(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ストッカーオフセットは、X軸方向の前記ストッカーオフセットであるストッカーXオフセットと、Y軸方向の前記ストッカーオフセットであるストッカーYオフセットと、Z軸方向の前記ストッカーオフセットであるストッカーZオフセットとを有し、
前記記憶部には、前記第1基準点から前記ストッカーまでの距離と、前記第2基準点の設計上のX座標が記憶され、
前記ストッカーオフセット算出部は、
前記ストッカーXオフセットをE2x、前記第2基準点のX座標をM_P2x、前記第2基準点の設計上のX座標をDM_P2x、前記第1基準点から前記ストッカーまでの距離をDとしたとき、
E2x=(M_P1x+((M_P2x−M_P1x)/(DM_P2x−DM_P1x))×D)−(DM_P1x+D)
で表される式によって、前記ストッカーXオフセットを算出するストッカーXオフセット算出部と、
前記ストッカーYオフセットをE2y、前記第2基準点のY座標をM_P2yとしたとき、
E2y=(M_P1y+((M_P2y−M_P1y)/(M_P2x−M_P1x))×D)−DM_P1y
で表される式によって、前記ストッカーYオフセットを算出するストッカーYオフセット算出部と、
前記ストッカーZオフセットをE2z、前記第2基準点のZ座標をM_P2zとしたとき、
E2z=(M_P1z+((M_P2z−M_P1z)/(M_P2x−M_P1x))×D)−DM_P1z
で表される式によって、前記ストッカーZオフセットを算出するストッカーZオフセット算出部と、
を備えた、請求項4に記載された切削加工機。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る切削加工機について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0013】
図1は、本実施形態に係る切削加工機100の斜視図である。
図2は、フロントカバー20が省略された状態を示す切削加工機100の斜視図である。以下の説明では、切削加工機100を正面から見たときに、切削加工機100から遠ざかる方を前方、切削加工機100に近づく方を後方とする。左、右、上、下とは、切削加工機100を正面から見たときの左、右、上、下をそれぞれ意味するものとする。また、図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を意味するものとする。ただし、上記方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、切削加工機100の設置態様を何ら限定するものではなく、本発明を何ら限定するものでもない。また、図面中の符号Xは左右方向を示している。符号Yは前後方向を示している。符号Zは上下方向を示している。本実施形態では、切削加工機100を構成する部位などの位置は、XYZ直交座標系の座標で表されるものとする。ここでは、左右方向Xは、X軸方向であり、左側がX軸のマイナス側であり、右側がX軸のプラス側である。前後方向Yは、Y軸方向であり、前側がY軸のマイナス側であり、後側がY軸のプラス側である。上下方向Zは、Z軸方向であり、下側がZ軸のマイナス側であり、上側がZ軸のプラス側である。なお、X軸方向、Y軸方向、および、Z軸方向は特に限定されず、切削加工機100の形態に応じて適宜に設定可能である。
【0014】
図2に示すように、切削加工機100は、加工ツール6を回転させて、切削対象である被加工物5を切削加工するものである。本実施形態では、切削加工機100は、箱状に形成されている。
図1に示すように、切削加工機100は、本体10と、フロントカバー20と、操作パネル25とを備えている。
図2に示すように、本体10は、内部に空間を有しており、本体10の前部は開口している。本実施形態では、本体10は、ベース部11と、前壁部12と、後壁部13と、左壁部14と、右壁部15とを備えている。ベース部11は、板状の部材である。前壁部12は、ベース部11の前端から上方に向かって延びている。後壁部13は、ベース部11の後端から上方に向かって延びている。左壁部14は、ベース部11の左端から上方に向かって延びている。左壁部14の前端の下部は、前壁部12の左端に接続され、左壁部14の後端は、後壁部13の左端に接続されている。右壁部15は、ベース部11の右端から上方に向かって延びている。右壁部15の前端の下部は、前壁部12の右端に接続され、右壁部15の後端は、後壁部13の右端に接続されている。
【0015】
図1に示すように、フロントカバー20は、本体10の前部の開口を開閉自在に設けられている。例えば、フロントカバー20は、後端を軸に回転可能なように、本体10に支持されている。フロントカバー20には、本体10の内部の空間を目視するための窓部21が設けられていてもよい。窓部21は、例えば、透明のアクリル板によって形成されている。
【0016】
操作パネル25は、ユーザが切削加工に関する操作などを行うものであり、前壁部12の中央部分に設けられている。操作パネル25には、例えば、切削に要する時間、切削状況などの切削に関する情報が表示される表示部25a、および、切削に関する情報をユーザが入力するための入力部25bなどが備えられている。
【0017】
次に、切削加工機100の内部構成について説明する。
図2に示すように、切削加工機100は、一対の第1ガイドレール30と、キャリッジ32と、切削ヘッド40と、テーブル50と、回転機構60と、マガジン70と、制御装置80(
図7参照)とを備えている。
【0018】
一対の第1ガイドレール30は、切削ヘッド40を左右方向Xにガイドするものである。本実施形態では、第1ガイドレール30は、本体10内に2つ配置されている。一対の第1ガイドレール30は、上下方向Zに並んで配置されており、それぞれ左右方向Xに延びた部材である。一対の第1ガイドレール30の右端は、それぞれ左壁部14に接続されている。一対の第1ガイドレール30の左端は、それぞれ右壁部15に接続されている。なお、第1ガイドレール30の数は特に限定されない。例えば、第1ガイドレール30の数は、1つであってもよい。
【0019】
キャリッジ32は、一対の第1ガイドレール30に対して摺動自在に設けられている。キャリッジ32は、一対の第1ガイドレール30に係合している。キャリッジ32は、2つの第1ガイドレール30に沿って左右方向Xに移動可能である。本実施形態では、キャリッジ32には、第1モータ32A(
図7参照)が接続されている。第1モータ32Aの駆動力を受けて、キャリッジ32は、左右方向Xに移動する。
【0020】
本実施形態では、キャリッジ32は、キャリッジ用ケース34と、一対の第2ガイドレール35と、摺動部材36(
図7参照)とを備えている。キャリッジ用ケース34は、一対の第1ガイドレール30に係合している。キャリッジ用ケース34は、内部に空間を有している。一対の第2ガイドレール35は、上下方向Zに延びた部材であり、キャリッジ用ケース34の内部の空間に設けられている。
図7の摺動部材36は、図示は省略するが、一対の第2ガイドレール35に係合している。摺動部材36は、一対の第2ガイドレール35に沿って上下方向Zに移動することが可能である。本実施形態では、
