特許第6811570号(P6811570)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6811570
(24)【登録日】2020年12月17日
(45)【発行日】2021年1月13日
(54)【発明の名称】材料吐出制御装置
(51)【国際特許分類】
   B05C 11/00 20060101AFI20201228BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20201228BHJP
【FI】
   B05C11/00
   B05C11/10
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-174375(P2016-174375)
(22)【出願日】2016年9月7日
(65)【公開番号】特開2018-38954(P2018-38954A)
(43)【公開日】2018年3月15日
【審査請求日】2019年4月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006828
【氏名又は名称】YKK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100139103
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 卓志
(74)【代理人】
【識別番号】100139114
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 貞嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100145920
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 聡
(72)【発明者】
【氏名】丸山 真一郎
(72)【発明者】
【氏名】森田 真宏
【審査官】 清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−046156(JP,A)
【文献】 米国特許第04355734(US,A)
【文献】 特開2006−142369(JP,A)
【文献】 特許第3862331(JP,B2)
【文献】 特表2010−509033(JP,A)
【文献】 特開平11−028410(JP,A)
【文献】 特開2015−188620(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 5/00−21/00
F04B 9/00−15/08
23/00−23/14
53/00−53/22
B65D 83/00
83/08−83/76
B05D 1/00−7/26
A61M 3/00−9/00
31/00
39/00−39/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料が充填された容器を支持する基台と、
前記基台に対して移動して前記容器内の材料を吐出するため押圧する移動部と、
前記移動部を駆動する駆動部と、
前記移動部の位置を検知する検知部と、
前記検知部が検知した前記移動部の位置に応じて前記駆動部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
予め定めた前記移動部の推定移動変化率、及び、前記検知部が検知した前記移動部の位置から求めた前記移動部の実測移動変化率を演算して、前記推定移動変化率に対する前記実測移動変化率を表す比を求め、
前記比が予め定めた所定の範囲外の場合、容器内の材料を押圧する部材が底面に到達したと判断し、前記駆動部の駆動を停止させる
ことを特徴とする材料吐出制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記駆動部の駆動を停止させると共に警報又は警告を発信する
ことを特徴とする請求項1に記載の材料吐出制御装置。
【請求項3】
前記移動部は、
前記基台に対して昇降可能な昇降部と、
前記昇降部に支持され前記容器内の材料上に載せる蓋部材と、
