)
(A−1)エチレン・1−ブテン共重合体
1−ブテン単位の含有割合が10%の共重合体であり、密度は0.920g/cmであり、温度190℃及び荷重2.16kgfにおけるMFRは2.1g/10分である。
(A−2)エチレン・1−ヘキセン共重合体
1−ヘキセン単位の含有割合が5%の共重合体であり、密度は0.936g/cmであり、温度190℃及び荷重2.16kgfにおけるMFRは2.0g/10分である。
(A−3)エチレン・1−オクテン共重合体
1−オクテン単位の含有割合が10%の共重合体であり、密度は0.931g/cmであり、温度190℃及び荷重2.16kgfにおけるMFRは2.8g/10分である。
(A−4)エチレン・1−ヘキセン共重合体
1−ヘキセン単位の含有割合が10%の共重合体であり、密度は0.924g/cmであり、温度190℃及び荷重2.16kgfにおけるMFRは2.0g/10分)である。
(A−5)エチレン・1−ブテン・プロピレン共重合体
1−ブテン単位の含有割合が4%、プロピレン単位の含有割合が96%の共重合体であり、密度は0.90g/cmであり、温度190℃及び荷重2.16kgfにおけるMFRは7.0g/10分である。
【0061】
1−2.改質剤(B)又は比較例用の原料(b−1)
(B−1)エチレン・酢酸ビニル共重合体
酢酸ビニル単位の含有割合が15%の共重合体であり、密度は0.936g/cmであり、温度190℃及び荷重2.16kgfにおけるMFRは2.0g/10分である。
(B−2)エチレン・酢酸ビニル共重合体
酢酸ビニル単位の含有割合が6%の共重合体であり、密度は0.925g/cmであり、温度190℃及び荷重2.16kgfにおけるMFRは2.0g/10分である。
(B−3)エチレン・酢酸ビニル共重合体
酢酸ビニル単位の含有割合が25%の共重合体であり、密度は0.950g/cmであり、温度190℃及び荷重2.16kgfにおけるMFRは2.0g/10分である。
(B−4)エチレン・メタクリル酸メチル共重合体
メタクリル酸メチル単位の含有割合が10%の共重合体であり、密度は0.930g/cmであり、温度190℃及び荷重2.16kgfにおけるMFRは2.0g/10分である。
(B−5)エチレン・アクリル酸エチル共重合体
アクリル酸エチル単位の含有割合が10%の共重合体であり、密度は0.926g/cmであり、温度190℃及び荷重2.16kgfにおけるMFRは3.0g/10分である。
(B−6)無水マレイン変性ポリプロピレン
理研ビタミン社製「REO−070−1」(商品名)を用いた。
(b−1)アイオノマー
三井・デュポン・ポリケミカル社製「ハイミラン1605」(商品名)を用いた。
【0062】
1−3.防曇剤(C)
1−3−1.アルキルスルホン酸アルカリ金属塩(C1)
C1−1:アルキル基の炭素原子数が13〜18のアルキルスルホン酸ナトリウムの混合物(6種の化合物の混合物、即ち、アルキル基の炭素原子数が13のトリデシルスルホン酸ナトリウム、アルキル基の炭素原子数が14のテトラデシルスルホン酸ナトリウム、アルキル基の炭素原子数が15のペンタデシルスルホン酸ナトリウム、アルキル基の炭素原子数が16のヘキサデシルスルホン酸ナトリウム、アルキル基の炭素原子数が17のヘプタデシルスルホン酸ナトリウム、及び、アルキル基の炭素原子数が18のオクタデシルスルホン酸ナトリウムの混合物である。以下も同様である。)
C1−2:アルキル基の炭素原子数が10〜16のアルキルスルホン酸ナトリウムの混合物(7種の化合物の混合物)
1−3−2.アルキルアリールスルホン酸アルカリ金属塩(C2)
C2−1:アルキルアリール基の炭素原子数が15〜20のアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの混合物(6種の化合物の混合物)
1−3−3.アルキル硫酸アルカリ金属塩(C3)
C3−1:アルキル基の炭素原子数が6〜18のアルキル硫酸ナトリウムの混合物(13種の化合物の混合物)
【0063】
1−4.防曇剤(D)
D−1:ジグリセリンとラウリン酸の部分エステル
D−2:ジグリセリンとカプリル酸の部分エステル
D−3:グリセリンとオレイン酸の部分エステル
D−4:グリセリンとベヘン酸の部分エステル
D−5:テトラグリセリンとラウリン酸の部分エステル
D−6:デカグリセリンとオレイン酸の部分エステル
D−7:ソルビタンとラウリン酸の部分エステル
【0064】
2.マスターバッチの製造
以下、改質剤及び防曇剤を含有するポリオレフィン系樹脂フィルムの作製に用いる原料であるマスターバッチ(非変性ポリオレフィン樹脂、改質剤及び防曇剤を含有するマスターバッチ等)の製造例を示す。
【0065】
実施例1−1
100部のエチレン・1−ブテン共重合体(A−1)と、14.3部のエチレン・酢酸ビニル共重合体(B−1)と、8.6部の防曇剤(C1−1)とをタンブラーにて混合した後、二軸押出機により220℃で溶融状態としたところへ、20部の防曇剤(D−1)を液状注入により供給して、全ての原料を溶融混練した。次いで、造粒して、表1に示す構成のマスターバッチ(M−1)を得た。
【0066】
マスターバッチを製造する際に、マスターバッチの製造安定性(生産性)を目視で観察し、以下の基準で評価した。その評価結果を表1に併記した。
<マスターバッチ生産性の判定基準>
1:マスターバッチ製造時に、ベントアップ及びストランド暴れが発生しなかった(製造安定性に非常に優れる)
2:マスターバッチ製造時に、ストランドの走行に乱れが発生することがあったが、ベントアップは発生しなかった(製造安定性に優れる)
3:マスターバッチ製造時に、ストランド暴れ及びベントアップが発生した(製造安定性に劣る)
【0067】
実施例1−2
100部のエチレン・1−ブテン共重合体(A−1)と、8部のエチレン・酢酸ビニル共重合体(B−2)と、1.3部の防曇剤(C1−1)とをタンブラーにて混合した後、二軸押出機により220℃で溶融状態としたところへ、5部の防曇剤(D−2)を液状注入により供給して、全ての原料を溶融混練した。次いで、造粒して、表1に示す構成のマスターバッチ(M−2)を得た。そして、実施例1−1と同様にして、マスターバッチの製造安定性(生産性)を評価した。その結果を表1に併記した。
