特許第6811564号(P6811564)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6811564
(24)【登録日】2020年12月17日
(45)【発行日】2021年1月13日
(54)【発明の名称】粘着シート
(51)【国際特許分類】
   C09J 133/00 20060101AFI20201228BHJP
   C09J 133/14 20060101ALI20201228BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20201228BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20201228BHJP
【FI】
   C09J133/00
   C09J133/14
   C09J11/06
   C09J7/38
【請求項の数】7
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2016-158036(P2016-158036)
(22)【出願日】2016年8月10日
(65)【公開番号】特開2018-24782(P2018-24782A)
(43)【公開日】2018年2月15日
【審査請求日】2019年2月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004592
【氏名又は名称】日本カーバイド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】竹口 港
(72)【発明者】
【氏名】西田 雅樹
(72)【発明者】
【氏名】中野 宏人
【審査官】 藤田 雅也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−032428(JP,A)
【文献】 特開2002−327160(JP,A)
【文献】 特開2013−018871(JP,A)
【文献】 特開2013−127012(JP,A)
【文献】 特開2015−199813(JP,A)
【文献】 特開2017−125167(JP,A)
【文献】 特開2012−188512(JP,A)
【文献】 特開2009−221324(JP,A)
【文献】 特開2004−155941(JP,A)
【文献】 特開2015−117344(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00− 5/10
7/00− 7/50
9/00−201/10
B32B 1/00− 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着剤組成物の架橋物である粘着剤層を有し、
前記粘着剤組成物は、
重量平均分子量が300,000〜2,000,000である(メタ)アクリル系重合体Aと、
重量平均分子量が5,000〜50,000であり、溶解度パラメーターSPBが9.86〜10.00であり、かつ、ガラス転移温度TgBが37℃〜66℃である(メタ)アクリル系重合体Bと、を含み、
前記(メタ)アクリル系重合体Aの溶解度パラメーターSPAが前記溶解度パラメーターSPBより大きく、前記溶解度パラメーターSPAと前記溶解度パラメーターSPBとの差が0.54以上0.90未満であり、
前記(メタ)アクリル系重合体Bは、水酸基を有する単量体に由来する構成単位の含有率が、前記(メタ)アクリル系重合体Bの全構成単位の質量に対して1質量%〜8質量%である、粘着シート
【請求項2】
前記(メタ)アクリル系重合体Bは、単独重合体としたときのガラス転移温度が70℃以上である(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位の含有率が、前記(メタ)アクリル系重合体Bの全構成単位の質量に対して50質量%〜99.9質量%である請求項1に記載の粘着シート
【請求項3】
前記(メタ)アクリル系重合体Aは、ガラス転移温度TgAが−50℃〜0℃である請求項1又は請求項2に記載の粘着シート
【請求項4】
前記(メタ)アクリル系重合体Aは、水酸基を有する単量体に由来する構成単位の含有率が、前記(メタ)アクリル系重合体Aの全構成単位の質量に対して10質量%〜40質量%である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の粘着シート
【請求項5】
前記(メタ)アクリル系重合体Bの含有量が、前記(メタ)アクリル系重合体A100質量部に対して1質量部〜40質量部である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の粘着シート
【請求項6】
さらに架橋剤を含み、前記架橋剤の含有量は、前記(メタ)アクリル系重合体A100質量部に対して、0.01質量部〜5質量部である、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の粘着シート
【請求項7】
ポリカーボネート板またはポリメチルメタクリレート板の貼着に用いる請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の粘着シート
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着剤組成物及び粘着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電子機器等の表示装置用の入力装置として、タッチパネルが多く用いられている。タッチパネルを保護する目的でカバーパネルが使用されており、カバーパネルは粘着剤層を介して、タッチパネルと貼合されている。
カバーパネルに用いられるポリカーボネート板(以下、「PC板」ともいう。)、ポリメチルメタクリレート板(以下、「PMMA板」ともいう。)に代表されるプラスチック板は、経時変化に伴いアウトガスを発生する性質がある。アウトガスは、例えばタッチパネルと粘着剤層との間又はカバーパネルと粘着剤層との間に入り込み、粘着剤層を浮き上がらせてしまうため、表示装置の視認性を悪化させる場合がある。このため、タッチパネル用の粘着剤層には、アウトガスが発生しても粘着剤層の浮き上がりを抑制する性質、すなわち、ガス浮き防止性に優れることが求められる。
【0003】
近年、カーナビゲーション、インストルメントパネル等に代表される車載用の表示装置の入力装置として、タッチパネルの使用が増加している。車載用の表示装置は、安全性の観点から衝撃に強いことが求められている。車載用の表示装置に用いるタッチパネルは、携帯電子機器等の表示装置に用いる場合と比べて、カバーパネルであるPC板、PMMA板等の厚みを増して、耐衝撃性を高めている。
アウトガスの発生量は、PC板、PMMA板等の厚み又は単位体積と比例するため、車載用の表示装置に用いるタッチパネルでは、PC板、PMMA板等から発生するアウトガスが多い傾向にある。
【0004】
ガス浮き防止性に優れるタッチパネル用の粘着剤層として、特定のアクリル系ポリマーと特定のオリゴマーとを含む粘着剤層組成物から形成された粘着剤層が開示されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−255877号公報
【特許文献2】特開2005−15524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び2に記載の粘着剤層の含有成分であるオリゴマーは分子量が小さい。発明者らが検討したところ、分子量が小さいオリゴマーは、ガラス転移温度の計算値と実測値とが乖離して、相関が取れない場合があり、実測したガラス転移温度は計算値よりも低い値を示す傾向にあった。このため、特許文献1及び2に記載の粘着剤層では、含まれるオリゴマーのガラス転移温度が低く、粘着剤層の硬さが不足している場合があった。そのため、特許文献1及び2に記載の粘着剤層で貼合したタッチパネルを車載用の表示装置に使用した場合、粘着剤層の硬さが足りず、発生したアウトガスによって粘着剤層が浮き上がる場合、すなわちガス浮き防止性に劣る場合があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、ガス浮き防止性に優れる粘着剤組成物及び粘着剤組成物から形成された粘着シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための具体的な手段には、以下の態様が含まれる。
【0009】
<1> 重量平均分子量が300,000〜2,000,000である(メタ)アクリル系重合体Aと、重量平均分子量が5,000〜50,000であり、溶解度パラメーターSPBが9.85〜10.02であり、かつ、ガラス転移温度TgBが35℃〜110℃である(メタ)アクリル系重合体Bと、を含み、前記(メタ)アクリル系重合体Aの溶解度パラメーターSPAが前記溶解度パラメーターSPBより大きく、前記溶解度パラメーターSPAと前記溶解度パラメーターSPBとの差が0.50を超えて0.90未満である粘着剤組成物。
【0010】
<2> 前記(メタ)アクリル系重合体Bは、単独重合体としたときのガラス転移温度が70℃以上である(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位の含有率が、前記(メタ)アクリル系重合体Bの全構成単位の質量に対して50質量%〜99.9質量%である<1>に記載の粘着剤組成物。
【0011】