を有する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の材料吐出制御装置。
【請求項4】
前記蓋部材に取り付けられ前記駆動部が駆動することで前記容器内の材料を吸い上げる第1ポンプと、
前記第1ポンプから吸い上げられる材料が通過するホースと、
前記ホースを通過した材料を吐出する塗布部と、
を備え、
前記駆動部は、
前記第1ポンプを駆動する第1駆動部
を有する
ことを特徴とする請求項3に記載の材料吐出制御装置。
【請求項5】
前記塗布部は、
前記ホース内の材料を送る第2ポンプと、
前記第2ポンプによって送られた材料を塗布するノズルと、
を有し、
前記駆動部は、
前記第2ポンプを駆動する第2駆動部
を有する
ことを特徴とする請求項4に記載の材料吐出制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内の材料を吐出する材料吐出制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一方の開口から加圧することで内部に貯留した液体を他方の開口から吐出するシリンジを備えた液体塗布装置が開示されている(特許文献1及び2参照)。特許文献1及び2に記載された液体塗布装置は、シリンジ内の液体を安定して塗布するために、シリンジ内の液体を使い切る前に新たなシリンジと交換していた。そのため、特許文献1及び2に記載された液体塗布装置は、シリンジ内の液体の量を測定し、交換時期を取得していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3862331号公報
【特許文献2】特許第5239357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1及び2に記載された液体塗布装置は、交換時、シリンジ内に液体が残存した状態となることがある。残存した液体は、廃棄することになり、無駄なものとなっていた。
【0005】
本発明は、容器内の材料を押圧する部材が底面に到達したことを検知し、容器内に残存する材料を減らすことが可能な材料吐出制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態にかかる材料吐出制御装置は、
材料が充填された容器を支持する基台と、
前記基台に対して移動して前記容器内の材料を吐出するため押圧する移動部と、
前記移動部を駆動する駆動部と、
前記移動部の位置を検知する検知部と、
前記検知部が検知した前記移動部の位置に応じて前記駆動部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
予め定めた前記移動部の推定移動変化率、及び、前記検知部が検知した前記移動部の位置から求めた前記移動部の実測移動変化率を演算して、前記推定移動変化率に対する前記実測移動変化率を表す比を求め、
前記比が予め定めた所定の範囲外の場合、容器内の材料を押圧する部材が底面に到達したと判断し、前記駆動部の駆動を停止させる
ことを特徴とする。
【0007】
本発明の一実施形態にかかる材料吐出制御装置では、
前記制御部は、
前記駆動部の駆動を停止させると共に警報又は警告を発信する
ことを特徴とする。
【0008】
本発明の一実施形態にかかる材料吐出制御装置では、
前記移動部は、
前記基台に対して昇降可能な昇降部と、
前記昇降部に支持され前記容器内の材料上に載せる蓋部材と、
を有する
ことを特徴とする。
【0009】
本発明の一実施形態にかかる材料吐出制御装置は、
前記蓋部材に取り付けられ前記駆動部が駆動することで前記容器内の材料を吸い上げる第1ポンプと、
前記第1ポンプから吸い上げられる材料が通過するホースと、
前記ホースを通過した材料を吐出する塗布部と、
を備え、
前記駆動部は、
前記第1ポンプを駆動する第1駆動部
を有する
ことを特徴とする。
【0010】
本発明の一実施形態にかかる材料吐出制御装置では、
前記塗布部は、
前記ホース内の材料を送る第2ポンプと、
前記第2ポンプによって送られた材料を塗布するノズルと、
を有し、
前記駆動部は、
前記第2ポンプを駆動する第2駆動部