【0068】
実施例1−3
100部のエチレン・1−ヘキセン共重合体(A−2)と、10部のエチレン・酢酸ビニル共重合体(B−3)と、0.6部の防曇剤(C1−1)とをタンブラーにて混合した後、二軸押出機により220℃で溶融状態としたところへ、14.4部の防曇剤(D−3)を液状注入により供給して、全ての原料を溶融混練した。次いで、造粒して、表1に示す構成のマスターバッチ(M−3)を得た。そして、実施例1−1と同様にして、マスターバッチの製造安定性(生産性)を評価した。その結果を表1に併記した。
【0069】
実施例1−4
100部のエチレン・1−ブテン共重合体(A−1)と、14.3部のエチレン・酢酸ビニル共重合体(B−1)と、6質量部の防曇剤(C1−1)とをタンブラーにて混合した後、二軸押出機により220℃で溶融状態としたところへ、4質量部の防曇剤(D−1)を液状注入により供給して、全ての原料を溶融混練した。次いで、造粒して、表1に示す構成のマスターバッチ(M−4)を得た。そして、実施例1−1と同様にして、マスターバッチの製造安定性(生産性)を評価した。その結果を表1に併記した。
【0070】
実施例1−5
100部のエチレン・1−オクテン共重合体(A−3)と、53部のエチレン・メタクリル酸メチル共重合体(B−4)と、12部の防曇剤(C1−1)と18部の防曇剤(D−4)とをタンブラーにて混合した後、二軸押出機により220℃で全ての原料を溶融混練した。次いで、造粒して、表1に示す構成のマスターバッチ(M−5)を得た。そして、実施例1−1と同様にして、マスターバッチの製造安定性(生産性)を評価した。その結果を表1に併記した。
【0071】
実施例1−6
100部のエチレン・1−ヘキセン共重合体(A−4)と、30部のエチレン・アクリル酸エチル共重合体(B−5)と、8.6部の防曇剤(C1−2)とをタンブラーにて混合した後、二軸押出機により220℃で溶融状態としたところへ、13部の防曇剤(D−5)を液状注入により供給して、全ての原料を溶融混練した。次いで、造粒して、表1に示す構成のマスターバッチ(M−6)を得た。そして、実施例1−1と同様にして、マスターバッチの製造安定性(生産性)を評価した。その結果を表1に併記した。
【0072】
比較例1−1
100部のエチレン・1−ブテン共重合体(A−1)と、4.2部のエチレン・酢酸ビニル共重合体(B−1)と、16.2部の防曇剤(C1−1)とをタンブラーにて混合した後、二軸押出機により220℃で溶融状態としたところへ、37.8部の防曇剤(D−1)を液状注入により供給して、全ての原料を溶融混練した。次いで、造粒して、表1に示す構成のマスターバッチ(m−1)を得た。そして、実施例1−1と同様にして、マスターバッチの製造安定性(生産性)を評価した。その結果を表1に併記した。
【0073】
比較例1−2
100部のエチレン・1−ブテン共重合体(A−1)と、14.3部のエチレン・酢酸ビニル共重合体(B−1)とをタンブラーにて混合した後、二軸押出機により220℃で溶融混練した。次いで、造粒して、表1に示す構成のマスターバッチ(m−2)を得た。そして、実施例1−1と同様にして、マスターバッチの製造安定性(生産性)を評価した。その結果を表1に併記した。
【0074】
比較例1−3
100部のエチレン・1−ブテン共重合体(A−1)と、14.3部のエチレン・酢酸ビニル共重合体(B−2)と、0.2部の防曇剤(C1−1)とをタンブラーにて混合した後、二軸押出機により220℃で溶融状態したところへ、4.8部の防曇剤(D−1)を液状注入により供給して、全ての原料を溶融混練した。次いで、造粒して、表1に示す構成のマスターバッチ(m−3)を得た。そして、実施例1−1と同様にして、マスターバッチの製造安定性(生産性)を評価した。その結果を表1に併記した。
【0075】
比較例1−4
100部のエチレン・1−ブテン共重合体(A−1)と、88.2部のエチレン・酢酸ビニル共重合体(B−2)と、1.3部の防曇剤(C1−1)とをタンブラーにて混合した後、二軸押出機により220℃で溶融状態としたところへ、20部の防曇剤(D−1)を液状注入により供給して、全ての原料を溶融混練した。次いで、造粒して、表1に示す構成のマスターバッチ(m−4)を得た。そして、実施例1−1と同様にして、マスターバッチの製造安定性(生産性)を評価した。その結果を表1に併記した。
【0076】
比較例1−5
100部のエチレン・1−ブテン共重合体(A−1)と、8.6部の防曇剤(C1−1)とをタンブラーにて混合した後、二軸押出機により220℃で溶融状態としたところへ、20部の防曇剤(D−1)を液状注入により供給して、全ての原料を溶融混練した。次いで、造粒して、表1に示す構成のマスターバッチ(m−5)を得た。そして、実施例1−1と同様にして、マスターバッチの製造安定性(生産性)を評価した。その結果を表1に併記した。
【0077】
比較例1−6
100部のエチレン・1−ブテン共重合体(A−1)と、3.5部のエチレン・酢酸ビニル共重合体(B−2)と、8.6部の防曇剤(C1−1)とをタンブラーにて混合した後、二軸押出機により220℃で溶融状態としたところへ、20部の防曇剤(D−1)を液状注入により供給して、全ての原料を溶融混練した。次いで、造粒して、表1に示す構成のマスターバッチ(m−6)を得た。そして、実施例1−1と同様にして、マスターバッチの製造安定性(生産性)を評価した。その結果を表1に併記した。
【0078】
比較例1−7
100部のエチレン・1−ブテン共重合体(A−1)と、14.3部のアイオノマー(b−1)と、8.6部の防曇剤(C1−1)とをタンブラーにて混合した後、二軸押出機により220℃で溶融状態としたところへ、20部の防曇剤(D−1)を液状注入により供給して、全ての原料を溶融混練した。次いで、造粒して、表1に示す構成のマスターバッチ(m−7)を得た。そして、実施例1−1と同様にして、マスターバッチの製造安定性(生産性)を評価した。その結果を表1に併記した。
【0079】
比較例1−8