<3> 前記(メタ)アクリル系重合体Aは、ガラス転移温度TgAが−50℃〜0℃である<1>又は<2>に記載の粘着剤組成物。
【0012】
<4> 前記(メタ)アクリル系重合体Aは、水酸基を有する単量体に由来する構成単位の含有率が、前記(メタ)アクリル系重合体Aの全構成単位の質量に対して10質量%〜40質量%である<1>〜<3>のいずれか1項に記載の粘着剤組成物。
【0013】
<5> 前記(メタ)アクリル系重合体Bは、水酸基を有する単量体に由来する構成単位の含有率が、前記(メタ)アクリル系重合体Bの全構成単位の質量に対して0.1質量%〜10質量%である<1>〜<4>のいずれか1項に記載の粘着剤組成物。
【0014】
<6> 前記(メタ)アクリル系重合体Bの含有量が、前記(メタ)アクリル系重合体A100質量部に対して1質量部〜40質量部である<1>〜<5>のいずれか1項に記載の粘着剤組成物。
【0015】
<7> さらに架橋剤を含み、前記架橋剤の含有量は、前記(メタ)アクリル系重合体A100質量部に対して、0.01質量部〜5質量部である、<1>〜<6>のいずれか1項に記載の粘着剤組成物。
【0016】
<8> ポリカーボネート板またはポリメチルメタクリレート板の貼着に用いる<1>〜<7>のいずれか1項に記載の粘着剤組成物。
【0017】
<9> <1>〜<8>のいずれか1項に記載の粘着剤組成物の架橋物である粘着剤層を有する粘着シート。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ガス浮き防止性に優れる粘着剤組成物及び粘着剤組成物から形成された粘着シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】アウトガスにより気泡が発生した状態の一例を示す写真である。
図2】(A)は、粘着シート(ポリエチレンテレフタレート層/粘着剤層/ポリカーボネート層)断面の写真である。(B)は、アウトガスが発生した粘着シート(ポリエチレンテレフタレート層/粘着剤層/ポリカーボネート層)断面の写真であり、アウトガスにより粘着剤層が浮き上がった状態の一例を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の粘着剤組成物について詳細に説明する。なお、本発明において、数値範囲における「〜」は、「〜」の前後の数値を含むことを意味する。
本明細書において、組成物中の各成分の量及び量の割合は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合は、特に断らない限り、組成物中に存在する該複数の物質の合計量及び合計量の割合を意味する。
【0021】
本明細書において、(メタ)アクリル系重合体とは、これを構成する単量体のうち少なくとも主成分である単量体が(メタ)アクリロイル基を有する単量体である重合体を意味する。主成分である単量体とは、重合体を構成する単量体成分の中で最も含有率(質量%)が大きい単量体を意味する。(メタ)アクリル系重合体は、例えば、主成分である(メタ)アクリレート単量体に由来する構成単位の含有率が全構成単位の50質量%以上である重合体であってもよい。
本明細書において、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」及び「メタクリル」の両者を包含することを意味し、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」及び「メタクリレート」の両者を包含することを意味し、「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイル」及び「メタクリロイル」の両者を包含することを意味する。
【0022】
≪粘着剤組成物≫
本発明の粘着剤組成物は、重量平均分子量が300,000〜2,000,000である(メタ)アクリル系重合体Aと、重量平均分子量が5,000〜50,000であり、溶解度パラメーターSPBが9.85〜10.02であり、かつ、ガラス転移温度TgBが35℃〜110℃である(メタ)アクリル系重合体Bと、を含み、前記(メタ)アクリル系重合体Aの溶解度パラメーターSPAが前記溶解度パラメーターSPBより大きく、前記溶解度パラメーターSPAと前記溶解度パラメーターSPBとの差が0.50を超えて0.90未満である。本発明の粘着剤組成物は、必要に応じて、更に、上記で説明した成分以外の他の成分を含んでいてもよい。
【0023】
本発明の粘着剤組成物は、上記構成とすることで、粘着シートを形成した場合に、優れたガス浮き防止性を発揮することが可能となる。この理由は、明らかではないが、以下のように推測される。
【0024】
発明者らが検討したところ、粘着剤層のガス浮き防止性は、粘着剤層が硬く、かつ被着体との密着性が良好であると優れる傾向にあることを見出した。
一般的に、硬い粘着剤層は被着体との密着性に劣る傾向にあり、柔らかい粘着剤層は被着体との密着性に優れる傾向にある。このため、従来の粘着剤層を、優れたガス浮き防止性が求められる車載用のタッチパネル等に用いると、硬さ及び密着性のいずれか一方が不足し、ガス浮きが生じる場合があった。
具体的には、特許文献1及び2に記載された従来の粘着剤層は、例えば、分子量4000〜4300程度の小さいオリゴマーを含んでいる。発明者らが検討したところ、このような分子量の小さいオリゴマーのガラス転移温度の実測値は、計算値に比べると低く、実測値と計算値とが乖離する傾向が見られた。すなわち、従来の粘着剤層では、粘着剤層が柔らかすぎてしまい、アウトガスの発生による粘着剤層の浮き上がりを十分に抑えることができない傾向があった。
本発明の粘着剤組成物は(メタ)アクリル系重合体Aを含み、(メタ)アクリル系重合体Aの重量平均分子量が300,000〜2,000,000と比較的大きいので、粘着剤層を形成した際に、被着体に対する濡れ性及び密着性が得られ、ガス浮き防止性に優れる傾向にある。
本発明の粘着剤組成物は(メタ)アクリル系重合体Bを含み、(メタ)アクリル系重合体Bのガラス転移温度TgBが35℃〜110℃であるため、粘着剤層に適度な硬さを付与することが可能となる。
さらに、(メタ)アクリル系重合体Aの溶解度パラメーターSPAは、溶解度パラメーターSPBより大きく、溶解度パラメーターSPAと溶解度パラメーターSPBとの差が0.50を超えて0.90未満であるので、(メタ)アクリル系重合体Aと(メタ)アクリル系重合体Bとの相溶性は、低すぎずかつ高すぎない。また、(メタ)アクリル系重合体Bは、重量平均分子量が5,000〜50,000と比較的小さいので、(メタ)アクリル系重合体Bが移動しやすい傾向にある。そのため、本発明の粘着剤組成物から粘着剤層を形成すると、(メタ)アクリル系重合体Bは粘着剤層の表面付近に偏在し、(メタ)アクリル系重合体Aは、粘着剤層の厚み方向の中央付近に偏在する傾向にある。すなわち、本発明の粘着剤組成物から形成された粘着剤層は、表面付近に(メタ)アクリル系重合体Bが多いため表面が硬く、かつ(メタ)アクリル系重合体Aも適度に存在するため被着体への濡れ性と密着性に優れる。さらに、粘着剤層の厚み方向の中央付近は(メタ)アクリル系重合体Bが少ないため、ゴム弾性が高く、密着性に優れる。
また、(メタ)アクリル系重合体Aの溶解度パラメーターSPAと(メタ)アクリル系重合体Bの溶解度パラメーターSPBとの差が0.90未満であるため、(メタ)アクリル系重合体Bは、(メタ)アクリル系重合体Aとは適度に相溶しつつ、かつ、適度に分離している状態にあるので、表面付近において、(メタ)アクリル系重合体Bが多く偏在しすぎず、(メタ)アクリル系重合体Aも適度に存在することが可能となる。そのため、適度な硬さ、親和性及び濡れ性が粘着剤層に付与されるので、被着体に対する密着性が向上し、かつ、アウトガスが発生したときの粘着剤層の浮き上がりが抑えられると推測される。
このように、本発明の粘着剤組成物から形成された粘着剤層は、粘着力を保持しながら、表面付近に適度な硬さと濡れ性とを有するため、優れたガス浮き防止性を発揮すると推測される。
以下、本発明の粘着剤組成物の各成分の詳細について説明する。
【0025】
<(メタ)アクリル系重合体A>
本発明の粘着剤組成物は、重量平均分子量が300,000〜2,000,000である(メタ)アクリル系重合体Aを含む。
【0026】
(メタ)アクリル系重合体Aは、水酸基を有する単量体に由来する構成単位を含むことが好ましい。
水酸基を有する単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート及び3−メチル−3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが挙げられる。架橋剤との反応性の観点から、水酸基を有する単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0027】
(メタ)アクリル系重合体Aは、水酸基を有する単量体に由来する構成単位の含有率が、(メタ)アクリル系重合体Aの全構成単位の質量に対して、10質量%〜40質量%であることが好ましい。水酸基を有する単量体に由来する構成単位の含有率が40質量%以下であると、高温高湿環境下での粘着剤層の白化が抑えられる傾向にある。水酸基を有する単量体に由来する構成単位の含有率が10質量%以上であると、(メタ)アクリル系重合体Aと後述する架橋剤との反応が良好となるため、粘着剤層の凝集力が高く又、粘着剤層が硬くなるため、ガス浮き防止性に優れる傾向がある。
