(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
中空状回転軸を有するモータ部と、該中空状回転軸の軸線上に挿通された出力用ネジ軸と、前記中空状回転軸内に配設されて前記出力用ネジ軸と螺合するネジナットとを備え、前記中空状回転軸の回転運動を前記ネジナットを介して前記出力用ネジ軸の直線運動に変換するとともに、前記中空状回転軸を軸方向に小径部と大径部とを有する段付き構造に形成し、前記小径部外周面に前記モータ部の回転子を取付け、前記大径部内に同心状に前記ネジナットを配設したリニアアクチュエータにおいて、
前記中空状回転軸の大径部外周面を回転自在に支持する軸受けを前記モータ部のケース内に同心状に設け、該軸受けにスラスト荷重およびラジアル荷重の双方を受けるスラストラジアルベアリングを設け、該スラストラジアルベアリングの外輪を、前記ケース内周面に設けた径方向の段部と、前記スラストラジアルベアリングの軸方向端面に配置した係止部材とにより軸方向に固定してなり、
前記ケースの開口端に配置されたブラケットと、該ブラケットと前記ケースとの間に配置された前記モータ部の固定子と、前記ケースとを軸方向に固定するボルトにより、前記スラストラジアルベアリング固定用係止部材を一体に締結し
たことを特徴とするリニアアクチュエータ。
前記出力用ネジ軸の直線運動の方向に沿って前記ケースの外面にガイド部を設け、該ガイド部に沿ってスライドする移動子を設けるとともに、該移動子を前記出力用ネジ軸に連結したことを特徴とする請求項1に記載のリニアアクチュエータ。
前記出力用ネジ軸の直線運動の方向に沿って前記ケースの内部にガイド孔を設け、該ガイド孔に挿入されたガイド用シャフトを設けるとともに、該ガイド用シャフトを前記出力用ネジ軸の出力端に連結したことを特徴とする請求項1に記載のリニアアクチュエータ。
前記請求項1に記載のリニアアクチュエータと、このリニアアクチュエータに組み付けられたガイドユニットとを備え、このガイドユニットには、前記リニアアクチュエータの出力用ネジ軸に連結された移動子と、この移動子が走行するガイドレールとを備え、前記リニアアクチュエータの出力用ネジ軸の動きに連動して前記ガイドレールに沿って前記移動子が直線運動することを特徴とするリニアアクチュエータ装置。
前記請求項1に記載のリニアアクチュエータのモータ部のケースを選択可能に構成し、該ケースの種類を用途に応じて変更して、モータ部に組み付けるようにしたことを特徴とするリニアアクチュエータ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術は、ケース内へモータ部、機構部の全てを収納しているためケース内部を全て加工しており、コスト高になっている、精度確保が困難となっている、モータ部の固定子が専用になっているという問題点があった。
さらに、特許文献1の従来例については、特許文献1の
図13より明らかなように、第1のベアリングハウジングAの段部と第2のベアリングハウジングBの段部により、スラストラジアルベアリングが固定されている。特許文献1の発明については、ケースの段部とケースにネジ加工されており、ケースに螺合する外輪固定リングにより、スラストラジアルベアリングの外輪を固定している。したがって、上記の問題点の他に、ケースにスラストラジアルベアリングの外輪を固定するネジを加工しており、コスト高となっている。さらに、ケースはアルミニューム、外輪固定リングが鉄の場合、アルミニュームと鉄の熱膨張率の違いにより、温度上昇等の温度変化により、ネジの緩みが発生するというおそれがあった。
【0006】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、モータケース内部の加工が容易で、コストダウンを図ることができ、ケースと部品の素材の違いにより温度変化に伴うネジの緩みが発生する不具合を防止することができるリニアアクチュエータおよびリニアアクチュエータ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、中空状回転軸を有するモータ部と、該中空状回転軸の軸線上に挿通された出力用ネジ軸と、前記中空状回転軸内に配設されて前記出力用ネジ軸と螺合するネジナットとを備え、前記中空状回転軸の回転運動を前記ネジナットを介して前記出力用ネジ軸の直線運動に変換するとともに、前記中空状回転軸を軸方向に小径部と大径部とを有する段付き構造に形成し、前記小径部外周面に前記モータ部の回転子を取付け、前記大径部内に同心状に前記ネジナットを配設したリニアアクチュエータにおいて、前記中空状回転軸の大径部外周面を回転自在に支持する軸受けを前記モータ部のケース内に同心状に設け、該軸受けにスラスト荷重およびラジアル荷重の双方を受けるスラストラジアルベアリングを設け、該スラストラジアルベアリングの外輪を、前記ケース内周面に設けた径方向の段部と、前記スラストラジアルベアリングの軸方向端面に配置した係止部材とにより軸方向に固定