100部のエチレン・1−ブテン・プロピレン共重合体(A−5)と、15部の無水マレイン変性ポリプロピレン(B−6)と、2部の防曇剤(C2−1)とをタンブラーにて混合した後、二軸押出機により220℃で溶融状態としたところへ、18部の防曇剤(D−6)を液状注入により供給して、全ての原料を溶融混練した。次いで、造粒して、表1に示す構成のマスターバッチ(m−8)を得た。そして、実施例1−1と同様にして、マスターバッチの製造安定性(生産性)を評価した。その結果を表1に併記した。
【0080】
比較例1−9
100部のエチレン・1−ブテン・プロピレン共重合体(A−5)と、18部の無水マレイン変性ポリプロピレン(B−6)と、2.9部の防曇剤(C3−1)とをタンブラーにて混合した後、二軸押出機により220℃で溶融状態としたところへ、25.7部の防曇剤(D−7)を液状注入により供給して、全ての原料を溶融混練した。次いで、造粒して、表1に示す構成のマスターバッチ(m−9)を得た。そして、実施例1−1と同様にして、マスターバッチの製造安定性(生産性)を評価した。その結果を表1に併記した。
【0081】
【表1】
【0082】
3.ポリオレフィン系樹脂フィルムの製造(1)
表1に示すマスターバッチと、非変性ポリオレフィン樹脂とを用いて、ポリオレフィン系樹脂フィルムを得た。
【0083】
実施例2−1
上記実施例1−1で得られたマスターバッチ(M−1)5部と、エチレン・1−ブテン共重合体(A−1)からなる非変性ポリオレフィン樹脂95部とを、タンブラーで混合した。次いで、インフレーション成形機により混合物を190℃で溶融し、20℃の環境下で空冷しながら押し出して、厚さ40μmのポリオレフィン系樹脂フィルム(F−1)を製造した(表2参照)。
【0084】
ポリオレフィン系樹脂フィルムの製膜挙動の目視観察及び寸法測定を行い、製膜安定性(製膜性)を、以下の基準で評価した。その評価結果を表2に併記した。
<製膜性の判定基準>
1:フィルム製膜時に、押出変動が発生せず、膜厚むらが設定厚みに対して±5μmであった(製膜安定性に非常に優れる)
2:フィルム製膜時に、押出変動がわずかに発生したが、膜厚むらが設定厚みに対して±5μmであった(製膜安定性に優れる)
3:フィルム製膜時に、押出変動によるスジや膜厚むらが発生した(製膜安定性に劣る)
【0085】
また、得られたポリオレフィン系樹脂フィルムについて、下記方法により、防曇性及び透明性の評価を行った。その結果を表2に併記した。
(1)防曇性
ポリオレフィン系樹脂フィルムを、温度20℃及び相対湿度65%の条件下に24時間載置して調湿した後、20℃の水を入れたビーカーの開口面に被せた。次いで、この状態で5℃の雰囲気下に24時間置いて、ビーカー被着面への水滴の付着程度を観察し、以下の基準で防曇性を評価した。
<防曇性の判定基準>
1:水滴の付着がなく、透明であった(防曇性が著しく優れる)
2:大きな水滴の付着があったが、透明であった(防曇性が優れる)
3:多数の小さい水滴の付着があり、不透明であった(防曇性が劣る)
(2)透明性
ポリオレフィン系樹脂フィルムを、温度20℃及び相対湿度65%の条件下に24時間載置して調湿した後、日本電色工業社製ヘイズメーター「NDH−5000」(型式名)を用いてヘイズを測定し、下記の基準で透明性を評価した。
<透明性の判定基準>
1:ヘイズが5%未満(透明性が優れる)
2:ヘイズが5%以上10%未満(透明性が良好である)
3:ヘイズが10%以上(透明性が劣る)
【0086】
実施例2−2
上記実施例1−2で得られたマスターバッチ(M−2)20部と、エチレン・1−ブテン共重合体(A−1)からなるからなる非変性ポリオレフィン樹脂80部とを、タンブラーで混合した。次いで、インフレーション成形機により混合物を190℃で溶融し、20℃の環境下で空冷しながら押し出して、厚さ30μmのポリオレフィン系樹脂フィルム(F−2)を製造した(表2参照)。
その後、実施例2−1と同様にしてフィルムの評価を行った。その結果を表2に示す。
【0087】
実施例2−3
上記実施例1−3で得られたマスターバッチ(M−3)15部と、エチレン・1−ヘキセン共重合体(A−2)からなる非変性ポリオレフィン樹脂85部とを、タンブラーで混合した。次いで、インフレーション成形機により混合物を190℃で溶融し、20℃の環境下で空冷しながら押し出して、厚さ20μmのポリオレフィン系樹脂フィルム(F−3)を製造した(表2参照)。
その後、実施例2−1と同様にしてフィルムの評価を行った。その結果を表2に示す。
【0088】
実施例2−4
上記実施例1−4で得られたマスターバッチ(M−4)10部と、エチレン・1−ブテン共重合体(A−1)からなる非変性ポリオレフィン樹脂90部とを、タンブラーで混合した。次いで、インフレーション成形機により混合物を190℃で溶融し、20℃の環境下で空冷しながら押し出して、厚さ40μmのポリオレフィン系樹脂フィルム(F−4)を製造した(表2参照)。
その後、実施例2−1と同様にしてフィルムの評価を行った。その結果を表2に示す。
【0089】
実施例2−5
上記実施例1−5で得られたマスターバッチ(M−5)30部と、エチレン・1−ヘキセン共重合体(A−3)からなる非変性ポリオレフィン樹脂70部とを、タンブラーで混合した。次いで、インフレーション成形機により混合物を190℃で溶融し、20℃の環境下で空冷しながら押し出して、厚さ10μmのポリオレフィン系樹脂フィルム(F−5)を製造した(表2参照)。
その後、実施例2−1と同様にしてフィルムの評価を行った。その結果を表2に示す。
【0090】
実施例2−6
上記実施例1−6で得られたマスターバッチ(M−6)3部と、エチレン・1−ヘキセン共重合体(A−4)からなる非変性ポリオレフィン樹脂97部とを、タンブラーで混合した。次いで、インフレーション成形機により混合物を190℃で溶融し、20℃の環境下で空冷しながら押し出して、厚さ120μmのポリオレフィン系樹脂フィルム(F−6)を製造した(表2参照)。
その後、実施例2−1と同様にしてフィルムの評価を行った。その結果を表2に示す。
【0091】
比較例2−1