上記観点から、水酸基を有する単量体に由来する構成単位の含有率としては、(メタ)アクリル系重合体Aの全構成単位の質量に対して、15質量%〜30質量%がより好ましく、15質量%〜25質量%が更に好ましい。
なお、粘着剤層が、例えば、85℃、85%RHの高温高湿環境下に曝されると、環境中の水分によって白化してしまい、視認性に劣る場合がある。このため、粘着剤層は、高温高湿環境下においても白化しにくいことが好ましい。
【0028】
(メタ)アクリル系重合体Aは、カルボキシ基等の酸性基を有する単量体に由来する構成単位を含まない又は実質的に含まないことが好ましい。(メタ)アクリル系重合体Aが酸性基を有する単量体に由来する構成単位を含まない又は実質的に含まない場合、透明導電性フィルムに印刷された電極、その他の金属製部材等の腐食が抑制される傾向にあり、粘着剤組成物をタッチパネルに好適に用いることが可能となる。なお、実質的に含まないとは、不可避的に混入する酸性基を有する単量体に由来する構成単位の存在を許容することを意味する。
【0029】
酸性基を有する単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシルエチル(メタ)アクリレート、カルボキシルペンチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸に代表されるカルボキシ基を有する単量体や、2−(メタ)アクリロイロキシエチルアシッドホスフェートに代表されるリン酸基を有する単量体が挙げられる。
【0030】
また、(メタ)アクリル系重合体Aは、水酸基を有しないアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を有することが好ましい。
【0031】
水酸基を有しないアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート及びイソボルニル(メタ)アクリレートが挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれであってもよい。
【0032】
適度な粘着力と被着体へのなじみ性とを付与する観点から、水酸基を有しないアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位としては、n−ブチルアクリレート、メチルアクリレート、エチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート及びラウリル(メタ)アクリレートの少なくとも1種に由来する構成単位を含むことが好ましく、n−ブチルアクリレート、メチルアクリレート、エチル(メタ)アクリレート及びラウリル(メタ)アクリレートの少なくとも1種に由来する構成単位を含むことがより好ましく、n−ブチルアクリレート、メチルアクリレート及びラウリル(メタ)アクリレートの少なくとも1種に由来する構成単位を含むことが更に好ましい。
【0033】
水酸基を有しないアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有率は、(メタ)アクリル系重合体Aの全構成単位の質量に対して50質量%〜90質量%が好ましい。
水酸基を有しないアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有率が50質量%以上であると、粘着剤層にゴム弾性が付与され、密着性が向上してガス浮き防止性がより優れる傾向にある。
水酸基を有しないアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有率が90質量%以下であると、被着体へのなじみ性が向上してガス浮き防止性により優れる傾向がある。
上記観点から、水酸基を有しないアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有率は、60質量%〜85質量%がより好ましく、75質量%〜85質量%が更に好ましい。
【0034】
(メタ)アクリル系重合体Aは、少なくとも、水酸基を有する単量体に由来する構成単位及び水酸基を有しないアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む共重合体であることが好ましい。架橋剤との反応性及び適度な粘着力と被着体へのなじみ性とを付与する観点から、(メタ)アクリル系重合体Aは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1種の単量体a1と、n−ブチルアクリレート、メチルアクリレート、エチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート及びラウリル(メタ)アクリレートの少なくとも1種の単量体a2との共重合体であることがより好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1種の単量体a3と、n−ブチルアクリレート、メチルアクリレート、エチル(メタ)アクリレート及びラウリル(メタ)アクリレートの少なくとも1種の単量体a4との共重合体であることが更に好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1種の単量体a5と、n−ブチルアクリレート、メチルアクリレート及びラウリル(メタ)アクリレートの少なくとも1種の単量体a6との共重合体であることが特に好ましい。
【0035】
(メタ)アクリル系重合体Aが前記単量体a1と前記単量体a2とを含む場合、前記単量体a1の含有率は(メタ)アクリル系重合体Aの全構成単位の質量に対して10質量%〜40質量%であり、前記単量体a2の含有率は50質量%〜90質量%が好ましく、前記単量体a1の含有率は15質量%〜30質量%であり、前記単量体a2の含有率は60質量%〜85質量%がより好ましく、前記単量体a1の含有率は15質量%〜25質量%であり、前記単量体a2の含有率は75質量%〜85質量%が更に好ましい。
また、(メタ)アクリル系重合体Aが前記単量体a3と前記単量体a4とを含む場合、前記単量体a3の含有率は(メタ)アクリル系重合体Aの全構成単位の質量に対して10質量%〜40質量%であり、前記単量体a4の含有率は50質量%〜90質量%が好ましく、前記単量体a3の含有率は15質量%〜30質量%であり、前記単量体a4の含有率は60質量%〜85質量%がより好ましく、前記単量体a3の含有率は15質量%〜25質量%であり、前記単量体a4の含有率は75質量%〜85質量%が更に好ましい。
更には、(メタ)アクリル系重合体Aが前記単量体a5と前記単量体a6とを含む場合、前記単量体a5の含有率は(メタ)アクリル系重合体Aの全構成単位の質量に対して10質量%〜40質量%であり、前記単量体a6の含有率は50質量%〜90質量%が好ましく、前記単量体a5の含有率は15質量%〜30質量%であり、前記単量体a6の含有率は60質量%〜85質量%がより好ましく、前記単量体a5の含有率は15質量%〜25質量%であり、前記単量体a6の含有率は75質量%〜85質量%が更に好ましい。
【0036】
(メタ)アクリル系重合体Aは、本発明の効果が発揮される範囲内において、水酸基を有する単量体及び水酸基を有しないアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位以外の、その他の単量体に由来する構成単位(以下、「その他の構成単位A」ともいう。)を有していてもよい。
【0037】
その他の構成単位Aを構成する単量体は、水酸基を有する単量体及び水酸基を有しないアルキル(メタ)アクリレートと共重合できるものであれば特に制限されない。
【0038】
その他の構成単位Aを構成する単量体としては、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートに代表される芳香族環を有する(メタ)アクリル系単量体や、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートに代表される窒素原子を有する(メタ)アクリル系単量体や、スチレン、α−メチルスチレンに代表される芳香族モノビニル単量体や、アクリロニトリル、及びメタクリロニトリルに代表されるシアン化ビニル単量体が挙げられる。
【0039】
粘着剤組成物における(メタ)アクリル系重合体Aの含有率は、目的に応じて適宜選択することができる。(メタ)アクリル系重合体Aの含有率は、粘着剤組成物の固形分総質量に対して、50質量%〜99質量%であることが好ましく、80質量%〜93質量%であることがより好ましい。なお、固形分総質量とは粘着剤組成物から、溶剤などの揮発性成分を除いた残渣の総質量を意味する。
【0040】
(メタ)アクリル系重合体Aの重量平均分子量は300,000〜2,000,000である。(メタ)アクリル系重合体Aの重量平均分子量が300,000未満であると、重量平均分子量が小さくなり過ぎて、粘着剤層を形成したときに粘着剤層が柔らかくなり過ぎる傾向にあり、ガス浮き防止性が十分に発揮されない可能性がある。また、(メタ)アクリル系重合体Aの重量平均分子量が2,000,000を超えると、重量平均分子量が大きすぎて、粘着剤組成物の製造が困難になる。
ガス浮き防止性の観点から、(メタ)アクリル系重合体Aの重量平均分子量としては、300,000〜1,000,000が好ましく、400,000〜800,000がより好ましく、600,000〜800,000が更に好ましい。
【0041】
(メタ)アクリル系重合体Aの重量平均分子量(Mw)は、下記の方法により測定された値である。