してなり、前記ケースの開口端に配置されたブラケットと、該ブラケットと前記ケースとの間に配置された前記モータ部の固定子と、前記ケースとを軸方向に固定するボルトにより、前記スラストラジアルベアリング固定用係止部材を一体に締結したことにある。
さらに、本発明は、前記出力用ネジ軸の直線運動の方向に沿って前記ケースの外面にガイド部を設け、該ガイド部に沿ってスライドする移動子を設けるとともに、該移動子を前記出力用ネジ軸に連結したことにある。
またさらに、本発明は、前記出力用ネジ軸の直線運動の方向に沿って前記ケースの内部にガイド孔を設け、該ガイド孔に挿入されたガイド用シャフトを設けるとともに、該ガイド用シャフトを前記出力用ネジ軸の出力端に連結したことにある。
また、本発明は、前記請求項1に記載のリニアアクチュエータと、このリニアアクチュエータに組み付けられたガイドユニットとを備え、このガイドユニットには、前記リニアアクチュエータの出力用ネジ軸に連結された移動子と、この移動子が走行するガイドレールとを備え、前記リニアアクチュエータの出力用ネジ軸の動きに連動して前記ガイドレールに沿って前記移動子が直線運動することにある。
さらに、本発明は、前記請求項1に記載のリニアアクチュエータのモータ部のケースを選択可能に構成し、該ケースの種類を用途に応じて変更して、モータ部に組み付けるようにしたことにある。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ケース内周面に径方向に加工された段部と、スラストラジアルベアリングの軸方向端面に配置した係止部材とを軸方向に締結したことで、スラストラジアルベアリングの外輪が固定されている。よって、低コストで組み付けが容易であり、かつ強固に取り付けることができる。
また、本発明によれば、前記ケースの開口端に配置されたブラケットと、該ブラケットと前記ケースとの間に配置された前記モータ部の固定子と、前記ケースとを軸方向に固定するボルトにより、前記スラストラジアルベアリング固定用係止部材を一体に締結するので、ケースにスラストラジアルベアリングの外輪を固定するためのネジ加工が不要となり、コストの低減を図ることができる。
さらに、本発明によれば、前記出力用ネジ軸の直線運動の方向に沿って前記ケースの外面にガイド部を設け、該ガイド部に沿ってスライドする移動子を設けるとともに、該移動子を前記出力用ネジ軸に連結したので、ケースに直接、ガイド機構が組み付けられるため精度的に有利となる。
またさらに、本発明によれば、前記出力用ネジ軸の直線運動の方向に沿って前記ケースの内部にガイド孔を設け、該ガイド孔に挿入されたガイド用シャフトを設けるとともに、該ガイド用シャフトを前記出力用ネジ軸の出力端に連結したので、ケースに直接、ガイド機構が組み付けられるため精度的に有利となるとともに、ケースのモータ組付部、直動機構組み付け部がケース基準で組み付けられているため、精度が確保し易い。
また、本発明によれば、前記請求項1に記載のリニアアクチュエータと、このリニアアクチュエータに組み付けられたガイドユニットとを備え、このガイドユニットには、前記リニアアクチュエータの出力用ネジ軸に連結された移動子と、この移動子が走行するガイドレールとを備え、前記リニアアクチュエータの出力用ネジ軸の動きに連動して前記ガイドレールに沿って前記移動子が直線運動するので、移動子に外部機構を組み付けることにより、種々の機構に取り付けて往復動操作を行うことができる。
さらに、本発明は、前記請求項1に記載のリニアアクチュエータのモータ部のケースを選択可能に構成し、該ケースの種類を用途に応じて変更して、モータ部に組み付けるようにしたので、種々のケースを選択的に取り付けて、種々の用途に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の第1の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1ないし
図3において、200はリニアアクチュエータで、このリニアアクチュエータ200は、ボディを構成する一体ものの角筒状のケース207と、モータ部201とブラケット208、フランジ209で構成されている。