上記比較例1−1で得られたマスターバッチ(m−1)10部と、エチレン・1−ブテン共重合体(A−1)からなる非変性ポリオレフィン樹脂90部とを、タンブラーで混合した。次いで、インフレーション成形機により混合物を190℃で溶融し、20℃の環境下で空冷しながら押し出して、厚さ40μmのポリオレフィン系樹脂フィルム(f−1)を製造した(表2参照)。
その後、実施例2−1と同様にしてフィルムの評価を行った。その結果を表2に示す。
【0092】
比較例2−2
上記比較例1−2で得られたマスターバッチ(m−2)5部と、エチレン・1−ブテン共重合体(A−1)からなる非変性ポリオレフィン樹脂95部とを、タンブラーで混合した。次いで、インフレーション成形機により混合物を190℃で溶融し、20℃の環境下で空冷しながら押し出して、厚さ40μmのポリオレフィン系樹脂フィルム(f−1)を製造した(表2参照)。
その後、実施例2−1と同様にしてフィルムの評価を行った。その結果を表2に示す。
【0093】
比較例2−3
上記比較例1−3で得られたマスターバッチ(m−3)5部と、エチレン・1−ブテン共重合体(A−1)からなる非変性ポリオレフィン樹脂95部とを、タンブラーで混合した。次いで、インフレーション成形機により混合物を190℃で溶融し、20℃の環境下で空冷しながら押し出して、厚さ40μmのポリオレフィン系樹脂フィルム(f−3)を製造した(表2参照)。
その後、実施例2−1と同様にしてフィルムの評価を行った。その結果を表2に示す。
【0094】
比較例2−4
上記比較例1−4で得られたマスターバッチ(m−4)3部と、エチレン・1−ブテン共重合体(A−1)からなる非変性ポリオレフィン樹脂97部とを、タンブラーで混合した。次いで、インフレーション成形機により混合物を190℃で溶融し、20℃の環境下で空冷しながら押し出して、厚さ40μmのポリオレフィン系樹脂フィルム(f−4)を製造した(表2参照)。
その後、実施例2−1と同様にしてフィルムの評価を行った。その結果を表2に示す。
【0095】
比較例2−5
上記比較例1−5で得られたマスターバッチ(m−5)5部と、エチレン・1−ブテン共重合体(A−1)からなる非変性ポリオレフィン樹脂95部とを、タンブラーで混合した。次いで、インフレーション成形機により混合物を190℃で溶融し、20℃の環境下で空冷しながら押し出して、厚さ40μmのポリオレフィン系樹脂フィルム(f−5)を製造した(表2参照)。
その後、実施例2−1と同様にしてフィルムの評価を行った。その結果を表2に示す。
【0096】
比較例2−6
上記比較例1−6で得られたマスターバッチ(m−6)5部と、エチレン・1−ブテン共重合体(A−1)からなる非変性ポリオレフィン樹脂95部とを、タンブラーで混合した。次いで、インフレーション成形機により混合物を190℃で溶融し、20℃の環境下で空冷しながら押し出して、厚さ40μmのポリオレフィン系樹脂フィルム(f−6)を製造した(表2参照)。
その後、実施例2−1と同様にしてフィルムの評価を行った。その結果を表2に示す。
【0097】
比較例2−7
上記比較例1−7で得られたマスターバッチ(m−7)5部と、エチレン・1−ブテン共重合体(A−1)からなる非変性ポリオレフィン樹脂95部とを、タンブラーで混合した。次いで、インフレーション成形機により混合物を190℃で溶融し、20℃の環境下で空冷しながら押し出して、厚さ40μmのポリオレフィン系樹脂フィルム(f−7)を製造した(表2参照)。
その後、実施例2−1と同様にしてフィルムの評価を行った。その結果を表2に示す。
【0098】
比較例2−8
上記比較例1−8で得られたマスターバッチ(m−8)7部と、エチレン・1−ブテン・プロピレン共重合体(A−5)からなる非変性ポリオレフィン樹脂93部とを、タンブラーで混合した。次いで、インフレーション成形機により混合物を190℃で溶融し、20℃の環境下で空冷しながら押し出して、厚さ40μmのポリオレフィン系樹脂フィルム(f−8)を製造した(表2参照)。
その後、実施例2−1と同様にしてフィルムの評価を行った。その結果を表2に示す。
【0099】
比較例2−9
上記比較例1−9で得られたマスターバッチ(m−9)5部と、エチレン・1−ブテン・プロピレン共重合体(A−5)からなる非変性ポリオレフィン樹脂95部とを、タンブラーで混合した。次いで、インフレーション成形機により混合物を190℃で溶融し、20℃の環境下で空冷しながら押し出して、厚さ40μmのポリオレフィン系樹脂フィルム(f−9)を製造した(表2参照)。
その後、実施例2−1と同様にしてフィルムの評価を行った。その結果を表2に示す。
【0100】
【表2】
【0101】
4.防曇剤を含み、改質剤を含まないマスターバッチの製造
以下、改質剤及び防曇剤を含有するポリオレフィン系樹脂フィルムの作製に用いる原料であるマスターバッチ(改質剤を含まず、非変性ポリオレフィン樹脂及び防曇剤を含有するマスターバッチ等)の製造例を示す。
【0102】
調製例1
100部のエチレン・1−ブテン共重合体(A−1)と、5.3部の防曇剤(C1−1)とをタンブラーにて混合した後、二軸押出機により220℃で溶融状態としたところへ、12.3部の防曇剤(D−1)を液状注入により供給して、全ての原料を溶融混練した。次いで、造粒して、表3に示す構成のマスターバッチ(M−9)を得た。
【0103】
調製例2
100部のエチレン・1−ブテン共重合体(A−1)と、3.5部の防曇剤(C1−1)とをタンブラーにて混合した後、二軸押出機により220℃で溶融状態としたところへ、14.1部の防曇剤(D−2)を液状注入により供給して、全ての原料を溶融混練した。次いで、造粒して、表3に示す構成のマスターバッチ(M−10)を得た。
【0104】
調製例3
100部のエチレン・1−ヘキセン共重合体(A−2)と、1.2部の防曇剤(C1−1)とをタンブラーにて混合した後、二軸押出機により220℃で溶融状態としたところへ、28.8部の防曇剤(D−3)を液状注入により供給して、全ての原料を溶融混練した。次いで、造粒して、表3に示す構成のマスターバッチ(M−11)を得た。
【0105】
調製例4