を有する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一実施形態にかかる材料吐出制御装置によれば、容器内の材料を加圧する部材が的確に下限に到達したことを検知し、容器内に残存する材料を減らすことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明にかかる第1実施形態の材料吐出制御装置を示す。
図2】第1実施形態の材料吐出制御装置1の蓋部材5が下限位置に到達した状態を示す。
図3】第1実施形態の材料吐出制御装置1の制御フローチャートである。
図4】第1実施形態の材料吐出制御装置1の時間に対する昇降部3の位置の関係を示すグラフである。
図5】本発明にかかる第2実施形態の材料吐出制御装置を示す。
図6】第2実施形態の材料吐出制御装置1の蓋部材5が下限位置に到達した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づき本発明にかかる一実施形態の材料吐出制御装置1を具体的に説明する。
【0014】
図1は、本発明にかかる第1実施形態の材料吐出制御装置1を示す。図2は、第1実施形態の材料吐出制御装置1の昇降部4が下限位置に到達した状態を示す。
【0015】
第1実施形態の材料吐出制御装置1は、基台2と、基台2の上方に伸縮可能に延びる支持部3と、支持部3に載せられ昇降する昇降部4と、昇降部4に支持され容器30内の材料上に載せる蓋部材5と、蓋部材5に取り付けられ容器30内の材料を吸い上げる第1ポンプ6と、第1ポンプ6を駆動する第1駆動部7と、第1ポンプ6から吸い上げられる材料が通過するホース8と、ホース8を通過した材料を吐出する塗布部9と、昇降部4の位置を検知する検知部10と、検知部10が検知した昇降部4の位置に応じて第1駆動部7及び塗布部9を制御する制御部20と、を備える。なお、昇降部4と蓋部材5は、移動部を構成する。
【0016】
基台2は、両側に支持部3が設けられ、中央部に容器30を置く部分を有する。容器30は、上方に開口30a、下方に底面30bを有する。容器30の内部には、材料が充填され、上方の開口30aから内部に挿入された蓋部材5によって密閉される。容器30としては、ペール缶又はシリンジ等を用いる。
【0017】
支持部3は、基台2に固定された支持用シリンダ3aと、一端が昇降部4に固定され、他端が支持用シリンダ3a内を移動可能な支持用ロッド3bと、を有する。支持用ロッド3bは、昇降部4と共に移動する。
【0018】
昇降部4は、両側を支持部3で支持され、中央部の下方に、蓋部材5、第1ポンプ6、及び第1駆動部7を支持する。昇降部4は、第1駆動部7が駆動し、容器30内の材料が第1ポンプ6によって吸い上げられると、蓋部材5と共に下降する。そして、第1駆動部7が停止すると、昇降部4の下降も停止する。
【0019】
蓋部材5は、昇降部4に支持され、容器30の内部に充填された材料の上面に載せられる。蓋部材5には、第1ポンプ6に通じる図示しない貫通孔が形成されている。材料として溶融熱可塑性材料を用いる場合、蓋部材5としてヒータを内蔵した加熱用プラテンを用いる。容器30内の溶融熱可塑性材料を蓋部材5のヒータで溶融させて、第1ポンプ6によって吸い上げる。
【0020】
第1ポンプ6は、蓋部材5の上方に取り付けられる。第1駆動部7は、第1ポンプ6の上方に伝達部材7aを介して取り付けられる。そして、蓋部材5、第1ポンプ6、及び第1駆動部7は、昇降部4に支持され、昇降部4と共に昇降する。
【0021】
塗布部9は、ホース8を介してポンプ6に連結される。塗布部9は、ホース8内の材料を吸引する第2ポンプ9aと、第2ポンプ9aを駆動する第2駆動部9bと、第2ポンプ9aを通過した材料を吐出するノズル9cと、を有する。
【0022】
第1駆動部7及び第2駆動部9bを駆動し、第1ポンプ6が容器30内の材料を吸い上げると、蓋部材5が降下する。言い換えれば、蓋部材5が容器30内の材料を押圧する。容器30は、予め材料が充填されており、材料が無くなると、新たな容器30に交換される。なお、第1駆動部7と第2駆動部9bは、駆動部を構成する。
【0023】
検知部10は、昇降部4の位置を検知する。検知部10は、支持用シリンダ3aに固定された検知用シリンダ10aと、一端が昇降部4に固定され、他端が検知用シリンダ10b内を移動可能な検知用ロッド10bと、を有する。検知用ロッド10bは、昇降部4と共に移動する。検知部10は、検知用シリンダ10aに対する検知用ロッド10bの位置を検知する。検知部10が検知した検知用シリンダ10aに対する検知用ロッド10bの位置は、制御部20に伝えられる。