図7に示すように、摺動部材36には、第2モータ36Aが接続されている。第2モータ36Aの駆動力を受けて、摺動部材36は上下方向Zに移動する。図示は省略するが、摺動部材36には、切削ヘッド40が設けられている。
【0021】
図2に示すように、切削ヘッド40は、加工ツール6を使用して、被加工物5を切削するものである。また、切削ヘッド40は、検出ツール7を使用して、マガジン70の実際の位置を検出するものでもある。本実施形態では、加工ツール6は、被加工物5を切削加工する際に使用されるものであり、下部に刃物部を有している。検出ツール7は、マガジン70などの切削加工機100を構成する部位の位置を検出するものであり、下部には刃物部が設けられておらず、滑らかな面となっている。
【0022】
切削ヘッド40は、キャリッジ32の左右方向Xへの移動に伴い、一対の第1ガイドレール30に沿って、左右方向Xへ移動する。また、切削ヘッド40は、摺動部材36(
図7参照)の上下方向Zへの移動に伴い、一対の第2ガイドレール35に沿って上下方向Zへ移動する。本実施形態では、切削ヘッド40は、把持部42と、スピンドル44とを備えている。
【0023】
把持部42は、加工ツール6および検出ツール7のうち何れか一方のツールを把持可能なものである。ここでは、図示は省略するが、把持部42は水平方向に並んだ複数の部材によって構成されており、これら複数の部材で加工ツール6の上端部を挟むことで、把持部42は、加工ツール6および検出ツール7のうちの何れかを把持することが可能となる。本実施形態では、把持部42の上端には、スピンドル44が設けられている。
【0024】
スピンドル44は、把持部42に把持された加工ツール6または検出ツール7を回転させるものである。詳しくは、スピンドル44は、把持部42を回転させることで、把持部42によって把持された加工ツール6および検出ツール7の何れかを回転軸を中心にして回転させる。ここでは、回転軸は上下方向Z、すなわち、Z軸方向である。本実施形態では、スピンドル44には、スピンドル44を回転させる第3モータ44A(
図7参照)が接続されている。第3モータ44Aの駆動力を受けて、スピンドル44が回転する。そして、スピンドル44の回転に伴って、把持部42に把持された加工ツール6および検出ツール7の何れかが回転する。図示は省略するが、スピンドル44は、一対の第2ガイドレール35に摺動可能に設けられた摺動部材36(
図7参照)に設けられている。スピンドル44は、摺動部材36に対して回転可能に設けられている。ここでは、摺動部材36による上下方向Zへの移動に伴って、切削ヘッド40の把持部42、把持部42に把持された加工ツール6または検出ツール7、および、スピンドル44は、上下方向Zへ移動する。
【0025】
テーブル50は、回転機構60が取り付けられるものである。また、テーブル50には、マガジン70が設けられている。テーブル50は、本体10内に配置されている。テーブル50は、切削ヘッド40よりも下方に配置されている。
【0026】
本実施形態では、テーブル50は、前後方向Yに移動可能に構成されている。ここでは、図示は省略するが、ベース部11には、前後方向Yに延びた一対のレールが設けられている。テーブル50は、上記一対のレールに対して摺動可能に設けられている。本実施形態では、
図4に示すように、テーブル50には、第4モータ50Aが接続されている。第4モータ50Aの駆動力を受けて、前後方向Yに移動する。
【0027】
次に、回転機構60について説明する。切削加工の際、回転機構60は、被加工物5を支持しながら回転させる機構である。回転機構60は、取り外し自在にテーブル50に設けられている。
図3は、回転機構60の平面図である。
図4は、回転機構60の正面図である。本実施形態では、
図3に示すように、回転機構60は、回転機構本体61と、一対の第3ガイドレール63と、第1クランプ65と、第2クランプ67とを備えている。
【0028】
図4に示すように、回転機構本体61は、底板61aと、左支持部材61bと、右支持部材61cとを有している。底板61aは、矩形状の板である。底板61aは、テーブル50上に配置されている。左支持部材61bは、底板61aから上方に向かって延びている。右支持部材61cは、底板61aの右端に固定されており、底板61aの右端から上方に向かって延びている。
【0029】
図3に示すように、一対の第3ガイドレール63は、左右方向Xに延びた部材であり、前後方向Yに並んで配置されている。一対の第3ガイドレール63の左端は、左支持部材61bにそれぞれ接続されている。一対の第3ガイドレール63の右端は、右支持部材61cにそれぞれ接続されている。本実施形態では、一対の第3ガイドレール63には、スライダ68が摺動自在に設けられている。
【0030】
第1クランプ65および第2クランプ67は、被加工物5を保持するものである。第1クランプ65と第2クランプ67によって被加工物5が挟まれることで、被加工物5は保持される。本実施形態では、第1クランプ65は、回転機構本体61の左支持部材61bに回転可能に設けられている。第2クランプ67は、一対の第3ガイドレール63に摺動自在に設けられたスライダ68に回転可能に設けられている。ここでは、第2クランプ67が一対の第3ガイドレール63に沿って移動することで、第1クランプ65と第2クランプ67との間隔を変更することができる。よって、被加工物5の左右方向Xの長さに応じて、第1クランプ65と第2クランプ67との間隔を変更することで、様々な大きさの被加工物5を第1クランプ65および第2クランプ67によって保持することができる。
【0031】
本実施形態では、第1クランプ65は、左右方向X、すなわち、X軸方向に延びた回転軸を中心に自らが回転する。ここでは、第1クランプ65には、第1クランプ65を回転させる第5モータ65Aが接続されている。ただし、第5モータ65Aは、第2クランプ67に接続され、第2クランプ67を回転させるものであってもよい。ここでは、第5モータ65Aが駆動することによって、第1クランプ65が回転する。そして、第1クランプ65が回転することで、第1クランプ65と第2クランプ67によって保持された被加工物5がX軸方向に延びた回転軸を中心に回転する。なお、第2クランプ67は、第1クランプ65の回転に伴い、被加工物5とともに回転する。
【0032】
次に、マガジン70について説明する。
図5は、マガジン70の平面図である。
図6は、マガジン70の正面図である。マガジン70は、
図6に示すように、検出ツール7、および、複数の加工ツール6を収容することが可能なものである。
図2に示すように、マガジン70は、本体10内に配置されており、テーブル50に設けられている。
図5に示すように、マガジン70は、マガジン本体72と、複数のストッカー74と、ツールセンサ76と、第1突起78aと、第2突起78bとを有している。マガジン本体72は、箱状に形成されている。
【0033】