モータ部201は中空状回転軸203と、該回転軸203の外周面に取付けた回転子202Bと、この回転子202Bの周囲に設けた固定子202Aとを備えている。モータ部201は、図示しない駆動装置に連結されており、駆動装置の作動によって通電され、回転磁界を発生するものである。
【0011】
中空状回転軸203は、通常の軸受けとしてのブラケット208に支持されたボールベアリング205によって支持された小径部203Aと、スラスト荷重およびラジアル荷重の双方を受ける軸受としてのスラストラジアルベアリング204によって支持された大径部203Bとを備える段付き構造を有している。上記中空状回転軸203は、小径部203Aの外周面に上記回転子202Bを取付けるとともに、大径部203B内に後述のボールネジナット211を配設してある。なお、上記スラストラジアルベアリング204の内輪204Aは、上記大径部203Bの外周面の段部203Baと端部外周面のネジ部203Bbに螺合するロックナット206によって該大径部203Bに固定されている。
【0012】
上記角筒状のケース207は段付の内周部が構成され、上記スラストラジアルベアリング204の外輪204Bは、該ケース207の内周部の段部207Aと、係止部材としてのスラストラジアルベアリング固定リング215により固定される。該スラストラジアルベアリング固定リング215は、
図2Dに示すように、ブラケット208、固定子202A、ケース207を貫通するモータ組立ボルト222により締結されている。つまり、4本のモータ組立ボルト222とスラストラジアルベアリング固定リング215を締結することにより、ブラケット208、固定子202A、ケース207、スラストラジアルベアリング204の外輪204Bが固定されている。
【0013】
前記スラストラジアルベアリング204を固定するためにはスラストラジアルベアリング204がケース207のベアリング収納部よりも軸方向外側に出てなくてはならない。
図2EのL寸法はその状況を表す。L寸法はスラストラジアルベアリング204の1個の軸方向の長さL2寸法の2割から0.01mm程度が望ましい。ただし、Lの隙間がなくならないように、温度変化によるベアリング材質とケース材質の膨張率を計算し、寸法を確保して行く必要がある。また、スラストラジアルベアリング固定リング215はモータ組立ボルト222で締め付け締結をした時に塑性変形内で締結する必要がある。
【0014】
上記により、固定子202Aと中空状回転軸203、回転子202B、ケース207が固定される構成を有するので、図示していない固定子巻線への通電に伴って中空状回転軸203が回転子202Bと共に回転する。
【0015】
上記中空状回転軸203の中空部には、ボールネジ軸兼出力軸212が軸線上に挿通され、また、この回転軸203の大径部203B内には、このボールネジ軸兼出力軸212に螺合されたボールネジナット211が配置されている。ボールネジナット211は、回転軸203の大径部203B側の開口端から径外方向に突出するフランジ部211Aを有し、このフランジ部211Aがボールネジナット締結ネジ214を介して上記ロックナット206に固定されている。したがって、ボールネジナット211は、中空状回転軸203と共に回転することができる。
ボールネジ軸兼出力軸212は、ボールネジナット211に螺合され、図示しない直動機構に固定することにより回転が防止され、ボールネジナット211の回転に伴って左右方向に直線運動する。すなわち、このリニアアクチュエータによれば、中空状回転軸203の回転運動がボールネジ兼出力軸212の直線運動に変換される。セットカラー210は、ボールネジ軸兼出力軸212の引き込みを防止するもので、調整用ノブ213により、中空状回転軸203を手動で回転させ、ボールネジ軸兼出力軸212の位置を手動で調整することができる。
【0016】
上記第1の実施の形態のリニアアクチュエータ200の動作を説明する。
モータ部201の作動により中空状回転軸203が回転すると、中空状回転軸203の回転とともにボールネジナット211も回転する。ボールネジナット211の回転に伴ってボールネジ兼出力軸212は、軸方向に移動を開始する。中空状回転軸203を逆方向に回転させると、出力用ネジ軸212は逆方向に移動を開始する。こうして、中空状回転軸203の回転方向を切り替えることにより、ボールネジ兼出力用軸212は往復動を開始する。
【0017】