(重量平均分子量(Mw)の測定方法)
下記(1)〜(3)に従って測定する。
(1)(メタ)アクリル系重合体Aの溶液を剥離紙に塗布し、100℃で1分間乾燥し、フィルム状の(メタ)アクリル系重合体Aを得る。
(2)上記(1)で得られたフィルム状の(メタ)アクリル系重合体Aをテトラヒドロフランにて固形分0.5%になるように溶解させる。その後、メンブレンフィルター(HPLC Millex−LH、孔径0.45μm、直径25mm)にてろ過する。
(3)下記条件にて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、標準ポリスチレン換算値として、(メタ)アクリル系重合体Aの重量平均分子量(Mw)を測定する。
(条件)
GPC:HLC−8220 GPC(東ソー(株)製)
カラム:TSK−GEL GMHXL 4本使用(東ソー(株)製)
移動相溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.8ml/min
カラム温度:40℃
【0042】
(メタ)アクリル系重合体Aは、ガラス転移温度TgAが−50℃〜0℃であることが好ましい。(メタ)アクリル系重合体Aのガラス転移温度TgAが−50℃以上であると、粘着剤層を形成した際に適度な硬さが得られやすく、ガス浮き防止性を発揮しやすい傾向にある。(メタ)アクリル系重合体Aのガラス転移温度TgAが0℃以下であると、粘着力が得られやすい傾向にある。
上記観点から、ガラス転移温度TgAとしては、−45℃〜0℃がより好ましく、−40℃〜0℃が更に好ましく、−35℃〜−5℃が特に好ましい。
【0043】
[(メタ)アクリル系重合体Aのガラス転移温度(TgA)の算出]
本明細書において、(メタ)アクリル系重合体Aのガラス転移温度(TgA)は、以下の計算により求められるモル平均ガラス転移温度(molTg)である。
下記式中のTg、Tg、・・・・・及びTgは、単量体1、単量体2、・・・・・及び単量体nのそれぞれの単独重合体のガラス転移温度であり、絶対温度(K)に換算し算出する。m、m、・・・・・及びmは、それぞれの単量体のモル分率である。
【0044】
【数1】
【0045】
なお、ここで用いる「単独重合体の絶対温度(K)で表されるガラス転移温度」は、その単量体を単独で重合して製造した単独重合体の絶対温度(K)で表されるガラス転移温度をいう。単独重合体のガラス転移温度は、その単独重合体を、示差走査熱量測定装置(DSC)(セイコーインスツルメンツ(株)製、EXSTAR6000)を用い、窒素気流中、測定試料10mg、昇温速度10℃/分の条件で測定を行い、得られたDSC曲線の変曲点を、ガラス転移温度(Tg)としたものである。
【0046】
代表的な単量体の「単独重合体のセルシウス温度(℃)で表されるガラス転移温度」は、メチルアクリレートは5℃であり、エチルアクリレートは−27℃であり、n−ブチルアクリレートは−57℃であり、2−ヒドロキシエチルアクリレートは−15℃であり、tert−ブチルアクリレートは31℃であり、ラウリルアクリレートは15℃であり、メチルメタクリレートは103℃であり、tert−ブチルメタクリレートは107℃であり、イソボニルアクリレートは94℃であり、2−ヒドロキシエチルメタクリレートは55℃である。
なお、絶対温度(K)から273を引くことで絶対温度(K)をセルシウス温度(℃)に換算可能であり、セルシウス温度(℃)に273を足すことでセルシウス温度(℃)を絶対温度(K)に換算可能である。
【0047】
(メタ)アクリル系重合体Aの溶解度パラメーターSPAは、後述する(メタ)アクリル系重合体Bの溶解度パラメーターSPBより大きく、溶解度パラメーターSPAと溶解度パラメーターSPBとの差(以下、「ΔSP」ともいう。)が0.50を超えて0.90未満である。
ΔSPが0.50以下であると、溶解度パラメーターSPAの値と溶解度パラメーターSPBの値とが近似し、(メタ)アクリル系重合体A及び(メタ)アクリル系重合体Bは互いに相溶し過ぎて、粘着剤層を形成した際に、粘着剤層の表面付近に(メタ)アクリル系重合体Bが偏在しにくくなり、適度な硬さを粘着剤層に付与することが困難になる。このため、ガス浮き防止性に劣る可能性がある。
ΔSPが0.90以上であると、(メタ)アクリル系重合体Aと(メタ)アクリル系重合体Bとが分離しやすく、(メタ)アクリル系重合体Bが粘着剤層の表面付近に多く存在しやすい傾向にあり、被着体に対する十分な粘着力が得られずガス浮き防止性に劣る可能性がある。
上記観点から、ΔSPとしては、0.55〜0.88が好ましく、0.67〜0.82がより好ましい。
【0048】
上記関係を満たす溶解度パラメーターSPAとしては、10.36〜10.91であり、粘着力の観点から、10.48〜10.77が好ましい。(メタ)アクリル系重合体Aの溶解度パラメーターSPAが10.36〜10.91の範囲にあると、被着体への親和性が高いため、被着体に対する密着性を粘着剤層に付与しやすく、ガス浮き防止性に優れた粘着剤層が得られる傾向にある。
【0049】
(メタ)アクリル系重合体の溶解度パラメーターδ(SP値、単位:(cal/cm0.5)は、以下の式に基づき算出される値である。
【0050】
<(メタ)アクリル系重合体のSP値の算出方法>
δ=Σ(δMn×X/100)
ここでδMnは共重合された(メタ)アクリル系単量体nの溶解度パラメーターであり、Xは共重合された(メタ)アクリル系単量体nのモル分率である。
【0051】
(メタ)アクリル系単量体nの溶解度パラメーターδMn(SP値、単位:(cal/cm0.5)は、以下の式に基づき算出される。
δMn=[ΣEcoh/ΣV×4.182]0.5
【0052】
ここでΣEcoh及び、ΣVは、Fedorsが提案した推算方法で計算される値である。具体的には、「SP値 基礎・応用と計算方法」(山本秀樹著、(株)情報機構発行、2005年)の67頁に記載されているFedorsが提案した値に基づいて、各構造の凝集エネルギー密度Ecoh(単位:J/mol)及び各構造のモル分子容(単位:cm/mol)をもとに計算される値である。
【0053】
<(メタ)アクリル系重合体B>
本発明の粘着剤組成物は、重量平均分子量が5,000〜50,000であり、溶解度パラメーターSPBが9.85〜10.02であり、かつ、ガラス転移温度TgBが35℃〜110℃である(メタ)アクリル系重合体Bを含む。
【0054】
(メタ)アクリル系重合体Bは、水酸基を有する単量体に由来する構成単位を含むことが好ましい。
水酸基を有する単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート及び3−メチル−3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが挙げられる。架橋剤との反応性の観点から、水酸基を有する単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0055】
(メタ)アクリル系重合体Bは、水酸基を有する単量体に由来する構成単位の含有率が、(メタ)アクリル系重合体Bの全構成単位の質量に対して0.1質量%〜10質量%が好ましい。
水酸基を有する単量体に由来する構成単位の含有率が0.1質量%以上であると、後述する架橋剤によって架橋される。(メタ)アクリル系重合体Bが架橋されると、(メタ)アクリル系重合体Bが粘着剤層の表面への移動することが適度に抑制される。このため、粘着剤層の表面付近における(メタ)アクリル系重合体Bの量が多くなり過ぎず、粘着剤層が硬くなり過ぎず、ガス浮き防止性に優れる粘着剤層を得られる傾向にある。また、水酸基を有する単量体に由来する構成単位の含有率が10質量%以下であると、架橋密度が高くなりすぎず、十分な粘着力が得られる傾向にある。
上記観点から、水酸基を有する単量体に由来する構成単位の含有率は、(メタ)アクリル系重合体Bの全構成単位の質量に対して、1質量%〜8質量%がより好ましく、2質量%〜5質量%が更に好ましい。
【0056】
(メタ)アクリル系重合体Bは、カルボキシ基等の酸性基を有する単量体に由来する構成単位を含まない又は実質的に含まないことが好ましい。(メタ)アクリル系重合体Bが酸性基を有する単量体に由来する構成単位を含まない又は実質的に含まない場合、透明導電性フィルムに印刷された電極、その他の金属製部材等の腐食が抑制される傾向にあり、粘着剤組成物をタッチパネルに好適に用いることが可能となる。なお、実質的に含まないとは、不可避的に混入する酸性基を有する単量体に由来する構成単位の存在を許容することを意味する。
【0057】
(メタ)アクリル系重合体Bは、単独重合体としたときのガラス転移温度(Tg)が70℃以上である(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位を含むことが好ましい。粘着剤層に適度な硬さを付与する観点から、(メタ)アクリル系重合体Bは、単独重合体としたときのガラス転移温度(Tg)が80℃以上である(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位を含むことがより好ましく、単独重合体としたときのガラス転移温度(Tg)が95℃以上である(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位を含むことが更に好ましく、単独重合体としたときのガラス転移温度(Tg)が100℃以上である(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位を含むことが特に好ましい。