複数のストッカー74には、加工ツール6および検出ツール7のうちの何れかが収容される。本実施形態では、マガジン本体72の上面に穴が形成されており、その穴がストッカー74である。複数のストッカー74は、左右方向Xに並んで配置されているが、複数のストッカー74の位置は特に限定されない。本実施形態では、ストッカー74の数は6つであり、本実施形態に係るマガジン70には、加工ツール6および検出ツール7を併せて6つ収容することが可能である。しかしながら、ストッカー74の数は特に限定されず、例えば、7つ以上であってもよい。
【0034】
ツールセンサ76は、切削ヘッド40の把持部42に加工ツール6または検出ツール7が把持されているか否かを検出するものである。ツールセンサ76は、加工ツール6または検出ツール7が接触したことを検出することで、把持部42に加工ツール6または検出ツール7が把持されているか否かを確認する。ツールセンサ76が加工ツール6または検出ツール7の接触を検知する手法は特に限定されない。例えば、本実施形態では、ツールセンサ76は円柱形状である。ツールセンサ76の上面には凸部が設けられている。この凸部は、マガジン本体72の上面よりも上方に突出するように形成されている。ツールセンサ76の凸部には、オンおよびオフを機械的に切り替え可能なスイッチ76aを有する接触センサ(図示せず)が設けられている。この接触センサは、例えば、スイッチ76aの上面が微小荷重によって微小に変位することで、スイッチ76aにおけるオンおよびオフを機械的に切り替える。スイッチ76aがオンまたはオフに切り替わることによって、加工ツール6または検出ツール7の接触を検出する。本実施形態では、ツールセンサ76は、マガジン本体72におけるストッカー74が形成された部位よりも左方の部位に設けられている。しかしながら、ツールセンサ76の位置は特に限定されない。例えば、ツールセンサ76は、ストッカー74が形成されたマガジン本体72の部位よりも右方のマガジン本体72の部位に設けられていてもよい。
【0035】
第1突起78aおよび第2突起78bは、マガジン70の実際の位置を検出する際に使用される突起である。なお、マガジン70の実際の位置を検出する際の第1突起78aおよび第2突起78bの具体的な使用方法は後述する。本実施形態では、
図6に示すように、第1突起78aおよび第2突起78bは、マガジン本体72の上面に設けられており、マガジン本体72の上面よりも上方に向かって突出している。第1突起78aおよび第2突起78bのそれぞれの位置は特に限定されない。本実施形態では、
図5に示すように、第1突起78aは、第2突起78bよりも左方に位置している。具体的には、第1突起78aは、平面視において、複数のストッカー74よりも左方に位置している。また、第1突起78aは、平面視において、ツールセンサ76よりも右方に位置している。すなわち、第1突起78aは、平面視において、ツールセンサ76と、複数のストッカー74のうち最も左に位置するストッカー74との間に配置されている。第2突起78bは、平面視において、複数のストッカー74よりも右方に位置している。第1突起78aと第2突起78bとの間には、複数のストッカー74が配置されている。本実施形態では、複数のストッカー74、ツールセンサ76、第1突起78aおよび第2突起78bは、平面視において、左右方向Xに並んでそれぞれ配置されている。
図6に示すように、第1突起78aの上面の高さと、第2突起78bの上面の高さとは同じである。第1突起78aおよび第2突起78bは、それぞれ円筒形状である。平面視において、第1突起78aおよび第2突起78bのそれぞれの形状は、円形状である。
【0036】
図7は、切削加工機100のブロック図である。
図2および
図7に示すように、本実施形態では、キャリッジ32に接続された第1モータ32Aが駆動して、キャリッジ32、および、キャリッジ32に設けられた切削ヘッド40が左右方向Xに移動することで、切削ヘッド40の把持部42に把持された加工ツール6または検出ツール7は、マガジン70に対して相対的に左右方向Xに移動する。摺動部材36に接続された第2モータ36Aが駆動して、摺動部材36、および、摺動部材36に設けられた切削ヘッド40が上下方向Zに移動することで、把持部42に把持された加工ツール6または検出ツール7は、マガジン70に対して相対的に上下方向Zに移動する。また、テーブル50に接続された第4モータ50Aが駆動して、テーブル50、および、テーブル50に取り付けられた回転機構60が前後方向Yに移動することで、把持部42に把持された加工ツール6または検出ツール7は、マガジン70に対して相対的に前後方向Xに移動する。本実施形態では、第1モータ32A、第2モータ36A、および、第4モータ50Aを総称して、移動機構90という。言い換えると、移動機構90は、第1モータ32Aと、第2モータ36Aと、第4モータ50Aを有しており、切削ヘッド40の把持部42を、マガジン70に対して相対的に3次元方向に移動させる機構である。
【0037】
次に、本実施形態に係る制御装置80について説明する。制御装置80は、切削加工に関する制御、および、マガジン70の実際の位置の検出を行う装置である。制御装置80は、切削加工機100の本体10に設けられている。ただし、制御装置80の位置は特に限定されない。また、制御装置80の構成は特に限定されない。例えば、制御装置80は、マイクロコンピュータからなっており、中央処理装置(以下、CPUという。)と、CPUが実行するプログラムなどを格納したROMと、RAMなどを備えている。ここでは、マイクロコンピュータ内に保存されたプログラムを使用して、切削加工に関する制御、および、各部材の位置を調整する制御を行う。
【0038】
本実施形態では、
図7に示すように、制御装置80は、操作パネル25に接続されている。操作パネル25をユーザが操作することで、操作パネル25から制御装置80に信号が送信される。制御装置80は、操作パネル25から受信した信号に基づいて切削加工に関する制御を行う。制御装置80は、キャリッジ32に接続された第1モータ32Aに接続されている。制御装置80は、第1モータ32Aの駆動を制御することで、キャリッジ32および切削ヘッド40の左右方向Yへの移動を制御する。制御装置80は、切削ヘッド40が設けられた摺動部材36に接続された第2モータ36Aに接続されている。制御装置80は、第2モータ36Aの駆動を制御することで、切削ヘッド40の上下方向Zへの移動を制御する。制御装置80は、スピンドル44に接続された第3モータ44Aに接続されている。制御装置80は、第3モータ44Aの駆動を制御することで、スピンドル44および把持部42に把持された加工ツール6または検出ツール7の回転を制御する。
【0039】
制御装置80は、テーブル50に接続された第4モータ50Aに接続されている。制御装置80は、第4モータ50Aの駆動を制御することで、テーブル50およびテーブル50に取り付けられた回転機構60の前後方向Yへの移動を制御する。制御装置80は、回転機構60の第1クランプ65に接続された第5モータ65Aに接続されている。制御装置80は、第5モータ65Aの駆動を制御することで、第1クランプ65、および、第1クランプ65と第2クランプ67によって把持された被加工物5の回転を制御する。制御装置80は、ツールセンサ76に接続されている。ここでは、制御装置80は、ツールセンサ76のスイッチ76a(