100部のエチレン・1−ブテン共重合体(A−1)と、5.5部の防曇剤(C1−1)とをタンブラーにて混合した後、二軸押出機により220℃で溶融状態としたところへ、5.5部の防曇剤(D−1)を液状注入により供給して、全ての原料を溶融混練した。次いで、造粒して、表3に示す構成のマスターバッチ(M−12)を得た。
【0106】
調製例5
100部のエチレン・1−オクテン共重合体(A−3)と、14.4部の防曇剤(C1−1)と、21.6部の防曇剤(D−4)とをタンブラーにて混合した後、二軸押出機により220℃で全ての原料を溶融混練した。次いで、造粒して、表3に示す構成のマスターバッチ(M−13)を得た。
【0107】
調製例6
100部のエチレン・1−ヘキセン共重合体(A−4)と、4.4部の防曇剤(C1−2)とをタンブラーにて混合した後、二軸押出機により220℃で溶融状態としたところへ、6.7部の防曇剤(D−5)を液状注入により供給して、全ての原料を溶融混練した。次いで、造粒して、表3に示す構成のマスターバッチ(M−14)を得た。
【0108】
調製例7
100部のエチレン・1−ブテン・プロピレン共重合体(A−5)と、1.1部の防曇剤(C2−1)とをタンブラーにて混合した後、二軸押出機により220℃で溶融状態としたところへ、10部の防曇剤(D−6)を液状注入により供給して、全ての原料を溶融混練した。次いで、造粒して、表3に示す構成のマスターバッチ(M−15)を得た。
【0109】
調製例8
100部のエチレン・1−ブテン共重合体(A−1)と、1.1部の防曇剤(C3−1)とをタンブラーにて混合した後、二軸押出機により220℃で溶融状態としたところへ、10部の防曇剤(D−7)を液状注入により供給して、全ての原料を溶融混練した。次いで、造粒して、表3に示す構成のマスターバッチ(M−16)を得た。
【0110】
【表3】
【0111】
5.ポリオレフィン系樹脂フィルムの製造(2)
表4に示すマスターバッチと、非変性ポリオレフィン樹脂と、改質剤とを用いて、ポリオレフィン系樹脂フィルムを得た。
【0112】
実施例3−1
上記調製例1で得られたマスターバッチ(M−9)6部と、エチレン・1−ブテン重合体(A−1)からなる非変性ポリオレフィン樹脂90部と、改質剤であるエチレン・酢酸ビニル共重合体(B−1)4部とをタンブラーで混合した。次いで、インフレーション成形機により混合物を190℃で溶融し、20℃の環境下で空冷しながら押し出して、表4に示す構成を有する、厚さ40μmのポリオレフィン系樹脂フィルム(FF−1)を製造した。
【0113】
得られたポリオレフィン系樹脂フィルムについて、実施例2−1と同様にして、製膜性、防曇性及び透明性の評価を行った。その結果を表4に併記した。
【0114】
実施例3−2
上記調製例2で得られたマスターバッチ(M−10)6部と、エチレン・1−ブテン共重合体(A−1)からなる非変性ポリオレフィン樹脂79部と、改質剤であるエチレン・酢酸ビニル共重合体(B−2)15部とをタンブラーで混合した。インフレーション成形機により混合物を190℃で溶融し、20℃の環境下で押し出して、厚さ30μmのポリオレフィン系樹脂フィルム(FF−2)を製造した(表4参照)。
その後、上記と同様にして、製膜性、防曇性及び透明性の評価を行った。その結果を表4に併記した。
【0115】
実施例3−3
上記調製例3で得られたマスターバッチ(M−11)8部と、エチレン・1−ヘキセン共重合体(A−2)からなる非変性ポリオレフィン樹脂62部と、改質剤であるエチレン・酢酸ビニル共重合体(B−3)30部とをタンブラーで混合した。次いで、インフレーション成形機により混合物を190℃で溶融し、20℃の環境下で押し出して、厚さ20μmのポリオレフィン系樹脂フィルム(FF−3)を製造した(表4参照)。
その後、上記と同様にして、製膜性、防曇性及び透明性の評価を行った。その結果を表4に併記した。
【0116】
実施例3−4
上記調製例4で得られたマスターバッチ(M−12)15部と、エチレン・1−ブテン共重合体(A−1)からなる非変性ポリオレフィン樹脂65部と、改質剤であるエチレン・酢酸ビニル共重合体(B−1)20部とをタンブラーで混合した。次いで、インフレーション成形機により混合物を190℃で溶融し、20℃の環境下で押し出して、厚さ40μmのポリオレフィン系樹脂フィルム(FF−4)を製造した(表4参照)。
その後、上記と同様にして、製膜性、防曇性及び透明性の評価を行った。その結果を表4に併記した。
【0117】
実施例3−5
上記調製例5で得られたマスターバッチ(M−13)35部と、エチレン・1−オクテン共重合体(A−3)からなる非変性ポリオレフィン樹脂55部と、改質剤であるエチレン・メタクリル酸メチル共重合体(B−4)10部とをタンブラーで混合した。次いで、インフレーション成形機により混合物を190℃で溶融し、20℃の環境下で押し出して、厚さ10μmのポリオレフィン系樹脂フィルム(FF−5)を製造した(表4参照)。
その後、上記と同様にして、製膜性、防曇性及び透明性の評価を行った。その結果を表4に併記した。
【0118】
実施例3−6
上記調製例6で得られたマスターバッチ(M−14)6部と、エチレン・ヘキセン共重合体(A−4)からなる非変性ポリオレフィン樹脂90部と、改質剤であるエチレン・アクリル酸エチル共重合体(B−5)4部とをタンブラーで混合した。次いで、インフレーション成形機により混合物を190℃で溶融し、20℃の環境下で押し出して、厚さ120μmのポリオレフィン系樹脂フィルム(FF−6)を製造した(表4参照)。
その後、上記と同様にして、製膜性、防曇性及び透明性の評価を行った。その結果を表4に併記した。
【0119】
比較例3−1
上記調製例1で得られたマスターバッチ(M−9)6部と、エチレン・1−ブテン共重合体(A−1)からなる非変性ポリオレフィン樹脂49部と、改質剤であるエチレン・酢酸ビニル共重合体(B−1)45部とをタンブラーで混合した。次いで、インフレーション成形機により混合物を190℃で溶融し、20℃の環境下で押し出して、厚さ40μmのポリオレフィン系樹脂フィルム(ff−1)を製造した(表4参照)。
その後、上記と同様にして、製膜性、防曇性及び透明性の評価を行った。その結果を表4に併記した。
【0120】
比較例3−2