【0058】
単独重合体としたときのガラス転移温度が70℃以上である(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、メチルメタクリレート(103℃)、tert−ブチルメタクリレート(107℃)及びイソボルニルアクリレート(94℃)が挙げられる。
単独重合体としたときのガラス転移温度が70℃以上である(メタ)アクリル系単量体は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0059】
単独重合体としたときのガラス転移温度(Tg)が70℃以上である(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位の含有率は、(メタ)アクリル系重合体Bの全構成単位の質量に対して、50質量%〜99.9質量%が好ましい。
単独重合体としたときのガラス転移温度が70℃以上である(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位の含有率が、50質量%以上であると、高温条件下であっても粘着剤層が柔らかくなりにくく、高温でのゴム弾性率が高くなるため、高温での被着体への密着性に優れる傾向にある。また、単独重合体としたときのガラス転移温度が70℃以上である(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位の含有率が、99.9質量%以下であると、反応性の良い水酸基を有する単量体を多く使用できるため、粘着剤層の表面の硬さを好適な状態にできる傾向にある。
上記観点から、単独重合体としたときのガラス転移温度が70℃以上である(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位の含有率は、(メタ)アクリル系重合体Bの全構成単位の質量に対して、70質量%〜99質量%がより好ましく、90質量%〜98質量%が更に好ましい。
【0060】
(メタ)アクリル系重合体Bは、少なくとも、水酸基を有する単量体に由来する構成単位及び単独重合体としたときのガラス転移温度(Tg)が70℃以上である(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位を含む共重合体であることが好ましい。ガス浮き防止性の観点から、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1種の単量体b1と、メチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート及びイソボルニルアクリレートからなる群より選択される少なくとも1種の単量体b2との共重合体がより好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1種の単量体b3と、メチルメタクリレート及びtert−ブチルメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1種の単量体b4との共重合体が更に好ましい。
【0061】
(メタ)アクリル系重合体Bが前記単量体b1と前記単量体b2とを含む場合、前記単量体b1の含有率は(メタ)アクリル系重合体Bの全構成単位の質量に対して0.1質量%〜10質量%であり、前記単量体b2の含有率は50質量%〜99.9質量%が好ましく、前記単量体b1の含有率は1質量%〜8質量%であり、前記単量体b2の含有率は70質量%〜99質量%がより好ましく、前記単量体b1の含有率は2質量%〜5質量%であり、前記単量体b2の含有率は90質量%〜98質量%が更に好ましい。
また、(メタ)アクリル系重合体Bが前記単量体b3と前記単量体b4とを含む場合、前記単量体b3の含有率は(メタ)アクリル系重合体Bの全構成単位の質量に対して0.1質量%〜10質量%であり、前記単量体b4の含有率は50質量%〜99.9質量%が好ましく、前記単量体b3の含有率は1質量%〜8質量%であり、前記単量体b4の含有率は70質量%〜99質量%がより好ましく、前記単量体b3の含有率は2質量%〜5質量%であり、前記単量体b4の含有率は90質量%〜98質量%が更に好ましい。
【0062】
(メタ)アクリル系重合体Bは、本発明の効果が発揮される範囲内において、水酸基を有する単量体及び単独重合体としたときのガラス転移温度が70℃以上である(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位以外の、その他の単量体に由来する構成単位(以下、「その他の構成単位B」ともいう。)を有していてもよい。
【0063】
その他の構成単位Bを構成する単量体は、水酸基を有する単量体及び単独重合体としたときのガラス転移温度が70℃以上である(メタ)アクリル系単量体と共重合できるものであれば特に制限されない。
【0064】
その他の構成単位Bを構成する単量体としては、例えば、メチルアクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチルアクリレートに代表される単独重合体としたときのガラス転移温度が70℃未満であるアルキル(メタ)アクリレートや、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートに代表される芳香族環を有する(メタ)アクリル系単量体や、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートに代表される窒素原子を有する(メタ)アクリル系単量体や、スチレン、α−メチルスチレンに代表される芳香族モノビニル単量体、アクリロニトリル、及びメタクリロニトリルに代表されるシアン化ビニル単量体が挙げられる。
【0065】
(メタ)アクリル系重合体Bの含有量は、(メタ)アクリル系重合体A100質量部に対して1質量部〜40質量部が好ましい。(メタ)アクリル系重合体Bの含有量が1質量部以上であると、(メタ)アクリル系重合体Bを表面付近に偏在させて、粘着剤層に十分な硬さを付与しやすく、ガス浮き防止性に優れる傾向がある。(メタ)アクリル系重合体Bの含有量が40質量部以下であると、適度な濡れ性と、十分な透明性とが得られる傾向にある。
上記観点から、(メタ)アクリル系重合体Bの含有量は、5質量部〜30質量部がより好ましく、7質量部〜20質量部が更に好ましく、7質量部〜15質量部が特に好ましい。
【0066】
(メタ)アクリル系重合体Bの重量平均分子量は、5,000〜50,000である。(メタ)アクリル系重合体Bの重量平均分子量が5,000〜50,000であると、粘着剤組成物を用いて粘着剤層を形成した際に、粘着剤層の表面付近に(メタ)アクリル系重合体Bを偏在させて、粘着剤層に適度な硬さを付与できる。
(メタ)アクリル系重合体Bの重量平均分子量が5,000未満であると、ガラス転移温度の実測値が計算値に比べて低い値を示しやすく、ガラス転移温度の調整が困難であり、粘着剤層の硬さが足りずガス浮き防止性に劣る傾向がある。(メタ)アクリル系重合体Bの重量平均分子量が50,000を超えると、(メタ)アクリル系重合体Bを粘着剤層の表面付近に偏在させ難く、粘着剤層の表面付近に適度な硬さを付与できず、十分なガス浮き防止性を発揮できない可能性がある。特に、ΔSPが大きい場合には、(メタ)アクリル系重合体Bと(メタ)アクリル系重合体Aとの相溶性が劣っており、粘着剤層を形成した際に白化が生じやすい傾向にある。
上記観点から、(メタ)アクリル系重合体Bの重量平均分子量としては、7,000〜40,000が好ましく、10,000〜25,000がより好ましい。
なお、(メタ)アクリル系重合体Bの重量平均分子量は、既述の測定方法によって求めることができる。
【0067】
(メタ)アクリル系重合体Bは、ガラス転移温度TgBが35℃〜110℃である。(メタ)アクリル系重合体Bのガラス転移温度TgBが35℃未満であると、粘着剤層を形成した際に、粘着剤層に十分な硬さを付与することができず、ガス浮き防止性が十分に得られない可能性がある。また、(メタ)アクリル系重合体Bのガラス転移温度TgBが110℃を超えると、(メタ)アクリル系重合体Bの製造が困難になる。
適度な硬さを粘着剤層に付与する観点から、ガラス転移温度TgBとしては、37℃〜95℃が好ましく、40℃〜85℃がより好ましく、40℃〜65℃が更に好ましく、40℃〜50℃が特に好ましい。
【0068】
本明細書において(メタ)アクリル系重合体Bのガラス転移温度TgBとは、JIS K 7121(1987)に準じた以下の方法により、測定された実測値である。
具体的には下記(1)〜(3)に従って測定する。
(1)(メタ)アクリル系重合体Bを2milのドクターブレードを用いて剥離フィルムに塗布し、100℃、1分間の乾燥条件で乾燥し、剥離フィルム上に(メタ)アクリル系重合体Bの樹脂層を得る。
(2)得られた樹脂層をアルミニウム製のサンプルパン上に9mg〜11mg量り取る。
(3)示差走査熱量計(商品名:DSC6220、セイコーインスツル(株)製)を用いて、窒素気流中、測定試料10mgの条件で、下記の温度プログラムでガラス転移温度を測定する。
(メタ)アクリル系重合体Bのガラス転移温度は、2度目の昇温過程で得られる曲線において、ベースラインが変化する前のベースラインと、変曲点の接線と、の交点の温度とする。
【0069】
[温度プログラム]
1.−30℃で15分間保持
2.10℃/minの割合で100℃まで昇温
3.100℃で1分間保持