図5参照)がオンまたはオフに切り替わることを検出することで、把持部42によって把持された加工ツール6または検出ツール7がツールセンサ76(詳しくは、スイッチ76a)に接触したか否かを検出する。また、制御装置80は、把持部42に把持された加工ツール6または検出ツール7の位置を記憶しており、例えば、把持部42に把持された検出ツール7が他の部位と接触した際の位置を検出することが可能である。
【0040】
図8および
図9は、それぞれ制御装置80のブロック図である。本実施形態では、制御装置80は、記憶部81と、偏心オフセット算出部82と、第1基準点検出部83と、第2基準点検出部84と、センサオフセット算出部85と、ストッカーオフセット算出部86と、移動制御部87とを備えている。なお、上述した各部は、ソフトウェアによって構成されていてもよいし、ハードウェアによって構成されていてもよい。例えば、上述した各部は、プロセッサによって行われるものであってもよい。
【0041】
以上、本実施形態に係る切削加工機100の構成について説明した。ところで、制御装置80の記憶部81には、マガジン70の設計上の位置が予め記憶されている。すなわち、記憶部81には、マガジン70の複数のストッカー74の設計上の位置、および、ツールセンサ76の設計上の位置が予め記憶されている。これらの位置は、例えば、XYZ直交座標系のXYZ座標によって特定されるものである。このときのXYZ座標の原点位置は特に限定されない。切削加工機100は、マガジン70の設計上の位置に基づいて、ストッカー74に収容されている加工ツール6を把持部42によって把持させたり、把持部42に把持された加工ツール6をストッカー74に収容したりしている。また、マガジン70の設計上の位置に基づいて、把持部42が把持している加工ツール6をツールセンサ76によって検出させたりしている。なお、本実施形態において、「設計上の位置」とは、切削加工機100の理論上の位置であって、例えば、パーソナルコンピュータ上での設計段階で特定されるような位置のことをいう。
【0042】
しかしながら、マガジン70を切削加工機100の本体10に取り付ける際、本体10に対するマガジン70の組み付け誤差が生じるおそれがあり得る。この組み付け誤差が生じている場合、マガジン70の実際の位置がマガジン70の設計上の位置とは異なることがあり得る。マガジン70の実際の位置がマガジン70の設計上の位置と異なる場合、マガジン70のストッカー74に収容された加工ツール6を把持部42が適切に把持することができないおそれがあり得る。また、把持部42が把持している加工ツール6をストッカー74に適切に収容することができないことがあり得る。さらに、マガジン70の実際の位置がマガジン70の設計上の位置と異なる場合、把持部42が把持している加工ツール6をツールセンサ76が適切に検出することができないことがあり得る。
【0043】
そこで、本実施形態では、マガジン70を本体10に取り付けた際、マガジン70のツールセンサ76の設計上の位置に対するツールセンサ76の実際の位置の補正値であるセンサオフセットと、ストッカー74の設計上の位置に対するストッカー74の実際の位置の補正値であるストッカーオフセットを算出する。そして、センサオフセットおよびストッカーオフセットに基づいて、移動機構90を制御する。なお、以下の説明において、センサオフセットと、ストッカーオフセットとを総称して、マガジンオフセットと称することとする。
【0044】
図10は、マガジンオフセットを算出する手順を示したフローチャートである。以下、ツールセンサオフセット、および、複数のストッカー74のそれぞれに対するストッカーオフセットを算出する手順について
図10のフローチャートを用いて説明する。
【0045】
本実施形態では、スピンドル44には、把持部42を回転させる際の基準の位置である回転基準位置が予め設定されている。制御装置80の記憶部81には、この回転基準位置が予め記憶されている。以下の説明において、スピンドル44が回転基準位置に位置しているときのスピンドル44の回転角度を0°とする。本実施形態では、マガジンオフセットを算出する際には、切削ヘッド40の把持部42には、検出ツール7が把持されている。この検出ツール7を使用して、マガジンオフセット、すなわち、センサオフセットおよびストッカーオフセットを算出する。
【0046】
まず、
図10のステップS101では、偏心オフセット算出部82は、偏心オフセットを算出する。例えば、
図2に示すように、切削ヘッド40の把持部42が検出ツール7(または、加工ツール6)を把持している場合、検出ツール7の軸の方向がスピンドル44の軸の方向と同じになるように把持することが好ましい。しかしながら、検出ツール7の軸の方向がスピンドル44の軸の方向と若干ズレるような向きで、把持部42が検出ツール7を把持することがあり得る。この場合、スピンドル44の回転角度によって、検出ツール7が他の部材と接触する位置(詳しくは、座標)が異なることがあり得る。本実施形態では、スピンドル44が回転した際の検出ツール7の位置の誤差を補正する値を偏心オフセットという。本実施形態では、偏心オフセットとは、スピンドル44の回転角度が0°のときにおける把持部42に把持された検出ツール7と、スピンドル44の回転角度が180°のときにおける把持部42に把持された検出ツール7との振れ幅のことをいう。ここでは、偏心オフセットは、X軸方向の偏心オフセットである偏心Xオフセットと、Y軸方向の偏心オフセットである偏心Yオフセットを有している。
【0047】
図11は、偏心オフセットを算出する手順を示したフローチャートである。本実施形態では、偏心オフセットは、
図11のフローチャートに沿って、偏心オフセット算出部82によって算出される。ここでは、
図8に示すように、偏心オフセット算出部82は、第1スピンドル回転部101と、第1角度X検出部102と、第1角度Y検出部103と、第2スピンドル回転部104と、第2角度X検出部105と、第2角度Y検出部106と、偏心Xオフセット算出部107と、偏心Yオフセット算出部108とを備えている。
【0048】
まず、
図11に示すように、ステップS201では、第1スピンドル回転部101は、回転基準位置を基準にして、スピンドル44の回転角度が0°となるように、スピンドル44を回転させる。
【0049】
次に、ステップS202では、第1角度X検出部102は、スピンドル44の回転角度が0°のとき、
図5に示すように、第1測定点M1_X1のX座標を検出する。ここで、第1測定点M1_X1とは、第1突起78aの外周面上の点であって、左右方向X、すなわち、X軸方向における端(ここでは、左端)に位置する点である。本実施形態では、第1角度X検出部102は、把持部42に把持された検出ツール7を第1突起78aに接触させるように移動機構90を制御することで、第1測定点M1_X1のX座標を検出する。ここでは、ステップS202において、検出した第1測定点M1_X1のX座標のことを第1偏心X座標という。本実施形態では、第1測定点M1_X1は、本発明の「第9測定点」に対応している。
【0050】
次に、
図11のステップS203では、第1角度Y検出部103は、スピンドル44の回転角度が0°のとき、