上記調製例1で得られたマスターバッチ(M−9)6部と、エチレン・1−ブテン共重合体(A−1)からなる非変性ポリオレフィン樹脂94部とをタンブラーで混合した。次いで、インフレーション成形機により混合物を190℃で溶融し、20℃の環境下で押し出して、改質剤を含有しない、厚さ40μmのポリオレフィン系樹脂フィルム(ff−2)を製造した(表4参照)。
その後、上記と同様にして、製膜性、防曇性及び透明性の評価を行った。その結果を表4に併記した。
【0121】
比較例3−3
上記調製例1で得られたマスターバッチ(M−9)6部と、エチレン・1−ブテン共重合体(A−1)からなる非変性ポリオレフィン樹脂93.7部と、改質剤であるエチレン・酢酸ビニル共重合体(B−1)0.3部とをタンブラーで混合した。次いで、インフレーション成形機により混合物を190℃で溶融し、20℃の環境下で押し出して、厚さ40μmのポリオレフィン系樹脂フィルム(ff−3)を製造した(表4参照)。
その後、上記と同様にして、製膜性、防曇性及び透明性の評価を行った。その結果を表4に併記した。
【0122】
比較例3−4
上記調製例1で得られたマスターバッチ(M−9)6部と、エチレン・1−ブテン共重合体(A−1)からなる非変性ポリオレフィン樹脂90部と、改質剤であるアイオノマー(b−1)を4部とをタンブラーで混合した。次いで、インフレーション成形機により混合物を190℃で溶融し、20℃の環境下で押し出して、厚さ40μmのポリオレフィン系樹脂フィルム(ff−4)を製造した(表4参照)。
その後、上記と同様にして、製膜性、防曇性及び透明性の評価を行った。その結果を表4に併記した。
【0123】
比較例3−5
上記調製例5で得られたマスターバッチ(M−13)50部と、エチレン・1−ブテン共重合体(A−1)からなる非変性ポリオレフィン樹脂46部と、改質剤であるエチレン・酢酸ビニル共重合体(B−1)4部とをタンブラーで混合した。次いで、インフレーション成形機により混合物を190℃で溶融し、20℃の環境下で押し出して、厚さ40μmのポリオレフィン系樹脂フィルム(ff−5)を製造した(表4参照)。
その後、上記と同様にして、製膜性、防曇性及び透明性の評価を行った。その結果を表4に併記した。
【0124】
比較例3−6
エチレン・1−ブテン共重合体(A−1)からなる非変性ポリオレフィン樹脂96部と、改質剤であるエチレン・酢酸ビニル共重合体(B−2)4部とをタンブラーで混合した。次いで、インフレーション成形機により混合物を190℃で溶融し、20℃の環境下で押し出して、厚さ40μmのポリオレフィン系樹脂フィルム(ff−6)を製造した(表4参照)。
その後、上記と同様にして、製膜性、防曇性及び透明性の評価を行った。その結果を表4に併記した。
【0125】
比較例3−7
上記調製例1で得られたマスターバッチ(M−9)0.5部と、エチレン・1−ブテン共重合体(A−1)からなる非変性ポリオレフィン樹脂95.5部と、改質剤であるアイオノマー(b−1)4部とをタンブラーで混合した。次いで、インフレーション成形機により混合物を190℃で溶融し、20℃の環境下で押し出して、厚さ40μmのポリオレフィン系樹脂フィルム(ff−7)を製造した(表4参照)。
その後、上記と同様にして、製膜性、防曇性及び透明性の評価を行った。その結果を表4に併記した。
【0126】
比較例3−8
上記調製例7で得られたマスターバッチ(M−15)6部と、エチレン・1−ブテン・プロピレン共重合体(A−5)からなる非変性ポリオレフィン樹脂90部と、改質剤である無水マレイン酸変性ポリプロピレン(B−6)4部とをタンブラーで混合した。次いで、インフレーション成形機により混合物を190℃で溶融し、20℃の環境下で押し出して、厚さ40μmのポリオレフィン系樹脂フィルム(ff−8)を製造した(表4参照)。
その後、上記と同様にして、製膜性、防曇性及び透明性の評価を行った。その結果を表4に併記した。
【0127】
比較例3−9
上記調製例8で得られたマスターバッチ(M−16)6部と、エチレン・1−ブテン・プロピレン共重合体(A−5)からなる非変性ポリオレフィン樹脂90部と、改質剤である無水マレイン酸変性ポリプロピレン(B−6)4部とをタンブラーで混合した。次いで、インフレーション成形機により混合物を190℃で溶融し、20℃の環境下で押し出して、厚さ40μmのポリオレフィン系樹脂フィルム(ff−9)を製造した(表4参照)。
その後、上記と同様にして、製膜性、防曇性及び透明性の評価を行った。その結果を表4に併記した。
【0128】
【表4】
【0129】
表4から明らかなように、本発明に係る改質剤及び防曇剤が非変性ポリオレフィン樹脂に対して特定の含有割合で含む実施例3−1〜3−のポリオレフィン系樹脂フィルム(FF−1)〜(FF−)は、防曇性及び透明性に優れることが分かる。
【0130】
6.積層フィルムの製造
表3に示すマスターバッチ、非変性ポリオレフィン樹脂及び改質剤を用いて、防曇剤及び改質剤を含有する第1樹脂層と、防曇剤及び改質剤を含有する場合がある第2樹脂層(中間層)と、第3樹脂層とをこの順に備える3層構造の積層フィルムを得た。
【0131】
実施例4−1
第1樹脂層の成形材料として、マスターバッチ(M−9)20部と、エチレン・1−ブテン共重合体(A−1)76部と、エチレン・酢酸ビニル共重合体(B−1)4部とをタンブラーを用いて混合した混合物を用いた。第2樹脂層(中間層)及び第3樹脂層の成形材料として、いずれも、エチレン・1−ブテン共重合体(A−1)のみを用いた(表5参照)。
これらの成形材料を用いて、インフレーション成形機により混合物を190℃で溶融し、20℃の環境下で共押出して、第1樹脂層、第2樹脂層(中間層)及び第3樹脂層が表6に示される構成を有し、各樹脂層の厚さが、それぞれ、10μm、20μm及び10μmである、合計厚さ40μmの積層フィルム(G−1)を製造した。
【0132】
製造した積層フィルムについて、実施例2−1と同様にして、製膜性を評価した。また、下記方法により、防曇性及び透明性の評価を行った。評価結果を表6に併記した。
【0133】
(1)防曇性