【0024】
制御部20は、検知部10から送られた検知信号に応じて、加圧第1駆動部7及び第2駆動部9bを制御する。
【0025】
ここで、具体的な制御についてフローチャートを用いて説明する。
【0026】
図3は、第1実施形態の材料吐出制御装置1の制御フローチャートである。
【0027】
まず、ステップ1で、昇降部4を初期位置にセットする(ST1)。昇降部4の初期位置は、容器30を材料吐出制御装置1の基台2に置いた後、容器30内の材料の上面と蓋部材5の下面が同一になる位置である。
【0028】
次に、ステップ2で、駆動部を駆動する(ST2)。具体的には、第1駆動部7及び第2駆動部9bを駆動する。駆動部が駆動すると、第1ポンプ6及び第2ポンプ9aがそれぞれ作動する。第1ポンプ6及び第2ポンプ9aがそれぞれ作動すると、容器30内の材料が吸い上げられて蓋部材5を移動させる。言い換えれば、蓋部材5が容器30内の材料を押圧する。吸い上げられた材料を塗布部9のノズル9cから吐出する。
【0029】
続いて、ステップ3で、検知部10が検知した昇降部4の位置を制御部20に入力する(ST3)。検知部10は、検知用シリンダ10aに対する検知用ロッド10bの位置を検知し、制御部20に入力する。
【0030】
次に、ステップ4で、制御部20は、予め定めた昇降部4の推定移動変化率aに対する検知部10が検知した昇降部4の位置から求めた昇降部4の実測移動変化率bを表す比b/aを演算する(ST4)。昇降部4の推定移動変化率aは、第1駆動部7及び第2駆動部9bの駆動力に対する材料の吸い上げ量から、予め演算し、記憶しておく。
【0031】
続いて、ステップ5で、制御部20は、推定移動変化率aに対する実測移動変化率bを表す比b/aが予め定めた所定の範囲内か否かを判定する(ST5)。推定移動変化率aに対する実測移動変化率bを表す比b/aは、通常1となる。
【0032】
ステップ5において、推定移動変化率aに対する実測移動変化率bを表す比b/aが予め定めた所定の範囲内の場合、ステップ3に戻る。ステップ5において、推定移動変化率aに対する実測移動変化率bを表す比b/aが予め定めた所定の範囲外の場合、ステップ6に進む。所定の範囲は、例えば0.95≦b/a≦1.05とする。
【0033】
ステップ6では、制御部20は、第1駆動部7及び第2駆動部9bの駆動を停止させる(ST6)。もし、第1駆動部7及び第2駆動部9bの駆動を停止させず、そのまま駆動すると、第1ポンプ6及び第2ポンプ9aが焼き付いて損傷してしまう。
【0034】
図4は、第1実施形態の材料吐出制御装置1の時間に対する昇降部4の位置の関係を示すグラフである。
【0035】
図4に示すように、昇降部4は、初期位置から予め定めた推定移動変化率aで下降する。そして、図2に示すように、蓋部材5の下端が容器30の底面30bに到達した時、昇降部4は下降できずに停止位置に留まる。したがって、検知部10が検知する実測移動変化率bは0に近くなり、推定移動変化率aに対する実測移動変化率bを表す比b/aが予め定めた所定の範囲外となる。したがって、制御部20は、容器30内の材料が存在しないと判断できる。
【0036】
なお、実測移動変化率bが0になった際に、制御部20が駆動部7の駆動を停止させるように設定してもよい。また、警報音を鳴動させたり、警告灯を点灯させたりしてもよい。
【0037】
このように、第1実施形態の材料吐出制御装置1によれば、容器30内の材料上の移動部4,5が下限に到達したことを安定して検知し、容器30の寸法にバラツキがあっても容器30内に残存する材料を減らすことが可能となる。
【0038】
図5は、本発明にかかる第2実施形態の材料吐出制御装置51を示す。図6は、第2実施形態の材料吐出制御装置51の昇降部54が下限位置に到達した状態を示す。
【0039】
第2実施形態の材料吐出制御装置51は、基台52と、基台52の上方に延びる支持部53と、昇降可能な昇降部54と、昇降部54に支持され容器80内の材料上に載せる蓋部材55と、昇降部54を駆動する駆動部57と、昇降部54の位置を検知する検知部60と、検知部60が検知した昇降部54の位置に応じて駆動部57を制御する制御部70と、を備える。