図5に示すように、第3測定点M1_Y1のY座標を検出する。ここで、第3測定点M1_Y1とは、第1突起78aの外周面上の点であって、前後方向Y、すなわち、Y軸方向における端(ここでは、前端)に位置する点である。本実施形態では、第1角度Y検出部103は、把持部42に把持された検出ツール7を第1突起78aに接触させるように移動機構90を制御することで、第3測定点M1_Y1のY座標を検出する。ここでは、ステップS203において、検出した第3測定点M1_Y1のY座標のことを第1偏心Y座標という。本実施形態では、第3測定点M1_Y1は、本発明の「第10測定点」に対応している。
【0051】
次に、
図11のステップS204では、第2スピンドル回転部104は、回転基準位置を基準にして、スピンドル44を180°回転させる。このとき、検出ツール7の左側に位置していた面は、右側に位置する。また、検出ツール7の前側に位置していた面は、後側に位置する。
【0052】
次に、ステップS205では、第2角度X検出部105は、スピンドル44の回転角度が180°のとき、第1測定点M1_X1のX座標を検出する。このときの検出手順は、上記ステップS202と同様である。ここでは、ステップS205において、検出した第1測定点M1_X1のX座標のことを第2偏心X座標という。
【0053】
次に、ステップS206では、第2角度Y検出部106は、スピンドル44の回転角度が180°のとき、第3測定点M1_Y1のY座標を検出する。このときの検出手順は、上記ステップS203と同様である。ここでは、ステップS206において、検出した第3測定点M1_Y1のY座標のことを第2偏心Y座標という。
【0054】
次に、ステップS207では、偏心Xオフセット算出部107は、第1角度X検出部102によって検出された第1偏心X座標と、第2角度X検出部105によって検出された第2偏心X座標とから、X軸方向の偏心オフセットである偏心Xオフセットを算出する。本実施形態では、偏心Xオフセット算出部107は、第1偏心X座標と、第2偏心X座標との差を偏心Xオフセットとする。
【0055】
その後、ステップS208では、偏心Yオフセット算出部108は、第1角度Y検出部103によって検出された第1偏心Y座標と、第2角度Y検出部106によって検出された第2偏心Y座標とから、Y軸方向の偏心オフセットである偏心Yオフセットを算出する。本実施形態では、偏心Yオフセット算出部108は、第1偏心Y座標と、第2偏心Y座標との差を偏心Yオフセットとする。以上のようにして、偏心オフセット算出部82は、偏心Xオフセット、および、偏心Yオフセットを算出することで、偏心オフセットを算出する。
【0056】
図10のステップS101において、偏心オフセットを算出した後、次にステップS102では、第1基準点検出部83は、
図5に示すように、第1突起78aの上面の中心の点である第1基準点M_P1を検出する。第1基準点検出部83は、把持部42に把持された検出ツール7を第1突起78aに接触させるように移動機構90を制御することで、第1基準点M_P1の実際の位置を検出する。この第1基準点M_P1を検出する手順は特に限定されないが、本実施形態では、
図12のフローチャートに沿った手順を実行することで、第1基準点検出部83は、第1基準点M_P1を算出することができる。ここでは、第1基準点検出部83は、
図9に示すように、第1測定点検出部111と、第2測定点検出部112と、第3測定点検出部113と、第4測定点検出部114と、第1基準点X算出部115と、第1基準点Y算出部116と、第1基準点Z検出部117とを備えている。
【0057】
図12のステップS301では、第1測定点検出部111は、
図5の第1測定点M1_X1を検出する。第1測定点検出部111は、把持部42に把持された検出ツール7を第1突起78aに左方から接触させるように移動機構90を制御することで、第1測定点M1_X1のXY座標を検出する。次に、
図12のステップS302では、第2測定点検出部112は、
図5の第2測定点M1_X2を検出する。
図5に示すように、第2測定点M1_X2は、第1突起78aの外周面上の点であって、X座標が第1測定点M1_X1のX座標とは異なる点である。第2測定点M1_X2のY座標と、第1測定点M1_X1のY座標は同じである。本実施形態では、第1測定点M1_X1と、第2測定点M1_X2は、左右方向Xに並んだ点である。平面視において、第1測定点M1_X1は、第1突起78aの外周面上の点のうち、最も左方に位置する点であり、第2測定点M1_X2は、第1突起78aの外周面上の点のうち、最も右方に位置する点である。ここでは、第2測定点検出部112は、切削ヘッド40の把持部42に把持された検出ツール7を、第2測定点M1_X2において、第1突起78aの外周面と接触させるように、移動機構90を制御する。そして、第2測定点検出部112は、検出ツール7と第1突起78aの外周面とが接触した点を第2測定点M1_X2として、第2測定点M1_X2のXY座標を検出する。
【0058】
次に、
図12のステップS303では、第3測定点検出部113は、
図5の第3測定点M1_Y1を検出する。第3測定点M1_Y1は、第1突起78aの外周面上の点のうち、最も前方に位置する点である。第3測定点M1_Y1は、X座標が第1測定点M1_X1のX座標と、第2測定点M1_X2のX座標との中点のX座標である。第3測定点検出部113は、把持部42に把持された検出ツール7を第1突起78aに前方から接触させるように移動機構90を制御することで、第3測定点M1_Y1のXY座標を検出する。
【0059】
次に、
図12のステップS304では、第4測定点検出部114は、
図5の第4測定点M1_Y2を検出する。
図5に示すように、第4測定点M1_Y2は、第1突起78aの外周面上の点であって、X座標が第3測定点M1_Y1のX座標と同じである。第4測定点M1_Y2のY座標は、第3測定点M1_Y1のY座標とは異なる。第4測定点M1_Y2は、第1突起78aの外周面上の点のうち、最も後方に位置する点であり、第3測定点M1_Y1と対向する点である。第4測定点検出部114は、把持部42に把持された検出ツール7を第1突起78aに後方から接触させるように移動機構90を制御することで、第4測定点M1_Y2のXY座標を検出する。
【0060】
以上のようにして、第1測定点M1_X1、第2測定点M1_X2、第3測定点M1_Y1、および、第4測定点M1_Y2をそれぞれ検出した後、
図12のステップS305では、第1基準点X算出部115は、第1基準点M_P1のX座標を算出する。本実施形態では、第1基準点X算出部115は、第1測定点M1_X1のX座標と、第2測定点M1_X2のX座標との中点を第1基準点M_P1のX座標とする。ここでは、第1基準点M_P1のX座標をM_P1x、第1測定点M1_X1のX座標をM1_X1x、第2測定点M1_X2のX座標をM1_X2xとすると、第1基準点M_P1のX座標は、以下の式(1)のように表すことができる。
M_P1x=(M1_X1x+M1_X2x)/2・・・(1)
【0061】