4.10℃/minの割合で−30℃まで降温
5.−30℃で1分間保持
6.10℃/minの割合で昇温
【0070】
(メタ)アクリル系重合体Bの溶解度パラメーターSPBは、9.85〜10.02であり、前記(メタ)アクリル系重合体Aの溶解度パラメーターSPAよりも小さく、ΔSPが0.50を超えて0.90未満である。
(メタ)アクリル系重合体Bの溶解度パラメーターSPBが上記範囲内にあると、被着体と馴染みやすい傾向にある。このような観点から、(メタ)アクリル系重合体Bの溶解度パラメーターSPBは、好ましくは9.87〜9.98である。
なお、(メタ)アクリル系重合体Bの溶解度パラメーターSPBは、既述の方法で求めることができる。
【0071】
(メタ)アクリル系重合体A及び(メタ)アクリル系重合体Bの製造方法は、特に制限されない。製造方法としては、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、塊状重合等の公知の重合により製造する方法が挙げられる。これらの中でも、重合方法としては、重合により得られた重合体を混合して粘着剤組成物を製造するにあたり、処理工程が比較的簡単で、かつ、短時間で行なえる点で、溶液重合が好ましい。
【0072】
溶液重合は、一般に、重合槽内に所定の有機溶媒、単量体、重合開始剤、及び必要に応じて用いられる連鎖移動剤を仕込み、窒素気流中又は有機溶媒の還流温度で、撹拌しながら数時間加熱反応させることにより行なわれる。この場合、有機溶媒、単量体、重合開始剤及び連鎖移動剤の少なくとも一部を逐次添加してもよい。
【0073】
重合反応時に用いられる有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、テトラリン、デカリン、芳香族ナフサに代表される芳香族炭化水素類や、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、n−デカン、ジペンテン、石油スピリット、石油ナフサ、テレピン油に代表される脂肪系もしくは脂環族系炭化水素類や、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸n−アミル、酢酸2−ヒドロキシエチル、酢酸2−ブトキシエチル、酢酸3−メトキシブチル、安息香酸メチルに代表されるエステル類や、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−イソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノンに代表されるケトン類や、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルに代表されるグリコールエーテル類や、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、s−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコールに代表されるアルコール類が挙げられる。
これらの有機溶媒は、それぞれ1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0074】
(メタ)アクリル系重合体Aの重合に有機溶媒を用いる場合、重合反応中に連鎖移動を生じにくい有機溶媒としては、例えば、エステル類、ケトン類を用いることが好ましい。さらに、(メタ)アクリル系重合体Aの溶解性、重合反応の容易さ等の点から、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセトンがより好ましい。
また、(メタ)アクリル系重合体Bの重合に有機溶媒を用いる場合、連鎖移動を生じやすい有機溶媒、例えば、ケトン類、芳香族炭化水素類を用いることが好ましく、特に重合反応の容易さ等の点から、トルエン及びメチルエチルケトンがより好ましい。
【0075】
重合開始剤としては、通常の溶液重合で用いられる有機過酸化物、アゾ化合物等を使用することが可能である。
有機過酸化物としては、tert−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、カプロイルペルオキシド、ジ−イソプロピルペルオキシジカルボナト、ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカルボナト、tert−ブチルペルオキシビバラト、2,2−ビス(4,4−ジ−tert−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−tert−アミルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−tert−オクチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−α−クミルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−tert−ブチルペルオキシシクロヘキシル)ブタン、2,2−ビス(4,4−ジ−tert−オクチルペルオキシシクロヘキシル)ブタン等が挙げられる。
アゾ化合物としては、2,2’−アゾビス−イソブチルニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル等が挙げられる。
【0076】
有機過酸化物を用いる場合、(メタ)アクリル系重合体Aの重合に際しては、重合反応中にグラフト反応を起こさない重合開始剤の使用が好ましく、特にアゾビス系の重合開始剤がより好ましい。この場合の重合開始剤の使用量は、通常は単量体の合計量100質量部に対して、0.01質量部〜2質量部が好ましく、0.1質量部〜1質量部がより好ましい。
また、(メタ)アクリル系重合体Bの重合に際しては、反応温度により異なるが、10時間半減期温度の低い重合開始剤が好ましく、例えば、10時間半減期温度が80℃以下の重合開始剤が好ましく、70℃以下の重合開始剤がより好ましい。この場合の重合開始剤の使用量は、通常は単量体の合計量100質量部に対して、0.1質量部〜20質量部が好ましく、0.5質量部〜15質量部がより好ましい。
【0077】
重合反応時の重合温度としては、一般に約30℃〜180℃が好ましく、50℃〜150℃がより好ましい。(メタ)アクリル系重合体Aを製造する場合の重合温度としては、60℃〜100℃が好ましく、70℃〜95℃がより好ましい。(メタ)アクリル系重合体Bを製造する場合の重合温度としては、70℃〜110℃が好ましく、80℃〜100℃がより好ましい。
【0078】
<架橋剤>
本発明の粘着剤組成物は、架橋剤を含むことが好ましい。架橋剤としては、特に制限はなく、ポリイソシアネート化合物、ポリエポキシ化合物、ポリアジリジン化合物、メラミンホルムアルデヒド縮合物、金属キレート化合物等が挙げられる。架橋剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、水酸基を有する単量体との反応性の観点から、架橋剤としては、ポリイソシアネート化合物が好ましい。
【0079】
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート化合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート化合物の水素添加物等の脂肪族又は脂環族ポリイソシアネート化合物、それらポリイソシアネート化合物の2量体若しくは3量体、これらポリイソシアネート化合物と、トリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体等などが挙げられる。
これらの中でも、芳香族ポリイソシアネート化合物と、トリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体が好ましく、キシレンジイソシアネートと、トリメチロールプロパンとのアダクト体がより好ましい。
これらのポリイソシアネート化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0080】
ポリイソシアネート化合物は、例えば、「コロネートL」、「コロネートL−45E」、「コロネートHX」、「コロネートHL−S」、「コロネート2234」「アクアネート200」、「アクアネート210」〔以上、東ソー(株)製〕、「デスモジュールN3300」、「デスモジュールN3400」〔以上、住化コベストロウレタン(株)製〕、「デュラネートE−405−80T」、「デュラネート24A−100」、「デュラネートTSE−100」〔以上、旭化成ケミカルズ(株)製〕、「タケネートD−110N」、「タケネートD−120N」、「タケネートM−631N」及び「MT−オレスターNP1200」〔以上、三井化学(株)製〕の商品名により市販されているものが挙げられる。
【0081】
架橋剤の含有量は、(メタ)アクリル系重合体A100質量部に対して、0.01質量部〜5質量部が好ましい。
架橋剤の含有量が0.01質量部以上であると、粘着剤層を形成したときに適度な硬さが得られガス浮き防止性に優れる傾向にある。また、架橋剤の含有量が5質量部以下であると、十分な濡れ性が得られやすく、被着体に対する密着性が良好となりガス浮き防止性に優れる傾向にある。
上記観点から、架橋剤の含有量は、0.1質量部〜2質量部が好ましく、0.2質量部〜1質量部がより好ましい。
【0082】
<その他の成分>