【0040】
基台52は、両側に支持部53が設けられ、中央部に容器80を支持する。容器80は、上方に開口80a、下方に塗布部80bを有する。容器80の内部に充填された材料が、上方の開口80aから内部に挿入された蓋部材55によって押圧され、塗布部80bから塗布される。
【0041】
支持部53は、基台52に固定された支持柱53aと、支持柱53aに支持される支持板53bと、を有する。
【0042】
昇降部54は、下方に蓋部材55が取り付けられる。昇降部54は、駆動部57によって昇降される。駆動部57が駆動されると、昇降部54が蓋部材55と共に下降する。そして、駆動部57が停止すると、昇降部54の下降も停止する。なお、駆動部57は、伸縮する流体圧シリンダ等の往復駆動するアクチュエータが好ましい。特に、駆動部57は、負荷抵抗が所定の範囲を上回った場合には、伸縮しないものが好ましい。
【0043】
蓋部材55は、昇降部54に取り付けられ、容器80の内部に充填された材料の上面に載せられる。蓋部材55は、駆動部57が駆動されると、昇降部54と共に下降し、容器80の内部の材料を押圧する。
【0044】
検知部60は、昇降部54の位置を検知する。検知部60は、基台52に固定された検知用シリンダ60aと、一端が昇降部54に固定され、他端が検知用シリンダ60b内を移動可能な検知用ロッド60bと、を有する。検知用ロッド60bは、昇降部54と共に移動する。検知部60は、検知用シリンダ60aに対する検知用ロッド60bの位置を検知する。検知部60が検知した検知用シリンダ60aに対する検知用ロッド60bの位置は、制御部70に伝えられる。
【0045】
制御部70は、検知部60から送られた検知信号に応じて、駆動部57を制御する。
【0046】
続いて、具体的な制御についてフローチャートを用いて説明する。第2実施形態の材料吐出制御装置51の制御フローチャートは、基本的に第1実施形態と同様なので、図3を用いて説明する。
【0047】
まず、ステップ1で、昇降部54を初期位置にセットする(ST1)。昇降部54の初期位置は、容器80を材料吐出制御装置51の基台2にセットした後、容器80内の材料の上面と蓋部材55の下面が同一になる位置である。
【0048】
次に、ステップ2で、駆動部57を駆動する(ST2)。駆動部57が駆動すると、アクチュエータ57aが作動する。アクチュエータ57aが作動すると、蓋部材55が移動する。蓋部材55が移動すると、容器80内の材料が押圧されて吐出口80bから吐出される。
【0049】
続いて、ステップ3で、検知部60が検知した昇降部54の位置を制御部70に入力する(ST3)。検知部60は、検知用シリンダ60aに対する検知用ロッド60bの位置を検知し、制御部70に入力する。
【0050】
次に、ステップ4で、制御部70は、予め定めた昇降部54の推定移動変化率aに対する検知部60が検知した昇降部54の位置から求めた昇降部54の実測移動変化率bを表す比b/aを演算する(ST4)。昇降部54の推定移動変化率は、駆動部57の駆動力に対する昇降部54の移動量から、予め演算し、記憶しておく。
【0051】
続いて、ステップ5で、制御部70は、推定移動変化率aに対する実測移動変化率bを表す比b/aが予め定めた所定の範囲内か否かを判定する(ST5)。推定移動変化率aに対する実測移動変化率bを表す比b/aは、通常1となる。
【0052】
ステップ5において、推定移動変化率aに対する実測移動変化率bを表す比b/aが予め定めた所定の範囲内の場合、ステップ3に戻る。ステップ5において、推定移動変化率aに対する実測移動変化率bを表す比b/aが予め定めた所定の範囲外の場合、ステップ6に進む。所定の範囲は、例えば0.95≦b/a≦1.05とする。
【0053】
ステップ6では、制御部70は、駆動部57の駆動を停止させる(ST6)。
【0054】
図4に示すように、昇降部54は、初期位置から予め定めた推定移動変化率aで下降する。そして、図6に示すように、蓋部材55の下端が容器80の底面に到達した時、昇降部54は下降できずに停止位置に留まる。したがって、検知部60が検知する実測移動変化率bは0に近くなり、推定移動変化率aに対する実測移動変化率bを表す比b/aが予め定めた所定の範囲外となる。したがって、制御部70は、容器80内の材料が存在しないと判断できる。