次に、ステップS306では、第1基準点Y算出部116は、第1基準点M_P1のY座標を算出する。本実施形態では、第1基準点Y算出部116は、第3測定点M1_Y1のY座標と、第4測定点M1_Y2のY座標との中点を第1基準点M_P1のY座標とする。ここでは、第1基準点M_P1のY座標をM_P1y、第3測定点M1_Y1のY座標をM1_Y1y、第4測定点M1_Y2のY座標をM1_Y2yとすると、第1基準点M_P1のY座標は、以下の式(2)のように表すことができる。
M_P1y=(M1_Y1y+M1_Y2y)/2・・・(2)
【0062】
次に、ステップS307では、第1基準点Z検出部117は、第1基準点M_P1のZ座標を検出する。第1基準点Z検出部117は、切削ヘッド40の把持部42に把持された検出ツール7の先端が第1突起78aよりも上方であって、X座標が第1基準点M_P1のX座標であり、かつ、Y座標が第1基準点M_P1のY座標となるように、移動機構90を制御する。そして、第1基準点Z検出部117は、把持部42を下方に移動させ、把持部42に把持された検出ツール7と第1突起78aとを第1突起78aの上方から接触させる。このときの把持部42に把持された検出ツール7と第1突起78aとが接触したときの検出ツール7の先端のZ座標が第1基準点M_P1のZ座標となる。なお、このように、第1基準点M_P1のXYZ座標を算出する際、偏心オフセット算出部82によって算出された偏心オフセット(偏心Xオフセットおよび偏心Yオフセット)を利用して補正をすることで、第1基準点M_P1のXYZ座標を算出してもよい。以上のようにして、第1基準点M_P1のX座標、Y座標、および、Z座標をそれぞれ検出することができる。
【0063】
以上のように、
図10のステップS102において、第1基準点M_P1を検出した後、次にステップS103では、第2基準点検出部84は、
図5に示すように、第2突起78bの上面の中心の点である第2基準点M_P2を検出する。第2基準点検出部84は、把持部42に把持された検出ツール7を第2突起78bに接触させるように移動機構90を制御することで、第2基準点M_P2の実際の位置を検出する。本実施形態では、
図13のフローチャートに沿った手順を実行することで、第2基準点検出部84は、第2基準点M_P2を算出することができる。ここでは、第2基準点検出部84は、
図9に示すように、第5測定点検出部121と、第6測定点検出部122と、第7測定点検出部123と、第8測定点検出部124と、第2基準点X算出部125と、第2基準点Y算出部126と、第2基準点Z検出部127とを備えている。
【0064】
図13のステップS401では、第5測定点検出部121は、第5測定点M2_X1を検出し、ステップS402では、第6測定点検出部122は、第6測定点M2_X2を検出する。
図5に示すように、第5測定点M2_X1および第6測定点M2_X2は、それぞれ第2突起78bの外周面上の点である。ここでは、第5測定点M2_X1と、第6測定点M2_X2は、左右方向Xに並んだ点である。第6測定点M2_X2は、X座標が第5測定点M2_X1のX座標とは異なる点であり、Y座標が第5測定点M2_X1のY座標は同じである。平面視において、第5測定点M2_X1は、第2突起78bの外周面上のうち、最も左方に位置する点であり、第6測定点M2_X2は、第2突起78bの外周面上の点のうち、最も右方に位置する点である。
【0065】
第5測定点検出部121は、把持部42に把持された検出ツール7を第2突起78bに接触させるように移動機構90を制御することで、第5測定点M2_X1のXY座標を検出する。また、第6測定点検出部122は、把持部42に把持された検出ツール7を第2突起78bに接触させるように移動機構90を制御することで、第6測定点M2_X2のXY座標を検出する。
【0066】
次に、
図13のステップS403では、第7測定点検出部123は、第7測定点M2_Y1を検出し、ステップS404では、第8測定点検出部124は、第8測定点M2_Y2を検出する。
図5に示すように、第7測定点M2_Y1は、X座標が第5測定点M2_X1のX座標と、第6測定点M2_X2のX座標との中点のX座標である。第8測定点M2_Y2は、第2突起78bの外周面上の点であって、X座標が第7測定点M2_Y1のX座標と同じである。第8測定点M2_Y2のY座標は、第7測定点M2_Y1のY座標とは異なる。第7測定点M2_Y1は、第2突起78bの外周面上の点のうち、最も前方に位置する点である。第8測定点M2_Y2は、第2突起78bの外周面上の点のうち、最も後方に位置する点である。ここでは、第7測定点M2_Y1と、第8測定点M2_Y2は、前後方向Yに並んだ点である。
【0067】
第7測定点検出部123は、把持部42に把持された検出ツール7を第2突起78bに接触させるように移動機構90を制御することで、第7測定点M2_Y1のXY座標を検出する。また、第8測定点検出部124は、把持部42に把持された検出ツール7を第2突起78bに接触させるように移動機構90を制御することで、第8測定点M2_Y2のXY座標を検出する。
【0068】
以上のようにして、第5測定点M2_X1、第6測定点M2_X2、第7測定点M2_Y1、および、第8測定点M2_Y2をそれぞれ検出した後、
図13のステップS405では、第2基準点X算出部125は、第2基準点M_P2のX座標を算出する。第2基準点X算出部125は、第5測定点M2_X1のX座標と、第6測定点M2_X2のX座標との中点を第2基準点M_P2のX座標とする。ここでは、第2基準点M_P2のX座標をM_P2x、第5測定点M2_X1のX座標をM2_X1x、第6測定点M2_X2のX座標をM2_X2xとすると、第2基準点M_P2のX座標は、以下の式(3)のように表すことができる。
M_P2x=(M2_X1x+M2_X2x)/2・・・(3)
【0069】
次に、
図13のステップS406では、第2基準点Y算出部126は、第2基準点M_P2のY座標を算出する。第2基準点Y算出部126は、第7測定点M2_Y1のY座標と、第8測定点M2_Y2のY座標との中点を第2基準点M_P2のY座標とする。ここでは、第2基準点M_P2のY座標をM_P2y、第7測定点M2_Y1のY座標をM2_Y1y、第8測定点M2_Y2のY座標をM2_Y2yとすると、第2基準点M_P2のY座標は、以下の式(4)のように表すことができる。
M_P2y=(M2_Y1y+M2_Y2y)/2・・・(4)
【0070】
次に、
図13のステップS407では、第2基準点Z検出部127は、第2基準点M_P2のZ座標を検出する。第2基準点Z検出部127は、把持部42に把持された検出ツール7の先端が第2突起78bよりも上方であって、X座標が第2基準点M_P2のX座標であり、かつ、Y座標が第2基準点M_P2のY座標となるように、移動機構90を制御する。そして、第2基準点Z検出部127は、把持部42を下方に移動させ、把持部42に把持された検出ツール7と第2突起78bとを第2突起78bの上方から接触させる。このとき、把持部42に把持された検出ツール7と第2突起78bとが接触したときの検出ツール7の先端のZ座標が第2基準点M_P2のZ座標となる。なお、このように、第2基準点M_P2のXYZ座標を算出する際、偏心オフセット算出部82によって算出された偏心オフセット(偏心Xオフセットおよび偏心Yオフセット)を利用して補正をすることで、第2基準点M_P2のXYZ座標を算出してもよい。以上のようにして、第2基準点M_P2のX座標、Y座標、および、Z座標をそれぞれ検出することができる。