上記リニアアクチュエータ200は、モータ部201と直動機構を収納した一体もののケース207で構成されているので、剛性を維持しつつ、モータ部201を各種特性の異なるものに変更することができる。また、角筒状のケース207のモータ部201との締結部は精度確保のため加工が必要であるが、内周筒部の加工は、内周面に径方向の段部を形成するための1段の段付の内周加工で済むため、低コストで加工できる。さらに、機器等に組付ける際に、ケース207に直接、取付用のネジ穴207aを設けることができるため、取付部にケース207を密着させて取り付けることができるので、組付けが容易で、かつ強固に取り付けることができる。またさらに、ケース207内周面に径方向に加工された段部207Aと、スラストラジアルベアリング204の軸方向端面に配置した固定リング215(係止部材)とを軸方向に締結したことで、ブラケット208、固定子202A、ケース207、スラストラジアルベアリング204の外輪204Bが固定されている。よって、低コストでスラストラジアルベアリング204の組み付けが容易であり、かつスラストラジアルベアリング204を強固に取り付けることができる。
【0018】
[第2の実施の形態]
図4および
図5は、本発明の第2の実施の形態を示したもので、角筒状のケースの外形を薄形に形成したものである。この第2の実施の形態では
図1ないし
図3と同一部分は同符号を付して同一部分の説明は省略して説明する。
図4および
図5はケース307に、丸シャフトのガイド307Aを設けた、丸シャフト付リニアアクチュエータ300の例である。
この実施の形態では、第1の実施の形態のケース207に代えて用いられているケース307は、直動を案内するための、リニアブッシュ317とリニアシャフト316を収納する部分307a、307bを設けてある。リニアシャフト316の先端部は締結ジョイント319に、ねじ320で締結されており、ボールネジ兼出力軸312の先端部は締結ジョイント319に、ねじ321で締結されている。ボールネジ兼出力軸312はシャフトガイド307Aに案内されるリニアシャフト316により回転が防止され、ボールネジナット311の回転に伴って左右方向に直線運動する。
リニアブッシュ317とリニアシャフト316によるシャフトガイド307Aがケース307の両側面の2箇所に設けられている例を示したが、側面の片方に1箇所にシャフトガイド307Aを設けても良い。
この第2の実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0019】
[第3の実施の形態]
図6A、
図6Bは本発明の第3の実施の形態を示したもので、シングルガイド・ブロックの直動案内機構が設けられたリニアアクチュエータの構造を示したものである。この第3の実施の形態では
図4のリニアアクチュエータの外側にガイド機構を組み付けたものである。ここではリニアアクチュエータ400のガイド機構の構造について説明する。
ケース407はガイドレール取付部407Aを設け、ねじ420でガイドレール408を組み付けている。ガイドレール408に沿ってガイドブロック409が移動する。ガイドブロック409には移動子としてのテーブル410が結合してあり、テーブル410の先端には、下方に向けて折り曲げられたジョイント部410aが設けられている。このジョイント部410aにはボールネジ兼出力軸412の先端がねじ421で締結してある。そして、ボールネジ兼出力軸412が移動すれば、ジョイント部410aを介してテーブル410とガイドブロック409が同期して移動する構成になっている。ボールネジ兼出力軸412の構成は、
図2ないし
図4の実施の形態の説明と同様である。
この第3の実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0020】
[第4の実施の形態]
図7は
図6の変形例で、機構部及びモータ501の上部両端面に、ガイドレール508A,508Bを締結するケース507の構造を示している。この第4の実施の形態のリニアアクチュエータ500の機構部分は
図4および
図5の実施の形態で説明した構成と同様であるので、機構部分の説明は省略して説明する。
前記ケース507の構成は、
図4の実施の形態と同様である。
この場合ケース507には、左右の丸シャフトのガイドを設けた部分の上面にガイドレール508A,508Bを設け、このガイドレール508A,508Bに沿って案内される移動子としてのテーブル510がケース507の上面に配置されている。このテーブル510の左右の内側にはガイドブロック509A,509Bが設けられており、このガイドブロック509A,509Bが前記ガイドレール508A,508Bに沿って摺動するように構成されている。前記テーブル510の先端には、下方側に折り曲がったジョイント部510aが設けられており、このジョイント部510aが