積層フィルムを、温度20℃及び相対湿度65%の条件下に24時間載置して調湿した後、第1樹脂層の面を20℃の水を入れたビーカー上面に被せた。次いで、この状態で5℃の雰囲気下に24時間置いて、ビーカー被着面(第1樹脂層の表面)への水滴の付着程度を観察し、以下の基準で防曇性を評価した。
<防曇性の判定基準>
1:水滴の付着がなく、透明であった(防曇性が著しく優れる)
2:大きな水滴の付着があったが、透明であった(防曇性が優れる)
3:多数の小さい水滴の付着があり、不透明であった(防曇性が劣る)
【0134】
(2)透明性
積層フィルムを、温度20℃及び相対湿度65%の条件下に24時間載置して調湿した後、日本電色工業社製ヘイズメーター「NDH−5000」(型式名)を用いてヘイズを測定し、下記の基準で透明性を評価した。
<透明性の基準>
1:ヘイズが10%未満(透明性が優れる)
2:ヘイズが10%以上15%未満(透明性が良好である)
3:ヘイズが15%以上(透明性が劣る)
【0135】
実施例4−2
第1樹脂層の成形材料として、マスターバッチ(M−10)20部と、エチレン・1−ブテン共重合体(A−1)65部と、エチレン・酢酸ビニル共重合体(B−2)15部とをタンブラーを用いて混合した混合物を用い、第2樹脂層(中間層)及び第3樹脂層の成形材料として、いずれも、エチレン・1−ブテン共重合体(A−1)のみを用いた以外は、実施例4−1と同様の操作を行い、第1樹脂層、第2樹脂層(中間層)及び第3樹脂層の厚さが、それぞれ、10μm、20μm及び10μmである、積層フィルム(G−2)を得た(表5及び表6参照)。そして、製膜性、防曇性及び透明性の評価を行った。その結果を表6に併記した。
【0136】
実施例4−3
第1樹脂層の成形材料として、マスターバッチ(M−11)10部と、エチレン・1−ヘキセン共重合体(A−2)60部と、エチレン・酢酸ビニル共重合体(B−3)30部とをタンブラーを用いて混合した混合物を用い、第2樹脂層(中間層)の成形材料として、マスターバッチ(M−11)10部と、エチレン・1−ヘキセン共重合体(A−2)80部と、エチレン・酢酸ビニル共重合体(B−1)10部とをタンブラーを用いて混合した混合物を用い、第3樹脂層の成形材料として、エチレン・1−ヘキセン共重合体(A−2)のみを用いた以外は、実施例4−1と同様の操作を行い、第1樹脂層、第2樹脂層(中間層)及び第3樹脂層の厚さが、それぞれ、20μm、20μm及び20μmである、積層フィルム(G−3)を得た(表5及び表6参照)。そして、製膜性、防曇性及び透明性の評価を行った。その結果を表6に併記した。
【0137】
実施例4−4
第1樹脂層の成形材料として、マスターバッチ(M−12)25部と、エチレン・1−ブテン共重合体(A−1)70部と、エチレン・酢酸ビニル共重合体(B−1)5部とをタンブラーを用いて混合した混合物を用い、第2樹脂層(中間層)及び第3樹脂層の成形材料として、いずれも、エチレン・1−ブテン共重合体(A−1)のみを用いた以外は、実施例4−1と同様の操作を行い、第1樹脂層、第2樹脂層(中間層)及び第3樹脂層の厚さが、それぞれ、20μm、20μm及び20μmである、積層フィルム(G−4)を得た(表5及び表6参照)。そして、製膜性、防曇性及び透明性の評価を行った。その結果を表6に併記した。
【0138】
実施例4−5
第1樹脂層の成形材料として、マスターバッチ(M−13)8部と、エチレン・1−オクテン共重合体(A−3)82部と、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体(B−4)10部とをタンブラーを用いて混合した混合物を用い、第2樹脂層(中間層)及び第3樹脂層の成形材料として、いずれも、エチレン・1−オクテン共重合体(A−3)のみを用いた以外は、実施例4−1と同様の操作を行い、第1樹脂層、第2樹脂層(中間層)及び第3樹脂層の厚さが、それぞれ、20μm、20μm及び20μmである、積層フィルム(G−5)を得た(表5及び表6参照)。そして、製膜性、防曇性及び透明性の評価を行った。その結果を表6に併記した。
【0139】
実施例4−6
第1樹脂層の成形材料として、マスターバッチ(M−14)20部と、エチレン・ヘキセン共重合体(A−4)76部と、エチレン・アクリル酸エチル共重合体(B−5)4部とをタンブラーを用いて混合した混合物を用い、第2樹脂層(中間層)の成形材料として、マスターバッチ(M−14)5部と、エチレン・ヘキセン共重合体(A−4)71部と、エチレン・酢酸ビニル共重合体(B−1)24部とをタンブラーを用いて混合した混合物を用い、第3樹脂層の成形材料として、エチレン・ヘキセン共重合体(A−4)のみを用いた以外は、実施例4−1と同様の操作を行い、第1樹脂層、第2樹脂層(中間層)及び第3樹脂層の厚さが、それぞれ、20μm、70μm及び30μmである、積層フィルム(G−6)を得た(表5及び表6参照)。そして、製膜性、防曇性及び透明性の評価を行った。その結果を表6に併記した。
【0140】
比較例4−1
第1樹脂層の成形材料として、マスターバッチ(M−9)20部と、エチレン・1−ブテン共重合体(A−1)35部と、エチレン・酢酸ビニル共重合体(B−1)45部とをタンブラーを用いて混合した混合物を用い、第2樹脂層(中間層)及び第3樹脂層の成形材料として、いずれも、エチレン・1−ブテン共重合体(A−1)のみを用いた以外は、実施例4−1と同様の操作を行い、第1樹脂層、第2樹脂層(中間層)及び第3樹脂層の厚さが、それぞれ、10μm、20μm及び10μmである、積層フィルム(g−1)を得た(表5及び表6参照)。そして、製膜性、防曇性及び透明性の評価を行った。その結果を表6に併記した。
【0141】
比較例4−2
第1樹脂層の成形材料として、マスターバッチ(M−9)20部と、エチレン・1−ブテン共重合体(A−1)80部とをタンブラーを用いて混合した混合物を用い、第2樹脂層(中間層)及び第3樹脂層の成形材料として、いずれも、エチレン・1−ブテン共重合体(A−1)のみを用いた以外は、実施例4−1と同様の操作を行い、第1樹脂層、第2樹脂層(中間層)及び第3樹脂層の厚さが、それぞれ、10μm、20μm及び10μmである、積層フィルム(g−2)を得た(表5及び表6参照)。そして、製膜性、防曇性及び透明性の評価を行った。その結果を表6に併記した。