【0071】
以上のように、第1基準点M_P1および第2基準点M_P2のそれぞれのXYZ座標を算出したあと、次に、
図10のステップS104では、センサオフセット算出部85は、ツールセンサ76のオフセットであるセンサオフセットを算出する。本実施形態では、センサオフセットは、X軸方向のセンサオフセットであるセンサXオフセットと、Y軸方向のセンサオフセットであるセンサYオフセットと、Z軸方向のセンサオフセットであるセンサZオフセットとを有している。以下、センサXオフセット、センサYオフセット、および、センサZオフセットの算出手順についてそれぞれ詳述する。
【0072】
本実施形態では、
図8に示すように、センサオフセット算出部85は、センサXオフセット算出部131と、センサYオフセット算出部132と、センサZオフセット算出部133とを備えている。センサXオフセット算出部131によって、センサXオフセットが算出される。センサYオフセット算出部132によって、センサYオフセットが算出される。センサZオフセット算出部133によって、センサZオフセットが算出される。本実施形態では、記憶部81には、第1基準点M_P1の設計上のX座標、Y座標、Z座標、および、ツールセンサ76の上面の設計上のZ座標が予め記憶されている。
【0073】
まず、センサXオフセット算出部131は、以下の式(5)によって、センサXオフセットを算出する。下記式(5)では、E1xはセンサXオフセット、M_P1xは第1基準点M_P1のX座標、DM_P1xは第1基準点M_P1の設計上のX座標をそれぞれ示している。
E1x=M_P1x−DM_P1x・・・(5)
なお、第1基準点M_P1のX座標M_P1xは、上記式(1)を使用して算出することができる。
【0074】
センサYオフセット算出部132は、以下の式(6)によって、センサYオフセットを算出する。下記式(6)では、E1yはセンサYオフセット、M_P1yは第1基準点M_P1のY座標、DM_P1yは第1基準点M_P1の設計上のY座標をそれぞれ示している。
E1y=M_P1y−DM_P1y・・・(6)
なお、第1基準点M_P1のY座標M_P1yは、上記式(2)を使用して算出することができる。
【0075】
センサZオフセット算出部133は、把持部42に検出ツール7が把持されていない状態で、把持部42をツールセンサ76に上方から接触させることで、ツールセンサ76の実際のZ座標を検出する。そして、センサZオフセット算出部133は、以下の式(7)によって、センサZオフセットを算出する。下記式(7)では、E1zはセンサZオフセット、TSzはツールセンサ76の実際のZ座標、DTSzはツールセンサ76の上面の設計上のZ座標をそれぞれ示している。
E1z=TSz−DTSz・・・(7)
【0076】
以上のようにして、センサXオフセット、センサYオフセット、および、センサZオフセットをそれぞれ算出することで、ツールセンサ76のオフセットであるセンサオフセットを算出することができる。移動制御部87(
図7参照)は、切削加工する際、算出したセンサオフセットに基づいて、移動機構90を制御して、把持部42に把持された加工ツール6を移動させる。このことで、把持部42に把持された加工ツール6をツールセンサ76の適切な位置に接触させることができるため、加工ツール6の検出を適切に行うことができる。
【0077】
次に、
図10のステップS105では、ストッカーオフセット算出部86は、各ストッカー74(
図5参照)のオフセットであるストッカーオフセットを算出する。以下の説明において、複数のストッカー74に関連する符号において、第1基準点M_P1に近い方のストッカー74から順に、括弧内に1〜6の番号を付した符号を付すこととする。ここで、各ストッカー74
(i)のそれぞれのストッカーオフセットをE2
(i)とする。本実施形態において、iは、1以上6以下である。ここで、ストッカーオフセットE2
(i)は、X軸方向のストッカーオフセットであるストッカーXオフセットと、Y軸方向のストッカーオフセットであるストッカーYオフセットと、Z軸方向のストッカーオフセットであるストッカーZオフセットを有している。以下、ストッカーXオフセット、ストッカーYオフセット、および、ストッカーZオフセットの算出手順についてそれぞれ詳述する。
【0078】
本実施形態では、
図8に示すように、ストッカーオフセット算出部86は、ストッカーXオフセット算出部141と、ストッカーYオフセット算出部142と、ストッカーZオフセット算出部143とを備えている。ストッカーXオフセット算出部141によって、ストッカーXオフセットが算出される。ストッカーYオフセット算出部142によって、ストッカーYオフセットが算出される。ストッカーZオフセット算出部143によって、ストッカーZオフセットが算出される。本実施形態では、記憶部81には、第1基準点M_P1からストッカー74
(i)の中心までの距離、および、第2基準点M_P2の設計上のX座標、Y座標、Z座標が予め記憶されている。
【0079】
まず、ストッカーXオフセット算出部141は、以下の式(8)によって、ストッカー74
(i)のセンサXオフセットを算出する。下記式(8)では、E2x
(i)はストッカー74
(i)のストッカーXオフセット、M_P1xは第1基準点M_P1のX座標、M_P2xは第2基準点M_P2のX座標、DM_P1xは第1基準点M_P1の設計上のX座標、DM_P2xは第2基準点M_P2の設計上のX座標、D
(i)は第1基準点M_P1からストッカー74
(i)の中心までの距離をそれぞれ示している。
E2x
(i)=(M_P1x+((M_P2x−M_P1x)/(DM_P2x−DM_P1x))×D
(i))−(DM_P1x+D
(i))・・・(8)
【0080】
ストッカーYオフセット算出部142は、以下の式(9)によって、ストッカーYオフセットを算出する。下記式(9)では、E2y
(i)はストッカー74
(i)のストッカーYオフセット、M_P1yは第1基準点M_P1のY座標、M_P2yは第2基準点M_P2のY座標、M_P1xは第1基準点M_P1のX座標、M_P2xは第2基準点M_P2のX座標、DM_P1yは第1基準点M_P1の設計上のY座標、D
(i)は第1基準点M_P1からストッカー74
(i)の中心までの距離をそれぞれ示している。
E2y
(i)=(M_P1y+((M_P2y−M_P1y)/(M_P2x−M_P1x))×D
(i))−DM_P1y・・・(9)
【0081】
ストッカーZオフセット算出部143は、以下の式(10)によって、ストッカーZオフセットを算出する。下記式(10)では、E2z
(i)はストッカー74
(i)のストッカーZオフセット、M_P1zは第1基準点M_P1のZ座標、M_P2zは第2基準点M_P2のZ座標、M_P1xは第1基準点M_P1のX座標、M_P2xは第2基準点M_P2のX座標、DM_P1zは第1基準点M_P1の設計上のZ座標、D
(i)は第1基準点M_P1からストッカー74
(i)の中心までの距離をそれぞれ示している。
E2z
(i)=(M_P1z+((M_P2z−M_P1z)/(M_P2x−M_P1x))×D
(i))−DM_P1z・・・(10)