図4で説明したボールネジ兼出力軸312およびリニアシャフト316の先端部に連結されている。
それぞれのガイドレール508A,508Bと摺動するガイドブロック509A,509Bはテーブル510に設けられているので、ボールネジ兼出力軸312の動きに応じて、直動運動をする。
図6のアクチュエータのガイドを高剛性にしたタイプである。
この第4の実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0021】
[第5の実施の形態]
図8は
図7の変形例で、機構部及びモータ601の側面に、ガイドレール608、ガイドブロック609を取り付けられるケース607を使用した構造を示す。これは移動子としてのテーブルの高さを押さえたアクチュエータである。この第5の実施の形態のリニアアクチュエータ600の機構部分は
図1ないし
図3の実施の形態で説明した構成と同様であるので、機構部分の説明は省略して説明する。
機構部及びモータ部601の側面に、機構部及びモータ部601の長手方向に沿ってケース607が一体的に設けられており、前記ケース607の上面に長手方向に沿ってガイドレール608が設けられている。
前記ガイドブロック609は移動子としてのテーブル610の下面に締結されており、テーブル610先端に下部側に延出したジョイント部610aが設けられ、このジョイント部610aの横方向、すなわち、機構部及びモータ部601側に延出した延長部610bがボールネジ兼出力軸612の先端と締結されている。そしてモータ部601の動きによってボールネジ兼出力軸612が直動運転され、これに連動してテーブル610が直動運動する。
この第5の実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0022】
このように
図4ないし
図8のアクチュエータは直動を案内するガイドに合わせてケースを変えている。このことによりガイド別の特徴と機能を引き出すアクチュエータとなっている。
このケースはモータ部とカイド締結部は精度確保のため加工が必要である。しかし、一体ケースでの加工のため、モータ部とガイド部が分離しているものより組み付けによる誤差がなく、高精度に組み立てられる。
【0023】
図9は
図4のアクチュエータの取り付けについて表した図である。
図9(a)に示すように、A面、B面、C面での取り付けが出来る構造となっている。
図9(c)に示すように、A面にはタップ307aが加工してあり、ネジでA面に締結固定することが出来る。また、A面には位置決め再現性用のピン穴307aaも加工してある。A面の取り付けは、
図9(b)に示すように、D面に、バカ穴307dが4箇所A面まで貫通してあり、D面からバカ穴307dにネジを通してA面を締結固定することが出来る。B面には、
図9(d)に示すように、フランジ309にタップ309aが4カ所、加工してあり、ネジにより、締結固定が出来る。C面にも
図9(e)に示すように、タップ307cがケース307に4箇所加工してあり、ケース307を締結固定することが出来る。このようにアクチュエータ3方向からアクチュエータの固定締結が出来る。
【0024】
[第6の実施の形態]
図10は
図1のリニアアクチュエータ200にガイドユニット801を組み合わせたものを示す。
この第6の実施の形態のリニアアクチュエータ200の機構部分は
図1ないし
図3の実施の形態で説明した構成と同様であるので、機構部分の説明は省略して説明する。
リニアアクチュエータ200単体はボールネジ兼出力軸212の回り止めがないと直動動作出来ない。また、負荷搬送等から実際使用する場合はガイドが必要となることから
図10に示すガイドユニット801の機構などが必要となる。
前記ガイドユニット801は、リニアアクチュエータ200のフランジ209にアクチュエータ取付ネジ807を介して取り付けられるアクチュエータ取付フランジ802と、アクチュエータ取付フランジ802と直交して取り付けられたガイドレール取付ベース803と、ガイドレール取付ベース803の上面に固定されたガイドレール804と、ガイドレール804の両側の側面レール部分804aに摺動可能に組み付けられた一対のガイドブロック805と、これらガイドブロック805が下面に取り付けられたテーブル806とで構成されている。前記テーブル806はボールネジ軸締結ネジ808を介してボールネジ兼出力軸212に螺着されている。前記ガイドレール804はガイドレール取付ネジ810を介してガイドレール取付ベース803に取り付けられている。前記テーブル806はテーブル取付ネジ809でガイドブロック805に締結されている。