【0142】
比較例4−3
第1樹脂層の成形材料として、マスターバッチ(M−9)20部と、エチレン・1−ブテン共重合体(A−1)79.7部と、エチレン・酢酸ビニル共重合体(B−1)0.3部とをタンブラーを用いて混合した混合物を用い、第2樹脂層(中間層)及び第3樹脂層の成形材料として、いずれも、エチレン・1−ブテン共重合体(A−1)のみを用いた以外は、実施例4−1と同様の操作を行い、第1樹脂層、第2樹脂層(中間層)及び第3樹脂層の厚さが、それぞれ、10μm、20μm及び10μmである、積層フィルム(g−3)を得た(表5及び表6参照)。そして、製膜性、防曇性及び透明性の評価を行った。その結果を表6に併記した。
【0143】
比較例4−4
第1樹脂層の成形材料として、マスターバッチ(M−9)20部と、エチレン・1−ブテン共重合体(A−1)76部と、アイオノマー(b−1)4部とをタンブラーを用いて混合した混合物を用い、第2樹脂層(中間層)及び第3樹脂層の成形材料として、いずれも、エチレン・1−ブテン共重合体(A−1)のみを用いた以外は、実施例4−1と同様の操作を行い、第1樹脂層、第2樹脂層(中間層)及び第3樹脂層の厚さが、それぞれ、10μm、20μm及び10μmである、積層フィルム(g−4)を得た(表5及び表6参照)。そして、製膜性、防曇性及び透明性の評価を行った。その結果を表6に併記した。
【0144】
比較例4−5
第1樹脂層の成形材料として、マスターバッチ(M−13)50部と、エチレン・1−ブテン共重合体(A−1)46部と、エチレン・酢酸ビニル共重合体(B−1)4部とをタンブラーを用いて混合した混合物を用い、第2樹脂層(中間層)及び第3樹脂層の成形材料として、いずれも、エチレン・1−ブテン共重合体(A−1)のみを用いた以外は、実施例4−1と同様の操作を行い、第1樹脂層、第2樹脂層(中間層)及び第3樹脂層の厚さが、それぞれ、10μm、20μm及び10μmである、積層フィルム(g−5)を得た(表5及び表6参照)。そして、製膜性、防曇性及び透明性の評価を行った。その結果を表6に併記した。
【0145】
比較例4−6
第1樹脂層の成形材料として、エチレン・1−ブテン共重合体(A−1)96部と、エチレン・酢酸ビニル共重合体(B−1)4部とをタンブラーを用いて混合した混合物を用い、第2樹脂層(中間層)及び第3樹脂層の成形材料として、いずれも、エチレン・1−ブテン共重合体(A−1)のみを用いた以外は、実施例4−1と同様の操作を行い、第1樹脂層、第2樹脂層(中間層)及び第3樹脂層の厚さが、それぞれ、10μm、20μm及び10μmである、積層フィルム(g−6)を得た(表5及び表6参照)。そして、製膜性、防曇性及び透明性の評価を行った。その結果を表6に併記した。
【0146】
比較例4−7
第1樹脂層の成形材料として、マスターバッチ(M−15)30部と、エチレン・1−ブテン・プロピレン共重合体(A−5)66部と、無水マレイン変性ポリプロピレン(B−6)4部とをタンブラーを用いて混合した混合物を用い、第2樹脂層(中間層)の成形材料として、マスターバッチ(M−15)15部と、エチレン・1−ブテン・プロピレン共重合体(A−5)75部と、エチレン・酢酸ビニル共重合体(B−1)10部とをタンブラーを用いて混合した混合物を用い、第3樹脂層の成形材料として、エチレン・1−ブテン共重合体(A−1)のみを用いた以外は、実施例4−1と同様の操作を行い、第1樹脂層、第2樹脂層(中間層)及び第3樹脂層の厚さが、それぞれ、10μm、20μm及び30μmである、積層フィルム(g−7)を得た(表5及び表6参照)。そして、製膜性、防曇性及び透明性の評価を行った。その結果を表6に併記した。
【0147】
比較例4−8
第1樹脂層の成形材料として、マスターバッチ(M−16)30部と、エチレン・1−ブテン・プロピレン共重合体(A−5)66部と、無水マレイン変性ポリプロピレン(B−6)4部とをタンブラーを用いて混合した混合物を用い、第2樹脂層(中間層)及び第3樹脂層の成形材料として、いずれも、エチレン・1−ブテン共重合体(A−1)のみを用いた以外は、実施例4−1と同様の操作を行い、第1樹脂層、第2樹脂層(中間層)及び第3樹脂層の厚さが、それぞれ、10μm、20μm及び10μmである、積層フィルム(g−8)を得た(表5及び表6参照)。そして、製膜性、防曇性及び透明性の評価を行った。その結果を表6に併記した。
【0148】
【表5】
【0149】
【表6】
【0150】
表6から明らかなように、防曇性及び透明性に優れる本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムからなる第1樹脂層を備える積層フィルム(G−1)〜(G−)は、防曇性及び透明性に優れることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0151】
本発明のマスターバッチを含有する樹脂組成物を用いることにより、防曇性及び透明性に優れたポリオレフィン系樹脂フィルムを効率よく製造することができる。本発明のポリオレフィン系樹脂フィルム及び積層フィルムは、防曇性及び透明性に優れるため、食品等の包装材に好適である。
【要約】
【課題】透明性及び防曇性に優れたポリオレフィン系樹脂フィルム並びにその製造方法、その製造原料として好適なマスターバッチ及び樹脂組成物並びに積層フィルムの提供。
【解決手段】本発明のマスターバッチは、非変性のポリオレフィン樹脂と、改質剤と、防曇剤とを含有し、改質剤は、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体、及び、不飽和酸無水物で変性されたポリオレフィン樹脂から選ばれた少なくとも1種であり、防曇剤は、アルキルスルホン酸アルカリ金属塩、アルキルアリールスルホン酸アルカリ金属塩及びアルキル硫酸アルカリ金属塩から選ばれた少なくとも1種であり、改質剤及び防曇剤の含有割合は、非変性ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、それぞれ、4〜85質量部及び0.4〜16.0質量部である。
【選択図】なし