本発明の粘着剤組成物は、必要に応じて、シランカップリング剤、溶剤、耐候性安定剤、可塑剤、軟化剤、剥離助剤、染料、顔料、無機充填剤、界面活性剤、酸化防止剤、金属腐食防止剤、光安定剤等を含んでもよい。
【0083】
≪粘着シート≫
本発明の粘着シートは、本発明の粘着剤組成物の架橋物である粘着剤層を有する。
【0084】
本発明の粘着シートは、基材を有しない無基材タイプの粘着シートであってもよく、光学フィルム類やプラスチック板等の基材の少なくとも片面に粘着剤層を有する有基材タイプの粘着シートであってもよい。
【0085】
粘着シートとした場合の粘着剤層の厚さは、特に制限されず、用途及び要求する性能に応じて適宜選択することができる。粘着剤層の厚さとして、例えば、1μm〜300μmの範囲が挙げられる。
【0086】
粘着剤層は、被着体に対する85℃環境下で180°剥離(剥離速度300mm/分)における粘着力(剥離力)が10N/25mm以上が好ましく、15N/25mm以上がより好ましく、20N/25mm以上が更に好ましい。
85℃環境下における粘着力が10N/25mm以上であると、アウトガスが発生しやすい高温等の苛酷な条件下においても粘着力を有するため、優れたガス浮き防止性能を発揮しやすい傾向にある。
【0087】
粘着シートを光学用途に使用する場合、粘着シートは、透明性が高いことが好ましい。具体的には、JIS K 7361(1997)に従って測定される可視光波長領域における粘着シートの全光線透過率は、85%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。
また、JIS K 7136(2000)に従って測定される粘着シートのヘイズは、2.5%以下が好ましく、2.0%以下がより好ましく、1.5%以下が更に好ましい。
【0088】
粘着シートの露出した粘着剤層は、剥離フィルムによって保護されていてもよい。剥離フィルムとしては、粘着剤層からの剥離が容易に行なえるものであれば特に制限されず、例えば、剥離処理剤を用いて少なくとも片面に易剥離処理が施された樹脂フィルムが挙げられる。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに代表されるポリエステルフィルムが挙げられる。剥離処理剤として、フッ素系樹脂、パラフィンワックス、シリコーン、長鎖アルキル基化合物等が挙げられる。剥離フィルムは、粘着シートを実用に供するまでの間、粘着剤層の表面を保護し、使用時に剥離される。
【0089】
剥離フィルム及び基材に粘着剤組成物を付与する方法としては、特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。具体的には、ロールコート法、リバースロールコート法、キスロールコート法、ディップロールコート法、バーコーター法、ナイフコーター法、スプレーコーター法等が挙げられる。
【0090】
粘着シートは、例えば、本発明における粘着剤組成物を剥離フィルム又は基材に付与し、乾燥後に一定期間養生することによって粘着剤層を形成させて作製することができる。養生の条件は、例えば23℃、50%RHの環境下で1日間〜10日間である。養生することにより、架橋剤によって(メタ)アクリル系重合体が十分に架橋された状態とすることができる。
【0091】
無基材タイプの粘着シートは、例えば、剥離フィルムの剥離処理面に粘着剤組成物を付与し、乾燥させて、粘着剤組成物の層を形成する。次いで、得られた粘着剤組成物の層の、剥離フィルムと接しない露出した面に、別の剥離フィルムを剥離処理面が接するように重ね、養生して粘着剤層を形成する方法により作製できる。
【0092】
有基材タイプの粘着シートは、粘着剤組成物をプラスチック板、フィルム類等の基材に付与する方法により作製してもよく、粘着剤組成物を剥離フィルムに付与する方法により作製してもよい。例えば、剥離フィルムの剥離処理面に粘着剤組成物を付与し、乾燥させて、粘着剤組成物の層を形成する。次いで、得られた粘着剤組成物の層の、剥離フィルムと接しない露出した面に基材を貼合し、養生して粘着剤層を形成する方法が挙げられる。
【0093】
有基材タイプの粘着シートの基材としては、プラスチック板、フィルム類等が挙げられる。
プラスチック板としては、ポリカーボネート板(PC板)やポリメチルメタクリレート板(PMMA板)が挙げられる。
フィルム類としては、具体的には、非光学用のフィルム類や、例えば液晶表示装置に使用される光学フィルム類が挙げられる。
非光学用のフィルム類としては、より具体的には、塩化ビニルフィルム、ポリオレフィンフィルム等の非光学用のフィルムや、これらの非光学用のフィルムを積層した積層フィルムが挙げられる。
光学用のフィルム類としては、より具体的には、偏光板、位相差板、反射防止フィルム、視野角拡大フィルム、輝度向上フィルム、透明導電性フィルム(ITOフィルム)、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等の光学フィルムや、これらの光学フィルムを積層したタッチパネルなどの積層フィルムが挙げられる。
【0094】
≪用途≫
本発明の粘着剤組成物の用途は、特に制限されない。例えば、粘着剤組成物の架橋物である粘着剤層を介して、プラスチック板やフィルム類の貼合に好適に用いることができる。
プラスチック板やフィルム類としては、既述のものが挙げられる。
【0095】
例えば、プラスチック板と、フィルム類と、を貼合する際に、本発明の粘着剤組成物から作製された粘着シートを用いた場合、高温等の苛酷な条件下において、プラスチック板からアウトガスが発生しても、発生したアウトガスにより粘着剤層の表面で気泡が発生して、粘着剤層の浮き上がり並びに粘着剤層とプラスチック板又はフィルム類との剥れが生じることを抑制できる傾向がある。
更に、本発明の粘着剤組成物は、粘着力に優れるため、プラスチック板と、フィルム類と、を密着させることができ、かつ、視認性も保持することが可能となる。
【0096】
すなわち、本発明における粘着剤組成物は、プラスチック板と、フィルム類との貼合に好適に用いることができる。中でも、本発明における粘着剤組成物は、プラスチック板と、タッチパネルと、の貼合に好適に用いることができる。特に、本発明における粘着剤組成物は、プラスチック板と、車載用のタッチパネルと、の貼合に好適に用いることができる。
【実施例】
【0097】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
【0098】
<製造例A−1:(メタ)アクリル系重合体A−1の製造>
攪拌機、還流冷却器、逐次滴下装置、及び温度計を備えた反応装置に、酢酸エチル325質量部を仕込んだ。次いで、別の容器にn−ブチルアクリレート(BA)608質量部(全構成単位に対して38質量%)と、ラウリルアクリレート(LA)240質量部(全構成単位に対して15質量%)と、メチルアクリレート(MA)432質量部(全構成単位に対して27質量%)と、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)320質量部(全構成単位に対して20質量%)と、からなる単量体の混合液1600質量部を準備し、混合液1600質量部中、320質量部を反応装置に仕込み、加熱し、還流温度で10分間還流を行った。次いで、還流温度条件下で単量体の混合液の残り1280質量部と、酢酸エチル33質量部と、重合開始剤として2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.10質量部と、を120分間にわたって逐次滴下し、滴下終了後、更に30分間の重合反応を行った。その後、メチルエチルケトン15質量部と、重合開始剤としてtert−ブチルパーオキシピバレート0.13質量部の混合液と、を30分間にわたって逐次滴下し、更に150分間重合反応を行った。反応終了後、固形分37質量%になるように酢酸エチルで希釈し、(メタ)アクリル系重合体A−1の溶液を得た。
【0099】
得られた(メタ)アクリル系重合体A−1の重量平均分子量(Mw)、ガラス転移温度TgA及び溶解度パラメーターSPAを表1に示す。重量平均分子量(Mw)、ガラス転移温度TgA及び溶解度パラメーターSPAは既述の方法で測定、計算したものである。
【0100】
<製造例B−1:(メタ)アクリル系重合体B−1の製造>
攪拌機、還流冷却器、逐次滴下装置及び温度計を備えた反応装置に、酢酸エチル28質量部、及びトルエン21質量部を加えて加熱し、還流温度で10分間維持した。次いで、還流温度条件下でメチルメタクリレート(MMA)225質量部(全構成単位に対して75質量%)、tert−ブチルメタクリレート(tBMA)60質量部(全構成単位に対して20質量%)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)15質量部(全構成単位に対して5質量%)、酢酸エチル12質量部、トルエン8質量部及び重合開始剤としてジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)〔商品名:V−601、和光純薬工業(株)製〕5質量部を180分間にわたって逐次滴下し、滴下終了後、更に180分間の重合反応を行った。反応終了後、固形分38質量%になるように酢酸エチルで希釈し、(メタ)アクリル系重合体B−1の溶液を得た。
【0101】
得られた(メタ)アクリル系重合体Bの重量平均分子量(Mw)、ガラス転移温度TgB及び溶解度パラメーターSPBを表1に示す。重量平均分子量(Mw)、ガラス転移温度TgB及び溶解度パラメーターSPBは既述の方法で測定、計算したものである。