そして、ボールネジ兼出力軸212が直動を行うとテーブル806がガイドレール804に沿って同期して直動する。
【0025】
図11は
図1ないし
図8に示したリニアアクチュエータと、モータ部に取り付けるそれぞれのケースを示したものである。
図11(A)は、
図1ないし
図3の実施の形態で説明したリニアアクチュエータ200とケース207を示したものである。
図11(B)は、
図6(A)および
図6(B)の実施の形態で説明したリニアアクチュエータ400とケース407を示したものである。
図11(C)は、
図4および
図5の実施の形態で説明したリニアアクチュエータ300とケース307を示したものである。
図11(D)は、
図7の実施の形態で説明したリニアアクチュエータ500とケース507を示したものである。
図11(E)は、
図8の実施の形態で説明したリニアアクチュエータ600とケース607を示したものである。
ケースの形状を変えることにより、ガイド有り、無しのアクチュエータに変えることが出来る。
また、ガイド付きもガイドの種類により、それを取り付けるケースを変え、目的が異なるリニアアクチュエータにすることが出来る。
図11で示した他に、モータ部とボールネジ/ナットとその軸受部の構造は変えず、ケースとそれに取り付くガイドの種類を変更することでいろいろな目的のアクチュエータに変えていくことが出来る。
【0026】
図12ないし
図14は、本発明の応用例を示したものである。
図12(A)および
図12(B)に示したものは、
図4(A)および
図4(B)に示したリニアアクチュエータにモータ回転検出センサ331を組み付けたものである。
図13(A)および
図13(B)に示したものは、
図4(A)および
図4(B)に示したリニアアクチュエータに回転電磁ブレーキ332等モータの付加機能を付けたものに適用したものである。
回転検出センサは光学、磁気式、機械式等いろいろな方法に対応できることは言うまでもない。電磁ブレーキも無励磁作動型、励磁作動型に対応できることは言うまでもない。
【0027】
図14は
図5の変形例で、モータ組立ボルト222に代えてモータ組立ボルト322Bを、スラスト兼ラジアルベアリング固定リング315B側にネジ頭を配置して組み付けた例である。
図5と同一部分は同符号を付して同一部分の説明は省略して説明する。
この場合、スラスト兼ラジアルベアリング固定リング315Bがネジを通すための通し穴になり、ブラケット308Bにタップが加工してある。
図5の例では、ブラケット308側をネジ頭にして組み付けていることから、ブラケット308は通し穴、スラスト兼ラジアルベアリング固定リング215側にタップが切ってネジ締め固定してある。
このことから
図5、
図14とネジの固定方向は選択出来、同様の効果が得られる。
【0028】
以上説明してきたように、上記実施の形態によれば、以下に列挙する効果が得られる。
ケース207内周面に径方向に加工された段部207Aと、スラストラジアルベアリング204の軸方向端面に配置した係止部材(固定リング215)とを軸方向に締結したことで、ブラケット208、固定子202A、ケース207、スラストラジアルベアリング204の外輪204Bが固定されている。よって、低コストでスラストラジアルベアリング204の組み付けが容易であり、かつスラストラジアルベアリング204を強固に取り付けることができる。
図11に示したようにモータ部201とボールネジ軸兼出力軸212とその軸受部の直動機構は変えずケース207とガイド機構部を変更して、用途、目的が違うアクチュエータに変えることが出来る。
ケース207に直接ガイド機構が組み付けられるため精度的に有利になる。
ケース207のモータ組付部、直動機構組み付け部がケース基準で組み付けられているため、精度が確保し易い。
ケース207等はフランジ取付面から固定子取付面のL寸法が短いことから加工時の精度確保がし易い。
ケース207に取付穴を設けることが出来、必要に応じて取付面を増やせる。
モータ部201とケース207、ブラケット208、中空状回転軸203は、スラスト兼ラジアルベアリング固定リング215を採用し組付ネジ222は4本で組み付いており、組み付けが簡単であり、ネジの組み付け方向を変えることが出来る。また、ケースの筒状内周部にネジ加工の必要が無くなる。