【0055】
なお、実測移動変化率bが0になった際に、制御部70が駆動部57の駆動を停止させるように設定してもよい。また、警報音を鳴動させたり、警告灯を点灯させたりしてもよい。
【0056】
このように、第1実施形態の材料吐出制御装置51によれば、容器80内の材料上の移動部54,55が下限に到達したことを安定して検知し、容器80の寸法にバラツキがあっても容器80内に残存する材料を減らすことが可能となる。
【0057】
以上、本実施形態の材料吐出制御装置1,51によれば、材料が充填された容器30,80を支持する基台2,52と、基台2,52に対して移動して容器30,80内の材料を押圧する移動部4,5,54,55と、移動部4,5,54,55を駆動する駆動部7,57と、移動部4,5,54,55の位置を検知する検知部10,60と、検知部10,60が検知した移動部4,5,54,55の位置に応じて駆動部7,57を制御する制御部20,70と、を備え、制御部20,70は、予め定めた移動部4,5,54,55の推定移動変化率a、及び、検知部10,60が検知した移動部4,5,54,55の位置から求めた移動部4,5,54,55の実測移動変化率bを演算して、推定移動変化率aに対する実測移動変化率bを表す比b/aを求め、比b/aが予め定めた所定の範囲外の場合、駆動部7,57の駆動を停止させるので、容器内の材料上の移動部4,5,54,55が下限に到達したことを安定して検知し、容器の寸法にバラツキがあっても容器内に残存する材料を減らすことが可能となる。
【0058】
また、本実施形態の材料吐出制御装置1,51によれば、制御部20,70は、比b/aが予め定めた所定の範囲外で、実測移動変化率bが0になった際に、駆動部7,57の駆動を停止させるので、容器内の材料上の移動部4,5,54,55が下限に到達したことをより的確に検知することが可能となる。
【0059】
また、本実施形態の材料吐出制御装置1,51によれば、制御部20,70は、駆動部7,57の駆動を停止させると共に警報又は警告を発信するので、容器内の材料上の移動部4,5,54,55が下限に到達したことを周囲に知らせることが可能となる。
【0060】
また、本実施形態の材料吐出制御装置1,51によれば、移動部4,5,54,55は、基台2,52に対して昇降可能な昇降部4,54と、昇降部4,54に支持され容器30,80内の材料上に載せる蓋部材5,55と、を有するので、設計の自由度を高くすることが可能となる。
【0061】
また、本実施形態の材料吐出制御装置1によれば、蓋部材5に取り付けられ駆動部7が駆動することで容器30内の材料を吸い上げる第1ポンプ6と、第1ポンプ6から吸い上げられる材料が通過するホース8と、ホース8を通過した材料を吐出する塗布部9と、を備え、駆動部7は、第1ポンプ6を駆動する第1駆動部7を有するので、材料がなくなり、第1ポンプ6が焼き付け等によって損傷することを防止することが可能となる。
【0062】
また、本実施形態の材料吐出制御装置1によれば、塗布部9は、ホース8内の材料を送る第2ポンプ9aと、第2ポンプ9aによって送られた材料を塗布するノズル9cと、を有し、駆動部7は、第2ポンプ9aを駆動する第2駆動部9bを有するので、材料がなくなり、第2ポンプ9aが焼き付け等によって損傷することを防止することが可能となる。
【0063】
以上、本発明の種々の実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態のみに限られるものではなく、それぞれの実施形態の構成を適宜組み合わせて構成した実施形態も本発明の範疇となるものである。
【符号の説明】
【0064】
1,51…材料吐出制御装置
2,52…基台
3,53…支持部
4,54…昇降部(移動部)
5,55…蓋部材(移動部)
6…第1ポンプ
7…第1駆動部(駆動部)
8…ホース
9…塗布部
9a…第2ポンプ
9b…第2駆動部(駆動部)
9c…ノズル
10,60…検知部
20,70…制御部
30,80…容器
57…駆動部
図1
図2
図3
図4
図5
図6