【0102】
<製造例A−2〜A−14及び製造例B−2〜B−19>
製造例A−2〜A−14及び製造例B−2〜B−19において、表1に記載の単量体組成に変更し、重合開始剤と有機溶媒との量を変更して重量平均分子量を調整したこと以外は、A−1又はB−1と同様にして、(メタ)アクリル系重合体A−2〜A−14の溶液及び(メタ)アクリル系重合体B−2〜B−19の溶液を製造した。
【0103】
(実施例1)
<粘着剤組成物溶液の調製>
得られた(メタ)アクリル系重合体A−1の溶液270.2質量部(固形分として100質量部)に対して、得られた(メタ)アクリル系重合体B−1の溶液26.3質量部(固形分として10質量部)加え、更に、架橋剤としてD−110N(三井化学(株)製)を固形分として0.2質量部加えて混合し、粘着剤組成物溶液を調製した。
【0104】
[評価]
1.ガス浮き防止性
<試験用サンプルの作製>
調製した粘着剤組成物溶液を、シリコーン系剥離処理剤で易剥離処理された剥離フィルム(商品名:フィルムバイナ100E、藤森工業(株)製)の剥離処理面に、乾燥後の粘着剤層の厚みが50μmとなるように塗布した。その後、100℃、2分間の条件で乾燥した。粘着剤組成物の層が露出した面に別途用意した剥離フィルム(商品名:フィルムバイナ25E、藤森工業(株)製)を貼り合せた。その後、温度23℃、50%RHの環境下で4日間養生して架橋反応を進行させて無基材タイプの両面粘着シート(試験用サンプル)を得た。
【0105】
<ガス浮き防止性試験>
作製した試験用サンプルの一方の剥離フィルムを剥離し、PETフィルム(厚さ:100μm、商品名:A4100、東洋紡績(株)製)と重ね合せて、加圧ニップロールに通し圧着して貼り合せて、75mm×70mmの大きさにカットした。次いで、カットしたサンプル片のもう一方の剥離フィルムを剥離し、厚さ2mmのポリカーボネート(PC)板(商品名:タキロンPC1600、タキロン(株)製)と重ね合せて、加圧ニップロールに通して圧着して貼り合せて、その後、50℃、5気圧下で20分間圧着させて、ガス浮き防止性試験用サンプルを作製した。作製したガス浮き防止性試験用サンプルを、85℃のオーブンの中に12時間投入して、熱処理を行った。
デジタルマイクロスコープVHX−100F((株)キーエンス製)の計測装置を用いて、熱処理後のサンプルのPETフィルム側の表面を観察し、図に示すような気泡が確認された部分の総面積Sを計測した。PC板に粘着剤層が貼り合わされた部分の面積S及び、総面積Sを用いて、以下の式によりガス浮き発生頻度Xを算出し、下記の評価基準により評価した。
X=S/S×100
【0106】
[評価基準]
A:X≦0.3であり、ガス浮き防止性が非常に優れている。
B:0.3<X≦1.0であり、ガス浮き防止性がやや優れており、実用上の問題が生じない範囲である。
C:1.0<X≦3.0であり、ガス浮き防止性がわずかに優れており、実用上の問題が生じない範囲である。
D:3.0<Xであり、ガス浮き防止性に劣り、実用上の問題が生じる。
【0107】
2.粘着力
<PC粘着力測定用のサンプルの作製>
上記で作製した試験用サンプルの一方の剥離フィルムを剥離し、PETフィルム(厚さ:100μm、商品名:A4100、東洋紡績(株)製)と重ね合せて、加圧ニップロールに通して圧着して貼り合せた後、25mm×150mmの大きさにカットした。カットしたフィルム片をJIS Z 0237(2009)の手順に従って、PC板(商品名:タキロンPC1600、タキロン(株)製)に圧着して、PC粘着力測定用のサンプルとした。
なお、PC粘着力測定用のサンプルの層構成は、PETフィルム/粘着剤層/PC板の順である。
【0108】
<PET粘着力測定用のサンプルの作製>
表面がハードコート処理されたPETフィルム(商品名:テトライトTCF、尾池工業(株)製)をガラス板の上に両面テープで固定して準備した。
上記で作製した試験用サンプルの一方の剥離フィルムを剥離し、PETフィルム(厚さ:100μm)(商品名:A4100、東洋紡績(株)製)と重ね合せて、加圧ニップロールに通して圧着して貼り合せた後、25mm×150mmの大きさにカットした。カットしたフィルム片をJIS Z 0237(2009)の手順に従って、上記で準備したハードコート処理されたPETフィルムに圧着してPET粘着力測定用のサンプルとした。
なお、PET粘着力測定用のサンプルの層の構成は、PETフィルム/粘着剤層/ハードコート処理されたPETフィルム/両面テープ/ガラス板の順である。ハードコート処理されたPETフィルムのハードコート処理された面は、粘着剤層と接している。
【0109】
PC及びPET粘着力測定用のサンプルをそれぞれ85℃のオーブン中に2時間投入し、熱処理した後、85℃環境下で180°剥離における粘着力(剥離速度:300mm/分)を測定した。下記の評価基準により評価した。
【0110】
[評価基準]
A:粘着力が20N/25mm以上であり非常に優れている。
B:粘着力が15N/25mm以上20N/25mm未満でありやや優れている。
C:粘着力が10N/25mm以上15N/25mm未満でありわずかに優れている。
D:粘着力が10N/25mm未満でありやや劣っている。
【0111】
3.シートヘイズ
上記で作製した試験用サンプルの一方の剥離フィルムを剥離し、PETフィルム(厚さ:100μm、商品名:A4100、東洋紡績(株)製)と重ね合せて、加圧ニップロールに通して圧着して貼り合せた後、70mm×50mmの大きさにカットした。カットしたフィルム片は、ガラス板と重ねあわせて、加圧ニップロールに通して圧着して貼り合せて、シートヘイズ測定用のサンプルとした。シートヘイズ測定用のサンプルのヘイズ値は、ヘイズメーター(商品名:NDH−5000SP、日本電色工業(株)製)を用いて測定した。ヘイズ値は、ガラス板単独のヘイズ値から測定したサンプルのヘイズ値を引いた値とした。評価基準は次の通りである。
【0112】
[評価基準]
A:ヘイズ値が0.5%未満であり、非常に優れている。
B:ヘイズ値が0.5%以上1.0%未満であり、やや優れている。
C:ヘイズ値が1.0%以上2.0%未満であり、わずかに優れている。
D:ヘイズ値が2.0%以上であり、劣っている。
【0113】
(実施例2〜28及び比較例1〜10)
実施例2〜28及び比較例1〜10において、組成を表1に示した組成に変更した以外は、実施例1と同様にして表1に示すような粘着剤組成物を調製した。調製した粘着剤組成物を用いて、実施例1と同様にして試験用サンプルを作製した。得られた試験用サンプルについて、実施例1と同様にして各評価を行った。結果を表1に示す。
【0114】
【表1】
【0115】
表1における略号は以下の通りである。なお、下記単量体のTg値は、既述の計算式より算出した単独重合体のガラス転移温度である。
・BA:n−ブチルアクリレート(Tg:−57℃)
・MA:メチルアクリレート(Tg:5℃)
・EA:エチルアクリレート(Tg:−27℃)
・tBA:tert−ブチルアクリレート(Tg:31℃)
・LA:ラウリルアクリレート(Tg:15℃)
・2HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート(Tg:−15℃)
・MMA:メチルメタクリレート(Tg:103℃)
・tBMA:tert−ブチルメタクリレート(Tg:107℃)
・IBXA:イソボルニルアクリレート(Tg:94℃)
・2HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート(Tg:55℃)
・D−110N:m−キシレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体(商品名:タケネートD−110N、三井化学(株)製)
・N75:ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体(商品名:スミジュールN75、住化コベストロウレタン(株)製)
【0116】
重量平均分子量が300,000〜2,000,000の範囲内にある(メタ)アクリル系重合体Aと、重量平均分子量が5,000〜50,000の範囲内にあり、溶解度パラメーターSPBが9.85〜10.02の範囲内にあり、かつ、ガラス転移温度TgBが35℃〜110℃の範囲内にある(メタ)アクリル系重合体Bと、を含み、(メタ)アクリル系重合体Aの溶解度パラメーターSPAが前記溶解度パラメーターSPBより大きく、溶解度パラメーターSPAと溶解度パラメーターSPBとの差が0.50を超えて0.90未満である実施例1〜28の粘着剤組成物から形成された粘着シートは、ガス浮き防止性、粘着力及びシートヘイズの評価のすべてにおいて、良好又は許容範囲内であった。
【0117】
これに対して、(メタ)アクリル系重合体Bを含まない比較例1、溶解度パラメーターSPBが9.85〜10.02の範囲外である比較例2及び3、ガラス転移温度TgBが35℃未満である比較例4、(メタ)アクリル系重合体Bの重量平均分子量が5,000〜50,000の範囲外である比較例5〜7、(メタ)アクリル系重合体Aの重量平均分子量が300,000〜2,000,000の範囲外である比較例8、並びに、ΔSPが0.50以下又は0.90以上である比較例9及び10は、いずれもガス浮き発生頻度が高く、ガス浮き防止性に劣っていた。
【0118】
以上より、本発明の粘着剤組成物から形成された粘着シートは、ガス浮き防止性優れ、また、粘着力及び透明性についても良好な結果であることがわかる。
図1
図2