【0082】
以上のようにして、ストッカーXオフセット、ストッカーYオフセット、および、ストッカーZオフセットをそれぞれ算出することで、各ストッカー74
(i)のオフセットであるストッカーオフセットを算出することができる。移動制御部87(
図7参照)は、切削加工する際、このストッカーオフセットに基づいて、移動機構90を制御して、把持部42を移動させる。このことによって、把持部42が把持している加工ツール6をストッカー74の適切な位置に収容することができ、かつ、ストッカー74に収容された加工ツール6を把持部42が適切に把持することができる。
【0083】
以上、本実施形態では、
図5に示すように、マガジン70のマガジン本体72に設けられた第1突起78aの上面の第1基準点M_P1の実際の位置と、マガジン本体72に設けられた第2突起78bの上面の第2基準点M_P2の実際の位置とを検出する。第1基準点M_P1と第2基準点M_P2の2点から、マガジン本体72の傾きが得られる。よって、第1基準点M_P1と第2基準点M_P2とから、マガジン本体72の組み付け誤差を算出することができ、かつ、センサオフセットおよびストッカーオフセットを算出することができる。したがって、切削加工する際、センサオフセットを考慮して、移動制御部87が移動機構90を制御することで、把持部42に把持された加工ツール6をツールセンサ76が適切に検出することができる。また、切削加工する際、ストッカーオフセットを考慮して、移動制御部87が移動機構90を制御することで、把持部42がストッカー74に収容された加工ツール6を適切に把持することができるとともに、把持部42に把持された加工ツール6をストッカー74に適切に収容することができる。その結果、把持部42は加工ツール6を適切な位置で把持しているため、マガジン70の組み付け誤差が生じた場合であっても、被加工物5を所望の形状に切削加工することができる。
【0084】
本実施形態では、
図5に示すように、平面視において、第1突起78aの形状は円形状である。第1基準点検出部83は、Y座標が同じ第1測定点M1_X1および第2測定点M1_X2と、X座標が同じ第3測定点M1_Y1および第4測定点M1_Y2をそれぞれ検出することで、第1基準点M_P1のX座標、Y座標、および、Z座標を検出している。このことによって、第1突起78aの外周面上のより少ない点を使用して、第1基準点M_P1のX座標、Y座標をそれぞれ算出することができる。
【0085】
本実施形態では、第2突起78bの形状は円形状である。第2基準点検出部84は、Y座標が同じ第5測定点M2_X1および第6測定点M2_X2と、X座標が同じ第7測定点M2_Y1および第8測定点M1_Y2をそれぞれ検出することで、第2基準点M_P2のX座標、Y座標、および、Z座標を検出している。このことによって、第2突起78bの外周面上のより少ない点を使用して、第2基準点M_P2のX座標、Y座標をそれぞれ算出することができる。
【0086】
本実施形態では、センサXオフセット算出部131は、上記式(5)を使用してツールセンサ76のX軸方向のオフセットであるセンサXオフセットを算出している。センサYオフセット算出部132は、上記式(6)を使用してツールセンサ76のY軸方向のオフセットであるセンサYオフセットを算出している。また、センサZオフセット算出部133は、上記式(7)を使用してツールセンサ76のZ軸方向のオフセットであるセンサZオフセットを算出している。このように、上記式(5)〜(7)を使用することで、センサXオフセット、センサYオフセット、および、センサZオフセットを算出することができる。また、センサXオフセット、センサYオフセット、センサZオフセットを算出することで、ツールセンサ76の位置を3次元で補正することができるため、マガジン70の組み付け誤差が生じている場合であっても、把持部42に把持された加工ツール6をツールセンサ76がより適切に検出することができる。
【0087】
本実施形態では、ストッカーXオフセット算出部141は、上記式(8)を使用してX軸方向のストッカーオフセットであるストッカーXオフセットを算出している。ストッカーYオフセット算出部142は、上記式(9)を使用してY軸方向のストッカーオフセットであるストッカーYオフセットを算出している。また、ストッカーZオフセット算出部143は、上記式(10)を使用してZ軸方向のストッカーオフセットであるストッカーZオフセットを算出している。このように、上記式(8)〜(10)を使用することで、ストッカーXオフセット、ストッカーYオフセット、および、ストッカーZオフセットを算出することができる。また、ストッカーXオフセット、ストッカーYオフセット、ストッカーZオフセットを算出することで、ストッカー74の位置を3次元で補正することができるため、マガジン70の組み付け誤差が生じている場合であっても、把持部42がストッカー74に収容された加工ツール6を適切に把持することができるとともに、把持部42に把持された加工ツール6をストッカー74に適切に収容することができる。
【0088】
本実施形態では、偏心オフセット算出部82は、偏心オフセットを算出している。センサオフセット算出部85は、偏心オフセットに基づいて検出された第1基準点M_P1および第2基準点M_P2から、センサオフセットを算出している。ストッカーオフセット算出部86は、偏心オフセットに基づいて検出された第1基準点M_P1および第2基準点M_P2から、ストッカーオフセットを算出している。このことによって、仮に、把持部42が検出ツール7を適切に把持していない場合であっても、偏心オフセットを算出して、把持部42に把持された検出ツール7の向きを補正することで、第1基準点M_P1および第2基準点M_P2を適切に算出することができる。よって、より適切なセンサオフセットおよびストッカーオフセットを得ることができる。
【0089】
本実施形態では、
図6に示すように、第1突起78aの上面の高さと、第2突起78bの上面の高さは、同じである。このことによって、第1突起78aの上面に位置する第1基準点M_P1のZ座標と、第2突起78bの上面に位置する第2基準点M_P2のZ座標は同じであるため、制御装置80の処理時間を短くすることができる。
【0090】
本実施形態では、
図5に示すように、ストッカー74、ツールセンサ76、第1突起78a、および、第2突起78bは、X軸方向に並んで配置されている。このことによって、平面視において、第1突起78aの第1基準点M_P1と、第2突起78bの第2基準点M_P2とを結ぶ直線上に、ストッカー74およびツールセンサ76が位置している。よって、第1基準点M_P1と、第2基準点M_P2の実際の位置から、ストッカー74およびツールセンサ76のそれぞれの実際の位置を算出し易い。
【0091】
本実施形態では、平面視において、第1突起78aと第2突起78bとの間に、ストッカー74が配置されている。このことによって、例えば、ストッカー74が第1突起78aまたは第2突起78bから遠くに配置されているようなマガジンと比較して、第1突起78aの第1基準点M_P1と、第2突起78bの第2基準点M_P2のそれぞれの実際の位置から、ストッカー74の位置を精度よく算出することができる。